鹿児島県日置市は、美山地区公民館に地域おこし協力隊を配置することで、
美山地区の地域活性化に取り組みました。
地域おこし協力隊だからこそ出来た公民館の活用とは?
公民館配置の地域おこし協力隊だからこそ、ものづくりの里(
元公民館長
石川みどりさんからのコメント
日置市の美山地区は長年、年配者の力が強く、若い人が自分の意見をなかなか言えない雰囲気がありましたが、吉村さんに入ってもらうことで、失敗を恐れずチャレンジしていく体制ができました。いつの時代も地域を変えるのは『よそ者・ばか者・わか者』ですね。
公民館や公民館の軒先を会場に開催している「美山の朝マルシェ」は、薩摩焼を中心とした”ものづくりの里”美山地域の、ゆるやかな雰囲気で開催しているマルシェです。
地域おこし協力隊の就任直後からこの美山マルシェの運営を地域から引き継ぎ、課題であったスタッフの確保を、地域外から大学生を含むボランティアスタッフを募集したり、スタッフが楽しんで運営し、継続してイベントを手伝いたくなるような環境づくりをしたりすることで解決しました。また、地元の農家や飲食店とつながって出店を呼び掛けたり、SNSを使って域外に広報したりすることで、美山マルシェの活性化に取り組みました。
それらの取り組みによって、地域おこし協力隊の任期中の3年間で延べ25回の開催、年間12,000人が来場するイベントに成長させました!今では、美山を代表するイベントのひとつとなっています。
美山では、ダイハツのLove Localプロジェクトとコラボした、公民館をゴールに美山の様々な場所を回ってもらう観光イベントをはじめ、企業とのコラボも積極的に行っています。企業と連携することで、地区外の方に向けた効果的な情報発信が可能となり、観光客や交流人口の増加につながりました。
また、団体客を受け入れられる飲食店が美山には無いため、イベントや視察の受け入れの際には地元の飲食店と連携し、公民館を活用してランチの提供を行っています。
美山にはさまざまな主体が地域のために活動していましたが、ボランティアで活動していくということには限界があり、継続していくためには対価としてお金を稼ぐ仕組みを作る必要がありました。そこで、地域と観光の課題をビジネスで解決する会社として、地域おこし協力隊の就任2年目に「合同会社美山商店」を設立しました。美山に住む方や美山で働く方たちも参画し、イベント事業、ガイド事業、民泊仲介業など幅広く展開する、地域の総合商社となっています。
美山商店を拠点に協力隊の任期終了後も活動を継続できる環境が整ったことで、美山への安定した定住へとつながりました。任期中に協力隊として受けていた業務も、美山商店に移管されています。
吉村 佑太さん
吉村佑太さん
日置市が誇る薩摩焼の里・美山を、地域住民と連携しながら魅力ある観光地へと発展させることをミッションに、公民館を拠点として美山の情報発信や観光力向上など、さまざまな活動に取り組みました。
具体的には、美山地区の観光と地域コミュニティの連動に向けた観光案内所兼サロン的拠点の運営や、「美山の朝マルシェ」の企画・運営をしたり、視察の受け入れや、美山の歴史や文化を学んだ地域住民による観光ガイドの実施を行ったりしました。
その他、「美山商店」の起業や、企業と連携した観光イベントの実施、美山PR動画の作成、商品ブランディング、フリーペーパーの制作など、活動は多岐にわたっています。
ものづくりの里(薩摩焼発祥の地)での作り手や飲食業を営む方と自治会や地区公民館の活動を繋ぐ役割ができてきたことです。そのことはマルシェの活性化につながり、現在の美山マルシェは域外からも多くのお客さんを迎えています。
「1年目は地域の方と汗をかいて地域を知る。2年目は動く中で見つけた資源を磨く。3年目は退任後の定住に向けた動きを考える。」を、目標にしてきました。その目標に向けて、1年目はイベントの運営、2年目は美山商店を起業。3年目は退任後に向けた動きとして美山地区への定住を進めながら、将来の目標であるゲストハウス運営の勉強等を行いました。
隊員は、地域おこし協力隊という制度を活用し、人生をかけて活動をするため地方へ移ってきます。そのため、受入を検討している自治体では、協力隊としての3年間の任期中、隊員が地域協力活動を実施しながら、任期終了後も定住・定着してもらえるよう、受け入れ先のサポート体制や任用の制度づくりについてしっかりご検討いただく必要があります。また、行政担当者と隊員が随時協議しながら活動できるよう、関係性を構築していくことが重要だと思いました。
日置市
地域づくり課からのコメント
協力隊をサポートする人材など、受け入れ体制も整えた上で、「地域資源を活かし、地域の課題解決に繋げるには協力隊が必要」という地区公民館の提案により、公民館配置が実現しました。