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6.我が国における内部脅威者対策について

 我が国における内部脅威者対策について検討した結果は、以下のとおりである。

(1) 信頼性確認以外の内部脅威者対策について
 我が国における内部脅威者対策として検討してきた、物的防護、出入管理、人的管理の3項目は、単独でも一定の効果を期待することができるが、これらを組み合わせて実施することにより、より大きな効果が得られるものである。2.及び3.で述べたように、内部脅威者の行動類型や態様類型は多種多様であるが、これらの項目を組み合わせて実施することによって、色々なタイプの内部脅威者に対応した対策の実施が可能になる。
 また、今回検討した対策のうち、トゥーマン・ルールや、区域を防護上の重要性により細分化しての段階的な出入管理や、必要によりアクセス可能な者を限定することなどは、特に有効な追加的な対策であると考えられる。
 今般、核物質防護の強化を図るため、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律が改正され、設計基礎脅威(DBT)を用いた防護措置の実施が導入されることに伴い、これに対応するものとして、施設で保有する核物質の種類・量などに応じて、早急に実施されるべきものである。
(2) 信頼性確認について
 これまで、我が国における核物質防護上重要な区域への出入が可能な内部者に対する信頼性確認については、企業風土(企業への忠誠心、終身雇用、年功序列等)や企業への採用時の調査・審査事項(身元保証人制度、卒業学校の推薦等)により、一定の水準が維持されているものと考えられてきた。しかしながら、「はじめに」でも述べたように、核物質防護を取り巻く国際的な環境が厳しくなってきている。
 このような状況において、現行制度の下で、原子炉設置者等が保有する情報のみで信頼性確認を行うことの実効性や、原子炉設置者等以外の請負作業員等も含めた信頼性確認を行うことの実現性等について、引き続き慎重に検討することが必要である。
 一方、犯罪歴等を利用した信頼性確認方法については、必要な個人情報の入手やその照会が行われることについてプライバシー保護に係る問題があることから、その実施にあたり、国民の幅広い理解を得ることが大前提である。
 ここで、原子力利用主要国の現状に目を向けると、原子力分野や防衛分野などにおける分野横断的な信頼性確認制度が実施されている。我が国においても、国民の生命、身体、財産を保護するため、特に安全を確保しなければならない分野について犯罪歴等を利用した信頼性確認制度を創設することを目指すとすれば、信頼性確認のための脅威の排除に直結する個人情報を国が収集・管理し、それを各機関が活用する普遍的・分野横断的な制度が必要と考えられる。
 したがって、そのような犯罪歴等を用いた信頼性確認については、国民的な合意の必要性、法整備等の課題を踏まえ、どのような分野において実施するのかも含め、引き続き関係省庁間での慎重な検討が望まれる。

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