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前回、学校図書館と児童クラブ等との連携の可能性という話が出たので、地元の取組について調べてきている。訪れた児童クラブは歴史も古く、かなりの数の児童生徒が、ローテーションでまわしている指導員の元で面倒を見てもらっていた。指導員はニーズによって柔軟に加配も行われているようであり、児童クラブに置いてある本も公共図書館や保護者、指導員から寄付してもらうなど、外部との連携も進んでいた。学年によって児童クラブに来る時間が違うので、先に来た子が騒ぎ出さないように読書をさせるなどの工夫も見られた。ここで学校図書館との連携についてだが、児童クラブに来る前に学校図書館から本を借りてくる子どもも多いとのことだったが、やはり管理上の問題で利用できないようになっていた。他の児童クラブでは、側にある公民館の図書室を利用している場合もあるとのことだったが、一番の問題点として聞かされたのは、児童クラブの本と学校図書館の本が混ざることということで、このような点でも連携が課題だと感じた。また、以前は公共図書館の移動車がまわっていてそれを利用していたが、廃止になり、現在は配本サービスというものを利用しているとのこと。さらに、高校生が行う児童クラブでの読み聞かせ活動も評判で、交流が出来るという意味でもいいとのことだった。
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学校サイドに、最近の子ども達はこれからすぐに自己責任の世界に入っていくという話をしている。自己責任の前には当然ながら自己判断があり、判断をするためには情報をきちんと取捨選択できる能力が必要。我々の時代とは違うことが今の子ども達には求められており、その力をつけるための役割を担うものとして学校図書館があるということをどこかに書いて欲しい。また、公共図書館サイドから考えると、学校へのサービスというものに温度差がある。例えば、物流なんかは典型的な部分だが、本当に学校図書館を活用して学校司書がリファレンスをするのであれば、ほぼ毎日に近いぐらいの物流の提供がなされない限り、その実現は難しい。公共図書館にとって、学校図書館へのサービスや連携の主導などは重大な使命。学校図書館との連携は、公共図書館にもメリットがあるということを明記すべき。また、設置者別のような縦割り意識も払拭して頂きたいので、「公共」であるということを強調したい。
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鳥取の県立高専の例では、市町村との連携が進んでおり、お互いに物流を提供し合っているということがある。高専に限らず、大学も含めての連携も進んでいるが、これらを牽引すべきなのは、やはり公共図書館。 |
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公共図書館のネットワーク化という視点も盛り込むべき。また、学校図書館の機能として、学び方を学ぶことに加え、生き方を学ぶということも表面化させるべき。加えて、学校図書館の充実とは、人と物の充実に加え、どの程度学校図書館が活用されているのかという意味が含まれているということが重要。他にも、学校図書館に子どもたちが作った本が入るとか、本の購入に際しては子どもの意見が反映されるとか、子どもたちによる本のお薦め情報が付記されているなど、子ども同士がつながる仕組みがあると良い。教員はサポートされるだけというのではなく、参加型としての仕組みを作ること、電子メディアの扱いと学校図書館との関係など、今後5年、10年のための報告書を作成するのであれば、これらも書くことが必要。 |
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学校図書館は奉仕機関であると同時に指導機関でもある。本の読み方には最初から最後までを読む読み方と、必要な情報を取り出すために部分的に読むという2種類の読み方があり、この両方を身につけることが子どもにとっては必要。読む本の幅を広げるということも含め、指導が必要。単に本好きの子どもを増やすということではいけない。また、学び方を学ぶということは重要だが、授業実践の研究など、学ぶ中身についても重要であるということが発信されなければならない。
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学校図書館法に規定されている学校図書館の役割が果たされているのかを考えると、そうでもないというのが現状。学校図書館法はかなり広範な役割を求めており、それを専任ではない司書教諭の先生に任せるというのは無理がある。学習指導要領も同様であり、突き詰めれば、やはり学校図書館には司書が必要ということになる。司書を置くないし置くものとするように、学校図書館法の見直しを提言してもいい。文科省が財源措置をする必要はなく、学校図書館には人が要るということを明示するだけでいい。資料にはいいことがたくさん書かれてあるが、誰がやるのかが抜けている。まずは、必要なものを必要ときちんというところから始めないといけない。法律に書けば、拠り所ができて活動が広がる。まずは、こうあるべき論をすればいい。
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司書教諭や学校司書がいるところでも外部との連携が進んでいないところはある。縄張り意識などを払拭するための読書行政の中核となるものが必要。
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多様な読書が必要と言われるが、学校図書館には多様な読書ができるほどの蔵書がない。また、図書館が本の質を高めたり、出版を促したりするということは間違いない。そういう意味では、本当に学校図書館に多様な本を置くようになれば、本の質も高まり、読書の多様性が保証されるという好循環ができるのではと考えている。 |