地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域等(◎)に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を地方自治体が「地域おこし協力隊員」として委嘱し、隊員は一定期間(概ね1年以上3年以下の期間)その地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る制度です。
総務省では、地域おこし協力隊に取り組む地方自治体に対して、概ね以下に掲げる経費について特別交付税による財政措置を行っています。
①地域おこし協力隊員の活動に要する経費:隊員1人あたり 400 万円上限
・報償費等 200 万円〔※〕
・その他の経費(活動旅費、作業道具等の消耗品費、関係者間の調整などに要する事務的な経費、定住に向けた研修等の経費など)200 万円
※地域協力活動に不可欠であり専門性の高いスキルや経験を有する隊員又は辺地等の著しく交通条件等の悪い不便な地域における地域協力活動に従事する隊員については、報償費等について 250 万円を上限とする。この場合においても、地域おこし協力隊員1人あたり 400 万円を上限とする。
②地域おこし協力隊員等の起業・事業承継に要する経費:終年次又は任期終了翌年の起業する者又は事業を引き継ぐ者1人あたり 100 万円上限
③-1地域おこし協力隊員の募集等に要する経費:1自治体あたり 200 万円上限
③-2「おためし地域おこし協力隊」に要する経費:1 自治体あたり 100 万円上限(平成 31 年度から)
また、平成 28 年度からは、都道府県が実施する地域おこし協力隊等を対象とする研修等に要する経費について、普通交付税による財政措置も行っています。
◎地域おこし協力隊の地域要件
地域おこし協力隊は地方自治体が自主的・主体的に取り組むものですが、特別交付税による財政措置の対象については、地域おこし協力隊推進要綱において「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を移動させた者」という一定の地域要件が設けられています。
詳しくは、総務省ホームページに掲載されている「地域おこし協力隊員の地域要件について」及び「特別交付税措置に係る地域要件確認表」を参照してください。
●地域おこし協力隊員の地域要件について
http://www.soumu.go.jp/main_content/000335888.pdf
●特別交付税措置に係る地域要件確認表
http://www.soumu.go.jp/main_content/000483768.pdf
なお、例外として、地域おこし協力隊員であった者(同一地域における活動2年以上、かつ解嘱1年以内)が他の地域(3大都市圏外の全ての市町村及び3大都市圏内の条件不利地域)の隊員となる場合には、財政措置の対象として扱うこととなります。また、平成 31 年度からは、語学指導等を行う外国青年招致事業(以下「JET プログラム」という。)を終了した者(JET プログラム参加者としての活動2年以上、かつJETプログラムを終了した日から1年以内)についても、同様の地域要件の特例を適用します。
さらに、平成 31 年度から、「3大都市圏内の都市地域」に区分される市町村のうち、平成 17 年から平成 27 年の人口減少率が 11 パーセント以上である市町村については、「3大都市圏外の都市地域」として扱い、新たに財政措置の対象とすることとしています。
(参照)「地域おこし協力隊の特別交付税措置に係る地域要件の取扱いについて」(平成 30 年 12 月 26 日事務連絡)
同一市町村内において住民票を移動させた者など、地域要件を満たさない場合には特別交付税措置の対象とはなりません。
地域おこし協力隊の募集・採用に当たっては、まずは受入地域において隊員の活動内容、受け入れたい人材像、受入人数、活動体制などを十分検討する必要があります(チェックリスト「隊員の受入準備に当たって」参照)。その上で、地域での活動に関心や意欲のある人材に効果的に募集情報を発信することが重要です。
例えば、
①(一社)移住・交流推進機構(JOIN)の地域おこし協力隊ポータルサイトに募集情報を掲載する。
②JOIN の地域おこし協力隊ポータルサイト内の「隊員希望者登録システム」を活用し、条件に合う隊員希望者に直接連絡をする。
③東京・大阪・名古屋など主要都市において募集説明会を開催する。
※募集説明会は県単位・エリア単位で複数自治体による合同募集説明会として開催することも効果的と考えられます。また、東京で募集説明会を行う場合には、「移住・交流情報ガーデン」を無料で利用することもできます。
④毎年都内で開催される「JOIN 地域おこし協力隊合同募集説明会」にブースを出展し、隊員希望者に直接 PR する。
⑤毎年4回程度都内で開催される「JICA ボランティア自治体/団体向け帰国報告・交流会」(独立行政法人国際協力機構(JICA)主催)に参加する。
●JICA ボランティア自治体/団体向け帰国報告・交流会
https://www.jica.go.jp/volunteer/obog/career_support/training/index.html
⑥毎年1月~4月の間に主に大阪及び首都圏で開催される企業合同説明会「JET プログラムキャリアフェア」(一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)主催)に参加する。
※CLAIR 主催のものは上記のエリアで開催されますが、CLAIR では、地方でも地域の企業をはじめ、JET 参加者、留学生等のためにキャリア支援イベントを開催できるよう、地方自治体の支援を行っています。
●JET プログラムキャリアフェア
http://jetprogramme.org/ja/careerfair/
などの情報発信方法があります。
なお、総務省では1自治体あたり 200 万円を上限として、地域おこし協力隊員の募集等に要する経費についても特別交付税による財政措置を行っており、都市部における募集に係る経費(出展費用等)や職員旅費、現地説明会の開催に係る経費等が財政措置の対象となっています
また、総務省では、平成 31 年度から、受入地域・受入自治体・隊員の三者のミスマッチを防ぐため、地域おこし協力隊として活動する前に、一定の期間、地域協力活動を体験し、受入地域とのマッチングを図る「おためし地域おこし協力隊」を創設します。1自治体あたり 100 万円を上限として、「おためし地域おこし協力隊」に要する経費についても特別交付税による財政措置を行いますので、こちらもご活用ください。
外国籍の方も地域おこし協力隊員となることは可能です。外国籍の場合であっても、住民票の現住所と前住所により「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を移動させた者」であることが確認できれば、財政措置の対象となります。
外国に住んでいる方については、住民票を取得した後「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を移動させた者」であることが確認できれば、財政措置の対象となります。
地域おこし協力隊が円滑に活動するためには、受入・サポート体制の構築が重要となります。ぜひ、この手引きに掲載している「チェックリスト」を活用し、自らの地域の受入・サポート体制について点検してください。
また、総務省では、平成 27 年度及び平成 28 年度に「地域おこし協力隊受入態勢・サポート態勢モデル事業」として、地域おこし協力隊員が地域で効果的な活動が行えるよう、地方自治体が地域住民(世話役)、地域の NPO 法人や隊員 OB・OG 等と連携して、隊員の受入態勢や隊員へのサポート態勢の構築を行う地方自治体を支援するモデル調査研究事業を実施し、モデル事業により得られた成果について報告書としてとりまとめたところです。これらの報告書は総務省ホームページに掲載しています。この報告書や他の地方自治体の取組も参考にしながら、受入・サポート体制の構築に努めてください。
●平成 27 年度地域おこし協力隊受入態勢・サポート態勢モデル事業報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000414635.pdf
●平成 28 年度地域おこし協力隊受入態勢・サポート態勢モデル事業報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000479765.pdf
平成30年度特別交付税ベースの都道府県別の受入自治体一覧は総務省ホームページを参照してください。近隣の地方自治体を確認いただき、隊員同士又は自治体職員同士での情報交換等を積極的に行ってください。
また、総務省主催による自治体職員向け研修(ブロック推進会議)を例年5月~7月頃に全国 10 ブロックで開催しています。既に隊員を受け入れている地方自治体はもちろん、受入れを検討している自治体職員の方も必ず参加するようにしてください。
●平成 30 年度設置状況
http://www.soumu.go.jp/main_content/000608068.pdf
総務省が主催する隊員向けの研修会の内容、申込み方法等については、随時、各都道府県地域おこし協力隊担当課を通じて受入自治体にお知らせします。このほか、都道府県単位、ブロック単位、個別の市町村単位等でも初任者研修、スキルアップ研修、任期終了後に向けた研修など、様々な内容の研修が実施されています。地域によっては、冬場の雪道運転講習など地域の実情に応じた研修を実施している例もあります。
地域おこし協力隊推進要綱の別紙により財政措置の対象経費が例示されています。総務省では、各地方自治体の取組実績を事後的に調査の上、特別交付税の対象経費を算定しており、事前の申請・確認等の特段の行為を要するものではありません。
個別具体のケースについて対象の可否の判断に迷う場合には、まずは各受入自治体において地域おこし協力隊担当課のほか財政担当課も含めて検討を行い、その検討結果及び見解を付した上で、各都道府県又は総務省地域自立応援課に問い合わせてください。
【必要経費の例】
①地域おこし協力隊員の活動に要する経費
・報償費等
・住居、活動用車両の借上費
・活動旅費等移動に要する経費
・作業道具・消耗品等に要する経費
・関係者間の調整・意見交換会等に要する事務的な経費
・隊員の研修受講に要する経費
・各種コーディネートを実施する NPO 法人等に対する委託費(隊員の生活費等は対象外)
・地域住民との交流や地域おこしに資する取組に要する経費
・隊員の活動拠点整備(空き店舗改修など)に要する経費
・隊員の定住環境整備(空き家改修など)に要する経費
・定住に向けて必要となる研修・資格取得に要する経費(例:受講料、旅費、教材費等)
・定住に向けて必要となる活動に関する需用費(例:試作品の原材料費、消耗品費等)
②地域おこし協力隊員等の起業・事業承継に要する経費
・設備費、備品費、土地・建物賃借費
・法人登記に要する経費
・知的財産登録に要する経費
・マーケティングに要する経費
・技術指導受入れに要する経費
③-1地域おこし協力隊員の募集等に要する経費
・都市部における募集・PR 費
・現地説明会や試験的な地域おこし活動に要する経費(現地までの往復に要する参加者の旅費は除く)
・職員旅費
・各種コーディネートを実施する NPO 法人等に対する委託費
③-2「おためし地域おこし協力隊」に要する経費
・都市部における募集・PR 費
・地域協力活動の体験プログラムに要する経費(現地までの往復に要する参加者の旅費は除く)
・職員旅費・各種コーディネートを実施する NPO 法人等に対する委託費
等
平成 27 年度から、地域協力活動に不可欠であり専門性の高いスキルや経験を有する地域おこし協力隊員又は辺地等の著しく交通条件等の悪い不便な地域における地域協力活動に従事する隊員については 250 万円まで支給することが可能となりました。
この場合も、隊員1人あたりの財政措置の上限額は 400 万円となりますので、例えば、報償費を 250 万円とする場合には、その他の活動経費は 150 万円が上限となります。
平成 26 年度から、地域おこし協力隊の任期終了の日から起算して前1年以内又は任期終了の日から1年以内に地域おこし協力隊員としての活動地と同一市町村内で起業する者の起業に要する経費について、100 万円を上限に特別交付税による財政措置を講じています。さらに、平成 30 年度からは、地域おこし協力隊の任期終了の日から起算して前1年以内又は任期終了の日から1年以内に地域おこし協力隊員としての活動地と同一市町村内で事業を引き継ぐ者の事業承継に要する経費についても、同様の財政措置を講じています。
また、平成 28 年度からはふるさと納税の仕組みを活用して地域おこし協力隊員の起業を応援する「地域おこし協力隊クラウドファンディング官民連携事業」にも取り組んでいます。
●地域おこし協力隊・クラウドファンディングポータルサイト
https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/projects/index/
さらに、平成 27 年度には「地域おこし協力隊ビジネススタートアップモデル事業」、平成 28 年度からは「地域おこし協力隊ビジネスアワード事業」として、それぞれ商工団体や大学等との連携による隊員の起業支援に取り組む地方自治体を支援するモデル調査研究事業を実施し、モデル事業により得られた成果について報告書として取りまとめたところです。これらの報告書は総務省ホームページに掲載していますので参考としてください。
●平成 27 年度地域おこし協力隊ビジネススタートアップモデル事業報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000414634.pdf
●平成 28 年度地域おこし協力隊ビジネスアワード事業報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000479762.pdf
●平成 29 年度地域おこし協力隊ビジネスアワード事業活動報告会
http://www.soumu.go.jp/main_content/000548058.pdf
これらのほか、都道府県が実施する各種の起業支援や地域の金融機関からの融資なども活用できる場合があります。平成 31 年度からは、地域おこし協力隊の任期を終了し、地域おこし協力隊として活動した地域において新規開業しようとする者又は新規開業した者が必要とする設備資金(土地に係る資金を除く。)及び運転資金について、日本政策金融公庫国民生活事業の新規開業資金等の融資制度における貸付利率の引下げ(基準利率より 0.4%引下げ)を新たに実施します。
●日本政策金融公庫国民生活事業の新規開業資金
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
起業に関する相談や経営上の悩みの相談については、ワンストップ経営相談窓口として国が全国 47 都道府県に設置している「よろず支援拠点」を活用することができます。任期中、起業後、何度相談しても無料です。
●「よろず支援拠点」一覧
http://www.smrj.go.jp/yorozu/087939.html
また、中小事業者の未来をサポートするサイトとして国が「ミラサポ」という支援サイトを用意しています。情報収集・疑問解決の手段として手軽に活用することができます。
●未来の企業応援サイト「ミラサポ」
http://www.mirasapo.jp/
さらに、事業承継に関する様々な悩みの相談については、公的な相談窓口として国が全国 47 都道府県に設置している「事業引継ぎ支援センター」を活用することができます。また、一部の事業承継引継ぎ支援センターでは、後継者不在の小規模事業者と創業を志す個人起業家をマッチングする「後継者人材バンク事業」が行われています。
●事業引継ぎ支援センター
http://shoukei.smrj.go.jp/consultation/
「地域おこし協力隊員の活動に要する経費」において、必要経費の例として、「定住に向けて必要となる研修・資格取得等に要する経費」や「定住に向けて必要となる環境整備に要する経費」等が財政措置されています。定住の準備に向けて、当該措置を活用することができます。
また、総務省では、地方自治体が実施する移住体験、移住者に対する就職・住居支援等の移住・定住対策について、特別交付税措置を行っています。対象経費の例としては、「移住希望者等に対する情報発信に要する経費」や「移住体験の実施や受入地域における移住者の受入環境の整備に要する経費」等があります。当該措置の活用もご検討ください。
(参照)「地方自治体が実施する移住・定住対策の推進について(通知)」(平成 27 年 12 月 14 日付総行応第 379 号)
実施エリアについては、受入地域、受入自治体、地域協力活動に興味のある方の三者のマッチングを図る趣旨から、自らが隊員の受入れを行う地方自治体内で実施された場合に財政措置の対象とします。したがって、市町村で委嘱する隊員を募集する場合は、同一市町村内、都道府県で委嘱する隊員を募集する場合は、同一都道府県内となります。
平成 29 年4月1日から、地域おこし協力隊員が産前産後又は育児のために地域協力活動を中断する期間(以下「育児等に係る活動中断期間」という。)が生じた場合(すでに育児等に係る活動中断期間が生じている場合を含む。)、育児等に係る活動中断期間を除いた1年以上3年以下の期間を財政措置の対象となる期間とすることとしています。財政措置の対象となる期間から除く育児等に係る活動中断期間は、長1年間です。
受入自治体においては、隊員と十分相談の上で、活動中の出産、育児への対応を決定する必要があります。
(参照)「地域おこし協力隊員の育児等に係る活動中断期間の財政措置について」(平成 29 年3月 24 日事務連絡)
総務省では、地域おこし協力隊の活動、受入体制の整備等に関する地域おこし協力隊員や受入自治体の担当者からの電話や電子メールによる相談に一元的に対応するため、平成28年9月に「地域おこし協力隊サポートデスク」を開設しました。
隊員や受入自治体の担当者の方からの一般的な問い合わせ等に対応する相談員が「移住・交流情報ガーデン」に常駐しているほか、地域おこし協力隊経験者である専門相談員も配置し、自らの経験や知見を基に隊員からの専門的な相談にも対応しています。
また、女性隊員の皆さんから出産、育児等、個人的な相談も多く寄せられていることを踏まえ、平成 29 年1月からは新たに女性の相談員として、隊員 OG を追加配置しています。
●「地域おこし協力隊サポートデスク」ホームページ
https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi_report_cont/supportdesk/
総務省では、地域おこし協力隊の方やこれからなりたいと考えている方、受入自治体の方などの役に立つ情報を発信するため、平成 28 年 10 月に「総務省-地域おこし協力隊-」Facebook ページを開設しました。
総務省が主催する地域おこし協力隊に関する各種イベントや研修等の情報を随時発信するとともに、各地の隊員や隊員 OB・OG の方々の活動の様子も紹介しています。
●「総務省-地域おこし協力隊-」Facebook ページ
https://www.facebook.com/chiikiokoshikyouryokutai/