ここからサイトの主なメニューです

(5) 出版

出版業界における契約については、書籍、雑誌、コミックといったジャンルごとにその態様が異なっている。

1 書籍
 書籍については、出版社と著作者との間で出版物ごとに個別に出版権設定契約を結ぶのが一般的である。なお、社団法人日本書籍出版協会では契約書のひな型を作成しているが、必ずしも統一的に用いられているわけではなく、出版社ごとにそれぞれ独自の様式が用いられている。

(参考)社団法人日本書籍出版協会作成契約書のひな型の主な条項
条項 内容
第1条(出版権の設定) 契約の種類:出版権設定契約
第5条(類似著作物の出版) 類似出版物、同一書名の出版物の出版禁止
第16条(著作権使用料及び支払方法・時期) 印税方式
※印税方式と一括払方式があるが、前者が一般的
第19条(複写) 複写権の管理を出版社に委託
第20条(電子的使用) 電子媒体による発行・公衆送信について出版社に優先権を認める。具体的条件は協議。
第21条(二次的使用) 二次的使用に関する処理を出版者に委任
第26条(契約の有効期間) 契約の有効期間を定める
※アンケートでは3年とする例が最も多い
第27条(契約の自動更新) 契約の自動更新、有効期間を定める
※アンケートでは有効期間は1年とする例が最も多い

2 雑誌
 一般雑誌については、継続出版の可能性が低く、出版権設定にはなじまないため、書面による出版権設定契約が結ばれることは少ない。主として学術・専門雑誌においては、執筆要項によって原稿料を含む契約内容を明示するとともに、個々の著作者への執筆依頼状を送付し、その承諾書を返送してもらうことによって、出版契約書の締結に代えている場合が多い。自然科学系のいわゆる論文誌においては、雑誌ごとに制定した投稿規定を当該誌に常時掲載し、論文の掲載条件について事前に了解することを前提に原稿を受け付けている。

3 コミック
 コミックについては、近年、二次利用の増加、著作者及び出版社双方の契約意識の向上、著作権法改正による貸与権の新設等を背景に、出版契約の締結割合は高まっているといえる。ただし、出版社によっては、漫画家との専属契約を結ぶことにより個々の著作物についての出版契約書に代えているケースもある。
 コミックは、雑誌に連載された後に単行本化されるケースがほとんどであり、通常、週刊誌の3カ月分の連載で単行本1冊になる。少なくとも単行本化されてはじめて、キャラクター使用やアニメ化等の二次利用の可能性が出てくるため、契約は雑誌連載時ではなく単行本化の際に結ばれるケースが多い。契約の方式としては、単行本の全巻について包括的に行う方式と、各巻ごとに行う方式とがある。
 二次利用については、単行本化に際しての出版権設定契約では出版社に優先権を与える旨のみを定めておき、条件等の詳細は具体的な案件ごとに改めて協議するのが一般的である。



前のページへ 次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ