これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントの在り方に関する調査研究 概要

1.事業の目的

 2020年度以降順次実施される小学校・中学校・高等学校の新しい学習指導要領においては、これからの時代における様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を拓き,持続可能な未来の創り手となるために必要な資質・能力を児童生徒一人一人に身に付けさせることができるよう教育を行うことを求めている。
 このため、各学校においては法令及び学習指導要領に従いつつ、人的又は物的な資源を活用しながら児童生徒、学校、地域の実態等に応じた教育課程を編成・実施し,その取組状況を評価し改善につなげていくことを通して、組織的かつ計画的に自校の教育活動の質の向上を図っていくこと(カリキュラム・マネジメント)が、これまで以上に求められる。
 本事業では、このようなカリキュラム・マネジメントの充実を図るための実証的な調査研究を行い、その成果を普及することにより、各学校におけるカリキュラム・マネジメントの取組を支援することを目的とする。

2.事業期間

 指定期間は原則として2年間とする。ただし、毎年度,事業の実施状況等について評価又は確認等を行い、事業の可否を判断するものとする。なお、契約の締結は毎年度行うものとする。

3.公募対象

 都道府県教育委員会、指定都市教育委員会、市区町村教育委員会、国・公立大学法人、学校法人(以下「都道府県教育委員会等」という。)

4.事業の内容

(1)調査研究の趣旨
本事業においては、「1.事業の目的」に基づき,都道府県教育委員会等に委託して、カリキュラム・マネジメントに関わる実践研究、及びカリキュラム・マネジメントの手引きの作成を行う。これらの研究成果を全国的に普及することにより、各教育委員会、各学校におけるカリキュラム・マネジメントの充実に向けた取組を推進する。
 本事業の成果が全国的に活用可能なものとする観点から、調査研究に当たっては,以下の点に留意することが重要である。
 
Ⅰ カリキュラム・マネジメントに関わる以下の三つの側面を踏まえた研究を行うこと。
ⅰ 学校の教育目標等(目指す児童生徒像や教育課程編成の重点など)の実現に向けて、重要となる各教科等の内容を選択し、選択した内容について各教科等相互の関連を図りながら配列し、適切な授業時数を配当するなど、学校の教育目標との関係を意識しながら、各教科等の教育内容を教科等横断的な視点で組織すること。
ⅱ 教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
ⅲ 教育活動の実施に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。
     
なお、上記三つの側面は、新学習指導要領の総則並びに解説総則編に示すとおり、これまでと全く異なる学校運営を各学校に求めるものではなく、各学校の実態に応じて、組織的かつ計画的に教育課程の編成、実施、評価、改善を行うことを引き続き重視し、その実質化を目指すものであることに留意すること。
(参考 小学校学習指導要領解説総則編 第3章第1節1、第3章第1節4 中学校、高等学校も同様)
 
Ⅱ 各学校における実際の教育課程の編成や改善に取り組む際の、年間を通した具体的なカリキュラム・マネジメントの在り方が分かるような事例をまとめること。
(参考 小学校学習指導要領解説総則編 第3章第1節4(手順の一例) 中学校、高等学校も同様)
 
Ⅲ 研究に際しては、校長の方針の下に教職員が意識を共有して業務改善を図り、指導の体制を整えていくなど、取組を進める上での学校運営上の工夫を盛り込むこと。
(参考 小学校学習指導要領解説総則編 第3章第5節1 中学校、高等学校も同様)
 
(2)研究内容
委託を受けた都道府県教育委員会等は、「4(1)調査研究の趣旨」を踏まえた上で、研究対象を「A:小・中学校に関する研究」又は「B:高等学校に関する研究」のいずれかを選択の上、以下の二つの取組を行う。
※ 具体の事業の実施方法は、「5.事業の実施方法」を参照
 
1  以下のabcのテーマに沿った実践研究を行う学校をそれぞれ指定し、研究成果をまとめる。
 
2  各学校の教育目標がカリキュラム・マネジメントに取り組む際の手引きを作成する。
 ※手引きには実践校の取組など、以下のabcのテーマに沿った取組を含むこと
 
a  学校の教育目標等(目指す児童生徒像や教育課程編成の重点など)の設定及び実現に向けた研究
※「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編 第3章 第2節 1 各学校の教育目標と教育課程の編成(第1章第2の1)」参照、中学校・高等学校も同様の記載がある。
 
b  学習の基盤となる資質・能力の育成に向けた研究
※「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編 第3章 第2節 2(1)学習の基盤となる資質・能力」参照、中学校・高等学校も同様の記載がある。
 
c  現代的な諸課題に対応するための資質・能力の育成に向けた研究
※「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編 第3章 第2節 2(2)現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力」参照、中学校・高等学校も同様の記載がある。

 

5.事業の実施方法

(1)文部科学省は、本調査研究の実施を委託する都道府県教育委員会等を「カリキュラム・マネジメント調査研究実践地域」(以下「実践地域」という。)として指定する。
(2)実践地域は、「1.事業の目的」及び「4.事業の内容」を踏まえて具体的な研究課題及び取組内容を設定するとともに、カリキュラム・マネジメント検討会議の設置,具体的な実践を行う実践校の指定を行う。
(3)実践校の指定については、「6(2)研究内容」に示すabcのテーマから以下のように選択すること

  A  「小・中学校に関する研究」に取り組む場合

  • 実践地域は、abcのテーマについて域内の小学校または中学校からバランスよく実践校を指定する。
  • 実践地域は、abc各テーマに最低1校を実践校に指定する。
  • 1つの実践校が二つ以上の研究テーマを選択することはできない。

  B  「高等学校に関する研究」に取り組む場合

  • 実践地域は、域内の高等学校からabcの各テーマに最低1校を実践校に指定する。
  • 1つの実践校が二つ以上の研究テーマを選択することはできない。

(4)文部科学省は、実践地域に対し、本調査研究の実施に必要な指導・助言等を行うとともに、本調査研究の成果等の普及を図る。

6.カリキュラム・マネジメント検討会議

(1)5(1)に示すとおり、実践地域においては、「カリキュラム・マネジメント検討会議」を設置する。
(2)カリキュラム・マネジメント検討会議は、実践校に対し、本調査研究の円滑な実施のために必要な指導・助言、調整等を行う。
(3)カリキュラム・マネジメント検討会議は、実践地域における調査研究の内容を踏まえ、学校教育関係者、学識経験者、関係行政機関の職員などをもって構成するものとする。
※なお、学識経験者については、教員養成課程を有する大学に所属する教授又は准教授を1名以上含めること。その際、実践地域が所在する都道府県にある大学が望ましい。

 

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(代表)

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