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資料3

DRMに関する参考資料




今後のDRM関連課題(WIPO事務局文書SCCR/10/2より)


1.  知的財産関連課題
 
(1) 著作権関連条約への加盟
 技術的保護手段の回避等について適切な措置を求めている著作権関連条約に各国が加盟していくことは、DRMの法的な保護を世界的に達成していく上で、非常に重要である。

(2) 制限規定等へのDRMの影響
 法制度上、例外的に使用が許されている行為さえも、DRMの措置によって、技術的に使用が制限されてしまうことがある。また、保護期間が終了しパブリックドメインとなった著作物についても、DRMの措置によって自由に使用できなくなってしまう。しかし、こうしたDRMの措置を禁止する規定は存在しない。DRM保護と制限規定等とのバランスについて、考慮する必要がある。

(3) DRMと私的録音録画補償金制度
 私的使用についても、適切に使用料を徴収できるシステムがDRM技術により確立された場合、その上でさらに消費者より補償金を徴収することは、権利者の「二重取り」となってしまう。こうした問題は、とりわけEU諸国が大きな関心を寄せている事項である。


2.  その他の課題
 
(1) 個人情報
 DRM技術の普及によって、電子商取引が増加することとなるが、消費者の情報や取引記録などの保護がさらに重要な課題となるであろう。こうした情報の安全性が確保されていなければ、消費者は電子商取引を避け、ひいてはDRM技術を衰退させることとなる。

(2) 裁判管轄と準拠法
 DRM技術の普及は、国境を越えたネット上の取引を増大させることとなるが、技術的保護手段の回避について、どの国の法律を適用するか等が問題となる。この問題については、ハーグ国際私法会議においても議論が進められている。

(3) 標準化・相互運用性における政府の役割
 DRM技術の普及にあたって、国際的な規格標準化や相互運用性の確保といった問題が顕在化してきている。しかし産業界は、政府機関が規格化や相互運用性確保に干渉してくることを警戒しており、産業界における自主的な解決を目指して産業間連携が進んでいる。政府機関の役割としては、民間において決定された合意事項が確実に履行されるよう、制度設計等を通じて支援することなどが求められている。

(4) DRM技術の特許配分
 DRM技術が標準化された際、その技術に係る特許の取り扱いが問題となる。標準化されたDRMに係る特許の使用は強制許諾にするべきとの意見や、特許料を無料とするべきとの意見もある。


3.  WIPOと他の国際機関の役割
 
(1) 条約履行への様々なアプローチ
 条約上の規定を履行するための様々なアプローチと、それぞれのアプローチによって得られる効果について、包括的な研究を行う。

(2) アクセスコントロール
 アクセスコントロールを著作権法上において扱うことについては議論があるところ。米国においては、アクセスコントロールに係る規定について、定期的に見直しを行っているが、消費者等からは依然として、その規定の適切さについては消費者等から懸念が示されているところである。WIPOにおいて、アクセスコントロールに係る法制度の効果についての研究を行う。

(3) 技術的保護手段の回避に係る規定への制限
 著作権関連条約において、技術的保護手段の乱用に対する制限規定については何ら規定がおかれていないが、その必要性については議論がなされている。WIPOにおいて、制限規定による合法的な使用、合法的な機器の製造、権利者それぞれについて、各国の制限規定の差や、それによって生じる効果の違いなどについての研究を行う。

(4) DRMと私的録音録画補償金制度
 私的録音録画補償金制度のありかたについては、機器の対象範囲、補償金の額など、様々に議論がなされている。また、DRM技術の普及を考慮した補償金制度の効果についての評価も必要である。WIPOにおいては、補償金制度の改善やその時期についての判断に資するため、DRMと補償金との関係性について、中立な立場から情報交換を行う



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