【資料5-2】持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)における濱地外務大臣政務官ステートメント

持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)
濵地外務大臣政務官 ステートメント


平成28年7月19日


1 冒頭
議長、
御列席の皆様、
世界の変革を目指す2030アジェンダの採択を受けて、我々は、新たな15年の旅路に乗り出しました。誰一人取り残されない持続可能な世界の実現に向けて、アジェンダの普遍的かつ包括的な実施を、着実に進めていく必要があります。
多様な主体と国連内外のステークホルダーが集うこのフォーラムは、そのために中心的な役割を果たすことが強く期待されています。成功に向け、日本としてしっかり貢献していく決意を、冒頭に申し上げます。


2 日本の取組(国際社会における実施をリードする決意(SDGs推進本部・サミット・TICAD))
議長、
日本には、リオサミットの時代から、国の内外で持続可能な開発の実現に取り組んできた実績があります。SDGsの策定プロセスにおいても、日本は一貫して貢献して参りました。今後も日本は、2030アジェンダに掲げられた持続可能な世界の実現に向け、国内実施とグローバルな実施の後押しに率先して取り組んでいく考えです。この観点から、政府全体の司令塔として、本年5月、安倍総理大臣を本部長とし、全ての閣僚が参加するSDGs推進本部を内閣に設置しました。
また、取組の包括性や一貫性を確保する政策枠組みも必要です。このため、現在、ビジョン、実施原則、優先課題、個別施策、フォローアップ等を定める「SDGs実施指針」の策定を、推進本部の下、政府全体で進めています。

議長、
5月に日本で開催されたG7伊勢志摩サミットは、アジェンダ採択後初のG7サミットでした。日本は、議長国として、国内実施と途上国支援の両面でのG7のコミットメントを主導し、保健、女性、アフリカ、質の高いインフラ、更には、世界経済、移民及び難民、貿易、サイバー、腐敗対策、気候変動、エネルギーといった広範な分野のコミットメントを発展させました。
来月には、初のアフリカ開催となるTICADⅥを開催します。私自身、一か月前にガンビアで閣僚級準備会合の共同議長を務めたところです。SDGsのアフリカにおける実践として、経済多角化・産業化、強靱な保健システム、社会の安定化を優先分野として具体的貢献を示すべく、アフリカ諸国と共に検討を重ねていきます。

さらに、SDGsの実施にあたっては、広範なステークホルダーとの連携の強化も重要です。既に、市民社会によるネットワークの立ち上げ、有識者による包括的な「処方箋」の提言、民間企業によるSDGsを踏まえたビジネスの検討など、新たな、活発な動きが生まれています。既に外務省や環境省では定期協議や国レベルのステークホルダーズミーティング等の取組を進めていますが、推進本部の下でも、更に連携を強化していきます。


3 日本の取組(国際協力・科学技術)
議長、
日本は、SDGsも踏まえて改訂された開発協力大綱を羅針盤とし、人間の安全保障を指導理念として、広範な分野でグローバルに取組を推進しています。
例えば、持続可能な開発の基盤となる質の高いインフラ投資の推進です。推進のための原則を国際社会で共有するため、G7伊勢志摩サミットの機会に5つの主要原則で構成される「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」の策定を主導しました。また、日本として、全世界に対して今後5年間で総額約2000億ドル規模の質の高いインフラ投資を実施していくことを打ち出しました。
日本が長年推進してきた保健についても、同じサミットの機会に、具体的な行動についてG7のコミットメントを主導し、「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」をまとめました。また、日本として、国際保健機関に対する総額約11億ドルの新たな支援を決定しました。
女性についても、女性の権利の尊重、能力の発揮、リーダーシップの向上を重点分野とする新たな開発戦略を策定しました。今後3年間で、約5千人の女性行政官等の人材育成、約5万人の女子の学習環境の改善を実施していきます。
防災では、昨年我が国で開催された第3回国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組と、日本独自の仙台防災協力イニシアティブを推進するともに、昨年末の「世界津波の日」の制定を受けて、世界各地で津波の啓発活動や津波対策を推進していきます。
昨年9月に新たな協力政策を策定した教育を始め、他の分野でも取組を推進します。また、中東地域の安定化のため、今後3年間で約2万人の人材育成を含む総額約60億ドルの支援も実施します。
今後、途上国の国内資金、ODA、民間資金といった多様な開発資金の活用や、様々な開発協力の実施プロセスにおけるSDGsの一層の主流化も検討していきます。
開発資金と並ぶ重要な実施手段として、科学技術イノベーション(STI)の活用も重視しています。これまでにも、STIを通じた教育、人材育成支援、防災・気候変動・感染症対策等の協力を推進し、最新の第5期科学技術基本計画でも科学的エビデンスや我が国の技術を活用した世界の持続的発展への貢献を掲げているところです。今後、国際的なアカデミアの共同事業を始め科学技術コミュニティとの連携を進めます。


4 結語
議長、
本日申し上げた取組は、あくまでも現時点のスナップショットに過ぎません。
今後とも、取組の検討・実施・見直しを着実に進め、アジェンダのグローバルな実施に貢献していく決意を改めて強調します。
また、最後に、本フォーラムを契機に、国連諸機関と世界銀行やOECD等の国連外の諸機関との連携が進むことも期待します。
御清聴ありがとうございました。
(了)

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