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(2) 映画製作

 映画を製作する際には、基本的には、映画製作者とそれぞれ原作者、脚本家、監督、出演者、スタッフ(撮影、技術等)、テーマ音楽等(委嘱楽曲)の著作者等との間で、著作物等の利用に関する契約条件も含め個別に契約が結ばれる。
なお、以前は書面による契約が少なかったが、最近では書面による契約が増えつつあるようである。ただし、映画業界については、映画製作者の規模等によって組織的に契約実務をしているところとそうでないところがあり、全ての映画製作者において書面による契約が行われているわけではないようである。
 なお、特記すべき点は以下のとおりである。

1 俳優等の実演家との契約
 俳優等の実演家との契約については、映画製作者は、出演契約の際に実演家から録音・録画の許諾を得ているので、映画の二次利用については原則として実演家の権利が働かないことになっている(第91条第2項)。我が国の映画業界では、長年の慣行から、当該映画のビデオ化等の二次利用にあたって、実演家に追加の報酬が支払われることがほとんどなかった。しなしながら、最近における映画の二次利用の多様化や実演家への利益の還元等に関する議論を踏まえ、関係団体間で協議が行われた結果、二次利用に関する追加の報酬については柔軟に対応することとし、必要に応じ二次利用に関する事項についても予め契約書で定める方向で関係者の合意形成が行われつつあるようである。

2 使用音楽に関する契約
 映画の中で使用されるテーマ音楽や主題歌については、作詞家・作曲家に委嘱し当該映画用の曲を新たに創作する場合が多く、JASRAC(ジャスラック)の場合においては(1)1ウのなお書きのとおりであるが、実務的には、契約が書面で行われることは少ないのが現状のようである。
 なお、既存楽曲の利用については、ほとんどの場合、JASRAC(ジャスラック)と契約を行うこととなるが、特に洋楽の映画録音権については、JASRAC(ジャスラック)に許諾権限がない場合が多く、非一任型の管理となっているため、使用料の額を個々の音楽出版社と取り決めなければならない場合が多い。

3 二次利用
 ビデオ販売、テレビ放映、映像配信など、映画を二次利用する際には、映画製作者と二次利用者との間で、当該映画の利用許諾契約が行われる。また、原作、脚本、音楽等の著作物の利用に関する契約については、改めて当該著作者等と契約を行うことになるが、管理事業者が権利を管理している場合には、一般に使用料規程に基づく使用料額を支払うことにより利用が許諾されることになる。



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