学校体育・運動部活動

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン FAQ

 スポーツ庁が平成30年3月に策定・公表した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に関するQ&Aをまとめました。本ガイドラインに則った運動部活動の改革の参考として御活用下さい。御不明な点がございましたら、スポーツ庁までお問い合わせください。
 ※内容については、逐次、改定の可能性があります。(平成30年6月)

目次

Q1 運動部活動の課題、今回のガイドラインの策定の趣旨は何でしょうか。 
Q2 平日の活動時間を2時間程度、休養日を週2日以上設けること等が示されているのはなぜですか。 
Q3 こうした休養日等の基準を設けることによって、競技力の低下や、活動したい生徒の希望を抑えることにつながらないでしょうか。 
Q4 ガイドラインでは、高等学校も中学校と同じように平日2時間程度、休養日週2日以上等で行うことになるのでしょうか。 
Q5 私立学校も対象となるのでしょうか。 
Q6 どの競技種目の運動部も、ガイドラインが示す活動時間や休養日の基準に基づき活動すべきなのでしょうか。 
Q7 文化部活動についてもガイドラインの策定等の予定はあるのでしょうか。 
Q8 部活動は生徒全員が参加しないといけないのですか。 
Q9 生徒の多様なニーズに応じた部活動としては、例えばどのようなものがありますか。 
Q10 地域によって、運動部活動が置かれている状況は様々ですが、どのように運動部活動の取組を進めていく予定ですか。 
Q11 将来的に、学校の部活動は地域のスポーツ活動に移行していくのでしょうか。 
Q12 学校以外の活動はガイドラインが定める活動時間の枠外ということでしょうか。 
Q13 ガイドラインの取組を進めていく上で、保護者の理解・協力が必要なものとして主にどのようなことがありますか。 
Q14 スポーツ実施率向上という課題と、今回の運動部活動改革との関係をどのように考えるべきでしょうか。

Q1 運動部活動の課題、今回のガイドラインの策定の趣旨は何でしょうか。

 運動部活動については、顧問となる教師の長時間労働につながるとともに、教師に競技経験等がないために、生徒が望む専門的な指導ができない、生徒のスポーツニーズに必ずしも応えられていないこと等の課題があります。また、目先のいわゆる勝利至上主義のもと、大会等で勝つことのみを重視した、過度な練習は、生徒の心身のバランスのとれた発達を妨げるという問題があります。
 少子化等が進む今後において、生徒がスポーツに親しめる基盤として運動部活動を持続可能とするためには抜本的な改革に取り組む必要があることから、スポーツ庁では有識者会議における検討を経て、平成30年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定・公表しました。
 本ガイドラインは、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築する観点から、学校や学校の設置者、地方公共団体、スポーツ団体が取り組む内容を示しております。

Q2 平日の活動時間を2時間程度、休養日を週2日以上設けること等が示されているのはなぜですか。

 「スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について」  (平成29年12月18日 公益財団法人日本体育協会(※))では、「行き過ぎたスポーツ活動を行うことは、スポーツ外傷・障害やバーンアウトのリスクが高まり、体力・運動能力の向上につながらず、具体的には、休養日を少なくとも1週間に1~2日設けること、さらに、週当たりの活動時間における上限は、16時間未満とすることが望ましい」とされています。本ガイドラインでは、こうしたスポーツ医・科学の研究を踏まえて、活動時間等に関する基準を示しております。スポーツ医・科学に基づく適切な運動部活動の実施により、成長期にある生徒が、バランスの取れた生活を送るとともに、自らのニーズに合ったスポーツ活動を行うことが期待されます。
(※)団体名称を「公益財団法人日本スポーツ協会」に変更(平成30年4月1日)

Q3 こうした休養日等の基準を設けることによって、競技力の低下や、活動したい生徒の希望を抑えることにつながらないでしょうか。

 スポーツ医・科学の見地からは、トレーニング効果を得るには、適切な休養が必要であり、過度な練習はスポーツ障害等のリスクを高め、体力・運動能力の向上につながらないものです。運動部の顧問等(教師、部活動指導員、外部指導者)は、こうしたことを正しく理解した上で、生徒とコミュニケーションを十分に図り、技能や記録の向上等、生徒の目標達成に向けて、短時間で効果が得られ、生徒のニーズにあった活動を行うことが期待されます。
 今後、中央競技団体が策定する運動部活動の指導手引も活用する等して、科学的なトレーニングを導入した活動を進めること、さらに、スポーツ医・科学の見地に基づいた取組について、保護者の理解を頂くことも大切です。

Q4 ガイドラインでは、高等学校も中学校と同じように平日2時間程度、休養日週2日以上等で行うことになるのでしょうか。

  入学者選抜を経て進学した高校生は、中学生より心身が発達していること、中学校に比べて多様な教育が行われていることから、高校における取組について、「本ガイドラインを原則として適用」し、その際、「多様な教育が行われている点に留意する」こととしております。
 高校の運動部では、「地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で、最適に実施」すること、その際には、中学校との違いも考慮の上、過度な運動はスポーツ障害等の発生率が高くなることや体力・運動能力の向上につながらないことを踏まえ、生徒の発達の段階や競技レベルに応じて、できるだけ短時間で、効率的・効果的な活動をすることが求められます。

Q5 私立学校も対象となるのでしょうか。

 生徒に望ましいスポーツ環境を構築することを目指す本ガイドラインは、知・徳・体のバランスの取れた「生きる力」を育むこと、生徒がバランスのとれた心身の成長、学校生活を送ることができること、スポーツを楽しむことで運動習慣の確立等を図り、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成することを重視しています。こうした本ガイドラインの基本的な考え方は、学校の種類や設置者の違いにかかわらず該当するものであり、公立、国立、私立全てが対象となります。

Q6 どの競技種目の運動部も、ガイドラインが示す活動時間や休養日の基準に基づき活動すべきなのでしょうか。

 技能や記録の向上に向けては競技特性を踏まえたトレーニングを行うことが必要ですが、その内容は競技種目によって様々です。同時に、学業との両立ができるバランスの良い生活を送るという観点や、スポーツ障害等を避けるという観点からも、行き過ぎた練習が望ましくないことは全ての運動部に共通することです。
 前述の「スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について」(平成29年12月18日 公益財団法人日本体育協会(※)においては、研究等が競技レベルや活動場所を限定しているものではないことを踏まえて、「休養日を少なくとも1週間に1~2日設けること、さらに、週当たりの活動時間における上限は、16時間未満とすることが望ましい」とされております。 
 
今後、中央競技団体が策定する各競技種目の運動部活動の指導手引も活用して、競技特性を踏まえつつ、生徒の発達の段階や競技レベルに応じて、できるだけ短時間で、効率的・効果的な活動をすることが求められます。
(※)団体名称を「公益財団法人日本スポーツ協会」に変更(平成30年4月1日)

Q7 文化部活動についてもガイドラインの策定等の予定はあるのでしょうか。

  文化部活動については、文化庁において、「文化部活動の在り方に関する有識者会議(仮称)」を設置し、文化部活動の在り方に関して議論し、平成30年度末を目途に「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」を策定する予定です。
 なお、運動部活動のガイドラインの策定に当たり、文部科学省から学校の設置者等に発した通知(「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定及び運動部活動の適切な運営等に係る取組の徹底について(依頼)」(平成30年3月19日付け 29ス庁第649号))では、文化部活動について、ガイドラインの趣旨の他、「適切な運営のための体制の整備」、「適切な休養日等の設定」に関し、当面、文化部活動の特性を踏まえつつ、本ガイドラインに準じた取扱いを依頼しております。

Q8 部活動は生徒全員が参加しないといけないのですか。

 中学校、高等学校の学習指導要領の総則においては、部活動は、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」とあるように、同好の生徒の自主的・自発的な参加により行われるものです。 
 
こうした学習指導要領の趣旨を踏まえ、各学校においては、生徒の自主性を尊重し、部活動への参加を強いることがないよう、留意しなければなりません。

Q9 生徒の多様なニーズに応じた部活動としては、例えばどのようなものがありますか。

 生徒の1週間の総運動時間が男女ともに二極化の状況にあり、特に、中学生女子の約2割が60分未満となっております。また、生徒のスポーツニーズは、競技力の向上以外にも、友達と楽しめる、適度な頻度で行える等多様なものとなっています。
 こうしたことから、ガイドラインにおいては、生徒の多様なニーズに応じた活動を行うことができる運動部を設置することとしています。 
 
具体的な例としては、より多くの生徒の運動機会の創出が図られるよう、季節ごとに異なるスポーツを行う活動、競技志向でなくレクリエーション志向で行う活動、体力つくりを目的とした活動等、生徒が楽しく体を動かす習慣の形成に向けた動機付けとなるものが考えられます。また、競技種目ごとの運動部においても、競技力向上志向の生徒と当該競技種目を楽しみたい生徒が併存して活動するものも考えられます。

Q10 地域によって、運動部活動が置かれている状況は様々ですが、どのように運動部活動の取組を進めていく予定ですか。

 ガイドラインは、地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で運動部活動が最適に実施されることを目指すものです。例えば、複数校の生徒が拠点校の運動部に参加するといった合同部活動の取組を推進すること、地域の体育協会や競技団体その他のスポーツ団体が部活動指導員の任用・配置や運動部顧問等に対する研修を行う取組に協力すること、地域の総合型地域スポーツクラブ等が学校と連携し、生徒の運動部活動の受皿となっていくこと等が考えられます。 
 学校や地域の実態に応じて、こうした取組を地方公共団体、学校、スポーツ団体等が連携して進めることが望まれます。なお、文部科学省・スポーツ庁では、子供から大人までライフステージに応じて日常的にスポーツを楽しめる地域密着型のスポーツ環境整備に向け、総合型地域スポーツクラブの育成・推進を図っております。

Q11 将来的に、学校の部活動は地域のスポーツ活動に移行していくのでしょうか。

  ガイドラインは、生徒の視点に立った、学校の運動部活動改革の取組を示しています。しかし、今後さらに少子化が進むことから、ジュニア期のスポーツ環境の整備について、長期的には、従来の学校単位での活動から一定規模の地域単位での活動も視野に入れた体制の構築が求められます。
 このため、ガイドラインを踏まえた運動部活動改革の取組を行うとともに、地方公共団体においては、地域における生徒の人口動態等も含め、地域の実情に応じて、長期的に、これまでの学校単位の運動部活動に代わりうる生徒のスポーツ活動の機会の確保・充実方策を検討する必要があります。
 もとより、学校の部活動は、学校教育の一環として行われる意義を有するものであり、ガイドラインの趣旨は、その役割・機能を全面的・一律的に地域へ移行していこうとするものではありません。

Q12 学校以外の活動はガイドラインが定める活動時間の枠外ということでしょうか。

  ガイドラインが定めているのは、学校教育の一環として行う、学校の運動部活動についての活動時間等の基準であり、地域のスポーツクラブや競技団体によるスポーツ活動等は対象ではありません。
しかしながら、こうした地域のスポーツ活動や自宅でのトレーニング等においても、生徒の発達の段階や体力、技能の程度も考慮した、適切な質・量の活動が望まれます。
 また、こうした取組に向けて、生徒本人や保護者、指導者が、休養もトレーニングの一環である等、スポーツ医・科学に基づくスポーツ活動が重要という考えを共有することができるようにすることが大切です。スポーツ団体、学校、地方公共団体等においても、これらの関係者の理解と協力を促すことが求められます。

Q13 ガイドラインの取組を進めていく上で、保護者の理解・協力が必要なものとして主にどのようなことがありますか。

 子供の教育は学校だけで行われるものでなく、学校と地域・保護者がそれぞれの役割を果たし、互いに連携・協力して行うものです。家庭教育を担う保護者は、子供の学校外の生活において、学業だけでない多様な体験をさせ、家族の団らんを通じ、その健全な成長を促していくことが期待されます。運動部活動の時間が長くなる余り、週末や長期休業期間などにおける多様な体験の機会が失われることは好ましくありません。
 また、生徒にスポーツ障害やバーンアウトを生じさせるような、行き過ぎた運動部活動の背景・要因には、関係者の勝利至上主義の意識・価値観がある場合も見受けられます。保護者においても、目先の勝敗にとらわれて長時間の練習を行うことが子供のためにならないことを十分に理解することが必要です。

Q14 スポーツ実施率向上という課題と、今回の運動部活動改革との関係をどのように考えるべきでしょうか。

 国のスポーツ基本計画では、平成29年度で51.5%の成人のスポーツ実施率(週1回以上)を65%程度となることを目指しています。こうした目標の実現に向けて、発達段階の学校教育においては、体育の授業や運動部活動等を通じて、体を動かすことの楽しさを理解し、大人になってからのスポーツ実施率の向上につながる運動習慣を確立していくことが求められます。
 また、中学生の運動部活動の参加率は65%(平成28年度)である一方、運動部等に所属しない生徒も相当数います。こうした生徒が考える、運動部に参加する条件は「好きな、興味のある運動やスポーツを行うことができる」「友達と楽しめる」「自分のペースで行うことができる」等が上位になっています。このように、既存の運動部活動は、必ずしも生徒の潜在的なスポーツニーズに応えられていません。
 生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育む基盤の充実、ひいては、様々な世代を通じたスポーツ実施率の向上に向けても、生徒の多様なニーズに応じて、スポーツを楽しめる環境整備を進めるという視点に立った、運動部活動改革を進めることが求められます。


お問合せ先

スポーツ庁政策課学校体育室

メールアドレス:staiiku@mext.go.jp

(スポーツ庁政策課学校体育室)

-- 登録:平成30年06月 --