5.日本放送協会

(1)97ページ〜99ページ「第7章 検討結果 第1節 私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点について」について

(意見)

 「知的財産推進計画2007」にも書かれているとおり「世界最先端のコンテンツ大国を実現する」ことが日本の大きな目標となっています。真の意味でのコンテンツ大国を実現するためには、コンテンツを尊重するとともに、創作に関与したクリエーターに適切な対価が支払われることが必要です。
 私的録音録画補償金は、現時点では著作権法で許された範囲でのユーザーの私的利用を確保しつつ創作に関与したクリエーターに適切な対価を確保するための有効な制度として機能しており、少なくとも当面は維持すべきであると考えます。

(2)110ページ〜122ページ「第7章 検討結果 第3節 補償の必要性について」及び126ページ〜142ページ「第5節 私的録音録画補償金制度のあり方について」について

(意見)

 「中間整理」でも示唆されているとおり、著作権保護技術の影響が私的録音録画補償金制度に何らかの影響を与えること、あるいは著作権保護技術の影響度を補償金に反映できるようにすべきであることは理解できます。
 ところで、デジタル放送における新しい著作権保護技術では、9回のコピーと1回のムーブを可能とすることとしました。これは、放送番組の不正な利用は抑止しつつ、視聴者にとって著作権法上許される範囲での私的録画の機会をできる限り確保するためのものです。したがって、デジタル放送からの録画も引き続き補償金の対象とするべきです。また、この変更は放送事業者や権利者だけで決めたものではなく、消費者や家電メーカーとともに十分な議論を行った上で決められたことにも留意する必要があります。
 なお、現在は新技術を用いた新たな録画機器・媒体はまだ私的録音補償金の対象として政令指定されていません。しかし、このまま指定されない状態が続きますと、今後新技術による録画機器が普及するに伴い実質的に補償金制度が空洞化するという懸念があります。補償金制度が廃止されない限り、著作権法の趣旨に則り、それら新しい機器・媒体を速やかに補償金の対象として政令指定するべきであると考えます。

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