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5.海外において実施されている信頼性確認について

 米仏等の原子力利用主要国においては、国家安全保障や治安維持を第一義的な目的として、国家レベルでの包括的な信頼性確認制度を整備している。対象分野は国防や治安分野が中心であり、原子力分野に関してもそのような分野横断的な信頼性確認制度と同様の制度を整備している。ウェブサイト上で入手可能な各国の法令・規則といった公開情報、及び各国を訪問して実施した聞き取り調査等に基づいてとりまとめた信頼性確認の実施概要は以下のとおりである。
 米国では、大統領令に基づき、政府機関職員や防衛・エネルギー産業の従事者等に対する信頼性の確認を実施している。原子力分野関連では、原子力規制委員会(NRC)所管の原子力発電施設等において、当該施設に付き添い無しでアクセスすることが可能な従事者に対して個人情報を事業者に申告させるとともに、事業者に対してはその従事者の犯罪歴、金銭借入履歴、性格・人望等を別途調査することを義務付けている。その過程で、犯罪歴については、事業者によるFBI(連邦捜査局)といった政府当局への照会が行われる。分野横断的な制度が整備されているため、他の分野の信頼性確認によって一定基準を満たしている者は、原子力分野で改めて調査を受けなくてもよいとされている。
 英国の場合、首相声明に基づき、国家機密情報にアクセスする者や治安業務に従事する者、その他航空安全分野等において職に就こうとする者に対して、信頼性の確認を実施している。原子力分野においても同様の確認制度があり、原子力施設、核物質および機微情報にアクセスする者を対象に、公安情報や犯罪歴、金銭借入履歴の調査や、本人への面談、従前の雇用者・身元保証人との面談等を国が実施することになっている。
 ドイツでは、セキュリティ・スクリーニング法に基づき、安全性が侵害されやすい業務、生活または防衛上重要な施設での業務に就く者に対して、テロリスト関連情報や個人の犯罪歴、裁判歴、行政処分歴等に関する情報の照会により、国が信頼性を確認する。原子力分野においては、別途原子力法に規定されている手続きにより、放射性物質の取扱い施設および輸送等に従事する者を対象に、国が信頼性の確認を行っている。
 フランスにおいては、「治安に関する方針と綱領」に関する法律に基づき、1国家主権に関する任務遂行に参加する公的職業、2安全または防衛分野に関する公的または私的な職業、3制限区域への接近や危険物質・製品の使用等を行う職業に関して、政府が採用、任命、許可、同意または資格付与の行政決定を行うに当たり、当該者がその職務または任務の遂行にふさわしいか否かを確認するため、国家警察および国家憲兵隊が犯罪捜査情報等に基づいて信頼性の確認を行う制度が整備されている。原子力分野に関しても同法が適用されている。


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