14.日本文藝家協会

●該当ページおよび項目名

P.97〜第7章第1節 私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点について
P.110〜同3節 補償の必要性について
P.126〜同第5節 私的録音録画補償金制度のあり方について

●意見

 私的録音録画補償金制度は、さらに充実して維持されるべきである。
 (理由)私的録音録画補償金制度は、14年もの議論を経て平成4年に制定された、利用者(ユーザー)の利便を図り、同時に著作権者らの権利擁護のために制定された制度であるが、制定から15年を経て、驚異的な技術革新に伴うパソコンやiPod等の、権利者の権利を無視した機器が市場を席捲、補償金の対象となる機器の大幅な減少によって補償金額も漸減し、権利者の被る経済的損害が次第に大きくなっている。この被害拡大を辛うじて食い止めていたのが、地上デジタル放送における「コピー・1」であったが、総務省の「第4次中間答申:デジタルコンテンツの流通の促進に向けて」に「コピー・10」が盛り込まれたことによって事情は一変した。このまま「コピー・10」が導入されれば、映画DVDの販売に及ぼす被害は計り知れないものとなり、文芸家の被る損害は一気に増大する。ちなみに当協会で扱う映画原作使用料の実績で見れば、DVD使用料(約65パーセント)が劇場上映分の使用料(約30パーセント)を2倍以上と大きく上回っている。さらに私的録音録画小委員会において、私的録音録画補償金制度そのものの廃止まで俎上に上っているが、これは権利者の権利を全く無視した暴挙といういうしかない。技術革新の時代に合った「網」を録音・録画可能機器全体に掛け直し、私的録音録画補償金制度を持つ多くの諸外国並みに機器メーカーに補償金支払いを義務付けることを含めた、私的録音録画補償金制度の抜本的な見直しを図り、制度の更なる充実と維持を実現しなければ映像文化の担い手である権利者の損害を食い止めることはできない。こうした事態がこのまま進行すれば、いずれ利用者の利便性も大きく阻害されることになるのではないかということを一番に恐れる。

(以上)

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