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著作権分科会法制問題小委員会(第4回)議事録

1 日時   平成16年11月26日(金曜日) 10時30分〜12時24分

2 場所   経済産業省別館10階 1020号会議室

  出席者
(委員)
飯村、大渕、小泉、里中、末吉、茶園、土肥、苗村、永井、中村、中山、野村、浜野、前田、松田、村上、森田、山地、山本の各委員、齊藤分科会長
(文化庁)
加茂川次長、森口長官官房審議官、吉川著作権課長、池原国際課長ほか関係者

  議事次第
 開会
 議事
(1) 「著作権法に係る検討事項(仮題)」の整理に向けた討議2
(2) その他
 閉会

  配布資料
参考資料1   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第3回)議事録
(※著作権分科会法制問題小委員会(第3回)議事録へのリンク)
参考資料2   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議予定

  議事内容
中山主査 ただいまから文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の平成16年度第4回を開催いたします。
 本日は、御多忙中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 今期の本小委員会の最大の役割が「優先して対応すべき著作権法上の検討課題の抽出・整理」にございます点は、既に申し上げたとおりでございますけれども、本日からいよいよ検討課題の素案の検討段階に入るわけでございます。
 議事の内容の公開を一層進めるという今期の著作権分科会の方針に基づきまして、この法制問題小委員会もこれまで議事や議事録を公開して議論を行ってまいりました。そのような方針の下に本日も公開で議論をすべく、既に傍聴者の方々には入場をしていただいているところでございますけれども、本日の議事も公開ということで特に御異論はございませんでしょうか。

 
(「異議なし」の声あり)

中山主査 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をしていただくということにいたします。
 それではまず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

山口著作権調査官 本日の配布資料は、著作権法に関する今後の検討課題(素案)というホチキスどめの2枚ものが1点と、参考資料として2点、既に公開されております前回の本小委員会の議事録と、今後の審議予定でございます。なお、委員の机上には前回までの累次の資料を置かせていただいております。
 以上でございます。

中山主査 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
 それでは議事に入ります。
 まず、本日の議論のために御用意いたしました、著作権法に関する今後の検討課題(素案)につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

吉川著作権課長 それでは、御説明申し上げます。
 検討課題(素案)の作成に当たりましては、中山主査と相談させていただきまして、次のような考え方により取りまとめました。
 なお、最終的に検討課題となった事項も、必ずしも法改正することが決まったということではないと理解しております。
 まず、1年程度の検討で法改正が適当であるとの結論が出たものにつきましては、平成18年の通常国会に改正法案として提出することを考えていきたいと存じます。また、更に時間のかかる事項もこの中に含まれていると思います。それらにつきましては、ある程度改正事項を取りまとめまして、順次取り組んでいくということになると思います。できるだけ多くをまとめて改正ということを考えていきたいと存じます。
 また、2点目でありますが、今回、団体等からの要望がありました権利保護強化に関する個別的課題については、権利者や利用者からの反対が強かったり、環境の整備がまだ不十分であったり、関係府省が反対するものであったり、法制的な無理が大きかったり、それぞれに様々な難点があると考えまして、一部の例外を除いては盛り込むことは適当ではないと考えた次第であります。
 3点目でございますが、著作者人格権に関しましてはかなり御指摘をいただきましたけれども、権利者にとりましては大変機微な問題を含んでおりますので、直ちに様々な権利者の理解を得ることが難しいと考えました。そのため、今回の検討課題とは別に研究グループを組織して、まず理論的・体系的な整理を進めるというところから着手してはどうかという提案になっております。
 なお、大変細かい点でありますが、資料の1.(2)1政令等への委任と1.(7)政令等への委任は、内容として重複しているわけでありますけれども、権利制限の見直しの観点として特に重要性があると考えましたので、1.(2)1の方にも書いておいたという次第であります。
 最後に、全体を流れるテーマとしては、大きく言って3つのことがあるかと思います。1つは、権利者が安心できる法制度をつくるということであります。これは司法救済なども含まれると思います。また2点目は、流通・利用が円滑になる法制度をつくっていくということで、これはかなり多くの事項が含まれると思います。また、3点目としては、従来からかなり御指摘いただいておりますけれども、なるべく国民が理解しやすい法制度にしていくということ。用語の整理等、様々な工夫をしまして、より理解しやすい著作権法の実現に向けて進むということです。こういう3つのテーマがこの中に流れていると考えております。
 以上でございます。

中山主査 ありがとうございました。前回は時間の都合で必ずしも十分な議論ができなかったと聞いておりますので、本日は残りの時間をすべて議論に費やすということにしたいと考えております。各委員の活発な御意見をよろしくお願いいたします。
 それでは、あらかじめお目通しをお願いしております一般の方々や各府省等からの意見などを参考にしつつ、今回の素案について御意見のある委員の方は御発言をお願いしたいと思います。

大渕委員 東京大学の大渕でございます。
 この素案のリストは、前回、潮見委員が事前に配布してほしいという希望を表明されまして、それに沿って今回事前にお送りいただき、ありがとうございました。このために、事前に十分目を通した上で本日の会合に臨むことができました。
 そして、この検討課題(素案)というリストは、先ほど御紹介がありましたとおり、中山主査と事務局の方で御相談の上、数多くのテーマの中から抽出して取りまとめられたということでございます。特に中山主査におかれましては、この期間、入院中、さらには入院直後という厳しい状況の中でこのような案をまとめていただきまして大変御苦心をなされたのではないかと思いますが、ありがとうございました。
 1つ1つについてのコメントは特にいたしませんけれども、全体を拝見いたしますと、いろいろな意味でバランスのとれたリスト案となっているものと評価している次第でございます。
 具体的には、検討の緊急の必要性と、成果が具体的に結実することの現実性という2つの点が重要となってくるのではないかと思いますが、その2つの視点から目配りがされており、バランスのとれた検討課題となっているのではないかと思います。
 なお、この種のリストは、あれも欲しい、これも欲しいというふうにいろいろ入れていきますと、結局は膨大なものとなってしまって、プログラムに例えれば、いわゆるハングアップしてしまって作業が結局は頓挫してしまうということも往々にしてあるわけですが、このリストを拝見いたしますと、そのような弊害を避けて、先ほどのような緊急必要性と現実性の観点から、重要で実現可能性のあるものに絞り込んだめりはりの効いたリストとなっているのではないかと考える次第でございます。
 本日は、このリストにつきまして、委員の皆様からコメントもいただいて、それを踏まえた上でこの素案というのを次第に固めていくという作業になろうかと思いますが、早急にリストを固めて、ここにございますようにワーキングチーム的なものを立ち上げて、本格的にこれらの論点について検討作業を開始していく必要があるのではないかと思います。
 今回の作業は、従前のように単年ごとを基調とするものではなくて、ある程度時間的余裕はあるわけではございますけれども、これをざっと拝見いたしましても、いずれも重要かつ難問ということでございますので、検討時間というのは幾らあっても足りないぐらいでございます。私の希望といたしましては、吟味された上で具体的な作業に早く入っていくことが実りある成果に結び付くものではないかと思っております。
 以上が、事前にお送りいただいた素案を拝見した印象ないしコメントでございますが、一、二点お伺いしたいことがございます。
 まず、2、3、4のところでワーキングチームというのが書かれておりますが、このワーキングチームの具体的イメージというのは、今後リストを固めるのと並行して、ワーキングチームの姿も次第に具体化していくということになるのではないかとは思いますが、お差し支えのない範囲で、どのようなものを考えておられるかというのを御説明いただければと存じます。
 もう一点は、先ほど事務局の方から御説明がありました著作者人格権についての研究グループというものがございますが、それについても具体的にどのようなものをイメージしておられるかについてお伺いできればと思います。
 以上でございます。

吉川著作権課長 まず、第1点目のワーキングチームのイメージについて、今後、具体的に考えますと、この小委員会も並行して審議していただくわけですので、チームの構成員をすべてこの小委員会のメンバーのみとしてしまうと大変御負担が増えます。したがって、例えばこの小委員会の委員の方に座長になっていただいて、若手の専門家の方をプラスして、それから実務家の方、この方たちも加えて作業をしていただく。そして、それをこの小委員会に報告していただく、いわば案をつくっていただくということが重要かと思います。また、案をつくるに際しては、調査研究ということも必要と思いますので、様々な情報データの整理ということも重要な役割になると思います。あくまでワーキングチームですので、少人数で行いたいと思いますし、また、集まってやる作業、それから分かれて各自で行う作業、そういうものを組み合わせて効率的に行っていただくということを考えております。
 それから、第2点目の人格権の研究グループでありますけれども、現在も例えば別の事項について著作権情報センターで調査研究を行っていただいているような例もあるので、外部に委託をして、専門家の方を委嘱して研究していただいた成果をこの場に発表していただくとか、そういうような形でしばらくは進めていただいたらどうかと思っているところであります。

中山主査 ありがとうございます。

小泉委員 読ませていただいた感想を申し上げたいと思います。
 まず、1.(2)2の点につきましては、個人的に意見表明の際にお願いした点でありまして、お取り上げいただいて感謝いたしております。
 それから、1.(1)私的録音録画補償金の見直しの点ですが、これも非常に重要な点だと思います。とりわけ1の汎用機器の取扱いということにつきましては、確かにパソコンによるコピー等が非常に多くなっておりますので、こういったような音楽映像の私的録音とか録画に対して、著作権制度の在り方を検討するという問題意識は非常に理解できます。その際、論点となり得る点を1つ申し上げたいと思うのですけれども、現行の制度では、御承知のとおり、補償金の支払い義務者が消費者あるいは複製を行う者となっておりまして、製造業者というのは協力義務を負っているに過ぎないということになっております。このような制度を維持しつつ、私的複製以外にも利用が十分可能な機器の購入者に対して新たに課金するということに対しては、相当の理屈が必要になってくるのではないかと思います。
 一方、仮に補償金の支払い義務者を機器の製造者であると考えたならば、これは論理必然とは言えないかもしれませんが、少なくとも現行制度の下よりは、主として私的複製に利用される機器であるということを知りながら提供しているのだという形での課金という形で、ロジックとしては正当化しやすいという感じがいたします。この辺は大きな政策の変動を伴うと思いますので、検討課題だと思っております。
 それからもう1点だけ、1.(6)ですが、これも非常に重要な問題でありまして、保護期間の延長ということであります。権利関係の大きな変動をもたらす可能性がありますので、ぜひとも慎重に御検討をいただきたいと思っておりますが、私の個人的な考えを今のところ申し上げておきますと、仮に延長されたとしても、なるべく遡及しないで、すでに多く発生しているものについては適用しないという政策をあわせてとることを御検討いただきたいと思います。
 それから関連しまして、1.(6)2ですけれども、戦時加算については、現在は50年の期間にさらに10年程度プラスするという政策がとられておりますけれども、これも必ずしもなければいけないものではないと理解しております。具体的に言いますと、講和条約の15条というところで権利の通常期間という文言がありますけれども、この通常期間という言葉の理解として、現在の連合国民の著作権特例法の4条というところでは、加算期間というのは旧法でいう30年の期間にプラスして50年の中に吸収されていたのではなくて、50年の期間に外付けするというような移行制度がとられておりますけれども、これは必ずしも必然はないと考えています。
 かりに50年の期間が70年になったとしましても、戦時期間は50プラス20の20の中に吸収されて、70プラス戦時期間とならないようにするということで、あまりにも長い期間が保護期間とならないような、これは条約の解釈として十分可能ではないかと考えております。少し中身にわたり過ぎましたけれども、これで終わりたいと思います。

中山主査 ありがとうございます。

山地委員 2点あるのですが、まず第1点は確認です。1.(3)1についてですが、私的使用のための複製行為を業者に代行させることを可能にする件は、この文言に含まれると考えてよろしいでしょうか。それがまず1点です。
 それから2点目は、2.(2)1ですが、技術的保護手段はぜひ見直すべきだと思っていますが、1は定義を見直すというふうに書いてありまして、120条の2項の見直しが除外されているのですが、私としては120条の2項も含めて見直すべきだと思っております。それについての御意見をお聞かせいただきたいと思います。

中山主査 その点はいかがでしょうか。

吉川著作権課長 まず第1点ですけれども、今後、基本問題に関しては、本小委員会で議論していただくことを考えております。この(3)は容易でないテーマだと思います。私的使用の規定に関して幅広く議論して、一定の見解をまとめるという課題ですので、今、山地委員のおっしゃったことは排除しないと思います。御提案があれば議論していただければと思います。
 それから、2点目の方の御指摘ですけれども、これも事項として挙げたものについてはいろいろな可能性を排除するというつもりではありませんので、もし必要があれば、それも含めて検討していただくということは一向に差し支えないと思います。いずれにしても、皆様方の御判断にすべてお任せしたいと思っております。

中山主査 他に御意見ございますか。村上委員、どうぞ。

村上委員 1点だけ、最初に質問させていただいて、その後、意見を申し上げたいと思います。
 ワーキングチームの方の(2)契約規定全般の見直しというところで、特に私的自治を尊重しつつ、契約に係る所要の規定の整備と書いてあるわけです。この内容は、いろいろなことが書かれてあるので、現行の著作権法にある契約関係規定を廃止するということから、基本的には非常に幅広い契約条項にわたって当事者が決めない場合、大体のところはむしろ契約関係によって決まることが多いと思いますけれども、当事者が決めない場合に裁判所が判決を下す際の解釈規定になる。そういう意味で任意規定的なことで議論していくというのか、それとも当事者の合意でも破れないと言ったらおかしいですが、強行規定的な内容まで定めて契約条項に対する制約という形で議論するのか、その辺、全部を含めて検討するというお答えもあると思いますが、どの辺ぐらいまでカバーするのかということが質問になります。

吉川著作権課長 恐らく我が国の著作権法の契約に関する条文を見ますと、数が少ないことが特徴だと思います。非常に細かな契約に関する規定を持っている国、そういう特色を持っている国もあります。恐らく強行規定をたくさん設けているところはないとは思いますけれども、これも私がお答えするということよりも、この契約規定の在り方について、専門の先生方がどうお考えかということ次第かと思います。あらゆる可能性を排除いたしませんけれども、法制で契約に多くの縛りをつけるということは基本的にはないものと思います。

中山主査 これは恐らく、村上委員がおっしゃった2つの両方とも議論すべきテーマだろうと思いますし、1の方は、もしこれを議論するとすれば、権利制限規定が強行法規になるかどうかという話になると思いますし、2の方は契約がないときに裁判所がどうするかということを規定するかどうかという話になってくるのだろうと思います。恐らくそれは両方当然議論の対象になるのではないかと思います。

村上委員 今の話を踏まえて1点だけ意見になりますけれども、そういう意味で、かなり広くやられるということならば、ここのところと、それから1番目の基本問題のところに(4)として特に共有著作物に関する制度の整備というので、持ち分とか共有者の利害調整をどうやるのかということが載っているのですが、私は、これも実際には先ほどの契約関係なり解釈規定の問題の話に尽きるのではないのかな、やはりこれも基本的には当事者間の契約内容で決まる内容という形で認識しています。例えば、今度は放送番組の委託制作の場合には、放送局と制作会社が共有するような約束にしているわけですが、それでもどうやっているかというと、放送会社なりどちらかを管理の責任者として契約上はっきり定めて、それで共有の意味がどこにあるかというと、二次使用料の配分比率を6対4とかきちんと契約に書いて、それで処理するという形になります。ある意味で共有になった場合に当事者間の権利関係をどうするのかというのが、かなりのところ契約事項で決まるので、法律で定める場合には何も書いていない場合には、基本的にはどういう形の権利関係になるとか、といういうふうに推定するとか、ということを任意規定として、その辺の形でつくれば十分なのかなという気がします。そうすると、この(4)あたりはむしろ契約事項のところで一緒に検討していいのかなと、そんな気がしました。全体としては問題ないですが、そこだけが意見となります。

中山主査 これは、当然重複している問題も出てくると。先ほど課長から話がありましたように、重複しているものは当然あるわけですけれども、ただ、共有は特許とちょっと違うという点は人格権があることです。そのために少し違うので、純粋な財産権だけ見れば、村上教授がおっしゃったような話になると思うのですけれども、そこのところをどうするかという議論が当然出てくると思いますけれども。
 他に御意見あるいは御質問でも結構でございますけれども、ございましたら。

苗村委員 先ほど確か小泉委員からも御意見があった1.(6)の件ですが、2の戦時加算特例について私自身不勉強で知らないのですが、廃止することによって保護期間が延長されるというふうにこの文章の書き方では読めるものですから、(6)のタイトルは保護期間の見直しとしていただいた方が誤解を招かないのではないかと思うのですが、それはよろしいでしょうか。
 いずれにしましても、他の部分はいろいろな見直しとか整備などと書いてあるのに対して、(6)は非常に明確に延長と書いてあるものですから、延長すべきかどうかを含めてぜひ慎重な検討をしていただきたいと思います。
 以上です。

中山主査 (6)の議論としては、保護期間を仮に延長するとすれば戦時加算を廃止しなければだめだと。延長した上に戦時加算ではどうしようもないというさっき小泉委員のおっしゃった議論があるので、多分こういう文章になったと思うのですけれども、廃止によってさらに延長するという趣旨ではないと思います。文章の問題はまた考えさせていただきたいと思います。
 他に御意見ございましたら。山地委員、どうぞ。

山地委員 検討の仕方とスケジュールについて質問ですが、備考の3を読むと、今後はワーキングチームに引きかえて検討すると。この法制問題小委員会は、一応一段落というふうに思います。
 それと、後から御説明があるかと思うのですが、参考資料2でスケジュールを読みますと、2月以降はワーキンググループをやるけれども法制小委員会はやらないというふうにも読めます。平成17年度のスケジュールですが、16年度と同様だとすると、第1回目が8月になるわけですが、11月には検討結果をまとめないと立法作業が間に合わないだろうと思います。
 そうしますと、私の懸念は、基本問題が8つあるのですけれども、3回とかその程度の法制問題小委員会で一体まとまるものであろうかということを大変懸念いたしておるのですが、スケジュール等について、事務局としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

吉川著作権課長 ちょっと簡潔に書き過ぎていて読みにくいと思うのですが、法制問題小委員会は、これまでのペースと同様のペースで開いていただくつもりであります。ですから、基本問題については、まさに1つ1つ大きなテーマであり、一、二回の審議で方向を決するのは難しい問題も多く含まれていると思います。どういう順番でやっていただくのか、また主査ともよく御相談の上ですけれども、これだけのテーマですから、例えば11月までに、全部決着するとはとても思えないわけでございます。ですから、ある程度早くやるべきものを早目に審議をして、それではワーキングチームにこういう方向で作業をしてもらおうということを決めていただいたら、次の問題にとりかかっていただくというようなやり方もあると思います。
 また、ワーキングチームは、必要に応じて4つ目をつくることも可能であるということを備考のところに3で書いてあるわけであります。
 また、先ほども少し御議論がありましたけれども、例えば3のワーキングチームの契約利用のところでやってもらった方がいいということであれば、追加してその事項を契約利用の方にお願いしようと、こういうことも可能だと思います。すべての問題が1年間程度で解決できるとは思っておりません。以降、3年ぐらいかかるというようなものも検討を始めるというところに今回の検討課題を取りまとめていただく意味があると思うわけであります。
 ですから、時間のかかるものも取り上げて、そして、そのゴールを目指していこうというのが今回の趣旨でありますので、この小委員会がずっと開かれなくなるというのは全く誤解でございまして、お忙しい中、恐縮ですけれども、1カ月に1回以上は開かせていただきたいというふうに考えております。

中山主査 他に御意見ございましたら。

中村委員 1点質問させていただきたいのですが、前回、私欠席いたしまして意見の説明をしなかったのですが、4点提出いたしまして、1点が簡素で分かりやすい法制度にすること、2点目が紛争処理とか資本を充実すること、3点目が私的録音録画補償金の見直しと、それらは挙げていただいておりまして、いずれも立法関連なのですが、4点目として、通信と放送の融合を促進する方策を、具体的に言いますと、電気通信役務利用放送に関する政府の見解の整理というのを掲げていたのですけれども、他にもどなたか御指摘になっていた方がおられるかと思いますが、それはリスト上、言及されていないように見受けられますが、それは今回、冒頭に課長がおっしゃったようなことから見送りになるのか、あるいは立法案件でないのでリストに載らないということなのか、そのあたりの処理についてお教えいただければと思います。

吉川著作権課長 その件につきましては、いわば有線放送の定義を拡大するかという議論だと思います。これについては、立法によって解決するのか、それともそうでない方法もあり得るのかと、その論点もあるとは思いますけれども、事柄として、有線放送の拡大については、権利者側からの不安、それから放送事業を実際にやっておられる皆さんからの異論といいましょうか、そういうものがございまして、直ちにこれを挙げて議論して詰めていこうということには、まだ状況が至っていないのではないかというふうに思いましたので、ここで挙げていないという状況であります。
 関係者の理解を得ながら進めていきたいと思いますし、また、実際的に現在ブロードバンドで様々なコンテンツが流れる中で、特に放送番組の2次利用についても、実は私どもも松田先生の御協力も得ながらかなり重点的に検討しておりまして、近々12月1日にシンポジウムを開いて関係者一堂が集まって、コンテンツの流通を促進する、そういうことに取り組んでおります。定義の見直し等については、まだ状況が熟していないというふうに考えております。

中山主査 松田委員、どうぞ。

松田委員 現段階では感想程度のことしかございませんけれども、権利者もそれから放送事業者の方もコンテンツが流通すること自体、これはむしろ促進すべきだと考えておりまして、ブロードバンド送信配信業者の方も、もちろんそういうコンテンツを配信することにもっと拡大してくれということについては、実は争いがあまりないのです。そういう方向性だろうということは、大きな流れとしては御理解があったと思います。したがいまして、現行法制上で権利処理がきちんとできるのかどうかとか、それから具体的な取引において細部まで配分ルールがきちんとできるだろうかということの実務をまず先行させて、その様子を見るべきだなというふうには思っております。
 大きな流れとしては、両方ともそういうことで話し合いを進めていこうということの意欲は私はあるように見ております。

中山主査 ありがとうございます。他に御意見ございましたら。浜野委員、どうぞ。

浜野委員 2ページ目のデジタル対応ですが、今、中村委員が御指摘のように、放送と通信のこともあるのですが、コンテンツとハードウェアとの関係もあると思います。例えば、テレビ番組のハードディスク録画は、ユーザーの利便性を考えてCMをスキップして録画できるようになっています。CMを主な収益としている民間放送局ではCMをスキップできないように、DVDの制御規制信号のような機能をテレビ信号に入れようかどうかという議論をしています。そうなると、もしハードメーカーがその信号を破る機能をつけて、CMをスキップできるようにすると、それは違法なのでしょうか。放送番組というのはCMが入った全体を著作物というのかどうかというのがよく分かりませんが、ユーザーの利便性を考えたそういったハードウェア側の配慮が著作権法違反になるのかどうかというのは、よく分からないので検討していただきたいと思います。さらに、デジタル技術は急激に非常に進行し、ハードディスク内蔵型録音機というのも、来年からミュージッククリップの動画配信が予定されています。1ページの1.(2)で録音機器等の「等」という言葉に映像も含まれていると思いますが、ぜひそういった技術の進行も見越した御配慮をいただくとありがたいと思います。

村上委員 私も今の問題は重要な問題だと思いますが、論点ははっきりしていると思っています。放送番組はどこがつくるかというと、金を出しているのはスポンサーであり、コマーシャルを出すところが番組の制作費を出して委託しているわけです。ですから、さらに2次利用するような場合に、コマーシャルの部分だけ完全にカットして回すということになると、一番お金を出してつくってコマーシャルを入れているものについて、そこをカットするという話なので、結局2次使用で使う場合に、今は共有者として放送局と、それから番組制作会社がありますけれども、その他にコマーシャルをつくったところとか、そういうところまで2次使用料を配分していくようなシステムができるかどうか、その辺に論点があるのかなという気がしています。

永井委員 私は、あまり法律は詳しくないのですが、著作物という著作権法全体が非常にまだ活字のメディアだけを対象にした文言になっているわけですね。結局、クリエーションということだと思うのです。創造的な創作的に表現したものであってというのですけれども、創作は何かというところがいま一つはっきりしないので、いろいろ混乱があると思うのです。私、今おっしゃったお金を出したものが権利者であるという側面、それは経済的に見るとそうなのですが、それはクリエーションとは結びつかないのですよね。そこは分けて、主催者と創造者というふうに分けるとすると、その辺のところの切り分けも必要なのではないかと思います。

中山主査 一応、お金を出した人が著作者ではなく、権利を持つのは創作をした者であるということは明らかです。
 創作性とは非常に難しい問題ですが、一応は書いてありますけれども、今後立法論として扱う問題なのかということになります。今ある条文の解釈としては一応明らかになっています。

野村委員 昔、コンピューター著作物について議論したときに、イギリスの著作権法で、確か著作物の作成についてアレンジメントをした者に権利を与える旨の規定があり、永井委員の発言のような議論がなされています。

中山主査 これは解釈論として非常に難しい問題で、恐らくイギリスは人格権の問題が日本と違いますので、かなり財産権的に考えることができるので、マネージした方に権利を全部与えても当時として問題なかったと思うのですけれども、日本の場合は人格権を含めてどう解釈するかという問題が中心になろうと思います。立法の検討課題となると、かなり難しい面もあるのではないかなという気がするのですけれども、いかがでしょうか。何かその点、御意見がございましたら。
 松田委員、どうぞ。

松田委員 今、主査が御指摘になったように、実は今の問題も人格権との関係が出てきているのですが、世の中の多くの議論は、やはりそこに突き当たってしまうということの論点というのがいっぱいあるのです。それはとりもなおさず、技術が進んでいろいろな利用方法が可能になり、デジタルネットワーク化によってコンテンツがかなり自由に送受信できるということから生じる利用のための利便性を貫いていけば、今言った人格権的なところとどうしてもぶつかる。そういう大きな流れが実は多分備考の2の研究グループで検討しなければならないのではないかというふうに思うわけです。この研究グループは、組織的、議論的、体系的と言いますけれども、これから起こるかもしれない、もう現実に起こりつつありますけれども、その問題点をどんどん出してもらって、そして、そこに見えるといいますか、全部問題を抽出してみると見えるラインで権利を見定めないといけないのだろうと思います。研究グループの責任が重くなりますけれども、こういうところの議論をそこにも投げると、こういう仕組みが必要なのではないかと、そのように思います。

中山主査 松田委員がおっしゃるとおり、これは著作権というものが現在どうあるか、どういう状況にあるかという世界の状況を見てみると、やはり経済的側面の方に重点が置かれつつあると思います。産業上の財としての面が強くなってくると思います。そうなってくると、やはり人格権等の折り合いをつけるかという点で非常に大きな問題になってくるので、松田委員がおっしゃるとおり、明日の立法というのは難しいので、これはやはり研究グループで揉んでもらう必要があろうかという気はいたします。よろしくお願いします。しかし、大変な重荷を背負うことになりますけれども。
 他に御意見ございますか。

苗村委員 今のこととも若干関係するのですが、多分、この研究グループは比較的問題領域を幅広く捉えて体系的な検討をされるのだろうと思うのですが、それに対してワーキングチームの方が書かれている課題を狭く具体的に捉えて検討するのか、あるいは周辺の問題も合わせて検討するのかというのが重要なような気がします。
 私は、特に先ほど既に御発言もあったデジタル対応の中の、例えば電気通信役務利用放送事業者の場合、問題は放送新条約との関連もありますので、少なくとも議論していただいた方がいいのではないかと思いますが、あるいは先ほど御指摘のあった放送番組のコマーシャル部分の削除の問題も過去の御議論の一環で議論していただいた方がいいのではないかと思いますので、もし可能ならば、このデジタル対応のワーキングチームの検討項目は少し幅広く捉えていただいた方が、この周辺に重要な課題、必ずしも解決できない課題かとは思いますが、そういったものについても整理ができるのではないかと思います。
 以上です。

中山主査 ありがとうございます。他に何かございましたら。

齊藤分科会長 先ほどお話が出ましたコンピューター著作物につきましては、検討を始めたのは我が国が世界で一番早かったのです。第9小委員会で検討したのですが、結論としては、立法化はしないことになりました。詰めていくに従いまして、クリエーターが見当たらない、こういうことに落ち着いたわけであります。その間イギリスが最初に立法化したのですけれども、他に続く国が見当たらないように思います。
 私的録音録画補償金の見直し、これは早く手当てをしなければいけないと私も思います。その際、小泉委員からもお話がございました、もう一度製造者、輸入業者に補償金支払義務を負わせるべきではないかと。1965年のドイツ法がそういう仕組みをとってから、我が国もそのような形を模索したのでございますが、我が国が92年に立法化したときには、実際に録音・録画を行う者が補償金を支払うことにいたしました。画期的な立法であったかと思います。
 この機器とか記憶媒体の価格に連動して、その何パーセントが補償金に当たるとしますのは、詰めていけば、かなりフィクションに過ぎる話でございます。例えばテープ、ディスクなどはどんどん値崩れしています。その何パーセントを補償金とする制度はもう限界に来ております。それで、デジタル時代におきましてはもう少し賢明な方法があるのではないか。汎用機器等、端末を考えますと、それが著作物等の通常の利用を許諾するツールにもなり得るということですと、今度は私的使用のための録音等につきましても、やはりツールとして使えます。
 こういうことをあわせ考えますと、もう一度、製造業者等に補償義務を負わせる逆戻りということは果たしてよいのかどうか。デジタル時代におきまして、もう少し考える余地かあるのではないかと、このようにも思うところでございます。
 それから、今まで出ましたが、やはり2.デジタル対応、ここにはかなり大きな課題がいくつもあります。ただいま申し上げたこともそうでありますが、全体としては著作物等の電子ネット等での流通をスムーズにやり、そしてまた、最終ユーザーにも過大な負担をかけない形でどういう仕組みができるかということ、立法面でそれがどう手当てできるかと、こういう課題があるように思います。その際には、技術的保護手段もそうでありましょうし、電子的に埋め込まれました権利管理情報、これをどう活用していくのか、これもあわせて検討する課題ではないかと、このように思うわけであります。
 それから、コマーシャルをカットするというお話はデジタル固有の問題ではなくして、他のところでも言えますので、ここに位置付けることがよいかどうかは分かりません。
 もう1点で終わりますが、先ほど村上委員から御指摘がありました点でありますが、私的自治を尊重しつつ云々と。契約ベースの話でございますか、1つの考え方としましては、これはどうしても現実にはウィーカーパーティーが出てきます。自由人対自由人の合意は近代法の理念ではございますけれども、現実にはそうならない。とりわけクリエーターを前面に出すときに、そこに生ずるアンバランスをどう考えるか、こういう話にもなります。若干、立法上の手当ても必要かなと。もちろん事業者対事業者という場合もございますので、このあたりはさほど大きな問題ではない。この辺は使い分けがあるのではないかと、このように思います。
 以上です。

中山主査 ありがとうございました。他に御意見ございましたら。土肥委員、どうぞ。

土肥委員 検討課題としていただいたものを拝見しておりまして、恐らくこういう内容で検討すべきであろうというふうに思います。
 問題は、優先順位と検討の作業のところになるのだろうと思います。一応、基本問題という法制小委でやるところとワーキングチームをつくっていくという手法、恐らくこれもやり方として当然こういう方法がいいと思うのですけれども、リエゾンをきちんとしていただくということが必要だと思います。特に権利制限規定といいますか、この問題と、つまり両方に非常に密接につながっておりまして、1.(2)あるいは(3)というようなところから2.デジタル対応における権利制限規定の見直しとか、3.(2)オーバーライドの問題とか、これはとりわけ後半につながっているところの問題でありますので、恐らく法制小委の中で基本的な姿勢のようなものを出していただいた上で投げるということが必要になるのではないかと思います。
 それから、法制小委の基本問題の1.(5)の登録制度の問題というのと、ワーキングチームのところの3.の制度、こういうようなところが少しどういうふうに流れていくのかが少し見えないのですけれども、このあたりは、恐らく切り出してやりそうなところではないかなと思っています。
 それと、冒頭の私的録音録画補償金制度の見直し、このあたりは独立してできそうなところでありますので、法制小委としては、そういう権利制限規定を中心に流れていく話については、問題についての方向性を常に見守っていきながら議論をしていただくということが必要ではないかと思っております。
 以上でございます。

吉川著作権課長 まさにおっしゃるとおりだと思います。私どももそういうつもりで考えておりまして、ワーキングチームに投げっ放しということは問題だと思いますし、あくまでも法制問題小委員会が中心になって検討を進める中で、作業を分担して審議を促進すると、そういう役割をワーキングチームに期待するということだと思います。
 また、御指摘がありましたように、私的録音録画補償金のように議論をまずした上で、ワーキングチームに一定の作業をお願いするというような、そういう手順を踏めるものもあると思います。
 それから、ワーキングチームの方にある事項が基本問題とつながっていると、そういう関係も確かにあると思いますので、リエゾンをよくすること、それから法制問題小委員会の方向性をワーキングチームに伝えて、作業をしてもらうというような、そういうことを心がけていきたいと思います。また、作業の手順も、やはり法制小委員会がこの中でも、例えば1年ぐらいで決着をつけていけそうなものを絞って、そこにまず集中をして全体のスケジュールを管理していただく、こういうことも重要な観点かと思いますので、よろしくお願いいたします。

中山主査 大渕委員、どうぞ。

大渕委員 今、事務局の方から御説明いただいた点で尽きているかとは思うのですが、法制問題小委員会が中核にありますが、その作業を同委員会自身で全部行うことはできないので、ワーキングチームをつくって作業を分担していくということで、要するに、全体を流れる思想としては、どのようにすれば一番効率的、現実的に作業できるかという観点から考えられるべきことと思います。そして、ワーキングチーム同士でもいろいろ関連性があることもありますので、そのあたりの情報の流れをよくしていただくことが重要だと思います。それから、作業としては法制問題小委員会自身で検討を行う8つのテーマと、ワーキングチームが分担するテーマとに分かれていますが、ワーキングチームでの作業の結果が、法制問題小委員会の方に報告されて、それに対して一定の方向性が示され、あるいは、法制問題小委員会で揉んでいくうちにワーキングチームを立てた方がより効率的だろうと思われる場合には、ワーキングチームを立てるというように、分担しつつも相互の連携をとってやっていくというのが重要であると思います。また、あまり細かく先まで考えて、半年、1年と時間を使ってしまうよりは、ある程度のところを決めて、とにかく作業をしっかり始めていくうちに、おのずから多少変更を要するところが出てくるかと思いますので、そういう形で、要するに、最も効果的に重要な検討事項の検討を遂げるという観点から考えていくことになるのではないかと思います。
 以上です。

中山主査 ありがとうございます。このワーキングチームにつきましても、備考の3で追加の可能性ありと書いてありますし、今大渕委員のおっしゃったとおり、もし必要があれば、そちら方に任せて検討してもらうということもあり得ると思います。
 他に。山本委員、どうぞ。

山本委員 ワーキングチームの話になりましたので、1点、どういうやり方にするかということについての質問ですけれども、この3の契約利用のワーキングチームに関してですが、土肥委員が主査をなさっている契約・流通小委員会の方の検討事項にかなり重なる部分が出てくるのではないかというふうに思うわけです。今のところ契約・流通小委員会の方では著作権等管理事業法の見直しを検討しておりますが、それ以外の契約・流通に関する論点も扱うということになっていまして、そのことから言うと、当然ここの3で出てくるような問題も出てくると思われます。
 そうすると、両者の関係をどうするのかというのが当然発生するのですが、これはどういうふうに、どちらの方でどういう議論の仕方をするのかという切り分けですね。これについてのお考えを事務局の方にお伺いしたいと思います。
 それとコメントとしては、どちらでやるのかということから言うと、法律的な観点から詰めるということから言うと、契約・流通小委員会みたいな大きなところでやるよりは、恐らくワーキングチームみたいな専門的なところで詰めるという形にして、それを法制問題小委員会か、あるいは契約・流通小委員会で揉むというような流れの方がいいのかなとも思ったりするのですが、お考えの方をお聞かせください。

吉川著作権課長 確かにおっしゃるように、審議事項として契約・流通小委員会にかかわる問題もここに入っていると思いますので、いずれにしても、何かで契約・流通小委員会と連携をとらなければいけないというふうに思います。
 ただ、まさに山本委員がおっしゃったように、やはりワーキングチームスタイルで進めるところは進めておいて、そして、かなりある程度案が見えてくるというようなことになれば、契約・流通小委員会の方にも御意見をいただくなりして、効率性と連携を両立させるような方法を工夫していきたいというふうに考えております。
 また、委員もワーキングチームと重複するなりして、意思疎通は十分図っていきたいと思います。また、事務局は同じ著作権課がやっておりますので、そういう点でも連携を十分に図るよう心がけていきたいと思います。

中山主査 他に御意見ございましたら。飯村委員、どうぞ。

飯村委員 ワーキングチームの4を見ますと、間接侵害についての検討事項、及び、損害賠償・不当利得等についての検討事項があげられていますが、損害賠償の検討事項は、既に議論済みですし、ワーキングチームを設けてまでして、積み残した点を検討してみても、すぐに終わってしまうと思われます。
 間接侵害に関する検討事項は、司法救済を円滑にするために解釈的負荷を軽減するという検討課題があると言っても、責任の主体論ということであれば、具体的な事件がいくつか生じているわけで、それは、裁判の場で、救済すべきと判断すれば何らかの法律論を用いて、救済することになり、その工夫の問題に過ぎないように感じます。ワーキング・グループの4の検討項目について、一般的な議論をしてみても、なかなか結果に結び付くことは予想できないと思います。
 これに対して、例えば、登録制度見直しという検討課題をとってみますと、際限なく予算を要する事項ですし、全国規模で登録事務を開始したとして、どういう項目(例えば、権利内容、権利帰属等を含むのかどうか。)を判断して、どのような効果を付与していくことになるのかという制度設計の問題を検討するとなると、不動産登記や特許権の登録、そういう制度の活用状況、人的な体制まで検討するとなると、それだけで第4のワーキングチームの検討事項以上の負担になろうかと思います。
 また、共有の見直しという事項に関して考えてみても、現状では、共有者の場合には、単独では権利行使が著しく制限されているわけですが、仮にこれを大きく変えるというようなことまで含めて議論するとすれば大問題になるわけで、ワーキングチームの課題4の検討事項以上の大きな議論に発展すると思われますし、その結論が与える影響力も大きいと思います。そういうようなことを考えていきますと、ワーキングチームの負担の軽重、タイムスケジュール、結論の与える影響等を考慮しますと、なかなか困難なことかと思っております。

吉川著作権課長 ちょっと説明が十分できていなかったと思うのですけれども、これは全部を1年間でということは到底想定しておりません。早いものについては1年ぐらいの検討で終えて、そして18年の国会に改正案を提出していきたいという意欲を持っているということであります。
 ですから、飯村委員の御指摘のような大きな問題、それからシステムの整備などを要するような問題、これは1年ぐらいで構築するということは無理だと思いますし、また、専門的な大議論を要するような問題についても同じことだと思います。それらを含めて、全体を3年くらいでやる、そして特に早く対応すべきものは1年で終えると、そういう目標で進めていただいたらいいのではないかと思います。
 もちろん小委員会でまず議論した上で作業は作業としてワーキングチームへ出すということは考えられますので、制度の骨子が固まれば、作業案づくりはワーキングチームでお願いしてと、そういうやり方もできると思います。したがって、仮に作業量が少なくて、作業を早々と終えたチームがあれば、そのエネルギーは別のところに使っていただくということも考えられると思います。そういう意味では、確かに平均していないかもしれないということは意識しながらつくったわけです。
 それから、素案を作成した過程では、ワーキングチームの方に入れていた課題を、やはりそう簡単な議論ではなかろうということで、小委員会の方に入れ直したものもあります。それで、少し小委員会の方の基本問題が膨らんでいるわけなのですが、やはりそれはそれで専門的な議論がまず必要で、その後、具体的な作業に入っていくべきだという手順を考えて、そういうふうにしているというところがあります。

大渕委員 どうすれば一番効率的かという観点から適宜法制問題小委員会とワーキングチームとの割り振り等が具体的に定まっていくことになるかと思いますが、1.にある8つのテーマは、おそらく法制問題小委員会ではワーキンググループがやっているのと同じような作業をすることはあまり想定されていないと思います。これだけ多くの問題の中には、様々な優先順位のものですとか、登録の問題のように特殊な考慮が必要なものなど多様なものが混在していますので、これを整理してどういう形で検討していくかということを考える必要があると思います。例えば、ある程度方向性が定まったら、新たにワーキングチームを立ててそこでやるもの、あるいはあまりそういう作業は要らないが、最後は決断が必要なもの、あるいは、非常な難問なので時間は要するけれども、やはり早い時期から検討しておく必要があるものなどの仕分けをした上で、ターゲットに合わせてどのような形で優先的に作業を進めていくのがいいのか、今後どのようにさばいていったらいいのかということを考えていくグランドデザインというか、基本思想を揉んでいくというのがこの法制問題小委員会プロパーとしてなすべき重要な検討作業ではないかと思います。

小泉委員 今日はフリートーキングのような形だと思いますので意見を申し上げますと、私はどちらかと言いますと、先ほど飯村委員がおっしゃったことに賛成でありまして、司法救済の4番のワーキングチームの事項については、これまでも随分と文化審議会の中で検討されてきたことの継続的な意味合いがあると思いますので、この部分についてはいろいろ評価があると思いますけれども、小委員会の本体の方で、1番の方で御検討されても間に合うのではないかと思います。
 それに対しまして、共有の問題と登録制度の見直しの問題というのは恐らく新しい問題で、非常にそれ自体重要でありますので、一緒になるのか別になるのか分かりませんけれども、3本目の柱としてワーキングでも検討する方がよろしいのではないかというふうに今のところ印象を持っております。

吉川著作権課長 共有の問題は、理論的にも非常に難しいとお聞きしましたので、方法がある程度煮詰まれば、作業の方に入れればいいかと思います。これは、最初からワーキングに入れようかと思っていたのですけれども、やはり専門的議論を小委員会でしてからだろうということで、1番の方に入れ直した点であります。
 それから、登録の問題は様々な事項で登録制度が絡んでくる部分があるので、それらの議論が一段落して、そして全体を見直さなければいけない課題であるので、どちらかと言えば、早目に議論が終息するのではなくて、いろいろな事柄で登録制度が改められなければならないとされた後に登録という制度全体を議論して、まさにシステムの話もあるので、場合によっては著作権課が細々やっているのではもう間に合わないということもあると思いますので、そういう大きなシステムづくりの検討も必要になるかもしれないと、そんなイメージで事項として入れたものです。
 ですから、ワーキングといっても、少しゆっくり様子を見ながらの検討になります。案をつくるという作業を考えると、終息するのは遅くなると、そういう印象を持っておりました。
 また、様々な事柄の組み合わせというか、作業をどう効率化するかという点は、まさに大渕委員の御指摘のとおり、小委員会でこれはこうした方がいいというふうに決めていただければ、そのように取り計らいたいと思います。

中山主査 これは、ワーキングチームと小委員会、本体の振り分けは、今はここでは明確にこうだと決めてしまうよりは、適宜ワーキングチームに落とした方がいいものは落とすし、または重大な根本問題が上がってきたら、ここでも議論するという方がよろしいのではないかと。
 例えば共有ですけれども、これは恐らく考えますと、物の共有に対して情報の共有とは一体いかなる意味をもつかという知的財産の根幹にかかわる問題でありますし、特許法と著作権法と違う規定になっているのはなぜかという点も重大です。同じ知的財産法の中でも制度の違いがあるわけです。それはなぜかという問題が出てくるわけで、根本問題もありますし、かといって、今の規定をもし変えるとすればどういう問題が起きるかという事例の研究等もありますし、2つのワーキングチームと小委員会というのはうまくリズムをつくりつつ、行ったり来たりすればよろしいのではないかと私は思っております。
 大渕委員、どうぞ。

大渕委員 この共有の問題と登録の問題がそれ自体としては重要な問題であることは、あまり異論がないと思います。私は、中山先生が言われたのと同じかどうかは分かりませんが、重要でかつ今までそれほど議論がなされていないので、今の段階で直ちにワーキングチームでの検討を行うよりは、より根本的なところをある程度検討することが必要かと思います。例えば、共有という論点については東大の大学院博士課程のある学生が研究を始めていますが、先行研究の蓄積がほとんどないので困っているという状態で、そういうところから始めていかなければならないという状況にあります。したがって、直ちにワーキングチームで検討を進めるというよりは、法制問題小委員会で検討を深めた上で、方針がある程度固まったらワーキングチームに委ねるという方が、事柄が重要であり困難であるがゆえに、より妥当なのではないかという気がいたしております。

飯村委員 登録に関しては、まず、登録制度を進めていく場合の問題点の洗い出しの手順があるとは思います。不動産登記等に関わってきた経験や特許の登録に関わってきた経験と対比しますと、不動産登記ではほとんど問題となっていないけれども、著作権の場合には、問題となる事項があります。それは、権利の対象が1個か複数か、権利の範囲がどこまでか、という点です。ある著作物の制作過程で、途中段階のものを登録し、その後に付け加えたものを登録しようとした場合には、当然、前の著作物と後の著作物との同一性等が必要となります。更に、2つのものが合体したとして、仮に、登録上一方を抹消したような場合、既にその上に設定されていた担保権がそれに伴って消滅するのかどうかとか、いろいろと解決困難な応用問題が発生します。それから、仮処分を出した場合の対応をどうするのかという問題も生じます。
 いずれにしても、登録制度を丸裸のままで単に設けるべきかどうかという議論ではないはずで、それに伴った問題点の洗い出しは、時間と手間のかかる困難な作業ですし、十分にシミュレーションをしないと不都合な点が発生するように思います。そもそも、著作権制度は、広く自由な活動ができるようにすることが大前提ですし、また、経済的な観点から登録で律していくこと自体に合理性があるのかどうかというそもそもの議論から始めていくべきだと思います。
 また、登録の場合には必ず共有が絡んできますので、権利者まで含めた登録制度かどうか、そうすると、共有問題、そもそも創作過程での共有者の1人からの登録なのか全員からの登録なのかという点など、法律上はすごく難しい問題が絡んでいるのではないかという感想を持っております。

中山主査 ありがとうございます。飯村委員がおっしゃったとおり、これは確かに難しい問題だらけでして、現行法をつくるときには非常に長い時間をかけて審議をしたわけですけれども、今は時代の要求でなかなかそういう時間もかけていられないという客観情勢もありますので、短い時間で審議をしていただかなければならないという客観情勢のもとでいろいろお願いせざるを得なくなります。難しいことは承知の上ですが、かといって放置をしておくこともできないと、そういう感じだと思います。
 他に何かございましたら。前田委員、どうぞ。

前田委員 先ほどから、話題になっております法制問題小委員会と、それからワーキングチームとの関係について、1つの考え方は、議論は行ったり来たりすればいいのではないかという考え方と、それからもう一つは、法制問題小委員会である程度方向性まで煮詰めた上で、方向性を決めた段階でワーキングチームに具体的な検討に入っていただくという考え方が出ているように思います。
 恐らく今出ていないかもしれませんが、もう一つあり得る考え方としては、まずワーキングチームである程度議論をして、方向性が出てきたものを今度法制問題小委員会で議論するという3つの考え方があり得るのかなと。先ほどから、行ったり来たりすべきという説と、先にこの基本法制問題小委員会で方向性を出してワーキンググループに振るという考え方が2つあって、そこがまだ煮詰まっていないような気がします。
 私が思いますのは、この法制問題小委員会ですべての方向性を決めてからワーキンググループということでありますと、ワーキンググループが機能するまでに1年はたってしまうような気がいたしますので、もう方向性が示せる、示せないにかかわらず、ワーキングチームでの実働といいますか、具体的な検討を先に始めていた方がいいのではないかなと思います。

吉川著作権課長 厳密な意味では、確かにすべての方向性を示していただくには時間がかかってしまうので、これまでの蓄積があるようなものについては、できるだけワーキングチームに最初からお願いして、ある程度案をつくってもらって、A案、B案となる場合もあるかもしれませんが、それを小委員会に報告してもらって、そして、そのときに中間報告をしていただく。それで方向性が出てくれば作業がしやすくなる。そういうのが現実的かと思います。
 まさに、前田委員が御指摘のように、ワーキングチームも来年の2月早々から作業はしていただいて、そして論点を整理してどこかでなるべく早く報告をしてもらって、方向性をまず決めてもらった上で作業の効率化を図り、うまく連携して作業を進めていただきたいと思います。法制問題小委員会の意に反し、勝手に作業されるというのは問題があるかと思いますので、そのようなことはないように、ワーキングチームは小委員会の指示を得ながらゴールに近づくというようにしていただければ、前田委員がおっしゃったような作業手順でよろしいかと思います。

中山主査 他に御意見は。苗村委員、どうぞ。

苗村委員 2ページ目の備考の1に関連して事務局に質問とお願いがあるのですが、質問は、この関係者間協議の位置付けに関して、1月までに別途整理するということの意味が、新しい項目を追加する可能性があるという意味かどうかです。
 お願いは、この関係者間協議に基づいて出された要望等については、当然参考にするのがよいと思いますが、他に当然関係団体からの要望事項あるいは府省からの要望あるいは一般の方からの要望等もありますので、できればこういった出されている要望の番号をもっと対応付けで、可能な範囲で結構なのですが、こういうリストに追加していただくと、私どもが考えるときに、せっかく厚い資料があるので、どこの部分を見たら要望なり提案が出されているのか分かりやすいので、その点をあわせてお考えいただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。

吉川著作権課長 まず1点目ですけれども、関係者間協議の位置付けについてはっきりすべきだということを御意見の中にお書きになっていた委員がいらっしゃいましたので、その方の提案をこういう形で備考に書くことによって全体のまとめの中に反映させているという意味でありまして、関係者間協議の位置付けについてということを整理することによって、新たな事項が出てくるということではないと思います。
 今日も、もし時間が余れば関係者間協議の位置付けについての御議論をしていただこうと思いますし、また次回にはその時間をとって議論をしていただく予定でございます。
 また2点目でありますが、これは確かにおっしゃるように、今回はまだ素案ですので、そこまでしておりませんけれども、今後、報告書などをつくっていく時に、番号が参照できるように、そういうことを工夫していきたいと思います。

中山主査 今、吉川課長からお話がございましたとおり、関係者間協議の位置付けということの整理につきましても、実は時間が余ったら皆様の御意見を伺いたいと思っていたところであります。これは、特に前年度のレコードの還流防止のときの議論の中で、関係者間協議とは一体どういう位置付けをすべきかという意見も出ましたし、この委員会でも出ておりますので、この点につきまして、関係者間協議の位置付けについても御意見があればあわせてちょうだいしたいと思います。
 何かございましたら。村上委員、どうぞ。

村上委員 1月末に著作権分科会への報告をすることになっていますが、この報告というのは、今回の検討事項をちょっと厚くしたりというか、かなり大ざっぱなものなのか、それぞれ何枚かのページにわたるかなり細かなものになるのか。どういうイメージで受けとればいいものでしょうか。これが質問になります。

吉川著作権課長 報告は、これまでは、割と分厚いものでありますが、今回はまだ項目を抽出するということですので、項目について最低限の内容が分かるような、そういう程度のものを考えています。現在、ここに書いているのは本当に項目の中身のごくエッセンスですが、膨らませるにしても全体の分量は3倍程度にしかならないというイメージでいいのではないかと考えておりまして、それに参考資料として、例えば私的録音録画補償金といっても少し分かりにくいということで参考資料が付くとか、そういうことでいかがかと存じます。
 また、関係者間協議の位置付けについても報告に盛り込む必要があると思いますので、それについては若干のページが追加される可能性があると思います。

村上委員 3年間程度かけてやるという話なので、そうすると、検討事項として大事なことは、もちろんこういう時代で3年先を予測しながら、そこで十分なものを盛り込むというのは大変な話だろうと思いますけれども、そういう意味で3年間ぐらいでやる事項を特定するという作業が一番大事なのかなという気がしています。
 それで、手順とか何とかは先のことはなかなか読めないし、状況も変わっていくのでしょうから、手続きの問題については、やはりどこかに情報と権限を集中するよりしようがないので、そこはやはり中山主査がここで出た意見を踏まえて、全体を考えながら調整するという形でお任せするより仕方がないのかなという気がします。そういう意味で、実体的な内容はできる限り議論していた方がいいし、手順はやはりいろいろなことを考えて、結局は主査に調整していただくという形にせざるを得ないのではないかという気がします。

飯村委員 原案では、ワーキングチームとしての論点項目として2、3、4の中で、4は司法救済というまとまりになるのですが、その第1論点の間接侵害に関しては、結局のところ、著作権の効力一般論と深く関連しています。また、第2論点は、おそらく、ワーキングチームで検討しても、何らかの効果が出るような感じがしないものですから、ワーキングチーム相互の負担のバランスなどを考えますと、1の基本問題の共有著作権に関する問題項目と登録に関する問題項目について、1つのワーキングチームでやるのかどうかは別にしまして、ワーキングチームでやる意義はありそうな気がします。共有は現に現行法上存在しますが、その行使についての整理については、詰めていく作業内容が多いと思います。また、登録も、詰めていく作業が多いと思います。その作業の結果、制度を改正しようという意見になるか、現状のままにしようという意見になるかが別として、将来につなげられる価値はありそうです。
 司法救済の論点項目を控えて、一般論点を取り上げた方が作業のバランスとしてはいいのではないかというような意見を申し上げておきたいと思いました。

中山主査 ワーキングチームについては、かなりこれから柔軟的に考えるということでよろしいですか。

吉川著作権課長 もちろんそのつもりでございますので、御提案にありましたので、例えばこれに追加することは適宜可能だと思います。

中山主査 それでは検討させていただきたいと思います。

齊藤分科会長 司法救済につきましては、飯村委員が御指摘のように、ここで改めて検討することがよいのかどうか、やはり躊躇いたします。
 ただ、それに入れかえて登録、共有をここにはめるかということになりますと、これはその前の契約利用ワーキングチームがありますから、そこにはまり得るように思います。
 それからもう1点、この基本問題を見ますと、3年かかるものもありましょうし、比較的早く成果が出そうなものもあります。1年ぐらいで十分出るというものもございます。その1つには、先ほど小泉委員が御指摘なさった戦時加算の廃止、これは長年の課題でありますけれども、その対応、少なくとも廃止の手順ということさえも十分つかめなかったところでありますが、先ほど小泉委員から非常に興味のある御発言がありました。こういうものを膨らませて、これは早く成果が出るのではないかと。70年の延長とは結びつけないで、それ自体としての成果を出し得るのではないかと、このように思います。

土肥委員 関係者間協議のお話ですけれども、関係者間協議の位置付けに関して、従来からの申し合わせといいますか、継続性のような問題があるのだろうと思います。関係者間協議もいろいろございまして、確かに関係者で十分だと、そういうように見込まれるような、そういう関係者協議から具体的な内容は意識して申し上げているわけではありませんが、レコード制作者と放送事業者の間で商業用レコードの2次利用等の話がもしあったとすれば、恐らくそういう話としては当然それは重視するということになろうと思うのですけれども、関係者間協議として、そのパートナーで十分であるのかどうかというところについて問題がある場合については、それは今後の検討の1つの資料とするというような扱いになってくるのではないかと思います。
 つまり、関係者間協議の取扱いについては、従前どおり検討の対象にはもちろんなるのだけれども、他に関係者としてまだ検討すべきような、そういう関係者があるような場合については、これは今後の議論の経過の中で今まとまっている問題について待っていただくと、こういう扱いでいいのだろうと思います。

中山主査 この点について、何か他に御意見がございましたら。

前田委員 関係者間協議につきましては、従来からの継続性の観点になりますので、今土肥先生から御指摘がありましたように、基本的にはそれは別に取り上げるべきであろうと。
 ただ、話し合いの交渉の相手方といいますか、関係者がすべての利害関係の代表、適切に代表しているかどうかの検討を再度加えるということは必要かと思いますけれども、その過程を経た上で継続性の観点から取り上げるべきことが原則になるのではないかと考えます。

中山主査 確かに、例えばあるお金をどちらが取るかという話の場合と、一般の大衆というかユーザー、消費者が関係しているような場合とでは多分状況が違ってくるわけです。前回のレコードの還流防止のときに問題になったのは、経団連と傘下のレコード協会が関係者であったわけですけれども、レコードを買う人はどうしてくれるんだと。しかし、買う人の団体というのは何か、一応消費者団体というのがありますけれども、本当に買う人の団体なのかとか、実際問題はいろいろな難しい問題が起きてくると思うのですけれども、関係者の中にいろいろな団体を入れろという話ですか。

前田委員 そうではなく、今、土肥先生がおっしゃったことと同じだと思いますが、関係者間協議で行われて成果が上がっているとすれば、そのうち利害関係者の意見が十分に採り入れられていると評価できるものについては、小委員会としても尊重すると。この法制問題小委員会として必ずしもそういう評価ができないと考えられるものについては、改めて検討する、もしくは検討すべきかどうかを検討するというのがよろしいのではないかなというふうに思います。

中山主査 他にこの点について御意見ございましたら。
 恐らく、これはレコード以外にも、これから改正するときに常に出てくる問題だろうと思いますけれども。
 この見直し案全体でも結構ですので、何か御意見が他にございましたらお願いいたします。前田委員、どうぞ。

前田委員 先ほど継続的に3年程度はするというお話がございました。先ほど村上先生からも3年先を正確に見通すことができるかというお話があったかと思うのですが、今回、検討課題をこうやって決めるにしても、必ずしも固定的なものではなくて、今後の事情の変更とか新たな問題とかが出てくる可能性もあるわけですから、これを今年検討課題として決めたものをもちろんベースとしながらも、新たな問題が出てきた等の場合には、それは適宜取り上げるという柔軟性を保った上で審議をしていく必要があるのではないかなと思います。
 それから、先ほど間接侵害についての議論がございましたが、私としても飯村委員から御指摘がありましたように、間接侵害はかなり難しい問題といいますか、私個人としてはある程度判例の解釈にゆだねるべき問題であって、立法での解決というのが適切かどうかということについては、私としては少し疑問を持っているところでございますけれども、それをワーキングチームとして取り上げるべきかどうか。あるいはどういうワーキングチームで取り上げるべきかということは運営にかかわる問題でございますので、先ほど村上委員からもお話がありましたように、やはりある程度主査の中山先生に御判断いただいて機動的に対応していただくべき部分が多いのではないかなというふうに思います。
 それから、ついででございますけれども、いただいたこの今の資料で、若干言葉の問題でどうかなと思うことが、この基本問題の1.(4)「共有著作物」という表現がありますけれども、「共有著作物」という表現は著作権法上ではなくて、「共有著作権」であると思います。「共同著作物」か「共有著作権」ですので、「共有著作権」が適切かと思います。
 それから、3.(1)のところで「著作者の破産等の場合」とありますけれども、著作者が破産しても別に困らないので、「著作権者の破産の場合」というふうに思います。
それから、3.(3)の登録制度の見直しのところで「原始的著作者」という表現がございますけれども、著作者に原始的もそうでないものもありませんので、これは「原始的著作権者」が適切かと思います。
 以上です。

中山主査 ありがとうございます。原始的著作権者というのは著作者のことでしょうか。

前田委員 いいえ、映画制作者になりますから。

中山主査 映画の場合だけは特別ですね。分かりました。

飯村委員 基本問題の(8)の「用語の整理等」の1番に、分かりやすい著作権法へということが記載されているのですがこの「分かりやすい」という言葉の中には、体系的な観点からの見直しが含まれているのでしょうか。それとも表記上の分かりやすさからの見直しに限られるのでしょうか。
 支分権の共通要素を取り出して、「利用」概念を置くとか、同じような性格のものを抽出して何らかの概念をつくるとか、そういう問題になってくると、話は大きくなると思うのですけれども、そうでなく、文言上の言葉で多少の乱れを修正する程度のお考えなのでしょうか。

吉川著作権課長 これは、用語の整理と言うと、割と単純な話になってしまうかもしれないのですが、最初にテーマといいましょうか、全体の流れる思想の中の3番目で国民が理解しやすいと申し上げましたので、もしそういう表現のところだけでなく、権利の整理とかそういう難しいところをまとめていただけるのであれば大変ありがたいと、気持ちとしては思っております。
 ですから、ちょっとこれだけでは狭過ぎるという御指摘かと思いますので、もう少し表現だけではなくて、深いところの整理検討も行っていただいて分かりやすい著作権法へということをはっきりさせるように工夫が必要かもしれないと思います。

中山主査 そうすると、8はかなり大変で、支分権を整理すると等が必要になるかもしれません。また例えば一般条項を入れると、条文としては分かりやすくなりますが、それはまた非常に大変なことになると思います。

村上委員 政令等への委任と書いてあるのですが、他の行政庁では、政令とか通達だけではなくて、よくガイドラインとか指針とか考え方とか様々なそういうものをつくって、それで適宜見直していくという手法をよく使うのです。私は著作権関係法令集を見ましても、著作権の行政ではあまりそういうものをつくるという習慣がない世界だという印象を受けました。日本の行政庁というのはむしろそれが特徴なので、きめ細かく考え方とか指針、ガイドライン、様々な言葉で拘束力が事実上ないような形で考え方を示すという形の行政スタイルをとっているわけです。著作権に関する行政は、やはりそういうのをあまり使わない習慣だし、そういうものだというふうに受けとってよろしいのでしょうか。

吉川著作権課長 確かに御指摘はそのとおりだと思っております。ただ、1.(7)はいろいろな面から意味があると思うのです。機動的な対応もそうですけれども、今回、かなり包括的に論点を挙げて見直しをしていただくとして、これができた暁には、そう頻繁に改正しなくてもいいのではないかと、そういう気持ちもあります。
 また、政令等ですけれども、範囲としては省令ぐらいまでだろうと思います。場合によっては告示ということもあるかもしれませんけれども、元来通達行政のようなスタイルにはとてもなるような法律ではないと思います。権利制限などは、細かな規定で限定をしながら制限を拡大するというような、そういう技術的な性格を有する点については、政令等への委任を考えることが適当ではないかという趣旨でこういう事項を盛り込んでおりますが、根本的な性格は変
わるものではないと思っております。

中山主査 著作権法というのは、これは基本的には民と民の関係ですから、民法に通じているわけです。それを最終的に判断するのは裁判所ということになるので、そうなりますと、役所がこうだというのはなかなか難しい面がある。全部の規定が難しいかどうかは別ですけれども、基本的には難しい面があるのではないかと思います。
 特許庁は審査・審判基準を持っていますけれども、これは自分のところでこういう審査をしますよ、あるいは審判をしますよという基準ですから、むしろ通達の問題で、それはそれで意味があります。しかし著作権法というのは、役所のガイドラインにはなかなかはなじみにくい分野でしょう。法務省が民法のガイドラインを出すかというと、多分出しにくいのではないかと思うのですけれども。

大渕委員 今まで御説明があったとおりだと思うのですけれども、これは私が前回提案したテーマですので、一言だけ申し上げます。これについては「政令」と書いたか「政令等」と書いたかの詳細はよく覚えておりませんが、たぶん「政令」と書いたのではないかと思います。趣旨としては、今までお話に出たとおりでありまして、民事的にみれば、おそらく普通の人は民法自体についての通達があるなどとはあまり思わないと思うのですが、これはまさしく、法律ではなくて政(省)令に落とし得るということによって機動性を高めるという点からの提案であります。そして、今回の素案のリストで、「政令等」となっているのはおそらく省令ぐらいが念頭に置かれているものであると考えられます。ガイドライン等を含めるということは、少なくとも、私が提案した際には全く年頭にありませんでした。

中山主査 他に御意見ございましたら。

茶園委員 確認ですが、先ほど飯村委員が述べられたような、項目が具体的にどういう範囲を持つのかということに関してですが、検討項目の整理においては、いろいろな中から取捨選択されているわけですから、当然、選択されなかったものもあります。私が検討する必要があるのかと思って挙げたもので選択されなかったものもあります。それはそれでよいのですけれども、選択された項目の検討において、選択されなかった項目が復活してくるといいましょうか、検討の対象に入ってくる場合がある。著作権法において様々な問題は関連し合っているため、そのような場合が生じ得ると思うのですけれども、それは構わないという理解でよいのでしょうか。また、現時点においては選択されなかった項目が、選択された項目の検討の中で、状況の変化に応じて、検討の必要が生じ、検討の対象となる場合があり得るという理解でよいのでしょうか。

吉川著作権課長 もちろん、先ほど前田委員もおっしゃいましたけれども、3年間、これでふたをして、これ以外は一切入りませんというつもりの検討課題の整理ではないという理解で結構でございます。
 ただ、例えば先ほど私が御説明しましたように、これを1年ぐらいでできるものは、それを整理していただいた上でそういうゴールを目指していただきたいと。そうすれば、今度は作業の残ったものもありますけれども、また次の目標も設定できる可能性があると思います。ですから、いわばこれは次回と次々回の法律改正を目指す種であり、次回に一部が出来上がれば、その時点で次の次に課題として取り上げるべきものを入れると、そういうことが考えられると思います。もちろん、他の作業の進展状況とか社会の情勢を見てということだと思いますけれども、ですから、固定ではなくて、さらに次の課題を追加していくチャンスはあると考えております。

中山主査 他に御意見ございましたら。
 よろしゅうございましょうか。もし他に特段の御意見がないようでしたら、本日の討議はこのくらいにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、本日の議論における各委員からの御意見をこの素案に反映させまして、次回の法制問題小委員会にお諮りしたいと考えておりますけれども、次回の案文の作成につきましては、主査の私の方にお任せいただければと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。

 
(「異議なし」の声あり)

 それでは、できるだけ早く案文を作成いたしまして、今回同様に事前に各委員に送付をするというようにしたいと思います。
 それでは、本日はこれで文化審議会著作権分科会の第4回法制問題小委員会を終了させていただきたいと思います。
 それでは、事務連絡がございましたらお願いいたします。

山口著作権調査官 本日はどうもありがとうございました。次回第5回は、正式には近日中にホームページに掲載いたしますが、参考資料2にもありますとおり、12月22日を予定しております。場所は、本日と同じこの経済産業省別館1020号室にて、10時半からを予定しておりますので、よろしく御承知おきください。
 以上でございます。

中山主査 本日はどうもありがとうございました。


(文化庁長官官房著作権課)

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