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2.科学技術理解増進活動の現状と課題

  (1) 科学技術理解増進活動の現状

 科学技術理解増進活動については、次に述べるほか、国の施策として参考資料3に示したような取組がこれまで行われてきている。

1 「科学技術に対する関心と基礎的素養を高める」ための取組
 平成16年の科学技術白書では、「科学技術と社会」が取り上げられた。白書においては、科学技術と個人の関わりが密接不可分になる中で、個人が科学技術に対してどう関わっていくかをそれぞれ判断しなければならない時代になっていくこと、このために、個人が科学技術に関心を持ち、自ら判断できるだけの知識を有することが必要となっていくことが示されている。総合科学技術会議においても、科学技術と社会の関係を重視した議論が行われており、国全体で、科学技術と社会の関係を重視する方向となってきている。
 また、この数年間、科学技術に触れる機会を増やし、関心や基礎的素養を高めるための動きが拡大している。たとえば、文部科学省における「科学技術・理科大好きプラン」の開始、国立科学博物館のリニューアル、日本科学未来館のオープンなどがあり、また、教育・学習活動の充実に向けた教員・科学者・技術者・企業の努力なども着実に広がりをみせてきている。特に、小学校・中学校・高等学校等と科学館・博物館との連携活動は珍しいものではなくなり、また、初等中等教育段階の学校教育に協力する科学者・技術者も増えてきている現状にある。

2 「科学技術をリードしうる人材層を厚く育む」ための取組
 我が国の科学技術をリードしうる人材の育成については、大学や学協会、行政、経済・産業界においても様々な議論が行われ、取組が進みつつある。そのうち特に、高校生を対象として文部科学省が実施している「スーパーサイエンスハイスクール」事業については、科学技術分野へ進学する生徒の増加、成績の向上などの成果が見受けられる学校も現れており、今後、このような取組を一層進めていく必要があることが、当懇談会の議論の中でも改めて実感された。
 また、近年、各分野の学協会が協力して、高校生を国際科学技術オリンピックに参加させる動きも活発化しつつあり、子どもたちの意欲を喚起し、優れた資質を有する者を早期に見出して、能力を伸長していくための環境作りが進みつつある。

  (2) 今後の課題
 科学技術理解増進活動は前述したような現状にあり、関係者の努力により意識喚起が行われ、少しずつ取組が進捗している状況にある。
 しかしながら、我が国においては、まだまだ、科学技術理解増進活動の意義や重要性が人々に十分に理解されておらず、他の先進諸国に比べて、取組が遅れている状況も見受けられる。
 今後の課題としては、科学技術理解増進活動に関する視点や取組を、科学技術活動の一環として「当然のこと」と位置づけ、関係者の認識を深めてこれを広く実行し、また同時に、人々の意識を一層喚起して参加を拡大させていく必要がある。
 特に、これまでの科学技術理解増進活動は、意識の高い個人の活動に支えられてきた面が多かったが、今後は、その質と量を充実させていくために、組織的・継続的に進めていくことが重要である。大学・研究機関の経営陣・教員・研究者、小学校・中学校・高等学校等の学校長・教員など、科学技術理解増進活動に関係の深い各位が、このことをよく認識し、協力して取組を進めていくことを期待する。

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