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「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集に寄せられた御意見

※いただいた御意見は項目ごとに整理させていただいておりますが、原文のまま掲載しております。
項目 意見
1.権利制限の見直しについて
(7)その他  
(7)その他 著作権意識の向上と共に、権利制限規定は(権利者にとって)厳格に解釈すべきという理論を用いると、実際上の不都合が多々生じるようになってきているように感じられる。明確性の観点から個別的制限規定は必要であろうが、特に被営利利用との関係では、一般的なフェアユースのようなものも検討してよいのではないだろうか。営利利用については、許諾手続きが面倒とのいい分けは経済活動である以上成り立ちにくいが、そうでない場合にまで、要許諾・有償とするのは、利用が過度に萎縮されるおそれも否定できない。検討を強く要請したい。
また、現在の規定について政令委任する手法も機動性確保の観点からは必要であろうが、政令指定図書館などについて、実際に政令がどれだけ対応しているのかは疑問であり、行政側の意識改革も必要ではないだろうか。

同頁「審議の状況」で述べられている意見の趣旨に賛同します。記述にあるように技術の進展や利用環境の変化といった社会情勢の変化は急速で、これに迅速・柔軟に対応するために政令あるいはガイドラインなどへ委任するという運用は、実際的であり、その効果が見込まれるものと考えます。
一方、本審議経過における趣旨を考慮しますと、権利制限規定を機動的に運用できるよう法律そのものを改定することも検討の余地があるものと考えます。すなわち、現行の限定列挙方式の元で逐一権利制限規定を追加することの煩雑さ、社会情勢への迅速な対応の困難さを考えますと、現行の規定を活かしつつ、権利者の権利を不当に害することがないよう、認定要件(例えばベルヌ条約のスリーステップテスト等)を明確にした上で「その他一般的な権利制限規定」というものを補う検討を行う必要があると考えます。

権利制限については、個別列挙方式を続けるべきではなく、経済学による検討を踏まえ、ガイドライン策定等により柔軟に対処すべきである。
・理由:
デジタル・ネットワーク環境の整備充実は、利用者に、利便性の高い様々な利用態様を可能とした。こうした利用態様のうち、「著作者の正当な利益を不当に害しない」行為については適法化してほしいというのが、利用者の偽らざる心境である。
ところで、こうした利用態様に権利制限規定を設ける場合、我が国著作権法がこれまで同様に個別列挙方式の立法を重ねることは実際的ではないと思われる。というのも、この方式では、技術の進展によって新たな利用態様が出現する度に法改正を余儀なくされることになり、しかも、このような立法を続けた場合、法は国民の理解の及ばない長文かつ煩雑な規定と化すことが明らかである。
他方、いわゆる判例法の国ではない我が国において、フェアユース一般規定が馴染みにくいことは事実である。
著作権法が、新たな著作物やその利用態様の出現にあわせ権利制限規定を立法する方式が限界に達している一方、一般規定の導入も躊躇せざるを得ないとすれば、WIPOスリーステップテストの解釈に基づくガイドラインを策定し、企業のビジネス法務、司法の場、さらには消費者の判断基準となり得る指針を示す方向を目指すべきである。
指針の策定にあたり最も重要になる要素は、当該利用態様が「著作者の正当な利益を不当に害しないか否か」である。ここで言う「利益」に経済的利益が含まれることは明らかであることから、本要素の分析は必ず経済学の手法を踏まえるべきである。

【意見の概要】
「政令等への委任」には「一般的な原則に基づく包括的な公正利用」を法律に規定した上でなければ、行政の範囲を逸脱するので、そもそも行うことができない。
【意見】
「現在の著作権法は細かすぎる面もあり、すべてを法律に書き込むのではなく、社会情勢の急激な変化等にも迅速に対応できるように、技術的な事項については、積極的に政令等に委任することを考慮すべきである。」とあるが、そもそも権利制限について技術的な取り扱うをどのようにするべきであるのかは、立法によって方針を決定していなければ、行政の範囲を逸脱することになる。したがって、「一般的な原則に基づく包括的な公正利用」を法律上明記した上でなければ「政令等に委任することができない」と考えるべきである。



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