学校図書館

資料2 これからの学校図書館の活用の在り方等について【論点例】-学校図書館に何ができるか。学校図書館は、今後どのような役割を果たしていくべきか。-

1.学校の中の学校図書館

(1)「読書センター」としての今後の発展の方向性

《背景》

 学校教育法の改正により、義務教育として行われる普通教育の目標の1つとして、「読書に親しませ」ることが新たに位置付けられた。
 学校における読書活動の取組としては、これまで全校一斉読書(朝読)や読み聞かせ、ブックトークなどの活動の推進が図られ、すでに相当程度定着してきている。

  • → 「読書センター」としての学校図書館の機能を、今後、どのように充実させていくか(そのために、どのような条件整備が必要となるか)。
  • → 全校一斉読書等に次いで、今後さらに推進すべき活動、充実を図るべき活動等はあるか。それらを推進する上で、学校図書館が果たすべき役割は何か。

 等

 <委員からのご意見>

  • 司書教諭や学校司書も重要だが、組織としての学校図書館部が必要。発令者以外にも有資格者は多数いて、組織的に学校図書館を経営することが必要。
  • 学校司書などに専門性が必要なことについて、その重要性が浸透していないのではないか。それを浸透させていくのも司書教諭や学校司書、校長などの仕事である。

(2)「学習情報センター」としての今後の発展の方向性

《背景》

 子どもたちの読解力向上が課題とされる中、平成20年の学習指導要領の改訂では、各教科等における言語活動を充実することとされた。

  • → 「学習情報センター」としての学校図書館の機能を、今後、どのように充実させていくか(そのために、どのような条件整備が必要となるか)。
  • → すべての教員が学校図書館を活用し、学校全体で言語活動の充実を図っていくために、学校図書館はどのような機能を備えるべきか(司書教諭、学校司書等はどのような役割を果たすべきか)。

 等

 <委員からのご意見>

  • 指導要領で求められるものを達成するには、学校図書館の充実が不可欠。それなのに何故学校図書館にヒトがつかないのか理解できない。スクールカウンセラーや学力推進員など、教育環境がどんどん進んできている中で、学校図書館は遅れている。
  • 学校図書館には教職員のサポートが不可欠だが、教職員へのレファレンスという面もある。そのためには司書や豊富な資料が必要。公共図書館との連携で補える部分もある。
  • 学校図書館には経営マネジメントという観点が足りない。それがあってこそ、家庭の教育力など、外部のチカラを有効に活用できる。
  • 司書教諭や学校司書も重要だが、組織としての学校図書館部が必要。発令者以外にも有資格者は多数いて、組織的に学校図書館を経営することが必要。(再掲)
  • 学校図書館を使うといい教材研究ができるという教員の意識改革が必要であり、そのための学校図書館の整備が必要である。

(3)児童生徒の「心の居場所」としての新たな役割

《背景》

 子どもたちが生き生きとした学校生活を送れるようにするため、学校内に「心の居場所」となる場を整備していくことが、より一層求められるようになっており、学校図書館もそうした場所の1つとして期待されている。

  • → 「心の居場所」としての学校図書館の機能充実を推進すべきか(その場合、今後、どのような条件整備が求められるか)。

 等

<委員からのご意見>

  • 発達障害をもった児童生徒の中には、学校図書館にいくと心が落ち着くという子どもが多い。それは、決められた時間帯の中で管理された教室ではないから。その中で、読書の楽しみや喜びを感じられることが重要。それには、一人一人に目を配ることの出来る学校司書が必要。
  • 「心の居場所」というのは副次的効果でしかない。心の居場所として図書館が必要だといっても本末転倒。

2.地域の中の学校図書館

(1)学校図書館とボランティアの関係

《背景》

 学校支援地域本部の設置を通じ、ボランティアの活用促進など、(学校図書館活動も含めた)学校の活動を地域全体で支える環境の整備が進められている。

  • → 学校図書館の担当教職員(司書教諭、学校司書など)とボランティアとの関係は、どのようにあるべきか。
    - 司書教諭、学校司書が担うべき業務とボランティアでもできる業務(司書教諭、学校司書の専門性)についての考え方の整理

 等

 <委員からのご意見>

  • 司書教諭と学校司書、ボランティアとの関係について、なにかしらのガイドラインを示すべき。ボランティアが入ったからといって、学校司書が不要だということにはならない。
  • ボランティアについては、あまり入りすぎるのは望ましくない。専門性をもった学校司書などが築き上げた土台の上で、参画して頂くことが望ましい。ただ、逆のパターンで、まずボランティアの取組から学校図書館の活用が盛んになり、専門性をもつ学校司書が必要になったという事例もあると聞いている。それぞれの実情に応じて役割を見極めていくことも重要。
  • ボランティアに関しては、様々な問題が生じていると聞く。司書教諭、学校司書がきちんと配置されていない今、この時点でボランティアが入ってくると、学校司書の配置が遅れるのではないかという危惧もある。
  • ボランティアを訓練する、教育するということが必要。
  • ボランティアは自分の出来る仕事を出来る時間にというスタンスなので、学校にとってこれが必要だからこれをしてくれというのは難しい。
  • 学校図書館が活性化してくると、司書教諭と学校司書だけではもたなくなる。それを補うのがボランティア。このボランティアが組織的にしっかりしてくると、学校経営の中にも位置づけられてくる。
  • 職員がいてこそのボランティアである。
  • 司書教諭、学校司書、ボランティアの3者のバランスが重要。ボランティアにもそれなりの能力が求められるので、ライセンスのようなものを設けることは出来ないか。
  • ボランティアに頼りすぎる状況は危険。海外では、ボランティアが必要なら職員を雇うという考え方の国もある。有償ボランティアのような、学校司書との線引きが難しい形は問題。
  • ボランティアは自由意志に基づいていれば有償でもかまわない。行政がやると公平・平等にしなければいけないが、ボランティアにはそのような責任は伴わないのが利点でもある。
  • 学校司書の複数配置は難しい。現実的に考えると、読書の重要性を理解してくれる応援団(ボランティア)をもつことが有効。リーフレットやポスターはその呼びかけの手段のひとつ。
  • ボランティアを受け入れる際には、その内容を示して募集することが有効。
  • ボランティアに守秘義務にかかるような業務をさせるのは限界がある。ボランティアを職員の代わりにし、安上がりに済まそうという安易な考え方がいけない。言葉を定義づけて意味をはっきりさせる必要がある。
  • 学校図書館は授業プラスアルファ的な位置づけだからこそ、ボランティアでいいという議論になるのではないか。教育の基礎であるという位置づけが重要。

(2)児童生徒の放課後活動の拠点としての新たな役割

《背景》

 子どもたちの興味・関心に応じて、放課後に多様な活動に参加することができる居場所づくりが求められている。

 ※ 文部科学省・厚生労働省の連携による総合的な放課後対策(「放課後子どもプラン[平成19年度~])の一環として、小学校の余裕教室等を活用した「放課後子ども教室」の整備も進んでいる。

  • → 学校図書館の地域開放の在り方は、どのようにあるべきか。
  • → 放課後活動の拠点としての学校図書館の機能充実を推進すべきか(その場合、どのような条件整備が求められるか)。

 等

 <委員からのご意見>

  • 放課後子どもプランについては、枠を作ることで逆に子どもが遊びにくくなったということを感じている。放課後に学校図書館を開放するのもいいが、単に本を読める場所を提供するだけでいいのか。どのように活用していくのかは課題がある。
  • 児童館と学校が立地的に近接していると、結びつきやすい。実際に連携した活動もしており、管理的な課題はあるが、このような取組は広げていただきたい。
  • 田舎の話になるが、学校の統廃合が進み、スクールバスによる送迎が広がっている中で、待ち時間をどう過ごすのかという問題もある。そのような中、学校図書館がなにがしかの形で力を提供するということは避けられないのではないか。

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総合教育政策局地域学習推進課

(総合教育政策局地域学習推進課)

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