第70回日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会政府間海洋学委員会(IOC)分科会議事録

 

 1.日時

令和2年8月26日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

オンライン会合(Webex)

3.出席者

(委員)

道田豊(主査)、河野健(国内委員)、安藤健太郎、大林正典、神田穣太、齊藤宏明、須賀利雄、中田薫、西村弓、古谷研、牧野光琢、升本順夫、脇田和美【敬称略】

(文部科学省(事務局))

田口国際統括官、亀岡文部科学戦略官、石田国際戦略企画官、植村国際統括官補佐、堀尾国際統括官補佐、その他関係官

4.議事録

 【道田主査】  それでは定刻になりましたので、ただいまから始めたいと思います。主査を仰せつかっております道田でございます。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。現下の情勢でIOC分科会として初めてのウェブ開催ということで、多少ぎくしゃくする面があるかもしれませんけれども、そこはゆっくり議論ができればいいかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは開始前に定足数の確認を事務局でお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  本日は出席の委員が13名で委員の過半数ですので、定足数を満たしています。なお、本日は報道関係者の取材を受け付けておりまして、共同通信社の方が取材をされますので、あらかじめお知らせいたします。また、一般からの傍聴は御遠慮いただいておりますが、今回の議題に関係の深い機関として、内閣府、国土交通省、海上保安庁、気象庁、環境省及び海洋研究開発機構の方々にはオブザーバーとして傍聴いただいております。
以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。ということですので、ただ今から第70回IOC分科会を開催いたします。本日の議事のうち議題4以降に関しましては、事前にお伝えしているかと思いますけれども、非公開にさせていただきます。非公開部分を除いて、御発言については議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきいただきたいと思います。
 それでは議事に入りたいところなのですが、御承知の方も多いと思いますけれども、議事に先立ちまして少しお時間を頂戴して、ちょうど先週の今日ですけれども、去る8月19日に、東京大学名誉教授、元東大海洋研究所教授の平野敏行先生が95歳でお亡くなりになりました。誠に残念であります。平野先生は水産海洋学の巨人でありましたが、79年から83年、WESTPAC(西太平洋地域小委員会)が始まった頃にWESTPACの副議長をお務めになるなど、IOCに関しても大変御尽力、御貢献いただいたところでございますので、先生の御功績をしのび、御冥福を祈るため、哀悼の意を表したいと存じます。恐縮ですけれども、ここでしばし、30秒ほど黙祷をささげたいと思いますので、よろしくお願いいたします。黙禱。
( 黙禱 )
【道田主査】  お直りください。ありがとうございました。なお、IOC WESTPACの事務局に本件は伝えてありまして、そう遠くないうちに追悼記事が恐らくIOC WESTPACのホームページに載るものと承知しております。
 それでは分科会に入ります前に、分科会の委員及び事務局に交代がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  配付資料の参考1を御覧ください。  今年度、西村弓委員、牧野光琢委員、脇田和美委員が新たに着任されていますので、御報告いたします。
 続きまして事務局の異動を御報告いたします。今月8月1日より国際統括官・日本ユネスコ国内委員会事務総長として田口康が着任しております。本年4月1日に文部科学戦略官・日本ユネスコ国内委員会副事務総長として亀岡雄が着任しています。先月7月28日付けで国際戦略企画官・日本ユネスコ国内委員会事務局次長として石田善顕が着任しております。次に、本年4月1日付けで、国際統括官補佐として堀尾多香が、さらに国際統括官付ユネスコ第三係長として岡本彩が着任しています。最後に、昨年度より在籍しておりますが、今年度より国際統括官補佐の私、植村正樹がIOC分科会の担当となっております。どうぞよろしくお願いします。
【道田主査】  よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  それでは、着任されたばかりでございますけれども、田口統括官から一言お願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
【田口国際統括官】  どうもありがとうございます。IOC分科会の委員の皆様におかれては御多忙の中お時間を頂き、誠にありがとうございます。私、8月1日付けで大山の後任として国際統括官を拝命いたしました田口です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 このコロナ禍でございますが、日本政府が全国の学校に休校要請をしてからちょうど半年が経過しようとしております。この間、我々は、緊急事態宣言により日本中が活動を自粛していた時期、さらには感染が小康状態となって人々の活動が再開した時期、そして再び感染が拡大し、今、特別な夏を過ごしているところでございますが、徐々にWith コロナの生活様式が浸透してきているように感じてございます。世界的なコロナ禍において大切なことは、感染対策を講じながら人類の活動レベルを低下させない、さらには発展させていくことだと考えております。すなわち、感染に対して単なる自粛を選択するのではなく、感染防止対策や代替手段を講じて活動を継続・発展していく、これが重要だと考えております。
 ユネスコが担当する教育、科学及び文化に関する活動については特にコロナ禍で大きな影響を受けていると考えますが、ユネスコはいち早く各種の対応をしておりまして、国際機関の中でもその存在意義を高めているところだと認識しております。そして、我が国は来年ユネスコ加盟70周年を迎えます。さらに、国連海洋科学の10年が来年からスタートするわけでございます。ユネスコ国内委員会及び国内におけるユネスコ活動も今後さらに発展させていくことが求められています。
 最近はユネスコでもこのコロナ対応で会議のオンライン開催などを積極的に行っているところでございますが、国内委員会をはじめとする国内のユネスコ活動についても、このような時期だからこそ、一層活動を活性化していくことが重要だと考えておりまして、事務局としてもそのために最大限努力をしてまいりますので、委員の皆様におかれましても一層の御指導御鞭撻そして御協力をよろしくお願い申し上げます。
 本日は、最近のユネスコ活動について事務局から報告させていただくとともに、IOCが国連への提案主体となっている国連海洋科学の10年実施計画に向け、コロナ禍あるいはコロナ後の世界も踏まえた我が国の取組などについて御議論いただく予定でございます。引き続き、委員の皆様方にはより一層の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の御挨拶をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【道田主査】  田口統括官、どうもありがとうございました。役所の常で人事異動はしょうがないのですけれども、歴代の統括官同様、ひとつよろしく御支援のほどお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では次に、事務局から配付資料の確認をお願いできますでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  本日の資料としまして、議題1に関して資料1-1から1-3、議題2に関して資料2-1から2-5、議題3に関して資料3を用意しております。なお、議題4は非公開議題とさせていただきます。また、附属資料1から2-2、参考1から6を用意しており、うち参考5の前回分科会議事録については委員の方々に御確認済みのものを掲載させていただいております。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。過不足はないものと思います。
 議事に入りますけれども、新任で委員になられた西村先生、牧野先生、脇田先生におかれましては、それぞれの分野で御活躍中の先生方でございますが、今、発言をお願いはしませんけれども、積極的に御発言いただいて、IOCの活動の活性化について御協力いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは議題1「ユネスコ活動の現状について」に入りたいと思います。まず事務局から資料に沿って御説明をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  議題1ではユネスコ全体の最近の動きについて、委員の皆様に共有させていただきます。
 資料1-1は「ユネスコの戦略的変革について」の概要です。ユネスコが中心となり取り組む様々な課題に対応するため、効率的な組織運営が求められており、この改革をユネスコの次期中期戦略(2022~2029年)及び4か年事業予算(2022~2025年)に反映させることを目指すとされています。
 この一環で、戦略に関してアズレー事務局長に対し直接提言を行う有識者グループとして、12名のメンバーからなるハイレベル・リフレクショングループが設置されました。昨年11月以降、これまでに3回の会合が開催され、2021年春のユネスコ執行委員会に提言が提出される予定です。
 続きまして資料1-2でございます。新型コロナウイルスの流行に係るユネスコの動きについて、分野ごとにまとめたものです。コロナ禍においてオンラインで各種会合が行われてきまして、科学関係では今年3月にオープンサイエンスの役割と国際科学協力に関するハイレベル会合が、そして5月に科学に関するアジア太平洋地域会合が開催されました。
 続きまして資料1-3です。これは前回のIOC分科会以降に行われた関係活動に関する報告です。2021年から始まる国連海洋科学の10年の準備期間として、昨年7月に東京にて海洋科学の10年の北太平洋地域計画会合を開催するなど、10年関係の各種会合が開催されてきました。また、附属資料1、通し番号は99ページですが、これはコロナ禍を受けて、今年4月にユネスコの各局事務局長補から各加盟国のユネスコ政府代表部向けに現状の取組の情報共有を行う機会があり、そのうちこれはIOCの取組について説明された資料ですので、御参考までに共有させていただきます。
 説明は以上です。
【道田主査】  ありがとうございました。
 今の御説明に対して何か委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。御質問がある方はどうぞ挙手をお願いいたします。
 よろしいですか。私のほうから若干コメントをいたしますと、今年、本当は第53回のIOCの執行理事会がある予定だったのですが、先ほどの資料にありましたとおり、来年に延期になっています。通例ですとこのIOCの分科会はその各ガバニングボディーの会合の前に対処方針等を話し合ってきているところなのですけれども、そういう情勢ではないということです。
また、WESTPACにおける海洋データ情報交換に関する能力開発プロジェクトについても実施が採択されていると伺っております。
 今後、情勢は流動的なところがありますけれども、御承知かどうか、今年はIOCの創立60周年なのですよね。ですので、少し盛り上げ、併せて、先ほどユネスコの改革のお話がございましたけれども、それに向けてIOCでどうするのかということ、次の60年というような議論をするのが想定されていたのですけれども、それができていない状況にあります。来年の執行理事会あるいは総会において同じような議論が多分されますので、その時にはまた皆さんと意見交換あるいは御意見を拝聴した上で臨んでいきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 そのほか何か御質問等はございますか。よろしいですか。
 ということで、今、説明いただいた資料等を見ていただいて、動きについて御承知おきいただきたいということでございます。
 特になければ次に行きましょうか。次は議題2、これは本日の主たる議題といいますか、意見交換、情報交換、情報共有ということでございます。先ほど統括官のお話にもございましたけれども、御承知のとおり、来年から「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」が開始される段階に来ておりますので、それに関する議事でございます。
 よく御承知とは思いますけれども、2017年12月の国連総会で、IOC及びユネスコのもともとの発案に基づいて2021年、来年からの10年間を、SDGsを目指して国連海洋科学の10年とすることが採択されております。来年早々からの開始に向けて、既に意見照会等をかけさせていただいたところですけれども、実施計画がユネスコIOCにおいて検討されてきました。
 これまでも分科会で報告はされてきたと思いますが、我が国としてもIOCの準備期間における活動を支援する方向で進めてまいったところでございます。これから佳境に入るところですので、今後とも引き続き、委員の皆様方に御協力いただきたいということでございます。
 このような背景を踏まえて、この議題では現状について御報告いただき、あるいは共有して、国連海洋科学の10年の今後の方向性あるいは進め方等について御意見を伺いたいということでございます。では、まずは事務局から、国連海洋科学の10年に関する現状・状況、我が国における取組等について御説明をよろしくお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  資料2-1から2-5、附属資料2-1から2-2に沿って概要を御説明させていただきます。
 資料2-1は、日本ユネスコ国内委員会事務局で作成している、国連海洋科学の10年の概要資料です。2017年の国連総会で採択・宣言されたSDG 14は、海を中心とするSDGs実現のため、2021年から2030年までの10年間に実施する取組の国際枠組みとなりました。10年の実施計画案に基づく目的及び現時点で目指す社会的成果のポイントはここに記載のとおりです。こちらの社会的成果の7ポツ目に「心揺さぶる魅力的な海」とございますが、これは海洋リテラシーを通じて海洋科学の10年の理解増進につなげるため、当初の実施計画案から現在の実施計画案に追加されたものです。ユネスコとの関係として、IOCが海洋科学の10年の実施計画の策定機関として国連への提案主体となり、10年に向けた取組を推進する役割を担っています。また、この10年の推進について、我が国では第3期海洋基本計画や総合海洋政策本部参与会議意見書で言及されるとともに、日本ユネスコ国内委員会では、附属資料2-1にもあるのですけれども、昨年10月に策定したユネスコ活動の活性化の建議の中に、この10年のことを盛り込んでいます。
続きまして資料2-2は、海洋科学の10年の実施計画策定に向けたスケジュールです。12月に国連総会海洋及び海洋法に関する包括決議の一環で実施計画が採択される予定です。7月下旬に策定された二次ドラフトが8月4日にIOC事務局より国連に提出されており、今後非公式コンサルテーションが行われる予定と承知しています。
続きまして資料2-3です。これは海洋科学の10年の実施計画二次ドラフトのサマリー及び全文になります。二次ドラフトは3部構成になっておりまして、第1部は10年の理論的根拠、ビジョン、ミッション、成果について、第2部は10年の行動枠組みについて記載があり、第3部が10年の実施体制や評価についてそれぞれ説明しています。ここでの詳細は割愛させていただきます。
 資料2-4でございます。海洋科学の10年に関して、IOC関係省庁の取組として今後どのようなものが対象として考えられるかをIOCの関係省庁に照会し、リストアップした一覧となります。また、その欄に、10年で目指す社会的成果について該当する項目をそれぞれの事業・活動に対して記載しています。
 資料2-5です。これは日本ユネスコ国内委員会として海洋科学の10年に関してどのような役割を持って取り組むかということを、事務局で検討の上、概要資料として表したものです。国内委員会では関係機関と連携しつつ、多様なステークホルダーを巻き込んだ取組とすることを目指した、周知・普及活動を主に実施する方向で考えております。
 一つは、10年関連イベントの登録の呼びかけです。これは後ほど附属資料でも出てまいりますが、国連海洋科学の10年の枠組みで行うイベントについて、ユネスコIOCに申請を行うことで、10年のエンブレムの使用、またはユネスコロゴマークとのリンクロゴの使用が可能となりますので、この登録の呼びかけを行いたいと考えています。
 もう一つは、教育機関等と連携した取組として、全国のユネスコスクール等の学校を対象に、海洋教育に関するグッドプラクティスを募集し、来年のユネスコスクール全国大会、これは毎年行っているものですが、その大会において表彰することも考えています。
 なお、10年関連イベントのロゴマーク使用については、附属資料2-2のIOC事務局文書にロゴ使用のガイドラインがありまして、ここで規定されていますので、併せて御紹介させていただきます。通し番号135ページの1ポツに10年のエンブレムのデザインが記載されており、2ポツにエンブレムの使用に必要な条件が記載されています。エンブレムを使用する際は実施機関等から所定のリクエストフォームを用いて、ユネスコIOC事務局に直接申請いただくこととなります。
 また、通し番号138ページ、これは今年12月までの10年の準備期間における様式なのですが、今後また来年からの実施機関用のフォームが恐らく改めて示されるものかと思います。
また、ユネスコIOCのパトロネージ、後援名義の使用許可申請を行い、認められますと、ユネスコロゴマークにIOCロゴマークと海洋科学の10年のエンブレムがついたリンクロゴの利用が可能となります。このリンクロゴの使用申請については日本ユネスコ国内委員会を通じて行うこととなります。
 説明は以上になりますが、国連海洋科学の10年に関する日本の推進の在り方などについて、委員の皆様に御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【道田主査】  ありがとうございました。今、概要を御説明いただいたところですけれども、国連海洋科学の10年の実施計画への御意見とか、あるいは御質問でも結構ですけれども、先生方、何かございますでしょうか。どなたからでもどうぞ。何かありますでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  JAMSTECの安藤と申します。
 まず最初に、昨年の7月31日から8月2日にかけて、イイノホールで国連海洋科学の10年に関連した地域ワークショップを開催いたしましたが、その際、文部科学省から多大な御支援を賜り、大変ありがとうございました。幾つかの地域ワークショップを開催する中で、恐らく一番最初に実施し、大変充実したワークショップになったと思います。この場をお借りしまして御礼を申し上げます。ありがとうございました。
【道田主査】  ありがとうございます。そのほか何かございますか。
【植村国際統括官補佐】  牧野委員、お願いします。
【牧野委員】  ありがとうございます。今年から委員を拝命しております、東京大学の牧野でございます。
 まず、ちょっと教えていただきたいというか、参考情報を頂きたいのですけれども。総合海洋政策本部の参与会議意見書でSDG 14実現のための日本モデルという方針が示されてございますが、これは道田先生も中核的なメンバーで議論されたことだと思うのですけれども、この日本モデルについて少しだけ追加の説明というか、情報を頂ければと思います。
【道田主査】  道田でございますが、それは私が言ったほうがいいでしょうかね。どうでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  お願いします。
【道田主査】  詳細は報告書がアップされていますので、そちらを御覧いただくとして、日本ならではというか、もともと現行の海洋基本計画に日本の新たな取組ということで、MDA(海洋状況把握)を前面に押し立てて、特に総合的な安全保障というのがキーワードになって進められているところです。安全保障と聞くと何となくきな臭い印象がありがちですが、そういうことではなくて、防災とか環境保全とか食料セキュリティーとか、そういうことも含めた安全保障に向けて、日本の全体のパッケージとして、全体として総合的に取り組む。まあ、言うのは簡単でやるのは難しいのですけれども、そういったことを目指しましょうということです。
 今、言及されたSDG 14に向けたスタディーグループでは、主に三つだったか課題を取り上げて議論して、いろいろなことで多岐にわたるのですけれども、その中でも特に最近問題になっているIUU(違法・無報告・無規制)漁業、それからプラスチック汚染等々について議論をしっかり深めていただくということで、日本モデルという一つのキャッチフレーズっぽいもので、私がこういうことを申し上げていいかどうか分かりませんけれども、ものすごく目新しいということではないと思うんです。
 ただ、我々にとって、特に諸外国に比べても特に海に関する依存度が高い国であることを自覚して、全体的に取り組むことが大事だということだと思います。そのために総合海洋政策推進事務局のほうでしっかり取り組んでくださいという趣旨の取りまとめが行われたと、そのように私としては承知しております。
 以上です。
【牧野委員】  ありがとうございます。大変よく分かりました。
【道田主査】  そのほか何か、先生方、ございますか。
【植村国際統括官補佐】  河野委員、お願いします。
【河野委員】  ありがとうございます。
 IOC関係省庁の10年に向けた取組の一覧表についてですが、こちらの活動は主に一般の方々に対する講演会やアウトリーチ活動、そういったものが書いてありますけれども、こちらに研究機関や既に実施中の研究活動は含まれていません。日本としてはこれだけの貢献をしていますと国際的に見せるために必要な、取組全体の把握方法は決まっているのでしょうか。
【道田主査】  河野委員、ありがとうございます。
 どなたか発言される方がいらっしゃれば振りたいですが、なければ私の承知している範囲でお話をしたいと思いますけれども、よろしいですか。
 河野委員が御指摘のとおり、問題意識は共有しておりまして、去年、先ほど安藤さんがおっしゃった北太平洋地域計画会合の席上、あるいは1月に海洋政策学会で行ったシンポジウム等でも、東北大学の花輪先生辺りから、今、河野委員から御指摘のあった点についてちゃんとやらないと駄目なのではないですかという御意見を頂戴しているところです。それは私自身もそういう認識に立っております。
 若干後ればせながらではございますが、何人かの方々には既にお話が行っているかもしれませんけれども、間もなくですが来週の8月31日(月曜日)日本海洋政策学会と笹川平和財団海洋政策研究所、角南先生のところで共催の形で、今、河野委員がおっしゃったようなことについて、日本としてどう全体を打ち出していくのかについての研究会を立ち上げることになっております。具体にどこがどういう役割分担で担っていくということについては、私なりの個人的な考えはもちろんありますけれども、その研究会の議論を通じて国際的にどう打ち出していくのかということも含めて、体制整備について議論できるといいなと思っているところです。
 御案内のとおり、先ほどの社会的な動きを見ますと、ユネスコIOCの範囲にとどまらない活動がたくさんあることにならざるを得なくて、そうすると、もともと国連総会で決定されている10年ですので、国連総会でも数ある議題の一つだと思うのですけれども、国連総会にも議題として上がっていくようなことだということですので、そことの連携ですね。これまで以上に、例えば外務省であるとか、国連総会に出ていく方々と連携することで、日本は一体となってこういうふうに取り組んでいますというのが総会の場ではそのレベルで見せるし、IOCはIOCの場で、他の関係機関、今日は気象庁さんがいらっしゃっていますけれども、WMOとかですね、そういったそれぞれのところで国連海洋科学の10年というキーワードに対して日本としてどういうことをやっているのかを見せられるようにするべきという問題意識は共有しておりますので、まずは研究会の場の議論を通じて進めていけるといいなと思います。
 その研究会で、お忙しいと思うのですけれども猪口先生も来ていただけるようなことになっていると聞いておりますので、その辺り、少し高いレベルからも議論していただくといいかなと思っているということです。
 私が申し上げられることは以上ですが、何か関係の方で補足があればお願いいたします。
【河野委員】  ありがとうございました。
 そのときに、日本でやっている結構な数と質と量の海洋科学研究そのものをうまいこと取り込んで、これを機会に海洋研究の推進に役に立つように何か工夫をお願いできればいいのかなと思います。これは海洋科学の部分ですので、科学的成果が出てくれば、一つの大きな成果となりますので、よろしくお願いいたします。
【道田主査】  道田でございますけれども、河野さんがおっしゃるとおりなのです。お願いするだけでなくて、お願いされる立場でもあることを考えていただいて、実は河野さん御自身も研究を推進する立場でいらっしゃるので。
 先ほど、日本としてどういう活動を行っているかを見えるようにということに絞ってお話をしましたけれども、私が申し上げているのは、もちろんそれは多分最低限必要だという趣旨なのですね。そういう議論をきっかけに、全体としての海洋科学をもうちょっと総合的に、あるいは強力に進められるといいなともちろん思っております。それについては受け身ではなくて、今日御出席の先生方皆さんの課題でもあると御理解いただけるといいかなと思います。
【田口国際統括官】  ちょっとよろしいですか。田口ですけれども。
【道田主査】  どうぞ。
【田口国際統括官】  今の研究会の話については、私も角南先生と意見交換をさせていただきまして、一つ、ポイントは、やはり行政というか政府レベルだけではなくて、民間のいろいろなステークホルダーの方に入ってもらって議論するということだと思います。もちろん、我々は今、ユネスコの国内委員会として議論をしていますが、そこを超えた政府レベルの議論も必要になると考えておりまして、そういう意味では総合海洋政策本部であるとか、今日御出席の関係省庁の皆様ともよく協力していきたいと。その中で海洋科学については、少なくとも私の理解では、当省の海洋地球課も研究会に参加することになっていますので、そこで海洋科学の話についてもしっかりと、ある意味では彼らなりに責任を持ってやってもらうようにこちらからも働きかけたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【道田主査】  田口統括官、ありがとうございます。大変力強い言葉を頂きましたので、我々としてやるべきことはしっかりやっていこうと思いました。
 そのほか何かございますか。
【植村国際統括官補佐】  脇田委員、お願いします。
【道田主査】  脇田さん、どうぞ。
【脇田委員】  東海大学の脇田と申します。よろしくお願いします。
 2点あるのですけれども。まず1点目が、今、河野委員がおっしゃった点と少し似ていると思うのですが、この取組、各省庁がやられている取組をどうやって情報発信するのか。特に国内というよりも、私としては海外にどういうふうにうまく情報発信していくかというのがすごく気になっています。というのは、最近の重油流出事故とかもあるのですけれども、ああいう時にすごく海外のメディアは対応が速くて、海外のものについてはすごく日本に入ってくるというイメージなのですけれども、逆に日本のそういう対応とかメディアを省庁の方とかがどういうふうに使われているかなというのがちょっと気になっていまして。日本ではすごく素晴らしい取組がたくさんされているので、それを効果的に、メディアも巻き込んで上手に使って発信していかれるのがよいかなと個人的に思っています。その辺りの仕組みづくりとか、あるいは各省庁の対応がちょっと気になるので、文部科学省さんとしてのお考えとかがあれば教えていただきたいと思います。
 もう一つは、このようにリストアップされた関係省庁の取組が、その目標がありまして、結果をどのように誰がチェックするのかというところは、もう何か議論があるのでしょうか。私としては、チェックもきちんとするべきだと思ってはいるものの、皆さん御存じのとおり、総合海洋政策本部のほうでも毎年膨大な作業をされて、海に関する取組をまとめていらっしゃいます。ですので作業が二重になって、御負担が増えないようにという点も少し気にしていますので、その辺りについてももしお考えであればお願いします。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。今の点について何かお考えはありますか。まず役所のレベルでは何かお考えはあるのでしょうか。
【田口国際統括官】  すみません、田口でございます。新米の統括官なので少し情報が不十分なところはございますが。少なくとも後段の作業的なものについては、我々、関係省庁の連絡会議も持っておりますので、そこで総合海洋政策本部とよく連携を取りながら、なるべく効率的に作業を進めさせていただきたいというのがございます。
 それから、日本全体の発信をどうするかというのは、先ほど道田先生からも御紹介いただいた研究会の中で、官民合わせた形でどういう発信をしていくか、それは単にIOCの場のみではなくて国連総会も含めてどういう発信をしていくかというのを、まさに今月の終わり、第1回、キックオフが31日だったと思いますが、そこでやらせていただきたいと思ってございます。
以上です。
【脇田委員】  ありがとうございました。
【道田主査】  ありがとうございます。脇田委員がおっしゃったメディア戦略、これは大事なポイントのような気がしますね。研究者集団で議論しているとそこはちょっと抜け落ちたりしがちなので、いいコメントを頂いたと思いますので。特に国内として国連海洋科学の10年をどう進めるかというときには、先ほど脇田先生がおっしゃったようなことについてしっかり目配りができればいいかなと思いました。
 そのほか何かありますか。
【植村国際統括官補佐】  安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  ありがとうございます。
 今の外向きのメディア発信にちょっと関連しますけれども、私が二次ドラフトを読んだ感想をちょっと言わせていただきたいと思います。一次ドラフトのときに国際統括官付からの照会にもコメントしたのですけれども、ちょっとまだ二次ドラフトでは不十分だなと思っているのです。外向きの発信に関連したところですけれども、JPGU(日本地球惑星科学連合)のセッションでもちょっと議論しましたけれども、バリューチェーンをつなげる、要するに研究者がデータを取って研究成果を得て、それをいかに社会のほうに伝えていくか、バリューチェーンをつなげるためのデータと情報の記載の部分が若干弱いと思っています。この辺について、もうちょっと強い発信があればいいと思っています。
 それからそれに関連して、やはり先ほども紹介がありましたが、リテラシーの部分の記載が弱いと思っています。
 この2点はそれがちゃんときちんとしなければ、やはり研究者だけのプログラムになりかねないと。やはり研究者以外の海洋利害関係者と一緒に仕事を進めていくことをどうするのかが、本当は国連海洋科学の10年の一つの眼目だと思っていますので、そういった部分をどういうふうに強化していくのかというのは、できれば日本が考えて行動していければいいかなとは、今の段階では思っています。
【道田主査】  ありがとうございます。実施計画ドラフトのテキスト自体に何かこの段階から盛り込むことはなかなかできないのかもしれないですが、実際に動かしていくときに、今おっしゃったようなポイントについて、日本なりの活動をベースに、それを基に何かこういうやり方がうまくいきますよというようなことが、日本として発信できればいいのかなと思ってお聞きしました。
 最近のキーワードの一つで、バリューチェーンを回すと。ではどうするのかという話がすぐ出てくるのです。そこら辺についても、概念的なことを例えばIOCの事務局とかに言うことも大事なのですけれども、それと同時に、実際に具体的なプロジェクト等で回してみて、その結果をもってIOCにインプットするなんていうのがいいのではないかと、個人的には思っております。
 それから、先ほど脇田委員の御質問に関連する話でちょっと抜けたかなと思ったのは、評価をどうするのかという話がありましたね。国内の話もありますけれども、国際的な評価、今テキストをすぐ見る時間がないのですけれども、安藤さん、何か評価のことについて書いてありましたでしょうか。
【安藤委員】  評価もそれほどちゃんと書いていないです。ただやりますという感じではあります。
 ただ、何といいますか、評価の範囲に関しては書いてあったと思います。二つほど。こういう形で評価するんだという感じだったと思いますが、ちょっと今すぐに出てこないです。
【道田主査】  すみません、私もそれを読んだけれども、ちょっと具体にはぱっとすぐに出ないですが、国際的な場でも、脇田委員がおっしゃったことは当然議論になるポイントの一つだと思いますので、我々としても、日本としてその活動のやり方等に関して的確な意見が表明できればいいかなと思います。
 そのほかのポイントは何かございますでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  齊藤委員、お願いします。
【齊藤委員】  東京大学の齊藤です。
 先ほどの脇田委員それから安藤委員のコメントに関係していることですけれども。この新しいドラフトにおいて、7つ目のアウトカムとして心揺さぶる魅力的な海が入ったのですけれども、これは非常に科学をソリューションにつなげるという意味で大事なものだと思うのですけれども、これは突然入った感じがするのですが、この経緯をどなたか御存じであればというのと、この実施に関して何か議論があったのであれば、御存じの方がいれば教えていただけないかということです。
【道田主査】  ありがとうございます。どなたか、今のポイントについて情報をお持ちですか。安藤さん、何か御存じですか。
【安藤委員】  安藤です。関連しているかどうか分からないのですが、7月のインフォメーションセッションで、たしかIOCの担当の方がリテラシーの説明をしたのですが、自らリテラシーは弱いということをはっきりおっしゃっていたと思います。多分そこら辺のことがあって、その後加わったのではないかと勝手に想像はしています。
【道田主査】  道田です。私は7つ目ができた経緯は詳しく承知しているわけではないのですけれども、旧6番目が、万人に開かれ誰もが平等に利用できる海といって、そもそもよく分からないねという話がくすぶっていたんです。去年の北太平洋地域計画会合が東京であったときも、この点についてはアメリカのスクリップス海洋研究所のマーガレット・ライネン所長と私も入って議論をしたのですけれども、海の情報に皆さんがアクセスできるようにしましょうと。文脈としてはここにデータ、情報がありますよと言っているだけでは使える人が限られると。なので、リテラシーとかいうレベルも含めてですけれども、誰でも使えるようにすると。そのためには使う能力を開発することも含めてやるのだというのが旧6番目の目標だったのです。
 そうすると、あまりにも多岐にわたっていて、逆にその焦点が絞り切れない。何となく趣旨は分かるのだけれども、抽象的な議論に終始しがちになるので、そこの反省に立って、多分EPG(運営企画委員会)とかで議論されて、二つに分けたんだと思うんです。恐らくそれより上の5つは変わっていないですから、6つ目が二つに分かれたということで、趣旨はアクセス可能にして、情報をちゃんと使えるようにしましょうという話と、一般市民も巻き込んでリテラシーを向上させましょうという話は少し分けて、実際にその活動を分けてやったほうがうまくいくと、そういうことなのではないかと私は理解をしています。
 よろしいですか。そのほか何かありますでしょうか。
 いきなり振って申し訳ないのですけれども、須賀委員がいらっしゃるので。GOOS(全球海洋観測システム)の立ち位置、要するにGOOSって大きなパッケージとして国連海洋科学の10年の大きな貢献の一つだと思うのですけれども、GOOSのグループは国連海洋科学の10年に対してどういう対応を取ろうとしているのか、もし情報をお持ちであれば共有していただけるといいのですが。
【須賀委員】  ありがとうございます。東北大学の須賀です。
 GOOSはこの国連海洋科学の10年にどういうふうに対応しようかということをウェブ会議で数回にわたって議論して、まだ決着はついていないのですが、議論しているところです。海洋観測ということで海の情報を得るという一番基礎になるものをやるので、国連海洋科学にとっては非常に重要なことをやっているのは間違いないのですが、GOOSが国連海洋科学の10年にどうかかわるかについては幾つかアイデアがあって、GOOSというプログラム全体を国連海洋科学の10年のプログラムステータスでやるという考えが一つ。
 もう一つは、GOOSがやっていることの全てが必ずしも国連海洋科学の10年のフォーカスしている目的に一致しているわけではない面もあるので、GOOSの活動のうち、ある部分を、それは一つかもしれないし二つかもしれない、三つかもしれませんが、それを国連海洋科学のプログラムにしようと。だからサブGOOSですね。GOOSのうちのある活動をプログラムにしようとか、位置づけようという考え方。
 三つ目が、GOOSにはいろいろな例えば観測ネットワーク、例えば私が関わっているArgo(アルゴ)なんていうのがありますけれども、Argoの拡張を国連海洋科学の10年のプログラムとしてやるというアイデアもあるのですけれども、例えばそういうことを考えたときに、それを支援していくということをやりましょう、あるいは国連海洋科学の10年のプログラムにするのだったらこういうことをしたほうがいいよみたいなアドバイスをしたりとか、そういう役割をしましょうという、それが三つ目の位置づけです。
 どれが良いかという議論をしたのですが、1番目、GOOS全体を国連海洋科学の10年のプログラムとするのはちょっとないだろうという辺りのコンセンサスは得られて、2番目と3番目の組み合わせではないかと。GOOSも今、改革をしようとしていて、GOOS自体を変えようとしているのですが、よりエンドユーザーとの関係を重視して、あるいは今まで海洋観測にあまり関心のなかったようなステークホルダーを巻き込んでとか、そういうところを考えているのですけれども、そういう新しいGOOSを作っていくところの部分を何らかの形で国連海洋科学の10年のプログラムにしようと。それから、GOOSの下でやっているいろいろな海洋観測のネットワークやその他の活動の中から、プログラムであるとか、あるいはプロジェクトのステータスを得ようとしているグループにアドバイスしたり、支援したりすると。多分その二つのことをやるようなことになるのではないかと。
 今までの議論ではそういうことになって、まだ確定ではなくて、先月ぐらいに実施された会議の後、事務局が引き取って、恐らくもう一回会議かあるいはメールベースでの議論があるかなと思うのですが。そんなところです。
【道田主査】  ありがとうございます。よく分かりました。
 私の個人的な感想と意見ですけれども、妥当な議論だと思うのです。というのは、GOOS全体が一つのプログラム、国連海洋科学の10年のためのプログラムと位置づけると、ではどこをこの国連海洋科学の10年をきっかけにテコ入れするのかというのがぼけてしまいますよね。そういうことではなくて、国連海洋科学の10年の目標に特にフォーカスしているようなところについて、これをいいきっかけにして強化するためには、少し分けたほうが理解されやすいですよね。全体で頑張りますといっても、「いやそれは」ということになりかねないので、そこら辺の戦略を踏まえると、妥当な議論がされているのかなと感想としては思いました。ありがとうございます。
【須賀委員】  補足すると、GOOSも昨年、GOOS戦略2030を出しましたけれども、このGOOSというのはIOCがリードするプログラムとしてのGOOSではなくて、一般名詞のGlobal Ocean Observing System Strategyというものを打ち出したんですね。その意図は、今はGOOSの枠組みに入っていないようなところも含めて開拓していこうということなので、そういう活動です。その活動を国連海洋科学の10年のプログラムと位置づけたほうがいいだろうと。そうしないと出口はどうなる、10年後にGOOSはどうなるのという話にもなってしまいますし、GOOSで定常的に回している仕事もいっぱいありますので、そこは切り分けていこうということです。道田先生がおっしゃったとおりの考え方だと思います。
【道田主査】  ありがとうございます。新しく入った田口統括官もいらっしゃるので、GOOSに若干補足したほうがいいかなと思って。30年ぐらい前からIOCが主導して、ほかの関係機関、WMOとかそういったところを含めてですけれども、Global Ocean Observing Systemといって、世界の海洋観測網を充実させるというのをずっと連綿とやってきていて、その中に、お聞き及びかもしれませんけれども、アルゴフロートとかが入っているのですね。それは基盤の観測網ですので、国連海洋科学の10年のどの目的を見ても、観測網があることが大事ということ、そういう文脈で考えると、GOOSをいかに推進するかということも国連海洋科学の10年の成功にとっては極めて大事だと。そういうことで、今、須賀先生にちょっと急に振ったのですけれども、GOOSはどうお考えかというのはそういう趣旨での議論をさせていただいたということです。
 そのほか何かございますか。先生方。
【植村国際統括官補佐】  安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  すみません、度々。須賀さんに質問とコメントです。コメントは、国連海洋科学の10年の目的というところがGOOSのFOO(海洋観測の枠組み)をベースに構築されています。それが一つのコメントです。ですので結構GOOSとは親和性があるかなと思っています。
 質問は、ガバナンスのセクションがあるのですけれども、GOOSでは何かどこかのガバナンスの役割をしようという考えはありましたか。
【須賀委員】  須賀です。コメント、ありがとうございます。
 そうですね、GOOSのFOO、Framework for Ocean Observing(海洋観測の枠組み)、これはGOOSのというより、むしろOceanObs’09の後のタスクチーム、升本委員がメンバーでしたけれども、そこで出てきたFOOというアイデアをGOOSは丸のみしてというか、それを引き取ってGOOSを改革しつつあるというのが今の状況です。ですからFOOは多分、GOOSよりももっと高次の概念だと思います。
 この国連海洋科学の10年もそういう概念の下に回していこうということですよね。社会的な課題があって、それを考えるためのサイエンスの課題に落とし込んで、それを解決するためにどんな観測が必要と考えて観測網を作って、そこから出てくるデータをプロダクトに変えて、それを科学的課題に使って、社会的課題の解決にもつなげていくというふうにして回していこうということなので、多分その考え方自体はこの国連海洋科学の10年全体と関係するようなものになっていると思います。GOOSもそれに沿った形に組織を変えてきたところだということです。
 そんなこんなもあって、GOOS全体がプログラムになるの?というアイデアも出てきたのは、そういう背景があると思います。ただ、先ほど言ったような事情で、GOOS全体ということではなくということになったということです。
 それからガバナンスの点ですが、このUN Decadeの中でGOOSがどんな役割を果たすかということに対して、今、実施計画の中の国連海洋科学の10年のガバナンスというものとの関わりのことに関しては、まだ議論はないです。直接の議論はありません。まだよく分かっていないのですね。私も運営委員ですけれども、GOOSの運営委員の中でも、この国連海洋科学の10年の全貌というか、どういう形で実際に動くかというのがよく分かっていないし、だからこそGOOSはどういうふうに関わりましょうかなんていう議論をしているぐらいなので。ですから今後、国連海洋科学の10年の動かし方といいますか回し方がどんどん決まっていく中で、GOOSは国連海洋科学の10年のガバナンスに何らかの役割を果たしていく可能性は十分にあるとは思っています。ただ、まだ具体的な議論はされていません。
【道田主査】  ありがとうございます。安藤委員、よろしいですか。
【安藤委員】  ありがとうございました。
【道田主査】  ありがとうございます。そのほか何かございますか。
【植村国際統括官補佐】  升本委員、お願いします。
【升本委員】  東京大学の升本です。よろしくお願いします。
 今、実は安藤委員からあったコメント、私も関連することを言おうかと思っていたのですけれども。そのGOOS自体がFOOを取り込んでうまく変革した経緯があって、このFOOは今、須賀委員に非常に詳しく解説していただいたように、観測のデータが入ってくるところからステークホルダーへの流れと、そこでの先ほど安藤委員がおっしゃったバリューチェーンをきちんと確立して、社会問題を解決するというのを目指すシステムを作ろうというところなのですけれども。
 やはり一番大事なのは、一般社会というのですか、そことの関わりを持った後に、もう一度やはり観測網のところに情報を戻す、フィードバックをかけるところが非常に大事なポイントになっているのです。これは多分この国連海洋科学の10年も全く同じ構造で、バリューチェーンの流れの入り口と出口があって、その出口からまた入り口の方にフィードバックさせるのが非常に大事で、これをやはりきちんと考えておかないといけないかなというところが非常に気になるところでもあります。
 やはりそういうことを通して、海洋科学全体をどう我々が考えていくかというところもきちんと、今後10年あるいはもっと先までかもしれないですけれども、そういうところを考えていく必要があるのかなというのが、この海洋科学の10年をきっかけとする動きになるべきかなというのが私の感想です。
【道田主査】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。両方ですよね。私らは海洋研究者なのですけれども、そちらも、社会問題を解決した結果、では次のステップはどういう研究なり観測があるべきなのかというようなことも当然視野に入れるべきポイントだと思います。
 そのほか何かありますか。
【植村国際統括官補佐】  須賀委員、お願いします。
【須賀委員】  ありがとうございます。
 今の升本委員のお話、大変そこは全くそのとおりだと思います。先ほど来の議論の時にどこかで何か発言させていただこうと思っていたことを、今、升本委員のお話を聞きながら考えていたのですけれども。我々海洋観測をやっている、サイエンスをやっている者からすると、それをアウトプットといいますか、研究のアウトプット、それが何かに使われるというので、出すところはやっているけれども、それが実際にその課題にどう役に立って、あるいはどう役に立たない、何が不足だとか、そういうフィードバックというのがやはり研究者主導ではなかなかうまく回らないところですよね。だから、そこをこの国連海洋科学の10年はうまくやる仕組みをこれを機会に作れるといいなというのがあると思います。
 実は私は、例の北太平洋地域計画会合をやった次の週にGOOSのGRA(リージョナルアライアンス)のフォーラムをホストしました。各地にGOOSの地域連合、アライアンスがありまして、日本はNEAR-GOOS(北東アジア全球海洋システム)というアライアンスに入っていますけれども、その各地のアライアンス、10ぐらいあると思うんですが、その代表が集まる2年に1回の会議を東京でやったんです。それでいろいろ聞いていると、ヨーロッパのGOOS地域アライアンスであるEuroGOOSがその辺りのことを非常によく考えたいろいろな取組をしているとの報告がありました。そう考えてみると、EUはHorizon 2020でしたか、やはりEUのプロジェクトで、プロジェクトの中の一つにAtlantOSという、大西洋でFOO、海洋観測の枠組みを実質化していきましょうという取組を5年にわたってやっていたんです。
 その流れでユーザーコミュニティーというか、社会が必要としている情報は何かということのフィードバックをもらうような仕組みを作る、完全にはできてないと思うのですけれども、そういうものを作ろうとしているような動きがありまして。データセンターがデータセットを作って、それをプロダクトにして、そのプロダクトを作るときにはユーザー、例えば漁師、漁業界だとか、そういうそれぞれのいろいろなコミュニティーごとの要望を聞いた上でプロダクトを作って、さらに出ていったプロダクトに対するフィードバックももらうみたいな、そういうことをやっているんですね。それはFOOを意識してそういうことを、省庁横断型ですし、民間も巻き込んだ形でそういうことをやろうという動きがあったと。非常にそれは勉強になりました。で、そういうことを、この国連海洋科学の10年でそういう仕組みを作る際には、多分地域によって違いがあるはずなのです。
 概念としてはEUのやり方はいいけれども、同じものをそのまま日本では多分できないので、日本なりのやり方を作らなければいけない。本当に日本の人が役に立つと思うものを作らなければいけないわけです。それをやるのが日本の国内のアクティビティーとしては多分非常に重要で、それをグッドプラクティスとして世界に発信していくことができるといいのかなと思いました。
【道田主査】  ありがとうございます。今の話はちょっと前に安藤さんが言われた、まさにバリューチェーンを回すという話そのものですよね。是非そういうふうに進めるといいなと。その時には何か具体的なものが要りますね。バリューチェーンを回すと言うだけでは回らないので。社会的アウトプット、アウトカム、こういうものがあって、そこのバリューチェーンを回すとこんなことができますとか、そういうふうなものが幾つかあると盛り上がっていいのかなと思います。で、日本の社会もだんだんよくなっていくという方向に行けるといいなと思います。
 そのほか何かございますか。
 先ほど、資料の御説明の中で文科省としての取組というので、ユネスコスクールを介したグッドプラクティスの募集がありましたよね。大変結構なことだと思うのです。我々は頑張ってやっているつもりですけれども、須賀さんもそうですけれども、海洋教育とかも頑張っているつもりですけれども、やはり遠いですよね。海の研究をしている人たちあるいは海の活動をしている人たちと、一般の人たちあるいは学校というのはどうしても遠いので、何かそこを突き崩せると国内的なビジビリティーが、国民のレベルでのビジビリティーが上がって、国連海洋科学の10年の7番目の目標にも合致するし、あるいは日本全体としての海洋の活動・研究に限らないかもしれないけれども、それが国民の目線の中でうまく動くようになるのが理想形なので。
そういった観点からすると、学校、ユネスコスクールもそうですけれども、先ほど御紹介いただいたような活動、イベントも含めてですけれども、海のビジビリティーを国民レベルで上げる、これは海洋基本計画にも書いてあるのです。海洋基本計画に書いてあるのですけれども、なかなかこれっていう感じのものがなく、もちろん頑張ってはいて、徐々には浸透してきているのでしょうけれども、せっかく10年、ある意味一種の国連レベルのキャンペーンですので、これをいいきっかけに、国民の中で海のビジビリティーが上がるといいなと思うので、そういうこともやれるといいなと思いました。
 そのほか何かございますか。
【植村国際統括官補佐】  升本委員、お願いします。
【升本委員】  ありがとうございます。東京大学の升本です。
 今のことに関して、やはり文科省を通じた教育機関との連携は非常に大事なポイントだと思うのですけれども、もう一つはやはり、先ほど脇田委員がおっしゃっていたメディア戦略ですね。一般を巻き込むのにやはり効果的なのはメディアをどう使うかというところもあると思うので、そこをきちんと考える必要はあるかと思います。
 あと、文科省の方がいらっしゃるので、ちょっとこういう生々しい話がいいのかどうか分からないですけれども、やはりこういうアクティビティーをするときのサポートというのですか、資金的なことも含めていろいろなサポートが今後日本の中でどうなるかということもある程度見えないと、動くに動けないところもあるかと思うので、そういうところも御配慮いただければとは思います。
【道田主査】  ありがとうございます。
【田口国際統括官】  田口ですけれども、発言よろしいでしょうか。
【道田主査】  どうぞ。
【田口国際統括官】  今のお話も含めてですけれども、まず学校でという話が出ましたが、これは冒頭申し上げましたように、来年が我が国のユネスコ加盟70周年になっておりまして、そこで全国のユネスコスクールを巻き込んだ何かイベントをやれないかということを検討しております。それの一つの要素として、70周年と同時に国連海洋科学の10年という話を出して、そこで海のビジビリティーみたいなものをどういうふうに打ち出せるかという話がございます。
 それから広報戦略も含めてというのは、まさに道田先生から御紹介いただいた研究会で、この間角南先生とちょっと議論した際も、そこのところが一番大切だよねと。だからこそ民間も巻き込んで多面的なアプローチをしていきましょうねという話をしています。
 最後の、お金の話についてはなるべく頑張ります。
【道田主査】  ありがとうございます。無理しておっしゃらなくてもいいですけれども、ありがとうございます。
 先ほどの議論でもう一点細かいところであるのは、国連海洋科学の10年のキーワードの一つがいかに若者を巻き込むか、ユースというのがキーワードの一つなのです。それでアーリーキャリアフォーラムでしたか、国連海洋科学の10年の準備段階でもそういうものがあるのですけれども、なかなか日本からその場面に打ち出せる人材がそんなにたくさん育っていないということもあるので、私らも間もなくリタイアする人間ですけれども、10年後に中核となって担うような人たちを今から育てると。それのいいきっかけでもあるのです。そういうふうに使えるといいなと思っておりまして。ではどうユースを巻き込むかという話ですけれども、ありていに言うと、大きなプロジェクトがあるとやはり育つのです。それは事実です。ですので、そういったことを片や考えると同時に、かつ地道に若い世代に向けての情報発信を継続するということかなと思います。
 ヨーロッパで去年か一昨年か、海洋空間計画のワークショップに出て驚いたのですけれども、海洋空間計画というのは海を上手に管理して、うまく使っていこうというもの。そのために海洋科学なり生態系の情報なりをベースにして、環境を保全しつつうまく使っていこうと、こういう話なのです。ヨーロッパのそのフォーラムに来た半数は30代以下ですよ。もうびっくりしました。ヨーロッパは海洋空間計画に関する国際プロジェクトをやはり走らせているんですよね。そうすると、海洋空間計画をしようとすると、自然科学だけでなくて社会科学、あるいは法律、経済、こういったことも含めての話になるので、おのずと学際的な研究が進んで、そういう人材が育っていくと。そういうぽんときっかけになるような活動が1個2個できるといいなと思っておりますので、今すぐどうこうということではないのですけれども、文科省の方も少し頭の隅に入れておいていただけると、道田がああいうことを言っていたなと思っていただけると、どこかで役に立つかもしれません。
【田口国際統括官】  ありがとうございます。
【道田主査】  そのほか何かございますか。
【古谷委員】  よろしいでしょうか。創価大学の古谷です。
 今、国連海洋科学の10年ということで、例えばユースも含めた幅広いという話があったんですけれども、例えばマリンレジャーなんていうのはものすごく人々が海に対する親近感を持つチャネルなのですね。そういう議論ができる人が例えば少なくともここにいるとかね。研究者でもある分野に固まった人たちがこの議論をしていても、何か不得意な話をしているようにしか僕には聞こえないです。やはり研究者は自分のテーマを特定して決めて、それをがーっと深掘りしていくのが言ってみれば習い性となっているわけですから、横方向にいろいろ見渡して、「こういうのもいいし、ああいうのもいいのでは」というような多分違うバックグラウンドを持った人がいいと思うのです。ですから例えば今回国連海洋科学の10年について、まだこれからの取組を考えるのだったら、少なくともそういう人をオブザーバーで入れてみようとか、そういうような会議の運営が僕は大事ではないかと思います。
 特に先ほども議論に出ていたのですけれども、初等教育も大事ですよね。例えば僕の知っている限りだと、海洋アライアンスなんかで海洋教育のいろいろなトライアルをやってきたわけだけれども、いわゆる初等教育の分厚い壁に阻まれて、全然小中学生が海を知ることがなかなか教育課程に入っていかないわけです。ここをどうぶち破るかみたいな議論は、まさにこの文科省の中でのこの委員会の最も得意とするところになっていいのではないかと私は思いながら聞いていました。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。恐らく後半のところについては文科省の方から御発言があるかもしれないですけれども、来年から海のことが指導要領に入りますので、それに向けて東京大学の海洋教育センターのグループも今、盛んにその教材の整備とかを進めているところです。去年の北太平洋地域計画会合にも海洋教育関係の人にも広く声をかけて、具体には及川先生とかにも来ていただいて議論させていただいたところですので、御指摘の点はよく分かりましたので、そういうことも含めて推進できればいいなと私は思います。
 レジャーのことも極めて大事、そのとおりです。このIOCの分科会になじむかどうかは別ですけれども、少なくとも国連海洋科学の10年の推進の何か体制ができるときには、今おっしゃったような観点のステークホルダーに是非入っていただいて、違った観点の議論もできればと。そういう場を作れればいいかなと思ってお聞きしました。ありがとうございます。
【田口国際統括官】  田口でございます。
 古谷先生の最後の分厚い壁の話でございますが、私の認識は、これはあくまでも個人的な認識ということで聞いていただきたいのですが、初等中等教育で海の話もそうですけれども、ほかにもこういうものを入れてくれという話が無象にございます。金融であるとか税制であるとか、それぞれ、我々、関係省庁と協力しながら、例えば副読本を作ったり、あるいは現場の自主的な取組を応援できるようなプログラムを作ったりとか、そういうことはしてございますが、なかなかトップダウンでこれを皆さんやりなさいみたいな形で、今の学習指導要領に書かれているもの以外のものを現場に押しつけるのは非常に難しいというのが壁の実態なのだと思います。
 解決策はというと、結局、現場主義というのですか、現場でそれぞれ工夫して子供のためにやる部分、そこについてうまく海が入っていけるかという話と、それから恐らくこのユネスコという場では少し特別な舞台としてユネスコスクールがございますので、これをどういうふうに活用できるのかということになろうかと思います。もちろん、古谷先生がおっしゃるように、文科省からこれをやれと言ってみんなにやってもらうのが一番簡単なのかもしれませんけれども、逆にそれは学習指導要領の中にどう書くかという話はあるにしても、今、本当に社会が複雑化していますから、いろいろな要素がある中でそれだけを入れていくのは難しいということだと認識しております。
【古谷委員】  今の点に関してよろしいでしょうか。今、御説明いただいたことを、私はよく承知しています。それで、いろいろな分野がそれぞれに、いわゆる子供たちの学習時間の何%をもらうかという議論になってしまっているわけです。極論すると、例えば入試に入ることがもうゴールだと考えている分野もあるわけです。やはりそうなのですけれども、そういったいわゆる教育体系をどう構築するかという中で、海洋研究者にはこういう貢献をしてほしいというようなところがアドバイスでもいいからいただけるようになると、それは我々としても、ある程度みんなで協力していく新たな方向性が定まるのかなとも思いますので、そういったところはアドバイスいただければ大変これからありがたいと思います。どうもありがとうございました。
【田口国際統括官】  こちらこそどうもありがとうございます。
【道田主査】  ありがとうございます。事実関係だけ確認しておきますけれども、新しい学習指導要領には、十分かどうかは別ですけれども、海が入っていますので、海洋教育に携わっている人たちにとって、来年は画期的な年ですね。海洋教育が学習指導要領にも盛り込まれていると。私の認識はそういうことですので、正確な文言とかはよく承知しておりませんけれども、そういった状況にはなってきていると御理解いただければいいかなと思います。
 そのほか何か。
【植村国際統括官補佐】  神田委員、お願いします。
【道田主査】  どうぞ、神田さん。
【神田委員】  お話を伺いながら、きっかけとか傘の話だろうと考えておりました。傘というのはお話に出たかどうか分かりませんが。国連海洋科学の10年をきっかけにして、今までそれぞれの教育機関、研究機関、あるいは研究者個人が取り組んできたことを、ある一つの方向性にまとめて高めていく、あるいは良いチャンスとして生かして、海洋に関する日本国内全体の動きを盛り上げていく、それで社会にアピールしていくというような話だろうなと思って聞いていました。
 その上で、研究者個人として、あるいは例えば研究者が集まる学会として何ができるかを考えなくてはいけない状況になるわけですが、自分たちの取組の中で、この国連海洋科学の10年をどうやって役立てていくことができるか、あるいは貢献していくことができるのかについて、ガイダンスあるいはガイドライン的なものがどこかで提示できると、いろいろな人が参加しやすくなるのではないかなと思いました。
 それを提供するための努力をする場あるいは主体がどこなのかという問題はもちろんありますし、参加側としてどういう情報が有り難いかについては、私自身も十分にまとまったものが見えているわけではないのですけれども、是非そういう議論ができればいいなと思ったところです。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。道田でございます。今のポイント、私の理解だと、実際に取組をやっている方々の活動を踏まえて、それをベースにガイドラインとかガイダンスとかそういうものができるといいと、そういうことかなと思ってお聞きしました。 そのほか何かございますか。特にここまで御発言のない先生方で何かもしあればお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  大林委員、お願いします。
【大林委員】  気象庁、大林でございます。
 気象庁も海関係の仕事を持っておりまして、どのように国連海洋科学の10年に貢献していくかということを考えてきているわけですけれども。今日、後ほどお話ししますが、やはり気象庁としては第一に海の安全ですね、安全な海というところがメインの目的だろうということで、来年は東北の大津波から10年ということもありまして、津波関係のワークショップをできれば仙台で開きたいということで計画しているところでございます。これについては後ほど説明させていただきたいと思います。
 そのほか、海洋の観測ですとか海洋の研究についても取り組んでいるところですけれども、これまでの議論にありましたように、どうやってそれを一般に訴えて、国際的に認定されるようにしていくかというところは、私どもも悩んでいるところでございまして、そういったことについても各機関、委員の御指導を受けながら進めていきたいと思っております。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 そのほかいかがでしょうか。
【中田委員】  中田ですけれども、よろしいですか。先ほどもバリューチェーンの入り口・出口というお話がありましたけれども、出口に近い水産というところで、特に最近はいろいろな魚が捕れなくなっているということで、海の情報をみんなで取って、なぜ捕れなくなっているかということをしっかり伝えていくという動きが水産の中では非常に重要になっています。
そういった中で、漁業者を含んだ観測を広く広げていこうという動きを今、しているところです。そういう中でも、皆さんの議論の結果とかを分かりやすい形で伝えて、その動きを広げていくように活動していきたいと思っております。
 以上です。
【道田主査】  ありがとうございます。漁業者は極めて大事なステークホルダーで、かつ海をよく知っていらっしゃるので、そういった方々にも例えば観測にも入っていただくとか、そういうのもありかなという気がします。ありがとうございました。
 そのほか何かございますか。
【植村国際統括官補佐】  時間になりましたので、西村委員、最後に何かございますでしょうか。
【西村委員】  私、この議論自体が初めてで不慣れなもので的外れであったら申し訳ありません。様々なステークホルダーや省庁がそれぞれの活動計画に取り組まれる際、そのバックグラウンドとなる自然科学上の学術情報を得たいときに、それぞれ個別にアクセス可能な研究者なり機関なりにアプローチしておられると思うのですけれども、似たような観測データが求められたりとか、内容上重複する調査が行われるようなことがないのかしらと素人的に思いまして、調整やデータ共有を効率よくできる仕組みがあるとよいのではないかと感じました。
【道田主査】  ありがとうございます。道田でございます。正しくコメントの趣旨を理解できているかは別ですが、例えば海洋観測のやり方の調整とかいったことは例えば主要な3官庁の間で調整する場があるとか、そういったことはあるので、研究とかその成果の利用の面でも、今おっしゃったようなポイントについて何か交通整理をするような場が本当はできるといいなという気はいたしました。ありがとうございました。
 今回、この議論は何かここで決めるという話ではありませんので、このぐらいでよろしければ次の議題に進めてまいりたいと思います。間もなく国連海洋科学の10年が始まりますよね。これから今年の後半に向けて国連総会レベルの決定とかそういうことになっていきますので、先生方におかれては、大事な10年が始まるのだということを前に、是非積極的に関与していただいて、よりよい国連海洋科学の10年の実施に向けて、私も含めてですけれども、進めてまいれればいいなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、続いて議題3です。先ほど大林部長から若干御発言にもありましたけれども、太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ(ICG/PTWS)の第29回の会合に関することにつきまして、気象庁から御説明をお願いいたします。
【気象庁(西前)】  気象庁地震火山部、西前と申します。
 それでは資料3、89ページにのっとって、太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ第29回会合・国際津波ワークショップについて御報告させていただきます。
 まず、この太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ、英語の略称でICG/PTWSでございますが、これは昭和35年のチリ地震津波の被害を契機に、太平洋域における津波警戒体制を強化するための国際協力組織としてユネスコIOCの下に設立されたものです。現在、太平洋沿岸、日本を含めて46か国・地域が加盟しています。
 この会合は2年に1回開催されて、気象庁もこの会合において、日本の津波防災に関しての豊富な知見とか経験を有していますから、それらを共有して、加盟国の津波被害軽減に貢献しているということでございます。
 ICG/PTWS第29回会合を日本で開催する経緯でございますが、先ほど大林からもありましたように、2年に1度開催されておりまして、次の29回会合の開催予定が2021年となっております。ちょうどこの年が東北地方太平洋沖地震から10年の節目でありまして、この10年間の津波防災のレビューとか今後の進展を考える上で、日本で会合を開催するのがふさわしいと我々気象庁では考えまして、前回会合において我が国の開催を立候補して了承された次第です。
 開催概要ですが、この会合に先立って、津波災害軽減に向けてのワークショップを同じ時期に開催して、今後の10年における太平洋地域での津波被害軽減の展望について議論したいと考えています。もうちょっと詳細なところは91ページにございますので、そちらを御覧ください。日程は3月13日の土曜日から18日の6日間、ワークショップは1日半で、被災地の視察も計画しております。15日から18日まではPTWSのオープニングとこの会合でございます。場所は先ほど大林から紹介がありましたように仙台市で、会場は、東北大学と仙台国際センターを予定しています。
 内容については現在まだ検討中ではございますが、13、14日に行う津波災害軽減に向けての国際津波ワークショップでは、東北地方太平洋沖地震から10年間の世界の津波観測技術や津波予測技術を振り返り、今後どうあるべきかについて議論したいと考えています。このワークショップの成果については、ICG/PTWSの第29回会合、別添2のところに今考えている暫定議題をつけてございますが、その中で、先ほどから議論になっています国連海洋科学の10年のセッションをちょうどPTWSとしても安全な海として議論がされているところでありますから、この議論につなげていきたいと考えているところでございます。
 ただ、現下の新型コロナウイルスの状況を鑑みて、来年3月の状況が見通せないところではありますが、対策にも留意しつつ、今のところ開催する方向でIOCとは意見調整を進めているところです。
 気象庁から御報告は以上です。
 追加で、道田先生のところには先日というか、もう大分前ですが御挨拶に伺いまして、来賓としての挨拶に立っていただけるということで御了解いただいていることを付け加えさせていただきます。
 私からは以上です。
【道田主査】  御説明ありがとうございました。ということで、対面で開けるかどうかは新型コロナ次第ではありますけれども。今の御説明に対して何か御意見あるいは御質問はございますでしょうか。ある場合は挙手をお願いいたします。
 よろしいですか。それでは新型コロナの状況を見つつ準備をしていただくということかなと思いますので、関係される方がもしいらっしゃるようでしたら、是非御協力をお願いしたいと私から申し上げておきます。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは次の議題4です。「日本ユネスコ国内委員会の機動的・効果的な運営について」でございますが、この議題については、冒頭お話を申し上げましたとおり非公開とさせていただきますので、恐縮ですが取材の方及びオブザーバー機関の方々はこの段階で御退席をお願いしたいと思います。
(傍聴者等退席)

<議題4 日本ユネスコ国内委員会の機動的・効果的な運営について>
今後の日本ユネスコ国内委員会の機動的・効果的な運営について、委員からの御意見をいただいた。(本件については9月に開催される総会において審議予定。)

<議題5 その他>
【道田主査】  それでは議題5「その他」でございますが、事務局から何か御用意いただいているものがあるでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  特段ございません。
【道田主査】  ありがとうございます。ということで、オンラインの開催ではありましたけれども、用意してあった議題は以上で終了ということでございます。せっかくの機会ですので、この機会に何か特に御報告、議論するべき案件が委員の先生方からございますでしょうか。大丈夫そうですか。
ありがとうございました。
 特になければ、これで第70回のIOC分科会の会合を閉会とさせていただきます。本日はお忙しいところ御出席いただきまして、また事務局の皆様方は準備が大変だったと思いますけれども、スムーズに議論ができたかなと思いますので、感謝申し上げて終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

 

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