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参考資料4

国立大学等の施設整備を進めるにあたり配慮が必要な各種審議会答申等



1.   老朽化への対応
 
国立大学法人、公的研究機関等の施設の整備
   『1960年代から1970年代にかけて大量に整備されてきた国立大学法人等の施設の老朽化が深刻化しており、機能的な観点から新たな教育研究ニーズに対応できないだけでなく、耐震性や基幹設備の老朽化など安全性の観点からも問題があるため、国は、老朽施設の再生を最重要課題として位置付け、長期的な視点に立ち計画的な整備に向けて特段の予算措置を講じる。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P35)

既存施設の更新と高機能化の必要
   『平成17年度予算までの国立大学等の施設整備の中では、老朽化施設の改善が遅れていることが明らかになった。(中略)
 施設の老朽化は、教育研究の進展による機能の陳腐化などにより確実に進行することから、教育研究環境の悪化を避けるためにも緊急に対応が必要である。そして、老朽化施設の改善は、単に施設を新しくするのみならず、従来のスペースを活用しながら、より機能の高い利用を可能にする。(中略)20年先の教育方法や研究の在り方を見据えて、従来のスペースを新しい次元で利用できるようにすることが重要である。このような環境づくりが無ければ優秀な人材がますます国外へ流出していく恐れが高くなる。』
(日本学術会議学術体制常置委員会「大学等の研究環境の改善について」P10,11)

2.   地震防災等の対策
 
建築物の耐震診断及び耐震改修の目標の設定
   『住宅の耐震化及び多数の者が利用する建築物(注)の耐震化率について、現状の約七十五パーセントを、平成二十七年までに少なくとも九割にすることを目標とする』
  「多数の者が利用する建築物」:学校、病院、劇場、百貨店、事務所、老人ホーム等であって、階数が三以上、かつ、延べ面積が千平方メートル以上の建築物
(国土交通省告示第百八十四号「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」)

公共建築物等の耐震化
   『学校は避難所等として活用され、病院では災害による負傷者の治療が、国及び地方公共団体等の庁舎では被害情報収集や災害対策指示が行われるなど、多くの公共建築物等が災害時には応急活動の拠点として活用される。このため、平常時の利用者の安全確保だけでなく、災害時の拠点施設としての機能確保の観点からも公共建築物等の耐震性確保が求められるとの認識のもと、強力に公共建築物等の耐震化の促進に取り組む。』
(中央防災会議決定平成17年9月27日「建築物の耐震化緊急対策方針」)

3.   教育研究の基本的方向
 
(1) 人材養成機能の充実・強化
 
大学院に求められる人材養成機能
   『今後の大学院が担うべき人材養成機能は、1創造性豊かな優れた研究・開発能力を持つ研究者等の養成、2高度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人の養成、3確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員の養成、4知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成の四つに整理される。』
(中央教育審議会「新時代の大学院教育」P9)

若手教員の教育研究環境の改善
   『安全で効果的に教育研究に専念できる教育研究環境の整備に当たっては、計画的に施設・設備の充実に努めることが必要であり、外部資金等も拡張しつつ、国内外の優秀な学生や研究者を惹きつける魅力に富んだ世界水準の教育研究環境を実現していくことが望まれる。その際、若手教員の研究環境の改善を図り、大学院の教育研究機能の活性化を促進する観点では、博士課程学生、ポスドク、助教等の研究スペースの確保等、若手教員の活躍の場に配慮しつつ組織的な教育研究を展開していけるような施設マネジメントの取組が極めて重要となる。また、学内での共同利用等を積極的に進めるなど、既存施設・設備を効果的に活用するとともに大学の枠を超えた共同利用、重点配置等の視点も重要である。』
(中央教育審議会「新時代の大学院教育」P41,42)

若手研究者の自立支援
   『大学においては、若手研究者の活躍を一層促進するため、助教の確保と活躍の場の整備がなされることが望まれる。
 国は、このための環境整備(スタートアップ資金の提供、研究支援体制の充実、研究スペースの確保等)に組織的に取り組む大学等を支援するとともに、大学等の取組状況を組織に対する競争的な支援制度の審査の一指標とする。また、若手研究者が研究スペースを確保できるような大学の施設マネジメントを促進する。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P16)

若手研究者の育成
   『大学院学生、若手研究者の経済的支援と学内及び機関を超えた交流の推進を図るため、学生宿舎等の共同利用のための交流施設を確保するなど、生活面の環境整備も求められる。』
(科学技術・学術審議会学術分科会「研究の多様性を支える学術政策」P10,11)

国際競争力のある卓越した教育研究拠点の形成支援
   『国際的な場でリーダーシップを発揮できるなど世界水準の人材養成を行う教育研究拠点(中略)への重点的支援を行うに当たっては、国は、大学の教育研究活動に係る直接的な支援のみならず、これら世界最高水準の拠点に対する施設・設備の整備や拠点形成の国際化への対応、学生への経済支援の実施などの関連施策を併せて実施していくことも重要である。』
(中央教育審議会「新時代の大学院教育」P52,53)

大学における人材育成
   『各大学の学部段階では、それぞれの個性・特色を明確化し、教養教育の充実とともに教養教育と専門教育の有機的連携を確保した多様で質の高い教育の展開が期待される。その際、課題探求能力の育成を重視し、主専攻・副専攻を組み合わせた特色あるカリキュラムの構築や、実践との関わりから深く学ばせる教育方法の導入など、確実な基礎の上に広い視野と柔軟な思考力を培う教育が望まれる。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P19)

知の活用や社会還元を担う多様な人材の養成
   『我が国の技術基盤を支え高い専門能力を有する技術者は、我が国が高い付加価値を創造するものづくりや技術に立脚した持続的な発展を遂げていく上で、重要な役割を果たしている。(中略)
 大学、高等専門学校、専修学校等においては、将来のものづくり人材を含めた技術者養成のための実践的教育を進める。(中略)
 工業高校や高等専門学校等において地域の企業等と連携した取組を進める。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P21、22)

高等教育の全体規模
   『ユニバーサル段階の高等教育が真に内実を伴ったものとなるためのには、単に全体規模だけでなく分野水準の面においても、社会人等を含めた多様な学習者個々人の様々な需要に対して高等教育全体で適切に学習機会を提供するとともに、学生支援の充実等により学習環境を整えていくことが不可欠である。その意味でも、誰もがいつでも自らの選択により適切に学べる機会が整備された高等教育、すなわち、学習機会に着目した「ユニバーサル・アクセス」の実現が重要な課題である。』
 『今後の我が国において、個人が自己啓発を図り、より一層豊かで潤いのある人生を送ることを目指して、人々の多様な生涯学習需要は増大する傾向にあることから、社会人が高等教育機関で学ぶ機会もますます増大していくものと考えられ、この意味でも「ユニバーサル・アクセス」の実現が求められている。』
 『男女共同参画や少子高齢化の一層の進展等に伴い、女性や高齢者が就労する機会が一層増大することも予想される。高等教育機関は、人々の幅広い知的探求心や学習需要にこたえて、必要なときにいつでも学習できる環境と多様なメニューを提供することがますます求められる。』
(中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像」P9、10)

(2) 科学技術・学術研究の推進
 
基礎研究の推進
   『多様な知と革新をもたらす基礎研究については、一定の資源を確保して着実に進める。(中略)
 基礎研究には、人文・社会科学を含め、研究者の自由な発想に基づく研究と、政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究があり、それぞれ、意義を踏まえて推進する。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P11)

多様な学術研究の総合的な推進
   『今後、学術政策を推進していく上では、1研究の多様性の促進を図ること、2個々の研究者の持つ意欲・能力を最大限発揮できるようにすること、を基本的な方向とすることが必要である。そして、大学等と国がそれぞれの役割を果たし、支援・連携を図りつつ、多様な学術研究を総合的に推進していくことが求められる。』
(科学技術・学術審議会学術分科会「研究の多様性を支える学術政策」P4)

政策課題対応型研究開発における重点化
   『第2期基本計画において、国家的・社会的課題に対応した研究開発の中で特に重点を置き、優先的に資源を配分することとされたライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野については、(中略)引き続き基本計画においても、特に重点的に研究開発を推進すべき分野(「重点推進4分野」という。)とし、(中略)優先的に資源配分を行う。(中略)
 また、上記の重点推進4分野以外のエネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティアの4つの分野について、引き続き、国の存立にとって基盤的であり国として取り組むことが不可欠な研究開発課題を重視して研究開発を推進する分野(「推進4分野」という。)と位置付け、(中略)適切な資源配分を行う。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P12)

新興領域・融合領域への対応
   『新たな知の創造のために、既存の分野区分を越え課題解決に必要な研究者の知恵が自在に結集される研究開発を促進するなど、異分野間の知的な触発や融合を促す環境を整える必要がある。8つの分野別推進戦略を策定する際にも、これら新興領域・融合領域へ機動的に対応しイノベーションに適切につなげていくことに十分に配慮して進める。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P13)

研究情報基盤の整備
   『研究情報基盤は、研究活動に不可欠ないわばライフラインとしての性格を有しており、特に、大型コンピュータや高速ネットワークなどは最先端の情報通信技術や国際動向に常に先行して整備していく。(中略)
 研究情報の利用環境の高度化を図るため、最新の情報通信技術の導入を進めつつ、論文等の書誌情報と特許情報の統合検索システムの整備、論文誌等の収集・保存体制の強化、大学図書館・国立国会図書館等の機能強化や連携促進を進める。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P38、39)

国際的に魅力ある研究・生活環境の創出
   『我が国が国内外の優秀な研究人材を惹きつけるためには、我が国の研究環境を世界最高水準に発展させるとともに、制度面、運営面、あるいは研究者等の生活面も含め、真に開かれた環境を構築することが必要である。そのためには、まず、最先端の設備を備え、世界一線級の内外の研究者が共同研究を通じて切磋琢磨する国際的水準の研究教育施設の整備が必要である。さらに、このような場に学生も主体的に参加させて、適切な研究教育指導を行うことにより、高い効果が期待できる。また、高度な研究者等の養成や人材獲得をめぐる競争が激化する状況等に鑑み、世界の学生や研究者が競って我が国を目指すような国際競争力のある高度な人材養成の拠点整備を図る必要があり、このような組織的な取り組みを促進することも必要である。これらにより整備する拠点には併せて外国人研究者の利用できる宿舎を着実に確保するなど、生活面の環境整備も重要である。また、こうした拠点を、知的クラスターをはじめとする地域における科学技術振興の核として活用することも有効である。』
(科学技術・学術審議会国際化推進委員会「科学技術・学術分野における国際活動の戦略的推進について」P12)

新時代の高等教育と社会
   『大学は教育と研究を本来的な使命としているが、同時に、大学に期待される役割も変化しつつあり、現在においては、大学の社会貢献(地域社会・経済社会・国際社会等、広い意味での社会全体の発展への寄与)の重要性が強調されるようになってきている。当然のことながら、教育や研究それ自体が長期的観点からの社会貢献であるが、近年では、国際協力、公開講座や産学官連携等を通じた、より直接的な貢献も求められるようになっており、こうした社会貢献の役割を、言わば大学の「第三の使命」としてとらえていくべき時代となっているものと考えられる。』
(中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像」P4、5)

(3) 最先端医学・医療への対応
 
新しい診断・治療方法の開発
   『大学病院では、疾患の原因解明、新しい診断法と治療法の開発を中心に活発な研究活動が行われている。診断の面では感染症等の診断の迅速化、ME機器の利用による患者負担を軽減した検査方法等の分野で研究が進められ治療の面では、より安全・確実な手術方法や患者のQOL(注)を改善する内視鏡的手術等の新しい手術方法の開発、移植医療、新しい薬物療法等の分野で研究が進められている。』
  QOL: クォリティー・オブ・ライフすなわち「生活の質」の確保を重視して、全体的な日常生活動作能力を維持・回復させること。
(21世紀医学・医療懇談会「21世紀に向けた大学病院の在り方について(第3次報告)」P7)

医療人に対する研修・実習の機能の充実
   『大学病院は、医師・歯科医師の卒前教育を担っていることから、これとの継続性・一貫性を確保しつつ、その卒後臨床研修についても引き続き中心的役割を果たす必要がある。』
(21世紀医学・医療懇談会「21世紀に向けた大学病院の在り方について(第3次報告)」P4)

4.   システム改革への取組
 
国立大学法人、公的研究機関等の施設の整備
   『国立大学法人等は、全学的視点に立った施設運営・維持管理や弾力的・流動的スペースの確保等の施設マネジメント体制を一層強化するとともに、産業界・地方公共団体との連携強化、寄付・自己収入・長期借入金・PFI(民間資金等活用事業)の活用など、自助努力に基づいた新たな整備手法による施設整備を推進することが求められる。国は、国立大学法人等のこのような改革への取組を促進するために、必要な制度の見直しを行うとともに、国立大学法人等の取組を積極的に評価した上で、優先的な資源配分を行う。』
(「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)P35)


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