量子ビーム

(1)SACLAってなあに?

 X線自由電子レーザー施設「SACLA」は、太陽の100億倍の明るさであるSPring-8の光の、更に10億倍という非常に明るい「X線自由電子レーザー」を発生させて、それを使って物質の極めて速い動きや変化の仕組みを原子レベルで解明する世界最高性能の研究施設です。
 SACLAは兵庫県・播磨科学公園都市にあり、SPring-8と並んで設置された全長700mの施設です。第3期科学技術基本計画において国家基幹技術と指定され、日本中の多くの研究機関や民間企業の広範な産業技術を集結し建設・開発が進み、平成23年に完成しました。運転は、施設の所有者である国立研究開発法人理化学研究所(理研)と利用者への様々な支援を担当する公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)により行われています。(平成29年7月現在)

SACLA(直線型)とSPring-8(円形)
写真:SACLA(直線型)とSPring-8(円形)(提供:理研)

 SACLAが登場した当初、「X線自由電子レーザー」は人類にとって全く新しい量子ビームでした。しかし、毎年多くの研究者らに利用されるにつけ、SACLAは様々な分野において新たな知見をもたらしています。また、その有用性から利用機会の拡大や更なる高度化を望む声も大きく、それに応えるため、ビームラインの高度化や利用制度の充実など、SACLA自身の進化も進んでいます。

SACLA の装置の構成。電子ビームを発生させる電子銃。発生した電子ビームのエネルギーを高める加速器。その電子ビームから波長の短い強力な光をつくるアンジュレータ。これらにより、X線自由電子レーザーが誕生します。
図:SACLAの装置の構成(提供:理研)

 世界では、稼働中のX線自由電子レーザー施設は、SACLAと米国のLCLSの2つのみです。(平成29年7月現在) しかし、その重要性はすでに知られており、欧州・スイス・韓国でも施設の建設や試運転が進められています。このような中、SACLAはたくさんの高い技術力がつまった最もコンパクトな施設であり、性能や運営効率の良さが認められ、新たな科学を切り拓く代表施設として、世界を先導しています。

SACLAは最もコンパクトな施設であり、性能や運営効率の良さで世界を先導
図:世界のX線自由電子レーザー施設

【SACLA公式ホームページ】
SACLA(XFEL)(※国立研究開発法人理化学研究所ウェブサイトへリンク) 
【SACLA紹介動画】
「未来を拓く夢の光XFEL」
X線自由電子レーザーとは何か?X線自由電子レーザーはどのようにつくられるのか?日本が誇る 独自技術が結集した装置の様子とともに紹介します。
未来を拓く夢の光XFEL -X線自由電子レーザー-(※Youtubeへリンク)

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(科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室)

-- 登録:平成24年02月 --