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「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集に寄せられた御意見

※いただいた御意見は項目ごとに整理させていただいておりますが、原文のまま掲載しております。
項目 意見
1.権利制限の見直しについて
(4)図書館関係の権利制限について
1著作権法第31条の「図書館資料」に、他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることについて 含めるべきではないと考えます。
これを認めると、図書館による著作物の無制限な複製につながる虞があります。また、保存目的の複製であれば借り受けた図書館が行う必要はなく、貸出元が複製を行えば済む話です。利用者の求める複製であれば、貸出元に依頼し、貸出元が複製した後に郵送などの手段で届ければ問題ありません。迅速な対応といってもそれほど急を要する案件は想定しなくて良いと考えます。
期日のある場合であっても裁判資料などであれば第四十二条により複製できます。先も述べましたが、この第四十二条を改定し行政目的での複製も可能とすれば登記問題など期日が設定されている案件においても大部分の問題は回避できると考えます。
この権利制限は図書館利用者の益を強くし著作権者の益を損なうだけで、なんら公共の利益にはつながりません。

○是非、実現させていただきたいと考える。図書館間の相互貸借は、現在例外的なケースでなく、日常的なものになっている。(『日本の図書館 統計と名簿 2004』によると、全国の公共図書館での2003年度実績は、貸出冊数が1,832,262、借受冊数が1,642,981である。)貸出可能な図書は、利用者が自宅で使用することができるが、国会図書館のように不可の場合は、必要箇所のコピーを希望することになる。この場合、現行では借受館で複製することができないので、一旦貸出元館に戻し、利用者が貸出元館に複製の申請をし、それを受けて貸出元館が複製し、申請者に郵送するという手続きをとっている。徒に煩雑で、かつ郵送料等の料金がかかるだけで、著作権者に利益があるわけではない。
○相互貸借の対象となっている図書は、現在手に入るものというより、絶版になっているような、出版から何年か経っている古いものが多いように見受けられる。
○複数の図書館が共同で1冊の図書を購入することについては、現在の公共図書館の選書体制(特に自治体の枠を越えた共同購入)では、ほとんど実現しないことだと思われる。
○権利者側は、出版部数の少ない学術書を図書館が買い支えている、という事実にも目を向け、図書館との共存を考えていただきたいと思う。

他図書館から借り受けた資料を、借り受けた当該館において、著作権法第31条第1号の条件内で複写が可能となるように、権利制限を行うべきとの立場から意見を具申します。公立図書館の相互貸借資料の総体は、その用途により大きく二分されます。ひとつは住民が読書を楽しむため、当該図書館未所蔵の資料を借用する場合であり、これは量的には圧倒的に多数ですが、複写の要望が起きることはありません。もうひとつは住民が自ら学び調査、研究する目的で、他図書館資料を借用する場合です。これは特に県域を越えた図書館間の相互貸借に多く見られますが、複写を要請される確率が断然高くなります。これら複写を要請される資料は、郷土資料や資(史)料集、絶版本、特殊コレクション、古い新聞記事、出版後相当年数を経た図書の一部等である場合が多く、借り受けた図書館が複写を行っても、著作者の利益が侵害されるケースは少ないと考えます。このことは、日ごろから相互貸借を活発に実行している図書館として、確信をもって言えます。また、公立図書館では郵送複写サービスが未だ整備されていない館が多くあります。また郵送コピーが可能であったとしても、課金方式が煩雑で手続きに期間を要し実用的でなく、結果的に住民の調査、研究意欲を殺ぐ結果となっています。今回配布資料(6)として公表された「図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン(案)」に沿い、一日でも早く、地域の調査、研究者のために他図書館借用資料の複写が可能となるよう、制度を整備されますようにお願い致します。

図書館に設置してある、利用者向けインターネット端末を利用して利用者が情報をプリントアウトすることについて、著作権法31条によらないことを明確に示す必要があります。

他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製については、特に該当の資料が数少ない場合には、利用者が複製物を入手ため権利制限を認めるのもやむを得ないと思われる。しかし、ごく一般的に流通している図書資料について、地域内の図書館間で同一出版物の購入を控え実質的に一冊の出版物を共同利用するような事態が生じないよう、権利制限を認める場合にも一定の条件を付けるべきであると考える。


権利制限すべきです。
一つの図書館で利用者の望む資料を全て提供することは不可能で、利用者の要望に応えるためには相互貸借は必要不可欠です。しかし他の図書館から借りた資料は、その場で閲覧することしか認められず、利用者にとっては非常に不自由な状況にあります。特に、調査研究のために図書館を利用しているものにとっては、他館から取り寄せた資料を複写できないのは、その調査研究に対して大きな障害となっている。
一刻も早く権利制限していただきたい。
なお、「本件の複製を認めることとすると、多くの地域において複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態となり、権利者の利益を害するおそれがある」との懸念は、全く持って非現実的な懸念である。各図書館はその利用者の要望に応えるために蔵書構築をしているのであって、他館で所蔵していることを前提に購入を中止するということは、無い。特に、多くの利用が見込まれる資料に関しては、他館で所蔵していても購入するものである。
本件の権利制限を行ったとしても、権利者には何ら不利益をもたらさない。

借り受け時において、絶版・版元在庫なしなどの理由で当該資料が書店などで入手できない場合は、複写を可能とするべき。
なお、絶版・版元在庫なしなどの理由で当該資料が入手できない場合以外でも、複写を可能とする方向で検討を進めるべき。
資料の性質や研究など資料の使用目的によっては、複写が不可欠になる場合がある。図書館の所蔵資料の量・質は、館ごと、地域ごとに大きく異なり、複写が不可能な状態では不平等が生じる。「多くの地域において複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態」となるという意見があるが、利用回数が多く又常置すべき資料であれば各館で購入するし、専門性が高い専門書であれば、少数の利用者の複写の便のために複数の図書館が限られた予算の中でそれぞれに購入する必要はない。
すべての図書館がすべての書籍やCDを購入できる予算があるのであれば話は別だが、限られた予算のなかで効率的に蔵書を選択し、他方少数の利用者のためにある程度網羅的な蔵書配置を考えることは、図書館としては当然の選択である。
特に他館からの貸出と複製を必要とするのは、利用者が限られ、あるいは少部数のため高価な学術専門書の類であり、また一般に入手しやすい書籍については、複製にかかる手間や費用、コピーのリーダビリティを考えれば、購入しないで複製する理由はほとんどなく、著作権者の利益を損なうことはない。

○他図書館から借り受けた資料を、借り受けた当該館において、著作権法第31条第1号の条件内で複写が可能となるように、権利制限を行うべきとの立場から意見を具申したい。
○相互貸借は、例外的なケースでなく、日常的なものになっている(『日本の図書館 統計と名簿 2004』によると、全国の公共図書館での2003年度実績は、貸出冊数が1,832,262、借受冊数が1,642,981である。)。貸出可能な図書は、利用者が自宅で使用することができるが、国会図書館のように不可の場合は、必要箇所のコピーを希望することになる。この場合、現行では借受館で複製することができないので、一旦貸出元館に戻し、利用者が貸出元館に複製の申請をし、それを受けて貸出元館が複製し、申請者に郵送するという手続きをとっている。徒に煩雑で時間を要し、かつ郵送料等の料金がかかるだけで、著作権者に利益があるわけではない。
○複数の図書館が共同で1冊の図書を購入することになるとの懸念については、現在の公共図書館の選書体制(特に自治体の枠を越えた共同購入)では、ほとんど現実味のない論である。
○権利者側は、出版部数の少ない学術書を図書館が買い支えている、という事実にも目を向け、図書館との共存を考えていただきたい。
○今回配布資料(6)として公表された「図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン(案)」に沿い、一日でも早く、地域の調査、研究者のために他図書館借用資料の複写が可能となるよう、制度を整備されるようお願いしたい。

現在、審議されているいわゆる「権利制限の見直し」について、意見を提出します。
著作権を公益目的のために制限する著作権制限規定の意義は高く、その見直しは著作権者にとって好ましいものではなく、慎重に検討されるべきと考えます。

図書館関係の権利制限において、他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製については、利用者は最終的には、複製物を入手することができるのであり、権利制限を認めるのもやむを得ないと思われます。しかし、その場合、地域内の図書館間で同一出版物の購入を控え、実質的に一冊の出版物を共同利用するような事態が生じないよう、権利制限を認める場合を限定することが必要です。

今回のように出版物がその本来の利用者に無償で提供されてしまうと、専門出版社への経済的損失は多大なものになります。
読者と書き手が同一である専門書出版の場合、情報の正確性・信頼性に対す要求は強くかつ高いレベルが求められます。その要求に応えられない出版社は、これまでも(これからも)淘汰されてきました。
一方、専門書出版社は、営利企業であるが故に継続的に専門書出版を維持することができます。また、良質の専門書出版を維持するには、それに見合うだけの投資が必要です。本来のあるべき淘汰の流れとは別の次元の問題(無償提供)によって、専門書出版が衰退するようであれば、読者である専門家だけではなく、最新の専門知識の最終的な享受者となる国民の損失につながることになります。
本件の検討に際し、慎重な判断を求めます。

自分の職場では、個人貸出できない資料、特に雑誌を他館から借用した場合、著作権を制限する必要を感じます。
なお、最新号の雑誌は、自分の職場では借用の対象としていません。

「審議の経過」16頁の1については、公立図書館は地域の要望に応えて資料の充実を計る物であり、他館からの現物貸借は事情により止むを得ない事も理解出来るが、数館で1冊を使い回す様なことは肯定できない。
また、入手困難な図書館資料等に関しても、図書館関係者と権利者間で著作権法31条運用ガイドラインを協議中であり、現時点で著作権法の制限規定見直しをするべきではないと考える。

「他の図書館等から借り受けた図書館資料」がその図書館での「図書館資料」に該当するのであれば、特に問題ないように考える。必要であれば、法律上明示するのが望ましい。

【意見】
今回、図書館関係として出されている要望はすべて実現すべきである。国民の「知る権利」や文化的活動を保障するためにも、また出版物流通の不足を補う意味でも、図書館のサービスに期待されている役割は非常に大きい。

【理由】
●著作権法 第31条の
「図書館資料」に、他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることには賛成である。現行制度では(結果として同じ複製物が入手できるにもかかわらず)利用者に余計な負担を強いるだけであり、こうした場面で権利制限を認めても権利者への新たな不利益は発生しない。必要とする資料が最寄りの図書館に必ずしも所蔵されているとは限らないだけに、国民の知る権利を保障するために相応しい権利制限と言えるのではないか。
●「多くの地域において複数の図書館が共同で1冊しか購入しない事態となり、権利者の利益を害するおそれがある」との懸念が示されているところであるが、これは妥当でない。図書館が図書という現物を貸与するサービス形態を維持する限り、必要とされる資料は各館で購入しなければサービス低下が著しくなるからである。また、仮に共同で1冊しか購入しなかったとしても、図書館予算が削減されていかない限りは購入図書全体の額は減少しない。すなわち著作者全体としては不利益を被るわけでなく、むしろより多くの著作者が購入の対価を受けられるという考え方もある(同一図書の購入冊数が減って「不利益」になるのは、ベストセラーの著者のみである。複本購入問題で図書館を糾弾するのも彼らであり、図書館に本を買って欲しいのか欲しくないのか理解に苦しむ主張ではある)。言うまでもなく図書館が果たすべき役割とは一部の著作者に「利益」をもたらすことではないから、むしろより多くの著作者が恩恵を受けられる制度の方が理想的とも考えられる。
●図書館資料の複製を利用者が受取るのは、殆どの場合その著作物が市場にて入手不可能となった場合である(たとえば雑誌のバックナンバーなど)。こうした資料の複製は国民の文化活動に不可欠なものであり、また著作者側も意図して流通を止めている以上、「不利益」をもたらしていると考えるのは妥当でない。よって、相互貸借等された他館の資料を複写し提供しても、本来の図書館サービスの延長で運用されれば権利者に不利益を与えるとは考えられない。

●図書館間でファクシミリ・メール等を利用して複製物を送付することも、認めるのが妥当と考える。これを認めたところで、現行の図書館サービスの枠を超えるとは全く考えられないからである。
●「更に進んで」利用者自身が図書館から受信する場面にも触れられているが、これが実現すれば利用者にとって非常に便利になることだろう。可能であれば是非実現してほしいところである。しかし、複写利用が相当程度に拡大していくこととなれば、権利者の「不利益」を生じさせない工夫が必要でもあり、ガイドラインの作成や補償金制度の創設なども並行して検討した方が良さそうである(補償金の必要ない程度に実現することが望ましい)。

●インターネット上の情報をプリントアウトするサービスについては、図書館が行なうとしても全く問題ないと考える。その適法性を明確にした上で、すぐにでも始めていただきたいところである。私も自身でいくつかのウェブサイトを運営しているところであるが、インターネットというオープンな空間で著作物を掲載する以上、読者が私的利用としてプリントアウトすることには関知していない。いわゆる「黙示の許諾」というのがこれなのだろう。仮に図書館でプリントアウトサービスを行なったとしても、私の「利益」が害されるものとは全く考えられない。プリントアウトを拒否する著作者は、インターネットでの公開を止めれば良いだけの話である。
●プリントアウトの適法性を明確にする際、図書館のみに限定するのが相応しくないとして結論を先送りにするのは妥当でない。もしそうなりそうだったら、きちんと一般論として明確にプリントアウトの適法性を示すべきである。今期の法制問題小委員会で結論づけても全く問題なかろう。文化庁としてガイドラインを示すことぐらいはすぐにでも出来るはずである(こういったガイドラインを示さずして図書館がプリントアウトサービスを行なうのは難しいと思う)。

●「再生手段」の入手が困難である図書館資料の複製については、権利制限を認めるべきである。音楽・映像・パソコンソフトなどにおいては、その再生機器・再生環境が変化していくにつれ過去に購入した資料が使えなくなるケースが多い(レコードからCD、ビデオからDVD、Windows 3.1から95から98からXP、旧 MacOSからMacOS Xなど)。こうした新しい機器・環境が出てくるたびに所蔵資料を買い直すのでは、限られた図書館予算にかかる負担があまりにも大きい。既に所蔵する著作物を何度も買い直すことで、その分本来所蔵されるべき新しい著作物の購入を妨げることにもなりかねない。図書館資料の充実を図り、多くの著作者の利益に資するためにも、こうした資料の複製をできるようにすることは必要である(なお、利用希望者が多い場合にこの方法で複製した資料をずっと使うことは一般に困難であり、そうした必要性のあるものについては新しい機器・環境用の当該著作物を必要な分購入することになると考えられる)。

●図書館における、官公庁作成広報資料および報告書等の全部分の複写による提供は当然許されるべきである。官公庁の発行する資料・報告書を入手するには、最近ではインターネットでも可能にはなっているが、図書館での利用もまた重要なものである。過去の広報資料・報告書ともなれば文献資料として使われることも考えられ、ますます図書館での複写が求められるところであろう(残念ながらインターネットでは全ての資料が入手できるとは限らない)。「『図書館における複製可』などの表記を行なえば問題は解決する」との意見があったようだが、これでは過去に発行された分については解決と言えない。表記をすることは勿論今後の解決策として望ましいところではあるが、それと並行して、過去の発行物に対する国としてのガイドラインを示すなどの手当てが欲しい(なお、図書館での複写に限らず、ウェブサイトへの転載なども含めガイドラインを示していただければありがたい)。

●障碍者による著作物の利用を促進するための要望には私も賛成である。国民の「知る権利」を等しく確保していくために、図書館においてもそのサービスが重要なものであることは議論の余地がない。しかしながら『審議の経過』においては「具体的で特定された提案を待って」などという悠長な方針が打ち出されている。これでは無責任なのではないか。法制問題小委員会においてどこまでが許されてどこからが問題があるのかを示すべきである。それでなければ、提案を出すたびに「具体的で特定された」云々と繰り返す羽目になりかねず、いつまでたっても状況改善は期待できない。法制問題小委員会として障碍者の著作物利用に配慮する姿勢を示すためにも、要望より一歩踏み込んで提言を行なうことを考えるべきであろう。

○図書館関係の権利制限において、他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製については、利用者は最終的には、複製物を入手することができるのであり、権利制限を認めるのもやむを得ないと思われる。しかし、その場合、地域内の図書館間で同一出版物の購入を控え、実質的に一冊の出版物を共同利用するような事態が生じないよう、権利制限を認める場合を限定することが必要である。

1著作権法第31条の「図書館資料」に、他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることについて、「審議の経過」16ページに「図書館等の間での図書館資料の相互協力が重要」とある。しかし、本来図書館は地域の需要に応え、図書館単位で資料を充実すべきである。例外的に資料現物の貸借、ならびにその複製がやむを得ない場合に行われることを否定するものではないが、出版物の共同利用の拡大につながらないよう、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料に限定し、運用について一定の基準を設けることが必要である。なお、この問題については、「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」(権利者および図書館関係の11団体で構成)において著作権法31条に関するガイドライン策定のなかで対応することを合意しており、その結論に委ねるべきであると考える。

公立図書館は、図書館資料や情報について、主権者たる国民の知る権利を保障する実質的な役割・機能を果たすことが期待されている。そのため、公共図書館等は、著作権法上でも従来権利制限の対象とされてきたと解している。しかし、情報社会の進展により、公立図書館に求められる情報提供機能の迅速化・高度化への国民の期待が高まっており、また、公立図書館は、国民の情報格差を解消するための地域の情報拠点としても位置付けられていることから、情報化社会に対応した公立図書館の役割を果たせるよう、以下の点について著作権法の改正を要望する。
1第31条の「図書館資料」に、他の図書館等から借り受けた図書館資料を含めることについて 
現行法の下においても、他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製を利用者が入手することは可能だが、入手するまで相当の時間を要しており、また所蔵館が個人貸出しを認めていない場合や郵送による複製サービスを受け付けていない場合もある。そこで、品切れや絶版の図書館資料については、貸出先の図書館等において当該資料の複製をすることができる方向で権利制限を行うことを要望する。特に、県外から借り受けた資料については、借り受けた資料を返送した上で所蔵館が複製し郵送するためかなり長い時間を要しており、利用者から改善を強く要望されているところである。

1他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることに賛成です。
図書館の蔵書構築は、その利用者特性を考慮して専門職員が収集にあたるので、「複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態」には成り得ません。
したがって、他館からの借り受け資料を含めることが大幅な購入費の削減を誘発することはありません。
他館からの借り受け資料の多くが入手困難な洋書や専門書などです。小説や読み物の多くはコピーに適していないのは明らかです。コピー自体も31条に沿って行われるのです。

手にする事のできる情報が、地域によって質・量に格差があってはなりません。
田舎に行けば行くほど本屋や図書館の質・量が加速度的に低下している現状では、権利制限もやむを得ないでしょう。
販売会社が、図書館に積極的に著作権物の寄贈をしていれば、保存場所以外でこんな問題は起こり得ないんですよねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・

123について反対します
ILLによる相互貸借においては、現物貸借よりはコピ−サ−ビスが主流になっており特に雑誌においてはこの傾向は著しく増加していると聞いています。 図書館によっては専門係を置いたり、業務を委託したりして他館の資料をいわば日常的に相互に利用している状態で31条、および31条1項またベルヌ条約9条2項にいう「著作者の正当な利益を不当に害しないものでなければならない」に抵触するものです。 図書館における書籍、雑誌の多様化、購入予算の削減、効率的利用に伴い大学図書館、公立図書館で拠点図書館化をしています。 図書館資源の共有を前
提とし他館のコピ−サ−ビスにたよった蔵書構築、図書館運営を図ることがないようまず実態を明らかにすべきです。
現在1の問題については「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」で協議し31条のガイドラインを策定することになっているにもかかわらず、今回の権利制限の見直しに含めるとは当事者協議会をないがしろにしたものであります。 この問題は当事者協議会に委ねるべきだと思います。

日常的に公立図書館を利用している市民の立場から意見を述べます。
今回、問題の所在としてあがっている16について、改善されることを願っております。
1についてですが、例えば県立図書館から市立図書館に取り寄せていただいた資料の一部を研究のために複写したいということがこれまでに何回かありました。しかし、現行法では再び県立図書館に資料を戻した後、コピーを再度送付していただかなければならず、この間何日も待たなければなりませんでした。現物を手にしながら必要な部分をコピーできないというのは合理的ではないように思います。著作権法第31条の「図書館資料」に、他の図書館から借り受けた図書館資料を含めるという方向で、ご検討くださることを願っております。
図書館は私たち市民にとって、学ぶことを保障してくれる身近なところです。今回、ご検討いただいている1から6につきましては、いずれも図書館の利用者が迅速に、また的確に必要な資料や情報を手に入れるうえで、大切な課題が含まれていると思います。
図書館は資料や情報を提供することで市民の学びや生活を豊かにするという役目を果たしていることから、時代の変遷によって生まれる変化を受け止め、必要に応じて図書館関係の権利制限を見直していく必要性があると思います。こういった視点から16につきましては、各項目についてあがっている要望項目に私も賛成するものです。

このような著作権制限を新たに設ける必要はないと考えます。以下理由を述べます。
「審議の経過」では、このような権利制限の必要性について、次の3点をあげています。
(1)貸出元図書館で複製し、それを申請者に郵送することで利用者はコピーを入手できるが、公共図書館においては郵送による複製物の送付を行わない施設が過半数であること。
(2)公共図書館数は増加傾向にあるが、年間受け入れ図書冊数や資料費が伸び悩んでいること。
(3)図書館等が生涯学習の拠点としての役割を担っていくためには相互貸借が重要で貸出先の図書館等において複製できるようにする必要があること。
私は、これらがなぜ著作権を制限する根拠となり得るのか理解できません。
公共図書館が郵送による複製物の送付を行わないことについて、著作権者にどのような責任があるのでしょうか。公共図書館等の年間受け入れ図書冊数や資料費が伸び悩んでいることについて、著作権者にどのような責任があるのでしょうか。
郵送による複製物の送付を行わないというのは公共図書館がお決めになったことです。図書館数は増やすが資料費等は増やさないということも、図書館と地方公共団体がお決めになったことです。このような決定に関与もしていない著作権者が、そのような決定のために不利益を受けるいわれはありません。
図書館等が生涯学習の拠点としての役割を担っていくためには、利用者のニーズに応えて、郵送による複製物の送付を行い、あるいは、資料費を増やしていく等の方法が取り得るはずです。公共図書館が生涯学習の拠点だというのであれば、こうした努力を尽くす義務を住民に対して負っているはずです。
公共図書館がかかる義務を怠れば怠るほど著作権が制限できるとする見解は採るべきではありません。したがって、このような権利制限には強く反対します。

図書館の現場においては、記載の手順を利用者に説明して対応しているが、説明しつつもその不合理性を感じている。また、利用者からもその指摘を受けている。
権利者と図書館間で確認されたガイドラインを設けるなどして、借り受けた図書館の責任に於いて第31条に基づく複製を可能にしていただきたい。

他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製については、権利制限を認めるのもやむを得ないと思われます。
しかし、地域内の図書館が実質的に一冊の出版物を共同利用するような事態が生じないよう、権利制限を認める場合を限定することが必要と考えます。

1について、他の図書館等から借り受けた図書館資料を含めてください。

調査研究に必要な資料がすべて個人や所属機関で買えるわけではありません。
また、自分の近隣の図書館でそろえているとも限りません。海外の図書館から資料を借りることもあります。(海外との場合は、その国の法律とも関わるでしょうが。)借りた資料はその場で読むだけとは限らず、文献複写は欠かせません。
ぜひ、現物貸借された図書館資料を、貸出先の図書館等で複製することについて認めてもらいたいと思います。
共同で1冊しか購入しなくなるという問題については、利用が多い資料については相互貸借では間に合わなくなるので、それぞれの図書館が購入するのではないでしょうか。具体的な条件の設定は確かに必要であると思いますが、相互貸借の資料をコピーできるようにすることはそれほど権利者の損失にはならないのではないかと思います。

借受資料の複製によって新たに権利者の利益を害するおそれが発生することはないため、この要望に基づき行われる法改正においては、権利制限の対象資料を限定することのないように
していただきたい。
まず「本件の複製を認めることとすると、多くの地域において複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態となり」という意見が出たとのことであるが、事実誤認である。
図書館における資料の購入は、そもそも、コピーサービスを念頭に置いたものではない。あくまで、各図書館がそれぞれの「収集方針」等の基準に基づき、「住民に対して思想、意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供」(本年6月の最高裁判決より)するために行われるのであり、複写サービスを念頭に置いて行われるものではない。
このため、仮にこのの要望に基づく法改正が実現されたとしても、このことを契機として「複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態」など招くことはあり得ない。したがって、この法改正の実現により「権利者の利益を害するおそれ」は生じない。
それゆえ、この法改正を行うにあたっては、権利制限の対象とする場合の具体的な条件付けを行うことなく、図書館が所蔵する図書館資料をすべて対象とするようにしていただきたい。

「本件の複製を認めることとすると、多くの地域において複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態となり、権利者の利益を害するおそれがあるとの懸念から、権利制限をするのであれば、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料に限定すべきではないかとの意見もあり、権利制限の対象とする場合の具体的な条件について、検討する必要がある。」という意見がありますが、図書館が資料を購入しなくなっているのは、「行政改革」による予算削減のためであり、図書館が好んで、重複する資料を買わないということではありません。複数の図書館で1冊しか買わなくても、その一方では、輸送のコストがかさむので、一定の限界があります。ある程度の数の図書館が資料を購入できるようになることは、出版産業の振興にもつながります。
今回の法改正にあたっては、権利制限を広げてほしいのですが、あわせて、図書館振興の政策的配慮も必要と考えます。図書の場合、最低1000から500部程度売れれば、一定の利益はあげることができます。図書館が良質の出版物を買い支えることができるようにするという政策的な方向性も必要かと思います。

「問題の所在」124及び6は、権利制限を行うことが必要であると考える。

借受資料の複製によって新たに権利者の利益を害するおそれが発生することはないため、この要望に基づき行われる法改正においては、権利制限の対象資料を限定することのないように
していただきたい。
まず「本件の複製を認めることとすると、多くの地域において複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態となり」という意見が出たとのことであるが、事実誤認である。
図書館における資料の購入は、そもそも、コピーサービスを念頭に置いたものではない。あくまで、各図書館がそれぞれの「収集方針」等の基準に基づき、「住民に対して思想、意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供」(本年6月の最高裁判決より)するために行われるのであり、複写サービスを念頭に置いて行われるものではない。
このため、仮にこのの要望に基づく法改正が実現されたとしても、このことを契機として「複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態」など招くことはあり得ない。したがって、この法改正の実現により「権利者の利益を害するおそれ」は生じない。
それゆえ、この法改正を行うにあたっては、権利制限の対象とする場合の具体的な条件付けを行うことなく、図書館が所蔵する図書館資料をすべて対象とするようにしていただきたい。

現行の著作権法ではインターネット等が急速に普及した今日では対応が困難になってきています。また著作物が出版されてから品切れ・絶版になるスピードが早まり、その頻度が増加し、国民にとって購入による入手が困難な場合も多くなってきています。
そこで次の点について著作権法の改正を求めます。
1第31条の「図書館資料」に他の図書館から借用した資料を含めること

他図書館から資料を取り寄せ、いったん返して複写を依頼し、到着を待つ。
なぜ、このような手間と時間と費用をかけさせるのか。そのことにどんな意味があるのか。
このような手間と時間のかかることではスピードを競う時代にそぐわない。
世界に遅れをとるために、させるのか。
借り受けた資料を直接見ることによって必要箇所を確認し、その場で複写し即座に利用できるようにすべきである。
複写によって購入が減るという意見は的外れである。購入するかどうかは資料費と需要との関係で決まる。借り受けるにあたっては所蔵の確認や所蔵館の確認、借受依頼など手間・時間・費用がかかるのであり、需要が多ければ購入したほうが利用者のためにも図書館にとってもずっとよい。
その図書館にとって高価であることも含め入手が困難であり、需要もさほどでないから借りるという方法をとるのである。

1県立図書館から協力貸出で資料を借用して、コピーが必要となっても、まず資料を返却し、申込書を県立図書館に送付し、県立図書館から代金の通知を待ち、現金書留で代金を送付するとやっと県立図書館からコピーを送ってもらえる。というように、かなり費用と時間がかかる。県立図書館から借用するのは手に入りやすい資料を除くということになっているので、入手が困難な資料ということになる。だから、他館の資料を借用してコピーをすることが著作権者の利益を侵害する可能性はあまりないのではないかと思う。
ただいたずらに利用者の時間と費用をかけているといえるのではないか。
是非早期に他館でもコピーできるよう、検討をすすめてほしい。

1第31条の「図書館資料」に他の図書館等から借り受けた図書資料を含めることについて、遠隔利用者等に対する図書館サービスとして是非認めていただきたい。

他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製については、権利制限を認めることはやむを得ないと思われる。しかし、地域内の図書館の間で同一出版物の購入を買い控え、実質的に1冊の出版物を共同利用するようなことのないよう、制限規定を認める場合は、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料に限定するなど一定の基準を設けることが必要である。

2図書館等の間においてファクシミリ、メール等を利用して、著作物の複製物を送付することについて 公立図書館においては、ファクシミリ等による複写物の送信要請は、レファレンスサービス回答の一部をなす場合や、住民・利用者からの要請により対象図書館が特に複写物を早急に入手したい場合に限って、ニーズが存在します。これらは郵送コピーの延長線上のサービスと見なされ、著作者の権利を侵害するとは到底考えられません。デリバリィ手段として通常郵送、速達と同列に、ファクシミリ、メールによる複写サービスが可能となるように、制度を整備していただくように要望します。

権利制限すべきです。
これは、現在行われている郵送での複製物の送付の代替手段にすぎないため、権利者に何ら不利益をもたらさない。
利用者の利便性を増すだけのことで、日本の学術研究振興の観点からも一刻も早く権利制限すべき事項です。

当財団は著作権法31条指定の図書館として医薬情報に関する業務を取り扱っております。首記議事録で「図書館等の間においてファクシミリ、メール等を利用して、著作物の複製物を、送付することについて」が議論がされていますが、この中で所蔵館から直接利用者に通信回線を利用した送信をすることについて権利制限を行うべきとの意見も出ているようです。公益的な医薬情報については、ファクシミリ、メール等利用し送信することも可能であるように要望いたします。
下記に関連した緊急時の情報伝達が必要でありますし、使用目的からいって一義的に国民の健康への貢献に関わっています。利用者一人に郵送で情報提供するのを一人にファクシミリで提供するのに代えても、著作権者の不利益になるとは考えられません。従ってこれ等の限定した医薬情報の送信に関わる取り扱いは著作権の権利制限の中に入れるべきだと考えます。

如何に国民の衛生・健康に貢献する仕組みを効率的に構築するか、ということは全国民の共通の願いであるといっても過言ではないと思います。
その一つとして図書館関係及び薬事行政に係る情報の取り扱いについてもより公益的な視点からの議論、判断をお願いします。

少なくとも、図書館間でのやりとりについては、権利制限を認めても、権利者を害することはなく、むしろ公益性に資するように思われる。

2については、「審議の経過」18頁に「図書館等の間の送信だけでなく、更に進んで、所蔵館から利用者に直接通信回線を利用した送信をすることについて権利制限を行うべきとの見解もあった。」とある。図書館は来館利用者への資料の閲覧と貸出が目的であり、通信回線を利用した送信は権利者への影響が大きいので反対である。

○図書館等の間においてファクシミリ、メール等を利用して、著作物の複製物を送付することが可能になるようにしていただきたい、という立場から意見を具申する。
○公立図書館においては、ファクシミリ等による複写物の送信要請は、レファレンスサービス回答
の一部をなす場合や、複写物を早急に入手したい住民・利用者からの要請により対象図書館が特に必要な場合に限って、ニーズが存在する。これらは郵送コピーの延長線上のサービスと見なされ、著作者の権利を侵害するとは到底考えられない。提供手段として通常行われている郵送と同列に、ファクシミリ、メールによる複写サービスが可能となるよう、制度を整備されるようお願いしたい。

ファクシミリや電子メールは、郵送に代替する輸送方法として一般に広まっており、輸送期間、コストを大幅に削減できる。輸送期間、コストを除いて郵送と変わることはなく、報酬請求権や補償金を課す根拠はない。
「大学図書館等間その他公共図書館等間におけるファクシミリ送信等の利用実績・ニーズを踏まえ、現行制度における権利処理の限界、権利制限の対象となる権利の種類、具体的な権利制限の規定の在り方、図書館における執行上のルールなどについて、具体的な問題点の整理が必要である。したがって、本件については、この点を踏まえた、図書館関係者による趣旨の明確化を待って、引き続き検討することが適当である」
との結論が出ているが、
大学図書館においては適切に運用されており、現状では公共図書館では運用できないため実態はない。現行制度に於ける権利処理の限界と権利制限の対象となる権利の種類は図書館ワーキング・グループで検討済であり、図書館においては中間生成物の廃棄を徹底することが執行上のルールとして必要十分である。趣旨が明確化されているにもかかわらず、生涯学習の拠点となる公共図書館において、資料の入手についての障害を放置し、法制化を先送りにすることは、送付にかかるコストと時間を浪費するだけであり、したがって、法制化に向けて条文の検討を直ちに開始すべきである。

現在、いわゆる図書館は、かつての、蔵書し、貸し出すという単一のサービスから、ネットワーク構築による蔵書の活用、書誌データベースの整備から全文データベースへの進化へと、サービスと機能を多角化させてきている。また、蔵書には、いわゆる書籍、雑誌には限らない分野が含まれている。また、今日ほど、大学と企業が密接に研究開発を行っている時代はなく、それに基づき、大学図書館もその役割を変えて来ている。公的ではあるが、限定的であったが故に、図書館での利用については、権利制限が認められて来たはずである。
利用者のニーズにより、多角化したサービスにも権利制限を適用していくという論理は逆さまである。
このことが認められていくと、先達の成果の上に、新たな著作物が作られるという知的循環の構造に極めた大きな影響を与える。なぜなら、その供給先である、著作者とその供給の主な担い手である出版社の存立の基盤を危うくするからである。新たなサービスには、それに見合う著作権保護のありようを作り出すことが、本筋である。
よって
1図書館等に設置されたコンピュータ端末において、調査研究目的でインターネット上の情報を利用者がプリントアウトすること、について反対である。
2ファクシミリ、インターネット等を利用して著作物の複製物を送付すること、について反対である。

2図書館等の間においてファクシミリ、メール等を利用して、著作物の複製物を送付すること」について、図書館間相互貸借(ILL)に基づく複写に関しては、すでに大学図書館と複写管理団体の間で、図書館間の受け渡しに公衆送信を用いることについて無償許諾契約、あるいは合意書が締結されている。しかしこれは学術研究目的という限定した範囲において利用を促進するために権利者・利用者間で合意が成立したものであり、それ以外の公衆送信については範囲の広がりによって権利者の受ける影響を考慮し、賛成できない。上記1と同様、図書館は地域の需要に応え、図書館単位で資料を充実すべきであり、資料充実を抑制することにつながる公衆送信については反対である。また、「審議の経過」18ページに「図書館等の間の送信だけでなく、更に進んで、所蔵館から利用者に直接通信回線を利用した送信をすることについて権利制限を行うべきとの見解もあった。」とあるが、これはそもそも図書館の基本的機能である入館利用者への資料の閲覧と貸出提供を超えたものであり、権利者への影響を考慮し、賛成できない。

公立図書館は、図書館資料や情報について、主権者たる国民の知る権利を保障する実質的な役割・機能を果たすことが期待されている。そのため、公共図書館等は、著作権法上でも従来権利制限の対象とされてきたと解している。しかし、情報社会の進展により、公立図書館に求められる情報提供機能の迅速化・高度化への国民の期待が高まっており、また、公立図書館は、国民の情報格差を解消するための地域の情報拠点としても位置付けられていることから、情報化社会に対応した公立図書館の役割を果たせるよう、以下の点について著作権法の改正を要望する。
2図書館等の間においてファクシミリ、電子メール等を利用して、著作物の複製物を送付することについて
特に実務上の緊急の問題は生じていないが、図書館間でのメール、ファックスによる複写物の送付が可能になれば、レファレンス回答をより円滑に遂行することができるので、実現を要望する。

2図書館間でファックス・電子メールによって著作物を送付することに賛成です。
管理団体が著作権処理をしている著作物は非常に限られています。
インターネット等の通信・認証等に関する技術の発展に伴った複製物の送付方法の変更を認めてください。さらなるIT化を目指し、情報立国、科学技術の発展を目指す日本において、迅速な
学術情報の流通は必須です。また、アナログな処理方法からデジタルな処理方法への変更によって省力化も可能となります。
図書館間に限定し、中間生成物の廃棄等のルールを明確にすることで懸念があれば解決できると思います。

手にする事のできる情報が、地域によって質・量に格差があってはなりません。
田舎に行けば行くほど本屋や図書館の質・量が加速度的に低下している現状では、権利制限もやむを得ないでしょう。
販売会社が、図書館に積極的に著作権物の寄贈をしていれば、保存場所以外でこんな問題は起こり得ないんですよねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・

[2]の「図書館等の間においてファクシミリ、メール等を利用して、著作物の複製物を送付することについて」について、「審議の経過」においても、間接的に指摘されているように、『中間的に発生した電子的複製物は(中略)廃棄することを条件』にすれば、郵送することと何ら変わるところありません。
したがって、特に『引き続き検討することが適当』であるとは考えられにくく、早急に実施できるようにすべきと考えます。

123について反対します
ILLによる相互貸借においては、現物貸借よりはコピ−サ−ビスが主流になっており特に雑誌においてはこの傾向は著しく増加していると聞いています。図書館によっては専門係を置いたり、業務を委託したりして他館の資料をいわば日常的に相互に利用している状態で31条、および31条1項またベルヌ条約9条2項にいう「著作者の正当な利益を不当に害しないものでなければならない」に抵触するものです。 図書館における書籍、雑誌の多様化、購入予算の削減、効率的利用に伴い大学図書館、公立図書館で拠点図書館化をしています。 図書館資源の共有を前提とし他館のコピ−サ−ビスにたよった蔵書構築、図書館運営を図ることがないようまず実態を明らかにすべきです。
現在1の問題については「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」で協議し31条のガイドラインを策定することになっているにもかかわらず、今回の権利制限の見直しに含めるとは当事者協議会をないがしろにしたものであります。 この問題は当事者協議会に委ねるべきだと思います。

図書館は私たち市民にとって、学ぶことを保障してくれる身近なところです。今回、ご検討いただいている1から6につきましては、いずれも図書館の利用者が迅速に、また的確に必要な資料や情報を手に入れるうえで、大切な課題が含まれていると思います。
図書館は資料や情報を提供することで市民の学びや生活を豊かにするという役目を果たしていることから、時代の変遷によって生まれる変化を受け止め、必要に応じて図書館関係の権利制限を見直していく必要性があると思います。こういった視点から16につきましては、各項目についてあがっている要望項目に私も賛成するものです。

「審議の経過」18頁では、「特に外国からの複製依頼に関して郵送のみによる対応に限定することは、研究活動等の著しい制限になり不合理であり、我が国が文化の発信に消極的であるとの批判を受けかねないことから、利用者の便宜を拡大することが強く望まれるとする意見があった。」と記されています。
ところで「審議の経過」16頁では、「公共図書館においては郵送による複製物の送付を行わない施設が過半数であ」る旨の記述もみられます。多くの公共図書館が郵送による複製物の送付を行っていない状況にもかかわらず、ファクシミリやメール等によって複製物を提供することが本当に必要なのか疑問です。
少なくとも日本国内においては、数日もあれば郵送によって複製物を入手できるのですから、研究活動等の著しい制限とはなりえないように思われます。このような法改正の前に、公共図書館は郵送による複製物の送付を行い、利用者の便宜を図るべきだと考えます。

メールによるレファレンスサービスにおいて、複製物を送信できないことが回答に制限を加えざるを得ない状況がある。
ファクシミリによる複製物の提供については、その情報が利用者にとって今すぐ必要な情報であった場合、郵送では対応できない。郵送でも、ファクシミリでも結果として、利用者はその複製物を入手できるのであるから、利用者に直接送信できるようにすることが合理的であると考える。

2について、迅速な著作物送付を認めてください。
医療の現場では「時間」が生死を分かつ場面も多々ございます。
患者の急変、急患に対応するため、すぐに文献情報を必要とする事態もございます。
通信技術が進歩しているにもかかわらず、迅速さが求められる医療現場でその恩恵を受けられないということは、情報の利用者である医師、看護師その他医療スタッフには腑に落ちないことです。
例えばサリン事件の災害時、当館は当初アセトニトリル、その後判明したサリンについての文献をFAXで送っていただき、医療現場へ届けました。
厳密に著作権法を守ろうとしたなら、医療機能は麻痺したでしょう。
参考資料として挙げられております「大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン」は、あくまでも「加盟している大学図書館」間だけのものです。
そのため、このガイドラインを盾に、加盟大学以外の図書館へは文献を提供しないという極論を述べる図書館も現れてきました。
学術情報は、先達の知識を再利用し、常に新たな知見発見へと進歩していくためのツールです。
流通を妨げることは、学術の発展を阻害するものと考えます。

この要望についても、早急に法改正をしていただきたい。
大学図書館等における著作権者団体との「合意」の存在により、この「合意」の範囲で行えばよく、法改正する必要性に乏しいかのような記述となっているが、この「合意」によってカバーされている範囲は余りにも狭い(ある調査によれば全体の3割程度)ため、「適切に運用されている」とは言い難いものと考える。
なお、アメリカ合衆国の場合には、図書館間での文献の転送は権利制限によりカバーされており(米国著作権法108条)、出版社との間でのガイドライン(CONTU guidelines onphotocopying under interlibrary loan arrangements)により実際上は運用されているが、その運用においては電子的転送も認められている。この要望のような形で利用される著作物はおそらくアメリカの出版物、とりわけ雑誌論文が多いと考えられるため、アメリカと同じような水準のガイドラインを策定すれば、懸念されるような利益の損失については考えなくてもよいことになるのではないかと考える。
その際、アメリカでは著作権者団体がカバーする文献の割合が多いことから、権利制限の範囲を超える複写について、権利処理の方法により対応することが可能であるが(ILLに対してDSと呼ばれる)、日本では前述のとおり、カバーする範囲があまりにも狭いため、権利制限で認める範囲についてアメリカよりも広くなければ学術情報の流通の障害となるおそれが高いことを付言しておく。

「図書館等の間の送信だけでなく、更に進んで、所蔵館から利用者に直接通信回線を利用した送信をすることについて権利制限を行うべきとの見解もあったが、これについては、そもそも図書館の機能を超えているのではないか、権利者の利益が相当に害されるのではないかという指摘があった。」ということですが、この問題については、確かに時間をかけて調査・論議する必要があると思います。しかし、それとは別問題として図書館間の送信についてはぜひ認めてもらいたいと思います。大学図書館のことが主な話題となっているようですが、公共図書館においても大変、不便を感じています。具体的には、利用者から資料についての問い合わせがあった場合、つまり、レファレンスがあった場合ですが、自館の資料だけでは調べきれず、同じ自治体の図書館システムである他館や、場合によっては、区市町村立図書館を支援する立場にある都道府県立図書館に問い合わせをする場合があります。その際に、資料の内容の一部をファクシミリで送ることができないというのは、甚だしく業務上の支障を感じますし(いちいち読み上げて確認したりしなければならず、時間が非常にかかってしまう)、利用者にもいくつもの図書館を回らせたりすることになります(そのうち「空振り」になるものも少なくありません)。
現状では、相互貸借のシステムを使って、資料を取り寄せて確認したりしていますが、時間がかかりすぎ、役に立たなくなってしまうことも多々あります。今後、公共図書館がビジネス支援などの、より暮らしや産業に役立つサービスを提供していく上では、スピードが求められます。権利者側の問題意識も一定程度わかりますが、現状の出版物の流通の状況を見ても、このようなスピードに対応できるとは思えません。この場合は、様々な産業や生活の具体的な場面で、しっかり役に立ち、社会的成果として還元できるという公共性の方が価値が高いと思います。
「生活」というものについて「公共性」ということはピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、現場の図書館員としては、ドメスティック・バイオレンスなどの深刻な問題に関する資料提供も行っています。直接的な相談に応じられない立場としては、適切な相談機関の情報源を提供したり、関係団体を紹介することは極めて重要なことだと認識しています。そういう、ある意味で緊急を要する仕事も増えてきました。そのような時に、ファクシミリがあるのに使えないというのははがゆい限りです。

「問題の所在」124及び6は、権利制限を行うことが必要であると考える。

この要望についても、早急に法改正をしていただきたい。
大学図書館等における著作権者団体との「合意」の存在により、この「合意」の範囲で行えばよく、法改正する必要性に乏しいかのような記述となっているが、この「合意」によってカバーされている範囲は余りにも狭い(ある調査によれば全体の3割程度)ため、「適切に運用されている」とは言い難いものと考える。
なお、アメリカ合衆国の場合には、図書館間での文献の転送は権利制限によりカバーされており(米国著作権法108条)、出版社との間でのガイドライン(CONTU guidelines onphotocopying under interlibrary loan arrangements)により実際上は運用されているが、その運用においては電子的転送も認められている。この要望のような形で利用される著作物はおそらくアメリカの出版物、とりわけ雑誌論文が多いと考えられるため、アメリカと同じような水準のガイドラインを策定すれば、懸念されるような利益の損失については考えなくてもよいことになるのではないかと考える。
その際、アメリカでは著作権者団体がカバーする文献の割合が多いことから、権利制限の範囲を超える複写について、権利処理の方法により対応することが可能であるが(ILLに対してDSと呼ばれる)、日本では前述のとおり、カバーする範囲があまりにも狭いため、権利制限で認める範囲についてアメリカよりも広くなければ学術情報の流通の障害となるおそれが高いことを付言しておく。

現行の著作権法ではインターネット等が急速に普及した今日では対応が困難になってきています。また著作物が出版されてから品切れ・絶版になるスピードが早まり、その頻度が増加し、国民にとって購入による入手が困難な場合も多くなってきています。
そこで次の点について著作権法の改正を求めます。
2図書館間においてファクシミリ、電子メール等を利用して著作物の複製物を送付すること

公共図書館でのファクシミリの利用実績は、おそらく大学図書館と比較して少ないと思いますが、それはニーズがないのではなく、著作権で認められていないからできないと答えているからだと思われます。
大学に通っている人や大学の研究者なら現状でもNACSISにより資料を入手しやすいでしょう。しかし、大学に通っていない一般の市民で調査や研究を行なおうとしても、サービスを享受できません。
日本では、大学や企業の研究所に所属していない個人では、研究をしようとしても難しい文化の貧しい国、というのが現状です。
日本の文化の発展を願うなら、ファクシミリやメールを積極的に認めていくべきと考えます。

2この要望も実現にむけ検討してほしい。レファレンス業務において自館では購入しない、できない資料が緊急に必要になることがある。この要望が実現しても緊急の場合のファクシミリ送信で済む資料であれば、その資料を自館で購入することはないであろう。という意味では著作権者の利益の侵害はないと思われる。

2図書館等の間においてファクシミリ、電子メール等を利用して、著作物の複製物を送付することについて、遠隔利用者や、身体等の理由で来館できない利用者に対するサービスを実現するため、是非認めていただきたい。

意見1
「現行制度では、著作物の複製物をインターネット送信等の通信回線を利用する送信を通じて提供できることについての規定はない」ので、大学図書館間で広く行われている。ガイドラインでは、図書館がe-mailで受けたものにつき、依頼者にメールそのものを送らず、依頼者にプリントアウトしたものを送付した後は、e-mailで受けたものを破棄する。としているが、これはほかの大学図書館の資料も第31条の「図書館の図書」に含まれるという前提に立っているものと思われる。第31条の解釈問題としてガイドラインはできているが、この問題はもっと根本的な論議が必要である。すなわち、第31条及びガイドラインは、図書館の資料として紙ベースのものを前提としているが、今後電子図書も現れ、また図書館で保存する形態として紙ベースではなく、電子的形態が主流になってくることは間違いない。このような流れに沿って図書館における権利制限は全面的に見直されるべきである。まず、根本的に紙ベースの資料があっても、図書館が電子的形態で保存することを認めるべきである。次に、利用者の請求に応じて、電子的形態での送信を認めるべきである。これに伴う著作権侵害の危険については、電子透かしの技術等で対処すれば、事後的に著作権侵害に対処できる。侵害の危険が大きいという理由で便利な電子送信を行わないことは時代に逆行する。大きな侵害の危険に事後的に対処することを考えるべきである。

3図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて 図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについてはインターネット上での情報送信者は複製を許諾しているものと解釈できます。
インターネットでの情報伝達は、サーバからの情報を各種ネットワーク機器の間を複製することで伝達しています。利用者が端末で情報を閲覧している時点でサーバから端末へと複製がなされています。また情報送信者もそのことを理解した上で情報を送信していると解釈できます。
プリントアウトについては、利用者が出力する最終の端末がプリンタであるというだけで画面に複製・表示するか、紙に複製・印字するか、という違いでしかありません。つまり、複製はすでになされているものであり、情報送信者もそれを許諾しているものと考えます。

図書館に設置してある、利用者向けインターネット端末を利用して利用者が情報をプリントアウトすることについて、著作権法31条によらないことを明確に示す必要があります。

権利制限すべきです。
現行法を厳密に解釈すると、インターネット上の情報は図書館資料には該当しないため、図書館においてインターネット上の情報をプリントアウトできる根拠が明確でない。
30条での複製は、図書館に設置してある複製機を使って行うことは、権利者側からの反発が非常に大きいため、現状でも行われていない。横浜市立図書館が、複写機を設置して、30条の範囲で私的複製を行わせたことがあったが、出版界からの反発が起きた。もし、インターネット上の情報の30条での複製を図書館で認めた場合、図書館資料を図書館内の複製機を使って30条の範囲内で利用者がコピーすることを制限できる根拠が失われる。
31条の趣旨を尊重するためにも、この権利制限は必須である。
なお、黙示の許諾に関しては、許諾していないという権利者が出てきた場合には対応できない。そのような危険性を残したまま、図書館で複製を行うことは、図書館だけでなく利用者にとっても、訴訟の危険性を逃れることはできない。

特定の施設で特定の目的であればインターネットにより提供されている情報を複製できるとした場合、逆に、他の施設や他の目的の場合できないと解釈されるおそれがある。
インターネットにより提供されている情報(特にホームページ)については、利用者がプリントアウトすることを前提に提供されているものがほとんどと考えられることから、黙示の許諾がある(従って禁止する旨の表示がある場合は対象外)とする解釈を審議会が示すことにより対応していただけるとありがたい。
また、プリントアウトだけでなく、公の伝達についても、黙示の許諾があると解することはできないか検討していただけるとありがたい。

3(21頁)については、図書館資料ではないインターネット情報を、利用者が勝手に複製できることにするということは、本来著作権法第31条で定める図書館資料の複製に該当せず、著作権法第30条を図書館内に持ち込むことになり、権利制限規定の見直しには賛成できない。

○図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることが可能になるようにしていただきたい、という立場から意見を具申する。
○図書館に設置してある、利用者向けインターネット端末を利用して利用者が情報をプリントアウトすることについて、著作権法31条によらないことを明確に示していただきたい。

図書館や公民館等の利用者は、殆どの場合私的使用のために同所に設置されているインターネット端末を使用して情報をプリントアウトすることを希望していると思われる。このことは、学術、研究向上のためにも極めて重要なことであり、このような行為は許されるとする法律の手当てを求めるものである。
なお、このこととは別に審議経過の21頁に言及されていえるように企業にとってインターネット上に公開されている情報のプリントアウトは、コピー禁止を謳っていない限り所謂米国法におけるフェーユースとして自由になされるべきであり、このための法津の手当ても早急にお願いしたい。

自分の職場では、カウンターでレファレンスを行う際、インターネット上の官公庁作成広報資料及び報告書等、冊子での情報提供が遅れるか又は不可能である場合、著作権を制限する必要を感じます。

現在、いわゆる図書館は、かつての、蔵書し、貸し出すという単一のサービスから、ネットワーク構築による蔵書の活用、書誌データベースの整備から全文データベースへの進化へと、サービスと機能を多角化させてきている。また、蔵書には、いわゆる書籍、雑誌には限らない分野が含まれている。また、今日ほど、大学と企業が密接に研究開発を行っている時代はなく、それに基づき、大学図書館もその役割を変えて来ている。公的ではあるが、限定的であったが故に、図書館での利用については、権利制限が認められて来たはずである。
利用者のニーズにより、多角化したサービスにも権利制限を適用していくという論理は逆さまである。
このことが認められていくと、先達の成果の上に、新たな著作物が作られるという知的循環の構造に極めた大きな影響を与える。なぜなら、その供給先である、著作者とその供給の主な担い手である出版社の存立の基盤を危うくするからである。新たなサービスには、それに見合う著作権保護のありようを作り出すことが、本筋である。
よって
1図書館等に設置されたコンピュータ端末において、調査研究目的でインターネット上の情報を利用者がプリントアウトすること、について反対である。
2ファクシミリ、インターネット等を利用して著作物の複製物を送付すること、について反対である。

30条1項と31条の適用関係の問題、附則5条の2「当分の間」であることから、「直ちに立法措置に関する具体的な検討に入る必要は認められない」というのは、無頓着すぎる。いままでは、著作権法自体曖昧でも現実的な問題はなかったが、権利意識の向上により、権利制限厳格解釈説では、様々な問題が生じているように思われる。必ずしも、この問題との関係でクリアにする必要はないが、法律を整理する必要はあろう。

審議された通り、私的複製として行いうるものであるから、特段の立法措置は不要であると考える。

3図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすること」について、インターネット上の情報が無料で公開されている範囲においては、権利者の経済的権利を侵害する要素はなく、その限りでは問題はないと考える。しかし、著作権法第31条に照らして考えると、インターネット上の情報は「図書館資料」とはいえず、図書館における複製利用のなかで結論を出すことは不適当と考える。これは、図書館だけの問題ではなく、著作権法第30条との関係からも慎重な検討を要する問題である。図書館の資料ではないと考えられるインターネット情報を、利用者が図書館職員の関与なく自ら複製できることにするということは、本来著作権法第31条で規定されるべき図書館内での複製に著作権法第30条による私的使用の複製を持ち込むことになり、著作権法第31条の形骸化につながる恐れもあり、その意味からもこの権利制限規定の見直しには賛成できない。

公立図書館は、図書館資料や情報について、主権者たる国民の知る権利を保障する実質的な役割・機能を果たすことが期待されている。そのため、公共図書館等は、著作権法上でも従来権利制限の対象とされてきたと解している。しかし、情報社会の進展により、公立図書館に求められる情報提供機能の迅速化・高度化への国民の期待が高まっており、また、公立図書館は、国民の情報格差を解消するための地域の情報拠点としても位置付けられていることから、情報化社会に対応した公立図書館の役割を果たせるよう、以下の点について著作権法の改正を要望する。
3図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて
インターネットが普及しているとはいえ、すべての利用者が自宅で著作権法第30条による私的使用のための複製ができる状況にあるわけではないため、現状では利用者の情報取得の機会が不平等である。また、利用者は、紙媒体資料とインターネット情報を互いに補完させながら図書館で調査研究をおこなっているため、より効率的な調査研究のためには、両者を同時に複写できることが望ましい。従って、利用者の平等かつ効率的な情報収集の機会を保障するために、図書館においてはインターネット情報も紙媒体と同様に著作権法第31条を準用した権利制限を要望する。
また、昨今、資料自体が紙媒体からインターネット上のPDFファイルのみの発行に移行するものが多くなってきている。インターネット公開された資料は条件を付さない限り、著作権法第31条の「調査研究」に適合する場合は、図書館の管理下でプリントアウトできるよう公衆送信権の制限を要望する。
さらに、国や地方公共団体等がインターネットで一般に公開している行政情報などを公共図書館でプリントアウトすることについては、法改正を待つまでもなく、「図書館における複製可」などの意思表示の明示を徹底するよう要望する。

3インターネット上の情報をプリントアウト可能にすることへ賛成です。

インターネットには、著作権フリー、または著作権者の特定が≪完全に不可能≫な著作物が多数存在します。
そしてそれ等を使用したコンテンツが、これまた多数存在しています。
それ等を利用する為にも図書館等が設置するインターネット端末からインターネット上の情報をプリントアウトして提供するこについても、著作権者の許諾なくできるようにすることが適当であります。
あとプリントだけでなく、障害者の権利保護の観点からもDVDといった記録媒体の使用も認めるべきです。

[3]の「図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて」について、「審議の経過」には『第30条第1項の「私的使用のための複製」に該当する場合(21ページ)』とありますが、このことに関しては、平成17年7月5日付けで、4つの出版関係団体連盟で各法制問題小委員会委員に要望書が提出されている( http://www.jbpa.or.jp/shingi-youbou.htm )ようであり、その中で、『本来31条で規定されるべき図書館内での複製に30条による私的使用の複製を持ち込むことになり、31条の形骸化につながる恐れ』が懸念されています。
一方で、公民館等においては30条1項でインターネット上の情報の複製が可能であるのに、情報提供を主たる目的の1つとしているであろう図書館においては、31条があるがためにインターネット上の情報が複製できないとすれば、矛盾を感じざるをえません。
したがって、「図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて」については、無許諾で複製が行えるように改正されるべきと考えます。
また、「審議の経過」においては『黙示の許諾があると考えられる場合』とありますが、著作権法には黙示の許諾を担保する規定は見当らず、どのような場合に黙示の許諾に該当するのか判然としません。
「審議の経過」で指摘されているように、『本件は図書館に限った問題ではない』とも言えるので、一定の条件に合致すれば、複製についての許諾を行ったものとみなす旨の規定を設けることも検討されるべきと考えます。
なお、「審議の経過」に『企業活動を目的とする場合を含めて、インターネット上に公開された情報のプリントアウトについて紛争になったことはほとんどない状況であり、本件については、直ちに立法的措置に関する具体的な検討に入る必要は認められない。』とありますが、公的もしくは、それに順ずる報告書等に、必ずしも適法とは言えない行為を容認するような解釈が可能な表現が含まれることに違和感を感じることを申し添えます。

123について反対します
3図書館等において、調査研究の目的でインタ−ネット上の情報をプリントアウトすることについて
図書館資料でない著作物を無許諾無報酬で図書館でプリントアウトする合理性が不明なので反対します。 31条の問題なのか、30条の問題なのか不明です。

図書館は私たち市民にとって、学ぶことを保障してくれる身近なところです。今回、ご検討いただいている1から6につきましては、いずれも図書館の利用者が迅速に、また的確に必要な資料や情報を手に入れるうえで、大切な課題が含まれていると思います。
図書館は資料や情報を提供することで市民の学びや生活を豊かにするという役目を果たしていることから、時代の変遷によって生まれる変化を受け止め、必要に応じて図書館関係の権利制限を見直していく必要性があると思います。こういった視点から16につきましては、各項目についてあがっている要望項目に私も賛成するものです。

「審議の経過」21頁に、「図書館や公民館等に設置されたインターネット端末を使用して情報をプリントアウトする行為については、その端末利用者が行為主体であると考えられる。」とする記述があります。しかし、この考え方は、従来の文化庁のご見解とは齟齬があるように思われます。
従来、公共図書館等が館内の個人視聴ブースで利用者がビデオソフトを視聴するために、図書館の所蔵するビデオソフトを利用させることは、公の上映であり貸与ではないというのが文化庁のご見解だったのではないでしょうか。
そうであるならば、図書館内の端末を利用してプリントアウトするのも、端末を管理している図書館が行為主体と考えなければなりません。逆に、図書館等に設置された端末でプリントアウトする行為の主体が利用者であるならば、ビデオデッキを操作してビデオソフトを上映する利用者が上映の主体であると考えるべきで、その前段階の図書館から利用者へのビデオソフトの交付は貸与行為とみるべきことになります。
このご見解は、文化庁の従来のご見解を否定するものなのでしょうか。
また、端末の利用者が行為主体とした場合、そのプリントアウトが第30条第1項の「私的使用のための複製」に該当する場合があるとの意見があったように記されていますが、そのような場合がありうるのでしょうか。
第30条第1項柱書は、「……次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」とし、同条同項第1号は、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器……を用いて複製する場合」を定めています。
図書館等に設置された端末やプリンタが「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」に該当しない場合があるのでしょうか。
なお、「インターネット上の情報の複製に明示又は黙示の許諾があると考えられる場合」があると考えられ、「直ちに立法措置に関する具体的検討に入る必要は認められない。」との結論については、そのとおりであると考えます。

インターネット上の情報については、図書館が所蔵する資料の複製ではないことから、第31条の複製には当たらないと考え、図書館が30条に基づく私的使用のための複製に便宜を図っているとの考え方はできないでしょうか。

3インターネット上の情報をプリントアウトすることを認めてください。

審議経過全般を見ていて、障害を持つ人の読書や学習を妨げている状態は望ましくないとの認識は得られたと思う。しかし、具体的にどうするかという段に及んでは、特許や薬事などと比べ、あまりにも及び腰との感想を持った。聖域のように扱いながら、具体的なことがイメージできないがために、ただ障害を持たない一般の人も利用するのではないか、ただ怠けて寝ている人とどう区別するのかなど、現場で日々障害を持つ人々の歯痒さに接しているものにとっては、ナンセンスともいえるような声が聞かれる中で、肝心のことが決まらず、「より具体的で特定された提案を待って、改めて検討」などと、また先延ばしにするようなまとめを出されたのでは、結局は何も前進しないのである。
建築や公共交通において、バリアフリー、ユニバーサルということが、法律によっても推進されている今日である。情報についても、総務省の掛け声のもと、障害者の利用に配慮することが言われるようになってきている。そのようなことで考えるなら、本来、著作物を世に出すもの、製品化するものが、排除している人々の存在に気づき、何らかの配慮を義務付けられてしかるべきではないか。公衆に発表されるときに排除している人に対して、公共の施設である図書館等が、公的な責任を背負って、発表者に変わって排除された人々にそれを提供する労を果たそうとすることを、どのようにしたら実現できるのか。公的な責任を持つ文化庁、そして審議会委員は、理解できないなら、代理人としての役人ではなく、直接当事者や、支援者たちの声を直接聞くなど、一刻も早く実現させるためにもっと積極的に働いてほしい。

これについても、早急に法改正をしていただきたい。
この報告書では、要するに「インターネット上の情報のプリントアウトによって著作権侵害訴訟等の紛争が起きていない以上、法改正の実効性に乏しい」と述べており、この行為がグレーゾーン上の行為であることを認めているにもかかわらず、法改正を行う意思が示されていない。
図書館等の公共施設には、憲法上の法令順守義務(99条)があるため、民間の会社のように訴訟のリスクを負って事業を実施するという選択肢はない。グレーゾーンである以上は、事業を実施できない。
そもそもこの要望は、インターネット上の情報をプリントアウトするための事前許諾手続の実施が困難であること(権利者が膨大なため)、インターネットでの公開はプリントアウトが前提と考えられることから、プリントアウトによって権利者に生じる損失は原則として無いものと考えられることを理由に提出されたものと考えられる。これらの理由がクリアできるのであれば、法改正をしない理由はないものと考える。
「本件は図書館等に限った問題ではない」ことは間違いないが、それを理由に法改正をしないのは本末転倒であり、それならば権利制限の対象を拡大すればよいだけのことである。
前述のとおり、この法改正が実現しないと、図書館におけるインターネット上の情報のプリントアウトサービスは実施困難となる。したがって、早急な法改正を望むものである。
なお、それでも法改正が困難であるとのことであれば、報告書において合法である旨の見解を記述していただければ合法であることが確認できるので、この方法による代替も可能である。

この問題については、図書館で提供しているインターネットなどによる情報資源を図書館資料と見なすかどうかという問題が根本にあるので、簡単には言えませんが、レファレンス・サービスとして、司書等図書館職員を介して、インターネットの探索・検索を行う場合があります。
特に、高齢者などの場合、自分でインターネットが使えず、情報提供を望むケースが増えています。このような場合に、特別な例外を除いては、一定の条件(個人の利用に限るなど)のもとに、プリントアウトしたものを利用者に提供できるようにすることは、一定、明示する必要があるのではないかと思います。
最近では、がんなどの高齢者に多い病気や、福祉関係などで、一般書籍や雑誌では得られない有効な情報もインターネット・サイトに増えてきました。このようなものにアクセスできない(金銭的な問題だけではなく、コンピュータのスキルを病気などにより身につけられないという場合も含めて)高齢者は、いわば、情報社会でドロップ・アウトしたような存在になりつつあります。
これは、単に、パソコンの講習会を行えば済むという問題ではありませんので、ぜひ、認識をまず持っていただきたいと思います。今回、議論がまとまらないのであれば仕方がありませんが、ぜひ、このような状況も含めて検討が必要と考えます。

3に関しては、21頁にあるとおり、私的使用のための複製又は黙示の許諾といった考え方によって実質的に自由に行い得るものと考えられ、現実の紛争が生じた場合に必要に応じて立法的対応を検討することで足りるのではないかと考えられる。

これについても、早急に法改正をしていただきたい。
この報告書では、要するに「インターネット上の情報のプリントアウトによって著作権侵害訴訟等の紛争が起きていない以上、法改正の実効性に乏しい」と述べており、この行為がグレーゾーン上の行為であることを認めているにもかかわらず、法改正を行う意思が示されていない。
図書館等の公共施設には、憲法上の法令順守義務(99条)があるため、民間の会社のように訴訟のリスクを負って事業を実施するという選択肢はない。グレーゾーンである以上は、事業を実施できない。
そもそもこの要望は、インターネット上の情報をプリントアウトするための事前許諾手続の実施が困難であること(権利者が膨大なため)、インターネットでの公開はプリントアウトが前提と考えられることから、プリントアウトによって権利者に生じる損失は原則として無いものと考えられることを理由に提出されたものと考えられる。これらの理由がクリアできるのであれば、法改正をしない理由はないものと考える。
「本件は図書館等に限った問題ではない」ことは間違いないが、それを理由に法改正をしないのは本末転倒であり、それならば権利制限の対象を拡大すればよいだけのことである。
前述のとおり、この法改正が実現しないと、図書館におけるインターネット上の情報のプリントアウトサービスは実施困難となる。したがって、早急な法改正を望むものである。
なお、それでも法改正が困難であるとのことであれば、報告書において合法である旨の見解を記述していただければ合法であることが確認できるので、この方法による代替も可能である。

現行の著作権法ではインターネット等が急速に普及した今日では対応が困難になってきています。また著作物が出版されてから品切れ・絶版になるスピードが早まり、その頻度が増加し、国民にとって購入による入手が困難な場合も多くなってきています。
そこで次の点について著作権法の改正を求めます。
3図書館において調査研究目的で、インターネット上の情報をプリントアウトし、利用者に提供できること

3インターネット上の情報をプリントアウトすることについて、著作権者の許諾なくできるようにすることが、社会の要請である。

紛争になったことがないからと言う理由でプリントアウトをすると、著作権を理解していない利用者からは図書などの資料のコピーは制限があり、なんでインターネットは自由なのか、と問われることでしょう。その理由がインターネット上の情報のプリントアウトは紛争になったことが無いから、と言えば、このコピーくらいで紛争になんかならない、と言ってくるのは目に見えています。著作権をまるで理解していない人はとても多いのです。
私も図書館で働いていたときにコピーをとる利用者に著作権を理解してもらうのに非常に苦労した事がありましたし、他の図書館のカウンターでアルバイトが利用者にコピーについてずいぶんいい加減な返事をしていたのも見たことがあります。(このあと、奥から職員が出てきて説明をしていましたが、著作権について説明をし直すのにずいぶん苦労をしていました)
著作権について学んできた者にとっては、著作権の意味や意義は分かりますが、著作権なんかまるで意識にない、という人の方がずっと多いのです。その人達に著作権の意味を理解してもらい分かってもらうのには、紛争になったことがないから、という理由では通らないでしょう。

3国を挙げてのIT戦略の観点からもインターネットの情報は、特に制限を設けたページ以外は原則コピーを可能にしてほしい。図書館においてはIT講習会の開催を行っていることもあり、コピーの要望がある。図書館における所蔵資料の著作権の権利制限ということではなくても、どこの施設においても、個人のためのコピーとしてプリントアウトを許可していただきたい。

4「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて 「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについては、第三十一条の二項、「図書館資料の保存のため必要がある場合」に該当すると考えます。
和紙に手書きされたものをコピー用紙に複製するようなもので記録媒体が異なるだけと解釈できるでしょう。

権利制限すべきです。
技術革新によって、再生手段が失われている現状を考えると、権利制限しない理由は見つからない。
仮に新形式での複製物が存在したとしても、図書館に二重に購入を強いる合理的な理由にはならない。
平成15年度の報告書において、すでに結論が出ている問題なので、一刻も早く権利制限すべきである。

今後デジタルボーンの学術資料が大きく増えることが予想され、英国刊行ジャーナルのボーンデジタル化率は2020年までに6割を超えると予測されている【注1】。
こうした学術情報は、貴重な研究成果である電子ジャーナル等を指すことになるが、これらを国立国会図書館や他機関(大学図書館等)はアーカイブしようとしている。というのは、デジタルボーンの資料は消失する可能性が高いからであり、その場合、その時代の学術情報を将来遡及的に閲覧することができなくなることは、日本の学術制度にとって大きな損失であると考えられるからである。
こうしたアーカイブ作業において不可欠であるのは、受け入れ時のデータが再生手段の技術革新によって再生不可能になるのを避けるため、マイグレーション、エミュレーションと呼ばれる、当該情報を新たな情報媒体に移し変える作業である。その際に、著作物の複製が不可避的に必要となる。「審議経過」によれば、この件について賛成多数であったものの、次の2点の留保がつけられている。(1)当該著作物に新形式の複製物が存在する場合は複製を認めない、(2)再生手段の入手困難性について判断基準を明確化すべき、ということである。この留保に対しての批判を示したい。
まず、デジタルボーンの学術情報の量はすさまじく多い。またその種類も多様である。それを受け入れ、マイグレーションするたびに、新形式の複製物がないかどうかをチェックするのは実際の作業者として言えば殆ど不可能であり、仮に行うとすれば膨大な人的コストがかかり、財政上大きな問題が発生する。また、再生手段の入手困難性をそのたびごとに提示するのも同様の問題を孕むが、同時に、その再生手段がどうにか入手できたとしても、その再生手段は、それを閲覧するユーザにとって非常に使いづらい、見づらいという問題が発生する(具体例:Windows ver.3.1でしか使用することのできない再生手段である資料を、この古いヴァージョンをどうにか入手してユーザに閲覧させるよりも、マイグレーションをして、Windows XPというデファクトスタンダードで閲覧可能にしたほうがユーザフレンドリーであり、当該著作も快適に閲覧される)。従って、困難でもなんとか入手できた再生手段は、提供局面において、ユーザに齟齬を与える可能性がある。

このように、当件は、今後のデジタル環境下での貴重な学術資料のアーカイブとその提供が可能になるかどうかという切実な問題に関係している。学術情報流通においてアーカイブは必須の過程であり、それを行うことは、日々デジタルボーンの情報が消失している現在、切迫性を持っていると思われる【注2】。こうしたアーカイブと提供を円滑に行うことができるように、現行31条2項での対処ではなく、著作者の許諾なしに複製を認めることを明記してくださるよう要望する。

【注1】 Powell, David.“Publishing output to 2020”. The British Library
(2004),(online), available from <http://www.bl.uk/about/articles/pdf/epsreport.pdf>
(accessed 2005-10-3)

【注2】9月15日の日本学術会議要望においても、電子学術情報の保存・利用体制の確立が緊迫性をもって求められており、国立国会図書館におけるデジタル・アーカイブ事業への言及がある。“電子媒体学術情報の恒久的な蓄積・保存・利用体制の整備・確立”。日本学術会議会長コメント。
(online), available from <http://www.scj.go.jp/ja/info/comment/050915.html>(accessed 2005-10-3)

4「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて
現行の第31条第2号の「図書館資料の保存のため必要である場合」で処理できよう。
「当該著作物について新形式の複製物が存在する場合」であっても、当該メディア上の著作物「保存」にあたる以上、問題ないと考えるが、争いが生じうるのであれば、立法的に明示することも必要であろう。

○「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することが可能になるようにしていただきたい、という立場から意見を具申する。
○媒体を再生するための機器が旧式になったため、入手困難になり再生ができなくなるケースが出てきている。このような事態に対処するため、例外的に許諾を得ずに複製することが可能になるようにしていただきたい。

図書館の存在意義の一つとして、資料の保存があり、これによって後世に文化が受け継がれる。再生手段の入手が困難である資料を保存のために複製することは、著作物がその内容ではなく再生手段など周辺的な状況によって利用が困難な状況におかれ続けることは、多くの人の眼に触れ、次なる文化を創造することに対して大きな障害となる。
 特に、OSのアップグレードによってCDROMなどが再生不能になることは、今後増加していくことが明らかであり、また時宜を失しては複製が困難になることも予想される。迅速な対応によって、許諾を得ずに複製できるように対処することが望ましい。
「意図して絶版」の場合についても、ひとたび公表したものであり、公表時のままであれば閲覧できるのであって、後世のユーザの閲覧を不可能にすることは避けるべきである。

4「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製すること」について、既に図書館側と権利者側の当事者間協議では結論を得て、平成15年1月の著作権分科会の報告書でも一定の条件の下で認めることが相当であると明記されていることである。その時の条件として示された5項目(1複製部数は1部に限定する、2複製したものの譲渡は認めない、3旧形式の著作物の廃棄は求めない、4「再生手段」の入手が困難とは、新品市場で入手し得ないことを意味する、5当該著作物について新形式の複製物が存在しない)が前提とされるのであれば、認めることに異論はない。なお、「審議の経過」22ページに「現行の第31条第2号は、「図書館資料の保存のため必要がある場合」は、著作権者の許諾を得ることなく複製が可能であることを規定しており、このような現行法の枠組みで対処が可能ではないかとの意見もあった。」とあるが、ここでいう「保存」とは破損・汚損に対して状況を維持するための保存であり、一般には再生手段の存否まで考慮した保存ではないと考えられる。

公立図書館は、図書館資料や情報について、主権者たる国民の知る権利を保障する実質的な役割・機能を果たすことが期待されている。そのため、公共図書館等は、著作権法上でも従来権利制限の対象とされてきたと解している。しかし、情報社会の進展により、公立図書館に求められる情報提供機能の迅速化・高度化への国民の期待が高まっており、また、公立図書館は、国民の情報格差を解消するための地域の情報拠点としても位置付けられていることから、情報化社会に対応した公立図書館の役割を果たせるよう、以下の点について著作権法の改正を要望する。
4「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて
著作権法第31条第1項第2号では、「図書館資料の保存のため必要がある場合」には図書館資料を用いて著作物を複製することができる、としている。公立図書館における保存のための複製は、その設置目的から利用を前提としていると考えられる。しかし、記録のための技術や媒体の急速な変化に伴う再生手段の変遷が近年とみに激しくなっており、常に利用できる状態にするためには、新しい再生手段に合わせた複製を適宜講じないと資料を保存する意義が失われかねない。そこで、このための複製は同条の枠組みで対処できると解するよう要望する。
なお、「再生手段」の入手困難性は事情が異なるため、各図書館等の判断によるものとすべきである。

4再生手段の入手が困難である資料を保存のために許諾無く複製するのを可能にすることへ賛成です。

「存在するけれど使えない」物は「そこに存在しない」と同じ意味です。
再生機器・保存媒体やデータ修復サービスを提供しないのは著作権者・隣接者の怠慢ですから、著作権者・隣接者の権利制限は至極当然と言えます。

大学図書館で所蔵している映像、音響、電子的資料には、現在一般に市販されている機器がその再生方式を実現できなくなった結果、利用者に再生提供できないものが多数ある。特に近年、資料の電子化が進み、電子的資料の出版点数が増大していることに伴い、大学図書館で受け入れている資料にもフロッピーディスク(FD),コンパクトディスク(CD),ディジタル多目的ディスク(DVD)等の電子的媒体によるものが急増している。しかも、それらの媒体及び記録形式、再生のための基本ソフトウェア(OS)は技術の進歩に伴い漸次旧式化しており、現有の機器によっては再生出来ず、貴重な記録内容が利用できず死蔵される状態となっており、このままでは資料自体も老朽化により使用不能の状態となることが予想される。
国立国会図書館における平成16年3月の調査報告(「電子情報の長期的保存とアクセス手段の確保のための調査報告書」(http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/report_2004.pdf))においても、「<電子資料>全体の7割弱の資料の利用に問題があることが判明した。予想通り古い資料ほど利用可能性が低く、読み取り不可能な媒体もあった(5"FD のもの、3.5"FD、CD-ROM にも係らず読み取り不可のものあり)。平成6年度以前受入資料の利用可能性の低さが特徴的である。」との指摘があり、電子的資料の保存のための媒体変換は喫緊の課題となっている。
このような場合、同一内容が新しい形式で市販されていればそれを購入すれば済むが、市販されていないものも多く、利用に供するために図書館において新しい形式への媒体変換が必要な場合が多い。
この、「再生手段」の入手が困難である図書館資料を、媒体を変換して複製できるようにする件については、平成15年1月の「文化審議会著作権分科会審議経過報告」で、「法改正を行う方向とすべき事項」として整理されており、大学図書館は法改正を大いなる期待をもって待っているが、現在までのところ法改正の動きはない。権利者側とも、法制問題小委員会での協議の中で、実施上の条件について合意はできており、一日も早い法改正を要望するものである。

[4]の「「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて」について、「審議の経過」に『現行の第31条第2号は、「図書館資料の保存のため必要がある場合」は著作権者の許諾を得ることなく複製が可能であることを規定しており、このような現行法の枠組みで対処が可能ではないか(22ページ)』とありますが、どのような場合が31条2号に該当し、どのような場合が該当しないのかを示すべきと考えます。

近年の著作物は、電子計算機を通じて使用するものも増えており、OS(オペレーティング・システム)の更新により使用できなくなる場合もあるようですが、個人の使用の場合には、47条の2により、使用するために必要なプログラムの改変が認められているものの、図書館における使用は、47条の2の範囲外と思われますので、文化遺産の適切な保存のため、「「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて」については、早急に実施できるようにすべきと考えます。

図書館は私たち市民にとって、学ぶことを保障してくれる身近なところです。今回、ご検討いただいている1から6につきましては、いずれも図書館の利用者が迅速に、また的確に必要な資料や情報を手に入れるうえで、大切な課題が含まれていると思います。
図書館は資料や情報を提供することで市民の学びや生活を豊かにするという役目を果たしていることから、時代の変遷によって生まれる変化を受け止め、必要に応じて図書館関係の権利制限を見直していく必要性があると思います。こういった視点から16につきましては、各項目についてあがっている要望項目に私も賛成するものです。

「審議の経過」14頁15頁によれば、ベータビデオを新しいメディアに媒体を移し替えて保存することも想定されているようです。しかし、このような法改正には反対です。
例えば、ベータビデオのデータを新しいメディアであるDVDディスクに移し替えるとします。ビデオソフトメーカーは、DVDビデオについてはCGMS、擬似シンクパルス及びCSSといったコピーコントロール技術を施してビデオソフトを提供していますし、ビデオカセットについても擬似シンクパルスによるコピーコントロール技術が施されている場合もあります。ところが、図書館がこのような移し替えを行ったDVDビデオについてはコピーコントロール技術が施されていないのですから、もし、図書館がこのような複製物の貸出を行うとすれば、ビデオソフトメーカーがコピーコントロール技術を施して商品を供給していることが無意味となってしまいます。
また、「審議の経過」38頁3行目に記されているようにDRMが普及すれば、図書館はメディア変換を行うことができないのですから、法改正を行う実益もありません。したがって、このような法改正には反対です。

「再生手段」の入手が困難である図書館資料の保存のための複製については、第31条第2号の規定に基づいて複製可能であるとし、権利者と図書館間で確認されたガイドラインを設けることで対応できないでしょうか。

4再生手段の入手困難な図書館資料を保存のために許諾を得ずに複製することを認めてください。

この要望については、平成14年までの貴小委員会での検討により検討ずみであるものと思われるため、早急に法改正をしていただきたい。この報告書では、「まずは、このような現行法の枠組みでどこまで対処が可能であるか限界を見極めるとともに、どのような場合に対処が可能であるかの判断基準について、検討することが適当」と述べられているが、このような検討はすでに貴小委員会において検討済みであり、その結果については、平成15年に文化審議会著作権分科会が提出した報告書(「文化審議会著作権分科会審議経過報告」(平成15年1月))において記載されているとおりである。
したがって、早急な法改正を望むものである。

「問題の所在」124及び6は、権利制限を行うことが必要であると考える。

この要望については、平成14年までの貴小委員会での検討により検討ずみであるものと思われるため、早急に法改正をしていただきたい。この報告書では、「まずは、このような現行法の枠組みでどこまで対処が可能であるか限界を見極めるとともに、どのような場合に対処が可能であるかの判断基準について、検討することが適当」と述べられているが、このような検討はすでに貴小委員会において検討済みであり、その結果については、平成15年に文化審議会著作権分科会が提出した報告書(「文化審議会著作権分科会審議経過報告」(平成15年1月))において記載されているとおりである。
したがって、早急な法改正を望むものである。

「新形式の複製物が存在する場合は除くべき」という指摘があったとのことだが、例えば大正、昭和初期に出された有名な作品(出版物)で、初版ものなどは、貴重で、特に研究者にとって、いくら後で新形式の出版物が出ても、出版された当時のものというのは特別である。そういう場合は、入手が困難であるので、複製を作った上で、もとの資料は保管して、一般には複製を使うのが妥当だろう。新形式の複製物が存在するからと言って、もとの資料にはまたそこに価値がある。新形式の複製物が存在するからといって、必ずしも事足りるというものではない。

4入手の困難性に関して判断基準等の検討をすすめ是非コピーできるようにしてほしい。
入手困難な資料については「他館の要望に応じて」も複製できるように希望している。

昨年(2004)度の著作権改正要望事項でも、社団法人日本図書館協会から「『再生手段』の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製できるようにすること」という要望についてから関連要望項目:資料2‐1の4‐3‐(55)との要望が出されており、当音楽図書館協議会からも要望させていただきました。今回も、再度強く要望させていただきます。
〈理由〉確かに現行法第31条第2号で、「図書館資料の保存のための必要がある場合は著作権者の許諾を得ることなく複製が可能であること」を規定しています。審議の過程では、現行法の枠組で対処が可能ではないかとのご意見が出ているようです。しかし、この枠組みでは、「保存のため」が主眼点であるため、図書や雑誌のマイクロ化には適用されますが、必ずしも破損や劣化のための保存ではなく、再生されなければ意味を成さない音楽資料(録音資料・映像資料)の活用のための複製のことが明記されていません。再生手段の技術革新が進むことにより、せっかく収集した図書館資料が、再生手段が入手できないことによって宝の持ち腐れになりかねません。もちろん、当該著作物について新形式の複製物が存在しないことを確認すること、入手の困難性についての判断基準を明確にすること等、著作者の利益を著しく損なうことのないようにすることは大切なことと考えます。そのようなガイドラインを前提とした上で、昨年度出されましたように次のように著作権法31条第4号を新設していただけますよう、強く要望いたします。

著作権法第31条4号
四 一般に入手することが困難な機器を用いることによってのみ再生することができる記録媒体を用いて複製された著作物(当該記録媒体以外の記録媒体を用いた複製物が公に頒布されていないものに限る。)の複製物を一部作成する場合

4「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて、新しいメディアに媒体を移し変えて保存することは、資料の保存のためにも必要な措置である。

5図書館における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について 権利制限すべきです。
官公庁作成広報資料・報告書の趣旨から言って、権利制限を行わない理由は考えられない。
「著作権者である国等が「図書館における複製可」などの表記を行えば問題は解決する」との指摘があるが、文化庁が推進している「自由利用マーク」の他省庁に於ける普及状況や、文化庁を含めた各省庁において、著作権の対象とならない「法律」等を掲載しているにもかかわらず、「全て著作権を有する」等の表記がなされている現状を考えれば、そのような表記が行われることは全く期待できない。
一刻も早く権利制限すべきである。

○図書館等における、官公庁作成広報及び報告書等の全部分の複写による提供が可能になるようにしていただきたい、という立場から意見を具申する。
○官公庁の広報資料等は一般に周知させることを目的として作成されているので、図書館等において、全部分の複製物を提供できるようにしていただきたい。

自分の職場では、官公庁作成広報資料及び報告書等で個人貸出をしていない場合もあり、全部分の複写による提供を希望します。

まさに「官公庁作成広報資料については、資料の性格上国民が利用しやすい形で提供すべきではないか、広範に読まれることに意味があり全文の複写はむしろ歓迎すべきことではないか、本来公益目標で作成されたものであり、第32条第2項の対象となる資料については自由に複製を認めて差し支えないのではないか等」の意見に賛同し、その上で「図書館に限らず一般的に全部分の複製を認めるべき」であろう。もちろん著作(権)者である国等が「図書館における複製可」などの表記を行えば問題は解決するが、国(の担当者レベル)にそのような意思はないものと思われるので1、権利制限規定ではなく、13条に規定することも含めて検討するべきであろう。

1ひどい事例では、引用する際に連絡してください、というものもある。本来の引用からすれば、このような要請をすること自体誤りであるにもかかわらず、公然とかかる主張がなされているのである。

全部分の複製物を提供できるように権利制限規定を改めることに賛成である。

5図書館における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供」について、明らかに官公庁がその費用負担で作成・発行し、民間業者を介さずに頒布されるものに限定することが担保されるのであれば、反対する理由はない。なお、「審議の経過」22ページに「著作権者である国等が「図書館における複製可」などの表記を行えば問題は解決する。」とあるが、全くその通りであり、敢えて権利制限を見直さなくても現実的に対応できるものと考える。

公立図書館は、図書館資料や情報について、主権者たる国民の知る権利を保障する実質的な役割・機能を果たすことが期待されている。そのため、公共図書館等は、著作権法上でも従来権利制限の対象とされてきたと解している。しかし、情報社会の進展により、公立図書館に求められる情報提供機能の迅速化・高度化への国民の期待が高まっており、また、公立図書館は、国民の情報格差を解消するための地域の情報拠点としても位置付けられていることから、情報化社会に対応した公立図書館の役割を果たせるよう、以下の点について著作権法の改正を要望する。
5図書館等における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について
官公庁作成広報資料及び報告書等については、一般への周知を目的としたものであることから、公立図書館において全部分の複製物を利用者に提供しても何ら著作権者の利益を損ねることがない。そのため自由利用させるべきと考えるが、その著作物が一般への周知を目的としたものかどうかを図書館等が判断し難い資料もあるため、著作権者が「図書館における複製可」などの意思表示をすべきである。まず、国の刊行物から範を示してもらいたい。

5官公庁作成資料等の全文複製の提供について賛成です。

官公庁広報資料等は、一般への周知を目的としていることから、図書館等において報告書等の全部分の複製物を提供できるようにすることが適当でしょう。

図書館は私たち市民にとって、学ぶことを保障してくれる身近なところです。今回、ご検討いただいている1から6につきましては、いずれも図書館の利用者が迅速に、また的確に必要な資料や情報を手に入れるうえで、大切な課題が含まれていると思います。
図書館は資料や情報を提供することで市民の学びや生活を豊かにするという役目を果たしていることから、時代の変遷によって生まれる変化を受け止め、必要に応じて図書館関係の権利制限を見直していく必要性があると思います。こういった視点から16につきましては、各項目についてあがっている要望項目に私も賛成するものです。

官公庁の作成する広報資料及び報告書については、全部複製が認められてよいと思う。また、法に規定することによって権利制限すべきと考える。

5官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供を認めてください。

そもそも関係機関にいきわたるだけの部数を発行しておくべきかと思いますが、どうしても入手しづらいものもあるでしょう。資料の目的と性質から考えて、全文複写が必要であると思います。報告書類はたいてい全文の構成をみて参照して意味があるので、半分コピーではあまり意味がありません。

この要望についても、早急に法改正をしていただきたい。
この報告書には「著作権者である国等が「図書館における複製可」などの表記を行えば問題は解決するとの指摘」が掲載されているが、この指摘は現実的ではないものと考える。国等が報告書を作成する際、著作権のことを念頭において表示等に留意することは一般には考えにくい。現に、実際に報告書の複写の許諾依頼の際、担当者から「報告書は公表されているものですから複写はかまいません」という回答をいただくことがほとんどであり、報告書の作成担当者の意識としては「図書館における複製可」であると思われるが、報告書においてそのような表記を行っているものは見られない。(現に、この報告書にもその旨の記載は見られない)この報告書においても「基本的に何らかの措置を検討すべき」と記述されていることから、早急な法改正を望むものである。
なお、権利制限を行うべき対象範囲については、例えば、国際連合がその公表文書・資料等の著作権の取扱いについて記載した文書(Proposed programme budget for the biennium 1994-1995, Publications policy of the United Nations,Report of the Secretary-General[A/C.5/48/10](13 Oct.1993))があり、公式記録、国際連合文書、広報資料のうち販売用のもの以外のもの、の3つにつき、著作権を主張しない旨が表明されているが、このような基準が参考になるのではないかと考えられる。

5に関しては、官公庁作成広報資料及び報告書等はそもそも自由に複製等することが可能であるべきであり、権利制限によるのではなく、これらの第13条への追加、又は32条2項但し書きの削除が必要と考える。

この要望についても、早急に法改正をしていただきたい。
この報告書には「著作権者である国等が「図書館における複製可」などの表記を行えば問題は解決するとの指摘」が掲載されているが、この指摘は現実的ではないものと考える。国等が報告書を作成する際、著作権のことを念頭において表示等に留意することは一般には考えにくい。現に、実際に報告書の複写の許諾依頼の際、担当者から「報告書は公表されているものですから複写はかまいません」という回答をいただくことがほとんどであり、報告書の作成担当者の意識としては「図書館における複製可」であると思われるが、報告書においてそのような表記を行っているものは見られない。(現に、この報告書にもその旨の記載は見られない)この報告書においても「基本的に何らかの措置を検討すべき」と記述されていることから、早急な法改正を望むものである。
なお、権利制限を行うべき対象範囲については、例えば、国際連合がその公表文書・資料等の著作権の取扱いについて記載した文書(Proposed programme budget for the biennium 1994-1995, Publications policy of the United Nations,Report of the Secretary-General[A/C.5/48/10](13 Oct.1993))があり、公式記録、国際連合文書、広報資料のうち販売用のもの以外のもの、の3つにつき、著作権を主張しない旨が表明されているが、このような基準が参考になるのではないかと考えられる。

現行の著作権法ではインターネット等が急速に普及した今日では対応が困難になってきています。また著作物が出版されてから品切れ・絶版になるスピードが早まり、その頻度が増加し、国民にとって購入による入手が困難な場合も多くなってきています。
そこで次の点について著作権法の改正を求めます。
4図書館において官公庁作成広報資料等の全部分の複写による提供ができること

広範に読まれることに異議があるとは言うが、現実には官公庁の広報資料は案外図書館になかったりする。全部複写を認めるべきである。

5図書館から官公庁作成広報資料や報告書等の全部のコピーを個別に著作権者に求めると、断られたことはない。官公庁はかえって広報のため、積極的にコピーをすすめてほしい。この項については、図書館と著作権者の合意がとりやすいと思われるので、是非早期に実現してほしい。 

5図書館等における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について、その資料の目的からして、全部分の複製物を提供できるようにすべきである。

6第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと、利用者を視覚障害者に限定しないこと、対象施設を視覚障害者福祉施設等に限定しないこと、視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて 著作権法第37条第3項について、視覚障害者以外でも認めることについて、学習障害で読字に困難を持つ人はこの配慮によって大量の知識を得ることが可能になります。そしてそのことは生きる意味にもつながります。ですので障害者手帳や診断書などの証拠の提示が必要とされるかもしれませんが、ご配慮お願いします。またそれに伴って対象施設を視聴覚障害情報提供施設等以外の国立国会図書館、公共図書館、大学図書館等においても認めることに関してもお願いします。また複製の方法を録音に限定しない件についても、弱視の方などは音だけでなく残された視力の活用も含めて情報を得ていますし、上記の学習障害の人の場合など、マルチメディア図書DAISYなどの活用も有効です。そしてこのような読書に障害を持つ人の利用に供するため、公表された著作物の公衆送信等を認めることもご配慮お願いします。

権利制限すべきです。
バリアフリー、情報デバイドの観点から、一刻も早く権利制限すべきです。この項目に関して権利制限を行ったとしても、権利者には不利益をもたらす場面は予想できません。

「障害者による著作物の利用を促進するという趣旨」には賛同する。もっとも、あまりに広く認めると、趣旨との関係であまりに広く権利を制限することになりかねない。政令事項である「対象施設」をより広く認めるところから、検討するべきである。

自分の職場では、活字による読書が困難な利用者の希望に応じて、全国の図書館を探しても見つからない録音図書を製作していますが、少しでも速く確実な提供を実現するため、図書館法に規定する図書館において権利の制限を希望します。
また、利用者の範囲については、視覚障害者に限らず肢体障害者・学習障害者等、通常の方法では読書が困難な全ての人々に広げる必要を感じます。

○今後も、複製の方法や利用者の範囲等を広げていく方向で、具体的な検討を続けていただき、精力的に詰めていただきたい。

健常者と障害者の間で情報格差が生じることは、可能な限り取り除かれるべきである。「提案者による必要性及び趣旨の明確化を待って、引き続き検討する」のではなく、提案者による趣旨の明確化を促し、あるいは問題となりうるケースを権利者側が具体的に指摘し、指摘が妥当であれば適当な解決策を施していくのが適当である。

著作権法第37条第3項を次のように改正していただきたい。すなわち、「視覚障害者情報提供施設」に加えて、図書館法に言うところの「公共図書館」を追加していただきたい。また、貸出対象も「視覚障害者」に限定するのではなく、「活字による読書が困難と法的に認められる者」と改めるべきである。
その理由としては、現行法が視覚障害者へのサービスを進めていく上で、大きな足かせとなっていること、さらに、公共図書館の視覚障害者サービスの利用は登録制をとっており、名簿管理がしっかりやられていて、健常者に流用される恐れは全く考えられないからである。また、図書館資料を自力で読むことができないのは視覚障害者だけではない。長時間文字を凝視できない肢体障害者、本のページがめくれない両上肢障害者、寝たきり老人などいろいろいる。これらの人々は、視覚障害者用に作成した録音資料の貸出を強く願っている。

6(23頁)については、現行法第37条第3項について、「録音に限定しない」「利用者を視覚障害者に限定しない」「対象施設を視覚障害者福祉施設等に限定しない」「視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めること」となっている。
障害を持つ人に対する利用の利便性は認めるものであるが、「障害を持つ人」の範囲が明確になっていないので「障害者の種類を特定する」など、もっぱら障害を持つ人のみの措置にとどめるべきだと考える。
また、対象施設を限定しないことに関しては、関係者間でガイドラインが締結され、一定の条件の下で公共図書館での複製も可能になっているので、あえて権利制限規定を見直す必要性はないと考える。
障害者への公衆送信については、健常者と比較して逆差別の方向のように理解できるが、その点は均衡を図る必要があると考える。
いずれにしても、障害者への対応は「権利制限見直し」により、権利者がその負担を負うべき性質の物ではなく、別の観点から検討すべき問題と考える。

●図書館間でファクシミリ・メール等を利用して複製物を送付することも、認めるのが妥当と考える。これを認めたところで、現行の図書館サービスの枠を超えるとは全く考えられないからである。
●「更に進んで」利用者自身が図書館から受信する場面にも触れられているが、これが実現すれば利用者にとって非常に便利になることだろう。可能であれば是非実現してほしいところである。しかし、複写利用が相当程度に拡大していくこととなれば、権利者の「不利益」を生じさせない工夫が必要でもあり、ガイドラインの作成や補償金制度の創設なども並行して検討した方が良さそうである(補償金の必要ない程度に実現することが望ましい)。

●インターネット上の情報をプリントアウトするサービスについては、図書館が行なうとしても全く問題ないと考える。その適法性を明確にした上で、すぐにでも始めていただきたいところである。私も自身でいくつかのウェブサイトを運営しているところであるが、インターネットというオープンな空間で著作物を掲載する以上、読者が私的利用としてプリントアウトすることには関知していない。いわゆる「黙示の許諾」というのがこれなのだろう。仮に図書館でプリントアウトサービスを行なったとしても、私の「利益」が害されるものとは全く考えられない。プリントアウトを拒否する著作者は、インターネットでの公開を止めれば良いだけの話である。
●プリントアウトの適法性を明確にする際、図書館のみに限定するのが相応しくないとして結論を先送りにするのは妥当でない。もしそうなりそうだったら、きちんと一般論として明確にプリントアウトの適法性を示すべきである。今期の法制問題小委員会で結論づけても全く問題なかろう。文化庁としてガイドラインを示すことぐらいはすぐにでも出来るはずである(こういったガイドラインを示さずして図書館がプリントアウトサービスを行なうのは難しいと思う)。

●「再生手段」の入手が困難である図書館資料の複製については、権利制限を認めるべきである。音楽・映像・パソコンソフトなどにおいては、その再生機器・再生環境が変化していくにつれ過去に購入した資料が使えなくなるケースが多い(レコードからCD、ビデオから DVD、Windows 3.1から95から98から XP、旧 MacOS からMacOS Xなど)。こうした新しい機器・環境が出てくるたびに所蔵資料を買い直すのでは、限られた図書館予算にかかる負担があまりにも大きい。既に所蔵する著作物を何度も買い直すことで、その分本来所蔵されるべき新しい著作物の購入を妨げることにもなりかねない。図書館資料の充実を図り、多くの著作者の利益に資するためにも、こうした資料の複製をできるようにすることは必要である(なお、利用希望者が多い場合にこの方法で複製した資料をずっと使うことは一般に困難であり、そうした必要性のあるものについては新しい機器・環境用の当該著作物を必要な分購入することになると考えられる)。

●図書館における、官公庁作成広報資料および報告書等の全部分の複写による提供は当然許されるべきである。官公庁の発行する資料・報告書を入手するには、最近ではインターネットでも可能にはなっているが、図書館での利用もまた重要なものである。過去の広報資料・報告書ともなれば文献資料として使われることも考えられ、ますます図書館での複写が求められるところであろう(残念ながらインターネットでは全ての資料が入手できるとは限らない)。「『図書館における複製可』などの表記を行なえば問題は解決する」との意見があったようだが、これでは過去に発行された分については解決と言えない。表記をすることは勿論今後の解決策として望ましいところではあるが、それと並行して、過去の発行物に対する国としてのガイドラインを示すなどの手当てが欲しい(なお、図書館での複写に限らず、ウェブサイトへの転載なども含めガイドラインを示していただければありがたい)。

●障碍者による著作物の利用を促進するための要望には私も賛成である。国民の「知る権利」を等しく確保していくために、図書館においてもそのサービスが重要なものであることは議論の余地がない。しかしながら『審議の経過』においては「具体的で特定された提案を待って」などという悠長な方針が打ち出されている。これでは無責任なのではないか。法制問題小委員会においてどこまでが許されてどこからが問題があるのかを示すべきである。それでなければ、提案を出すたびに「具体的で特定された」云々と繰り返す羽目になりかねず、いつまでたっても状況改善は期待できない。法制問題小委員会として障碍者の著作物利用に配慮する姿勢を示すためにも、要望より一歩踏み込んで提言を行なうことを考えるべきであろう。

○障害者福祉関係の権利制限において、視覚障害者情報提供施設等が、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、郵送代替手段として行う公表された録音図書の公衆送信については、権利制限を認めることには賛成する。しかし、その対象は専ら視覚障害者に限定されることを条件にすべきである

6第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと、利用者を視覚障害者に限定しないこと、対象施設を視覚障害者福祉施設等に限定しないこと、視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めること」について、いずれの場合も利用されるのが障害者のみであって、健常者の利用に供することがないようにどのように担保されるかが重要な点であるが、要望ではその点が明らかにされておらず、現時点では反対といわざるを得ない。また、視覚障害者に限定せずに他の障害者にも拡大することについては、障害者の種類を特定することが必要と考える。対象施設を限定しないことに関しては、既に日本文藝家協会と日本図書館協会との間でガイドラインが締結され、一定の条件の下で公共図書館での複製も可能になっている。このように当事者間での解決が図られており、あえて権利制限規定を見直す必要性は乏しいと考える。障害者への公衆送信については、健常者に与える利便以上のサービスを提供してしまう可能性があり、慎重に検討すべきと考える。また、権利制限を行うためには障害者の定義と範囲の明確化が不可欠であり、一般論としての障害者を含めることについては反対である。一般的に、障害者福祉の考え方に何ら反対するものではないが、その解決策として著作権を制限することは、著作権者のみに負担を強いることになります。仮にやむを得ず権利制限を拡大するとしても、その前提として、1障害者向けのサービスが非営利であること、2障害者の範囲の限定明確化が行われること、3現存のビジネスを侵害しないこと、が必要であると考える。

公立図書館は、図書館資料や情報について、主権者たる国民の知る権利を保障する実質的な役割・機能を果たすことが期待されている。そのため、公共図書館等は、著作権法上でも従来権利制限の対象とされてきたと解している。しかし、情報社会の進展により、公立図書館に求められる情報提供機能の迅速化・高度化への国民の期待が高まっており、また、公立図書館は、国民の情報格差を解消するための地域の情報拠点としても位置付けられていることから、情報化社会に対応した公立図書館の役割を果たせるよう、以下の点について著作権法の改正を要望する。
6著作権法第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと、利用者を視覚障害者に限定しないこと、対象施設を視聴覚障害者情報提供施設等に限定しないこと。視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて
公立図書館における録音図書作成を円滑に行うため、著作権法第37条第3項の対象施設に公立図書館を加えるよう要望する。
また、利用者を視覚障害者に限定せず、身体障害者など活字による読書が困難な人を加えるとともに、公立図書館から視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信を認めるよう要望する。

6読書に障害を持つ人へのサービス拡大に賛成です。
国民は平等に情報を入手する権利があります。

視聴覚障害者情報提供施設等に当たらない国立国会図書館、公共図書館、大学図書館等において上肢障害でページをめくれない人、高齢で活字図書が読めない人、ディスレクシア(難読・不読症)、知的障害者等、読書の手段として録音資料を利用している視覚障害者以外の障害者に対して貸し出すために録音資料を作成できるようにする必要があります。
あと活字だけでなく、二次元(絵や写真です。)の図版、著作物も使えるようにする為に、点字・映像資料の作成に対しても著作権者の権利制限が必要だと考えます。
障害者にも「知る権利」はあります。

図書館は私たち市民にとって、学ぶことを保障してくれる身近なところです。今回、ご検討いただいている1から6につきましては、いずれも図書館の利用者が迅速に、また的確に必要な資料や情報を手に入れるうえで、大切な課題が含まれていると思います。
図書館は資料や情報を提供することで市民の学びや生活を豊かにするという役目を果たしていることから、時代の変遷によって生まれる変化を受け止め、必要に応じて図書館関係の権利制限を見直していく必要性があると思います。こういった視点から16につきましては、各項目についてあがっている要望項目に私も賛成するものです。

公共図書館における障害者サービス用資料の作成(録音・拡大文字・ビデオへの字幕挿入等)ができるように法改正をしてほしい。また、その利用対象者も視覚障害者に限定することなく、原資料をそのままでは利用できない人(例、「障害・病気等の理由で原資料をそのままでは利用できない人」のように)に拡大してほしい。
特に録音資料については、
(1)全国で1年間に製作される録音資料の内、公共図書館のものはおよそ3割程度であり、その製作量を今後も確保・拡大していく必要がある。(他施設のみの製作ではまったく不足)
(2)許諾依頼はほとんど承諾される。ただし、著作権者の住所の不明・不在等の理由で、許諾依頼そのものができないケースがある。多数著者の資料の場合、一人でも許諾が得られないと実質的に製作できない。
(3)外国人著者の場合、実質的に許諾が得られない。等の理由から、法改正がぜひ必要である。
また、公共図書館で録音資料を製作するとだれもが利用してしまうのではないかという懸念が一部にあるようだが、(1)録音資料の貸出のために、ほぼすべての図書館で障害者のみ
の特別な利用登録を行っている。(身体障害者手帳の確認等、実際に障害のあることを確認している)
(2)録音資料は書庫等に別置されているものがほとんどであり、仮に公開されていたとしても「障害者用資料」であることが明記されており障害者以外の利用はありえない。
(3)そもそも録音を聞くのは活字を目で読むのに比べ大変不便なものであり、目で読める人が継続的に録音資料を利用するとは思えない。
(録音資料は朗読劇やパホーマンスとはまったく異なるものである。興味で1回聞いてもらっても面倒で最後までも聞けない人が多い。視覚障害者は自分で読めないので不便な録音資料を聞いている。)
(3)公共図書館では法律に定められた人以外の利用を許すことはできない。
以上のことより、だれもが利用してしまうというのは、まったくの誤解である。図書館ではその利用対象者を「障害・病気等の理由で原資料をそのままでは利用できない人」のように規定してもらえれば、それを視覚障害者やそれに準ずるものと考え、適切な運用が可能である。
同様に公衆送信についても、利用者を限定して行うものであり何ら著者の不利益になるものではない。

視覚障害者情報提供施設等が、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、郵送代替手段として行う公表された録音図書の公衆送信については、権利制限を認めることには賛成いたします。
しかし、対象となる障害者の範囲を明確化すべきではないかと考えます。

6ハンディキャップを持つ方が情報を入手するルートを拡大してください。

この要望、特に、(改正条項及び内容)として出されていた著作権法第37条第3項を「視聴覚障害者情報提供施設、公共図書館その他の障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の障害者(以下視覚障害者等)の読書、情報収集等を支援する施設(以下「点字図書館等」という。)で政令で定めるものにおいては、専ら視覚障害者等の貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。」とし、著作権法第37条4項に「点字図書館等で政令で定めるものにおいては、専ら視覚障害者等の利用に供するために、公表された著作物の録音データを記録媒体に記録し、又は公衆送信することができる。」を新設することは、公共図書館の30年来の実績、公衆送信についても1館の実績(点字図書館の実績は2館)を踏まえ、権利制限の問題は、権利者の損失(これこそ実証できないのではないか)以上に、大勢の障害者の損失(資料や情報の不足や遅れによる本人や、支援する人々に必要以上の負担をかけるという社会的損失。障害を持つ人々は、もっと社会的に活躍できる可能性をもっている。)が大きいことは明らかになっていると思う。特に高齢化時代の今日、社会的に一定の活躍をしてきた人が、病気や障害により、それまで得ていた情報が「著作権法」という壁にぶつかり、得られない、あるいは待たなければならない(著者に読ませてくださいとお願いをしなければならない)という時の、悔しさ憤りは当人の生きる意欲をすら失わせるものにないかねない。録音図書を公共図書館で、障害者のニーズに添って速やかに(つまり、著作権処理なしに)作れるようにしてほしいという声は、30年来発信され、今回の要望で、具体的な、改正条文案まで付されて提案されている。これ以上、先延ばしにすることは許されないのではないか。

審議経過全般を見ていて、障害を持つ人の読書や学習を妨げている状態は望ましくないとの認識は得られたと思う。しかし、具体的にどうするかという段に及んでは、特許や薬事などと比べ、あまりにも及び腰との感想を持った。聖域のように扱いながら、具体的なことがイメージできないがために、ただ障害を持たない一般の人も利用するのではないか、ただ怠けて寝ている人とどう区別するのかなど、現場で日々障害を持つ人々の歯痒さに接しているものにとっては、ナンセンスともいえるような声が聞かれる中で、肝心のことが決まらず、「より具体的で特定された提案を待って、改めて検討」などと、また先延ばしにするようなまとめを出されたのでは、結局は何も前進しないのである。
建築や公共交通において、バリアフリー、ユニバーサルということが、法律によっても推進されている今日である。情報についても、総務省の掛け声のもと、障害者の利用に配慮することが言われるようになってきている。そのようなことで考えるなら、本来、著作物を世に出すもの、製品化するものが、排除している人々の存在に気づき、何らかの配慮を義務付けられてしかるべきではないか。公衆に発表されるときに排除している人に対して、公共の施設である図書館等が、公的な責任を背負って、発表者に変わって排除された人々にそれを提供する労を果たそうとすることを、どのようにしたら実現できるのか。公的な責任を持つ文化庁、そして審議会委員は、理解できないなら、代理人としての役人ではなく、直接当事者や、支援者たちの声を直接聞くなど、一刻も早く実現させるためにもっと積極的に働いてほしい。

「複製の方法を録音に限定しないこと」、「利用者を視覚障害者に限定しないこと」、「対象施設を視聴覚障害者情報提供施設等に限定しないこと」、「視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めること」すべて賛成です。
今までの限定条件を外していただければ、読書に障害のある人への図書館情報サービスが充実します。特に今まで録音図書サービスを利用したくてもあまり利用できなかった「上肢障害でページをめくれない人、高齢で活字図書が読めない人、ディスレクシア(難読・不読症)、知的障害者等、読書の手段として録音資料を利用している視覚障害者以外の障害者」へのサービスがやりやすくなります。そして、マルチメディアやインターネットなどの新しい技術をより活用できるようになります。そして、許諾業務があるばかりに遅くなっていた媒体変換資料の製作が早くなります。
米国のInstructional Materials Accessibility Act of 2003のように別の法律を作る道もあっていいと思います。
http://www.theorator.com/bills108/hr490.html

そもそも現行著作権法では、視覚障害以外の「読書に障害をもつ人」が一切想定されていない。「第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと」も必要なことであるが、それ以前の前提条件として対象者の枠を拡げることが必要である。そのためには「現行法の基本的な枠組みの変更」が必要と考える。
このことに関しては、すでに諸外国(米国、オーストラリア、シンガポール、スウェーデン等)の著作権法においては、概ね1990年代後半までに一定程度の解決が図られている。
権利制限の対象範囲の拡大はもちろんのこと、利用対象施設の拡大もされている。我が国においてもこのような諸外国の先例に学びつつ、法改正に向けて検討をすべきと考える。
なお、「より具体的で特定された提案」の必要性が指摘されているが、権利制限の対象範囲については、日本文藝家協会と日本図書館協会との間で合意された「一括許諾システム」の「障害者用音訳資料利用ガイドライン」で例示された「読書に困難を持つ者」で特定はできるものと考える。
ちなみに前述した諸国においては、視覚障害者以外にも多くの読むことに困難をもつ学習障害者等が録音図書を利用しており、教育や社会参加などに関し大きな成果をあげている。

この要望については、それぞれの要件の限定を早急に済ませたうえで、早急な法改正を望むものである。
この要望の範囲については、昨年8月に当協会から提出した要望においては、ある程度の限定を行っている。昨年8月の要望を敷衍して以下に記す。
・対象施設:「視聴覚障害者情報提供施設、公立図書館その他の障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の障害者の読書、情報収集等を支援する施設」に限定。具体的には公共図書館、大学図書館等の著作権法31条適用施設、視覚障害者サービスを目的としたNPO法人等を想定し、政令により範囲を画定。
・利用者の範囲:「障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の障害者」に限定。具体的には弱視者、読字障害者(ディスレクシアなど)、知的障害者、肢体不自由者など病気や障害により、通常の活字の本を読むことができない人を想定し、政令又は省令により範囲を画定。
・利用の方法:録音(音訳)資料の作成、公衆送信(対象を特定の録音・記録方式のものに限定)、拡大図書作成、デジタルデータ作成(専らPCによる読み上げの用に供する目的で行う場合に限る)、翻案(障害者の認識レベルに合わせたもの)
以上、「より具体的で特定された提案」を行った。これを受けて最終報告までにご検討いただき、法改正を実現していただくよう望むものである。
特に、録音図書については、公共図書館においては、すでに30年来、権利者の許諾を得ながら、一般利用者に目的外使用させることなく、許諾の条件に沿った形で障害を持つ人々の読書や学習を支えてきた実績を持つ。
これらの実績に鑑みても、著作権法第37条第3項を、先に記した条件に合うように改正し、特に、対象施設と利用者の範囲を広げることは、何よりも早急の課題である。
公共図書館に録音資料を製作させると誰もが利用してしまうという懸念があるとの意見もあるようだが、録音資料の利用にあたっては、一般とは別の利用登録を行っている。公共図書館が公の施設である限り、著作権法で許容された範囲以外での利用を行うことはあり得ない。また、当該録音資料も別置されているものがほとんどであり、仮に公開されているとしても、障害者用の資料であることが明記されているため、健常者に当該録音資料を利用させることなど起こり得ないことを付記しておく。

複製の方法について、主に弱視者向けの拡大図書は認めてほしいです。最近、大活字本などがありますが、弱視者にとっては、あの程度の大きさでは、まだ、読めません。大活字本はせいぜい高齢者向けという程度です。
対象施設には、ぜひ、最も身近な公共図書館を入れてほしいです。公共図書館の一部では、図書館利用に障害のある人へのサービスとして、すでに音訳などを行っていますが、その権利者への許諾手続きが大変、負担になってきています。
また、最近は職員定数自体の削減もあるため、障害者へのサービスが後退するような現象まで起きつつあります。すでに音声化された資料は、文学など分野にかたよりがあり、図書館での音訳資料の提供は、障害者の学習や生活情報入手に欠くことのできないものです。ここでもスピードが要求されます。手続きに時間がかかりすぎると、障害者自身があきらめて、ひきこもってしまいます。今、視覚障害者はパソコンを大変活用していますが、ここでも高齢の障害者は取り残されています。その状況の認識をぜひ持ってください。
それから、障害者の範囲ですが、これも超高齢化社会の進展と密接に関連しますが、脳卒中などにより脳の一部がダメージを受けたことにより、いわゆる「失語症」になり、認知症とは異なるものの、文字が読めなくなる人がいます。私の父もそうなのですが、私が読み聞かせをしているような状態です。しかし、周囲の人間が読み聞かせをするのも限界があり、地元の図書館でサポートできるようになるとリハビリテーションにも効果があると思います。失語症は認知症とは異なるものの、文字が読めなくなったりするために面倒になり、本や新聞・雑誌などとほとんど関わりがなくなり、本当にボケてしまったりすることもあります。
失語症のような脳の機能障害と認知症とがごっちゃに認識され、QOLの低い生活を強いられている高齢者が増えることは社会・経済にとってもマイナス要因だと思います。
なお、さまざまな「情報障害」との関係については、今後、根本から議論し、著作権法のみならず、体系的な法改正・立法も必要と考えます。

「問題の所在」124及び6は、権利制限を行うことが必要であると考える。

この要望については、それぞれの要件の限定を早急に済ませたうえで、早急な法改正を望むものである。
この要望の範囲については、昨年8月に当協会から提出した要望においては、ある程度の限定を行っている。昨年8月の要望を敷衍して以下に記す。
・対象施設:「視聴覚障害者情報提供施設、公立図書館その他の障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の障害者の読書、情報収集等を支援する施設」に限定。具体的には公共図書館、大学図書館等の著作権法31条適用施設、視覚障害者サービスを目的としたNPO法人等を想定し、政令により範囲を画定。
・利用者の範囲:「障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の障害者」に限定。具体的には弱視者、読字障害者(ディスレクシアなど)、知的障害者、肢体不自由者など病気や障害により、通常の活字の本を読むことができない人を想定し、政令又は省令により範囲を画定。
・利用の方法:録音(音訳)資料の作成、公衆送信(対象を特定の録音・記録方式のものに限定)、拡大図書作成、デジタルデータ作成(専らPCによる読み上げの用に供する目的で行う場合に限る)、翻案(障害者の認識レベルに合わせたもの)
以上、「より具体的で特定された提案」を行った。これを受けて最終報告までにご検討いただき、法改正を実現していただくよう望むものである。
特に、録音図書については、公共図書館においては、すでに30年来、権利者の許諾を得ながら、一般利用者に目的外使用させることなく、許諾の条件に沿った形で障害を持つ人々の読書や学習を支えてきた実績を持つ。
これらの実績に鑑みても、著作権法第37条第3項を、先に記した条件に合うように改正し、特に、対象施設と利用者の範囲を広げることは、何よりも早急の課題である。
公共図書館に録音資料を製作させると誰もが利用してしまうという懸念があるとの意見もあるようだが、録音資料の利用にあたっては、一般とは別の利用登録を行っている。公共図書館が公の施設である限り、著作権法で許容された範囲以外での利用を行うことはあり得ない。また、当該録音資料も別置されているものがほとんどであり、仮に公開されているとしても、障害者用の資料であることが明記されているため、健常者に当該録音資料を利用させることなど起こり得ないことを付記しておく。

障害者が納税者として普通に生活していくために、バリアフリーであるべきである。障害に応じて利用できる方法で資料提供が受けられるようにすべきである。

「要望の範囲が広範に過ぎる」という指摘があったとのことだが、現行の法律の範囲内では、視覚障害者以外で活字を読むことができない人には、資料を読む道が閉ざされてしまう。
日本には文盲はいないと思っている人が多いようだが、少数とは言え、活字を読むことができない人がいる。視覚障害者ではない人たちにとって、それは法の枠組みからはずれてしまっているため、録音図書も利用できず、活字も読むこともできない。このような人たちにとって決して要望は広範とは言えない。

6公共図書館においても、視覚障害者のための録音資料の作成について、著作権者の許諾なく行えるようにしてほしい。録音資料が市販されていればそれを購入することが必要であろうが、量販される資料でないと市販されていない。その資料を録音資料として
作成することが、著作権者の利益の侵害になるとは考えにくい。また、高齢者で活字が読めない方について、大活字本が市販されているものはそれを購入するのが当然であろうが、市販されていない資料も同様と思う。

6著作権法第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと、利用者を視覚障害者に限定しないこと、対象施設を視聴覚障害者情報提供施設等に限定しないこと。また、視覚障害者を含む読書に障害を持つ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて。これらは、障害者の利用を促進し、加速する情報社会の中で、障害者の情報環境を確保するために必要な措置である。

全般 1★
委員によって図書館資料として想定しているものが大きく異なっているという印象を受ける。学術出版物と商業出版物、あるいは商業を意図しつつも少部数のまま絶版になったもの、また発売後相当期間が経過したものと容易に店頭で買えるものといった違いを明確にし、それぞれについて検討しなければ議論が食い違ったままになる。それぞれの立場によってそれぞれ勝手な一面を強調しているように感じた。
また、図書館利用者についても、新刊を読むために利用する者から、研究・調査のために古本を探した後に図書館に頼る者もいる。それぞれの場合において、利用形態や利用する資料の性質は異なるのであるから、権利者の不利益や使用者の利便性や必要とするものを考える際には、個別の検討が必要である。

2★
図書館において資料を入手することの迅速さや障害者などの情報格差をなくすことは、可能な限り迅速に対処すべきことである。さまざまな事例を検討することは必要だが、要望者に整理を促したり、既に検討済の議論を資料として配付するなど、対処に向けてできることがあるように思う。

*医療を後方支援している病院図書館は、著作権権利制限の対象としてはグレーゾーンに属しております。
病院図書館を第31条に該当する図書館として、何らかの形で明文化して頂きたくお願い申し上げます。
機能や使命の面で、病院図書館は第31条に該当する図書館と何ら変わらぬ業務を行っております。
病院図書館には、毎日、臨床上の判断を決定するために医師、薬剤師、看護師、コメディカルスタッフなど、多くの職種が訪れます。
皆、私利私欲はございません。
目の前の患者、家族の苦痛を取り除く、和らげるにはどうしたらよいか、ただそれだけです。
また、大学を卒業した臨床研修医をはじめ、臨床薬剤師となるための実習生も当館を利用しております。
臨床研修を大学で受ける医師、大学附属ではない病院で受ける医師、研修場所が違うだけで文献複写が自由、不自由ということが生じるのは果たして国家の利益となるのでしょうか。
また、いかなる設立母体であろうと、病院の使命は何ら変わりません。
医療従事者は他職種と比較して、異動が多いと思われます。
異動先が文部科学省管轄の大学であろうと、厚生労働省管轄の民間病院であろうと、国立系法人であろうと、医療法人、財団法人であろうと迅速に情報を入手できる環境がなくては命を救えません。

現行の著作権法ではインターネット等が急速に普及した今日では対応が困難になってきています。また著作物が出版されてから品切れ・絶版になるスピードが早まり、その頻度が増加し、国民にとって購入による入手が困難な場合も多くなってきています。
そこで次の点について著作権法の改正を求めます。
5図書館所蔵資料の半分までではなく全部分を一定の期間をおかずに複写による提供ができること

〔意見〕
現行著作権法における図書館関係の権利制限の中には、ファクシミリやインターネットといった現在普通に使われている情報機器類を用いた図書館サービスを展開していくにあたって、不便を感じるものが多い。現在、図書館はネットワークによって緊密に結びついており、図書館間の相互貸借、文献複写などは年々増加している。また、図書館におけるインターネットの利用も当たり前のこととなりつつある。こういった図書館の現状に比して、FAXや電子メールを利用した複製物の送信や、インターネット上の情報をプリントアウトすることにかかる制限は、利用者の理解を得ることは困難である。したがって、図書館に係る権利制限については、図書館の備える公共性の観点から、図書館の権利拡大の方向で進められることを期待する。



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