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著作権分科会法制問題小委員会(第5回)議事録

  日時   平成16年12月22日(水曜日) 10時32分〜12時5分

  場所   経済産業省別館10階 1020号会議室

  出席者
(委員)
  飯村、大渕、加藤、小泉、末吉、茶園、土肥、苗村、永井、中村、中山、野村、浜野、前田、松田、村上、森田、山地、山本の各委員、齊藤分科会長
(文化庁)  
森口長官官房審議官、吉川著作権課長、池原国際課長ほか関係者

  議事次第
  開会
  議事
(1)   「著作権法に関する今後の検討課題」(案)について
(2)   その他
  閉会

  配布資料
資料1   著作権法に関する今後の検討課題(案)
資料2   著作権分科会法制問題小委員会における「関係者間における協議」に関する主な意見の概要

参考資料1   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第4回)議事録
  (※法制問題小委員会(第4回)議事録へリンク)
参考資料2   「著作権法に関する今後の検討課題」(案)と各資料との関連表
参考資料3   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議予定

  議事内容
○中山主査 時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の平成16年度第5回目を開催いたします。
 本日は、御多用中御出席いただきましてありがとうございます。
 前回、「著作権法に関する今後の検討課題」の素案をお示しいたしましたところ、様々な御意見を頂戴した訳でございます。各委員にはあらかじめ送付させていただきましたけれども、前回の御意見を踏まえて修正を加えた検討課題(案)を作成いたしましたので、本日もそれにつきまして引き続き議論をしていただきたいと思います。
 議事に入ります前に、本日の会議の公開につきまして、前回に引き続いて非公開にする理由はないと思われますので、既に傍聴者の方々には入場をしていただいておりますけれども、この点について、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○中山主査 それでは、本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方にはそのまま傍聴をしていただくということにしたいと思います。
 それではまず、事務局から配布資料の説明をお願いいたします。
○山口著作権調査官 本日、配布資料として2点、参考資料として3点ございます。資料1が「著作権法に関する今後の検討課題(案)」、資料2が、本小委員会における「関係者間における協議」に関する主な意見の概要、その他に、参考資料1として、既にホームページに掲載されておりますが、前回の本小委員会の議事録、参考資料2として、前回の本小委員会での御指摘を踏まえ、参照の便宜のために、検討課題案と今までの累次の資料との大まかな対応関係表を作成いたしました。最後に参考資料3として、今後の本小委員会の予定でございます。
○中山主査 それでは議事に入りたいと思います。
 まず、前回の議論を踏まえまして修正をいたしました「著作権法に関する今後の検討課題の(案)」、その他の資料に関しまして事務局から説明をお願いいたします。
○吉川著作権課長 それでは御説明いたします。
 資料1を御覧いただきたいと思います。
 前回の検討課題の事項に「はじめに」を加え、未記載ではございますけれども、「関係者間における協議」という第2章が入る予定です。それから別添で参考となるような資料を付しております。事項の基本的な中身につきましては、変えておりません。
 「はじめに」のところでは、1ページでございますが、前回口頭で御説明いたしました3つの観点を記載しております。
 また、審議のスケジュールが3年程度を要する、そして比較的短期で結論が出るものについては17年秋頃を目指すということを述べております。
 それから、なお書きでは、あくまで現時点での検討対象であって、これを必ず法改正するという判断をした訳ではないということが記されております。
 具体的な中身については事前に配布して、お読みいただいたかと存じますので、詳しくは申し上げません。幾つかの点を補足させていただきます。
 まず、前回2人の委員の先生から御意見をいただきました電気通信役務利用放送の有線放送としての位置付けの問題をどうするかについて、事務局の方でも考えさせていただきましたけれども、以下のような観点から盛り込んでおりません。
 まず第1点は、法制的にやはりインターネット放送との区分をどのようにつけるかというなかなか難しい問題があります。そして、この件に関して国際的な標準がまだでき上がっていないように思われます。有線放送となると、一時的固定等の特別な扱いがございますので、後々国際的な議論になってもまずかろうということもあり、時期が少し早いのではないかと考えております。
 また第2点目としましては、これをめぐります関係者の理解、協力の取付けが若干まだ熟していないのではないかと思われます。コンテンツを提供するであろう放送事業者の皆さん、あるいはビジネス上の競合になるであろう有線放送事業者の皆さん、そして使用料等の関係あるいは許諾の関係で関わる権利者の方々、そういった方々の理解、協力というものがもう少し進まないと難しいのではないかということです。
 3点目は、知財立国の観点からこれを推進するという目的が何であるかというのが若干まだ不明確であると思われます。もちろん関係業者の利益というのはすぐ分かる訳でありますけれども、国民にとってどのような意味があるのかという点につきましては、先日総務省の方ともお話しいたしましたけれども、まだ十分政策上明確になっていないのではないかと考えております。
 以上のような3点の理由で、「知的財産進計画2004」の中に記載がある訳でありますけれども、今回取り上げるというのにはまだ躊躇せざるを得ないかという結論に達したために、ここに加えていないということであります。あえて御説明をして、必要であれば議論していただければと考えております。
 次に、参考資料2を御覧いただきたいと存じますが、これは前回御指摘をいただきましたので、関係団体からの要望などとの関係が分かるような表を作ってみました。必ずしもこの項目だけに限定してととらえてはいけないということで、一番上のところに注意書きが書かれております。あくまで本小委員会の今後の検討では団体要望にとらわれることなく議論を展開していただければよろしいかと存じます。
 それから、資料2でございます。これは今日また議論いただきますけれども、関係者間における協議の位置付けの問題についての、これまでの主な意見を整理したものであります。この中では、例えば2つ目の丸の中では、関係者間協議に適する事項とそうでない事項があるのではないか。すべてを関係者間協議にかけるというのは意味が薄いのではないか、それから4番目などは、関係者間協議はもちろん評価できる内容であればよろしいけれども、そうではない場合もあるかもしれないので、あくまで小委員会として妥当性を評価するという、そういう作業が必要ではないか。そういうような御意見もございます。またこの点につきましては、議論の中で事務局としての御提案を申し上げたいと存じます。
 以上でございます。
○中山主査 ありがとうございました。
 今期のこの法制問題小委員会も、本日を含めて残すところあと2回ということになりました。ということは、次回は最終回でございますので、著作権分科会に諮るための本小委員会としての成案を確定しなければなりません。そこで、本日も前回に引き続きまして、残りの時間すべてを議論に費やしたいと考えております。各委員の積極的な御発言をお願いいたします。
 それでは、今回の案につきまして、関係者間の協議についても含めて御意見のある委員の方は御発言をお願いしたいと思います。
○加藤委員 おはようございます。仕事柄ちょっと出張も多くて欠席しがちで大変申し訳ございません。これまで第3回、第4回のところでも御議論いただいたり御説明いただいたことについて重複をして質問したりするかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。
 すべての検討項目にわたって、消費者としての立場を一言申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもは権利者の権利が侵害されることに対しては、それで良しと思っている訳ではなくて、それは合理的に、侵害されないように担保されなければいけないというふうに理解しております。ただ、それと同時に消費者の権利ということも皆様にお考えいただきたいということがございます。
 その上で、著作権法の30条なり104条あたりのところについて少し、1点質問をさせていただきたいと思います。まず、今日御提案いただきました資料1のところでトップバッターのところに1.基本問題(1)私的録音録画補償金制度について明記されております。これは前回の第4回の委員会のところでも複数の委員の方から御発言があって、ここで協議されたことを議事録等で承知いたしております。
 1つでございますけれども、どういう前提、どういう問題意識でもってこの私的録音録画補償金制度の見直しの必要性ということを皆様がお考えになっていらっしゃるのかということを今日御意見を頂戴できればありがたいと思います。
 それから、その御意見等を踏まえた上で、著作権課長から、これはワーキングチームの1つのテーマとしても適当ではないかというような御趣旨の御発言があったかと存じます。このワワーキングチームの編成について何かお考えがおありなのか、課長のお考えがもしおありでしたら今日お聞かせいただきたいということが1つございます。
 それから、そもそもでございますけれども、私的録音録画補償金制度そのものの現状と申しますか、音楽をお聞きになる方たちの環境並びその機器や媒体を購入した消費者の側の状況を反映した制度に果たしてなっているのだろうかというところをお考えいただきたいと存じます。これは、法制問題小委員会に初めて私参加させていただく訳でございますけれども、それを機にして、この補償金制度そのものを私どもの周辺の消費者団体、私どもも所属しております全国消費者団体連絡会というところがございますけれども、そこの議題にも載せて話をいたしましたけれども、自分たちが購入している機器や媒体にそうした補償金というものがかかっていること自体を承知していないというのが一般的でございます。これは法制現場並びに団体の層が40代とか50代とかあるいはそれ以上のような世代間のところに発生している話ではなくて、やはりこの制度そのものが一般消費者に周知されていないということを御理解いただきたいと存じます。
 これは、最終的にはユーザーが負担するものであるにも関わらず、著作権法の中にもどこにも一言にも消費者ということは出てまいりません。104条あたりのところには製造者団体の意見を聞くというあたりのところは書いてございますけれども、消費者ということは一言も書いてございませんで、これはこの制度そのものがやはり消費税の議論を御覧いただいてもお分かりのとおりに、数%上げるとか、上げないとかという話は通常、国を上げての話になる訳でございますけれども、これを広く知られていないということに問題が起因しているのだろうと思いますけれども、やはり非常に深い話であるにも関わらず、議論が広まり、深まっていないという状況、これを改善しないままにここの機器のところにパソコンを含めるとかも含めて、対象機器、媒体を拡大していくということは、私は反対でございます。
 申し訳ございません。本当は、それはこれからの検討項目を洗い出すというお話でございましたから、詳細な議論についてはワーキングチームも含めてこれからの話なのかもしれませんけれども、第4回のところではかなり踏み込んだ御発言もあったかと存じますので、私はこの場で発言をさせていただきたいと存じます。
 それから、あともう1つでございますけれども、本日の資料1の(7)の政令等への委任ということでございますが、これは第3回ぐらいまでの間に御説明があったのかもしれませんけれども、これは具体的にどういうことなのかということをお聞かせいただけたらと思います。
 とりあえず以上でございます。
○中山主査 ただいまの御指摘の部分、私的録音録画補償金制度は、もし議題に上げないとすると現状維持ということになる訳ですけれども、議題に上げるかどうかについても議論をしてほしいと、こういう御意見でございますでしょうか。
○加藤委員 議題に上げていただけたらと思います。
○中山主査 議題に上げてからということですね。分かりました。
 それでは、議題に上げるということは別に問題ない訳で、拡張するとか、縮小するということは書いていないので、これから様々な意見が当然出てくると思いますけれども、議題に上げることはよろしいですね。
○山地委員 私も私的録音録画補償金制度について1つ意見を言わせていただきますが、もうここまで来ていますので、議題として、テーマとして取り上げることに反対はしておりません。ただ、見直しとは書いてありますけれども、ここに書いてある内容は補償金の制度を強化する内容のみが書かれていると思うのです。しかしながら、現実には、長いこと議論をされておりますが、逆の議論、主張も非常に多い訳でありまして、そのことについて一切書かれていないというのは少しバランスを欠くのではないかと思います。
 関連して、その理由を2点申し上げますと、まず第1は、今、加藤委員も少し触れられましたけれども、これは制度制定時から基本的な問題を抱えている制度であります。ただ他に代替案がないことから、やむを得ずこういう制度を採用するに至ったというふうに認識しておりますので、中長期的に見て、もっと技術が進歩して、個別管理、個別課金などが可能になった暁にはこの制度は廃止されるべきであるという主張がありまして、私もその主張をいたしましたが、そのことについては権利者も同意しております。中長期的には確かにそのとおりです。ただ、とりあえず当面まだ技術の進歩が完全ではないのでとりあえずのところ何とかしてほしいというような認識であります。そういう観点が、ニュアンスが欠如しているのではないでしょうか。
 それから、ここ数年この議論が再燃したときのきっかけは、実はコピーコントロールとかアクセスコントロールの問題があるのです。世界的に見ても、日本でもソニーのレーベルゲートさんなんか一生懸命やっておられる訳ですが、コピー禁止ないしアクセスコントロールが随分出てきて、コピーができない、あるいはコピーをしてもアクセスコントロールの結果、見たり聞いたりすることができないものがたくさん増えているにも関わらず、補償金については従来と同じ仕組みが維持されている。それはおかしいのではないかと。そういう現状を踏まえて制度を見直すべきであると、そういう議論も随分行われた訳であります。ところが、そういう観点が一切提出されていないのが非常に私は問題であるというふうに認識しております。
○中山主査 確かにそうかもしれませんけれども、この30条以下の権利制限のところを議論すれば、恐らく必ずそういう議論はここに書いてなくても出てくると思います。書いていないことが良いかどうかは別として、多分出てくると思いますし、ここに書いてあることに限定されずに議論をしていただくということに当然なるかと思うのですけれども。議題としては、そういうことで上げておくということで、両委員の御意見を承った上で議題として上げておくということでよろしいでしょうか。
○山地委員 議題として上げることは、最初に申し上げたように異議はないのですが、両論あるというようなニュアンスの文章にしていただきたいと思っております。というのはやはりこれからの議論はこれが非常に重要視されて、皆さん、ワーキンググループの委員も含めて、必ずこれを熟知して、見ながら議論すると思うのです。だから今後の議論に、相当に大きな影響があるというふうに私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
○吉川著作権課長 御質問の1.(1)の私的録音録画補償金制度の見直しについてはワーキングチームを作って、そこで議論することになるのかということですけれども、基本問題については、まず法制問題小委員会で議論していただきます。必要がある場合にはワーキングチームを作ることも可能ですし、既存のワーキングチームに案作りをお願いすることはあり得るということでありますが、直ちにワーキングチームを作るということではないと理解しております。ですからこの場の皆様方で議論していただくということです。
 山地委員がおっしゃる点は、メーカー側からの主張であります。文化庁においては、メーカー側と権利者側の協議の場を昨年も非公式な形で作ってみましたけれども、その成果はなかった訳であります。物別れに終わりましたけれども、両者の主張は十分に理解した上で議論をスタートしていきたいと思います。おっしゃったような観点は当然メーカー側の意見としてこの場で聞くなりあるいは紙で取り寄せるなり、適当な方法でインプットしていただければと思います。いずれにせよ、法制問題小委員会としては、権利者側の意見、メーカー側の意見、そして消費者の意見といったものを総合して判断いただくということをお願い申し上げたいと思います。
 それからもう1点の御質問は、1.(7)は具体的にどのようなことなのかということですけれども、これは例えば、権利制限の見直しについて、1.(2)2のような拡大要請がある訳ですけれども、図書館、学校教育、障害者関係の拡大に関してはかなり個別具体的な話になってきますし、機動的に対応していくためにも、3に書きましたように、規律の明確性を確保しながら一定のジャンルについては政令に移すなり、そういうことが考えられるのではないかと、これが1つの大きな具体例であります。
 これにとどまらず、その他にも法律の中で技術的な規定については政令等に委任してより分かりやすくするなり、整理がつくようなものがあれば、ということでその他という形で1.(7)を書いております。具体的な例としては1.(2)3に書いているような、そういうものが現在上がっていると御理解いただきたいと存じます。
○中山主査 よろしゅうございましょうか。
 確かに山地委員がおっしゃるとおり、文字で書かれるとそのような意味を持つかもしれませんけれども、「はじめに」にあるとおり、この案はあくまでも現時点で取り組む対象とすることが適当である課題でありまして、後々いろんな議論が出てくることはもちろん妨げないということで考えているということだろうと思います。
 他に御意見ございましたら。
○山地委員 3ページの2.(2)ですが、前回も私申し上げたのですが、「技術的保護手段の定義の見直し」と書いてあります。タイトルと本文の2行目ですが、私の意識では、定義だけではなく本文の120条の2のところの見直しも含めてお願いしたいという発言をして、吉川課長の方から、了解しました、これは別に定義の見直しに限定しているつもりはありませんという御回答であったと記憶しておりますので、そこは「定義の見直し」というのもやめて、「技術的保護手段の規定の見直し」という表現にしていただけたらと思います。
○中山主査 これは、課長いかがでしょうか。
○吉川著作権課長 それでよろしいかと思います。
○中山主査 そういうことでよろしゅうございましょうか。今の点は。
○加藤委員 政令等への委任についての課長の御説明、理解いたしました。理解いたしましたけれども、私は容易に、法改正ではなくて、もっと簡単な形でもって様々なことを合理的に決められるように簡便化することについては反対でございますので、「政令等への委任の是非について検討する」という形でもって上げるのでしたらよいですけれども、やはり山地委員がおっしゃいましたように、このペーパーの拘束力ということを予想するときには、もう少し明確な文言を書き加え、あるいは削除するとかということが作業的にはもう少し必要なのかなという理解でございます。
 それからあともう1点、関係者間について資料2でございますけれども、これを拝見する限りにおいては、関係者間協議の必要性を前提にした上での議論かというふうに私は理解いたします。第1回目の法制問題小委員会で私が問題提起をいたしました関係者間協議につきましては、前提とすれば私は非常にこの関係者間協議、従来は非常に不透明であり、どういう方がどういう議論をされたのかということが全く分からない、分からないにも関わらず法制問題小委員会を含めて、著作権分科会そのものの議論というものを非常に拘束してきたという経緯があると私は承知しております。そういう協議会の場を、こういうフレームを今後も継続することが本来必要なのかどうかということから議論をすることが必要なのではないかというふうに考えます。
 以上です。
○中山主査 関係者間協議につきましては、これまで前回までの議論を踏まえますと、前期までのようにあらゆる課題について関係者間の協議を行い、その合意をこの小委員会における審議の前提にする、つまりあたかも前置主義のようなことは必ずしも適当ではないというのが共通の理解ではないかというふうに私は理解しておりました。あるいはこの点を含めまして、今後の関係者間協議における協議の在り方につきまして事務局から何か御提案あるいは問題提起がございましたら、お願いいたします。
○吉川著作権課長 それでは申し上げたいと思います。
 主査に今まとめていただきましたように、関係者間協議の在り方に関してはやはり問題があったかと思います。そこで、前回までの御意見、それから今のまさに加藤委員の御指摘も踏まえますと、次のようにしてはどうかと思います。
 今後も今回行いましたように定期的に国民一般の方から改正要望を募集して、その上で様々な検討を本小委員会で行っていただくことにするといたしまして、団体から要望を出す際にはあらかじめ自主的に利害関係者から意見を聴取することを求める、そういうことにしてはどうかと思います。
 具体的には、要望を出す際の様式の中にそういう欄、利害関係者から意見聴取を行いましたかというような、そういう欄を設けて、それに記述していただく。ただ、その聴取の方法につきましては、これはあくまでも自主的に行っていただくものですから、方法を拘束するということはどうかと思いますので、例えばホームページで意見を募集したり、あるいは、知れたる利害関係者と具体的な協議を行うことが考えられると思いますが、方法は団体の判断に委ねてはどうかと思います。
 もちろん協議を求めるといたしましても、合意ということを必須条件とはしない方がよろしいと考えます。合意がなければ要望もできないということでは厳しすぎるのではないかと思いますので、協議とか意見の聴取は強く推奨するけれども、合意までは必須要件とはしないということが適切ではないかと思います。
 また、個人が様々な要望をされる際には、もちろんこういった意見聴取というような欄を設ける必要はないと思います。
 なお、法制問題小委員会の次期以降になると思いますけれども、検討課題についての具体的な検討結果の中間報告について、文化庁の方で意見募集を行っていく予定としておりまして、いわば入口と出口の2カ所で関係者の意見というものを反映するという機会を作ることになる訳であります。
 したがって、従来関係者間協議ということで十分議論をしていただいた上で法制の検討に入るという趣旨は入口と出口のところでの関係者の意見を聞く機会を設けるということで生かしてはどうかと、このように考えておりますが、いかがでございましょうか。
○中山主査 加藤委員、よろしゅうございましょうか。
○加藤委員 この問題に関して最後にいたしますけれども、私、他省庁の委員会でこういう枠組みというのは承知していないのですね。小委員会があり、分科会があり、審議会があって、本来そこでいろんな利害が議論をされて収斂されていくのが通常かと思います。にも関わらず、この著作権分科会にお邪魔いたしましたら、こういう関係者間協議があるということを初めて承知いたしまして、これは何なのかしらというふうに思いました。
 どうして小委員会のようなこういうオープンな場での議論をしないで、関係者間協議というのを存続させる必要性があるのかを私は理解できていないものですから、こういう是非について問うということが全く明記されないのは不本意でございます。
○吉川著作権課長 口頭で申し上げたのでなかなか説明が不十分かと思いますが、まさにおっしゃるように、必ず合意をして持って来いというのはもうやめるという提案でございます。ただ、その関係者で話し合いをするということまで全部やめにすれば、この手法は一切ゼロに戻してもよろしいのでございますけれども、利害関係のある方々の間で話し合いをしてもらおうといった趣旨は残してはどうかと思って、提案を申し上げた次第です。要望する時にはその話し合いについても書いてくださいという程度にするという、いわば妥協案なのでございますけれども、それも必要ないとすれば、この関係者間協議というのはすっぱりやめるということになってしまうのかなと思います。
 要望する前に利害関係の方からの意見を聴取してもらったり、協議をしてもらったりするということは推奨するけれども、合意までは求めてはいないということが今、私どもが提案している内容であります。もし、それも必要ないということになれば、あっさりやめてしまうということになるかと思います。もう一切なしでいくという選択もあるかと思いますけれども、残すとすればという、多少妥協的な考えで申し上げたような提案を考えてみました。了承いただければと思います。
○村上委員 1つは関係者間協議について、それが通らなければ何もできないというのは、これはおかしな話なので、まとまらなかった場合、この小委員会で結論を出すということは、これは当然のことです。それで4項目の「協議が行われた結果」、これは多分まとまった場合を書いてあるのでしょうが、「関係者の意見が十分に採り入れられていると評価できるか否かを検討し、評価できる場合には、小委員会としても尊重すべきである。」という場合は、まずは関係者というのはどこまで含むのかというのが1つの議論になると思います。ただどうしてもおかしいのは、仮に関係者間で合意ができたとした場合に、この小委員会で検討する事項というのは、前提としての「関係者の意見が十分に採り入れられているか否か」の評価、それだけに尽きるものなのかどうかなという点です。これは普通の常識とは大分話が違うので、小委員会でもう一度その合意が相当であったか、妥当であったかというのをここで評価して、それで良いということならば、それで決断とするというのが普通なので、ここの表現は関係者の意見が十分採り入れていれば、それで決するようなものではないという表現にしていただけたらと思います。消費者保護の観点からとか、競争政策の観点からといった場合には、当事者が合意したというだけで、すべてそれで良いですよと言えない場合もあるのではないかと、そうするとやはり、ここでもう1回その点については、合意の内容の妥当性は見直す、ここで評価するという、そういう条項は入れてもらった方が良いのではないかということであります。
○中山主査 今の文章の読み方ですけれども、評価できる場合というのは、関係者の意見が十分に採り入れられていると評価できるという意味なのか、その合意の結果が良いと評価できるという意味なのか、これは多分後者だと思うのですけれども。合意ができていれば拘束されるということはあり得ないと思います。文章中に同じ評価という言葉が二度出てきているので紛らわしいのですが、多分、後者ではないかと思うのですけれども。
○村上委員 その趣旨で分かるように書いてもらえれば、それで結構です。
○松田委員 この関係者間における協議というのは、そう昔からこういう言葉があった訳ではありませんが、実態はあったと思っています。と言いますのは、著作権法の関係で現れる権利者側と、それを利用する側というのはある程度予想されると言いますか、協議するのに適当な両団体というのは想定される場合がある訳でありまして、その場合に、協議を任意にしてもらって、検討の経緯や検討の結果が小委員会や分科会に上げられるということはそれほど私は不自然なことではないように思います。これは場合によると著作権法分野における特殊な状況なのかもしれません。多分他の知的財産法でもあまり見られないかもしれませんし、一般の私人間の権利義務関係が定まるような法制についてもあまりないのかもしれません。ですから、私は関係者間における協議ということが、近年整理されて一覧表にされてオープン化されてきましたけれども、実はそれ以前からもあったし、あっても良いと思っています。
 格別これは法令で定まった協議ではございませんので、任意に行われている訳で、ですからその必要性と経緯と、場合によっては結果を小委員会等が正確に吟味できれば、むしろ任意にやってもらうというような形で小委員会、分科会は受け止めれば良いのではないかというふうに考えております。
○大渕委員 この関係者間協議の点ですが、これは確か本小委員会の第1回でも事務局の方から明確にその位置付けについての基本的な考え方が示されまして、私もそれをお聞きしたときにはまさにあるべき姿だと思いました。この点からしますと、先ほどの御議論は、私が理解しているのとは逆方向となるのではないかと思われます。つまり、従前はこの関係者間協議というのが、先程主査の方から御説明がありましたように、関係者間協議ができない、まとまらない限りはそのマターは本小委員会では本格的には取り扱えないと言ったように、いわば前置主義的な形になっていたので、それが好ましくないということで、むしろそういうものをやめましょうという方向の中で今回は考えてきているものだと理解しています。例えば、本日の資料2というのも、これは主な意見の概要であり、今まで出された意見を覚書的に列挙されているものであって、必ずしも事務局のお考えそのものという訳ではないのではないかと思いますけれども、先程申し上げた文脈で考えてまいりますと、別に透明性がないとかあるとかという話ではなくて、むしろ従前は関係者間協議を前置しなければ審議会の議論に入れなかったというような形になっていたのを改めて、本小委員会中心主義という形で、いろいろ複雑な各テーマの審議を本小委員会で中心的に行っていきましょうということだと思います。、ただ、関係者の協議がなされれば、これは参考資料として受け止めていくことにはなりますが、従前のような前置しないと議論に入れませんというのを断ち切って、本小委員会中心主義に移りましょうということを現在、明確にしようとしている訳なので、むしろ御懸念の点からすると、望ましい方向に向かっているのではないかというふうに私は理解しておりますが。
○山本委員 この関係者間協議の問題については、いろいろ問題あるのではないかなと以前から思っていたのですが、今お話があったように前置主義というような考え方ではなく、そういうものではなく、参考意見という位置付けにするというのはまさにそのとおりだと思うのですが、ここで意見の概要で書かれているところ、まるの2つ目ですけれども、2つに分ける、この区別の関係ですけれども、要は当事者間での意見の調整ができる事柄と、適切な関係者間協議が設定しにくいなど協議しにくい事項とあるのですけれども、基本的に例えば補償金であるとかロイヤリティであるとか、そういうものの協議であれば、やり取りですから、当事者間で話し合えば、それで基本的には調整できる、もしまとまるのであれば、それで良いととられるのかもしれませんけれども、著作権の問題というのは、基本的には権利の設置であるとか、公益の問題なので、当事者間で協議を例えできたとしても、それを尊重しないといけないというような、そういう問題ではないのではないかなと。あくまでも関係者間での協議というのは、そこで、実務に潜在するような問題点がどういうところにあるのか、論点をあぶり出してくれるような、そういう役割にしか期待が、そもそもできないのではないのかなと思います。
 ですから、ここで分け方として、そういう関係者間の協議でもって答えの出せる事項と、そうでない事項という区別はあっても、少しここでの区別の仕方というのは違うのではないのかなと。このような前提のもとに、あくまでもこの関係者間協議の結果は参考にとどまると、「案」という考え方が妥当なのではないか。当事者間での協議で、先程申し上げましたことと矛盾するのですが、補償金の問題であるとかロイヤリティのようにお金の問題であれば、当事者間の調整でやっていただくことは実はできるとは言いながらも、その時の権利者、義務者だけではなしに、一旦立法化されてしまうような事柄であるならば、その後の事業者も拘束することになるという意味で、統一性というのはどうしてもあるので、その協議の結果を参考にはできても、それに拘束されるような形というのは適切でないのではないかというのが私の意見です。
○中山主査 2つの区別のいずれにいたしましても、関係者間協議が即この小委員会を拘束すべきという意見はないと思いますので、程度の問題こそあれ、それはここで議論をするということにならざるを得ないと思います。そういう意味では、恐らく山本委員の言ったとおりなのですけれども、今までの皆さんの御意見を伺っておりますと、要するに関係者間で話し合いができなければ、この審議会で議論しない、あるいは関係者間の議論がまとまれば、もうそれで事実上決まりということにはしません、そして関係者間の協議も、それは一重要な資料として考えますけれども、この小委員会で十分議論いたしますと。こういうことがどうも皆様の合意のように思えますけれども、それでよろしゅうございましょうか。
 では、そういうことで、この関係者間協議のことは進めていきたいと思います。
 他に何か御意見ございませんでしょうか。
○野村委員 3ページの(8)の表現・用語の整理等というところで、もっと前に質問していなければいけなかったのでしょうが、意見を述べます。案では、「基本的には規定の内容を変えることなく、規定を整理することに関して検討する。」ということですが、規定の内容を変えずに、分かりやすいというのはなかなか難しいのではないかなと思っています。実質的に著作権法の中身が変わらないということで条文を整理するということができれば良いのではないかと思います。3年という期間の制約もありますので中身まで変えたりしたらちょっと大変だと思いますけれども、中身が変わらないでやるということで良いと思うのです。「規定の内容」というようにかなり狭く書くと、実際はちょっと難しいのではないかなという気がしますので、基本的に、「著作権法の内容」とか、あるいは「実質的な内容を変えることなく」とか書いて、規定という言葉は削った方が良いのかなと思います。
○中山主査 確かに規定と出てきた場合、狭いかもしれませんけれども、実質的な変更を加えるとなっているから、これは足してもよろしいでしょうか。確かに文章を変えれば規定が変わるといえば変わりますので。
 他に、御意見ございませんでしょうか。
○苗村委員 関係者間協議のことに関連するコメントを1つ申し上げて、それから少し別件のことを関連して申し上げたいと思います。
 先程、吉川課長が、今後、関係者間協議の結果を提案するときに、関係者間協議の結果があればそれについても記入する欄を設けるというお話があって、それは私も良いことだと思うのですが、先程主査がまとめられた合意を含めて、一般的に理解されているのは、関係者間で協議をした時は、その合意が得られてから持って来ることが良いことだという理解だったと思うのです。それは確かにその方がこの委員会としても扱いやすいですから、それはそうなのですが、重要な問題であればあるほど、必ずしも合意は得られないので、その場合には合意が得られなかった事項は何であって、それに対してそれを知った上であえてこういう提案をする理由は何かということを書いていただく、その方がより本質的な議論ができるのではないかという気がします。今までの関係者間協議の問題の1つは、本当の利害関係者が真正面からぶつかり合って、最後に自然に納得して持ってきたのは入れなくて、むしろいわば仮想の利害関係者を作って、そこと合意しましたと言って持ってきたものが何となく受け入れられたのではないかと、これは想像ですが、そのような気がします。
 これは単なるコメントですが、それの延長で、実は先程最初に吉川課長がおっしゃった、電気通信役務利用放送の取扱いに関して少し気になっております。これは必ずしも関係者間協議が行われた訳ではないと思いますが、電気通信役務利用放送事業者と放送事業者あるいは権利者の団体との間で合意が成り立たなかったことは事実のようですし、著作権課としてもこれは現時点で具体的な改正に向けての検討に入るのは時期尚早であると判断されたことは私も十分承知しているのですが、たまたまこの資料の3ページの2.デジタル対応(3)の放送新条約に係る制度の整備というのが入っておりまして、この新条約はまだできておりませんが、現在の案を見ると、具体的に私の理解が間違っていなければ、3条で選択肢が2つ残っていて、そのうちの1つはヨーロッパからの提案で、狭い意味の放送と同時にインターネット上でも同じコンテンツを流すサイマルキャスティングを含めるかどうかということを、ヨーロッパは含めるべきだといっている、更にアメリカはウェブキャスティングも含めるべきだと言っている。これは決着がつかないまま来年に入る訳ですが、その時にこれはこの小委員会としては取り扱わないと決めるのは、何かまさに利害関係者の意見が協議が成り立っていないから議題に上げないと言っておられたような感じがするので、当然、来年の進展によって、もしかしたら新条約の中では、例えばサイマルキャスティングまでは入れるという判断がされるという可能性はあり得る訳ですから、ここで議題にに入れないと決めるのは早すぎるような気がいたしました。
 以上です。
○中山主査 その点は良いでしょうか。
○吉川著作権課長 確かに国際条約案の検討ですから予断は許さない訳ですけれども、我が国政府としてはいわゆる新しい技術を使った、旧来の放送ないし有線放送以外の手法による放送のようなものについては別枠で議論した方が良いと主張しているものですから、ここの放送新条約に係る制度の整備の中では、今おっしゃった点は意識していないところです。ただそうは申しましても、御指摘のとおり、私は何も関係者間の合意ができていないからという理由だけで本件を排除するという、そういうことを申し上げていた訳ではありません。もちろん時期がくればこれを取り上げていくことが必要になるだろうと思いますし、またこの前、総務省の方とお話をした時にも先ほど理由で申し上げました3点について、見通しが立つのであれば、将来取り上げることはやぶさかではない、こういうふうに申し上げているところであります。世の中の流れの中で環境が整ってくれば議題として正式に取り上げる時期が来るのではないかと、このように理解しております。
○中山主査 確か第1回の時だったかと思いますけれども、技術の進歩は非常に早いので、ここで確定的にもうこれだけだと決めてしまうことには無理があるので、場合によっては状況に応じて加えることはあるべきというような議論があったかと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○中村委員 冒頭、課長からも3点の説明いただきまして、どうもありがとうございました。私も関係者との話については苗村委員と同じ見方をしておりまして、この場で3名の委員の方から正式に意見が出ていて、正式な要望も出ていたと思いますけれども、これに反対する意見というのが正式に聞いておりませんので、そのあたりはどこまで斟酌すれば良いのかなと思っております。それが1点。
 それからもう1つ、電気通信役務利用放送法を推進する目的が不明確であるというお話が先程あったのですけれども、それについては、これはコンテンツの流通利用を促進するという目的は非常にクリアではないかというふうに考えておりまして、そうしたことを前提として政府としては知財計画にも載せ、またそもそも立法府が電気通信役務利用放送法という法律を立てて、行政、立法府、双方で推進することで一致しているのではないかなと思っていたのですけれども、政府部内でそのあたりの認識がまだ統一されていない面があるとしたら、そのあたり協議を続けていただきたいという意見です。
 3点目は、解釈の問題で、この場で取り上げなくとも解釈の問題で決着をできる面があるのであれば、少なくともこれは重要な問題だというふうに認識いただいて話を進めていただければと思っております。
 以上です。
○齊藤分科会長 今の点でございますが、苗村委員と中村委員の御指摘の電気通信役務利用放送、これは、本日冒頭に吉川課長から御説明があった中には入っていたのですが、関係者の合意とか、政府内部での調整の他に、著作権法固有の問題があります。一時的固定の制度をこういうところまで広げるということが妥当なのかどうか。これはもう著作権法固有の問題でございますので、その辺を権利制限規定の中の問題でございますけれども、整理する必要があるのではないかと。その辺がクリアできるとかなり伝統的な放送概念を広げるということについて、大きな障害はなくなるのではないかと、このようにも思います。
 もう1点よろしゅうございますか。苗村委員がおっしゃった関係者間の協議でございますが、確かに非常に微妙な問題に限りまして、協議は成立しにくいものでございます。1つの例ですが、冒頭でお話が出ました私的録音録画補償金制度の問題、その解決には10数年かかっています。その時に、最初は、小委員会で、こういう場で検討したのが5年、その後、今度は関係者の協議に移したのです。審議会の外に移してまた5年、そこでは当然のことでございますけれども、補償金を支払う側と受ける側の協議でございますから、結論が出るはずがなく、結果としてまた小委員会に戻して5年、それでようやくでき上がった制度でございます。大渕委員ですか、御指摘のあった小委員会の主体性というもの、これもやはり同時に考えなければいけない訳で、現状追認だけではなく、あるべき法制度を検討するという面がかなり重要かと思います。その辺は主査が整理なさいましたとおりでよろしいと思います。
 以上でございます。
○中山主査 ありがとうございます。他に御意見ございましたら。
○茶園委員 関係者間協議の位置付けと言いますか、この小委員会がそれをどう受け止めるかについては、先ほど中山主査が整理されたことで良いと思いますし、関係者間協議の結果は、法改正を検討する際に参考になると思いますが、恐らく1つの問題は、関係者間協議というものはオープンではないところで行われて、その結果だけが出てくるということにあるのではないかと思います。ある特定の問題について議論をする場合に、1つのやり方として、その利害関係人として知られている方を委員会の中に入れて、委員会において議論をしてもらうことがありますが、この法制問題小委員会は、そのミッションとの関係で、特定の問題を取扱うというのではなく、著作権法全体を検討しようということから、そのようなやり方がとられていないということと思います。ただ、そうであってもクローズと言いますか、オープンでないところで行われた協議の結果だけがこの小委員会に出されてくるというのは、やはり少しいかがなものかと思いますので、例えば何らかの特定の問題を議論する際には、問題によるのでしょうが、可能であれば利害関係人として知られている方をお呼びして、ここで意見なりを言ってもらうとか、何かそういうやり方をとっていただければと思います。
○中山主査 確かに前回までの委員会は、権利者団体の方が半分ぐらいを占めていましたので、いろいろ問題があったということで、学識経験者等を中心にして今回の委員会は構成されている訳ですけれども、関係者を参考人と言う形でお呼びするのはこの小委員会でやったことがありますし、いろんな審議会で当然やっていることでありますので、それは必要があれば当然お呼びするということになると思います。
 それから、これは言って良いかどうか分かりませんけれども、利害関係がある団体についての法改正をやろうと思うときには、あらゆる審議会で恐らく関係者間協議という名前はつかなくても、それは協議なり何なりしているに違いないのですね。見えないところで。むしろこの審議会ではそれをはっきり名前を付けてしまったために問題が表面化したのかもしれませんけれども、しかし実際問題として、関係者間で協議させないということは多分あり得ないと思います。したがって、関係者間での協議を公に認めようが認めまいが、それは当然なされてしまうというか、行われることなのであって、ただそれをどうやってここできちんと意見を聞くかという、そのシステムを考えればよろしいのではないかと思います。ですから参考人等がもし必要ならばそれは当然検討するということで、御意見があればその点についておっしゃっていただければと思います。
 よろしいでしょうか。他に御意見。
○苗村委員 2ページの(4)共有著作権に係る制度の整備に関しての質問です。
 その前に参考資料2で、この項目と関係団体からの要望事項等の番号を対応させていただいたこと、大変私としては参考になりますし、ありがとうございました。
 今の項目について見ますと、これは16番ということになっておりまして、16番の要望事項を見ますと、これはコンピュータープログラムの著作物に関する著作権の共有の場合のことを主に提案されていたように思います。むしろその場合の問題は確かに現実的であり、ぜひ検討するべきだと思うのですが、今書かれた文章では、映画やゲームソフトと書いておられまして、映画の場合、これは後ろの方で人格権という言葉もあるので、さて、文字どおり著作権者が複数いる場合のことを言っているのか、著作者が複数であるかということを議論しているのかが少し分かりにくくなるのですが、この意図は、主に映画のことを検討すべきだと言っておられるのか、あるいはコンピュータープログラムについて検討すべきだと言っておられるのか、いずれなのでしょうか。
○吉川著作権課長 この表現自体は飯村委員から提出していただいた御意見をそのまま活用させていただきました。ですから、私としては共有著作権に関しての議論というのは、関係団体からの強い要望でというよりは、むしろ委員の御発案がもとになっているものだと認識しております。これを議論する際には、共有著作権に関わるような実際の権利者なり利用者から、どういう問題が具体的にあるのか、16番は一応ありますが、その他にどういう問題があるのか、こういったところを実社会の方からお聞きした上で、問題をもう少し絞りたいと考えております。ですから、これはあくまで例であって、映画にターゲットを絞ってこうしようという、そこまでの趣旨ではないと思います。
○飯村委員 今の御説明のとおりでございます。表現に関しては、実際に事件で以前困っていたものがあったので、それをイメージして、問題点として記載いたしました。私の問題意識としては、共有著作物一般に関して、共通の問題点があるだろうという、そういう趣旨で記載いたしました。
○中山主査 おっしゃるとおり共有は、以前ここでも申し上げましたけれども、知的財産法の根幹にひっかかる重要な問題を含んでおりますし、またプログラム業界からも出たかもしれませんけれども、例えば大学と企業とか、いろんなところで現実に問題になっておりますので、かなり幅広い議論になるのではないかと思います。
 他に。
○土肥委員 幾つかまとめてお話をしたいと思いますけれども、先程から問題になっております関係者間協議について1つ先に申し上げておくとすれば、関係者間協議というのは、例えば著作権法制度の根幹に関わるような、そういう権利のあり方とか、そういうところには恐らくあまりなじみにくいのだろうと思うのですが、使用料については、著作権等管理事業法の中にもそれがきちんと書いてありますし、必要な領域というのが当然あるのだろうと思っています。それからそういう協議が非公式にと言いますか、クローズの世界で行われて、それがきちんと法制問題小委員会等のところに伝わってこない方が問題なので、そういう協議がなされたものがきちんと法制問題小委員会に伝わってくる形と言いますか、そういう意味でもそのところは関係者間協議というものを認める必要があるのだろうと思っています。それが1点。
 それからもう1点は、契約・流通小委員会というところが別にあるのですけれども、前回開催された委員会で、代わって質問をするということをお引き受けしたので、今ここで質問するのですが、著作権等管理事業法に伴う改正はここではやらない、つまりここでやるのは著作権法の話だけで、例えば著作権等管理事業法に限らず、プログラムの著作物の登録等の問題もありますけれども、登録制度そのものについては、あくまでも著作権法の話なのかどうか、他の関連法との関係ではどうなのかと、こういう切り分けの話ですね。特に管理事業法との関係でのことについて確認をさせていただきたい、これが2つ目でございます。
 それから3つ目に、これは資料のまさにこのところでございますけれども、3ページのところに3.契約・利用というところに出ておるところがございます。(1)(2)(3)となっておりますけれども。参考資料の方では、そのところはきちんと裁定制度・登録制度・契約ということで、私が言っているのはこの資料のところに一般の方々からの意見のところに関連するところでは、裁定というのが一部入っておる訳でありますけれども、この契約・利用のところを見る限り、その言葉はない。これは例えば契約規定全般の見直し、所要の規定の整備とか、そういうところで見るのかどうか、あるいは裁定というものを考えていない、検討の対象として考えていない、こういうことなのかどうか、この確認なのです。私個人としては、この問題をぜひ検討の対象に入れていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。以上3点について申し上げました。
○中山主査 その点はいかがでしょうか。
○吉川著作権課長 まず、管理事業法関係というのは、これは契約・流通小委員会で今議論していただいておりまして、来期にも引き続き御検討いただくことになると思います。これはまさに契約・流通小委員会にお任せということではないかと思います。それからプログラム登録に関しては、登録制度との絡みで、もしかしたら何かあるかもしれませんけれども、ちょっとまだ具体的な改正課題としては明確にはなっていないということだと思います。必要に応じて、本体の登録制度が変わることと関連で何か改正事項が出てくるかもしれません。
 裁定につきましては、確かににおっしゃるように具体的には書かれていないのですけれども、これはむしろ委員会の方で決めていただければと思います。
○中山主査 裁定は議論するとすれば、ワーキングチームの方でしょうか。契約のところの。
○土肥委員 この資料のですね、整合性の関係からもそういうところで議論をすることかなと思ったのですけれども、違うのですね。
○中山主査 資料の整合性というのは、参考資料2は、こんな意見がありましたということをただ参考のために述べているので、全部こちらに入っているという訳でもないのですが、裁定について議論をした方が良いという意見が大きいのであればどこかに入れなければいけない訳ですけれども、いかがでしょうか。
○前田委員 この裁定という言葉の意味に関してでございますが、ADR的なものをイメージしてのことなのか、それとも、著作権者が不明な場合や発行後3年が経過した商業用レコードに収録されている音楽の著作物に関する裁定の制度など、すなわち67条、68条、69条あたりで著作権法は裁定という制度を設けており、関係団体からの意見でも、現在、著作権についてのみある裁定の制度を隣接権に広げるべきではないかというような意見が出ておりますけれども、今御提案いただきましたのは、67条あたりにある裁定の制度の拡大の御検討という御趣旨なのか、それともいわゆる紛争解決手段としての裁定、現在でも斡旋という制度がございますけれども、斡旋の制度の拡充という御提案なのか、そこをちょっと教えていただきたいと思いました。
○土肥委員 基本的には、著作権の許諾主義と言いますか、そこのところを原則として押さえる限り、恐らく著作物の利用という観点からすると、そこのところが報酬請求権のような形になってしまえば、それは全く問題ないだろうと思うのですが、著作物の利用の促進の観点ですね。利用の促進との関係で、つまり許諾がとれないことによる非経済性をどのように解消するか。今あるようなものの改革も含めて、そういう裁定の仕組みというものが必要なのではないかと、こういう意味です。
○中山主査 要するにあれですね、特許法にも裁定制度はありまして、ほとんど動いていないのですけれども、規定の上ではそれに比べると著作権はずっと狭い訳ですね。例えば、新聞に載っておりましたが、ゲームメーカーが昔のゲームを展示しようと思ったら権利者が分からなくて展示できなかったそうです。しかし裁定を受けようと思ったら、現実問題として手続が大変でできない等の問題があるようです。要するに今の裁定制度は使いにくい、あるいは範囲が狭いから、広くしたらどうかという議論をしてはどうかという話ですね。多分ADRは、ADRでまた全然別個な話になってくるのではないかと思いますけれども。その点いかがでしょうか。契約・流通小委員会の方ではそういう問題はやらない訳ですね。裁定は。仮にもしやるとすればこちらになる訳ですね。
○吉川著作権課長 契約・流通小委員会の方では、具体的に裁定という言葉で課題に挙がってはおりませんけれども、著作権等管理事業法の他に契約に関することについて議題としようという予定はありまして、もしかしたらその中に含めてやるという手もあるかもしれませんけれども、土肥先生が委員長でございますので、いかがでございましょうか。
○土肥委員 お言葉ですけど、これは契約・利用となっておりますよ。多分、ペーパーを拝見したところではそういうふうに読むのかなというふうに思っておったところなのですけれども、ですから、そういう意味からすれば、確認をさせていただいたということで。
○中山主査 そういうふうにというのはどういうふうにでしょうか。
○土肥委員 (2)の中で関連してくるのではないかという意味でですね。
○中山主査 こっちでやって良いのですよね。
○土肥委員 こっちでとは。
○中山主査 これは法制問題小委員会。
○土肥委員 だから、それは切り分けな話ですから、どちらかでやることさえ、できてしまえばそれで良いと思うのですけれども。
○前田委員 先生方から御指摘がありましたように、私自身も、権利者が不明なケースで、何とか利用したい時に、現行の裁定制度では時間がかかるし、あまり実用的でないということから、えいやでやってしまわざるを得ないのではないかと考えた経験もございますし、そういう意味で、裁定制度を使いやすいものにするという検討が必要だと思います。他方、裁定制度は、一種の強制許諾でございますので、権利者の権利に対する影響が大きいことから、いずれにしても慎重な検討が必要であると思います。
 法制問題小委員会で扱うべきか、それとも契約・流通小委員会の方で扱うべきかについては、これは特段どちらでも結構で、それは文化庁、事務局の方で、あるいは両主査がいらっしゃる訳ですので、両主査のお話し合いによって決めていただければ、良いのではないのかなと思います。
○土肥委員 関係者間協議を自粛するということのようですから。
○大渕委員 今の点に関連してですが、本小委員会で行うか、契約・流通小委員会で行うかと今言われたとおりで、結局どちらがやった方がより効率的かという観点から決めていただければと思うのですが、先程、土肥委員の方から、4ページの3.(2)に入れたらどうかという御示唆があったのですが、この(2)は私が確か提案したものと思うのですが、この趣旨からいたしますと、ここに書かれているとおりでありまして、著作権法との契約法等との関係一般ということで専らオーバラミタビリティとか、そういう関係を中心にしておりますので、ここに入れていただくのはあまりよろしくないかと。3.全般のどこかに入れていただくというのが先程のような、フィージビリティ的に、フラガモティックに決めていただければ良いのでしょうけれども、(2)に入れるのは、(2)の趣旨もぼやけるし、先程の趣旨もぼやけるのであまりよろしくないのではないかという気がいたします。
○中山主査 それでは、一応議論をするということでよろしゅうございましょうか。
 どちらに入れるかということですけれども、これは私の感じですけれども、裁定制度というのは、些細なように見えても、実はかなり著作権法の性格付けに影響してくると思います。つまり、特許法となぜ違うかというと、財産法的な側面が強いと、規定の上では強いと、したがって特許法の方が強い強制実施権、裁定実施権を持っていると思います。それを著作権法の中に入れるとなると、多分著作権法を今よりも財産法的な要素を強めるという方向に働くのではないかと思います。しかし、そういう議論もしなければいけないので、もし検討するとすれば、この法制問題小委員会でということでいかがでしょうか。ちょっとあまり大変なことをお願いして申し訳ないのですけれども。
○吉川著作権課長 もちろん最終的に法制問題小委員会で法制面からの観点で検討が必要ということは、まさに主査のおっしゃるとおりだと思いますが、議題の作業量などから見ますと、むしろ先に土肥先生の方の小委員会で少しこなしておいて頂いた方が時間が取れるのではないかなと思います。と申しますのは、今後、3年くらいかけて相当多くの課題の議論をやっていこうということですので、手をつける時期が遅くなってしまうと思うのです。その点、契約・流通小委員会の方は管理事業法という大物が夏ぐらいまでに上がれば、土肥先生がおっしゃった裁定の問題についての検討に取りかかれるのではないか。そして、その結果を活用させていただきながら法制問題小委員会で最後、3年目ぐらいに検討するというのが効率的な気がいたします。役割分担をしていただければ良いと思います。
○中山主査 確かに法制問題小委員会の方は盛りだくさんで、これは私としても大変だなと思っているのですが、契約・流通小委員会の方はそれほど大変ではないと。もし、そういうことであれば、最初に契約・流通小委員会の方で揉んでいただくということでお願いしたいと思います。
 では、そういうことでよろしゅうございますね。こちらの方の委員会もこれは重要な問題ですので、いずれはにらんでいきたいと思います。
○山地委員 1つお願いですが、私の意見書を出しまして、そこで4つ提案したのですが、そのうちの1つで、電子機器等に関する権利制限のうち携帯電話機等に関する事項というのがありまして、それが実は資料1では私的私用目的の複製の見直しというところと、それから技術的保護手段の見直しというところで採用されたのかと思っておりましたが、参考資料2を見ると、1.(3)並びに2.(2)について、関連する関係団体からの要望事項、(92)と(93)ですが、それが入っておりませんので、ぜひこれを入れていただきたいというお願いなのですが。少し細かいようですけれども、私としては非常に大きな問題だと思っておりますので。
○中山主査 この参考資料の2の番号が振ってあるところに入れておけば、よろしい訳ですね。(92)と(93)。
○吉川著作権課長 参考資料2の方は修正させていただきたいと思います。実は何を入れて何を入れないようにしようとかという議論を始まらないようにしたいと思っているのであります。これに番号が入ったからといって、必ず法改正するというふうには理解しないという注意書きをちょっと見ていただく必要があると思います。契約とか、商慣習とか、そういうものでカバーできる問題でないか、どうしても法改正が必要かどうかというところがポイントになると思っております。
○中山主査 確かに参考資料2の上の方には本資料は参照の便宜のためであって、今後行われる検討の範囲を拘束する趣旨ではないというふうに、これを参照していただきたいと思います。
○前田委員 今の機器の保守、修理等を伴う規制については2.(1)に入っていて、そして参考資料2の方で2.(1)のところでは関係団体の要望で(90)〜(97)と入っておりますので、その中に入っているのではないでしょうか。
○中山主査 この表自体がかなりダブっているものですから、そう言われると確かに(90)〜(97)と書いてありますので。
○山地委員 そう読めないこともないのですが、技術的保護手段のところが(92)(93)というのは非常に大きな問題があるのです。ですから、技術的保護手段の定義の見直しとなっているところに、これが書かれていないということで、非常に心配しただけのことですが、別に確かに拘束される訳ではないという趣旨はよく理解しているつもりですけれども、ちょっと問題として大きいのでできればお願いしたいということであります。
○中山主査 分かりました。これは、番号が重複して載っているところもあるのですか。それとも1箇所だけですか。
○吉川著作権課長 重複している可能性はあるそうですので、構わないという方針です。
○中山主査 そこは修正させていただきます。
 他に御意見ございましたら。
○浜野委員 2点あります。1つ要望ですが、「関係者」というのが既得権者と読まれないように配慮をお願いしたいと思います。今、新しい表現とか、新しい流通とか、新しい鑑賞方法を行おうとしている人たちがいっぱいいますから、これまでのルールですべてが決められてしまうと、新しい試みを排除することにならないとは限りません。誰が関係者になるか予測できません。音楽でも今、コンピューター、携帯、ソフトウエアなどの多様な会社などが制作に関わっています。関係者というのが括弧付きですので、御配慮をいただきたいと思います。
 2点目は、既に私は聞いたかと思うのですが、映画は公開時から年限が決定されますが、小説や絵画と全く同じように個人がたった1人で作った作品でも、小説や絵画のように死後70年とされないのでしょうか。映画も個人の著作物のように、個人で作ることができるようになっています。
○中山主査 映画は映画です。
○浜野委員 たった1人で作っても映画は映画になってしまうのですか。不利益があるのではないですか、それは。小説家がたった1人でやったのが死後70年なのに、映像作家がたった1人で音まで編集もしてすべてやったのが何でそうなるのかちょっと私は理解ができません。それも前に少しお聞きしたのですが、もう一度ちょっと御検討いただきたい。映像作家と小説の作家とどこが違うのか、ちょっと私には理解ができないので、御検討いただくようお願いします。
○齊藤分科会長 映画制作者の権利と言いましょうか、この映画の著作物について、公表起算にして70年にしましたね。このときの議論には死亡起算もあり得たのです。つまり、監督等生身の人間がいる訳ですから、それから数えて死後50年という考えもあり得て、計算してみるとそれの方が長い場合もあり得ます。にも関わらず70年を選ばれた訳ですね。これは政策的な配慮もあるでしょう。そういう点からしますと、今御指摘のような若干御疑問も当然出てくることでございます。本来ですと死後50年でもできたはずですが、しかし、著作者が非常に多いという面もございましょうから。
○浜野委員 たった1人の場合をお聞きしている訳です。
○中山主査 だからそれはですね、映画としてそこはあわせますと、御指摘のような問題は残るのです。
○中山主査 御指摘というか、御不満の点もあるのですが、これに限らず、法律をつくる時にはある程度ジャンル分けをしてつくらざるを得ないので、1人で作った映画と、そうでない映画とを分けることは難しいでしょう。小説でも立派な小説もあれば1か月もあれば十分なものといろいろとありますし、発明だって、大発明も小発明も全部あるが、しかし、一律に期間を設けざるを得ないのです。個々的な妥当性を言うと恐らくそれは変なものがいっぱい出てくるだろうと思いますけれども、立法趣旨としては一般的には映画というものはこうだと、だからこうだという立法になったはずで、もし一般的にこうだという前提がもうないということになればこれはまた議論は振り出しに戻ってやり直さなければいけない訳ですけれども、そうやれという御趣旨でしょうか。
○松田委員 今の点も踏まえて、70年、50年の妥当性についてこれから審議する可能性はある訳ですから、そこに盛り込んで話をすれば良いのではないかと私は思いますけれども。
○苗村委員 私は今の松田委員の意見に賛成です。先程、浜野委員がおっしゃったことの続きになってしまうのですが、1人でゲームソフトを作るということは実際にもう行われている訳ですが、そのゲームソフトの中の画面表示が映画の著作物という形で評価された時に、形式的に映画の著作物としての保護期間とコンピュータープログラムとしての保護期間の違いがあるというのはかなり不自然な形だと思いますので、保護期間は一切変えないのであれば、あえてそこに触れない方が良いと私も思いますが、もし今後保護期間を伸ばすとすれば、仮にプログラムの著作物は例えば20代で作ったプログラムの著作物について本人が50年後に亡くなってからさらに70年保護するということ、その映画の著作物の部分は公表してから70年というのはあまりにもアンバランスである。そういった点を含めてぜひ検討していただきたいと思います。
 以上です。
○中山主査 分かりました。それではこの保護期間の見直しの中でそういう議論が出てくる可能性もあろうかと思います。
 他に御意見ございましたら。
 もうこのくらいでよろしいでしょうか。
 もしよろしければ、本日の討議はこのくらいにしたいと思います。
 それでは、本日の議論における各委員からの御意見を本日の案に反映いたしまして、関係者における協議の部分もこれはまだ書いていないのですけれども、これをあわせまして次回の本小委員会開催に先立って各委員にお送りをいたしまして、御意見を一度伺った上で、それを踏まえたものを次回の小委員会にお諮りしたいと考えております。そういう段取りでよろしいでしょうか。
 よろしければ、そういう段取りにしたいと思います。
 それではできるだけ早急に案文を作成いたしまして、各委員に送付をするようにいたします。
 それでは、本日はこれで文化審議会著作権分科会の第5回法制問題小委員会を終わりたいと思いますけれども、事務局から何か連絡事項がございましたらお願いいたします。
○山口著作権調査官 本日はありがとうございました。
 次回、最終回となる法制問題小委員会の日程については、正式にはホームページに近日中に掲載いたしますが、参考資料3にも頭出ししてありますとおり、来年1月17日月曜日10時半から、場所はまた本日と同じこの経済産業省別館のこの部屋を予定しておりますので、よろしく御承知おきください。
 なお、この場をお借りして、1点お知らせですが、文化庁のウェブサイトに、音楽レコードのいわゆる還流防止措置に係る関係資料を掲載しておりますので、御参考までにお知らせ申し上げます。
 以上でございます。
○中山主査 本日はありがとうございました。


(文化庁長官官房著作権課)

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