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著作権分科会 国際小委員会(第3回)議事録

1 日時 平成17年7月8日(金曜日)14時〜16時

2 場所 東京會舘 11階 エメラルドルーム

3 議題
   
 (1)   報告「国内外のDRMの動向について」(奥邨委員)
 (2)   デジタル化への対応の在り方(DRMへの対応の在り方)
 (3)   その他

配付資料
資料1−1   奥邨委員プレゼン資料「DRMに関する国内外の動向」(PDF:112KB)
1−2   奥邨委員プレゼン資料「DRMに関する国内外の動向」(PDF:58KB)
資料2   DRMに関する論点
資料3   DRMに関する参考資料
資料4   国際小委員会報告書(案)について

【参考資料】
 参考資料1   著作権分科会国際小委員会(第2回)議事録
(※第2回議事録へリンク)


午後2時開会
 

○道垣内主査 では、定刻になりましたので、ただいまから文化審議会著作権分科会、国際小委員会の第3回目の会合を開催いたします。
 議事の公開につきまして、前回もご承認いただいたところですが、今回も既に傍聴の方には入場していただいているところでございますけれども、本日の議事も公開ということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○道垣内主査 では、このまま公開ということで、傍聴の方にはそのまま傍聴いただくということにしたいと思います。
 中身に入ります前に、このたび事務局に異動がございましたので、その紹介をしていただきます。それから、引き続き資料の紹介もお願いいたします。

○事務局 国際課の職員の異動でございますが、本小委員会の担当で、岩松の後任として、千代 光一国際著作権専門官。
 それから、伊佐の後任といたしまして、藤井 宏一郎渉外企画係長併調査係長が異動で就任いたしましたのでご紹介いたします。

○道垣内主査 では、よろしくお願いいたします。
 では、本日の議題に入りたいと思います。
 今回は、前回に引き続きまして、デジタル化への対応の在り方について検討していただきたいと思います。
 前回はファイル交換への対応の在り方について議論いたしましたが、本日は、DRM、Digital Rights Managementへの対応の在り方について議論していただきたいと存じます。
 その前に、まずは奥邨委員に、国内外のDRMの動向について報告をいただきたいと思います。その上で、質疑応答を行い、また事務局からの論点及びその他の資料の説明の後、議論を行いたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

○奥邨委員 神奈川大学の奥邨でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 こういうお題をいただいたのですけれども、必ずしも十分に勉強できておりませんので、穴だらけの内容でございますけれども、私のわかる範囲で、後の皆様の議論のお役に立てばということで論点出しのようなことをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、資料の方は2枚ございまして、資料1−1と資料1−2でございます。
 パワーポイントの方で若干、画面で説明させていただくものがありますので、パワーポイントとこのワープロの資料とを行き来しながらご説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1−1から、「1 DRMの定義」というところから簡単にご説明いたしますけれども、そもそもDRMとは何かということ自体が実は少し難しい点でございまして、Digital Rights Managementの略語として、DRMを位置づける、これは簡単なのですけれども、そもそもDigital Rights Managementとは何なのでしょうかということについては、必ずしも明確な定義が出ているわけではないというのが、今のところの現状のように理解をしております。
 例えば、「デジタル著作権管理」という言葉がよく日本語で当てられますけれども、これもこう当ててしまいますと、著作権の存在しない情報に関するDRMはDRMではないということを断言してしまうことになってしまうのですが、それでいいのかどうかというのはいろいろな議論がございます。
 あと、いろいろ書いてあるのですけれども、「さらにいえば」のところをつなぎますと、さらにDRMというのを技術と見るのか、それとも管理行為と見るのか、それから組み合わせたシステム全体として見るのかというのも、これも議論がありまして、例えばDRMを「デジタル著作権管理」と訳しましても、その後に「デジタル著作権管理技術」と言うのか、「デジタル著作権管理システム」と言うのか、それとも何もなしに「デジタル著作権管理」と言うのかというのも、これも悩ましい状態というところでございます。
 例えば、1−2に参りますけれども、WIPOの報告書がございます。これは、事務局の方でご用意されている資料の3の中の冒頭のところに概要が入っておりますが、「WIPO事務局文書SCCR 第10回資料2」というもので、2003年に公開されている資料でございますけれども、この中でもDRMの定義はしておりません。DRMを機能面から記述しているということでございまして、Digital Rights ManagementDigital management of rightsというふうに分けられるのではないかと。細かい中身は、ちょっと時間がございませんけれども、そういう紹介があったり、さらに―これは資料が飛んでいますね。2ページ目がないですね。

○道垣内主査 すみません。先ほど、資料の紹介を待たないで審議に入ってしまいましたけれども。

○奥邨委員 2ページ目が手元にないので、プロジェクターでお見せしましょう。ちょっと小さいのがありますので、拡大をいたします。
 あとは、Access Control、それからCopy ProtectionThe Management of Intellectual Propertyというような形の機能もありますねということを記述しているだけで、特段の定義はございません。
 さらに、EUの方も、後ほどもう少しご説明しますが、High Level Groupというのを組織して、DRMに関していろいろな議論をしておるのですけれども、その報告書も、DRMについては定義はしないということで、別の場所での定義の議論を紹介しているのですけれども、これも、参加団体それぞれの定義例を併記するだけで、統一はできておりません。そういう意味で、私もここでは特に定義せずに、よく知られる広い意味だけでご紹介いたします。
 なお、1点申し上げておきたいのは、権利管理情報そのものについては、それほどの事例もございませんので、ここではそれ単体としては扱わないということを申し上げたいと思います。ここから先は次のページまで、この資料がなくても画面の方だけで大丈夫でございますので、画面の方を切りかえさせていただきます。
 それで、今からDRMに関して、国内の主要なDRM技術のイメージ図ということでご紹介させていただきたいと思います。
 大まかに分けまして、音楽系と映像系ということで分けております。実は、これはコンピューター系というのもございますけれども、少しそこは私、まだ不十分なものですので、一応、例ということで、音楽と映像関係についてご紹介いたします。
 大きく分けますと、音楽系については、SCMSから始まって、CPPM、SACD用のコピープロテクション、それからCPRM、それからメモリースティック関係のものというふうな形で存在しています。再生のコントロール、記憶のコントロール、接続のコントロールというふうに分かれます。
 さらに、いわゆるアップルさんのiPod関係のもの、これは通信の技術も入ってまいります。それから、ウインドウズ・メディアプレイヤー関係のDRMというのもございます。ただ、これは映像関係も入りますので、音楽と映画の両方にかかるような絵にさせていただいております。
 さらに、映像関係について言えば、マクロビジョン、CGMS、CSS、CPRM、それから、D−VHSであるとか、MG−R、これもメモリーカード用のものでございますね。それから、次世代ディスク用のAACSというのが、主として再生、記録系でございます。さらに、接続系、つまり機器と機器の間を接続する技術としては、DTCPですとか、HDCPというものがございますし、放送関連ということでは、我が国ではB−CASですね。さらに、アメリカではBroadcast Flagというものがございます。
 一応、星がつけてありますものについては、必ずしも国内のものではないとか、他のDRMと少し性格が違うものでございますけれども、よく使われますし、一般的によく理解されておりますので、とりあえずここに同じ仲間ということで載せてありますが、正確に言えば若干性格の違うところがございます。
 では、次に参りまして、DRMの仕組みと契約関係ということを簡単にご説明申し上げます。
 DRMは、DRMのライセンサーが、コンテンツの権利者に暗号の鍵を渡して、それをもとにコンテンツに暗号をかける。一方で、機器のメーカーは復号する鍵をもらって、それを機器に実装して、コンテンツと機器の両方がお客さんのところに行って、お客さんはそれを解除して見る。もしくは、録画する云々をするということになります。
 このときの契約関係といたしましては、機器メーカーはAdopter契約というものを結びます。この中では、Compliance RuleRobustness Ruleというのがこれは常にすべてが同じ言葉ではないのですが、代表的に言われるものではよくこういうことが言われます。これは何かといいますと、まず、Compliance Ruleの方は、機器はこういうふうに著作権管理をしなさいという約束事です。Robustness Ruleというのは、これは機器が簡単にハッキングされないように堅固につくりなさいという約束事です。Adopter契約は、DRMのライセンサと機器のメーカーの間で結ばれる契約ですが、結局は権利の保護のために結ばれるということで、コンテンツ権利者のための契約の部分の要素を持ちます。
 一方で、コンテンツの権利者とDRMのライセンサの間では、Content Participant契約と呼ばれるものを結びます。この中身としては、Encoding Ruleというものが決まっていまして、Copy Protectionのかけ方というものが決まっています。例えば、すべての機器が、すべてNever Copy、絶対コピーできないということではなくて、こういう場合はコピーできる、こういう場合はここまでコピーを制御してよいというようなことが決まっています。これは、逆に言えば、ユーザーやメーカーの利便性というものを保証する内容になります。
 最後、これはUsage契約ということで、ユーザーの利用方法に関する契約もあり得ます。ただ、これはCE系の機器、家電系の売りきりの機器の場合はまれでしかないのですけれども、通信とか配信系の場合は、ここでユーザーが利用方法を約束するということは一般的にあるわけです。
 こういう形で、契約の仕組みができております。これは、権利保護のためです。
 さらに、次のページに行きますと、DRMはシステムとして保護しているという状況を少し申し上げておきたいと思います。
 デジタルの機器には、電波であるとかDVD等のメディアであるとか、様々な形でコンテンツが入力されてまいりますけれども、これについてデジタルの機器が外部に出力する際には、相手先、出力先が「信頼できる機器」イコール「適切なDRMを実装・実行する機器」かというのをまず確認いたします。確認ができた後に、セキュアな伝送路で出力する。以降、この繰り返しということになってまいります。
 ですから、システム全体として保護するということになりますので、ところどころの技術だけ見て議論するという状態では既になくなってきているというのが、現在のDRMのシステムということになろうかと思います。
 さて、すみません、時間がないので次々とやってまいりますが、「三叉の矛による保護」と題したページですが―英語的な表現できれいな言葉ではないのですが―、DRMの場合は、DRMの技術自体ライセンス契約で供与されますし、更にちゃんとそれが利用されているかというのも、まず契約で担保されるということになります。一方で、契約を守っていない場合、場合によっては技術的に対抗される。鍵を無効にされるとか、鍵を取り上げられるというようなことがあり得るということになります。もちろん、契約に関しましては、これを支える基本は法律でございますし、一方で、技術を契約関係のないものを破る場合は、これは法律で対抗するということで、こういう構図ででき上がっておるということになります。この3つの組み合わせで、現在はコンテンツの保護が図られているというのが実態でございます。
 さらに、次に参りまして、契約によるエンフォースメントの事例を申し上げます。もちろんいろいろなパターンがあるわけですけれども、一例を挙げます。仮に、機器メーカーの中でDRMで決められた約束事を守れない機器をつくってしまったということであったとき、結局この場合はどうなるかというと、Adopter契約違反ということになりまして、DRMライセンサーより、最悪の場合は契約を解除されて、違約の責任が問われるということになるわけでございます。これが、契約によるエンフォースメントの例ということになっております。
 続きまして、もう一つは契約ではない法律によるエンフォースメントの例ということで申し上げますと、これは同じですけれども、問題はアウトサイダー、全くの悪い人が―悪い顔につくっておりますけれども、悪い人が迂回行為をしようとした場合にどうなるかということでございますけれども、この場合、技術的にそういう違法に入手した鍵などは無効化してしまうという技術による対応。それから当然、法的に対応するということになってまいりまして、1つは特許侵害、トレードシークレットの不正使用等々の民事、それから迂回禁止違反による、これは民事・刑事両方で対応するという、こういう組み合わせで臨むというのが一般的ということになってまいります。
 それで、一応、パワーポイントの画面の方はここまででございまして、ワープロ資料の3ページのところに少しお戻りいただきたいのですけれども、3ページ以降はしばらく、既にもう皆さんご存じの条文だけを載せておりますので、ずっと飛ばしていただきまして、6ページの方からご紹介いたします。
 今、契約、法律によるエンフォースメントということを申し上げましたが、ここからは法律関係でのエンフォースメントの例になります。ただ、網羅的では全くございません。私がふだん気づいた事件についてメモしておりまして手元に残しておりましたものを、順次挙げただけでございますので、恥ずかしながら日本、ヨーロッパについては十分に勉強できておりません。むしろこちらでお詳しい先生からご指摘、ご助言いただければ幸いです。
 最初に日本におきましては、コピーガードキャンセラーの販売事例というものがございまして、これは平成11年11月、インターネット上でコピーガードキャンセラーを販売していた業者を著作権違反で逮捕。それから、多分それと関連して、その根っこの製造業者も逮捕したという事例で、これは法改正直後の摘発事例で、たしか神奈川県警のものだったと思います。
 それから、いわゆるCATVただ見チューナーの販売事例ということで、平成17年1月31日に、CATVをただで見れるチューナーというのを販売していた業者に対して仮処分申請が行われて、認容されております。
 それぐらいしか、ちょっと私、今手元の方で国内の事例は見つけられておりません。
 次に、米国の事例でございます。米国に関しましては、有名なDeCSS事件がございます。これは皆さんもよくご存じでしょうけれども、DVDのDRMであるCSSを解除するソフトであるDeCSSを、自らのWebサイトに掲載するか、または、DeCSSが掲載されているWebサイトへのリンクを提供していた者たちを相手として、米国の主要映画会社が訴えた事例でございます。裁判所は、DeCSSは―すみません、資料のタイプミスです。6ページのところ「DeCSSは」となっていますが、「CSSは」の誤りでございます。CSSは、アクセスコントロール技術及び権利保護技術であるとして、被告の行為は米国著作権法の1201(a)(2)、アクセスコントロール技術の迂回規定違反だということで差し止めを認めました。なお、被告は、DeCSSを表現としてとらえた場合、その掲載禁止をすること等々は、これは表現の自由の侵害になるのではないか云々の主張をしましたけれども、これは認められておりません。さらに、控訴裁も地裁の判断を肯定しております。
 星印のところは、ちょっと補足になりますので飛ばして、次は321 Studios事件ということで、これも同じようにDVDソフトのバックアップコピーできるソフトウェア―これはDeCSSの技術ではないのですけれども―をつくっていた会社が訴えられたという事例でございます。これは、自らの行為は迂回禁止規定に違反していない、そもそも迂回禁止規定自体、憲法違反だということの確認、もしくは、自らの行為は実質的に非侵害的な利用方法を有し、その使用はフェアユースを構成するもので、禁止することは憲法修正第1条違反だということを求めて、同じような理由ですけれども、確認訴訟という形で映画会社に提起しました。本件では、DeCSS事件を先例とし、問題のソフトウェアはCSSの解除を目的としていますねということで、DMCA違反ということになっています。これは、1201(a)(2)及び1201(b)、両方に違反するというふうに言っております。
 続きまして、8ページの方に参ります。今までは、DVDに関するものでございましたけれども、今度はLexmark事件でございます。これは、既に昨年の小委員会でもご報告があった事例です。プリンターのトナーカートリッジの再生品をつくるメーカーを、一種、排除するというか、つくらせないようにするために、チップを乗っけて認証システムをとっていたのだけれども、それを解除されたということで、DMCA違反を理由に訴えたというものでございます。地裁では、原告の主張が認められたのですけれども、控裁でひっくり返ったという事例でございます。
 どうも米国連邦最高裁のホームページには出ておらないのですが、被告のホームページを見ますと、原告は最高裁に上訴したようですけれども、却下されておりまして、この事件は、一応、著作権に関する論議はもうこれで終わったのだというふうなプレスレリースが、被告の方のホームページに最近出ておりました。
 次に、特定のDRMの安全性についての研究発表に関する事例ということで、これはFelten対RIAAの問題でございまして、あるDRM技術の安全性について研究成果を発表しようとした研究者に対して、全米レコード協会が、「そんなことをするとDMCAのDRM保護規定に反しますよ」という警告状を送ったために、その警告状を受け取った研究者が同規定の違反ではないことの確認を求めて訴えた事例というものでございます。
 さらに次に参りまして、迂回禁止規定違反者に損害賠償を求めた事例ということですが、事案的には大した中身ではありません。ただ、判例データベースを探った限りでは、差し止めを認めた事例というのは多いのですけれども、損害賠償を認めた事例というのはなかなか見つけられませんでして、ようやく見つけられたのがこれでございますものでご紹介する次第です。これは、DVDソフトをコピーするツールを販売していた者を相手取って損害賠償を求めた事例でございます。いわゆる欠席裁判となりましたので、Magistrate Judgeが判断を下す形になりまして、被告が儲けた利益相当額を弁償しなさいということになっております。
 次に、有料放送のスクランブル解除に関する事例になります。これは有料放送のスクランブルを解除した個人ユーザーが、DMCAのアクセスコントロール技術違反ということで訴えられた事例でございます。これも、原告にサマリージャッジメントが認められております。
 さらに、これは最近の事例・・いや、2004年の事例ですから、そうでもないですね。不正アクセスだけではDMCAのDRM保護規定違反とはいえないとされた事例です。他者向けに発行されたユーザーIDとパスワードを使って、認証機能を回避し、不正にWebシステムにアクセスしたというふうに被告の方は言われているのですけれども、それについて裁判所は、他人のIDとパスワードを使ってシステムに入ったというのは、これはコンピューター利用詐欺のような―日本で言えば不正アクセス禁止法違反のような―行為は、そちらの方では問題となるのだけれども、DMCAのDRM保護規定違反とはならないということを判示しております。
 続きまして、10ページです。DMCA違反について刑事責任が問われた事例ということで、これは司法省のComputer Crime AND Intellectual Property Sectionというところのホームページに、網羅的ではないと言いながら、17事例が載っております。勘定の仕方では16なのかもしれないのですが。このうち、DMCA違反事例と言っているのですが、実際には衛星放送の無許諾受信装置の製造販売の禁止規定違反によると思われるものが10ほどありまして、残っているのは6つか7つということになります。大きく分けると、衛星放送の無許諾受信カードを製造販売して、これがDMCA違反で問われた事例。それから、ゲーム機を改造して違法複製ゲームをプレイできるようにして、これもDMCA違反とされた事例。それから、VHSテープ用の技術的保護手段を迂回してDMCA違反となった事例。さらに、電子ブックの技術的保護手段を迂回した事例等々、この4つに大別できるということになります。
 さらに、FCCによるBroadcast Flag規制の制定権限が問われた事例があります。先ほどちょっとDRMの技術の中でご紹介しましたBroadcast Flagでございますけれども、これはFCCが制定したBroadcast Flag規制で、2005年7月1日から米国のすべてのデジタルチューナーはBroadcast Flagに対応することが求められておったのですけれども、これに対して全米図書館協会等が、FCCの権限外、越権行為だということで訴えまして、コロンビア特別区控訴裁判所は、FCCの主張する付随的権限でこういうことを決めるというのは、FCCの授権範囲外だということで、Broadcast Flag規制は無効という判断が下っております。
 以上が、網羅的ではございませんけれども、米国のDMCA絡みの裁判例の内特徴的なものを挙げさせていただきました。
 次にヨーロッパの方でございますけれども、私は恥ずかしい話、ドイツ語もフランス語もわかりませんので、英語の文献から探していくという具合ですので、二次資料になりますためあまり数が挙げられておりません。ただ、いくつか興味深いものについて触れさせていただきます。
 まず、DeCSSを開発した少年に関しましては、ノルウェーで、ノルウェー刑法145条2項違反、不正アクセス禁止規定違反というような形で起訴されておったのですけれども、裁判所は正当に購入したDVDにアクセスすることは不正アクセスに当たらない。不正アクセスに当たらない以上、そこで入手した鍵を利用しても罪にならないということで、被告は無罪になって、検察も控訴しなかったため判決は確定しておるそうでございます。
 さらに、英国の事例でございます。英国では、これはかなりたくさん事例があるようなのですけれども、テレビゲームに搭載されたDRM、Sony Computerさんの事例なんですけれども、これについては幾つか事例がございますけれども、新しいものだけを挙げてあります。不正に複製されたゲームディスクでのプレイを拒否したり、欧州向け以外のディスクでのプレイを拒否したりするPlaystationのDRMを解除するチップを輸入販売した被告が、これは英国著作権法のDRM保護規定の296条、296のZA条、296のZD条、296のZF条といろいろあるのですけれども、これ全部に違反しますよというふうにされた事例でございます。 それから、もう一つ興味深いのは、フランスにおけるDVDのDRM関連裁判ということでございまして、これはDVDのDRMが、フランス著作権法が定める私的複製の権利を侵害するのだということと、コピープロテクションが施されていることを十分に消費者に徹底していなかったということを理由に、消費者団体が特定の映画タイトルの販売禁止を求めて映画会社を訴えた事例でございまして、4月22日―「パリ控訴裁」と解釈しましたけれども、これはCourt of Appealsと書いてあったのでそのまま訳しましたけれども、正しい訳ではないかもしれません―原告の訴えを退けた下級審の判決を覆して、当該特定タイトルについて、私的複製の権利に整合しないDRMの使用を禁止し、1カ月以内に問題のDRMを、市中のDVDから除去しなければ1日当たり100ユーロの罰金を支払うように命じました。また、DRMの搭載に関して、消費者に十分な情報を与えていなかったとして損害賠償も命じております。
 一方、CDについてコピープロテクションを乗せたことに関して同様の裁判が起こっているのですが、これは昨年末に、レコード会社側がそういうものを使っても構わないのだという判例が出ておりますので、判断が分かれております。
 一方、この4月の判決を受けて、弁護士グループが原告となり、一種のクラスアクションを起こして、現在、映画業界相手にDRMの利用が違法だという訴えを起こしているという報道がなされております。
 少し駆け足でご説明しましたけれども、最後に簡単に、皆様の議論の方向性ということにはならないかもしれませんが、ここまでの整理だけ申し上げたいと思います。
 米国の流れを見ますと、立法と裁判とで少し分類いたしますと、立法においては、DRMに関して2つの流れがございます。強化と緩和ということでございまして、いっとき、2002年ぐらいに非常に話題になりましたHollings法案、すべての機器にDRMを強制するという動きと、一方で―これは「バウチャー」と読むのか「ブーシェ」と読むのかわかりませんが―DMCAによって傷つけられたフェアユースを回復しましょうという、つまりDRM保護規定を緩めようという動きがございます。Broadcast Flagはどちらに入るのかといえば、Hollings法案に近いということかもしれません。いずれにしても2つの流れがございます。今のところ、Hollings法案については動きはございませんけれども、Boucher法案については、“Digital Media Consumers' Right Act of 2005ということで、現在も議会に上程されてはおります。
 それから、裁判例ですけれども、今ざっと見ましたように、基本的に映像や音楽ソフトを保護するためのDRMの解除について違法だということは、ほとんどすべての事例でそうなっております。一方で、そういう解除をすることは消費者のフェアユースの権利なんだということで争ったとして、正面から「そうですね」と言った事例はないように思っております。また、Lexmark事件のように、互換製品の排除等々、別の目的でDRM保護規定を使ったというのは、これはいろいろな理由をつけて裁判所がそれを認めないような感じになっているのが流れなのかなというふうには思っております。
 それから、最近出ました例のGrokster事件の最高裁判決ですけれども、これは深読みなのかもしれませんが、ギンズバーグ判事の補足意見の立場を敷衍いたしますと、機器や技術それ自体に、違法な行為に利用されないようにする仕組みがないと、機器の製造販売業者が責任を問われる可能性が出てくるように読めなくもない。一方で、ブライヤー判事の補足意見の立場については、これはDRMでコンテンツを保護するのは、権利者の選択肢というような言い方も出ております。この点、法廷意見は、Grokster等の態度を、積極的侵害誘因の意図の証左になるということだけ言っておりまして、ギンズバーグ判事の立場とは異なると思います。
 アメリカの全体の状況をいいますと、ここではPamela Samuelson教授の論文のタイトルを引かせていただいていますけれども、“DRM{AND,OR,VS.THE LAW”ということで、DRMというのは法律と併存するもの、もしくは法律と選択的なもの、もしくは法律をオーバールールしてしまうもの、3つの立場があり得るということで、その間でどうバランスをとっていくのかということがいろいろ議論されるわけですけれども、まさにアメリカは今いろいろな局面の中で、この3つの選択肢の中を揺れ動いているというのが、現状かなというふうに思っております。
 続きまして、EUについては、DRM保護規定は著作権指令にあるわけですけれども、これの国内法化作業というのは、いまだすべての国で終了しているわけではございません。
 ハーバード・ロースクールのThe Berkman Center for Internet & Society、こちらの報告によれば、2004年9月の時点で8カ国がまだ作業を終えておりませんし、「コピライト」の2005年4月号によれば、2004年12月末時点で少なくともスウェーデン、ベルギー、フィンランド、フランス、スペインは対応できておりません。
 その同じハーバードの調査によると、各国が既に国内法化している状況を見ましても、特に技術的保護手段の定義の仕方、技術的保護手段と著作権の例外の関係、制裁と救済方法の3点について、国ごとにアプローチに差があると指摘されています。例えば、アクセスコントロールを対象とするかどうかという点で、デンマークは対象としておりませんが、英国やドイツはEUの指令をそのまま入れていますので、多分中に入っているでしょう。一方、先程こちらでご紹介しましたけれども、ダイレクティブ6条4項は、appropriate measuresを各国政府はとりなさいと定めています。すなわち、権利制限規定に対して、権利者がボランタリーにDRMを一種緩めるということをしない場合は、appropriate measureをとりなさいという特殊な条項が6条4項としてあるわけですけれども、これについてオーストリアやデンマークは特に言及しておりませんが、一方でアイルランド・英国・デンマーク・ギリシャは、具体的に政府が関与する仕組みを法律の中に入れているというような差がございます。あと、制裁の定め方は、罰金だけで済む国から、非常に厳しい国、いろいろとございます。
 このような形で、EUに関しましては、残る国での法制化が順調に進んだといたしましても、各国の国内法に存在する差異によって、これからもDRM保護の問題に関してはいろいろな問題が生じる可能性があります。さらに、フランスなんかでは、まだDRMを法制化しておりませんが、その前段階として先ほどのような裁判が起こっておる状態でして、EUについてはまだいろいろと、問題とは言いませんけれども、課題があるのではないかと思われます。
 一方、EUの方ではEU委員会の方が、民間、特に技術関係、コンテンツ関係を集めてHigh Level Groupというのをつくって、2002年からいろいろな議論をしております。その成果が、一部公開をされております。答えを出すものではなくて、議論しているということなんですけれども、視点としては、DRM技術と相互互換性、この確保をいかに進めていくか。それからDRM技術とレビーの関係をどう考えるのかという問題。さらに、DRMをうまく使うことによって、P2Pのような違法なサービスを合法なものへどう回帰させていくのかというような問題が、検討の視点として出されています。ただ、具体的な解決策が出されているわけではございません。
 最後、日本のことについて言えば、私が調べた限りでは、それほど裁判例がないということで、比較的早期に法制度整備したのですけれども、裁判例という形ではあまり判断されておらず、輪郭がよくわからないという特徴があるように思っております。
 以上で、今私がわかる範囲でのDRMに関する動向のご報告ということにさせていただきます。
 少し時間を超過いたしまして、申しわけございませんでした。
 以上です。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの奥邨委員のご報告につきまして、何かご質問がございましたらこの段階でいただいて、その後また事務局から、残りのペーパーを使ってご説明いただきます。いかがでしょうか。
 私などは、最初の方の横文字がいっぱい並んでいるやつは、それぞれがどういう意味なのか全くわからないで聞いておりましたけれども、技術的なものであるという以上には理解しなくても大丈夫ですよね。

○奥邨委員 はい。私も、すべてはわかっておりませんので。

○道垣内主査 どうぞ。

○橋本委員 質問とコメントをさせていただければと思います。今の奥邨委員の区分というのは、多分、法律的な観点でいうと、それぞれのものに余り差がないんだという形の区分けにならざるを得ないのだと思うのですけれども、実務的に言うと、DRMという一言でくくられているものというのは、要するに何らかのプロテクションをするソフトウェアのことそのものを言っております。つまり、マイクロソフトのメディアプレイヤーDRMというのが、多分、今、世界で一番主流になりつつあるのですけれども、これなんかがありますし、お話にも出てきたアップル社のFairPlayとか、そういうDRMというのは、基本的にはソフトウェアのことを言います。それを採用して配信を行うような事業者側は、そのソフトウェアを用いてシステムをつくるんですね。つまり、DRMが個別単独に存在しているのではなくて、実はDRMを用いられるということは、システムに組み込まれて使われているというふうにご理解されるといいと思います。
 例えば、B−CASというデジタル放送で使われているものは、DRMという言葉を使わないで、コンディショナル・アクセス・システムということで、B−CASという言い方をしております。機能的に何が一番大きなポイントとして加わっているかというと、認証という概念ということなんです。オーソライゼーションとかオーセンティフィケーションといって、DRMを用いて実際にそのコンテンツを例えば見るとか、そういうことができる人であるというのを事業者側が認定するというのが仕掛けになっています。
 ですから、先ほどDRMがどこまで含められるものかという法律的なあやふやさというもののご指摘がありましたけれども、少なくとも実務上「DRM」と我々が使うときというのは、その鍵自体、例えば64ビットの鍵ですとか、そういうものをDRMというソフトウェアとして言っていて、そのDRMを開発している事業者、例えばマイクロソフトみたいな会社は、DRMを使う事業者、つまり通信事業者であるとか、配信事業者に対して、システム・デベロップメント・キットという、SDKと呼んでいますけれども、このDRMを組み込むためのソフト、それを一緒に提供するということをやっております。
 したがって、DRMが単独で存在しているのではなくて、実はそのDRMを使ってサービスをする上で、さらに追加のものをつくり込んで提供しているということで、今の最後ので、DRMそれ自体に責任を問う裁判、先ほど幾つかご紹介がありましたけれども、DRMには罪はないという形の凡例が出ているのだろうというふうに思います。そこは多分、物事を理解する上で、いろいろな局面でDRMが問題になるときに、それをコンディショナル・アクセスとの一番大きな違いということを認識してごらんになると、誤解が少ないのかなというふうに思います。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。
 そのほか何か。では、上野委員。

○上野委員 今、DRMの定義というお話がございましたので、私の方から2点お伺いしたいと思います。1点目はその定義につきましてですけれども、法律上の用語といたしまして、すでに「技術的保護手段」とか「権利管理情報」、あるいは不正競争防止法上の「技術的制限手段」というようなものがございますけれども、そういったものもすべてこの「DRM」というものに含まれるというふうに理解していいものでしょうか。つまり、「技術的保護手段」というのが一定の利用行為を技術的にできなくするというもの、「権利管理情報」というのは一定の利用行為をできなくするわけではないけれども、利用状況を把握して権利処理を行う技術であると、そして3番目の「技術的制限手段」というのは著作権の保護範囲に含まれない行為を技術的にコントロールするもの、というように位置づけられようかと思うのですけれども、「DRM」というのはその3つを含むというふうに定義されていると考えていいのでしょうか。また、これに関連して、このうちの2番目「権利管理情報」、これは一定の利用行為をできなくするわけではないけれども利用状況を把握する技術、すなわちコントロールというよりもマネージメントというのが妥当だと思いますけれども、このような意味での「権利管理情報」的な技術、たとえば電子透かしとか、そういった技術というのは最近どの程度発展しているのかということについても、もしご存じでしたら教えていただきたいと思います。それが1点です。
 2点目は、きょうのパワーポイントの2枚目のところに出てくる「SCMS」についてです。あるいはわたくしがちょっと聞き漏らしたのかもしれませんが、この「SCMS」について奥邨委員は、多分DRMだろうというふうにおっしゃっておられますけれども、SCMSは、デジタルコピー1世代のみ可能であるという点については、現在登場しているコピーワンスとか、そういったコピーコントロールと、その限りでは変わらないのではないでしょうか。つまり、コピーコントロールというものは、最近になって初めて登場したというようなものではなく、すでにかなり前の段階から存在したというふうに理解してもよろしいものでしょうか。これらのの点についてお伺いできればと思います。

○道垣内主査 では、奥邨委員。

○奥邨委員 では、お答えします。
 2つ目の方が簡単でございますので、まずこちらの点ですが、今、追加で事務局からお配りいただいた2ページ目でございます。先ほど欠けていた部分ですけれども、これの注の3のところに少し補足をつけておるのですけれども、スライド中の「ほし1」がついているものは、これはデジタルの技術ではないもの、暗号化されていないもの、法律が強制しているもの等がございます。例えばSCMS、これはアメリカのオーディオ・ホーム・レコーディング・アクトでSCMSの利用が強制されているということになります。マクロビジョンも、DMCAの中で一部、VHS絡みで強制されております。それから、暗号を利用せず、ただ、アソシエーテッドビットを使っているだけということで、SCMや、CGMS等があります。これらは著作権管理用のビットがただ前についているだけということでして、スライドの3枚目以降でいろいろご紹介したような特徴を持っていません。ライセンサーがいてどうこうするとか、鍵がどうこうとか、そういうことを持ち合わせていないという意味において違うということを少し申し上げております。
 それから、DRMの定義との関係で、先ほどございました日本でいえば技術的制限手段、技術的保護手段云々の区別の問題ですけれども、ここのところは立場によっていろいろなご議論がございます。それから、先ほどCAS等の分け方のご議論もございましたけれども、これも含めて、立場によっていろいろなご議論がございまして、どこまでを含めるかというのは、例えばEUのレポートでも、いろいろな立場をすべて紹介しているだけで、みんな利害によって変わってくるということで、定義の面で、そこまではまだ統一ができてきていないというような状態にあると思います。
 また、アメリカの裁判例では、いわゆるアクセスコントロールとコピーコントロールを一応アメリカ法は分けてはおるのですけれども、DeCSSに関する裁判では、例えばCSSはアクセスコントロールでありコピーコントロールだということを言っています。実際問題、先ほどもご指摘いただきましたけれども、システムとして保護している部分が多いので、ある局面だけをとらえて考えると、それはアクセスコントロールなのかもしれないのですが、全体として見ると、アクセスコントロールは何のための規制かというと、コピーコントロールのため、もしくは送信コントロールのためということになると、目的的にはアクセスコントロールはコピーコントロールではないかという議論もございまして、そういう意味では、法律的にも本当にどの辺で切り分けられるのかというのははっきりしません。もちろん、法律をつくったときには切り分けておったのかもしれないのですが、今現在裁判例という形では、はっきりとしなくなっています。
 さらに、EUのダイレクティブになりますと、コピーコントロールの定義の中にアクセスコントロールが入ってきてしまっているという問題がございまして、これも切り分けがよくわからないということでございまして、現時点においては、総体としてのDRMと申し上げる以外にないというような状況なのかなと、私の方では現状認識しております。

○道垣内主査 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、またご質問がありましたら、後ほどまとめてということにしていただきたいと思います。
 続きまして、事務局から、DRMに関する論点についての説明をお願いします。資料の説明と一緒にお願いします。

○事務局 まず、事務局から、資料の配付の不手際がございまして、奥邨先生には大変失礼いたしました。
 資料2のご説明をさせていただきます。既に論点の議論に、定義等を含めて先に入っていただいているところではございますけれども、ちょっと議論のたたき台として事務局で準備させていただきました「国際的なデジタル課題への対応の在り方について」という資料を、議論の時間を十分にとっていただくために非常に簡単にご説明させていただきます。
 まず、問題意識としましては、ずっと一般的なまくら言葉が書いてございますけれども、その4行目の、特に最近、国際的なデジタル課題として重要になっているのは、やはり前回からご議論をいただいておりますファイル交換の問題ということでございまして、特に最近はP2Pという技術や、今回のDRM、著作権管理技術―この定義の話などはご議論いただければと思いますが―議論が非常に関心を集めているところでございます。ここ一、二週間の間でも、グロックスター判決ですとか、あるいはレコ協さんのMXの和解の話ですとか、あるいはWinnyからウィルスに感染したというような話とか、非常に世の中で国際的な著作権の問題に関心がこれまでになく高まっているところだと思います。
 それで、第2パラグラフのところでございますけれども、このように非常に財やサービスの提供が円滑になるという一方で、権利侵害の危険性も高まっているということで、先ほどの奥邨先生のプレゼンにございましたように、契約、技術、法制度が一体となって権利侵害に対応するということが必要になってくると。
 ただ、先ほどの「AND,OR,VS.」というところで、それが相互補完関係としてちゃんと機能しているのか、それとも矛盾抵触のようなことが起きてくるのかということを、どういうふうにしていけばいいかというご議論をしていただければと思います。
 それで、その次のパラグラフでございますが、P2P技術やDRMの在り方という、ちょっと省略した書き方になっていますが、そういう技術の発展に伴った新しい課題が生まれてくることについて、どういうふうに国際的にルールをつくっていくかというような問題につきましては、WIPOや日米イニシアティブの場で議論されているところでございます。
 それから、P2P技術には、中央管理型と分権型ようなものがある。その大部分のところがやはり著作権を有するコンテンツということで、海賊版の問題が非常に多く問題になっております。1ページ目の一番下の注1のところに、OECDの報告書について書いてございますように、その報告書によると、ファイル交換掲載コンテンツのうち約92パーセントが著作物ということで、海賊版、あるいは封切りされた映画が即コピーされてというようなことで、非常に国際的にも大きなテーマとして取り上げられるようになってございます。
 「また」以下のところでは、いろいろなDRMがあるということについて、標準化や相互運用化、あるいは技術と契約に対して法律というものがどういうふうに働くかというような課題がございます。
 ということで、本小委員会では、国際的な議論に備えて検討を行っていただきたいと存じます。
 2ページ目でございます。まず、DRMについての現状認識、これはもう先般から取り上げていただいておりますので余り詳しく書くのはあれですけれども、デジタル化で大量、安価に複製ができることが可能になっているということに対して、逆にDRMというデジタル技術の発達というものもございますので、それをうまく活用して、新しいデバイスがいろいろ出てきている。ちょっとipod、着メロとかというように不正確な言葉がいろいろ書いてあるのですけれども、このあたりも報告書の段階ではもうちょっと正確な言葉にしていく必要があるとは思います。法制問題小委員会などでも議論されておりますが、いろいろな音楽ですとか映像の配信技術というものが非常に伸びている。モーラだとか、iTUNESとか、そういう現実のビジネスとして伸びてきているところでございます。それから、放送分野ではB−CASを用いた暗号化システムというのが構築されているということと、アメリカでは受信機の、先ほどご紹介にありましたBroadcast Flagのような基準があるということでございます。それから、1の一番最後の「また、」のところでございますけれども、そういうデジタル技術を使った管理ということになると、逆に利用者のプライバシーなんかも管理されてしまうというような危険もまた出てきているというような話もございます。
 それから、2のところで、要素技術としては、これはもういろいろなローマ字だとか片仮名というお話がありましたように、「このため、」以下、圧縮・解凍とか、暗号化とか、電子透かしとか、さまざまな技術で構成されているということでございます。
  3のところは、ちょっと繰り返しみたいになってしまいますけれども、先ほどご紹介のあったマイクロソフトグループの技術ですとか、あるいはiTUNES、アップルの技術ですとか、あるいはその他のエンコードを使った技術ですとか、いろいろな技術が起きてきているということでございます。
  4でございますけれども、もう既に先ほど奥邨先生からいろいろご紹介いただいた米国の状況ですが、米国著作権法では、米かどうかというところも議論があるところなんですけれども、日本とは異なりまして、アクセスコントロールに関して、技術的保護手段の回避行為、回避機器規制が定められているということでございまして、その措置について、著作権ですとか、あるいはその他の関係をどのように見ていくかということで、次の「アクセスコントロールに関して」というパラグラフから始まるように、我が国でも、不正競争防止法でアクセス回避に用いられる専用機器については規制対象にしているということでございます。
 それで、主に論点は、次の「検討事項」というところで、1は総論でございまして、2著作権制度に関する、特に国際小委ということで国際的な課題について、6つほど取り上げたらどうかということで挙げさせていただいています。これも、ほかにこういうものがあるということは議論していただければと思いますが、まず1番目が3ページの一番下のところの「著作権関連条約へ加盟」ということで、さらに国際条約を強化して、技術的手段に関する措置、あるいは権利管理情報に関する措置というものについて、各国の加盟を促進する、あるいは強化するというようなことが重要ではないかと。
 それから、2番目の問題として、やはりインターネットの特性としては国境を越えるということでございますので、その行為をした土地と、被害地とが分かれてきますので、そういったところについて、どの国の法を適用するかについて、国際的な議論の動向ですとか、あるいは法制審議会の議論なんかを参考にしながら、考えていく必要があるのではないかと。
 それから、3番目が「標準化、互換性における政府の役割」、4番目の「DRMによる保護と制度規定との関係」、この2つ、DRMの技術が独占されるという傾向があるので、そういったところ、先ほど技術と契約ということと法律の関係で、パブリックドメインになっている著作物に対するアクセスが囲い込まれてしまうのではないかというような問題ですとか、あるいは標準化や相互運用というような問題に政府がどのようにかかわっていくかというあたりについても議論いただく必要があるのかなと考えております。
 それから、5番目が「アクセスコントロール」、これは法制小委で主に国内については議論しておりますけれども、国際的な動向としては、海外では著作権で通常アクセスコントロールというものについては支分権として保護されていないものについて規制をしてしまうというような面もありますので、そういったものについて国際的なルールの中でどういうふうに考えていくかということがございます。
 それから6番目、これもまさしく法制問題小委員会で一番議論になっているところですけれども、私的録音録画補償金制度についても、DRMの普及ということで、今のまま残していく必要があるのかどうか、国内のことについては余り議論していただいてもあれですけれども、国際的な動向としてどのように考えていくべきかというようなあたりが、ちょっと事務局で準備させていただきました論点整理でございます。
 以上です。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。
 今、特に後半の方で、この小委員会として国際的な動向を見つつ考えていくということから6つの点を挙げていただきましたけれども、主としてこういうことについてご議論いただければと思いますが、またはその前提としての技術的な話についてもまだ十分でないかもしれませんので、あと約1時間5分ほどございますので、どの点からでも結構でございますので、それぞれのご専門のお立場、あるいはその他のお立場、委員の見識からご発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 アメリカはさすがに訴訟の国で、どんどんと物事が起こり、かつ、いろいろなことがわかってきて、まして先ほども、2004年の判決は最近のではないと言われたので、分野によっては随分違うものだと思いましたけれども、いかがでしょうか。そういう技術的なことで、どういう問題が現実に日本で起きているのか十分わからなければ余り……。
 はい、橋本委員。

○橋本委員 P2Pが悪者になって久しいのですけれども、よくいろいろな形で、ネットワークの将来とこの問題というのはどう絡んでくるのですかというお話を聞かれて、お答えする機会が多いのですけれども、さっき冒頭にご報告があったいわゆるDeCSS、いわゆるデックス事件ですね。DeCSS事件は、DVDのデバイス側で、要するに暗号化は関係なくしてしまったというか、要するにスクランブルを解いてしまったという、そういう事件だったのですけれども、実はそのときそれをやってしまったノルウェーの少年というのが、その後、大きくなってから何をやったかというと、アップル社のFairPlayというDRMがほかと互換性がなかったのを、よく言うとリバース・エンジニアリング、悪く言えばハッキングによって、リアルネットワークでそれが見られるようにしてしまったという、一種の天才なんですね。
 だから、そういう人たちの存在というのが、存在としてあるのですけれども、何が実際の著作権法違反している92パーセントに該当する根源であるかということについていうと、ほとんどの実務家の皆さんのお話を聞くと、DVDから出たというのが答えのようです。つまり、映像であるとか、ダウンロードによって得るということは、ネットワーク上に足跡を残しているようなものなので、なかなかそれでとったものをほかにまき散らすということは、悪いことをやっているという意識のある人はやらないということらしいんですね。どうやってやるかというと、市販のDVDを買うときに、名前も住所も聞かれないですから、その買ったものを、それを鍵をかけていない、要するにさっき言ったDeCSSでばらまかれたソフトを持っている人は、全世界に600万人以上いると。つまり600万台は、フリーにそれをまたもう1回アップできる可能性がある人たちがいるという、そういうことらしいです。
 原因は、要するにもう―こう言うとまた怒られてしまうのですけれども、1つ前の世代の技術であるDVDに原因があって、今、最も世界的に広まっているインフラであるネットワークを活用して、それがやり取りされる。ネットワーク屋の人は、「何が悪いのですか、DVDを何とかしたらいいと思いますよ」ということをおっしゃいます。DVDは、やはりマーケットとしてそれなりのお金を稼いでいるマーケットなので、なかなか規制という対象になっていかないんですね。
 どういうことを考えるかというと、一番最後の方に、今事務局からご説明があったように、私的録音録画補償金制度という、つまり悪いことをするというものをそのまま手を加えないで、悪いことが出てきたときに弁済してねという話に一気に飛んでしまっているというのはおかしいのではないかというのが、ネットワーク側の最近のやはり非常に大きな意見です。
 ですから、原因という意味で言うと、よくあるのは、「ではネットワークがこんなに充実しなかったらこういうことは起こらなかった」というふうにDVD側の方はおっしゃるのでしょうけれども、現実にネットワークはもう全世界的に強烈なブロードバンドの時代を迎えていて、そちらを議論して何とかするということは、実は問題の解決には遠いというのがネットワーク側の論点ですね。ですから、1つ考えなければいけないのは、やはりこういった悪いことができる環境をそのままにするということで著作権の保護を考えるという流れに、非常に多くのエンドユーザーがネットワークにつながっている以上、逆に疑問を持つ人たちがふえているということも、ぜひご認識いただきたいということがあります。
 それと、これもちょっと逆説的なのですけれども、Digital Rights Managementととらえて、デジタルな形で要するに暗号化をしたときに、「著作権の期間が切れた後ってどうなるんですか」という、非常に考えさせられる質問を受けたことがあります。
 驚いたのですけれども、フルトベングラーという指揮者がいます。彼の演奏は、もう戦前のものについて言うと、その期間が切れていて、実は音楽CDで、100円で売られているそうですね。世界最高の指揮者であった人だし、いまだにファンが多いんですけれども。つまり、「それって、DRMをかける対象になるのでしたっけ」という質問をいただいて、答えに窮した。感情的に言うと、「それはフルト・ベングラーだろう」という思いと、100円で売られているのにはちゃんと根拠があったらしいんですね。つまり、何か違反をしているわけではなくて、もう期間が切れていると。そういうものにまでかけてしまった後、未来永劫、かけてしまうんですかという。つまり、ユーザーというか、本当に国民の利便性だけではなくて、国民の経済的メリットを損なうことを要するに制度として何かやってしまうものがあるとすれば、それはやはりやめておいた方がいいのではないですかという意見も、ネットワーク事業者の方から聞いてございます。
 以上です。

○道垣内主査 わかりました。
 それぞれご専門のお立場で、山地委員、いかがでしょうか。

○山地委員 では、2つ申し上げます。1つは政府の役割についてです。ここの文章の中ほどに「当面、政府としては、産業界の自主的な取組を尊重することが適当と考える」とあり、私もこれは正しいと思っております。
 ただ、「しかし」以降に、格別の状況が生じた場合には、「政府として何らかの関わりが必要か」と結ばれているのですが、確かに格別の事態になれば、こういうこともあり得るかもしれませんけれども、現状ではそういう状況になっているとは思えませんので、政府は介入しない方がよいと考えております。
 2点目は、その次に書いてある「DRMによる保護と制限規定との関係」で、まず前半は質問ですが、4行目に「DRMの制度設計」という言葉が出てくるのですけれども、これはDRMに関する法律、特に著作権法上の法律の制度設計という意味なのでしょうか。

○道垣内主査 資料の何番ですか。

○山地委員 すみません、資料2の4ページ目。

○道垣内主査 どうぞ。

○事務局 DRMの在り方とか何か、そのあたりはちょっと言葉を非常に雑に使っている面もございまして、趣旨として、心としては、技術と法律と契約の関係についての考え方みたいな、もうちょっと丁寧に書いた方がいいと思いますけれども、このあたりをどういうふうに書いたらいいかも含めて、報告書に向けてご議論していただければと思います。

○山地委員 そうだとして、橋本委員の最後のお話にも関係するので申し上げたいと思いますが、確かにパブリックドメインといいますか、著作物ではない情報なりデータなどを、技術的措置によってアクセスコントロールしてしまうということはあり得ますが、これは以前の著作権法改正のときにも議論されたように記憶しておりますが、考え方として、技術的措置をかけてはいけないとするのもなかなか難しいだろうと思っています。以前の議論では、著作物性がないものをプロテクトした場合には、それを外しても違法とはならないということになったように記憶しております。
 格別の事情がない限り、そういう考えを踏襲していくのでよいと考えております。それでは極めて具合が悪いという意見、状況などがあるのであれば、是非ご紹介いただいて、この場で議論した方がよいのではないかと思っています。
 ですから、格別の需要がない限り、やはりそういう考えをとりあえずは踏襲していくのでよいのではというようにお考えだと思います。もしも、それでは極めてぐあいが悪いという意見、状況などがあるのであれば、ぜひご紹介いただいて、この場で議論した方がよいのではないかというふうに思っています。
 以上です。

○道垣内主査 どうぞ、児玉委員。

○児玉委員 3点ほど。
 最初は、まずDRMの定義について、先ほど冒頭で橋本委員が補足されたことの続きなんですけれども、私ども映像のコンテンツの世界では、DRMという言葉はどっちかというとインターネット上のところだけでしか使っていなくて、パッケージでは、これも出てきていますアクセスコントロールとかコピーコントロールとか、もっと具体的な名称といいますか、呼び方で呼んでいるので、一般的に我々がDRMというと、どっちかというとインターネット、映像配信ないしファイル交換上での使い方をしているということを、ちょっと補足として説明させていただきます。
 2番目の問題は、やはりこのDRMの問題というのは、先ほどのご説明にもありますように、技術なのか、システムなのか、行為なのかということですけれども、いずれにしても、基本的にはDRMそのものが技術によって起因するものでございますので、要は技術の進歩と、我々の法の方の適用が追いついていけないといいますか、非常に難しい状況になって、例えば、DVDで使っていますCSSなんというのは、実はDVDを我々が事業化するときに、このCSSはもう絶対に破られないDRMだから、それに対して法的な手当てをする必要はないのではないのというようなことでスタートしたのですけれども、発売してすぐ例のDeCSSが出てきた。こういうような問題で、では、今度はそのDeCSSを著作権法的に規制することができるのかできないのかというと、それはまだ夕べまでもそんな議論をしているような状態でございますので、そういうことで非常に難しい問題だと思っています。
 それからもう一つ、私的録画補償金制度の問題と、このDRMの問題というのがあるのですけれども、ちなみにこれはちょっとご説明申し上げておかなければいけないと思うのですけれども、現在、日本のパッケージビジネスにおいては、皆さんDRMといいますか、コピーガードをかけているということで、現在、日本の私的録画補償金制度においては、補償金の分配を受けていません。
 ですから、現在、日本の私的録画補償金制度は、あくまでもテレビ放映した分だけについての補償金ということで、この辺が皆さん誤解を受けていて、DVDにコピーガードをかけておいて補償金を取っているのはとんでもない、間尺に合わないという新聞記事や何かが時々出るんですけれども、それは録画においては間違いでございまして、あくまでも映像においては、パッケージでは補償金を取っていないということをちょっとご説明させていただきたいと思います。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

○竹内委員 資料2番の2ページ以降で、幾つかまとめて意見を申し上げさせていただきます。
 まず、事実関係の事柄を言いますと、2ページの(1)1のやや真ん中寄りのところに「放送分野については」とあるのですけれども、ちょっとこれは時期的には既に進んでしまっていますので、放送分野については、例えばデジタル放送においてコンテンツ保護を目的としたコピー制御方式が2004年4月から導入されていると、こういった現時点に合った言い方にした方がいいのではないか。それと、Broadcast Flagのことは、扱いが結構難しいのかなと思いますが、その辺はどうでしょうかというのが1つでございます。
 あと、全体的に、最初の奥邨先生のお話にもありましたけれども、技術と契約と法制度のバランスが必要というようなトーンが、皆さんのコンセンサスが得られるような全体のトーンかなと思うのですけれども、この事務局のペーパーだと、ちょっとその辺の書き方が違うような気がしておりますが、その辺、皆さんいかがお考えでしょうかという気がいたします。

○道垣内主査 まだこれは最終的な報告書の取りまとめではないので、全体的なことをおっしゃっていただくとありがたいと思いますけれども。

○竹内委員 全体のところなんですけれども、例えば3ページの(2)の1のところで、「デジタルコンテンツに対する過度の法的保護は」というような書きぶりなんですけれども、この辺も、逆にこういうところのバランスを失する恐れがあるというのではなくて、バランスをとる必要があるといった、そういったトーンの方がフラットではないかなという気がしております。
 あと、4ページの「DRMによる保護と制限規定との関係」のところ、ここなんかも「利用者の利便性を阻害することがないよう」とあるんですけれども、利用者の利便性と円滑な流通のバランスが必要ではないかとか、という気がいたします。
 あと、先ほどのその上のところにつきましては、「技術の標準化や相互運用性の確保について政府として何らかの関わりが必要か」という疑問形なんですけれども、これは一般的には必要なのではないでしょうかという気がいたします。
 以上です。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 事務局の資料2で申しますと、6つの点を具体的に挙げていらっしゃるわけですが、最初の条約への加盟を促進していくという点、これはこれで重要かなと思いますけれども、具体的にどうするのかはまた別の話で、この委員会としては、さらにその先の条約をどうしていくかというのが本来のテーマかもしれません。そこに向けて何か言えることがあればいいかなと思います。そのほかのあと5点について、2番目の点は国際的な話で、これは要するに国によって制度がばらばらでも、実際にはインターネットを介していれば、どこからアップロードしているかには意味がないということですね。もちろん、強い法律を持っている国が一方的に手を伸ばして世界中の行為を支配するというのもまた困りますし、だからといって、一番ルールが緩やかなところでやれば何でもできるというのもまた困ります。やはりハーモナイゼーションが本当は必要なのでしょう。ところで、今のところ、国境を越えて問題となった事件については、まだアメリカにも判例はないですね。

○奥邨委員 まだなかったと思いますね。すみません、私が……

○道垣内主査 事実としては、幾らでもあり得ることなのでしょうけれども。

○奥邨委員 例のノルウェーの事件というのは国境を越えているのですけれども、裁判としては、アメリカ国内で訴えられたのはあくまでアメリカ国内のサーバー管理者であり、ノルウェーの開発者はノルウェーで訴えられたというケースですので、域外適用みたいな話ではないです。

○道垣内主査 訴えの対象となった問題の行為は同じだということで、ユニバーサル・シティ・スタジオがそれをアメリカとノルウェーで訴えているということですね。ノルウェーで訴えたときには、ノルウェー法に基づいてですか。

○奥邨委員 そうです。

○道垣内主査 そうですか。

○奥邨委員 ノルウェーは、当時、WCT等々をまだ批准しておりませんでしたので、技術的保護手段に関する法制ではなくて、いわゆる不正アクセス禁止法、もしくは、日本で言えば電子計算機利用詐欺みたいなことで訴えられたわけです。

○道垣内主査 はい、ありがとうございます。その辺までは、ほかによろしゅうございますか。
 どうぞ、山地委員。

○山地委員 標準化と互換性における政府の役割について、賛成論が1つ出ましたので、補足意見を述べたいと思います。
 このパラグラフの最後の行に、「市場へのアクセスを確保する観点から、技術の標準化や相互運用性の確保について政府として何らかの関わりが必要か」とありますので、まず技術の標準化ということについて申し上げます。「政府として」という言葉の意味ですが、例えばJISというものを取り上げて、まずはそのJIS化をする。JIS化をした後で、例えば国際化をする。ISOであるとか、ISO/IEC JTC1に持っていく。JISという枠組みについては、経済産業省の担当ですので、政府の関与がある。そういう意味で「政府として」というのであれば、私も理解できます。ただ、それを超えて、技術の標準化について、政府がリーダーシップを持って、JISという枠組みではなくして、政府主導のもとで技術を標準化することについては、賛成できません。
 次は相互運用性の確保についてですが、例えばインターオペラビリティを確保するために、通信のITU−Tとか、電気関係のIECという国際標準化機関が、国際標準化をやっています。そういう国際機関に出ていくのは、例えばITU−Tについて言いますと、各国の政府代表です。日本の政府代表がITU−Tのメンバーとして投票権を持って出ていく。そういう意味で政府としてかかわるというのであれば、私も理解できますし、賛成です。
 しかしながら、国際標準化とか、そういう枠組みを超えて、インターオペラビリティを保つために政府が何らかの直接的規制をする等を意味するのであれば、私はあくまでも反対いたします。そういうことは、必ず悪い効果の方が多いと思いますので、民間主導でいくべきであると考えています。

○道垣内主査 この第3点については、いろいろご意見があろうかと思うのですが。
 どうぞ、橋本委員。

○橋本委員 私も山地委員と基本的に同じ考え方でして、先ほどJISの例がありましたけれども、自動車業界なんかでいうと、独立行政法人自動車事故対策機構ということで、市販車の安全性の評価試験というのを行っている。ある意味で言うと、認定するみたいなことがあるわけですね。ですから、どちらかというと、そういった部分までの関与にとどめるということは、ありとあらゆるこの国で普及するものを掌握する、その安全性であるとか、そういうものを理解するということでも相当意味があるという気がいたします。
 あとは、もう本当に今、民間で物すごく熾烈な競争をやっているときに、別のものをつくるみたいな動きを国が行うというのは、阻害する要因の方が大きいだろうというふうに思っています。

○道垣内主査 すみません、私もよくわからないのですが、この点について標準化することのメリットは何なのでしょうか。技術を1つにしようということでしたら、それは余りいいことではないと思いますが、標準化をしようという側の正当化根拠は何なのでしょうか。

○事務局 事務局も、DRMの動きについて、何度か先生から聞いた程度でございますので、あくまでも具体的なイメージがあって書いているというよりは、これ自体をいろいろ議論していただこうということで、議論を誘発する材料ということでお出ししているところでございます。
 特に、先ほど専門官の方からの話もありましたように、私どもが今考えておりますのは、WIPOの放送条約ですとか、日米イニシアティブですとか、そういった場で、これからデジタル化の将来課題について、国際的にどういうふうに処置をしていくかということを議論していく上で、日本からどういう提案ができるか、また条約などで具体的な議論が始まったときに、どういう点に注意をしなければいけないかということについて、今回ご審議をいただこうというふうに考えているところでございます。
 そういう意味では、先ほどの技術の標準化とか相互運用性などについても、我々が何か具体的に、標準化の動きを一本にまとめるようにリードするとかというようなことを考えているのではなくて、国際的な議論の中で、日本政府が何らかのコメントを求められたようなときに、少し発言ができるような、ことを今のうちから検討していこうということでございます。

○道垣内主査 はい。山地委員。

○山地委員 DRMという技術の標準化と相互運用性について、私の理解を申し上げます。現在、例えば音楽のオンライン販売については、世界で圧倒的に高いシェアを持っているのはアップルさんのiTUNESミュージックストアというオンライン・ミュージックストアです。再生機としてはiPodというデジタル機器があるわけです。現在、約4億曲ぐらい売れております。
 これは、先ほどご紹介がありましたように、FairPlayというDRMをつけていますが、そのDRMの内容であるとかフォーマットについて、アップルは秘密にしております。それを開示しておりません。そのために、iPodiTUNESミュージックストアと互換性のある機器が、現在、作れない状況になっています。
 ただ、1つだけ例外があって、これもさっきご紹介がありましたが、リアル・ネットワークスのオンライン・ミュージックストアがあって、アメリカの企業ですけれども、ここがアップルとの互換性を達成しました。アップルのリバース エンジニアリングもしただろうと言われているのですが、互換を達成したものを作って世の中に出しました。ハーモニーという名前の技術です。ところが、アップルはその次のバージョンでまた手を入れて、非互換に戻しており、イタチごっこの競争が続いている状況です。
 そうなると、どういうことになるかというと、コンシューマーとしては、アップルのiTMSから買ったものはiPodで聞くことができるけれども、そのiPodに例えばソニーBMGから買った音楽を入れても聞けないんですよね。
 そうすると、アップルにない音楽を買って聞きたいというときには、さらに別の機器を買わなくてはいけない。リアル・ネットワークス用の機器を買って、そこから買ったものはそっちで聞く。ソニーさんのも聞きたくなると、プレーヤを3つもポケットに入れていなくてはいけないということになって非常に不便です。ヨーロッパ、たしかフランスだったと思いますが、消費者団体が怒って、アップルを提訴していると思います。インターフェースを隠しているのはけしからん、消費者にとって不利益であるということから訴訟を起こしているということです。
 一方、業界としては、互換性がない技術が乱立しているというのが現状でありまして、一部の人たちはそれを問題視して、標準化の動きがあります。インターオペラブルなDRMを開発しようということで、コーラル・コンソーシアムというのがつくられています。「CORAL」と書いたと思います。これはワールドワイドで、26社ぐらいが集まって、互換性のあるDRMを開発しようという動きだと理解しております。

○道垣内主査 どうぞ。

○奥邨委員 1点だけ私の方から補足させていただきますと、政府の役割ということで申し上げますと、注目すべきはやはりヨーロッパ、EUの動きではないかと思っております。
 先ほど申し上げましたように、EUの著作権指令6条4項の方に、「Member States shall take appropriate measures to ensure」云々ということで、権利制限規定に関して適当な措置をとるという余地が認められています―もっとも、国によっては、より積極的な政府の介入をしているところもあれば、していないところもありますが―さらに、High Level Groupを組織しているのも、それとの関連がございます。
 もちろん、EUがどういう方向に進んでいくかというのは今は全くわからないわけですけれども、このEUの動きというのは、いい意味でも悪い意味でも、私どもが勉強、検討していく参考にすればいいのではないかなというふうに思っております。肯定的、否定的、どちらかというのは、まだ見てみないとわかりませんけれども、これは検討の余地がある状況ではないかというふうに思っております。

○道垣内主査 これは質問ですが、歴史的にはそういうことをした例はあるのですか。放送の電波の乗せ方とか、あるいはテープレコーダーのテープの規格とか、同じようなことは昔からあったのかもしれません。もちろん暗号をかけているわけではなくて、機械を特定のものを買わないと聞けないという状態ではあると思いますが、何らかのどこか外からの力で統一したことがあるのかどうか。

○橋本委員 B−CASなんかは国策ですよね。つまり、理解としては、最初からそれで行きましょうという統一的なもの、つまりほかの、それに競合するようなものが存在する余地がないという形で、検討はいろいろしたのだけれども、そういう展開になったということなんですよね。でも、それ以外は……

○道垣内主査 余りない。

○橋本委員 余りないというように記憶していますが。

○道垣内主査 では、石井さん。

○石井委員 B−CASなんですけれども、これは基本的に放送事業者と、それから各メーカーさんですけれども、その話し合いの中で大体規格が決まってきたのではないかなというふうに私は理解しています。放送業者の中でも、どういうB−CASがいいのかといろいろ議論があったようなんですけれども、それはほとんど当事者間だった。間接的にもあったかもしれませんが、基本的には当事者間の話し合いの中で出てきたのではないかと思いますが。

○橋本委員 いえ、問題は、それと既に同じ機能を持っているものが世界じゅうに存在していたけれども、それは採用しなかったということがポイントだと。新たに、そのファイナルをつくったかということですよね。
 すみません、ここの部分について、私は、要するに互換性の話というのは民間が進めることになろうというふうに思っています。ただ、先ほどご指摘があったアップルは、ちょっともう出していますけれども、リアル・ネットワークスのハーモニーと、マイクロソフトのメディアプレイヤーDRMというのは、ある互換性を持っている形で着地していますので、互換性を持っています。したがって、必ず互換性に対するいろいろな要請も含めて、それなりのことを事業者が考えて対応していく。でないと、コンシューマーが怒っている中で事業というのは円滑にいかないということを、彼らの場合、よくわかっているのではないかというふうに私は思っています。

○道垣内主査 どうぞ、山地委員。

○山地委員 委員長のご質問は、「過去に類似の例があったか」ということだと思います。私が1つ記憶しているのは、大分昔になりますけれども、DAT、デジタル・オーディオ・テープレコーダーを売り出すときに、今で言うDRM、コピープロテクションをどうするかが非常に問題になり、権利者と業界でもめ続けて、いつまでたってもDATを売り出すことができないという状況になって非常に困ったことがあります。
 そのときに、多分、見るに見かねてと思うのですが、経済産業省、当時の通産省が中に入り、最後は局長名のお手紙が出ました。日本の主要な家電メーカーに対してです。要するに行政指導です。日本においてオーディオ機器を今後発売するためには、SCMSを搭載することを推奨するという内容のレターが出ました。それを受けたメーカーはSCMSを搭載しない限り、物はつくらない、売らないということになったというのが、私が理解している事実であります。
 しかしながら、これは行政指導で、日本の特定のメーカーだけが対象ですから、台湾などからの輸入のものに対しては一切関係ないということであったと思います。

○道垣内主査 どうぞ。

○奥邨委員 もう自分でご説明したつもりだったので申しわけなかったのですが、アメリカでは基本的に、オーディオに関してはSCMS、シリアル・コンピューター・マネジメント・システムが法律によって強制されております。それから、DMCAで、アナログに関してはVHS、8ミリに関して、アナログ・コピープロテクション・システム、すなわちマクロビジョン・システムのようなものが強制されております。ですから限定されたところに関しては、そういう強制がございます。それからBroadcast Flagも、これはコピープロテクションかどうかという見方はあるのですけれども、一応強制をしようとしてできなかった。それから、先ほどご紹介したHollings法案、これはつぶれましたけれども、これもすべてにDRMを強制しようという動きです。
 そういう意味では、実際に実例はあります。ただ、極めて限定されたところですし、アメリカの場合広範囲にやろうとしたものについては、先ほどからご議論が出ていますように、市場に任せるべきであるという議論の方が勝ちまして、今のところ、そういう状況の動きにはなっていないというのが実態ではないかというふうに思います。

○道垣内主査 質問ですが、その強制という意味では、少なくともそういう技術を搭載せよというまでであって、それ以外に何かもっとプロテクトをかけたいという人が、別のプロテクトをかけることまでは禁止していないですよね。

○奥邨委員 もちろん、ミニマムの立場の中でということです。

○道垣内主査 ここでの話は、むしろソフトウェアを独占している人たちと組んで特殊なDRMを採用し、独占をしていくということが一つの問題として言われているのではないかと思うのですが。ですから、最低ここまでしなさいというのと、それが上限であるというのは違うと思うのですが。

○奥邨委員 上限まで出している法制ではないですね。そこまでではなくて。

○道垣内主査 わかりました。どうぞ。

○児玉委員 そういうことで標準化ということだったらば、前回の著作権法改正のときに、いわゆる技術的保護手段の迂回を規制するというときに、今のマクロビジョン方式と、それからCDMSについては、TR提案という標準化で仕様書ができまして、それでハードウェアの方も、そのTR提案に記載されている技術のものに対応できるようなハードウェアを発売すると、こういうふうな仕組みをつくってやっているんです。
 ただ、これは今おっしゃったような強制だとか、そういう範疇ではないのですけれども、現実のDRMに関してはそういう標準化ということをやって、DRM技術が有効に働くようなシステムをつくったと、こういうことはやっております。

○道垣内主査 ご発言のない方、何かございますでしょうか。
 よろしいですか。後の方に行ってまた同じことが出るかもしれませんので、そのときにご発言頂いても結構です。
 資料2の4ページの4番目の点ですが、「DRMによる保護と制限規定との関係」というので、先ほどからパブリックドメインになっているものについてはどうなのかということですが、自分で自分の持っているソフトウェアに何らかの特殊な暗号をかけることは、自由ではないかと普通に思いますけれども、それを破られて、そのときに法律の保護を受けないかどうかは、それはどこかの法律に触れなければ文句は言えないはずで、それ以上の何か問題があるのかどうかについてよく分かりません。ちょっと私、すみません、十分に事態を認識していないのかもしれませんけれども、それでは困る、パブリックドメインになったのだから、そんな暗号をかけてはいけないというところまで行こうということなのでしょうか。その辺がよくわからない。経済的な価値がなければ何もしないでしょうが、かけることに意味があれば、かける人が出てくるのは当然かなと思うのですが。

○橋本委員 それも、消費者との関係だと思いますけれどもね。つまり、もともとはかかっていなければいけなかったものが、あるとき以降、もう要らないのにもかかわらずかかっているというのを、結構、不快に思う人っていらっしゃるんですよ、やはり。

○道垣内主査 必要なくはなくて、要するにかけていることによって経済的な利益が得られるのであれば、必要なくはないですよね。それを公開せよというところの主張までできるという意味なのかどうかですね、パブリックドメインであるべきだという理由によって。

○橋本委員 そもそも、多分この問題、この部分というのは、消費者はパブリックドメインで何が自由に使えるのかって知らないんですよ。だから、何かすごく、想定のために言う感じで恐縮なんですけれども、それはまた啓蒙というか、著作権の理解ということでいくと、もう少し。
 あと、ちょっと1つ残ってしまいますけれども、政府の役割ということで言うと、やはりどうしても不正コピーをしない、させない、受け取らないみたいなことを、この部分においても、DRMの技術的な話以前の問題で、やはりそこが基本なので、その部分については引き続き積極的に政府に果たしていただくことをぜひお願いしたいと思います。

○道垣内主査 どうぞ、上野委員。

○上野委員 今、いわゆるオーバーライドの問題が話題になったかと思いますけれども、たしかに従来から契約や技術によって著作権法の秩序がオーバーライドされてしまうのではないかという議論がありました。どうしてこれが問題になるのかといいますと、もちろん見方はいろいろあるのですけれども、著作権法というのは、長い時間をかけて著作物の「保護」と「利用」のバランスをとってきたわけであります。例えば、他人の著作物を引用することは許されるとか、図書館でコピーすることはできるとか、そのようにしてきたわけであります。このように、一定の行為が自由に行えるように著作権法がバランスをとってきたわけでありまして、そのような観点からいたしますと、そういう侵害にならないような行為について、技術的手段によって現実にコントロールを及ぼすことができてしまうとなると、――もちろんそういう技術がどこまで実現するのかという現実問題は残りますけれども――、著作権法が築いてきたバランスが崩されてしまうのではないか、それは問題ではないか、というような議論でございます。
 もちろん、そうした技術が現実に存在しうるのかというと少なくとも現時点では分かりませんけれども、少なくとも理論的には問題になります。そういうオーバーライドという事態に対応するとすれば、やはり権利制限規定等それぞれの規定の趣旨が問題になろうと思います。たとえば、極端な話、点字による複製は著作権法上自由に行うことができるというのは公益的な意味があるでしょうから、このような規定が実現しようとしている趣旨がオーバーライドされてしまってもいいのかどうか、これがケースバイケースで問題になってくるだろうと思います。
 ただ、1つだけ言えますのは、契約によってオーバーライドが行われる場合と、技術によってオーバーライドが行われる場合とでは、若干状況が異なるだろいうということであります。
 と申しますのは、契約によってオーバーライドが行われる場合には、当事者間に合意があるとされる限りおきましては、一応、私的自治の原則が働くことになりますから、それは当事者間においては有効と考えられやすいことになろうかと思います。これに対して、技術によってオーバーライドがなされる場合は、そうした合意とかはなく、一方的に行われてしまうわけです。したがいまして、その意味では、契約によるオーバーライドに対する介入は、技術によるオーバーライドに対するそれよりも、相対的に抑制的であるべきだというふうには言えようかと思います。
 そして、技術によるオーバーライドに対して何か制度設計を行う必要があるのではないかという今回のご指摘につきましても、必要に応じて検討しなければいけないと思います。具体的な方法といたしましては、さきほど山地先生が少しご指摘になられましたけれども、ある技術それ自体を禁止してしまうという非常にハードなやり方から、それ自体は禁止しないけれども、技術的手段を回避する行為を行ったとしても別に違法としないというようなやり方もあろうかと思います。
 ただ、後者のような措置を執ったといたしましても、通常人であれば技術的手段を回避することはできないわけでありますから、だとすると、結局、結果においては技術によってオーバーライドされてしまうことになる。このこと自体をどう評価するか、それでもいいと考えるのか、あるいは妥当でないと考えるのか、こういう問題になろうかと思います。

○道垣内主査 ありがとうございました。
 どうぞ、山地先生。

○山地委員 今の委員長の質問に対してですが、パブリックドメインになっているものや非著作物をプロテクトしてはいけない、DRMをかけてはいけないとするのは、やはり問題が大きいと思います。
 談合とか、不法行為に対して、それをしてはいけないというのは理解できるし、立法もできるのだろうと思うのですが、必ずしも不法であるとは言えないようなものを一般的に法律で禁止するというのはなかなか難しい。無理があるように思います。
 例えば3つばかり例を挙げると、例えば会社としての営業秘密、顧客名簿や、失敗した実験データ等がいわゆる営業秘密としてあるわけですが、多くの場合、それには著作物性が認められないケースが多いと思うんですね。著作物ではない。しかしながら、企業としては営業秘密なのでぜひ保護したい。そのために、スクランブルをかけるケースがあります。その場合に、それは不法であるというふうにされたのではかなわないというわけです。
 2番目の例は、著作権というか、著作物性というのはなかなか難しいケースもありまして、著作物として認められるかどうかわからない微妙なケースもあるわけでありまして、自分はよくわからないから、とりあえず安全策を考えてDRMをかけたと。ところが、争ってみたら、司法判断ではこれは著作物でないと言われた。その瞬間に、侵害の疑義がかぶさってくるのではかなわないなという気がいたします。
 3つ目の例は、DRMをかけたときは、明らかに著作物であった。しかしながら、しばらくしているうちに、その著作権がエクスパイアしてしまった。その時点から、著作権のある著作物ではないけれども、DRMをかけていることになるわけでありまして、その時点から法律違反となるのでは、これもかなわない。
 したがって、合法的、不法ではないような使い方がいろいろ考えられそうなので、そういうことをしてはいけないという一般的な法律をつくるのは非常に問題ではないかと思います。もちろん、庶民の感情としては「えっ」という気持ちはあるのですが、理屈で考えるといろいろ問題が大きいのではないかと思います。

○道垣内主査 どうぞ。菅原委員。

○菅原委員 考え方の整理が必要で、DRMが1かゼロかといいうふうに議論されますが例えばコピーネバーとなると利用者、消費者側の混乱といいますか、不満というのが出るのではないかと思います。
 そうすると、やはりこれは中にも書いてありますけれども、緩やかな運用というのがあるのではないか。全くコピーネバーということになると、そこの問題というのは一番極端なわけですね。だから、そういう運用を含めた観点でDRMというものをどう考えていくかということも、あるのではないかと思います。

○道垣内主査 どうぞ、前田委員。

○前田委員 パブリックドメインになったもの、あるいはそもそも著作物としての保護を受けないものにDRMをかける場合と、権利制限規定としては認められている行為をDRMによってその行為を制限するという場合とでは、やはり別の問題なのかなという気がして、似てはいますけれども、全く同じというわけではないのだと思います。
 パブリックドメインになっているものに、仮にDRMをかける場合に、私もそれをかけること自体を違法とするのはちょっと難しいと思います。
 ただ、パブリックドメインになったものにDRMがかかっていて、それが破られた場合に、著作権侵害を主張できるかというと、もちろんパブリックドメインになっているわけだから、そもそも訴訟でいうと請求原因が立たないわけですから、それを違法とすることはないと思いますので、今の30条で言うと、技術的保護手段によって複製ができないようにされているものを、技術的保護手段を回避することによって可能となった複製であることを知りながら複製をしたとしても、そもそも著作権保護期間が満了していれば、それをもって著作権侵害ということにはならないので、それはそれでその結論でいいのではないかなと私としては思います。
 それから、権利制限規定との関係については、ここが非常に難しい問題で、さっきちょっと上野先生が例として挙げられたように、適法引用もできないような技術的DRMが仮にあったとして、それはどうなのかという問題が出てくるかと思いますが、仮に適法引用ということで考えると、ガチガチのDRMがかかっているものであっても、それを見ることはできるわけで、見た上で適法引用するということはもちろん当然に可能なわけですから、技術的保護手段をかけてはいけないということには直結しなくて、技術的保護手段によってどういう行為が制限されるのかということと、それから制限規定の目的とか趣旨とかいろいろなことを考慮して、どういう場合、どういうことが著作権の保護と利用者の利便性とのバランスをとれる解決になるのかということを、個別に慎重に検討する必要があると思います。

○道垣内主査 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
 5番目の点については、よろしゅうございますでしょうか。アクセスコントロールについてでございますが、この点はいかがでしょうか。これも何らかの法的措置が必要かとか、その許容性はどうかという。
 どうぞ、高杉委員。

○高杉委員 さっき私、3つぐらい申し上げた中の2番目の技術だからということにかかわるのですけれども、やはりこのアクセスコントロールというのも、これも実はアクセスコントロール自身に定義がいろいろあるようでして、単なる契約、認証だけでやっているアクセスコントロールと、それから今現実に私どもがDVDでかけているCSSというアクセスコントロールは、基本的にはコピーコントロールと類似されている、あるいは複合されているというような形で、結果的にアクセスコントロールであっても、コピーコントロールの効果・効用をなしているわけなんですよ。
 ですから、いろいろ国際的にアクセスコントロールをどうするかというような問題を検討するときには、私はやはりアクセスコントロールについてはもう少し、定義をもっと明確にして検討していかなければいけないのではないかなというふうに常々思っています。

○道垣内主査 難しい話ですが。
 では、どうぞ、菅原委員。

○菅原委員 私も、この部分はもう一度、今の技術というか、今のビジネスの実態を見て検討すべきだろうと思っています。
 例えば、音楽では、いわゆる超流通と言われているビジネス流通が始まっています。そうしますと、暗号化したソフト、これはそのものでは見れないのですけれども、自由に頒布できるのです。その上で、復号化する鍵でビジネスを成り立たせるというもので、既に始まっています。そうすると、そこの鍵も含めたところのコントロールに対してそれはどういう位置づけになるのかということなど、改めて出てきた視点で考える必要があるというふうに思っています。

○道垣内主査 すみません、さっき「超流通」とおっしゃったんですね。

○菅原委員 いわゆる超流通です。

○道垣内主査 アクセスコントロールということ自体もいろいろなのでしょうけれども、これは、多分この紙はDRMの一種であるというか、その主要なところなのかもしれませんけれども。もっと厳格に定義をしないと議論できないのかどうかというのもありますが。
 山地委員。

○山地委員 この書類では、文脈からは、暗号を中心とした技術というふうに私は理解していますが、一般的にアクセスコントロールといえば、もっと種類は多いわけです。例えば少なくとも日本の不正競争防止法においては、2種類のものを規定しています。1つは暗号化であり、もう一つは入り口で押さえるパスワードのようなものです。入り口で鍵をかけて入れさせないというアクセスコントロールもあるわけです。したがって、どなたかがおっしゃったように、もし厳密に議論を進めていくのだとすれば、アクセスコントロールとは何を意味するのかという定義も必要だろうと思います。
 しかしながら、著作権の場面について言えば、多分しばらくの間は暗号化をどうするかという議論になるだろうと理解しています。
 暗号化について言いますと、暗号化されていても、複製は自由でして、何のコントロールもかかっていない。ただ、幾ら複製をしても、それをうまく復号化できなければ見ても面白くないので、複製するインセンティブがない。
 したがって、児玉さんが期待している効果として、コピーを抑止する効果があるということは私も認めます。しかしながら、本質的にはやはりアクセス、触れさせないということです。著作権法で言ういわゆるユースです。読んだり、見たり、聞いたりということは、著作権法では自由ではないのかというところは、やはり根本の議論だろうと思います。したがって、そこを突破する哲学がない限り、アクセスコントロールを著作権の支分権に入れるべきではないと思うのです。
 次に「実害」ということですが、世の中には、違法なことをする人もいろいろいるわけですが、しかしながら、それが業として行われている場合には、日本では不正競争防止法によって対処できると思っております。ただ、刑事罰がある、ないという問題はあるかと思います。
 それと、カジュアルコピーですね。個人が家庭の中で暗号破りをする。そういうのがふえてくると、経済的被害を無視できないという、権利者のご意見だろうと思います。そこもわからなくはないのですが、結局、最初に申し上げたアクセスと著作権法の整合性の悪さと、そこのバランスの問題なのだろうと思います。だから、やはり著作権法にアクセス権を入れて、読む、聞く、見るの制限をするためには、何か突破口をぜひ権利者の方には考えていただきたいと思います。

○道垣内主査 どうぞ。

○児玉委員 本当は、この話は国際小委員会の話ではないのですけれども、今、山地さんにいろいろご説明していただいたことを補足すると、ではアクセスコントロールを破ることを著作権法の規制の対象にするようにしたらどうしたらいいのかということで、1つの対案で、要するにアクセス権というのをつくればいいのではないのかという考え方があるのですけれども、では、現実的に今度、今の日本の国内法でアクセス権というのをつくるというのは、これは極めて困難で、いつもいろいろなたとえ話で、そうしたら本屋で立ち読みもできなくなるではないかとかという、そういうようなところまで発展しながらですから、やはりそういう意味で、アクセスコントロールそのものがどういうキーというか、どういうDRMなのかということをよく定義をして、それで対応していくしかないのかなというふうに私は思っています。

○道垣内主査 ありがとうございました。
 どうぞ。

○事務局 標準化のところからアクセスコントロールのあたりのテーマは、何で事務局はこんなのを出してきたのかという感じの議論になってしまっているのですが、国内法自身の検討はさておき、国際小委ということで、途上国とかアメリカとの関係で、こういう国際的なルールをどういうふうに考えていくかということについて、この国でこういうことを言っているという資料がないとなかなか議論しにくいのではないかと考え、例えばパブリックドメインという問題で言えば、途上国から見れば、デジタルデバイドでありますとか、フォークロアみたいなものは、自分たちの伝承された文化を先進国では勝手に独占しているではないかという、アンチ資本主義、アンチグローバリズムの議論の文脈でもあります。そこをどう正当化するかというか、そういう独占の問題はないというような説明の仕方をどうするかを詰めるのが、日本のスタンスとしては意味があるのかなというふうに考えております。
 それから、アクセスコントロール、ほかの論点でもそうなんですけれども、もちろん著作権法の体系の中だけで議論すると、基本的には著作権の保護の法律なので、およそ問題になってこないようなものでも、そういった文化政策的な側面とか、あるいは南北格差みたいな視点とか、そういうことを考えたらどういうふうに国際的に議論していくかということも議論していただいてもいいのかなということと思います。WIPOの放送条約の関係でいろいろ議論がある中では、技術的保護手段の規定について、今は各国がそれぞれ判断をして、著作権法であるとかほかの法律でやっているわけですが、これについてもアクセス権をきちんと規定すべきだというふうに主張する国もありますし、逆に途上国は、今説明がありましたようにフォークロアのような、保護とかそういう観点、そもそもこういう技術的保護手段の規定自体が必要ないというように考えるという国もありまして、日本は現在のWCTとかWPPTの規定が一番望ましいのではないかというスタンスでこれまで来ておりますけれども、DRMの現状なども踏まえて、どういうふうに整理したらいいかといったようなことも、問題意識としては持って資料をつくったわけでございます。

○道垣内主査 はい、どうぞ。

○奥邨委員 1点、アメリカのことをうまくちゃんと説明できていなかったかもしれないので補足しますと、アメリカのDMCAの中に確かにアクセスコントロールの問題は入っているのですけれども、幾つかご紹介したように、例えば衛星放送をただで見るみたいなカードを売っている事例については、全部は調べていませんけれども、いわゆる通信法というか、衛星放送法というか、そちらの方の違反行為で取り締まっている例がやはり多いわけでして、必ずしもDMCAが正面から常に出張っているというわけではありません。アメリカにおいて、このアクセスコントロールの扱いというのはいろいろとやはり議論があるところではないかなと思います。また著作権法の構造上も、第12章は、例えば違反行為についての刑事罰規定なども、通常の著作権侵害のそれとは別にワンセット揃っているわけでして、その意味で第12章は確かにUSC第17編という法典の中にあることはあるのですけれども、純粋な意味で著作権法制の一部としてなのかどうか、というのは、やはり議論があるところのような気がします。アメリカはアクセスコントロールも著作権の一部としているのだということの評価からして、またこれは議論をし直すべき部分もあるのではないかなというふうに、今回の調査を通じて個人的には思っております。
 法律をつくったときと適用されている今の場面とでは、かなり状況に差が出てきているのではないかなと思われます。その点、残念ながら日本では余り裁判例がございませんので、法律ができたときの状況だけを前提に議論をする部分がどうしても出てしまいますけれども、米国などでいろいろな裁判例が生じていることを踏まえ、実態との関係の中で、アクセスコントロールはいかにあるべきかという議論を、やはりすべきではないのかなというふうに思っております。

○道垣内主査 よろしゅうございますか。
 あと、最後の6番目のが1つ残っています。
 それからもう一つ、報告書につながっていくとすれば、これ以外にも何かあるのではないかというご指摘があればいただければと思いますので、あともう一つだけではなくて、そのあともあるという前提で時間を考えなければいけないのですが、私的録音録画補償金制度については、先ほど議論されたのですけれども、これはよろしゅうございますか。
 松田委員。

○松田委員 日本でDRMというのに伴いまして、この補償金制度が影響を受けることは当然だと、私は思っています。だからといって、全部の補償金制度をどこかの段階ですぱっとやるのは、かなり日本の技術、日本一の技術を踏まえた上で、それがいつ生じるかということを見定めなければならないだろうというふうに思っています。
 それで、確かにDRMのかかっているものについて、もし二重的な課金が行われるのであれば、これはできるだけ回避しなければならないというふうに私はいつも思っています。
 それで、このことは、実は私はできるのだと思っているんですね。もちろん、できるというのは、補償金制度自体が一定の統計等を踏まえた上で、荒い整理といいますか、ラフジャスティスを前提とする限りにおいては、できるだろうと思っています。それは、ある媒体にDRMがかかっている素材を1回だけ読み込むか、ないしはDRMのかかっていない素材からコピーをするかというその頻度をある程度、ラフであるけれども調査をして、その割合に応じて鍵の割合を変えていくということをすべきだろうと思っています。ある媒体、ある機種については課金し、ある機器、媒体については課金をしないという線の引き方が、これはばあっといっているわけですけれども、もう少し踏み込んで課金制度の精度を上げて、そしてDRMの普及によって、大方、ある媒体に課金をすると二重の課金になってしまうという状況が生まれたときには、それを外すと。それまでの間は、ある程度のパーセンテージをかけていって、そしてできるだけ、ラフではあるけれども、できるだけ正確なものをつくるという、そういう制度に変えることは私は可能だというふうに思っています。

○道垣内主査 何かございますか。余り時間がないですけれども。どうぞ。

○石井委員 先ほど課長からご指摘ありましたけれども、最後の3つ目で、パブリックドメインあるいは著作物でないものへのアクセスをどう確保していくかというようなときに、特に放送事業者にとってはなかなか難しい問題で、特に伝統的な放送の場合は、視聴者からのアクセスというもの、それからある程度、自由な利用というものは保障しなければならないというふうに考えています。
 そういうところで、CASは何となく視聴制御ですとか、そういうふうに受け取られる面もありますけれども、今のところはあくまでも機器の認証、正規の機器かどうかというレベルをでして除いて、しかもコピーワンスということで、受信して、それを自分でコピーするところまでは許容しよう許そうというようなことを考えているわけです。
 このときに、やはりそこで、たとえ私的といえどもコピーを許すことになるわけですから、そこで権利者の利益とのバランスというものは今後考えていかなければならないし、あるいはその機器の発展というものを阻害しない範囲でそれをどうやっていったらいいかということは、今後検討していかなければならないのではないかというふうに思っています。

○道垣内主査 山地委員、どうぞ。

○山地委員 補償金についてですが、30条はそもそも補償金ができる前は、家庭内及びそれに準ずる範囲においては、複製は自由でした。しょせん複製しても、家庭内にはいちいち警察は入れないのだしというようなこともあったと思います、考え方として。
 しかしながら、デジタルの技術が非常に進んだ結果、そうはいっても、権利者の経済的ダメージが無視できなくなってきたので、やむを得ない。いろいろ困難な点はあるけれども、補償金という考え方を導入しましょうということになったと思います。
 私の理解は、「したがって、補償金は払います。けれども、複製は自由です。家庭内において個人的に行う複製は、質・量ともに自由です。だけれども、お金は払いましょう」ということだと思います。
 しかしながら、その後、技術がまたさらに進んで、権利者はコピープロテクションであるとかアクセスコントロールであるとか、最近はDRMだとかといったように、複製を自由にできないようにしてきた。それはおかしいのではないかと、私は思っています。
 もしも30条が、コピーは自由ではないのだというのだったら、お金を取るとしても料率を変えるとか、何かの配慮をさせるべきだと思います。さらに言えば、これは法制問題小委員会で議論していることですけれども、私、その場ではまだこの意見は言っていないのですが、もしも仮に補償金を取り続けるのであれば、家庭内においては、すべてのDRMは廃止すべきだと思います。家庭の中では自由にする。DRMを外す。コピーコントロールもアクセスコントロールも外す。そのかわり、補償金は取り続ける、この方が考え方としては整合性があるのではないかと思っております。

○道垣内主査 それは、しかし法律が介入しないとできないことで、先ほど言っておったのですが。

○菅原委員 先ほどの制限規定の論点とも同じなのですけれども、DRM自体が1かゼロかの議論ではなく、実際の技術もそうである前提で検討すべきと思っています。
 それから、30条の趣旨は、今山地委員のご意見がありましたけれども、認められる私的複製は極めて零細な範囲であり、大量に幾らでもということではないはずであって、その前提をやはりまず考えるべきだろうと思います。

○道垣内主査 何か。

○山地委員 それは確かにおっしゃるとおりで、条約違反をしてはならないのは当然です。条約違反にならない範囲内において、スリーステップテストに合格する範囲内においてという条件付きです。

○道垣内主査 すみません、時間的に大体終わりになっているんですが、何かこれ以外にも、報告書にはこれは盛り込んだ方がよいということがもしございましたら、何かこの場であればどうぞ。

○平嶋委員 ちょっとどの文に、この出させていただいた件はどこにかかわるのかということで、4番目に本来一番当てはまるかなということで、正しい問題の把握をしているか、問題認識かどうかということでちょっと自信がないのですけれども、1つは、きょう奥邨先生の方からご報告いただいた点、図面の方の後ろから2枚目のような状況があるということで、それから、もう一つの考えていた問題としましては、先ほどフランスの、奥邨先生からもらった資料の紙の方の文章のフランスのDVDの消費者団体がこういうアクションを起こしているというご報告と関連してなんですが、まず法と制限規定の関係ということで、従来ですとあくまでDRMを法化して、機器を何らかの形で利用に供しているものを規制の対象としようという、そちらの方との関係で、利用者の利便性を阻害するということでパブリックドメインのものなどは囲い込まれるという、そういう問題意識が非常に多いというか、もう多分ほとんどという気がするのですが、一方で先ほどの図面のように、一たんはこのAdopter契約ですか、こういったもので機器を提供したと。ところが、何らかの規約、スタンダードに違反するようなものの機器をメーカーがつくって、それで結果的、Robustnessですか、そういったところの要件に多少不備があるということで、自主的にDRMが無効化するという状況がつくり出されるという、そういう状況が、多分この機器が流通していく段階で消費者に選ばれていって、結果的にエンドユーザーから見れば、あくまでここの機器を手に入れて使っていると思っていたら、それが実際は無効化して、DRMを無効化するような利用が実現できているという、そういう現象が場合によっては生じるのではないかという。
 そういう場合に対して、DRMはあくまで保護を強めていくという観点からすると、やはり最終的に、先ほどのようにDRMを無効化して使うという利用の局面をその規制の対象にするという話の前提となってくると、それはやはりエンドユーザーに対して、かなり利用のまさに利便性を阻害するという問題が起こり得るのではないかと。
 一方で、それはあくまで機器としては、DRMのAdopter契約に適合すると思うんですが、エンドユーザーとか、あるいは流通業者、そういうレベルにおいては買ってきた、あるいは仕入れてきたとか、それで使おうと思ったところで、あるいは使い出したところで、実は結果的にDRMを無効化しているといった、そういう局面があるのかもしれない。
 そうすると、本来であると余り規制の対象としてほしくないというふうに認識するんですけれども、一方で、DRMでできるだけ管理したいという側からすれば、それは先ほどピンポイント的にディストリビュートする段階で広がっていくというのが問題だということで、先ほど橋本委員ですか、最初の方でご指摘いただいたんですが、そういう問題のレベルから考えると、やはりDRMで管理したいという側からすると、そういう状況からどんどん、1カ所でも漏れがあると、そこから広がっていくということで、結果的に余りDRMの効果が意味を持たなくなるという可能性もあるということで、そういう問題意識として、制限規定と保護の関係というのをとらえていくという現象もあるのかなというふうに思いまして、その点、今、WIPOとかに関してそういう議論が出ているのか、それともあるいはアメリカ等、欧米等で、そういう局面についてのエンフォースメントというようなことをしていくという動きがあるのかという疑問もちょっと、どうなるかというのはわからないのですが、もしそういう希望があるとすれば、列挙した観点の議論は必要ではないかというふうに思っているところでございます。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。ちょっと、もう時間切れで申しわけございません。また、事務局の方でお考えいただいて、紙に取り入れられるところは取り入れていただきたいと思います。
 すみません、本日は時間もオーバーしておりますが、これで終了したいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項等がございましたら、どうぞお願いします。

○事務局 次回の国際小委員会は、8月4日、14時から、本委員会中間報告書案についてご議論いただく予定でございます。
 委員の皆様には、事前に中間報告書案の事務局案をお送りいたしますので、事前にコメントをいただけるようお願いいたします。
 それでは、委員の皆様には、取りまとめに向けてご協力、よろしくお願いいたします。後日、詳しくは改めてご案内させていただきたいと思います。
 本日はありがとうございました。

○道垣内主査 どうもありがとうございました。

午後4時15分閉会



(文化庁長官官房国際課)

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