資料64-2 日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会IOC分科会の活動の概要(平成25年6月~平成26年6月)

1. 第27回IOC総会/第46回IOC執行理事会

 平成25年6月25日~7月5日にユネスコ本部において開催された。
 IOC役員会のメンバー選挙が行われ、我が国の道田委員が、グループ4(アジア太平洋地域)の副議長(二期目)として選出された。また、日本は引き続きIOC執行理事国となった(次回IOC総会(2015年)まで)。
 会期中はIOC、WESTPAC(西太平洋海域小委員会)等の地域委員会、GOOS等の専門委員会の活動状況が報告されるとともに、次期中期戦略及び事業・予算案について審議が行われ、次期事業・予算のプライオリティなどについて議論が行われた。
我が国出席者:
植松 光夫  日本ユネスコ国内委員会委員/IOC分科会主査/東京大学大気海洋研究所・教授
道田 豊    日本ユネスコ国内委員会IOC分科会委員/IOC副議長/東京大学大気海洋研究所・教授
小泉 岳司  気象庁地震火山部地震津波監視課国際地震津波情報調整官
小川 智    気象庁地球環境・海洋部海洋気象課海洋気象情報室調査官
堀尾 多香  文部科学省国際統括官付ユネスコ協力官  ほか

2. 西太平洋小委員会(Sub-commission for Western Pacific:WESTPAC)25周年事業

(1)IOC/WESTPACインド洋−太平洋フォーラム

 IOCの小委員会の一つである西太平洋小委員会(Sub-commission for Western Pacific:WESTPAC)の25周年事業の一環として、平成25年11月26日~28日にバンコク(タイ)で開催され、西太平洋の14沿岸国から約40名の専門家が出席した。日本からは、道田豊IOC副議長が主催者として、植松光夫IOC分科会主査及び深澤理郎IOC分科会調査委員が招待講演者として出席した。また平啓介元WESTPAC議長・元IOC分科会主査が招待された。
 本フォーラムでは、アジア太平洋地域における海洋研究・海洋サービスの各国の現状に関する報告や将来構想、人材育成及び技術開発について意見交換を行った。

(2)WESTPAC諮問グループ及び国際科学シンポジウム国際科学運営委員会(ISSC)合同会合

 WESTPAC諮問グループ及び国際科学シンポジウム国際科学運営委員会(International Scientific Steering Committee :ISSC)の合同会合が、平成25年12月16日~17日にニャチャン(ベトナム)で開催された。日本からは、安藤健太郎WESTPAC諮問グループメンバー・JAMSTECプログラムディレクター、西田周平ISSC委員・東大教授、福代康夫 前WESTPAC副議長・東大教授が出席し、WESTPAC第9回国際科学シンポジウムへの対応について、議論及び意見交換を実施した。

(3)WESTPAC第9回国際科学シンポジウム

 平成26年4月22日~25日にニャチャン(ベトナム)でWESTPAC第9回国際科学シンポジウムが「西太平洋域の繁栄に向けた健全な海洋の実現~科学的な課題と可能な方策~」をテーマに開催された。21か国から約550名が参加、約500件の口頭・ポスター発表が実施され、過去最大規模となった。日本からは、道田豊IOC副議長、植松光夫IOC分科会主査、安藤健太郎WESTPAC諮問グループメンバー、西田周平ISSC委員、福代康夫前WESTPAC副議長らが参加した。
 シンポジウムに合わせ、西太平洋地域にある18の研究機関の代表が集まり、WESTPACおよび周辺海域の研究や観測の強化方策について議論を行う「研究所長フォーラム」が開催された。道田IOC副議長が共同議長を務め、今後の方策に関する共同文書が採択された。
 また、今回はWESTPAC地域の海洋学の発展に長年にわたり貢献してきた研究者の功労表彰が行われ、日本からは福代前WESTPAC副議長および道田IOC副議長の2名が受賞した。更に、35歳以下の研究者の口頭発表およびポスター発表を対象とした若手研究者賞を日本の若手研究者2名(JAMSTEC 中嶋亮太氏及び山形大 高橋和也氏)が受賞した。

<参考資料>

会議等一覧

 会議等名称

開催日程(開催地)

主な内容

我が国出席者

第2回全球海洋酸性化観測ネットワーク国際ワークショップ

平成25年7月24日~26日(セントアンドルーズ・イギリス)

IOCCP、GOOS、NOAAなどとの共催で、海洋酸性化の実態と生態系影響に関する観測情報を集約し、観測手法の向上、観測海域・項目の拡充、発展途上国における人材育成、成果の統合について議論した。

石井雅男気象庁気象研究所海洋・地球化学研究部第三研究室長、村田昌彦JAMSTECチームリーダー、原田尚美JAMSTECチームリーダー

太平洋津波早期警戒・減災システムのための政府間調整グループ(ICG/PTWS) 第25回会合

平成25年9月9日~11日(ウラジオストック・ロシア)

PTWC(米国NOAA)及びNWPTAC(我が国気象庁)からの活動報告、各国報告が行われたほか、PTWCプロダクトの拡充、南シナ海地域津波警報システムの構築等について議論が行われた。また、議長、副議長(3名)の選出が行われ、副議長の一人として我が国気象庁から小泉岳司調整官が再選された(任期2年)。

小泉岳司気象庁地震火山部地震津波監視課国際地震津波情報調整官、五十嵐陽子同国際津波情報係長、角田健二同予報部情報通信課調査官(WMO専門家として参加)

海底地形名小委員会(SCUFN)

平成25年9月23日~27日(東京)

世界の海底地形名の統一を図ることを目的とした当会合では、世界各国から提案された海底地形名が審議された。日本からは、国内の海洋研究分野の第一人者で、海洋底地球物理学の発展に世界的な貢献があった、故小林和男東京大学名誉教授の名前を冠した「Kobayashi Basin and Ridge Province(小林海盆・海嶺地形区)」を提案し採択されたものを含め、21件の提案を行い、20件が採択となった。採択された地形名はGEBCO Gazetteer(GEBCO海底地形名集)に国際登録されることとなった。

小原泰彦海上保安庁海洋情報部技術・国際課上席研究官 ほか

 大洋水深総図(GEBCO)指導委員会、海洋地図作成技術小委員会(TSCOM)、地域海洋地図作成小委員会(SCRUM)

平成25年10月7日~11日(イタリア・ベネチア)

GEBCOの海底地形データ及び海底地形図の作成技術及び普及啓蒙について議論が行われた。海底地形データについては、2014年に新しいデータを加えて更新されることとなった。各委員会のメンバーシップについて議論が行われ、指導委員会では我が国の谷委員が新しい委員長に選出された。

谷伸海上保安庁海洋情報部長、森下泰成海上保安庁海洋情報部海洋調査課課長補佐、吉田剛内閣官房総合海洋政策本部参事官補佐

北東アジア地域海洋観測システム(NEAR-GOOS)調整委員会第15回会合

平成25年10月10日~11日(韓国・釜山)

参加各国からデータベースの運用状況をはじめとした活動報告がなされるとともに、各国が運用するデータベースの改善に向けた検討等今後の活動の方向性について検討が行われた。次回会合は日本で開催される予定。

道田豊IOC副議長(IOC分科会委員・東京大学教授)、勢田明大海上保安庁海洋情報部海洋情報課主任海洋情報官、小川智気象庁地球環境・海洋部海洋気象課海洋気象情報室調査官

GOOS(全球海洋観測システム)生物・生態系パネル及び生物地球化学パネルのための第1回技術専門家ワークショップ

平成25年11月13日~15日(タウンズビル・オーストラリア)

 GOOS運営委員会の下に、OOPC(気候のための海洋観測パネル)に加えて新たに設置されることになった二つの分野別パネルの任務や活動内容、及び、生物・生態系分野・生物地球化学分野のEOVs(essential ocean variables)の候補について議論した。

石井雅男気象庁気象研究所海洋・地球化学研究部第三研究室長、千葉早苗JAMSTECチームリーダー

TPOS(熱帯太平洋観測システム)2020ワークショップ

平成26年1月27日~30日(サンディエゴ・アメリカ)

GOOS等の後援により、エルニーニョ予報や、熱帯海洋・全球大気相互作用研究、気候変動のモニタリングと研究に重要な役割を果たしてきた熱帯太平洋観測システム(Tropical Pacific Observing System)のレビュー・評価を行い、将来計画について議論した。

須賀利雄科学組織員会共同議長(IOC分科会委員・東北大学教授)、安藤健太郎WESTPAC・諮問グループ委員(IOC協力推進委員会委員・JAMSTECプログラムディレクター)、藤井陽介気象庁気象研究所海洋・地球化学研究部主任研究官 ほか

津波及びその他潮位関連災害警戒・減災システムワーキンググループ第7回会合(TOWS-WG-VII)及び津波警報業務タスクチーム会合

平成26年2月10日~13日(パリ・フランス)

各ICGから最近の活動状況に関する報告があったほか、各ICGの情報発表対象領域図の作成、領域外で発生した地震に対する情報発表の在り方等について議論が行われた。

道田豊IOC副議長(IOC分科会委員・東京大学教授)、小泉岳司気象庁地震火山部地震津波監視課国際地震津波情報調整官、速水絵里圭同総務部企画課国際室国際第二係員、角田健二同予報部情報通信課調査官(WMO専門家として参加)

第43回海洋資料交換国内連絡会

平成26年2月20日(東京)

IODE(国際海洋データ・情報交換システム)関係の国際動向について報告するとともに、国内各機関からデータ・情報管理に関する取組について情報交換を行った。

文部科学省、防衛省、国土交通省、水産庁、環境省、東京大学、独立行政法人海洋研究開発機構、独立行政法人国立極地研究所、海上保安庁(事務局) ほか

第14回JCOMM国内連絡会

平成26年3月13日(東京)

JCOMM関連の国際的動向について報告が行われた。また、アルゴ、船舶、ブイ等海洋の現場観測の実施・観測結果の通報状況等の情報交換を行った。

気象庁、海上保安庁、防衛省、海洋研究開発機構、水産総合研究センター及び東京大学関係官

 ICG/PTWS南シナ海地域作業部会第3回会合(WG-SCS-III)及び南シナ海地域津波情報センタータスクチーム会合

平成26年4月7日~9日(香港・中国)

 南シナ海における地域津波警報センター設立に向け、情報の内容等につき検討が行われた。また、域内でのデータ共有、トレーニング等の開催について議論が行われた。

小泉岳司気象庁地震火山部地震津波監視課国際地震津波情報調整官、上山哲幸同国際津波情報係長

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