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4.司法救済ワーキングチームにおける検討結果について

個人/団体 意見
JASRAC(ジャスラック) 15〜16ページ
5.司法救済ワーキングチーム
2.検討結果
第3段落

1特許法第101条第1号・第3号に対応する類型の間接侵害行為につき、著作権侵害を理由とする差止請求に服することとする立法をすることを支持する。
2特許権の間接侵害として問題にされる行為類型と著作権の間接侵害として問題にされる行為類型との間に相違があることを考慮すると、特許法101条1号・3号の類型の行為についてのみでなく、同条2号・4号の類型を含んだ他の類型の行為についても、一定の要件の下で著作権侵害を理由とする差止請求に服することとするよう立法すべきである。
3立法の方法論として複数の方式が考えられるが、著作権法113条の「侵害とみなす行為」に追加するよりも、上記12について「停止又は予防を請求することができる」として、同法112条に項を追加する等の修正の方法によるのが望ましい。

著作権の直接侵害者が多数存在する又はその特定が事実上困難であるため、直接侵害者に対する差止請求によって著作権侵害を防止し又は排除することは不可能に近いが、直接侵害行為への関与者(間接侵害者)に対する差止めを認めれば、著作権侵害を実効的に防止することができ、かつ間接侵害者とされた者に過大な負担をかけることもないという類型の著作権侵害行為が数多く現れている。
こうした事態に対処するため、裁判例は、著作物の利用主体(直接侵害者)を規範的に捉えてその範囲を一定程度広く認めることによって、又はこのような利用主体(直接侵害者)に当たらない場合においても、これに準ずる者に対する差止めを認めるという解釈論によって、合理的な解決を図り、著作権保護の国際的水準との調和を図る努力を続けてきた。

しかし、下級審裁判例の中には、明文がない限り、著作物の利用主体(直接侵害者)と性格付けることができない者を差止請求に服せしめることは解釈論としては無理であるから、上記のような合理的な解決を図るためには明確な立法を要するとの立場を採るものもある。
後者のような下級審裁判例が存することに鑑みると、著作権者及び著作物利用者の双方がそれぞれのビジネスを進める上での予測可能性を確保するという観点からして、具体的紛争が起きた場合の裁判例の集積に待つというだけでは十分でないのが今日の状況である。
JASRAC(ジャスラック) そこで、著作権者による差止請求に服する者として明文の規定をもって律するものと将来の裁判例の集積に委ねるものとの範囲を、立法措置によって一定程度明確にすることが望ましい。
その際、最重要であるのは、我が国の著作権法の認める著作権の保護水準が先進国における保護水準を下回るものと解される結果になることがないように立法措置を講ずることである。
このような見地に立ってみると、特許法101条1号・3号に対応する類型の行為につき、著作権者による差止請求に服することとするのは当然のことといってよい。

しかし、特許権の間接侵害として問題にされる行為類型と著作権の間接侵害として問題にされる行為類型との間に相違があることを考慮すると、特許法101条1号・3号の類型の行為についてのみでなく、同条2号・4号の類型を含んだ他の類型の行為についても、一定の要件の下で著作権侵害を理由とする差止請求に服することとするよう立法すべきである。
特許法101条1号・3号の類型の行為についてのみの立法措置をした結果、それ以外の類型の行為については差止請求に服することがないこととされたというような解釈が生じ、これまでに裁判例が形成してきた著作権の保護水準を後退させるようでは、冒頭に述べたような著作権の間接侵害が議論されるに至った現実の需要に応えるものではなく、本末転倒の立法となるおそれがある。
なお、立法の方法論として複数の方式が考えられるが、著作権法113条の「侵害とみなす行為」に追加するよりも、差止請求に服すべき著作権侵害行為としてどの範囲のものを明文をもって認めるかという観点から、同法112条に項を追加する等の修正の方法によるのが望ましいと考える。

15〜16ページ 5.司法救済ワーキングチーム 2.検討結果
第4段落

「司法救済に関するもう一つの検討項目である損害賠償・不当利得等」については、被害者の立証負担を軽減する見地から、法定賠償制度の早期創設を検討すべきである。

ファイル交換などネットワーク上における著作権侵害については、受信複製物の数量の特定が難しいため、114条1項又は3項に基づいて損害額を推定することは困難である。また、侵害者が「その侵害の行為により利益を受けて」いないために、同条2項を適用することもできない場合が多い。こうしたことから、被害者としては、事実上、114条の5の規定に基づく裁判所の職権による認定のみを頼みの綱とせざるを得ない状況である。
このように、被害者において損害額の立証をすることが困難である場合においても、著作権の保護を実効性のあるものとするため、早期に法定賠償制度を創設すべきである。
日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会 V.司法救済ワーキングチーム
15〜16ページ

間接侵害規定を著作権法にも明示的に立法することにより、適法な利用に間接的に寄与する行為を、直接侵害を拡張的に適用する判断から排除する実効性を上げる効果を期待することは必要であり、検討することに賛成する。ただし、特許は発明を保護しているものであり、発明を構成している複数の要件を分離して販売し一般消費者の所で組み立てた場合、販売者が直接侵害とならないという問題があること等を考慮して特許法101条1号・3号のような間接侵害規定が設けられている。著作物ではこのような場合は考えられず、発明とはその性格が異なるものであるので、その成立要件については、著作物の特徴を踏まえて慎重に検討いただきたい。
 なお、間接侵害規定は権利者及び利用者にとって影響が大きいものであり、概要がまとまった段階で改めて意見募集の機会を設けていただきたい。
社団法人電子情報技術産業協会 3.「5.司法救済ワーキングチーム(間接侵害)」に関する意見
 報告書案では、「特許法第101条第1号・第3号に対応するような間接侵害を何らかの形で著作権法上も認める」とあるが、「対応するような」ものがいかなるものであるのか、趣旨がわかりにくい。端折らず、趣旨を正確に記述頂きたい。
 仮に間接侵害にかかる規定を置くのであれば、適法な利用行為に使用されるもの(例えば、複製に用いる機器)が該当してしまうことや、関連の技術開発や市場を萎縮させてしまうことのないように、要件を限定的にすべきである。この要件の検討にあたっては関連の産業界の意見を充分に聴取して進めて頂きたい。
個人 6.2 「5.司法救済ワーキングチーム」について

諸外国の例を見るまでもなく、間接侵害の議論の前に幅広い範囲のフェアユースを明文規定で認め、間接侵害は現行の運用より弱める必要がある。
諸外国では、サーチエンジンのキャッシュやYouTubeによる動画配信などをはじめとして、インターネットを利用した各種サービスが公然と提供されており世界的な名声を博しビジネス的に成功した例も多いだけでなく、公益にも資するところがある。例えばYouTubeは、放送の公共性をインターネット技術によってより高めている。
しかし、わが国ではカラオケ法理が下級審において無定見に拡大解釈されており、録画ネットや選取見撮のようにインターネットを利用した放送もしくは放送類似サービスは著作権等の侵害と認定されてきた。

ただ、米国等で成功し定着したサービスがわが国に持ち込まれた場合は、そのような認定はない。
これはつまり、インターネットを活用した新たなサービスについて、米国等での成功と定着によりわが国でのフェアユース性を認めたということである。
しかしこれでは、わが国が米国等に先んじてインターネットを活用した新たなサービスを開拓しようとした場合、間接侵害をおそれるあまり技術開発の足かせとなることになる。

実際、単なるP2Pファイル交換システムであるwinnyの作者が著作権侵害の幇助で逮捕されたが、その結果、わが国でのP2Pファイル交換の研究はほぼ停止状態にあるし、ましてビジネス的な利用は絶望的である。
情報通信技術の可能性は単にP2Pファイル交換にとどまるものではなく、そのような将来の研究やビジネスの可能性を日本が世界に先駆けて実証するためには、間接侵害規定の導入の前に、著作権法に極めて幅広い形でフェアユース規定を導入すべきである。その結果、現行のカラオケ法理の下級審での運用よりも、間接侵害の認定をはるかに難しくすべきである。

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