トップページ

3制度をフル活用して、
和気町(わけちょう)
「教育の町
『和気』」へ!

岡山県和気郡和気町は、地域おこし協力隊、地域おこし企業人、外部専門家の3制度を活用することで
教育を軸にしたまちづくりを進めました。

和気閑谷高校に配置し、学校に常駐させることで、キャリア教育や探究学習を通じた高校の魅力化を推進!

協力隊
企業人
専門家

 町内唯一の高校、和気(わけ)閑谷(しずたに)高校では、支援職員として地域おこし協力隊が高校に常駐しています。高校魅力化の軸となっている探究学習型のキャリア教育プログラム「閑谷學」は隊員がそれぞれの社会経験を生かして教員と共にプログラム設計をしています。隊員が地域とのパイプ役を担うことで、地域の行政・産業界と高校とが密接な関係を築くことができ、町ぐるみで生徒のキャリア形成を支援する体制ができました。

キャリア教育推進連携表彰(文部科学省・経済産業省)最優秀賞受賞!

放課後特別講座で21世紀型スキルや語学力、学力UP!

企業人
専門家

 地域おこし企業人や外部専門家が、放課後の学習支援を担当し、授業の補講や、それぞれの専門性を活かした特別講座を行っています。
 放課後の特別講座では、思考力・判断力・表現力、コミュニケーションなどのソフトスキル、いわゆる“21世紀型スキル”を育てる放課後特別講座「VRACKS(ブラックス)」や、英語・韓国語・中国語などの語学講座などが開設されています。

和気閑谷高校
大森さんからのコメント

 地域おこし企業人の古賀先生はとても生徒思いの先生です。検定や入試前には一人一人にあった補講をしてくださいます。私自身昨年度和気高の放課後の学習支援に通いそのことをとても痛感しました。英検前には私の苦手分野を分析してくださり合格へ導いてくださいました。また、三年生の先輩方を見ていて小論文や志願書、面接練習を古賀先生とたくさん行っていたことをよく覚えています。先輩方が次々と志望校へ合格している姿をみてとても凄いなと感じました。古賀先生がいてくれたことにより生徒は自分の目標を達成し、和気高にとっても勉強をしたいという生徒を増やすことができたのではないかと感じました。

和気閑谷高校卒業生
石田さんからのコメント

 私は和気閑谷高等学校で学んだからこそ岡山大学グローバル・ディスカバリー・プログラムの合格が勝ち取れたと思っています。大学ではアクティブラーニングベースの生徒が主体的に意見を言う講義をメインで受講していますが、放課後特別講座「VRACKS」で松見さんに教えていただいた21世紀型スキルが非常に生きています。
 放課後特別講座では、あるテーマに対して自分の意見をどのように持ち、考えれば良いかを学びました。通常の授業とは異なる体制で行われるこの講座では、生徒主体で考えることができ、自然と自分の意見を伝えることができました。また、自分の意見を的確に相手に伝える文章力も身につきました。
 以上の経験は大学での授業でとても役に立っています。学校外の方が学校に来ることで授業だけでは身に付けづらい主体性を身につけられたと私は思います。

無料で通える英語の公営塾や、全小中学校の英語特例校化も!

協力隊
専門家

 和気町のまちづくりの軸となっている「英語教育」でも、地域おこし協力隊をはじめとする外部人材が活躍しています。
 まず、地域おこし企業人制度を活用することで、学校での英語の授業時間数の増加や評価制度の確立を進め、町内全ての小中学校で文科省の英語特区校の認定を受けることができました。そのため、他の自治体と違い学習指導要領の枠を超えた独自のカリキュラムを組むことが可能になっています。また、英語力のある地域おこし協力隊が講師となった町営の無料公営塾を設置し、幼稚園から中学校まで切れ目なく英語が学べる教育環境をつくっています。
 それらの取り組みにより、和気町では、グローバルに考え、ローカルに活躍する子どもを育てています。

若い協力隊員に刺激され、高校生も街づくりに参加!

協力隊
専門家

 英語公営塾や高校魅力化に関わる中で生徒の年齢に近い、若い協力隊員は生徒からも人気でした。また、イングリッシュ・キャンプの運営や、和気町特産商品の開発に関わるような働きかけを高校生にしてくれたおかげで、今では高校生も街づくりの一端を担っています。

Adobe Connectでウクライナ、インドの生徒と異文化交流!

協力隊
専門家

Adobe Connectによる他国の子供たちとの交信に取り組んだことに対する感想

 地域おこし協力隊の提案により、Adobe Connectというweb会議ソフトウェアを活用し、他国の子供たちとの交流が気軽にできる環境が整いました。  ウクライナ、インドといった普段かかわることのない国の生徒と画面を通じてお互いに文化や学校生活などについて英語で会話し、貴重な異文化交流の機会となっています。画面越しでの対話ですが驚きを共有するなど実際の反応も見ることができ、生徒も楽しんで主体的に取り組んでいます。

和気町PRキャラクター「わけまろくん」

和気町
教育委員会からのコメント

 高校の教員または和気町の職員だけでなし得なかった部分を補うだけではなく、新しい成果を次々に生み出していただいています。とくに、閑谷學を構築することで、生徒が地域の人と関わり、また地域の特性や課題に興味を持つことも多くなっています。それだけではなく、教員・行政職員・地域の人々、関わる人それぞれが新しい気づきがあって、それぞれに改めて地域を思う気持ちが明確になることで、地域の教育力が向上していると感じています。
 地域おこし協力隊に加え、地域おこし企業人や外部専門家にも来てもらうことで、若い力と専門的な力の相乗効果が生まれると思います。期待していた結果が、思った以上にはやく、そして的確にもたらされるのではないでしょうか。

外部人材活用
インタビュー

私たちは、外から来て、中から和気を変えました!

中村 和馬さん

協力隊

東京都出身

塾講師、IT企業勤務を経て、地域おこし協力隊に。小・中学生を対象とした英語公営塾の運営・講師を中心に教育事業に携わり、任期終了後も、和気町の教育を盛り上げるべく活動中。

中村 和馬さん

協力隊

東京都出身

■具体的にどのような業務にあたっていましたか?

 町内の小・中学生を対象に、英語を中心とした学習や地域での活動を支援する公営塾の運営・講師及びその他様々な町の教育活動のサポートをおこないました。

■実際に活動してみて、どのように感じましたか?

 自分も地域の中に住み、様々な大人や子供と関わる中で教育活動を進めていくことは、「自分の子どものような子」を育てているような新鮮な感覚で、より自分事として活動に取り組むことができました。

■活動を通じて、どのような課題解決、目標に貢献されたと思いますか?

 学校外で様々な大人と関わりながら学ぶ場は、中山間地域に住む子供たちにとって貴重な場であり、町の教育環境の魅力化につながります。また、地域内外の若者を巻き込みながら事業を進める過程は、町の将来を担う人材の発掘・育成に貢献し、持続可能な発展を可能にすると考えます。

■今後、協力隊や企業人、外部専門家の受け入れを検討している自治体の方にメッセージをお願いします!

 地域おこし協力隊の動機や想いは、人によって千差万別です。対話を重ねながらお互いにとって良い方向を模索していく姿勢が何より重要だと思います。

江森 真矢子さん

協力隊

東京出身

私立学校の魅力づくり支援、(株)リクルートの教育専門誌の編集者を経て地域おこし協力隊に。岡山県立和気閑谷高校の魅力化を通した町の活性化をミッションに活動する傍ら、フリーランスの編集者兼ライターとして全国の地域・教育に関する事例を取材。

江森 真矢子さん

協力隊

東京出身

■具体的にどのような業務にあたっていましたか?

 和気閑谷高等学校の支援職員として、高校に配置されました。高校魅力化を通じた地域活性化をミッションとし、総合的な学習の時間「閑谷學」のカリキュラム開発、および学校の分掌業務(総務課、進路指導課など)を担当しました。
 それまでの仕事で得た、プロジェクト学習の設計・運営のスキルや、高校教員向けの教育専門誌編集者として得た知識や人脈を大いに生かすことができました。

■実際に活動してどのように感じましたか?

 新卒以来18 年間、学校教育に関わる仕事をしてきたので、学校教育に直接参画する機会に魅力を感じて地域おこし協力隊になりました。実際に学校にいる経験から得られたものは大きかったです。また、この経験が現在の仕事の幅を広げてくれています!

■活動を通じてどのような課題解決、目標に貢献しましたか?

 地域とのつながりを深め、教育の魅力化を図ることを通じて、在校生の高校生活の充実と、学校の評判向上に貢献できたと感じています。

■今後、協力隊や企業人、外部専門家の受け入れを検討している自治体の方にメッセージをお願いします!

 地域おこし協力隊は超法規的な制度であり、自治体の運用いかんで、協力隊員が成果を残せる/残せないは大きく変わります。任期終了後に向けたサポートや、制度の柔軟な運用など、成功している自治体の事例を研究して協力隊員が力を発揮できる環境を作ってください。

中西 真宏さん

企業人

岡山県出身

(株)ベネッセコーポレーションから派遣され、高校の進路指導の支援と無料のオンライン英会話塾のしくみを構築。現在の英語教育の町・和気の基礎を築く。

中西 真宏さん

企業人

岡山県出身

■具体的にどのような業務にあたっていましたか?

 大きく2つの業務にあたっていました。1つは和気閑谷高校の進路指導で、主に基礎学力向上や面接指導などに関わらせていただきました。もう1つは和気町が「教育のまち『和気』」となるための仕組み作りでした。具体的には「放課後学習」「英語公営塾」「オンライン英会話」の立ち上げと運営を行いました。
 当初は和気閑谷高校の仕事が中心でしたが、2年目以降は「教育のまち『和気』」に関わる仕事のウエイトが増えてきました。

■実際に活動してどのように感じましたか?

 和気閑谷高校の仕事は純粋に楽しかったです。企業では高校の先生と日々お話していて、大量のデータやアンケート結果を扱っていたので、指導現場の基礎知識はありました。当然、思い通りにいかないことも多かったですが、先生方や生徒達と、共に苦しんだり、喜んだりできた経験は貴重な財産となりました。
 一方、「教育のまち『和気』」に向けた仕組みづくりにあたっては、新しい事業を立ち上げていく際に、いわゆるヒト・モノ・カネの切実な問題に何度も直面しました。役場、教育委員会、小学校、中学校、商工会、地元企業の皆さんのご支援があり、何とかやり遂げることができた、というのが実感です。こちらは逆に新しい経験をさせてもらったと思っています。

■新しく来たばかりの頃、困難や戸惑ったことはありますか? それをどのように克服されましたか?

 困ったことはあまりなかったです(笑)外部から来た支援者というスタンスではなく、和気町の一員という気持ちで、関わる全員の方々とコミュニケーションをしっかり取るように意識していました。

■活動を通じてどのような課題解決、目標に貢献しましたか?

 和気町を活性させる、という一つの目標には微力ながら貢献できたと思っています。ただし、「導入期・成長期」は、地域おこし企業人など外部人材の強みを活かすことも重要ですが、「成熟期・転換期」を乗り越えるためには、高校及び町の力で継続する仕組み作りが必要と感じています。

■今後、協力隊や企業人、外部専門家の受け入れを検討している自治体の方にメッセージをお願いします!

 外部人材は万能ではありませんし、受入れる期間も決まっていますので、自治体のビジョンを実現するための課題や足りないことが明確になっていることが重要だと思います。そのような環境であれば、新たな発想や視点を提供してくれる貴重な人材として活躍してくれるはずです。

古賀 敢人さん

企業人

千葉県出身

5年間学習塾等で高校生を対象とした英語の指導に従事したのち、地域おこし企業人に。和気町では和気閑谷高校で「総合英語」と「異文化理解」を教師とチーム・ティーチングで担当。また、放課後の学習支援の一環で、校内公営塾を開講し、英語、韓国語、中国語の指導や、面接対策、小論文対策、学科試験対策など進学や就職指導とを行った。

古賀 敢人さん

企業人

千葉県出身

■具体的にどのような業務にあたっていましたか?

 主な業務として総合的な学習の時間「閑谷學」のカリキュラム開発を担当し、先生に向けた指導案の作成を行ったほか、自らゼミをもって生徒を指導しました。また、探究学習発表会などの企画及び運営もさせていただきました。
 その他、1年目には、教科「総合英語」と「異文化理解」を教員の先生と一緒にチーム・ティーチングさせていただきました。授業案の作成、授業補助プリント、定期テストの開発補助などをしました。2年目には、放課後の学習支援の一環で、希望する生徒を対象に英語、韓国語、中国語の指導や進学や就職指導として面接対策、小論文対策、学科試験対策も行いました。
 私は地域おこし企業人として和気町に出向するまで、5年間学習塾や企業のプログラムで高校生を対象とした英語の指導をしてまいりました。その経験により、クラス内における教科指導ははじめから不自由なくすることができました。また、これまで企業活動で求められた改善提案力を活かし、校内活動では、様々な新規提案をさせていただいたほか、問題がある場合は可能な限り多くの改善案を学校に提出させていただきました。

■新しく来たばかりの頃、困難や戸惑ったことはありますか? それをどのように克服されましたか?

(教科指導について)
 学校現場では、生徒の学習状況も異なり、学習塾のようにある程度学習到達度が同じ生徒を指導するのと違う指導法が求められました。教員の先生と連携して、各生徒の学ぶ意欲を保ちつつ、生徒の満足を最大まで高めつつも学習効果が出る学習コンテンツの作成を行うことに時間を要しました。
(学校と企業の違い)
 社会人として働く以上、大人としての職場マナーや教育モラルなどは大きく変わりませんでしたが、直接生徒指導する生徒の数が多く、また生徒の個人情報の取扱いなど、学校で定められたルールをしっかりと理解することが求められました。探究学習などでは外部との連携も多くありましたが、指導する生徒や教職員の方との連携も同時に必要となり、綿密なコミュニケーション力をもってスムーズな業務運営を心がけました。

■活動を通じて、どのような課題解決、目標に貢献されていると思いますか?

 和気町の過疎化による地域衰退の問題に対して、グローカルな視点をもって活動に取り組みました。
 地域の企業へのインターンシップの実施や大学及び企業への訪問調査など、生徒の探究学習のお手伝いをし、生徒が学校内にとどまらず、広く社会の現場を訪れ、人々と交流する機会を作ることに挑戦しました。
 同時に、国際交流イベントの運営責任者も担当し、和気閑谷高校生や和気町民が世界の人々との交流を通して、身近な生活の価値や課題について考える機会を設けました。また、地元のラジオの英語放送にも、生徒2名と一緒に出演し、英語を通して和気町と和気閑谷高校の魅力を発信することもできました。こうした国際交流活動に参加した生徒や町民が今でも、海外や和気町に興味を持って自分なりの活動をされていると聞き、とてもうれしく思います。

松見 敬彦さん

専門家

広島県出身

「高校魅力化プロジェクト」や、大阪府能勢町キャリア教育WGメンバー、大学推薦・AO入試指導に従事し、和気町へ。
 和気閑谷高校において、新しい学力観に基づく知識の応用力や、思考力・判断力・表現力、コミュニケーションなどの21世紀型スキルを育てる放課後特別講座「VRACKS(ブラックス)」の指導を担当。

松見 敬彦さん

専門家

広島県出身

■具体的にどのような業務にあたっていましたか?

 和気閑谷高校において、新しい学力観に基づく知識の応用力や、思考力・判断力・表現力、コミュニケーションなどのソフトスキル、いわゆる“21世紀型スキル”を育てる放課後特別講座「VRACKS(ブラックス)」の指導担当およびファシリテーターとしての業務を担当しました。身の周りのできごとや社会問題など「正解なき問い」を題材に、討論や協働などを通じて、自ら考えることや主体的な学習姿勢を育みました。自己分析を深めて自らの生き方や働き方を問う、キャリア教育的な要素も含んでいます。
 外部専門家として和気町に来て、上記のような能力が問われることが多い難関大学の推薦・AO入試対策講座の講師経験、およびフリーランスのライターとして培った文章表現力、対象者の想いを引き出すヒアリング能力が活きたと感じております。

■活動を通じて、どのような課題解決、目標に貢献されたと思いますか?

 単純な知識量を問う「勉強」だけでなく、答えのない問いに対し自ら「考える」力の育成に貢献できたと考えます。また放課後の特別講座で培った能力を大学推薦・AO入試にも活かすことを目標にしてきましたが、これにより国公立等の難関大を含む合格実績という成果も出ました。単純にそれのみを学校の価値とすることはできませんが、大学進学力という点において、同校の対外的なブランド構築にも意義があったと感じます。

■新しく来たばかりの頃、困難や戸惑ったことはありますか?それをどのように克服されましたか?

 「新しい学力」の意義や必要性を子供たちに理解してもらうことに苦労しました。いくら「これからの社会で必要だから」と言っても、それは子どもたちの感覚では遠い未来のことに感じてしまい、緊急性や当事者意識を持ちにくいためです。そこで当講座ではできる限り子どもたちの実生活に即したテーマを取り上げ、冗談なども交えながら「ゲーム感覚で参加できる」ことから始め、徐々にテーマの難易度や深度をハイレベルなものにしていきました。例えば最初は「自らの小遣いを現在の2倍にするには、どのように親と交渉するべきか」「100円のコーラを1000円で売るには?」といったものから始め、後半では「労働の対価と、経済社会におけるお金の関係」といった内容にも踏み込みました。
 また、子どもたちの「やらされ感」をなくし講座へのエンゲージメントを高めるため、講座名「VRACKS」を生徒が発案・討議によって決定するなどの仕掛けも行いました。

その他の活動事例