ここからサイトの主なメニューです

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集に寄せられた御意見

※いただいた御意見は項目ごとに整理させていただいておりますが、原文のまま掲載しております。
項目 意見
1.権利制限の見直しについて
(5)障害者福祉関係の権利制限について
1視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者に対し、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすることについて 視覚障害者情報提供施設等が社会的な弱者である視覚障害者向けの貸出しの用に供するため公表された録音図書の郵送代替手段として行う公衆送信については、情報通信技術によってもたらされた利益を供与する意味からも権利制限を認めてよいと考える。しかし、その対象は視覚障害者に限定されることを何らかの条件を付けて明確にすべきである。

「専ら視覚障害者に対し」という点が担保されるのであれば、認めるべきであるが、そうでなければ、権利者の側の負担が大きくなりすぎるように思われる。

1視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者に対し、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすること」、「2聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製をできるようにすることについて、また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信をできるようにすること」ならびに「3聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)をできるようにすること」について、障害者の特定とその範囲内の利用が担保できること、また現存のビジネスを侵害しないことが条件となるならば反対する理由はない。

録音図書はすでにデジタル化しています。許諾なして公衆送信ができるようになるとより利用が促進すると思います。そして、利用は視覚障害者に限定することなく、録音図書の利用対象者となるその他の読書に障害のある人たちへの送信も許諾なしでできるようにしてほしいと思います。一般の利用者と混同が問題視されているのであれば、区別する基準を設ければ乱用されることはないと思います。今までは、一般活字の本を読めない読みづらいという条件は同じであるにもかかわらず、「視覚障害者」と「視覚障害以外の障害者」で区別されていることがバリアだったのです。視覚障害者情報提供施設の利用者も視覚障害者に限定せずに広く他の読書障害者にも開放すればよいと思います。
なお、世界的なアクセシブルな情報技術の進化は、「視覚障害者のための録音図書」という域に留まらず、アナログの録音図書からデジタル録音図書(音だけのDAISYからアクセシブルな情報システム(マルチメディアDAISY、テキストと音と画像の同期が可能な図書)という方向で進んでいます。
DAISYに関連するページ
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/
http://www.rehab.go.jp/ri/event/200510DAISY_Sympo.html
DAISYは国際標準です。ぜひ新しい技術を考慮した形で障害者への情報提供を見ていただきたいと思います。日本はDAISY技術の開発では、初期の頃から関わってきた国なのです。しかし、せっかく新しい技術があっても、法律がバリアになっていたのでは、「誰もが情報にアクセスできる社会」を作ることはできません。誰もが情報にアクセスできる社会は、著作権者にとっても望ましい状態なのではないでしょうか。

「本件要望の趣旨に沿って権利制限を行う必要があるという意見が多かった」という審議の状況に即し、早期の法改正を希望する。

録音図書は、視覚障害者だけでなく、視覚には障害がないが文字の認知に障害のある「学習障害者」にとっても必要なものである。スウェーデンの国立録音点字図書館においては、録音図書の国際標準規格であるDAISY図書の利用者数の8割は学習障害者である。
学習障害者が録音図書を使用する機会を増やすことは、情報を得る機会が少ない彼らに学習の機会をもたらし、人材育成の面からも、公益的価値を有する。学習障害者に対し、公表された録音図書の公衆送信をできるようにするべきである。

「問題の所在」1及び4は、権利制限を行うことが必要であると考える。

「対象者が専ら視覚障害者に限定されることを条件に、本件要望の趣旨に沿って権利制限を行う必要があるという意見が多かった。」とのことだが、対象を視覚障害者に限定するのではなく、ディスレクシアや上肢障害など読書の手段として録音図書を利用している人も対象とするべきではないか。
活字資料を読むことができない、現状での録音図書の入手が大きな負担と言う意味では、ハンディは視覚障害者と同じである。

意見1
公表された録音と書が公衆送信できないことについての不便さは、(4)のe-mailによる添付ファイルを送れない事と共通の問題である。録音図書の複製は特定しやすく、その侵害の認定が容易であるから、障害者福祉以外の目的で使われたときには、事後救済がしやすい。とすれば、障害者の利便のためにこの権利制限を設定して、著作権者の許諾件を制限すべきである。

視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、郵送代替手段として行う公表された録音図書の公衆送信については、権利制限を認めることに反対しない。しかし、その対象は専ら視覚障害者に限定すべきである。また視覚障害者サービスが非営利であること、視覚障害者の範囲を明確にすることが条件である。

2聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製について
また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信について
また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信について
一方で、複製物の譲渡の範囲や公衆送信については、一定の歯止めが担保されなければ、権利者の側の負担が大きくなりすぎるように思われる。1とあわせて、立法的解決法が難しいように思われるが、クリアすべき問題と考える。

また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信をできるようにすることについて

2及び3については補償金の支払いを前提に権利制限を行うことが適当であると考える。

いわゆる「健聴者」であれば、ビデオ化された映像による著作物をその音声部分も含めて自由に鑑賞することができる。しかし、手話や字幕が付与されていない場合、聴覚障害者にとってその内容を十分にに理解したり鑑賞することは不可能である。
このことは公表された映像による著作物すべてに、あらかじめ手話や字幕が付与されていさえすれば生じない問題である。しかし現実問題として、手話や字幕付与のための労力やコストを考えたとき、商業ベースには乗りにくい側面がある。つまりここで要望されていることは、見方を変えるなら覚障害者情報提供施設がビデオ等の制作者に成り代わって、手話や字幕付与のための負担をしているということになる。このような行為に対して、映像による著作物の音声部分に限り権利制限をかけるという、便宜をはかるべきと考える。
その際、映像部分の権利処理に難があるとするならば、手話や字幕部分のみを別パッケージとして提供するような技術的システムの開発により、回避する方法があるのではなかろうか。

1視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者に対し、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすること」、「2聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製をできるようにすることについて、また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信をできるようにすること」ならびに「3聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)をできるようにすること」について、障害者の特定とその範囲内の利用が担保できること、また現存のビジネスを侵害しないことが条件となるならば反対する理由はない。

3聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)することについて また別件ですが、聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にも分かるように、翻案(要約等)することに関してですが、やはり学習障害のある人は短期記憶力に問題があるなどの問題のため、このような配慮がかなり有効に働く人がいると思います。視覚、聴覚両方からの刺激により、より確実に知識を増やしていくことができます。このことは先にも触れたように、人間として生きていく上で、このような問題を抱えた人たちにとっては重要な意味を持ちます。災害時には命にもかかわります。ですので障害者手帳や診断書などの証拠が必要になると思われますが、よろしくお願いします。

一方で、複製物の譲渡の範囲や公衆送信については、一定の歯止めが担保されなければ、権利者の側の負担が大きくなりすぎるように思われる。1とあわせて、立法的解決法が難しいように思われるが、クリアすべき問題と考える。

1視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者に対し、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすること」、「2聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製をできるようにすることについて、また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信をできるようにすること」ならびに「3聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)をできるようにすること」について、障害者の特定とその範囲内の利用が担保できること、また現存のビジネスを侵害しないことが条件となるならば反対する理由はない。

「教育・就労の場面や緊急災害情報等といった場面」での情報提供の重要性はすでに委員会内で話し合われている通り、非常に重要です。
全体としていろいろな立場の方の意見を聞いて、検討しようとしている様子が伺われる資料でした。今後も、今まで意見があまり取り上げられてこなかった情報文化を享受することができなかった人に特に注目しながら、情報を発信する側と受信する側の双方の権利を尊重し、双方の協力でより文化的に豊かな日本を創造していけるような基盤制度を作るためにご尽力いただければと思います。

聴覚障害者向けのテレビ番組や子ども向けのテレビニュース番組に対し、知的障害者や発達障害者等からのニーズのあることが知られている。これは、字幕が付与されたり、また字幕の漢字に振り仮名が振られたり、放送内容自体の平易化(難解な用語の言い換え等)によって、期せずして知的障害者や発達障害者等にもわかりやすいものになっているからだと考えられる。
本来、すべてのテレビ番組に字幕が付与されていくことが望ましいが、当面の代替措置として、専ら聴覚障害者向けに行われているリアルタイム字幕の対象として、知的障害者や発達障害者等を加え、さらに放送内容をわかりやすくするために翻案(要約等)をできるようにすべきである。
翻案の程度については、特にニュースに関しては知的障害者向けの新聞での例や、子ども向けのテレビニュース番組での例をもとにして、各放送局等でのガイドラインがあるようなので、基準を作成できるものと考える。
なお「発達障害」とは発達障害者支援法第二条に定める、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」のことである。

聞こえる者でもテレビの音声を切って見れば分かるが、映像を見るだけでは内容をつかむことはほとんどできない。もちろん聴覚障害者にとって、字幕・手話が入っていないと、内容をつかむことは非常に難しい。
私の知人の聴覚障害者も手話・字幕付きのビデオテープを借りて見ていると言うが、借りに行ってもなかなか新しいものは残っていない、とぼやいている。健聴者も古い資料ばかりでは役に立たないのと同じで、聴覚障害者も新しい情報を手に入れたいのだ。そのためには、早く字幕・手話を付けて、早く手に入れる手段を確立させる必要がある。
早急にこの要望を取り入れるべきだと考えます。

2及び3については補償金の支払いを前提に権利制限を行うことが適当であると考える。

4私的使用のための著作物の複製は、当該使用する者が複製できることとされているが、視覚障害者等の者は自ら複製することが不可能であるから、一定の条件を満たす第三者が点字、録音等による形式で複製することについて 現行法でも補助行為者であるならば、30条1項にあたるということができ、問題はないように思われる。ただし、現実問題として30条1項の規定ぶりが曖昧であり、紛争も生じていることからすれば、より積極的に例外を認めるべき必要も否定できない。

4私的使用のための著作物の複製は、当該使用する者が複製できることとされているが、視覚障害者等の者は自ら複製することが不可能であるから、一定の条件を満たす第三者が点字、録音等による形式で複製ができるようにすること」について、変換されたものを利用するのは障害者本人に限ること、また、当該変換行為が非営利・無償で行われることを条件とするならば反対する理由はない。

視覚障害者等が自ら所有する図書等を、点字、録音等の形式で第三者に複製してもらう行為は、そのままでは「読めない」図書を「読める」ようにする行為であって、いわば著作物を固定している媒体の「変換」行為であると考える。
そもそも読書の対象とする図書等が、あらかじめ視覚障害者等にも「読める」形式で提供されているのであれば、本来無用の行為である。視覚障害者等の負担軽減のためにも、「私的使用のための複製」の解釈の拡大による対応が可能であるなら是非ともそうすべきである。

「問題の所在」1及び4は、権利制限を行うことが必要であると考える。

文化庁のホームページの著作権Q&Aには「町のダビング業者に頼んで市販のDVDのコピーをしてもらう場合、自分で使うためであれば権利者に無断でできますか。」という質問に対して、「私的使用のための複製とは、利用者本人が家庭内等の閉鎖的な場所で行う著作物の複製を認めたものであり、質問のように、依頼者の個人使用が目的であっても、業者が行う複製には、この特例の適用はありません(第30条)。また、仮に業者の設置している複製機器をお客さん自身が操作して複製する場合においても、当分の間の暫定措置として認められている文献複写機を除いて、特例の適用はありません。」と答えています。
これを読んで、4を読めば、やはり「第三者が点字、録音等による形式で複製するには、権利者の許諾が必要です」という答えになってしまう。
現在、障害者関連での権利制限は、利用対象が視覚障害者で、その使用目的が貸し出しに限定した(譲渡・頒布を認めない)、点字図書館等政令で定めたかなり狭い(30数万の視覚障害者に対して全国で100ほどという少数の、それも資料費という予算措置のない、職員基準が施設長を含めて5人の)施設で行なわれる場合にしか認められていない。点字には譲渡権も頒布権もさらには出版権、公衆送信権まで制限されているが、残念ながら視覚障害の多くが点字を読めるわけではない。
特に高齢化時代の今日、まだ現役で活躍中の年配者が、病気や障害で本を読めなくなることは多々ある。審議の中でも、必要性認めると言うか、ある意味では、当然保障されるべきことという意見は、とても自然な発想である。文化庁の現行のQ&Aでは否定されかねないこの事態を、何とか早急に解決すべきである。
なお、「非営利目的かつ無報酬で行なわれる場合に限定すべき」という指摘があったようだが、これは、障害者を取り巻く現状に対して、あまりにも無頓着、あるいは驕れる者の発想としか言いようがない。「非営利目的」はまだ理解できるが、「無報酬」とは何事か。障害者の読書を保障するために、その人が読める形の変換する、それも著作者人格権を傷つけることのないように、かつ障害者が理解できるように正確に製作することは大変な労力と時間と技術が必要である。読みを調べるために図書館まで出かけるための交通費も必要である。本来なら著者や出版社等が障害を持つ人を排除しないような公表の仕方をして、活字と同じような価格で入手できるようにしていれば、障害者も購入することができ、資料製作は他の仕事や活動に時間を割くことのできるのである。「営利」というものにはそぐわない正確のものではあるが、介護保険で介護者に支払われるくらいの報酬はあってしかるべきではないか。そうでなければ、障害者の読書や学習等は量的にも質的にも保障され得ない。

「非営利目的かつ無報酬で行われる場合に限定すべき」との指摘があったとのことだが、点訳や音訳は決して簡単にできるものではない。それなりの時間と労力を必要とするものである。無報酬で間違いなく点訳や音訳をやってくれる人をどれだけまわりで見つけることができるだろうか。時間もお金も余裕がある人ならやってくれるかもしれないが、そのような人がそうそういるわけがない。
音訳は、教科書を音読するのとは訳が違う。図や写真も視覚障害者に分かるよう読まなくてはならないし、専門用語や地名人名も間違って読まれては、困るのだ。
非営利であるということで図書館で行うにしても、無報酬ということなら給料をもらっている職員はだめということになってしまうし、図書館がそれなりの技術が要する仕事をただでやってくださいと募集したとして、どれだけの人が全国の図書館でただで働こうという人がいるだろうか。短期間小説を読みます、という程度ならできるという人ならまあいるだろう。しかし、音訳・点訳技術は積み重ねないとよい翻訳はできない。自分で本を買ったのに読んでもらったのは良いが、内容が誤読だらけでは困るのです。それは、資料を購入した視覚障害者等も困るし、著作権者側も誤読だらけのものでは決して喜ばしいことではないことではない。
長期間、責任をもって翻訳の仕事をただ働きしようと言う人がどれだけいるのかを考えてもらいたい。

全般 教育関係の利用における権利制限の拡大については、慎重に検討されるべきである。
教育目的という理由で、著作権者は著作権使用料を我慢しなさいということであるならば、学校で消費される電気代ガス代等の光熱費や文具用品代、さらには教師の給与も制限されるべきであるという論理も成り立つことになる。教育用の優れた教材を拡大再生産するためにも、著作権者の利益は守られるべきである。

何れの項目も、早期に要望が実現できるよう努力すべきである。問題となりうるケースを権利者側が具体的に指摘し、指摘が妥当であれば適当な解決策を施していくのが適当である。

当該権利制限規定を設けることは、障害者福祉に寄与するところ大と考えますので、これに賛同します。
また、障害者福祉に関する権利制限規定は、権利制限行為を個別に確定させる方法だけでは、迂遠であったり空隙を生ずる可能性もありますので、社会福祉の観点からその目的と利用範囲を明確にした上で、健常者と同様の利用環境をもたらす利用行為全般を権利制限の対象とすることを望みます。

「情報通信技術のもたらす利益を社会的弱者に広く及ぼす」という視点から公益性の高い行為を権利制限の対象とすることに賛同する。
今日の情報化社会においては様々な著作物がインターネット等を通じて情報として提供されており、IT機器を利用しての障害者や高齢者による情報の享受が健常者と格差なく行えるよう、引続き障害福祉関係の権利制限規定の新設(例えば、Web上でのアクセシビリティ改善のための著作物の音声化、拡大化、翻案等)についての検討を望む。

著作権者・隣接者は何考えているんだ!
こんな事が罷り通っているから、怪しげな人権団体が跳梁跋扈しているんだ!
事ここに至っては≪基本的人権≫の観点から、著作権者・隣接者に≪権利放棄≫させるべきです。
あと、視覚以外の障害にも対応できるように法整備を進めることも必要でしょう。



前のページへ 次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ