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3 各国の状況について

第二部 −私的録音及び著作権法制度・運用全般について−

5 ヨーロッパ連合(EU)

(1)  EC理事会指令と補償金制度
   私的複製については、2001年の指令第5条bに規定されているが、これはEUの歴史上はじめて加盟国間で私的複製について共通の、ただし、最小限の調和を図るものである。
 EUの加盟国は、公正な補償についての考え方については合意している。この公正な補償という考え方は、これまで著作権分野で衡平な報酬(equitable remuneration)と呼ばれたものとは異なる側面を持っている。まず、技術的保護手段やDRMを考慮して適用しなければならない(指令第5条2項b参照)。そして、補償の適用状況を評価する際には、複製行為から生じる権利者への考えられる害(harm prejudice)が貴重な基準となる(指令の前文第35文参照)。

(2)  補償金制度の実態とEC指令の影響評価
   各国がどのような補償金制度をとっているかの研究を行ったが、結論として、加盟国間において課金対象となる製品、範囲、補償金額の決定方法等に相当な相違があることが明らかになった。

(3)  EC理事会指令の徹底実施へ向けてのロードマップ
   欧州委員会は、加盟国がこの指令を国レベルで実施していくことを求めている。このため、すべての加盟国が実施しなければならないが、現在フランスとスペインが実施できていない状況である。
 2006年より補償金制度の改革に着手し、そのロードマップとして欧州委員会がどう取り組むかについては、3つの選択肢が検討されているが、その中で、この指令をどのように解釈すればいいか、という指針を与える勧告を出すことが検討されており、この選択肢が最も実現性が高いのではないかと考えられている。

(4)  補償金制度とDRMについて
   DRMが補償金制度に代わるのかどうか、最終的な見解は出ていない。WIPOの会合において、技術的保護手段を積極的に利用するよう権利者に働きかけている、という動きもあるので、流れとしては、DRMが主流になり補償金制度は縮小していく、という方向に進めていきたいと考えている。

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