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第3のビジョン:「伸びうる能力」を伸ばしていくために

 将来の科学技術をリードしうる人材層を厚く育んでいくためには、「出る杭を打つ」文化から「長所を伸ばす」文化へと転換し、伸びうる能力を伸ばして、中堅層を厚く、ピークを高くしていくことが必要である。
 このため、個人の資質や才能を尊び、その能力を活性化し十分に伸長していく環境を築いていくことが不可欠であり、大学をはじめ各界が連携して、個人の能力を伸ばすための取組を積極的に進めていく必要がある。

 我が国においては、依然として悪しき平等主義が見受けられ、学協会をはじめとする科学者・技術者コミュニティにおいても、一部ではあるものの、エリート育成に対する偏見意識を捨てきれず、伸びうる能力を有する人材に対し、その能力を十分に伸長する環境を与えることを躊躇するような雰囲気が見受けられる。
 科学技術分野に限らず、個人が持つ資質や能力は当然に尊重されるべきものである。また、我が国の科学技術を振興していく上で、優れた人材を育成していくことは最重要の課題である。
 このことから、我が国の「出る杭を打つ」文化を「長所を伸ばす」文化へと転換し、科学技術の振興を担う人材の中堅層を厚く、ピークを高くしていくことができるよう、高等学校など初等中等教育の段階から、伸びうる資質を有するものを積極的に見出し、その能力を存分に活性化し伸長することができる環境を提供していく必要がある。

1. 「スーパーサイエンスハイスクール」事業の充実と高大接続の推進
 文部科学省が高等学校等を対象として公募により経費支援を行う事業「スーパーサイエンスハイスクール」については、たとえば、愛媛県立松山南高校と愛媛大学とが連携して充実した理数教育を実践し、その中で見出された優れた能力を持つ生徒をAO入試を経て大学に入学させる、という素晴らしい取組を行っていることが当懇談会で発表された。
 優秀な人材を育成する上で、このような高大接続の取組を拡大していくことは重要な課題であり、大学においては、たとえば、数学、化学、物理、生物学、情報等の国際科学オリンピック(国際数学オリンピック等)などの科学技術コンテストで入賞した生徒を、AO入試等で積極的に評価し受け入れていく等の取組も進めていくことが求められる。

2. 「国際科学技術コンテスト」の推進
 昨今、学協会等が協力して、「国際科学技術コンテスト」へ優秀な高校生を参加させる取組が進められている。国際コンテストへの参加に先立っては国内コンテストが行われているが、これら一連の取組は、甲子園を目指して野球に打ち込む高校生が後を絶たないように、子どもたちの科学技術分野に対する意欲や能力を伸長し、我が国の科学技術を支える人材の裾野を広げ、かつ、その広い基盤の上に、優れた人材を育てていくことができる、という点で大きな効果を有するものである。
 このため、学校においては、これらコンテストへの生徒の積極的な参加を促すとともに、教育関係者や学協会等が連携し、また産業界など各界とも協調を図って、「国際科学技術コンテスト」参加への取組を進め広げていくことが求められる。

 なお、人材育成の観点では、高等教育段階でのエリート教育の導入が必要との意見も懇談会では出されたが、高等教育段階での人材育成の重要性については、中央教育審議会や科学技術・学術審議会等でも審議されているところであることから、当懇談会では、特に、中等教育以前の段階の子どもたちの能力伸長の重要性に着目し議論を行ったことを付言しておく。

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