リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備

事業進捗状況評価結果等について(平成24年度開始機関)

 標記の件について、このたび、「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」推進委員会において、進捗評価を実施し、その結果についてとりまとめました。
 平成24年度開始の10機関について、すべての機関においては、事業全体としておおむね順調に進展しており、標準的な進捗状況を満たしていると判断されました。また、他機関の参考となる先進的取組が順調に進展しているとして優れた進捗状況であると判断された機関もあり、各機関においてはURAを育成・確保するシステムの整備は着実に進んでいるものと考えられます。 

平成24年度事業開始機関における事業進捗状況評価結果等

(評価結果)

評定の目安

機関名

 事業全体として順調に進展しており、他機関の参考となる先進的取組が進展しているなど優れた進捗状況と判断する

国立大学法人大阪大学
国立大学法人信州大学

 事業全体として順調に進展しており、全体として良好な進捗状況と判断する

国立大学法人筑波大学
国立大学法人山口大学
国立大学法人福井大学
国立大学法人九州工業大学

 事業全体としておおむね順調に進展しており、標準的な進捗状況と判断する

国立大学法人北海道大学
国立大学法人九州大学
国立大学法人新潟大学
学校法人東京女子医科大学

 事業全体としての進捗状況が不十分であり、改善が必要な状態と判断する

該当機関無し

※評定の目安については、「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」(リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備)事業に係る進捗状況評価実施要領3-4のとおり

北海道大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

研究のグローバル化を視野に入れ、国際研究戦略担当のURAを置き、海外研究機関との連携案件の発掘・推進や「オープンファシリティプラットフォーム」の整備等、URAが企画した実践例にも成果が出始めるなど具体的な活動が進んでいる点は評価できる。
一方で、URAシステムの定着とURA活動の実質化に向けて、一層効果的なマネジメントを進めることが課題であり、特にURAシステムの定着に向けた関係諸規程等の整備・制定等について、目標設定と目標達成のためのロードマップ等を作成して進捗管理することが必要である。また、URAの組織的位置付け、業務、名称等が複雑であり、一層実効性のあるURAシステムとするためにはそれぞれのURAの役割を整理し明確化するとともに、部局、産学連携本部との連携、役割分担を整理する必要がある。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

筑波大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

学長のリーダーシップの下、短期間にURA組織の設置、拡充を行うとともに、URAのキャリアパスの整備や昇任審査等の整備を進めるなど、URAシステムの定着・安定化に向けて着実な整備が進んでいる。また、人文社会系での研究評価指標の策定支援等、人文社会系の研究のグローバル化を目指した取組や、外国人研究者の支援、海外連携支援といった取組は評価できる。
他方、世界的研究拠点整備のためには、URAの具体的活動を一層強化し、URA活動のロールモデルを複数作るなど、URAマネジメントを強化するとともに、人文社会系におけるグローバル化を目指すためには大学の実情を踏まえた戦略的な計画をURAと研究者が協力して策定、実行することが重要であり、今後の取組に期待する。また、URAの確保・育成を戦略的に進められることを期待する。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

大阪大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

多様性を持ったURA人材を育成、配置し、情報収集、各種分析、具体支援等の業務を遂行させるとともに、URAの判断に基づく企画も一定程度行われ、URAの必要性に関する学内の意識改革につなげるなど、URA人材の能力を発揮させるマネジメントも適切に機能しており、世界的研究拠点整備やURAシステムの定着に向けた活動が展開されており高く評価できる。
また、URAが所属する「大型教育研究プロジェクト支援室」と関連する部門である「研究推進部」及び「産学連携本部」との機能・役割分担を明確にし、独立的に運営することにより研究推進・支援の実効性を担保しようとすることは大規模大学でのURAシステムの組織運営の一つのモデルになり得るものと期待される。
他方、大学本部のURAと部局のURAとの関係、URAの昇任と評価の制度設計については、一層の整備を期待したい。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

九州大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

プレアワード業務を担うURAの活動環境の整備と活動強化を軸に据えて、URAシステムの定着と安定化に資する着実な取組が行われているだけでなく、タスクに応じたURAチームによる支援の検討など、URAシステムの効果の最大化や若手URA人材の育成に資する組織マネジメントも計画されるなど、URAシステムの定着・運営の実質化に向けた取組が進められている点は評価できる。
他方、世界的研究拠点整備を目指した今回のURAシステムの導入と定着に対して、大学としての具体的な目標、内容が十分に確立されておらず、また、URAのキャリアパスについての設計についても遅れが見られ、本事業終了後のURAシステムの定着のため、今後検討を急ぐ必要がある。
また、URAシステムが複雑であり、URA機構と部局とのコミュニケーションや連携方策が不明確であることから、URAグループの情報共有、連携などの体制も含めて適確な人材配置をすること及びグループ間の連携を担保するURAマネジメント体制の構築が求められる。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

新潟大学の評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

大学として重点的に強化に取り組んでいる「超域学術院」の研究プロジェクトに対するURAの具体的支援活動を進めることによって専門分野強化を目指して相応しい成果を上げるとともに、学内での認知度を一定程度高め、今後の定着化に向けた基盤を作ってきた点は評価できる。
一方、URA業務の魅力の明確化、魅力ある処遇、魅力あるキャリアパスの提示等、優れたURA人材の確保に向けて抜本的な再検討を進めることが課題である。学長のリーダーシップの下に、優れた能力をもつURA人材の登用・育成及びURA制度の定着が今後の大学の研究力強化に結び付くことについて理解を一層深め、本事業の将来ビジョンを明確にするとともに、人材確保の方策を早急に検討し継続性のあるシステムにする必要がある。
また、URAシステムの定着に向けた制度、規程等の整備について計画的に実施する必要がある。当初計画において掲げていた、シニアURAとジュニアURAのペアリングなど、特色ある施策の実現具体化など、スピード感を持って本事業に取組まれることを期待する。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

山口大学の評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

URA部門の他にURA事務支援部門を置くことによって、事務部門の円滑な支援を得て、URAが活動できる体制を構築していることやURAの研修・教育プログラムのカリキュラムを充実させ、個々のURAの役割に応じたきめ細かいスキル習得の機会を作るなど、大学経営層の明確なポリシーと強力なリーダーシップの下、人事・財務等の関連部門とも密に連携し、URAシステムの定着と活用に向けた具体的で実効的な取組が進められている。また、本事業を実施してから新たに抽出された課題についても的確に対応していくなど、PDCAサイクルが機能しており評価できる。
他方、専門分野強化を目指して、自発型研究、プロジェクト型研究、文理融合研究等についてのURAの特徴的な役割が十分明確化されていないため、更に特徴を整理した上で、専門分野強化のための取組が進められることを期待する。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

東京女子医科大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

トランスレーショナルリサーチにおける研究者支援を担うURAシステムの形成が着実に進められており、URA人材も十分にその能力を発揮して高い水準の支援活動が行われつつあること、また、研究系URAと事務系URAを配置して相互補完することによって効果が期待できる取組をしている点は特徴的であり、他大学及び同種の研究支援を担うURAに対しても参考となる取組となっており評価できる。
他方、専門分野強化のため、URAシステムの定着に対する大学としてのビジョンや意義づけ、URA体制整備の中核となるTRCセンターの進捗、スケジュールなどが明確になっておらず、URAのキャリアパス形成と処遇、育成プログラムについての体制整備も遅れていることから、URAシステムの機能や規模を定め、着実な制度設計を行い、具体的な施策の実施をスピード感を持って取り組む必要がある。
また、トランスレーショナルリサーチを重点分野に据えて構築したURAシステムやURAの支援活動の具体的内容、効果等を可視化して、学内におけるURAシステムの定着と運営の安定化のみならず他機関への資料等の開示・提供を期待したい。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

福井大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

学長のリーダーシップの下に「産学官連携研究開発機構」が新設され、産学官連携本部とURAオフィスの密な連携体制をつくり、基礎研究段階から成果の技術移転までの一連の「知の社会実装プロセス」において、ステージに応じた支援ができる体制を確立している。
その上で、競争的研究資金獲得に向けたきめ細かい支援や金融機関からの出向URAの活用等による産学官金の連携の実施など地域企業支援活動の工夫もしており、具体的な支援活動によるURAシステムの定着化が進んでいる点は評価できる。
今後は、URAオフィスが全学の研究マネージメント体制、あるいは産学官連携体制の中で機能的に十分融和するよう、人的な側面からの協働体制に対しても配慮をしつつURAシステムを整備していくことを期待する。
また、大型の研究資金プロジェクトに挑戦することや、地域貢献・産学官連携強化と研究力強化を結び付ける課題解決型産学官連携のロールモデルとなり得る取組に期待したい。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

信州大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

産学官・社会連携推進機構と研究マネジメント機構を横断する形でURAセンターを置き、「研究成果の社会実装」を出口とする研究支援体制を確立し、種々の大型の競争的研究資金獲得に向けた支援で実績を上げるなど、研究と地域貢献・産学官連携機能の強化を図るという大学の明確なポリシーの下、組織運営体制の検討から具体的な研究推進・支援活動、外部に対する情報発信、地域との連携に至るまで、一貫した取組と連動させながら強力に進めてきており、顕著な成果も出つつあり、URAシステムの定着に向けた体制整備や規則等の整備が進んでいることは高く評価できる。
今後は将来のURAキャリアパスの体制確立を明確化するとともに、国際共同研究、国際連携を進めるなどイノベーションのグローバル化を見据えた次のステップに向けた取組が進められることを期待したい。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

九州工業大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

学長の強いリーダシップの下、年度毎の明確なロードマップを軸にしてURAシステムの定着に向けて着実かつ具体的な取組が実施されていること。また、大学の特性を的確に把握・考察した上で大学の中長期構想の中に本事業での施策を明確に位置づけて推進している点は他大学の参考になり、また、事業終了後の全学的な研究推進・支援に関する組織運営の姿を構想し、それに向けて着実に実践している点も評価できる。
他方、URAのキャリアパスのあり方はこれからの課題であり、検討中の新しい人事制度について早急に検討を進める必要がある。また、地域貢献・産学官連携に特徴的な取組をするため、産学官連携コーディネーターや事務職員との連携・役割分担を図りつつ、URAシステムを整備していくことを期待する。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室

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(文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室)

-- 登録:平成26年10月 --