日本のユネスコ加盟70周年(記念パネル)


ユネスコは日本が戦後最初に加盟した国連機関であり、2021年は日本のユネスコ加盟70周年にあたります。
教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の福祉の促進を日的としたユネスコは、平和を求める日本にとっての希望であり、我が国は国内外において着実にユネスコ活動を広げてきました。
本ページでは、これまでの70年間のユネスコ活動、また現在推進しているユネスコ事業についてご紹介します。

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-ユネスコ憲章 前文-

~戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない~

ユネスコ憲章前文(別ページに移動します)

-ユネスコと日本の歩み-

ユネスコと日本の歩み (PDF:470KB)PDF

-教育-

■ ESDとSDGsについて

持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)は、「現代社会における地球規模の課題を自らに関わる問題として主体的にとらえ、その解決に向けて自分で考え、行動を起こす力を身に付けるとともに、新たな価値観や行動等の変容をもたらすための教育」と定義されており、持続可能な社会の創り手の育成を通じて、SDGsの実現に大きく貢献するものです。 ESDはSDGs の17のすべてのゴール実現への鍵であることが、2019年12月の国連決議でも確認されています。
ESDとSDGsについて

■ ESDの国際的な動向 ~ESD for 2030~

「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」の後継枠組みとして、2020年~2030年までのESDの新たな国際的な実施枠組みである「持続可能な開発のための教育:SDGs実現に向けて(ESD for2030)」が2019年11月の第40回ユネスコ総会で採択、同年12月の第74回国連総会で承認されました。 ESD for 2030下で、文部科学省は、ESDのさらなる推進に取り組みます。


■ SDG4コーディネーション

ユネスコは、SDGsゴール4(教育)の国連システムにおける主導機関として、世界的な議論を主導しています。
ユニセフなど他の国連機関やユネスコ加盟国により構成される「SDG-教育2030ステアリング・コミッティ(SC)」がユネスコを事務局として設置され、国連全体としてのSDG4推進方策について議論されています。 我が国は、ユネスコ事務局とともにSCの共同議長を務めており、SDG4推進に向けて積極的に貢献しています。
SDG4コーディネーション

■ ユニツイン/ユネスコチェア

ユニツイン(UNITWIN:University Twinning)/ユネスコチェア(UNESCO Chairs)とは、 知の交流と共有を通じて、 高等教育機関および研究機関の能力向上を目的とするプログラムです。高等教育機関の国際的な連携・協働を促進することにより、人的・物的資源のシンクタンクとして、また教育・研究機関、地域コミュニティ、政策立案者間の橋渡し的存在としての役割を担っています。

参加国:116か国  ユニツイン:44件(うち日本からの登録は2件)
ユネスコチェア:839件(うち日本からの登録は9件) (2021年3月20日現在)

ユニツイン/ユネスコチェア
課題「メラビ火山爆発時の住民の避難について対策を考える」に取り組む学生
(神戸大学ユネスコチェア「ジェンダーや脆弱性に配慮した減災対策」)
写真提供:神戸大学海事科学研究科准教授 岡田順子

■ ユネスコスクール

文部科学省では、ユネスコスクール(ユネスコ意章に示されたユネスコの理念を実現するため、ユネスコが認定する平和や国際的な連携を実践する学校)をESDの推進拠点と位置付け、ESD及びユネスコ活動の推進に取り組んできました。ユネスコスクールでは、カリキュラム・マネジメントや社会に開かれた教育課程等、ESDの実践に関する多くの優良事例が生まれており、それらを毎年ユネスコスクール全国大会(ESD研究大会)において共有しています。

ユネスコスクール1

ユネスコスクール2

ユネスコスクールの活動:地球温暖化とキリバス、
只見町との関係について学ぶ
写真提供:福島県只見町教育委員会

全ての授業をESDのコンセプトで構築した
「ESDカレンダー」の例
提供:江東区立八名川小学校および手島利夫氏

■ 日本におけるESD推進の取組

我が国における学校教育の分野では、令和2年度から順次実施される小学校、中学校、及び高等学校の新学習指導要領においてこれからの学校に求められることとして、前文及び総則に「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられています。

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-日本のユネスコ事業分布図-

日本のユネスコ事業分布図 (PDF:542KB)PDF

-科学-

■政府間水文学計画(IHP)

国際協力による水資源の最適な管理のための科学的基盤の提供を目的に1975年に開始した政府間共同事業で、世界的観測網によるデータ収集、世界の水収支の解明、人間活動が水資源に与える影響の解明などに関する科学的及び教育的事業を実施しています。

■政府間海洋学委員会(IOC)

1960年に設立された、ユネスコ傘下の海洋に関する包括的な政府間委員会で、海洋科学調査及び研究活動に係る唯一の国際機関として、一定の独立権能が与えられています。
主な事業として、海洋観測・調査、海洋データの収集管理及び交換、津波早期警戒システムの構築、教育訓練、地域協力を実施しています。2021年に開始した持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の提案主体であり、実施計画策定機関として様々な取組を推進しています。

 持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(2021-2030)

海洋科学の推進により、持続可能な開発目標SDG14「海の豊かさを守ろう」等) を達成するため、2021年から2030年の10年間に集中的に取組を実施する国際枠組みとして、2017年12月の第72回国連総会で採択されました。ユネスコの政府間海洋学委員会(lOC)が実施計画策定機関となり、2018年から2年間の準備期間を経て、2020年12月に第75回国連総会で実施計画が感謝とともに留意された上で策定されています。実施計画では、10年間の取組で目指す社会的成果目標として、きれいな海、健全で回復力のある海、予測できる海、安全な海、持続的に収穫できる生産的な海、万人に開かれ誰もが平等に利用できる海、心揺さぶる魅力的な海の7つが掲げられており、そのために、海洋汚染の減少や海洋生態系の保全から、海洋リテラシーの向上と人類の行動変容まで10の挑戦課題に取り組むこととされています。
2021-2030

海水浴いなか浜

ダイビング

海水浴いなか浜©屋久島町
(屋久島・口永良部島ユネスコエコパーク)

ダイビング©屋久島町
(屋久島・口永良部島ユネスコエコパーク)

■人間と生物圏(MAB)計画/生物国保存地域(ユネスコエコパーク)

人間と生物圈 (MAB)計画は、生物多様性の保護を目的に、1971年に開始した自然及び天然資源の持続可能な利用と保護に関する科学的研究を行う政府間共同事業で、生物圈保存地域(ユネスコエコパーク)を指定する等、持続可能な自然と人間との共生を目指す活動を推進しています。生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的としており、保護・保全だけではなく自然と人間社会の共生に重点が置かれています。2021年はMAB計画50周年です。
50years
ユネスコエコパークは、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域です。(登録地域数:129か国714地域。うち国内は10地域。)※2020年10月現在
世界自然遺産が、顕著な普遍的価値を有する自然を厳格に保護することを主目的とするのに対し、ユネスコエコパークは自然保護と地域の人々の生活(人間の干渉を含む生態系の保全と経済社会活動)とが両立した持続的な発展を目指しています。登録地域は、域内の自然の成り立ちや、そこで育まれた歴史文化に対する理解を深めるほか、地域づくりの担い手を育成することが期待されています。また、世界ネットワークの一員として、登録地域同士の学び合いを通じてさらに取組を進めることが求められています。

真原の桜と甲斐駒ヶ岳

新潟大学による植生調査の様子

真原の桜と甲斐駒ヶ岳©南アルプス市
(南アルプスユネスコエコパーク)

緩衝地域内の森林の保全と利活用の両立させる方法を検討するための学術調査(新潟大学による植生調査の様子)
©中野陽介(只見ユネスコエコパーク)

紅葉の刈込池

地獄谷野猿公苑

紅葉の刈込池©白山ユネスコエコパーク協議会

地獄谷野猿公苑©山ノ内町
(志賀高原ユネスコエコパーク)

桃狩り

 

桃狩り©甲武信ユネスコエコパーク推進協議会

 

■ユネスコ世界ジオパーク

ユネスコ世界ジオパークは、国際的に価値のある地質遺産を保護し、そうした地質遺産がもたらした自然環境や地域の文化への理解を深め、科学研究や教育、地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業です。ユネスコの国際地質科学ジオパーク計画(IGGP) の一事業として実施されています。
(登録地域数:44か国169地域。うち国内は9地域)※2021年4月現在

ユネスコエコパークとユネスコ世界ジオパークは、人々の生活と自然の調和を通じたSDGsのモデル地域としても注目されています。

大室山

昭和新山と洞爺湖

大室山 約4000年前に噴火した火山によるスコリア丘
©伊豆半島ジオパーク推進協議会

昭和新山と洞爺湖
©洞爺湖有株山ジオパーク推進協議会

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-文化・コミュニケーション-

■世界遺産

・世界遺産条約文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するため、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的に、1972年に採択されました。
・日本の世界遺産
日本からは文化遺産19件、自然遺産4件の計23件の世界遺産が記載されています。2019年には「百舌鳥・古市古墳群」が記載されました。現在、「北海道・北東北の縄文遺跡群」を推薦しており、2021年6-7月頃の世界遺産委員会で審議される予定です。

日光東照宮

白川郷

日光東照宮(陽明門)(栃木県提供)

白川郷(冬)(白川村教育委員会提供)

姫路城

山内丸山遺跡

姫路城(姫路市教育委員会提供)

山内丸山遺跡
(縄文遺跡群世界遺産保存活用協議会提供)

■無形文化遺産

・無形文化遺産保護条約
芸能、祭礼行事、伝統工芸技術等の無形文化遺産の保護や、無形文化遺産を相互に評価する重要性への意識向上を目的に、2003年に採択されました。

・日本の無形文化遺産
日本からは22件が無形文化遺産代表一覧表に記載されています。 2020年12月には「伝統建築工匠の技」が記載されました。現在、「風流踊」を提案しており、2022年12月頃の無形文化遺産保護条約政府間委員会で審議される予定です。

檜皮葺

チャッキラコ

檜皮葺(「伝統建築工匠の技」)

チャッキラコ(神奈川県)

京都祇園祭

 

京都祇園祭(京都府)

 

■ユネスコ・クリエイティブシティーズネットワーク
(ユネスコ創造都市ネットワーク)

文学、映画、音楽、芸術などの分野において、都市間でパートナーシップを結び相互に経験・知識の共有を図ること、またその国際的なネットワークを活用して国内・国際市場における文化的産物の普及を促進し、文化産業の強化による都市の活性化及び文化多様性への理解増進を図ることを目的としています。

世界の創造都市
日本で開催された創造都市ネットワーク世界会議で
交流を深める世界の創造都市(写真提供:金沢市)

■世界の記憶

世界的に重要な記録物への認識を高め、保存やアクセスを促進することを目的とした事業です。ユネスコ事務局長が決定する国際登録や「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会が決定する地域登録とがあり、ユネスコにおいて日本関連とされている物件は8件となります。

国際登録:427件(2017年10月現在)
地域登録(アジア太平洋地域):46件(2016年5月現在)

御堂関白記

舞鶴への生還

御堂関白記(2013年登録)
©Yomei Bunko Foundation, Handscrolls
of original hand writings

「舞鶴への生還 1945-1956 シベリア抑留等日本人の
本国への引き揚げの記録」(2015年登録)
提供:舞鶴引揚記念館
 

文化・コミュニケーション全体のPDF(642KB)PDF