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4.内部脅威者対策

 内部脅威者に対する不法行為防止対策の態様として、物的防護、出入管理、人的管理が考えられ、それぞれ以下のような措置がある(別表参照)。実際には、これらを組み合わせて実施して、実効性を確保している。

(1)  物的防護とは、各種の侵入検知装置や監視カメラ、鍵など物理的な防護措置のことである。これについては、内部者の不審な時間帯の貯蔵庫等への入室や、本来枢要区域に入室する必要のない者の入室などの検知というようなものに効果がある。
(2)  出入管理とは、防護区域や周辺防護区域における持ち物チェックや、入域時の生体認証による本人確認、貯蔵庫など重要な区域に入出する際のトゥーマン・ルールなどの防護措置である。これについては、内部者に成りすまして防護区域に入ろうとする者の検知や、妨害破壊や盗取が目的であって、業務とは関係のない工具類の持込みの阻止、あるいは貯蔵庫から防護区域外への不法な核物質の持出しの検知又は防止などに効果がある
(3)  人的管理とは、組織内教育の実施、情報管理の徹底、内部通報制度の実施、普段の行動観察に基づく配置管理や、治安機関等の保有する個人情報を利用した信頼性確認などのことである。これらは、内部者が核物質防護の重要性を認知することや要注意人物の特定等の個人管理を実施することにより、内部者が内部脅威者になりうる予兆を事前に認知し、注意喚起するとともに、事前対策を検討することに効果がある。
 このうち、信頼性確認は、個人情報に基づいて、内部者のうち、内部脅威者になる可能性のある者を特定し、枢要区域へのアクセスを認めないなどの対策の実施に役立てるものである。ただし、信頼性確認の実施に関しては、プライバシー保護に係る問題があり、慎重に検討することが必要である。
 我が国においても、信頼性確認の実例として、警備業法、理学療法士及び作業療法士法及び国家公務員法などに、それぞれに必要な要件を満足しない場合は、免許を与えないあるいはその職に就けない等の規定がある。このうち、警備業法(参考参照)においては、ある条件に該当する者は、警備業を営めない、警備員になれないとしており、特に警備業を営むにあっては、都道府県公安委員会による条件の確認がなされている。

 これらの内部脅威者対策は、既に幅広く実施されているもの、原子炉設置者等によっては実施されているもの、これから実施すべきものがあるので、事業所の規模や対策の効果などを勘案し、適切に組み合わせて実施していくことが重要である。


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