第71回日本ユネスコ国内委員会科学小委員会政府間海洋学委員会(IOC)分科会議事録

 

 1.日時

令和3年1月25日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

オンライン会合(Webex)

3.出席者

(委員)

道田豊(主査)、河野健(国内委員)、立川康人(国内委員)、安藤健太郎、大林正典、齊藤宏明、須賀利雄、中田薫、西村弓、古谷研、牧野光琢、升本順夫、脇田和美【敬称略】

(文部科学省(事務局))

田口国際統括官、亀岡文部科学戦略官、石田国際戦略企画官、植村国際統括官補佐、堀尾国際統括官補佐、その他関係官

4.議事録

 【道田主査】  本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、開始前に定足数の確認を事務局でお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  本日は出席の委員が13名で委員の過半数ですので、定足数を満たしています。なお、本日は報道関係者の取材を受け付けておりまして、共同通信社の方が取材をされますので、あらかじめお知らせいたします。また、国土交通省、海上保安庁、気象庁、環境省、内閣府総合海洋政策推進事務局などの関係省庁及びJAMSTEC(海洋研究開発機構)からもオンライン参加いただいております。さらに、本日は文部科学省研究開発局海洋地球課より、戸谷深海地球探査企画官が事務局とともに出席していますので併せてお知らせします。
【道田主査】  ありがとうございます。  それでは、ただいまから第71回IOC分科会を開催いたします。本日の議事のうち議題3及び4に関しましては、事前にお伝えしておりますとおり、非公開とさせていただきます。非公開部分を除いて、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 なお、議事の公開等に関する規程については、参考資料6にありますので御確認いただければと思います。
それでは、開会に際して、田口国際統括官から一言御挨拶申し上げます。
【田口国際統括官】  皆さん、こんにちは。文部科学省の国際統括官の田口でございます。
 いよいよ2021年になりました。「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」がもう始まっているわけでございます。年末に実施計画ができましたが、これから10年の長丁場でございますので、今日御議論いただくことになると思いますが、次回のIOC執行理事会の対処方針とともに、これから国内の実施体制をどうやっていくかということもぜひ皆様に御意見いただきたいと思ってございます。2021年は、を目標としているSDGsや地球温暖化の二酸化炭素排出の中間目標にあたるのですね。そうしますと、2030年に向けた10年間の1年目ということで、様々な意味で国際的に重要な1年になると思ってございます。しかもそれがこのコロナ禍でその1年を過ごさなければいけないということで、我々のやりようによって結果が大きく違ってくるのではないかと思います。いずれにしましても、この2021年を2030年に向けた10年となる、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の最初の年にふさわしい年にしていきたいと思いますので、その中での2021年第1回目のIOC分科会でございます。どうぞ皆様、よろしくお願い申し上げます。
【道田主査】  田口統括官、どうもありがとうございました。
 続いて、配付資料の確認に移らせていただきます。事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  本日の配付資料ですが、議題1から3まで、それぞれ対応しておりまして、議題1に関して資料1、議題2に関して資料2-1から2-4、議題3に関して資料3-1から3-3。そして、参考資料として参考1から6を用意し、事前にお送りしています。なお、参考資料5は前回の議事録ですが、これは委員の皆様に確認していただいたものです。不備等ございましたら、事務局にお申しつけください。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。資料を御確認いただいて、議題の1「前回会議以降の活動報告等について」に入ります。
 本議題では、前回の会議が開催された8月末以降、これまでのユネスコ本部等での主な動きの報告と、国内での取組について情報共有することといたします。報告・説明はそれぞれ最大3分程度でお願いいたします。また、それぞれの活動に関する御質問については、全ての報告を受けた後、最後にまとめてお伺いしたいと思います。
 それでは、まずは本件について事務局から御報告をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  通し番号1ページの資料1を御覧ください。昨年8月26日開催の第70回IOC分科会以降の活動に関する報告を記載しています。個別の会議やイベントについては、この後、それぞれ関わっていただいた方々から御説明いただきますので詳細は省略させていただきますが、コロナ禍の中、特に今月からスタートしました、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」に関する各種オンライン会合が行われ、昨年11月のWESTPAC(西太平洋地域小委員会)バーチャルセッション、笹川平和財団海洋政策研究所と日本海洋政策学会主催の研究会の立ち上げ、そして、12月の港ユネスコ協会主催シンポジウムなどが行われました。今後も引き続き持続可能な開発のための国連海洋科学の10年のキックオフの年として、10年調整ユニットであるIOC事務局や、関係機関を中心に各種会合が行われる見込みですので、次回のIOC分科会にて、それらの報告をさせていただきたいと思います。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。
 それでは、これ以降、資料の順番に沿って各委員及び関係省庁から御報告いただきたいと思います。皆様、資料が共有されていますけれども、お手元にもしお持ちでしたら適宜参照しつつ、お聞きいただければと思います。
 それでは、最初に、IOCキャパシティディベロップメント専門家グループ会合について、文部科学省海洋地球課戸谷企画官より御説明お願いいたします。
【戸谷深海地球探査企画官】  道田主査、ありがとうございます。文部科学省海洋地球課の戸谷でございます。昨年7月1日に渡辺の後任として着任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料1の冒頭を御覧ください。IOCキャパシティディベロップメント専門家グループ会合について、でございます。昨年10月26日にキャパシティディベロップメントに関する第2回専門家グループ会合が開催されました。これは、前任の渡辺が専門家として参加していたもので、引き続き私が参加させていただきました。この専門家グループ会合は、海洋に関するキャパシティディベロップメントについてのニーズ評価や関連する取組についての計画策定やリソースの導入について専門的見地から支援し、アドバイスを提供することを目的としたものです。第2回の会合では、クリアリングハウスメカニズムとして、Ocean InfoHub プロジェクトが開始されたことや、ニーズ調査の中間状況レビューが報告、議論され、現行キャパシティディベロップメント戦略が2021年、本年を終期とすることから、新たな戦略策定について検討するためのタスクチームの設置が合意されました。タイミング的に2021年中に策定から合意まで至ることは難しいので、現行戦略を2023年まで活かし、その間に改定について議論を進めることなどが話し合われました。戦略見直しのタスクチームは任意参加でしたが、日本としても貢献すべく、私が参加することといたしました。次回専門家会合はIOC第53回執行理事会終了後、本年2月12日にオンラインで開催される予定でございます。
 以上です。
【道田主査】  戸谷企画官、ありがとうございます。
 続きまして、WESTPACで開催されました、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年、バーチャルセッションについて、御発表、御参加された牧野委員から補足があればお願いいたします。
【牧野委員】  ありがとうございます。11月10日に開催された会合のCo-designingの部分ですね。科学が利害関係者と一緒にデザインするところについて、様々な専門の方あるいは立場の方から意見交換と議論を行いました。私は社会科学という観点から参加させていただいて知見を提供したのですけれども、これまでIOCの議論の中で社会科学はほとんど貢献がなかったので、非常に新鮮な気持ちで聞きましたといった反応を頂きました。
 以上でございます。
【道田主査】  ありがとうございます。
 続きまして、笹川平和財団海洋政策研究所で開催されました、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年研究会、港ユネスコ協会主催の持続可能な開発のための国連海洋科学の10年シンポジウム、IOC設立60周年記念オンラインイベント及び国際海洋データ情報交換運営会議について、私から簡単に御説明申し上げます。
 まず、笹川平和財団の持続可能な開発のための国連海洋科学の10年研究会については、昨年の夏頃から準備をしまして、笹川平和財団海洋政策研究所と日本海洋政策学会の合同で持続可能な開発のための国連海洋科学の10年に向けた、日本国内の議論の場を作るという観点から設置をいたしまして、8月の準備会合と、その後2回の会合を開いたところでございます。田口統括官をはじめ、関係省庁の幹部の方及び猪口邦子参議院議員等にも御参加いただきまして、全体的な方向性についての議論の場という位置付けでもって議論を進めているところでございます。第3回の研究会については、今の予定では2月25日となっておりますけれども、研究会を行って、その後、短い時間でシンポジウムを行って、今年始まった持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の日本の貢献についての議論の場にできればと思っているということでございます。
 それから、地域にユネスコ協会はたくさんございますけれども、その中の港ユネスコ協会というところに依頼をされまして、一般の方々及びユネスコ協会の関係者の方々向けに、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年が始まりますよという御説明というか、お話を私からさせていただきました。この場には東京海洋大学の佐々木先生も入っていただきまして、「海洋リテラシー」というキーワードでもって議論も行ったところであります。
 続きまして、御承知と思いますけれども、昨年2020年はIOCの設立60周年だったのです。コロナのことがなければ、恐らく大きなイベント等が企画されつつあったのだと思うのですけれども、それはできませんでしたので、昨年12月14日にオンラインでのイベントが開催されました。歴代のオフィサー及び歴代事務局長がメッセージを送って、今後のIOCの方向性あるいは持続可能な開発のための国連海洋科学の10年への貢献といったことについてのお話がありました。併せて2020年、同じ日に、オンライン刊行されました“Global Ocean Science Report”2020年版の紹介もありました。これについては資料にありますとおり、海洋データの部分については私が筆頭著者でありましたし、編集委員として白山先生、それから、外部レビュワーとしては馬場さんの貢献もあったということを申し上げておきます。
 最後に、国際海洋データ情報交換(IODE)の運営会議については、今年になってオンラインで開催されました。IODEの会議そのものが今年の4月に開催されるのですけれども、その準備会合ということで、私が前共同議長の立場ということで参加をいたしました。詳細は省略しますけれども、IOCの主要事業の一つでありますIODEの実際の運用面についての議論が行われました。
 以上でございます。
 続きまして、気象庁から、太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ(ICG/PTWS)第29回会合・国際ワークショップについて、情報を共有していただければと思います。気象庁、よろしくお願いします。
【気象庁(大塩 海外気象プロジェクト推進係長)】  道田主査、ありがとうございます。気象庁の大塩と申します。
 先日、事務局経由で皆様にお知らせさせていただいたところですが、太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ(PTWS)の第29回会合の延期について、改めて御報告させていただきます。
 前回の分科会においては、本会合はこの3月に我が国で開催する予定としておりましたが、1月15日に開催されましたIOC事務局を含むPTWS運営委員会にて改めて開催の可否について検討を行ったところです。当庁としましては、対面式会合とオンライン会合を併用した開催に向けて準備を進めてきたところですが、運営委員会においてはIOC事務局から現在の新型コロナウイルス感染症の世界的流行を鑑みると、まず、対面会合は不可能であり、オンライン会合を開催するにあたっても、時差の問題や開催手続きが整備されていないということがございまして、延期を提案されたところでございます。これについて、当庁としても延期を受け入れることとしたところでございます。延期の時期は本年11月または年明け2022年の3月として、場所は東京で開催する予定としております。
 以上、御報告申し上げます。
【道田主査】  大塩様、ありがとうございます。
 それでは、最後の部分ですね。WESTPACの動きなどを含めて、安藤委員より情報共有がございましたら、よろしくお願いいたします。 【安藤委員】  安藤でございます。WESTPAC関係で情報共有させていただきます。
 まず、先ほどの牧野委員からの御報告にありましたが、当初は2021年に国際海洋科学会合、昔のWESTPAC国際シンポジウムと言っていたものをバンコクで実施する予定でしたが、最近の議論ではさらに2022年に延期しようかということになっております。先ほどの報告の最後にありましたが、当初は今年の国際海洋科学会合に合わせて、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年のキックオフミーティングを実施する予定でしたが、それを二つに分けようという議論になっています。地域における持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の会合はリモートで実施する方向で今、検討を行っており、国際海洋科学会合は来年に延ばそうということになっております。
 もう一つ、WESTPAC関係ですけれども、政府間会合は2021年4月27日から29日にリモートで開催という方向になっています。
 あと、少し話はずれますが、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年関係も話させていただきたいのですが、この関係ではもう既に配付資料にありますが、JAMSTECがパンフレットのアップデートを行いました。それから、日本学術会議と笹川平和財団海洋政策研究所で、それぞれ持続可能な開発のための国連海洋科学の10年に関する報告書が、既に印刷されたものと印刷中のものがあります。
 以上です。
【道田主査】  安藤委員、ありがとうございました。
 このほか御出席の方々から追加の御報告あるいは御質問はございますか。
【植村国際統括官補佐】  中田委員、お願いします。
【中田委員】  先ほどGlobal Ocean Science Reportについて道田さんから御報告がありましたけれども、先週開催されました学術会議の海洋生物分科会で、このエグゼクティブサマリーの部分を分科会として翻訳して、皆さんに御利用いただけるようにしようということになりましたので御報告いたします。
【道田主査】  ありがとうございます。そのほか何かございますでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  脇田委員、お願いします。
【脇田委員】  東海大学の脇田です。御説明ありがとうございました。一つ質問したいのですが、最初に御報告いただきましたキャパシティディベロップメント専門家グループ会合についてです。こちらの専門家グループ会合というのは各国からはどのような立場の方が御参加されているのか、教えていただければと思います。あと、そのキャパシティのターゲットは大学院などの高等レベルをイメージしているのか、あるいは小中高も含めて、もうちょっと下からのものなのか、教えてください。
 以上です。
【道田主査】  御質問ありがとうございます。
 戸谷企画官、補足説明がありましたら、お願いいたします。
【戸谷深海地球探査企画官】  基本的にこのIOCのキャパシティディベロップメント専門家会合に出席しておりますのは、各国のIOCのナショナルフォーカルポイントから指名されたキャパシティディベロップメントなどに知見のある専門家でございます。私も推薦していただいた形でこちらに参加させていただきました。そして、キャパシティディベロップメントの対象になる者ですが、基本的にはアカデミアの部分であると私は理解しておりますが、もしも私に理解の間違いなどがございましたら、補足いただけたらと思います。よろしいでしょうか。安藤さんの方がお詳しいのではないのかなと。
【道田主査】  安藤委員、何か補足がありますでしょうか。
【安藤委員】  安藤です。基本的にはそれでよいということだと思います。ただ、たしか持続可能な開発のための国連海洋科学の10年のキャパシティディベロップメントの戦略との調整みたいなものがあって、そこがどのようになるかというのは今後のお話になると思います。持続可能な開発のための国連海洋科学の10年ではリテラシーみたいなものは入っていきますので、もうちょっと幅広くなるかなという印象ですが、それは今、まだ調整する段階ではないという状況です。
【道田主査】  ありがとうございます。
 脇田委員、よろしいでしょうか。
【脇田委員】  はい、ありがとうございました。大学の先生などはあまり入られていないという理解でよろしいでしょうか。
【道田主査】  私のほうでは参加者のメンバーリストをよくチェックしていませんけれども、顔写真も実際にはよく分かりませんが、要は大学の研究者もいるのではないかなという気がしますが、戸谷さん、何か感触か何かありますか。
【戸谷深海地球探査企画官】  そうですね。今、議事録のメンバーを見ております。ブラジルで教授という肩書きが付いた方がいらっしゃいます。あとは大学という名を背負った方、今ざっと流し見ている感じでは見当たりません。
【脇田委員】  どうもありがとうございました。
【道田主査】  ありがとうございます。
 そのほかの点について何か御質問等ございますか。
【植村国際統括官補佐】  牧野委員、どうぞお願いします。
【牧野委員】  牧野でございます。先ほどの報告にありました11月のWESTPACのバーチャルセッションですけれども、その動画ファイルがYouTubeで公開されておりますので情報共有させていただきます。
【道田主査】  牧野委員、ありがとうございます。
 そのほか何かございますか。
【植村国際統括官補佐】  特にないようですので、次、お願いします。
【道田主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題1は以上といたしまして、続いて議題の2、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」、先ほど来、既に幾つか話が出ておりますけれども、それに移りたいと思います。
 それでは、資料を用意されておりますので、資料2-1から2-3について、事務局から、まず御報告をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  資料2-1ですけれども、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の概要としまして、今年2021年から2030年までの枠組みとしてスタートしたところです。前回のIOC分科会以降の進展としましては、第75回国連総会において昨年12月31日付けで海洋及び海洋法に関する包括決議が採択されました。その中でIOCが中心となり準備してきました持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の実施計画、Implementation Planが感謝とともに留意されました。通し番号6ページ以降の資料2-2が、国連総会に提出された実施計画のバージョン2.0です。この中の通し番号17ページを見ていただきますと、図の1.1がありまして、これは持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の枠組みとSDGs、持続可能な開発のための2030アジェンダの関係が記載されています。SDGsの目標14、「海の豊かさを守ろう」を中心にSDGsの幅広い目標の実現に向け、取り組むこととされています。
 次、通し番号19ページですけれども、ここの16、17段落に、この実施計画のビジョンとミッションが記載されています。“The science we need for the ocean we want.”ということで、私たちが望む海のために必要となる科学をビジョンとし、“Transformative ocean science solutions for sustainable development connecting people and our ocean.”ということで、人と海を結び付けた持続可能な開発のための変化に富んだ海洋科学の解決をミッションとしています。
 また、次のページの19段落では、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年を通じて自然科学、社会科学の研究者や海洋に関するあらゆる利害関係者が人の交流、海洋と大気の相互作用、陸と海の関係など、あらゆる側面に及ぶ解決手法の研究を共同で行い、そして共同で伝えるために共に取り組むことが記載されています。
 続いて、通し番号21ページから22ですけれども、ここでは持続可能な開発のための国連海洋科学の10年で目指す7つの社会的成果が記載されています。ここでは成果1や2のように、海洋の望ましい状態の成果を記載するとともに、また、成果3や7のように、社会の海の利用や海との交流に係る望ましい状態の成果が挙げられています。
 続いて、通し番号24ページの28段落ですけれども、これは7つの社会的成果を達成するための挑戦課題が記載されています。海洋汚染の減少に関するものから、リテラシーの向上と人類の行動変容に関するものまで10項目の課題が挙げられています。
 続いて、26ページの図2.2には、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の取組によって私たちが持っている今の海から、私たちが望む海へと変えるための社会的成果、挑戦課題、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の目的、行動の体系図が記されています。具体的な目的と行動については、それぞれ31段落や33段落などに記載されています。
 続いて、ページは飛びますが、通し番号35ページを御覧ください。表2.1がございまして、ここでは持続可能な開発のための国連海洋科学の10年における能力開発、キャパシティディベロップメントの取組に係る戦略的枠組みの記載があります。6項目の望ましい結果と、それぞれに対して取り組む優先活動事項が記載されています。
 最後に、53ページから55ページになりますけれども、ここでは3.3として、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の評価をどうするかについての記載があります。127段落にあるとおり、詳細のモニタリングや評価枠組みについては、この持続可能な開発のための国連海洋科学の10年実施の初期段階でIOCと国連関係機関が設ける10年諮問委員会の意見をもらいながら策定する予定であり、この評価に関しては影響レベルと、運用レベルの2段階でのモニタリング評価を含むことになる見込みです。
 それから、通し番号55ページの図3.3に、10年の評価プロセスが示されています。毎年の進捗状況を年次報告として各国が提出を求められることになると思われます。
 持続可能な開発のための国連海洋科学の10年実施計画の説明は以上ですが、通し番号59ページの資料2-3として、先ほど安藤委員から御報告いただきましたとおり、JAMSTECでこの実施計画を踏まえて修正された持続可能な開発のための国連海洋科学の10年のパンフレットをつけていますので、併せて御覧ください。私からの報告は以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の全体的な最近の動きについての御説明もありました。併せて、1月15日に最初のCall for Actionsが締め切られたところです。これに対して環境省からマイクロプラスチックのデータベースに関するプロジェクトが提案されたと承知しております。これに関しまして、環境省の方から資料2-4について御説明、情報共有をよろしくお願いいたします。
【環境省(安陪室長補佐)】  環境省海洋プラスチック汚染対策室の安陪と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 持続可能な開発のための国連海洋科学の10年に関連しまして、Call for Actionsへ環境省からプロジェクトを提案してございますので、御紹介させていただきます。
 海洋プラスチックごみの問題が近年、非常に注目を集めておりますのは御案内のとおりかと思っております。ある試算では、2050年までにこのまま増え続けるとプラスチックの量が魚の量を上回るといったところでございます。
 この海洋プラスチックごみの問題について、日本政府としては海洋国家ということも踏まえ、世界全体で解決に向けて日本がリードしていくということを宣言してございます。2019年6月に行われたG20、大阪サミットにおいては、日本からこの大阪ブルー・オーシャン・ビジョンというものを提唱しまして、現在86の国と地域が共有しているところでございます。このビジョンが「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」といったビジョンとなってございます。
 この海洋プラスチックごみの問題についても、まだまだ科学の面において知見が足りないということが課題になっております。この点に関しては、日本の中でも特にモニタリング、海洋での汚染状況の把握と、その手法とデータ整備ということで、特化してリードしていくことを宣言しているところです。
 このモニタリングについて、まずこの手法が共有化されていないというのが世界的な課題となっております。特に海洋プラスチックの中でも海水面を漂流するマイクロプラスチック、小さなものについて、手法が世界中で異なるために、結果が比較できないという課題がございました。このような面で日本が世界をリードするために、道田先生にも御指導いただきまして、この調和のガイドラインを作成してまいりました。これによって一定程度手法が異なっても、どこまでデータが比較できるかということをガイドラインにまとめまして、今、世界に公表しているところでございます。
 モニタリングの手法に続きまして、その次の段階として、世界からデータを集約することを考えておりまして、このデータ集約と先ほどの手法の共有について、Call for Actionsに応募しているところでございます。
 これまでの取組として、昨年9月にG20のメンバーを招聘したワークショップを開催いたしまして、モニタリング手法の調和化とデータ整備について議論を行いました。その中で日本から新しいプロジェクトとしてモニタリングとデータの共有システムを提案したところになってございます。
 このデータ共有プロジェクトの概念図について、モニタリング活動自体は世界各国の様々な機関が行っておりまして、そのデータあるいはモニタリングという活動自体を共有するハブとして機能していきたいということを目指したいと思っております。また、単にデータを集約するだけではなくて、品質管理を行いまして、データの調和化と視覚化によって一般の方にも分かりやすい情報を発信していきたいと考えてございます。
 こちらは現在開発しているモニタリングデータ共有システムのイメージでございますけれども、こういった形でモニタリングデータをGIS上にビジュアル化しまして、データが見やすい形に整備したいと考えてございます。
 私からの説明は以上です。
【道田主査】  ありがとうございました。ここまでですね。持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の全体的な動向について、植村補佐から、また、最初のCall for Actionsに応じられた環境省から、その内容についての御説明いただいたところです。何か御質問、御意見等ございますか。
【植村国際統括官補佐】  特にないようです。
【道田主査】  よろしいですか。そのような動きがあるということです。Call for Actions第1弾は、プログラム、それから、Contributionというカテゴリーのものが一旦締め切られておりますけれども、今後についてもCall for Actionというのは多分あるのだろうと思いますので、的確に我が国としても対応していく必要があるかと思っています。よろしいでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  安藤委員が挙手されています。
【道田主査】  どうぞ。
【安藤委員】  持続可能な開発のための国連海洋科学の10年関連で一つ言い忘れたことがあります。1月15日の提案の締切りまでに、ProgrammeとContributionのうち、Contributionのほうですが、WESTPACの枠組みの中で、WESTPACの事務局が地域調整事務局を誘致するべく、タイ政府のほうからContributionを出したという情報を得ています。どうなるか分かりませんが、今後の推移を見守っていただきたいと思います。また、韓国も出すという話がありましたが、それは出したかどうか、まだ定かではありません。恐らく出てきたContributionを見て、どこが的確なのかというのが選ばれると言うと変ですけれども、指名されるのではないかと思います。
 以上です。
【道田主査】  情報共有、ありがとうございました。
 私から一つあったのを忘れておりましたが、今般のCall for Actionsの締切りでは、大型の、世界全体にわたるようなプログラムであるとか、あるいは今、安藤さんの御説明にありましたような、Contributionとして、そういったことについてのCall for Actionsだったわけです。私の理解だと、須賀委員がいらっしゃると思いますが、GOOS(全球海洋観測システム)はGOOSでまとまってプログラムに登録というか、Call for Actionsに提案を出したのですよね。もし状況を御存知であれば情報共有していただけるとありがたいと思いますが、須賀委員、いかがでしょうか。
【須賀委員】  ありがとうございます。須賀です。
 そうですね、GOOSは前回の分科会のときに御案内したように、GOOSとしてGOOSの活動のうちの持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の趣旨に非常に合った部分をプログラムとして提案するということで議論を進めてきました。最終的に三つのプログラムを提案することになったのですが、提案する作業自体は事務局がやったものですから、そこの最後のところまでは把握していないのです。三つというのは、各地域の利害関係者との連携を強化するというのが一つ。それから、沿岸観測網を強化するというのがもう一つ。三つ目が、統合的な観測システムを設計する、デザインする。この三つをそれぞれプログラムとして提案する。各プログラムについてタスクチームを作って内容を練って、名前は、今言った項目名だとあまりパッとしませんので、もう少し聞いただけで何を目指しているかというのが一般の人にも分かりやすい名前をつけようということで、タスクチームごとに議論をして、その議論を基に最終的に事務局がまとめて、その三つをUN 「機関」としてのIOCプログラムGOOSから提案したはずです。ただ、最終的にこのような形で提案しましたという報告は、GOOSの運営委員にはまだ回ってきていないという状況です。GOOSから提案されたプログラムに関わる活動にはいずれ日本としても全てに渡って関与することになっていくと思いますので、そのようなことを考えると、GOOSに対して日本がどのような貢献をしているかということが、外からもう少し見えやすくなるような仕組みを作っておく必要があると思います。日本はそれぞれの省庁や研究者などがすごくいい活動を行っているにもかかわらず、それらが、GOOSへの貢献として、まとまって見える形になっていない。日本におけるGOOSとしてのまとまりが現在ところ、システムとして存在していないので、その辺りをうまく作っていかないと、それらのプログラムにおいて、実際には貢献しているのに、それが国内外に伝わらないということになるかなと危惧しています。発言の機会を与えていただき、ありがとうございました。GOOS提案のプログラムと合わせて、コメントさせていただきました。
 それから、もう一つ、日本が関係するものとしては、プログラムとしてアルゴ運営チーム(Argo Steering Team)が主体となって、ワン・アルゴ(OneArgo)を提案しました。これは従来の2,000mまでの水温、塩分のアルゴ観測網、これをコア・アルゴ(Core Argo)と呼んでいますけれども、これと、生物地球化学(Biogeochemical、BGC)ですね、生物地球化学アルゴ(BGC Argo)。それから、深海までの観測をする、アルゴのカバレッジを海底まで、つまり2,000mから6,000mまで延長するというディープ・アルゴ(Deep Argo)ですね。このコアと生物地球化学とディープは、これまで、データシステムは共有しながら、それぞれの主体となるグループが進めていたのですけれども、これをワン・アルゴ、一つのアルゴということで完全に統合した形で、生物地球化学アルゴもディープ・アルゴもコア・アルゴの観測を担うなど、完全に統合した形のシステムにするという計画をプログラムとして提案いたしました。これは私が共同議長を務めているアルゴ運営チームとして提案したので、ちゃんと提案した最後のところまで見届けております。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。よく分かりました。
 そのほか委員の先生方から何か御質問等ありますか。
【植村国際統括官補佐】  ないようです。
【道田主査】  ありがとうございます。
 それでは、今の議題は以上といたしまして、議題の3、「第53回IOC執行理事会の対処方針等について」に入ります。本議題については、冒頭でお伝えしましたとおり、非公開となります。
(傍聴者等退席)

<議題3第53回IOC執行理事会の対処方針等について>
令和3年2月3日から2月9日にかけて開催される第53回IOC執行理事会について、我が国の対処方針案の審議を行った。

 

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