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3.契約・利用ワーキングチームにおける検討結果について

個人/団体 意見
個人 4.契約・利用ワーキングチーム」(13〜14ページ)について

権利制限規定を無効にする契約について議論されたようですが,権利制限規定の範囲を超えた利用をしたい場合の契約についても議論が必要かと思います。報告書全体をとおして著作物の利用の機会を縮小するような方向の議論がされているように感じられますが,著作物の利用の機会を広げることは商業機会の拡大でもあり,著作権者にとっても有益であると思います。現状では著作権者の所在を確認するだけでも容易ではないと思います。著作権等管理事業者の制度や文化庁長官による裁定の制度だけではなく,少なくとも商用著作物については,著作物を利用しようとする者が,各著作物の著作権者(特に著作権が譲渡されている場合)とその連絡先を容易に調べられる仕組等に関する議論も必要ではないかと思います。
個人   1私的複製と契約との関係について」および「4.契約・利用ワーキングチーム」に対する意見
 契約・利用ワーキングチームで検討されたいわゆる契約によるオーバーライドに関する問題は実務・理論の両面においてきわめて重要なものであると考えるが、今回のWTにおける検討はきわめて不十分であり、かつ、結論も不適切であると考える。
 まず、検討の仕方として、「ソフトウェア契約、音楽配信契約、データベース契約、楽譜レンタル契約の4つを取り上げ、検討を行った。」とのことであるが、これら個別の契約条項についてオーバーライドの適否を検討することはともかく、それにより一般論を引き出そうとするのはきわめて乱暴、あるいは雑であるといわざるを得ない。

30条以下の権利制限規定のそれぞれについて、実例とともに、理論的な検討を深めるべきである。こうした感覚は多くの者が共有するところであろう。事実、法制問題小委員会(第6回)において、松田委員が、33条、39条ないし42条等々、公益性が高いものがあることを指摘し、そうした議論がなされなかったのかと問うているし、さらに、中山主査も、最終的に条文の検討しないのかと問うている。これに対してWT主査は、まだ多くの検討項目が残されているので、次に行こうと・・・などと釈明するのだが、論外である。時間が不足して検討を深められないというのであれば、このような重大問題に軽々に結論を出すべきではない。

特に、報告書でお32条(引用)や42条(裁判手続等における複製)がわざわざ例示され、これらについて「例えば、第32条の引用や第42条の裁判手続き等における複製の規定についても、これらをオーバーライドするあらゆる契約が一切無効であるとまでは言えず、この意味で強行規定ではないと考えられる。」などとされているが、深い検討をした後に結論を出すのであればともかく、上記のような状況でこのように結論することは、たとえばことさらに「引用禁止」などとするウェブサイトを運用する者など一般の者に対して誤ったメッセージを与え、表現活動に悪影響を与えることとなりかねず、きわめて不適切である。
個人  したがって、検討不足が明かなWTの結果に基づく今回の法制問題小委員会報告書案の該当部分は、検討不足が明かな現段階においては、有害であり、削除すべきである。
 さらに、検討不足か、またはWTのメンバー構成によるか、いずれに因する問題であるか、直ちに結論することはできないが、オーバーライドを認めるとする考え方、理由に当たる部分にも看過し得ない問題が存在する。

今回パブリックコメント手続に付されている法制問題小委員会報告書案からは除かれていが、参考資料として示されている元の契約・利用ワーキングチーム報告書によれば、基本的な考え方として、「ビジネスの観点から合理性が認められる限りにおいて、ユーザーに不当な条件を強いるものでない限り、基本的には、このような制限を無効とすべき理由がない」などとされているが、この理由はいったい何であるか、理解不能である。

法制問題小委員会は、既存のビジネスを保護するための方策を考えてやる場ではない。「大局的な観点から、あるいは体系的な視点から」の検討を求められているのである。それはワーキングチームにおける議論にも当然に当てはまるはずである。たとえば、ベルヌ条約にある、「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」との条件を援用するのであればともかく、立場上であれ、ビジネスの都合を強く主張するワーキングチーム員が存在するのであれば、そもそもの人選が不適切であったと考えざるを得ない。
 そうしたメンバーにはたとえば契約実態を聴取するための参考人として参加を求める程度が適当で、「大局的な観点から、あるいは体系的な視点から」の検討を行うべきワーキングチームのメンバーからは外すべきである。

 なお、法制問題小委員会における議論の一部はワーキングチームにおいて行われているが、ここでの議事や資料を非公開とすることは、行政の透明性の観点から、適当でないと考える。非公開の理由として、「各ワーキングチームは、作業の比重が少なくないこと、及びその検討結果が、原則として公開が予定されている法制問題小委員会における審議に付されることにかんがみ、必ずしも会議の開催という検討方法に限定せず、メーリングリストの活用等による機動的な検討ができるものとする。会議を開催する場合であっても、原則として、会議は非公開とするが、議事要旨を作成し、これを公開するものとする」とされているが、メーリングリストでの議論はともかく、会合で用いられた資料、議事録(または現在現在公開されているものより詳細に参加者の発言をメモした議事要旨)は、少なくともウェブサイトにおいて公開すべきである。
個人  意見提出者が契約・利用ワーキングチームに関連する行政文書の開示請求を申し出たところ、チーム員の個人情報にかかる部分以外は公開され、その内容を確認してみたところ、いずれも特に非公開とすべきような情報が含まれているようには見受けられない。ワーキングチームの性格から考えても、そのような場合はあるとしてもきわめて限定的であろう。会場手配の都合等々といった問題があって会議自体を公開できないとしても、繰り返しになるが、少なくとも、会議資料と議事録(または現在現在公開されているものより詳細に参加者の発言をメモした議事要旨)は公開すべきと考える。
個人 今回の資料を読ませていただいたところ、非常にしっかりとまとまっており、読み応えのある内容であると思いました。今後とも引き続き同様の高水準の報告書をまとめられることを期待いたします。

4.3)データベースについての契約条項例に関して、「このような条項については、不正競争の防止という観点から合理性があるものについては、基本的には、有効と考えられる。」と書かれています。
この内容については異論はありませんが、存在しない権利があたかも存在するかのような外観を装って、真意に添わない重大な錯誤をもたらすような欺罔を行うことによって、本来であれば必要ではない経済的利益を得るような行為は、「振り込め詐欺」と全く同一の法律構成により、詐欺罪の構成要件を十分に満たすということを確認しておくべきであると考えます。このような「カジュアル・コピーライト」とでも言うべき「つい気軽にやってしまう」不正な権利主張が、本件報告書によって正当であるかのような誤解を与えてはならないと考えます。この点、最終的な報告書で留意事項として明記していただければと思います。

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