可動文化財の保護のための勧告

可動文化財の保護のための勧告(仮訳)

1978年11月28日 第20回ユネスコ総会採択

 国際連合教育科学文化機関の総会は、1978年10月24日から11月28日までパリにおいてその第20回会期として会合し、
 多数の博物館及び類似施設の新設、展覧会数の増加、コレクション、記念工作物及び考古学上の遺跡を訪れる観覧者の着実な増加並びに文化交流の強化を通じて、今日世界各地で表われている文化財に対する大きな関心に注目し、
 これは、特に、1976年に総会の第19回会期において採択した文化財の国際交換に関する勧告に謳われている措置の適用によって奨励されるべき、極めて肯定的な発展であることを考慮し、
 しかしながら、起源の別を問わず、文化遺産の豊かさを知り、かつ、それを鑑賞したいという大衆の希望の増大は、特に容易な接近又は不十分な保護、輸送に伴う危険及び一部の国においては盗掘、窃盗、不法取引及び破壊行為の再発の結果として文化財がさらされる全ての危険の増大をもたらしたことを考慮し、
 この危険の増大だけではなく文化的物件の市場価格の上昇のため、適当な政府保証制度が確立されていない国においては、綜合保険の経費が多くの博物館の資力を越えたものとなり、これが国際展覧会その他の諸国間の交流を実施する上で明らかな障害になつていることに注目し、
 異った文化を代表する可動文化財が、人類共通の遺産の一部をなすこと及びそれ故に各国が、その保護について国際社会全体に対して道義的責任を有することを考慮し、
 従って、国家が、可動文化財の効果的保護を確保すると同時にこれに係る危険担保の経費を軽減するような危険の防止及び管理のための措置を強化しかつ、広く実施すべきであることを考慮し、
 この点について特に、武力紛争の際の文化財の保護のための条約(1954年)、考古学上の発掘に適用される国際的原則に関する勧告(1956年)、博物館をあらゆる人に開放する最も有効な方法に関する勧告(1960年)、文化財の不法な輸出、輸入及び所有権譲渡の禁止及び防止の手段に関する勧告(1964年)、文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止及び防止の手段に関する条約(1970年)、文化遺産及び自然遺産の国内的保護に関する勧告(1972年)、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(1972年)及び文化財の国際交換に関する勧告(1976年)において総会が定めた規範及び原則の範囲を補完し、かつ、拡大することを希望し、
 可動文化財の保護に関する提案を審議し、
 その第19回会期において、この問題は、加盟国に対する勧告の形式をとるべきことを決定して、
 1978年11月28日にこの勧告を採択する。
 総会は、加盟国が、この勧告に規定する原則及び規範を自国の領域内において実施するため、必要とされる立法措置又はその他の措置を自国の憲法上の制度又は慣行に従ってとることにより、次の諸規定を適用することを勧告する。
 総会は、加盟国が、この勧告につき、適当な当局及び諸機関の注意を喚起することを勧告する。
 総会は、加盟国が、この勧告を実施するためにとつた措置に関する報告を、総会が定める時期に及び様式で、総会に提出することを勧告する。

I 定義

1 この勧告の適用上
(a)「可動文化材」とは、人間の創造又は自然の進化の表現及び証拠であって、考古学的、歴史的、美術的、科学的又は技術的な価値及び興味を有する全ての可動物をいい、次の範疇に属するものを含む。
 (i)地上及び水面下で行われた考古学的調査及び発掘によって得られた物
 (ii)道具類、焼物、銘文、硬貨、印章、宝石、武器及びミイラを含む埋葬物のような古器旧物
 (iii)歴史的記念工作物の解体により得られた物
 (iv)人類学的及び民族学的に重要な資料
 (v)科学・技術史及び軍事・社会史を含む歴史、諸国民、国家指導者、思想家、科学者及び芸術家の生活並びに国家的重大事件に関係のある物件
 (vi)美術的に重要な物件、例えば、
   生地及び材料の如何を問わず全て手描きによる絵画及び素描(工業デザイン及び手で装飾した工業生産物を除く)
   原版から直接作った版画並びに独創的創作手段としてのポスター及び写真
   あらゆる材料の独創的美術的なアセンブラージュ及びモンタージュ
   あらゆる材料の彫塑像及び彫刻作品
   ガラス、陶磁、金属、木等の素材による工芸作品
 (vii)特に重要な肉筆及び初期の活版印刷による古書、写本、書籍、文書又は出版物
 (viii)古銭学上(メダル及び硬貨)及び切手研究上重要な物件
 (ix)原文記録、地図その他の製図上の資料を含む文書、写真、映画フィルム、録音物、及び機械によって解読できる記録
 (x)家具、つづれ織り壁掛け、絨毯、衣装及び楽器
 (xi)動物学上、植物学上及び地質学上の標本
(b)「保護」とは、次に定義する危険の防止及び担保をいう。
 (i)「危険防止」とは、綜合的な保護体制の枠内で、可動文化財を、武力紛争、暴動その他の社会不安に起因するものを含む各種の危険から保護するために必要な全ての措置をいう。
 (ii)「危険担保」とは、武力紛争、暴動その他の社会不安に起因するものを含むあらゆる危険によって生じた可動文化財の損傷、劣化、変形・変質又は亡失の際における損害補償の保証をいい、その担保は、政府の保証及び補償制度によって、減額補償又は一定以上の損害に対する補償の取決めに基づく国家による損害の一部肩代りによって、商業的又は国の保険によって若しくは相互保険取決めによって保証されるとを問わない。
2 各加盟国は、その考古学的、歴史的、美術的、科学的又は技術的価値のために本勧告に規定する保護を与えるべき自国の領域内にある可動文化財の選定につき、最も適当と認める基準を採択すべきである。

II 一般原則

3 このように定義された可動文化財は、国家又は公共団体若しくは民間団体又は個人に属する物を含む。全ての可動文化財は、当該国の文化遺産の重要な要素を構成するものであるので、損傷、劣化、亡失等各種の危険の防止及び担保は、個々の場合によりとられる解決方法が異なるとしても、全体として考慮されるべきである。
4 可動文化遺産を脅かす危険の増大にかんがみ、文化財保護の任にある中央及び地方の行政機関の職員、博物館及び類似施設の管理職員及び学芸員、宗教的建造物の個人所有者及び責任者、美術及び古物商、保安専門家、犯罪抑制機関、税関その他の公的関係当局の職員といった資格の如何を問わずその保護について責任を有する全ての者は、それぞれの役割を果すべきである。
5 真に効果的な保護が行われるためには、大衆の協力が不可欠である。情報及び教育を担当する公私の団体は、文化財の重要性、それがさらされている危険及びその保護の必要性に関する一般的自覚を促すように努力しなければならない。
6 文化財は、収蔵、展示及び環境(不適当な照明、温度又は湿度、大気汚染)の劣悪な状態により劣化し易く、これは、長期的には事故による損害又は偶発的な破壊行為よりも重大な影響を及ぼす可能性がある。従って、文化財の物的安全を確保するために、適切な環境条件が維持されるべきである。責任ある専門家は、物の物理的状態に関するデータ及び必要な環境条件に関する勧告を目録に含めるべきである。
7 危険防止には、また、保存技術及び修復作業場の開発及び博物館その他可動文化財のコレクションを所有する施設における効果的な保護体制の設置が必要である。各加盟国は、現地の実情に則して最も適切な措置の実施を確保するよう努力すべきである。
8 一部の国では美術品その他の文化財に関する犯罪は増加しており、多くの場合国境を越える不正移転と結びついている。窃盗及び略奪は組織的、かつ、大規模に行われている。破壊行為もまた増加している。これらの形の犯罪活動と戦うために、それが組織的な性格のものであると個人的な行為であるとを問わず厳格な抑制措置が必要である。偽物は、窃盗及び詐欺を目的とした本物の変造に使用されうるので、その流通を阻止するための措置もまた講じられねばならない。
9 本来の目的は、文化遺産を保存することであってかけがえのない物を金銭に置き換えることではないので、保護及び危険防止は、損傷又は亡失の際の補償よりもはるかに重要である。
10 輸送及び一時的展示の期間中には、環境の変化、不適当な取扱い、不良梱包その他の好ましくない条件に起因する危険がかなり増大するので、損傷又は亡失に対する適切な担保が不可欠である。危険担保の費用については、博物館及び類似施設による保険契約の合理的管理若しくは政府による全部又は部分的保証によって軽減を図るべきである。

III 勧告される措置

11 前記の原則及び規範に基づき、加盟国は、自国の法令及び憲法上の制度に従って可動文化財を効果的に保護するために全ての必要手段を講じ、また特に、輸送の場合には、取扱い及び保存につき必要手段を執ること並びに生じうる危険の担保を確保すべきである。

危険防止のための措置
博物館その他の類似施設
12 加盟国は、博物館及び類似施設における文化財の適切な保護を確保するため、全ての必要手段を講ずべきである。特に次のことを行うべきである。
(a)できる限り詳細な説明を付すとともに、この目的のために特に開発された方法(標準化されたマイクロフィッシュ、写真―またできうれば、カラー写真―及び適当な場合には、マイクロフィルム)により文化財の体系的な目録作り及びカタログ作りを奨励する。このような目録は、文化財の損傷又は劣化を判定することが望まれる時に有用である。このような資料を用いて、窃盗.不法取引及び偽物の流通との戦いについて責任を有する国内及び国際当局に適切な注意事項を完備した必要情報を提供することができる。
(b)適当な場合は、現代の技術によってもたらされた目ざわりでない手段を使った可動文化財の統一化された識別法を奨励する。
(c)博物館及び類似の施設に対し、実際的な保安措置と技術的装置の綜合方式による危険防止を強化し、並びに全ての文化財が特に熱、光、湿度、汚染、種々の化学的・生物学的作因、震動及び衝撃を含む、損傷又は破壊をもたらすおそれのある全ての要因から保護された状態で保管、展示及び輪送されることを確保するようにする。
(d)各国が責任を有する博物館及び類似施設に対し.前記(c)で示された措置の実施に必要な資金を与える。
(e)可動文化財の保存に関連する全ての作業がそれぞれの文化財に最も適した伝統的技術並びに最も進歩した科学的方法及び技術によって遂行されることを確保するために必要な手段を講じる。この目的のために、全ての関係者が必要とされる水準の能力を持つことを確保するため、訓練及び専門的資格審査を行うための適当な制度が確立されねばならない。このための施設は強化され、又は、必要があれば設置されねばならない。適当な場合には、経費節約のため、保存修復地域センターの設立が勧告される。
(f)補助職員(警備職員を含む)に対し適切な訓練を施し、かつ、当該職員のため、彼等の服務基準を定めた手引書を作成する。
(g)保護、保存及び警備職員のための定期的な訓練を奨励する。
(h)博物館及び類似施設の職員が災害の際に権限のある公共機関により行われる救助活動に効果的に協力できるようにするため、必要な訓練を受けることも確保する。
(i)可動文化財の保護、保存及び保安に関するあらゆる方面の最新の技術的及び科学的情報を、もし必要であれば秘密情報として、責任者を対象に発表し、普及することを奨励する。
(j)博物館及び公私のコレクションのために全ての保安設備の性能基準を発行し、その適用を奨励する。
13 請け戻し金の支払要求に対しては、それを目的として行われる可動文化財の窃盗又は不法占有行為をなくすために、屈服することを避けるための努力を惜むべきではない。関係者又は関係施設は、この方針を周知させるための方法及び手段を検討すべきである。

民間のコレクション
14 加盟国は、自国の法令及び憲法上の制度に従って、民間団体又は個人に属するコレクションの保護についても次の方法によって便益をはかるべきである。
(a)所有者に、自己のコレクションの目録を作成し、その目録を文化遺産の保護に責任を有する公的機関に伝達し、必要に応じて、資格のある公認の学芸員及び技術官が防護措置についての検討及び助言に参加することを認めるよう勧める。
(b)適当な場合は、目録に記載された物件の保存への援助又は適当な財政措置など所有者に対する奨励措置を講じる。
(c)文化財を博物館又は類似施設に寄贈又は遺贈する者に対して財政上の恩典を与えることの可能性を検討する。
(d)公的機関(博物館を所管する省庁又は警察)の1つに、民間所有者のための防火を含む保安設備及びその他の保護措置に関する助言部門を設けることを委嘱する。

宗教建造物及び考古学的遺跡内に所在する可動文化財
15 宗教建造物及び考古学的遺跡内に所在する可動文化財が適切に保存され及び、窃盗及び略奪から保護されることを確保するため、加盟国は、収蔵施設の建設及び特別の保安措置の適用を奨励すべきである。それらの措置は、文化財の価値及びそれがさらされている危険の度合に応じたものでなければならない。適当な場合は、政府はこの目的のために技術的及び経済的な援助を与えるべきである。宗教建造物内に所在する可動文化財の特殊な意義にかんがみて、加盟国及び権限ある当局は、当該文化財が所在する場所における適切な保護及び展示を図ることに努力すべきである。

国際交換
16 可動文化財は、特に、輸送中及び一時的展示の間に、不適当な取扱い、梱包不良、一時保管の間の悪条件又は気象条件の変化、並びに受領手配上の不備から生じうる損傷の危険にさらされるので、特別の保護措置が必要である。国際交換の際には、加盟国は次のことを行うべきである。
(a)輸送及び展示期間中における保護及び取扱い上の適正な条件並びに適切な危険担保が関係者間において定められ合意されることを確保するため、必要な措置をとる。文化財がその領土内を通過する国の政府は、要請を受けたときは、援助を与えるべきである。
(b)関係施設に対して次のことを奨励する。
 (i)文化財が最高基準に従って輸送され、梱包され及び、取扱われることを確保する。このためにとるべき措置には最も適正な梱包形態並びに輸送の方法及び時期についての専門家による決定を含めうる。適当な場合には、貸与博物館の責任ある学芸員が輸送期間中文化財に随伴し、その状態を確認することが勧告される。物件の出荷・梱包に責任を有する機関は、物件の物理的外観を描写した一覧表を添付すべきであり、また受け入れ施設は、物件をこれらの一覧表と照合して点検すべきである。
 (ii)展覧会場の一時的又は常時の混雑から発生するおそれのあるあらゆる直接的又は間接的損傷を防ぐために、適切な措置をとる。
 (iii)必要があるときは、相対湿度を一定限度内に維持するための湿度の測定、記録及び調整に使用する方法、光に敏感な物件の保護のためにとられるべき措置(昼光への露出、使用する電灯の種類、ルクスによる最大照度量、照度の測定と抑制に用いる方法)につき合意する。
(c)可動文化財の合法的な移動に関する行政手続を簡素化し、かつ文化財を入れた木枠その他の形態の梱包の適切な識別を図る。
(d)通過中又は文化交流の目的で一時的に輸入された文化財を保護するための措置を講じ、特に、当該施設構外の近くに所在する、できれば当該施設の構内に所在する適当な建物での迅速な通関が行われるよう便宜を図り、かつ、万全の警戒の下で通関が行われることを確保する。
(e)必要な場合には、税関手続を促進し、輸送中の文化財の保護を確保するため、効果的な行動をとりうるよう自国の外交官及び領事官に指示を与える。

教育及び情報
17 国民全体が文化財の価値及びその保護の必要性を、特に文化の独自性の保持の見地から自覚することを確保するため、加盟国は、国、地域及び地方の権限ある当局に対して次のことを奨励すべきである。
(a)この目的のために利用可能なあらゆる教育及び情報資源を用いて、児童、青少年及び成人に可動文化財についての知識及びそれに対する敬意を獲得する手段を提供する。
(b)次のことについてあらゆる可能な手段を講じて大衆の注意を喚起する。
 (i)文化財の意義と重要性、但し、文化財の単に商業的な価値を強調することは避ける。
 (ii)文化財の保護のために権限ある当局が実施する活動に大衆が参加し得る機会

抑制措置
18 窃盗、非合法な発掘、破壊行為及び偽物の使用と戦うため、加盟国は、必要があれば、特にこれらの犯罪の予防と抑制を担当する部門を設置又は強化すべきである。
19 加盟国は、状況に応じて、次のために必要な措置をとる。
(a)可動文化財の窃盗、強奪、故買又は不法占有及び可動文化財に対する故意の損傷の場合は、刑法又は民法若しくは行政措置その他の措置によって制裁又は適当な措置をとる。これらの制裁又は措置は、犯罪の重大さを考慮に入れるべきである。
(b)可動文化財に関する犯罪防止に当たる全ての部局及び部門の間のより緊密な協力を確保し、偽物関係の情報を含むこの種の犯罪についての情報を公的機関並びに博物館学芸員及び美術商及び古物商等関係各部門の間に迅速に周知させる体制を組織する。
(c)可動文化財が極めてたびたびさらされるその劣化の原因となる放置及び遺棄に対する対策を講じることにより、その保護のために適正な条件を確保する。
20 加盟国は、また、民間収集家、美術商及び古物商に対し、偽物に関する全ての情報を19(b)に定める公的機関に通報することを奨励すべきである。

危険担保の資金調達改善のための措置
政府保証
21 加盟国は、次のことを行うべきである。
(a)輸送及び一時的展示の間に可動文化財がさらされる危険を適切に担保する問題に対して特別の注意を払う。
(b)特に、一部の国に存在するような政府保証制度若しくは保険の歩合免責部分又は超過損害部分を担保することを目的とする国又はいずれかの関係共同体による危険の一部負担制度を立法、規則その他の形式により設立することを考慮する。
(c)このような制度の枠内で、また前記の形式により博物館又は類似施設における展覧の目的のために貸与された文化的物件の損傷、劣化、変質・変形又は亡失の場合の貸与者に対する損害補償を規定する。これらの制度を設ける規定は、このような補償金の支払に関する条件及び手続を明確にすべきである。
22 政府保証に関する規定は、商業目的のための取引の対象である文化財には適用されるべきでない。

博物館及び類似施設の段階における措置
23 加盟国は、また、博物館その他の類似施設に対し、あらゆる種類の危険の決定、分類、査定、取締り及び財政措置を含む危険管理の原則の適用を要請すべきである。
24 保険を採用している全ての施設の危険管理計画には、手続に関する手引書の内部での作成、危険の形態及び生じうる最大限の損害に関する定期的調査、契約及び料率の分析、市場調査及び競争入札手続を含めるべきである。危険管理は、1名又は1組織に特別に委嘱されるべきである。

IV 国際協力

25 加盟国は、次のことを行うべきである。
(a)危険の防止及び担保について権限のある政府間及び非政府間機関と協力する。
(b)文化財の窃盗及び不法取引の抑制並びに偽物の発見に責任を有する公的機関の間の国際的規模での協力を強化し、かつ、特にこれらの機関が、非合法的活動に関する全ての有益な情報を、この目的のための機構を通じて、迅速に交換するよう促す。
(c)必要があれば法的援助及び犯罪防止に関する協力のための国際的取決めを締結する。
(d)可動文化財の保存及び修復並びに危険管理に関する国際的な研修講座の開催に参加し、かつ、自国の専門家が定期的にこれに出席することを確保する。
(e)国際的専門機関と協力してこの勧告の対象領域における倫理的及び技術的基準を確立し、科学的技術的情報特に、可動文化財の保護及び保存に関する革新についての情報交換を奨励する。

 以上は、国際連合教育科学文化機関の総会が、パリで開催されて1978年11月28日に閉会を宣言されたその第20回会期において、正当に採択した勧告の真正な本文である。

 以上の証拠として、我々は、署名した。

 総会議長
 ナポレオン・ルブラン
 事務局長
 アマドゥ=マハタール・ムボウ

お問合せ先

国際統括官付