文部科学省ロゴ
活躍する社会教育士
社会教育士チャンネル
広報ツールダウンロード
Q&A
トップへ戻る

社会教育主事講習・養成課程の体験記

社会教育主事養成課程について

高校生、大学の新入生にも履修をおすすめしたい!

望月 柾彦さん
立教大学文学部・キリスト教学科 4年

望月 柾彦さん

立教大学社会教育主事養成課程
(平成29年度~令和2年度)を履修

Q. 社会教育主事養成課程を履修しようと思ったきっかけや理由を教えてください。

 きっかけは、大学入学時の講座説明会でした。様々な講座の中で本課程についても説明を受け、社会教育主事という資格があるということを知りました。当時公務員を志望していた私は、将来のキャリア形成に役立つ資格なのではないかと考え、履修を決めました。
 それまで、「社会教育」という言葉自体知らなかったのですが、履修して社会教育を知れば知るほど、面白いと感じるようになりました。まず、教育というと学校教育の分野しか知らなかったのですが、社会教育は学校教育の画一的で成績評価をするというような教育のイメージと大きく異なるということに驚きました。社会教育は、個人個人の学びたいという想いを引き出し、豊かな創造性や学びの熱量を高めていくというような自由で創造的な教育分野であるというところが面白く、魅力だと考えています。

Q. 計24単位の各科目の4年間の履修スケジュール・時期を簡単に教えてください。

 基本的には4年間でバランスよく履修し、本課程以外の学習に負荷が生じないよう意識していました。ただ、科目によっては3年生以上しか履修できないものもあったため、1,2年生の時に修了までの学習計画を綿密に練りました。特に4年生になると就職活動や卒論執筆等の関係で多数の講義を受講したり、社会教育実習に参加したりすることは難しくなると予想できたため、3年生までに多くの科目を受講し終えるようにしました。社会教育実習には3年生で参加しました。

Q. 社会教育実習について、実習先や実習内容を教えてください。

 私の実習先は静岡市の清水区生涯学習交流館運営協議会でした。平成24年度から指定管理者として区内にある複数の生涯学習交流館の管理運営を行っている団体で、結果的に4つの交流館で実習をさせていただきました。実習内容は館によってさまざまで、廃棄図書・未返却図書の整理やポスターの貼り替えのような事務作業から、実施講座の見学兼補助、告知用ボードの作成等まで多岐にわたりました。

実習内容写真01
実習内容写真02

Q. 社会教育実習で学んだことを教えてください。

 私自身、実習に行くまで社会教育施設を利用する機会があまり無く、生涯学習交流館での実習を通して、「こんな魅力があったのか!」と驚くことが多かったです。社会教育施設がどれだけ地域のことを考えて様々な企画をしているかということや私たち大学生などの若い人も興味を持つような講座も多くあるということを初めて知りました。
 一方で、企画や講座の内容が魅力的だからこそ、その学びを届ける力に課題を感じました。「ここに来ているのは、この周辺に住む、『来られる人』だけなんだよね。」これはある生涯学習交流館の館長がおっしゃった言葉で、私の中で今も強く印象に残っています。当該地区は山の中にあり、広大且つ高齢者が多く、施設までの足が無い等の理由で訪れることが難しい方もいます。私はそんな現状を知り、どれだけ意義深い講座を開催しようと、それを求めているのに享受できないのでは、社会教育の本来の目的は達成されないのではないか、と感じました。この経験から、社会教育的活動の担い手は、講座等々の意味や質を高めることはもちろん、その豊かな学びをあまねく届けるためにはどのような方法・システムが効果的であるか考えていく必要があると私は学びました。

Q. 社会教育主事養成課程の授業の中で、どのようなことが学びになりましたか?

 社会教育の方法論だけでなく、各地方自治体が抱える課題やその解決策等に関する学習を通じ、これからの地域社会のあり方などについても広く学ぶことができました。
 また、自分たちで講座の企画立案を行い、実際にその講座を実施をするという機会が複数回設けられていたことで、企画する力やニーズへの傾聴力、コミュニケーション能力を養うことができたと感じています。どんなに自分たちが良いと思った企画でも、自分勝手に押し付けることになりかねず、企画の際は、周りの思いを聞き取り、その中から見出したニーズを企画に反映することが大切だと学びました。

Q. 社会教育主事養成課程で学んだことを大学卒業後、どのように活かしていきたいですか。

 私は大学卒業後、放送業界に就職します。就職活動の際に、自分の根っこには社会教育実習で感じた「学びたい人に学びを届けること」への問題意識がありました。そして、放送事業の「すべての人に豊かな学びを届けられる」という点に魅力を感じました。4月からは、放送事業の強みを活かし、社会教育的事業の更なる発展・推進に寄与し、「放送×社会教育」の新たなカタチを模索していきたいと考えています。
 社会教育の現場からは離れてしまいますが、養成課程で培った傾聴力や企画力を駆使し、人々の日々の暮らしを少しでも豊かにできるイベントやコンテンツの企画・発信していきたいと思っており、養成課程での学びを活かす場面は多くあると考えています。

Q. 受講を検討している高校生や大学生にメッセージをお願いします。

 社会教育主事養成課程は個人的にはすごく履修をおすすめしたいです。まず、課程自体の負担が少ないので、仮に社会教育主事を目指していない人でも、将来、自分の希望する進路で社会教育士の称号を名乗ることができるというメリットがあります。
 また、学校教育とは違う教育分野があるということを知ることだけでも、自分の人生にとってメリットがあると思うので、社会教育という分野を学ぶためだけでも履修する価値は十分にあると考えています。

社会教育主事講習について

学校の夏休み期間に1か月間集中して受講しました

大木 勝さん
埼玉県滑川町立滑川中学校 教諭

大木 勝さん

受講場所:
社会教育実践研究センター

受講期間:
令和2年7月27日~8月24日

Q. 現在のお仕事の内容やこれまでのご経歴について簡単に教えてください。

 現在は埼玉県滑川町立滑川中学校で教諭として数学の教科指導を中心に、サッカー部顧問、生徒指導担当として教育活動を行っています。また来年度の学校運営協議会設置及び地域学校協働活動の推進に向け準備に力を入れているところです。
 大学卒業後、埼玉県の私立高校に教諭として4年間勤務し、その後埼玉県教員として公立中学校の教諭となりました。2016年3月、当時勤務していた小鹿野町立両神中学校の閉校に携わり、地域と学校の繋がりの大切さや学校が地域の中でとても重要な存在であることを考えるきっかけとなりました。

大木さんの活動内容写真01

Q. 社会教育主事講習を受講したきっかけを教えてください。

 私が現在行っている教育活動である「学校教育」について、地域社会との関わりが少なく閉鎖的な印象を感じることがありました。「地域とともにある学校」として、教育活動を地域社会へ広げたり、地域社会から学校への繋がりを強くしたりするためには、どうすればよいのか考えていたとき、地域社会では「社会教育」が行われていることを知り、社会教育と学校教育の違いや関係等を深く知りたいと考えるようになりました。また、「社会教育」を学ぶ場として、「社会教育主事講習」受講経験者である所属校の校長から本講習を勧めて頂き、受講することになりました。

Q. 社会教育主事講習の受講の仕方(講習実施機関や受講場所、時期など)を教えてください。

 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター主催の令和2年度社会教育主事講習を令和2年7月27日から8月24日までの29日間で受講しました。講習の必修科目である全4科目を隔週に分けて実施し、5日間で1科目の講義が終了する日程でした。講習の中には、講義だけでなく事例研修やシンポジウム、事業計画を実際に作成する演習等がありました。会場は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定されていた現地研修がオンラインでの実施となってしまったため、全ての講習が東京上野の国立教育政策研究所社会教育実践研究センターでの受講でした。コロナウイルス感染対策のため毎日の検温や消毒、マスクの着用等が徹底された中、社会教育実践研究センターの所員の方々の配慮のおかげで、安心・安全に講習を行うことができました。

Q. お仕事と並行して受講されたと思いますが、仕事との両立に当たって、工夫されたことを教えてください。

 学期末の課業日から講習がスタートとなったため、授業については事前に授業の交換を行ったり、チームティーチングを組んでいる教員と内容に関する打ち合わせを行ったりして、特に授業に支障がないようにしました。クラス担任もしていたため、生徒の毎日の様子を学年職員との連絡の中で確認していました。講習が平日のみの実施であったので、休日は部活動に参加することができ、生徒との交流を通して気持ちをリフレッシュすることができました。仕事との両立に向けては、通知表等の学期末に関する準備を早めにしておくことに気を使いましたが、その他の部分は管理職の理解と同僚のサポートのおかげでうまく両立することができました。

大木さんの活動内容写真02

Q. 社会教育主事講習を受講されて実際どうでしたか?

 29日間の講習を通して、科目ごとの目的が明確であり、系統性を持って講習に取り組むことができたため、全ての科目が「社会教育」を学ぶ上で大変勉強になりました。
 最終科目の「社会教育演習」では、これまで学んできた講習をもとに、自分の所属する自治体の概要を調べ、社会教育計画の立案を行いました。地域の現状の課題や総合計画で重視されていることなどを考慮し、体系的で長期的な視点に立って政策や施策を作成することの大切さを感じました。
 講習科目の全てが今後の参考になるものでしたが、講習全体を通して最も印象に残ったことは、全国各地から集まる受講者とのコミュニケーションを通して、他県や学校以外の他団体の取組等を幅広く知ることができたことと、自分が所属している自治体のことをより深く知り、社会教育に携わることで学校と地域社会を繋げることができるとわかったことです。

Q. 社会教育主事講習を今後どう生かしていきたいですか?

 講習で学んだことを生かして、地域の子供たちを地域社会全体で育てる意識を持ち、「地域が好きな子供」「学校を見守り、協力してくれる地域」を目指し、学校と地域が連携・協働しての相互が充実し高め合える風土を作ることが目標です。そのために、学校を地域コミュニティの拠点として、人と人、人と社会を繋げる役割に力を入れていきたいです。具体的には、所属校の学校運営協議会を通して情報を収集・共有して、学校から地域へと発信し、子供や学校から積極的に地域と繋がる活動を充実させていきたいです。

大木さんの活動内容写真03

働きながらオンラインで6カ月かけて受講しました

山﨑 萌果さん
島根県益田市一般社団法人
豊かな暮らしラボラトリー(ユタラボ)

山﨑 萌果さん

受講場所:
島根大学

受講期間:
令和2年7月23日~令和3年1月24日

Q.現在のお仕事の内容やこれまでのご経歴について簡単に教えてください。

 2020年4月より、大阪府から島根県益田市に移住し、同時期に立ち上がった一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー(通称ユタラボ)で職員として働いています。私は主に高校連携業務を担当しており、教育魅力化コーディネーターとして、市内高校の探究学習の授業設計や、学校外の学びの場の設計運営などに携わっています。
 小さい頃から教員になることが夢で、大学では国際学部に所属しながら教員養成課程を履修しました。大学2年の夏から1年間フィンランドに留学したことがきっかけで、公教育以外の教育現場に興味を持つようになり、視察に来た益田市で「社会教育」という言葉に出会いました。教員ではない立場で子どもたちに関わることや、学校だけでない切り口から教育に関わる仕事に魅力を感じ、益田市に移住することを決めました。

山崎さんの活動内容写真01
山崎さんの活動内容写真02

Q. 社会教育主事講習を受講したきっかけを教えてください。

 これまでずっと学校教育のことを学んできたので、実際に社会教育に関わる仕事につくようになってから、『社会教育についてちゃんと学んでみたい』という思いが強くなりました。どうにか学ぶことができないかと思っていたタイミングで、知人から本講習のことを教えてもらいました。社会教育のことを体系立てて学べるだけでなく、文部科学省の認定する称号を名乗ることができることや、コーディネーターとしての知見などを先輩方から学べることを知り、申し込みを決めました。

Q. 社会教育主事講習の受講の仕方(講習実施機関や受講場所、時期など)を教えてください。

 私は、島根大学主催の講習を2020年7月〜2021年1月までの期間にオンラインで受講していました。当初、対面での集合研修が3回予定されていたのですが、コロナウイルス感染拡大防止の為、うち2回がオンライン実施となり、第3回のみ対面研修となりました。(しかし、それも山陰地域の受講生のみで、該当地域以外の受講生はオンラインでの実施でした。)オンライン授業は、基本自宅か職場からzoomを繋いで受講していました。

山崎さんの活動内容写真03

Q. お仕事と並行して受講されたと思いますが、仕事との両立に当たって、工夫されたことを教えてください。

 授業は基本平日19:30〜21:10で、週に1~2回程度の頻度での開講でした。益田市に来て、この仕事につき1年目ということもあったので、環境に慣れながら受講することは思っていた以上にハードでもありました。その中でも意識したことは、できるだけ自分の現場に紐づけて講義を聞くことや、実際に学んだ考え方や実践のヒントを現場に少しでも生かそうと試してみたことです。iPadに授業資料をダウンロードして、いつでもどこでも開いて見返すことができるようにしたことも良かったかなと思います。

山崎さんの活動内容写真04

Q. 社会教育主事講習を受講されて実際どうでしたか?

 本講習では、社会教育についての概論だけでなく、社会教育士として必要な3つの能力(マネジメント能力・ファシリテート能力・コーディネート能力)をつけるため、多様な実践者から、経験を踏まえた理論を学ぶことができます。社会教育に関わる仕事に就いて1年目の私にとって、必死に食らいついている目の前の現場を、少し俯瞰して理論的に考えてみることのできる時間はとても勉強になりました。また、全国各地のコーディネーターや学校教員、公民館職員など、立場も年代も幅広い方々と一緒に学ぶ環境でしたので、そんな方々との繋がりが得られたことも大きな価値でした。特に演習(ゼミ)の授業では、同じメンバーで半年間学びを深め合うことができ、講習後も「こんな実践をしたいと考えていて、ちょっと相談に乗ってくれない?」と気軽に連絡し合えるような関係性になれました。

山崎さんの活動内容写真05

Q. 社会教育主事講習を今後どう活かしていきたいですか。

 講習を通して、社会教育に関わる多様な視点を知ることができました。その学びを活かして、今後どんな学びの場を作る際にも、常に子どもたちのためだけでなく、関わる大人や、地域にとってもWINのあるような、三方良しを描けるよう常に想像力を働かせることを意識したいと思います。また、この講習で繋がることのできた方々とも繋がり続けながら共に高め合い、自分自身も学び続ける社会教育士でありたいです。

社会教育主事講習(新2科目のみの受講) について

ベテラン主事が新2科目を改めて受講したワケ

高橋 慎さん
北海道浦幌町教育委員会
参事/社会教育主事

高橋 慎さん

受講場所:
北海道立生涯学習推進センター
(十勝会場)

受講期間:
令和3年1月4日~1月31日

Q. 現在のお仕事の内容やこれまでのご経歴について簡単に教えてください。

 昭和60年4月より浦幌町教育委員会に勤務し、社会体育係(現中央公民館)となりました。当時は社会教育関係団体の活動が全盛期で、毎日多くの関係者が来館し事務作業ではなく会話を楽しむと共に、学び続けた毎日でした。
 昭和61年に職場からの勧めと理解をいただき、社会教育主事講習を受講、平成4年社会教育主事の発令と同時に、総合スポーツセンターにて社会体育団体と共に平成14年3月まで勤務、同年4月から現在の中央公民館で勤務をしております。

Q. 既に令和元年度以前の社会教育主事講習を受講されていますが、今回なぜ「社会教育経営論」と「生涯学習支援論」の新2科目を受講されたのでしょうか?

 日々接する町民の皆様のためにも、己の意識と意欲を掻き立てるためにも、社会教育主事として学び続けることが大切であると考えており、日頃から講習や研修会へは参加するよう心がけております。そのため、社会教育主事講習等規程の改正により「社会教育経営論」と「生涯学習支援論」の新2科目が追加されたことも、学ぶのに良い機会だと思い、受講することにしました。
 また、受講の目的としては、「社会教育経営論」や「生涯学習支援論」などの新2科目を学びたいということだけでなく、若い社会教育主事講習の受講者の方たちと交流したいという気持ちもありました。日々社会教育主事として取り組んでいる地域づくりや町おこしでは、当然、若い方と接する機会も多いです。若い方の視点を学ぶことはとても重要だと思っています。今回、一緒に講習を受講した方たちは、年齢も若く、私の方が経験年数は長かったのですが、私とはものの見方が異なり、若い方から刺激を受け、学ぶことが多かったです。
 「社会教育士」という称号が出来て、一生涯名乗れるというところも良い点だと思いました。社会教育主事は、教育委員会からの移動や定年退職をすれば名乗ることは出来ないので。私もあと2年で定年ですが、定年後も、引き続き「社会教育士」として長年の社会教育主事の経験を地域活動に活かしていきたいと思っています。

高橋さんの活動内容写真01

Q. 「社会教育経営論」と「生涯学習支援論」の2科目を実際に受講した感想を教えてください。

 「社会教育経営論」は「町づくりへのビジョンを持つこと」、私事に置き換えれば、日頃から心掛けている「浦幌町民憲章」を重視することの重要性を改めて意識する機会になりました。具体的には、1つ1つの活動や事業について、目標から達成状況そして評価まで見通しを持ちながら実施することや、それらの活動や事業における学習成果をその後につなげ、活用するためのマネジメントの知識と技術を習得することができました。
 特に、以前から自分でも、NPOや企業等と連携・協働することを意識的に取り組んできましたが、「社会教育経営論」の中でもその重要性について説明されていたのが印象に残っています。講習の中でNPOや企業で働く講師の方から、NPOや企業の視点を学べたことで、今後、より一層連携・協働しやすくなると思っています。また、ICTの活用方法も学べ、今後に生かしていきたいと思いました。町民の皆様の学びを支援するためのICTの活用はもちろんですが、特に、社会教育実践研究センターのHPなどインターネット上でも多くの情報から学べることが分かったので、今後積極的に情報を得ようと思いました。
 「生涯学習支援論」では、学習プログラムの設計と、参加型学習そしてファシリテーション技法についての多くの技法等を学ぶことができました。生涯発達から見た学習者の特性として各期別における課題と概要、長時間にわたる参加型学習とファシリテーション技法からは、演習を交えその技法を学ぶことができ、改めてその重要性を学ぶことができました。
 社会教育経営論も生涯学習支援論も、これまでやってきたことと比べて、真新しいことが加わったというようなことではないのですが、これまでやってきたことを体系化して、改めて重要なことを整理する機会になりました。
 また、昭和61年に受けた社会教育主事講習より講師のバリエーションがかなり豊かになったように感じました。民間の企業の方が講師になっているということも大きいと思いました。民間企業の方の持っている情報や情報収集術、そしてものの見方などを学ぶことが出来たことは大きいです。

Q. 今後、「社会教育士」としてどのように活動していきたいですか?

 「社会教育主事」から「社会教育士」へと称することで、この度学んだ成果を今後どの場面でそしてどの様に活かしていくかは、各々の事業を通して引き続き追求していきたいと思います。まず一つの手立てとしては、今回、講習の中でICTの活用について学んだので、コロナ禍における新たな取組として民間企業と連携して行った、ICTを活用した公民館講座の更なる充実に取り組んでいきたいと思います。また、そこから付随し公民館を中心とした、地域課題を解決できる小さな拠点となる「地域運営組織的」な活動基盤の整備と人づくりや地域づくり、NPOや民間企業等多様な連携と協働からなるまちづくり、更には企業等と連携・協働しながらの地域学校協働活動(本部)を推進し、地域の活性化と教育力向上を図っていく予定です。

高橋さんの活動内容写真02

養成課程を履修した主事が新2科目を受講したワケ

川口 絢未さん
八雲町教育委員会 社会教育主事

川口 絢未さん

受講場所:
北海道立生涯学習推進センター
(渡島会場)

受講期間:
令和3年1月4日~1月31日

Q. 現在のお仕事の内容やこれまでのご経歴について簡単に教えてください。

 大学で専門学部(日本文化)の勉強をする傍ら、社会教育主事養成課程を履修し任用資格を取得しました。卒業後は北海道の生涯学習を振興する財団法人に勤務し、その後、八雲町の社会教育主事採用試験を受け、現職(6年目)です。
 現在は公民館や町民センターといった社会教育施設の管理運営をしながら、様々な社会教育事業(青年対象がメイン)や、子ども会・文化団体などの社会教育関係団体の活動支援、また、学校教育課と共に小中一貫型コミュニティ・スクールの推進業務等を担当しています。

Q. 既に大学で令和元年度以前に社会教育主事養成課程を履修されていますが、今回なぜ「社会教育経営論」と「生涯学習支援論」の新2科目を受講されたのでしょうか?

 「生涯学習支援論」の中に「ファシリテーション」の文字を見つけたことがきっかけです。普段の仕事や研修でもファシリテーションを行う機会が多いですが、その技術に自信がなく、しかし、ノウハウについて学べる機会もなかなかないため受講したいと思いました。
 また、当町では教育推進計画の中に社会教育計画を位置付けて作成していますが、そもそもの計画の作り方について、その理論を勉強してきてはという上司からの勧めもあったことが、今回の受講を決めた理由です。
 私は大学で社会教育主事養成課程を履修し、社会教育主事の任用資格をとりましたが、当時は社教主事を目指していたわけではなく、せっかく受けていた講義も、「もっと真剣に勉強しておけばよかった!」と思うのが正直なところです。この仕事に就いているからこそ、改めて社会教育について勉強したいと思いましたし、「社会教育って何だ?」という気持ちのまま勉強していた学生時代と比べ、今の自分が講習を受講したら、そこには何が見えてくる(感じる)のかも楽しみでした。

Q. お仕事と並行して受講されたと思いますが、仕事との両立に当たって、工夫されたことを教えてください。

 不在中の業務を全面的にフォローして研修に送り出してくれた、職場の皆さんの協力に加え、北海道教育委員会の取組で、半数近い講座は職場からZoom受講できたことも助かりました。業務用パソコンを傍に置き、講習前後や休憩時間には普段の業務メールのチェック、決裁の確認等を並行して行えたことで、仕事に大きな穴をあけずに完走することができたと思います。また、Zoomではなく対面で行う講義についても、隣町にサテライト会場を設けていただいたことで、移動に大きな負担もなく受講することができました。

川口さんの活動内容写真01

Q. 「社会教育経営論」と「生涯学習支援論」の2科目を実際に受講した感想を教えてください。

 首長による町政に関する講義や、NPO・社会教育施設の方による社会教育と関連した取組の報告を聞き、これからの持続ある地域、住民主体のまちづくりを進めていくためには、今後いっそう外部機関(団体)との連携・協働が必要不可欠になっていくのだと学びました。また、社会教育行政はかくあるべき、というベースの話がありながらも、学習評価の在り方やそれに基づく計画の立て方なども新たに学ぶことができ、そうした意味で「社会教育を根本から経営していく」という「社会教育経営」の視点が自分の中で育まれたことが大きかったです。
 生涯学習支援論で学びたかった「ファシリテーションの実際」については、参加者の特性(実態)を理解し、そのときどきの反応に応じて「参加者といっしょにゴールまで併走していく」ということが大切なのだと、実践を通して学ぶことができました。そのために役立つ理論や手法を、専門分野の講師から「具体的に」学べたことが大きな収穫です。
 講習会場には現役の社教主事だけではなく、学校の先生の姿も見られました。学校現場から見た社会教育について、先生の率直な思いや学校の実態を聞くことができたこと、受講者同士が共に知恵やこれまでのノウハウを持ち寄り、手を動かしながら行うグループワークから学べたものも多く、参加して本当に良かったです。

Q. 今後、「社会教育士」としてどのように活動していきたいですか。

 その土地にきちんと根付いた社会教育があればこそ、地域づくりの実践が生まれていくことがわかりました。住民の目線で見れば、「特別、何か大変なことをしているわけではない…」ということも、活動が継続・発展していく秘訣であろうと思います。「自分にできる範囲のことを」「まちの未来のために」「自主的にできる」そんな住民をどれだけ増やすことができるか。講習の中で聞いた「教育(社会教育)は、人が変わることに賭けている。」という言葉が、まさにその通りだと思います。
 これからは、日ごろから様々な物事にアンテナを高く張り、地域内外の多様な主体(個人・企業・団体)と連携することのできる、プランナー、プロデューサー、アドバイザーとして、自分の中にたくさんの引き出しがある社会教育主事(社会教育士)を目指していきたいと思います。