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(6) 演劇

 演劇公演の形態としては、主催の主体によって、劇場を有するような演劇興行事業者が行う劇場公演、劇団が行う劇団公演、企画制作事業者等が行うプロデュース公演、国や地方公共団体が主催する公演等があり、それぞれ主催者側と実演家等との間で出演契約が結ばれる。
 フリーの実演家の場合、契約が書面により行われることは少なく、口頭やスケジュール表、配役一覧(香盤表)等により契約内容を確認することがほとんどである上に、確認事項は仕事の内容及びスケジュール等が中心となっており、報酬の額や報酬の支払い方法、支払い時期等については確認されないケースも多く、契約内容が曖昧になりがちである。
 一方、劇団や事務所、プロダクション等に所属する実演家については、プロデュース公演等の際には、劇団等と主催者側で契約書を交わす例が増えてきているが、契約内容は主催者ごとに様々であり、また、主催者側から一方的に示されることが多い。
 また、舞台公演を中継やパッケージソフト化等の方法で利用することを考えた場合、例えば、舞台照明の手法が異なってくるなど、当該利用方法を予め想定した制作を行う必要があり、一部ではこれを積極的に進める劇団もあるようであるが、現在のところでは、公演の多くは二次的な利用を想定せずに行われている。このため、書面により契約が行われる場合であっても、二次的な利用やその場合の報酬の額等については、別途協議としている例が一般的である。実際、現代演劇に関わる実演家の年収に占める、著作権料及び著作隣接権料による報酬の割合は平均して0.7%に過ぎないという調査もある。
 なお、その他の問題点としては、依頼日からスケジュール等の詳細が確定するまでの期間が平均して約51日間と長いという問題、舞台出演に伴うけがの補償が不十分であるという問題がある。
 芸団協では、実演家が安心して創作活動ができる環境作りの一環として、舞台公演に限らず個別契約が結ばれにくい状況にかんがみ、制作者と出演者の間で、出演契約における基本的事項(制作者・出演者の所属事務所・出演者の義務、書面契約による出演依頼、スケジュールの変更、出演料の支払日等9項目)を定めた約款(案)を関係者に提案している。



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