資料30-1 日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会IHP分科会第29回議事録

1.日時


平成26年6月4日(水曜日)10時00分~12時00分


2.場所


文部科学省 旧文部省庁舎5階 文化庁特別会議室


3.出席者


[委員]


寶馨(主査、国内委員)、黒田玲子(国内委員)、石坂丞二、沖大幹、風間ふたば、河村明、立川康人、谷口真人、辻村真貴、中山幹康、春山成子、堀智晴、鈴木篤、渡邉紹裕

[関係省庁]

内閣府、外務省、国土交通省、独立行政法人土木研究所関係官等

[文部科学省(事務局)]

加藤国際統括官、籾井国際統括官付国際戦略企画官、その他関係官


4.議事録


【児玉ユネスコ第三係長】
 それでは分科会開催に先立ちまして、事務局より御説明をさせていただきます。
 前回の分科会以降、2012年の分科会以降、日本ユネスコ国内委員会委員の新任、また再任がございまして、当分科会の国内委員にも異動がございました。国内委員による互選の結果、引き続き寶先生が主査に選出されております。
 それでは、寶主査、よろしくお願いいたします。
【寶主査】
 どうもありがとうございます。
 それでは、まず初めに、事務局の方から定足数の確認をお願いしたいと思います。
【児玉ユネスコ第三係長】
 分科会委員が、現在数15名に対しまして、本日は14名の出席をいただいております。黒田玲子先生におかれましては、20分ほど遅れられるということを聞いております。ですので、定足数である過半数に達しています。
【寶主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまより第29回IHP分科会を開会いたしたいと思います。
 日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続というものがございまして、本分科会は原則として公開ということにいたしております。ただし、座長が認める場合は非公開とすることができるとされておりまして、本日は、議題5でIHP政府間理事会の対処方針等について検討を行うという議題がございますので、公開規則第4項というものに基づきまして、公開することにより会議の公平かつ中立な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるということに相当するということでございますので、議題5以降については議事を非公開とさせていただきます。よろしゅうございますでしょうか。
 なお、本日、傍聴者の方が1名おられますけれども、議題5以降は御退室をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしく御了解ください。
 また、会議の報告書につきましては、これまでは議事要録でございましたけれども、今後、公開部分はより詳細な議事録となりますので、よろしくお願いします。「詳細な議事録」ということは、委員のお名前も出るということですか。
【児玉ユネスコ第三係長】
 はい、そうです。
【寶主査】
 それでは、主査を拝命いたしましたけれども、主査代理というものもあらかじめ決めておく必要があります。主査に事故があった場合に主査代理が必要であるということで、これもユネスコ国内委員会の委員からということですので、東京大学の植松先生に主査代理をお願いしたいと思っています。今日は、植松先生は御欠席ですけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局の方から配付資料の確認をお願いできますでしょうか。


事務局より資料について説明。


【寶主査】
 ありがとうございました。
 資料は大体そろっていますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、まず前回会議の議事要録(案)、資料29-1を配付しているところですけれども、これは要録でございまして、まず前回、2年前ですね。この国内委員会の自然科学小委員会の中にIHP分科会があるわけですけれども、この分科会は、主として政府間理事会の直前に対処方針を議論するということが、これまで主な開催の目的になっておりまして、前回は24年の5月7日ということでございました。それ以前も、2年前、平成22年に開催したわけですけれども、2年間の活動報告等をしていただいて、それから、裏面の2のところにIHP政府間理事会の対処方針ということで簡単に記載されておりますけれども、非公開でしたものですから、このようになっているということでございます。もしお気付きの点がありましたら、本日から1週間以内に、事務局の方に記載の誤りや、重要な事項がありましたら御連絡いただきたいと思います。
 今日は2時間しか時間がありませんから、この辺りはこういうことで読み上げを省略させていただきます。
 それでは、前回会議以降の活動の報告ということで、事務局の方からお願いできますでしょうか。
【野田ユネスコ協力官】
 資料29-2を御覧いただきたいと思います。まず報告事項といたしまして、1.国際会議等でございますが、IHP政府間理事会理事国選挙が昨年11月の第37回ユネスコ総会において行われておりまして、我が国は最多の150票を得まして引き続き理事国として再任されております。
 それから(2)第20回国際水文学計画(IHP)政府間理事会。これは、2年前の6月に開催されております。第8期のIHP戦略計画(2014-2021)などについて審議が行われております。我が国からは、寶主査をはじめとする方が御出席をされております。
 (3)でございますけれども、UNESCO Strategic and High-Level Meeting on Water Security and Cooperation、これは25年の9月にケニアのナイロビでユネスコが主催して行われたものでございまして、「アフリカにおける水協力と保障に関するハイレベル会議」というものが初日に行われました。これはICHARMの竹内センター長が基調講演を行われたということでございます。
 それから(4)は、IHPの東南アジア太平洋地域運営委員会という地域会合が、マレーシアのランカウイで平成24年の11月に開催されて、各国からの活動報告ですとか事業計画、第8期中期計画への取組などについて審議が行われました。
 それから、次のページにまいりまして、2.はICHARM関係でございますが、これは後ほど鈴木委員の方から御説明があるということでございますので、省略をさせていただきます。
 その次が、7ページからになりますけれども、その他の活動といたしまして簡単に御説明いたしますと、平成24年10月、日本学術会議のIAHSという国際水文科学協会関係の委員会と、このIHP分科会が主催をいたしましたオープンディスカッション会議が開かれております。また、第7回水フォーラムに向けた準備も進められておりますが、これも後ほど渡邉委員の方から御報告があるということでございます。(3)のIHPトレーニングコースにつきましても、後ほど詳細な説明がございます。
 また(4)といたしまして、UNESCO Chair プログラムということで、ユネスコ講座としてユネスコから承認を受けました「モンゴルにおける持続可能な地下水資源管理」の研修がモンゴルのウランバートルで開催されておりまして、筑波大学でありますとかモンゴル科学アカデミー等の共催で実施をされております。
 (5)の方はユネスコの北京事務所、それから筑波大学等の主催でございますけれども、International Workshop on Hydrologic Cycle and Water Resources in East Asiaというワークショップが開催されております。25年の3月ということでございます。
 それから、World Water Week 2012という会合、これもスウェーデンのストックホルムで24年の8月に開催されております。
 それから、国際灌漑排水会議、第1回世界灌漑フォーラム、これは25年の9月にトルコで開催されております。
 それから、国際原子力機関科学フォーラムということで、「水の諸相-原子力技術による差異の創出」というフォーラムが、平成23年の9月にウィーンで開催されております。
 それからUN-WATER、これは国連の水関連機関の調整委員会でございますかね、このUN-WATER主催によります2014年世界水の日記念式典が国連大学で平成25年3月に開かれております。3月22日というのが世界水の日ということに指定されておりまして、この会合には皇太子殿下からお言葉を賜りますとともに、国交大臣でありますとか外務大臣政務官、松浦前ユネスコ事務局長等が御参加されております。
 それから(10)といたしまして、河川流域におけるIWRMガイドライン運営委員会ということで、これは総合的水資源管理に関するガイドラインでございますけれども、この調整委員会が平成25年3月にインドネシアのジャカルタで開催されております。
 同じく、総合的水資源管理関係の研修コースについても、(11)に記載されております。
 また、総合水資源管理に関する教材の作成についても行われてございます。
 それから、第2回アジア・太平洋水サミットにおけるフォーカスエリアセッションというものも、平成25年5月、タイのチェンマイで開催されております。
 それから、世界水協力年ユネスコ記念出版物ということで、平成25年が国連の「国際水協力年」と決定されておりますことから、関連イベントの活動の一つとしてユネスコ記念出版物「Free Flow : Reaching Water Security through Cooperation」が刊行されております。IHP分科会の寶主査も論文を投稿されたということでございます。
 また、日本のIHP活動に関する情報につきましても、ホームページ等が整備されておるところでございます。
 説明といたしましては、以上でございます。
【寶主査】
 どうもありがとうございました。
 委員の先生方から補足説明等があればお願いしたいんですけれども、その前にICHARMの方の関係の御報告をさせていただきたいと思います。
 鈴木委員の方から、この2ページから始まりますICHARM関係の御報告を簡単にしていただけますでしょうか。
【鈴木委員】
 ICHARM関係について御報告させていただきます。
 2ページ目、一つ目がICHARMに関する日本政府とユネスコの協定の更新であります。25年の7月23日に、パリのユネスコ本部におきまして、木曽大使とイリーナユネスコ事務局長間で、ICHARMに関する日本政府とユネスコの新協定の署名が行われました。これに基づきまして、また今後6年間、ICHARMはユネスコのカテゴリー2センターとして活動することとなります。
 二つ目ですが、この協定に基づきまして、第1回のICHARMの運営理事会を平成26年2月25日に東京で開催しております。出席メンバーは下のとおりでございまして、土木研究所の理事長が議長となりまして、長期・中期のプログラム、それから活動計画が審査・採択されております。
 3番目、4番目はユネスコにおけるパキスタン洪水プロジェクト関係でございます。3番目で、平成22年にパキスタンで発生しました大規模な洪水被害に対し、我が国のパキスタン無償資金協力事業として、平成23年7月から「パキスタンにおける洪水予警報及び管理能力の戦略的強化」プロジェクトを開始しております。ICHARMは、ICHARMが開発いたしました総合洪水解析システム(IFAS)を現地で導入していく、人材育成も図っていくというようなことをしておりまして、平成25年の12月にはパキスタン気象局主催のワークショップ、それからユネスコ主催のプロジェクト委員会がラホールで開催されております。
 それから、平成26年1月、今年の1月にはパキスタン気象局の職員をICHARMに招へいいたしまして、研修も実施しております。
 4番目は、今のプロジェクト関連のものでございます。そのプロジェクトの一環で、平成24年5月と25年の5月の2回にわたりまして、パキスタンの行政官を招へいいたしましてワークショップを開催するとともに、その方々に日本の現場を見ていただくというようなことを行っております。
 5番目、6番目は、ICHARMが行っております人材育成関係でございます。5番目は修士課程のコースでございまして、これにつきましては、JICAと政策研究大学院大学と連携いたしまして、1年間の修士課程「防災政策プログラム水災害リスクマネジメントコース」を実施しております。
 平成23年の秋から第5期、24年の秋から第6期をそれぞれ実施いたしまして、それぞれ19名、12名が修士の学位を取得しております。平成19年の秋からやっておりまして、総計で72名が学位を取得した状況で、現在は12人の方が第7期の修士課程を就学中でございます。
 6番目は、博士課程の防災プログラムということで、これにつきましては、政策研究大学院大学と連携いたしまして、22年の秋から実施してきております。25年の秋に第4期を開始したところでございます。平成25年の秋には、初めてこのドクターコース卒業生1名が出たというような状況で、現在、6名の方が在籍しております。
 7番以降は個別の活動内容でございまして、国際会議とかほかの機関がやりましたワークショップの開催については、適宜、説明を省略させていただきます。
 7番目は、文科省のリスク情報創生プログラム。これが平成24年度から行われておりますが、このプログラムに参画し、種々、研究を行っております。
 8番目、9番目は、会議、ワークショップ関係ですので省略させていただきます。
 10番目に移りまして、UNESCO-HidroEXとの協定ということで、ブラジルにあります、これはユネスコカテゴリー2センター、うちの竹内センター長が現地を訪問いたしまして、同州の知事、それからそこのセンターの事務局長と協力協定を締結しております。
 11番目は、IAHS国際水文賞ということで、平成24年10月、オランダで行われました第90回のIAHS年次大会で、うちのセンター長が国際水文賞を受賞しております。
 12番目、台風委員会については説明を割愛いたします。
 13番目、土砂水理学と河川管理に関するセミナーということで、平成25年の2月にバングラデシュ・ダッカで、バングラデシュの水開発委員会の協力を得ましてセミナーをICHARMが開催しております。
 それに乗じて、セミナーの2日目には、ICHARMで研修を受けた経験者を集めましたフォローアップセッションも開催しております。
 14番目は国連水と災害に関する特別会合ということで、平成25年3月にハイレベル会合「国連水と災害に関する特別会合」が、国連事務総長の主催、それからUNSGAB、それからHLEPの共催で開催されております。ICHARMはHLEPのメンバー組織として参加いたしまして、ICHARMの廣木国際水防災研究監が特別顧問としてこの会合の準備・調整・運営を総括しております。それから会合に先立ってサイドイベントが開催されまして、ユネスコ等が参加する、ICHARMがこのIFIの事務局をやっておりますが、そのセッションも開催いたしまして、センター長がプレゼンテーションを行っております。
 15番目は割愛させていただきます。
 16番目、平成21年11月からADBの技術協力プロジェクトにICHARMが取り組んでおります。その結果で、25年の3月に最終報告書をADBに提出したところでございます。
 それから17番目、イラン水・電力資源開発公社、この関係でございまして、平成24年6月にここと相互協力を行うことに合意し、これに基づきまして、平成25年4月に研究協力と技術協力に関する覚書を公社とICHARMの間で締結しております。
 18番目は、ICHARMが開発いたしました降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)が各賞を受賞したということでございます。うちの佐山主任研究員を中心として開発されたモデルでございまして、平成25年4月に平成25年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、それから平成25年の7月に第15回国土技術開発賞(優秀賞)を受賞しております。これは、RRIモデルの新規性、それからJICAチャオプラヤ川流域洪水対策プロジェクトなどへの適用実績が認められての受賞になっております。
 19番目は、第2回アジア・太平洋水サミットということで、平成25年の5月にこのサミットが開催されまして、ICHARMは分野別セッション5の主催者として、水関連リスクとレジリエンスに関するセッションを主催しております。
 20番目は、サンクトペテルブルク州立水文研究所ということで、平成25年の8月に寒地土木研究所長、それから竹内ICHARMセンター長が、ロシアにあります同研究所を訪問いたしまして、3者間の研究協定の調印を行っております。
 21番目は、平成24年7月にインドネシアで発生しました深層崩壊、それから7月25日に発生しましたフラッシュ・フラッドの現地調査を実施しております。
 22番目は、説明を略させていただきます。23、24、25につきましても、説明を省略させていただきます。
 26番目は、JST-JICA SATREPS マレーシアプロジェクトということで、マレーシアにおけます地滑り災害及び水害による被災低減に関する研究、これを23年度から27年度の5か年度ということでICHARMが実施しております。
 27番目はマレーシアの湿潤熱帯センターということで、平成26年の3月にICHARMからマレーシアにありますマレーシアの気象庁、それから灌漑排水局を訪問しております。両機関にはICHARMの修士課程研修の卒業生が勤務しておりまして、その勤務状況を、研修成果の反映状況を確認するフォローアップを行っております。また、灌漑排水局の組織下にありますマレーシア湿潤熱帯センター、これはユネスコカテゴリー2センターでございますが、そこと意見交換を行ってまいりました。
 28番目は、国際水協力年関係でございまして、平成26年3月、国連本部におきまして国際水協力年の2015年以降の世界的な水に関する行動計画の推進に関する特別会合が開催されまして、竹内センター長と廣木国際水防災研究監が出席しまして、ラウンドテーブル「水災害における教訓と経験の共有」を主催しております。
 29番目は、先ほどその他の項目9で御説明があった件でございます。この中で、竹内センター長が講演を行っております。
 7ページ、30番目に移りまして、統合洪水解析システム(IFAS)の普及と向上ということで、この統合洪水解析システム(IFAS)は、ICHARMが開発したものでございまして、種々の講習会や現地のプロジェクトでこの普及と向上に努めているところでございます。JICAと共同で平成24年度から3か年計画で、「IFASを活用した洪水対応能力向上」研修を行っておりまして、途上国の気象関係者・河川管理者・住民避難に責任を持つ者の3者を対象に、毎年1か月程度の期間、2~3名の研修生を受け入れてきております。
 これ以外にも、各種研修、現地実践プロジェクトなど様々な機会を生かしまして、講習会、講義を行っておりまして、平成24年度で255名、平成25年度で114名、平成20年度以降の総合計で40か国700名を超える方々の研修を実施してきております。
 以上でございます。
【寶主査】
 ありがとうございました。ICHARMの大変活発な活動について、少し時間が限られておりましたけれども、概要を御報告いただきました。
 先ほど、野田協力官の御報告を伺った部分と今の鈴木委員の御報告の部分につきまして、何かお気付きのことがありましたら。
 はい、どうぞ。
【沖委員】
 これ、毎年といいますか2年に1回、この会議の前になると問合せが来て、どう答えていいかいつも迷うのですが、今、拝見させていただきまして、ここにあります国際水文学計画(IHP)分科会の活動とは何かというのがよく分からないんですね。つまり、ICHARMとか分科会委員の国際的な活動は全部IHP分科会の活動なのかというところが非常に曖昧で、分科会としてやっているのは何なんだというところがよく分からなくて、今、拝見しましても、ICHARMの活動は全部分科会の活動だということだったらすっきりするのですが、ユネスコとも関係ない活動も、今、御報告いただいて。それはそれで非常にいいことだと思うのですが、このIHP分科会の活動というのは何かというのは少し分からないので、そこをはっきりさせていただければいいかなというふうに一つ思います。
 もう一つは、IHPに関してのこういう研究をしましたというのが一つもなくて、IHPフェーズ7の期間がここなわけですが、この期間にIHPフェーズ7のこういう項目に関してIHP分科会ではこういうことをやりましたというのが余り見えてこないというのは、非常に問題なのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
【寶主査】
 まず分科会の活動、これは分科会の会議そのものは2年に1回対処方針を策定するためにやっているわけですけれども、日本国として文部科学省を中心に国土交通省と環境省もあると思いますけれども、水関連の研究活動をやっている情報を取りまとめて、それを世界に発信するという役割を担っていると思います。ですから、必ずしも分科会として、あるいは分科会のメンバーがやったことだけではなくて、日本国として水関連の研究活動あるいは教育・研修活動をやった分について取りまとめて世界に発信すると、そういう役割をこの分科会は持っていると思います。
 それから、IHP7との関係につきましては、後ほどNATIONAL REPORTでIHP7の各項目に対応した活動を書き込んでおりまして、そこではある程度、対応付けができていると思いますが、今日の資料29-2につきましては、分科会の活動の概要というと、ちょっと沖先生がおっしゃるような懸念があるかもしれませんが、水関係のいろいろなことがどういうことが行われているかということを取りまとめているという御理解でいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
【野田ユネスコ協力官】
 事務局から依頼します際にも、混乱がないように丁寧に御説明をして御依頼をしたいと思いますので、今後。
【寶主査】
 そうですね。事務局の方から依頼するときに、何を書いていいのか分からないとかいうことはあるかもしれませんですね、各委員の先生方ですね。
 それから、委員の先生方以外にも活発にやっておられるのはありまして、どうしてもそういうものは抜けるのですが、なるべく幅広い分野から、この分科会の委員の方を選んで、御存じのアクティビティーについては盛り込んでもらおうと思っておりますけれども、どうしても抜けてしまうとかいうものもあると思います。
 とりあえずそういうことで沖先生の御質問にはお答えいたしまして、また後ほどナショナルレポートとかを御覧いただいて、そこでまた、その報告が十分かどうか御検討いただきたいと思います。
 そのほか、いかがですか。7ページの3の(2)の世界水フォーラムに向けた準備というところの冒頭の平成25年と書いてありますが、これは平成27年。
【野田ユネスコ協力官】
 失礼いたしました。
【寶主査】
 今後、行われるものですから。来年の4月に行われますので、25を27に変更していただけたらと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、続きまして2番のIHP第8期中期計画(2014-2021)についてということで、資料29-3でございます。これについては、このドラフトを取りまとめる委員会にも参加しておられまして御尽力いただきました沖先生の方からお願いいたします。
【沖委員】
 フェーズ8ですね。これは、前いたソルシナージから、直接、ワーキンググループに入ってほしいというのが来まして、その前の際にも来たんですが、その時もう会議の日程の都合がつかなかったので。多分、第7のときはクラジ先生が参加されていた。第8のときは私。結局、フェース・トゥ・フェース・ミーティングは1回だけでして、その後、メールベースで主にやりました。2回目も行ったかもしれないですね。
 見ていただいてのとおりで、全体としては第8期、タイトルは「Water Security」ということで、「Local,Regional,and Global Challenges」。
 テーマが六つ、そこの下のユネスコのマークに似せたこの図で描いてあるとおりでして、Water-related Disasters and Hydrological Change、それからGroundwater in a Changing Environment、Addressing Water Scarcity and Quality、Water and Human Settlements of the Future、Ecohydrology、Water Education。こういう場ですので経緯を申しますと、Water Educationは最初はなかったのですが、UNESCO-IHEをIHPの下に位置付けたいという強い政治的意思が働いて、これが入りました。もう最後の段階で入りました。
 最初、五つでやっていました。御覧いただいて分かりますとおり、いわゆる降雨流出モデルとして地下水、水質、都市の水、Ecohydrologyというふうに非常に総花的で何でも読めるようにというのが、やはりIHPの基本的な態度ですので、中を見ていただきますとそんなに新規的なことはございません。うまく書いたなという感じだと思います。
 具体的なテーマは15ページからありまして、一つ目がテーマ1でWater-related Disasters and Hydrological Changeで、ここのところを私が何人かと一緒に担当して、分担して書きました。なので、そこの図は、実は私が昔からパワーポイントで使っていたものを入れたらどうだと言ったら入ったというので、このテーマだけ図が付いているのではないかと思います。
 テーマ2、テーマ3、テーマ4、テーマ5というふうになっています。
 簡単ですが、以上です。
【寶主査】
 ありがとうございました。
 1975年からこのIHPというのが始まりまして、大体5~6年の期間のフェーズを取って、近年は6年のフェーズでずっと進んできたのですが、今期は8年間ですね。これは、予算的な関係だと思いますが、2年ごとに更新していきますから。それと、6年というのは少し中途半端ということがありまして、予算計画は4年・4年でやるんですかね。そういったところもありまして、今期から8年間にするということになったようです。
 テーマは「Water Security」ということで、ベルモントフォーラムなんかでも「Water Security」と言っていますし、IWRAの方でも「Water Security」をテーマとして据えたいというようなことで、UNESCO-IHPも同じような「Water Security」ということになった。最初は、Water Scarcityとか言っていましたか。Scarcityでは、水が多いところのものが入っていないとか。
【沖委員】
 そうですね。
【寶主査】
 ということで、議長がスンタク・リーさんだったものですから、前々回の議長さんですね。今はドイツのクルマンさんですけど、その前がスンタク・リーさんで、スンタク・リーさんはWater Scarcityというか水不足の方だけでは駄目だということで、洪水とかそっちの方も入れないといけないというようなことで、「Water Security」を提案したというふうに聞いております。
【沖委員】
 そういう意味で言いますと、これをやった時に議論になったのは、IHP7の反省を踏まえて本当は8をやらないといけないのではないかという話が当然出たのですが、当時のShahbazでですが、彼はブランカの前任者ですけれども、何となくみんなで丸め込まれて、そこは問わないということで作った。
【寶主査】
 6期から7期に移るときも、7期の策定をするのは6期の途中から始めてしまいますね。ですから、前の期の反省に基づいて次をやるというのはなかなかやりにくくてですね。
 ですから、ここでは少なくとも6の反省はして、7の前半の反省をして出るというふうにすべきなのでしょうが、なかなか各テーマ、フォーカルエリアについてしっかり予算が付いて、しっかりチェック・アンド・レビューができるというような体制でもないものですから。
【沖委員】
 そうですね。逆に言うと、私もやっている途中で思ったのですけれども、逆にIHPは戦略的に何か次の5年はこれに集中しようとかいうのではなくて、大事なものを包括的に全部挙げておいて、各国、頑張ってくださいねというものなので、総花的であるのは致し方ないのかなと。
【寶主査】
 そうですね。ですから、各国がその国の状況に応じてやりたいことができるように、包括的にテーマを挙げておいてあげているということですね。
【沖委員】
 そうですね。
【寶主査】
 ユネスコで重要なテーマとして挙げられているので、国策として我が国はこれをやろうじゃないかということで、各研究機関等に呼び掛けて研究活動をやるというふうなことになっているという御理解でいいのではないかなと思います。
【沖委員】
 ただ、そういう意味で言いますと、大分思い出してきましたけれども、2年前のこの会議のときに、ちょうどコンサルテーションがまだ回っていたんではなかったでしたかね。
【寶主査】
 今回の会議ですか。
【沖委員】
 2年前のこの会議の。
【寶主査】
 出ていましたね。
【沖委員】
 出ていましたですね。ですから、その段階ではこういうテーマはあった方がいいとかいうのが、まだ入ったはずなので、そういう意味では、日本としてこういうテーマがあった方がいいというのは、何回か打ち込めるタイミングがありますので。
【寶主査】
 はい。それで、国交省、ICHARMの方からですかね、IWRMについては、日本としては推進する事項であるから、そういったことは入れてほしいと。
 それから、サステイナビリティ・サイエンス的なワーズが入らないかというような要望も、一応、出したことは出したと思います。それが反映されたかどうかということについては、必ずしも確認は。
【沖委員】
 IWRMは、入っています。サステイナビリティはどうだったですかね。
 そういう意味で言うと、私が工夫したのは15ページのRisk management as adaptation to global changesで、ここのところは、この間に出ましたIPCCの第5次評価報告書の第4作業部会の報告に、気候変動対策はリスクマネジメントであるというふうに書いてありますけれども、それをある意味で先取りしまして、もうリスクマネジメントとしてglobal changeに対抗していこうということを、フォーカルエリアの1.1に入れています。
 それから1.2の方は、Understanding coupled and natural processesということで、今、WCRPなんかでも熱心にされていますが、かんがいとかダムによる貯留とかを水文モデル、水文過程の中に入れていこうというのが全世界的にやるようになっていますので、それもここに一応入れておいたということと、地球観測を入れておいてほしいというどこかからの圧力があったので、フォーカルエリア1.3に一応しっかり入っているということで、その辺は、やりました。
 1.4のuncertaintyは、多分、フェーズ7にあって継続的にやりたいという意向が幾つか出てきたので、それも続いているといった感じだったかと思います。
 あとは、extreme eventsはフォーカルエリア1.5ということで、いわゆるエンジニアリング的な、あるいは割とサイエンスに近い水文学的なのは1に集まっているのではないかと思います。
 あと、地下水はもちろん大きい分野ですので2の方に入っています。
【寶主査】
 第5期あたりからですかね、フィームと、その下にフォーカルエリアというのを置いてというような構成になっております。
 7期の当初、1回、IHP作業部会的な皆さんに集まっていただいて、各機関、どういうテーマ、フォーカルエリアに貢献できるかというような議論をしたことがありまして、そこで参画していただいた大学ですとか研究機関の皆さんには、NATIONAL REPORTで、その項目に貢献していただくというようなことをしたんですね。第8期については、まだそういった議論ができておりませんから、今月、この政府間理事会でこれがアプルーブされた後に、日本国内でまたIHP関係の、IHPと言わずに日本の水関係の先生方に集まっていただいて、このIHPのテーマについて、どんなふうに貢献できるのか、あるいは何をしようとするのかというのを含め、議論できる機会があったらいいなと思います。
 この分科会には旅費等予算はございませんから、手弁当で集まらないといけないのですが、何か学会の折に集まるとか、あるいは皆さんが集まりやすい場所、時期で一度集まっていただいて、ちょっと議論してみたらどうかなというふうに思っています。
 これは、国際科学事業ですから、我が国国内だけでやるものでもなくて、海外とやっておられるような共同研究等も当然対象となるわけで、我が国の国際貢献といいますか、そういったところも視野に入れて議論できたらなと思いますけれども。
 今、沖先生のお話、この資料29-3につきまして何かお気付きの点、御意見等はございますでしょうか。
 はい、どうぞ。
【沖委員】
 今、寶先生がおっしゃった話で、これがせっかくアプルーブされても、今、始まっているはずですが、日本のこのIHP委員会あるいはもっと広いコミュニティーで、しっかりこれに対応した、全部やらなくていいと思いますが、ここについてはやはり日本でやろうというようなことを考えないと、2年に1回集まって終わりですね。例えば先ほどのICHARMので見ると、SATREPSみたいなものは、アジアあるいはアフリカも含めた国との連携でいいでしょうし、せっかく文科省の中にこのIHPの委員会があるので、研究予算と連動させるようなことを考えていった方が、より日本としてこのIHPに貢献できる気がしますけれども、何かそういうことをやりませんか。
【寶主査】
 そうですね。2年前に谷口さんたちと、沖先生にも参加していただいて、何人かの方に参加していただいて、ここの第1講堂で一応議論はしましたよね。議論だけであれは終わっているわけですけれども、例えば科研費の申請書などにも、こういうもので取り上げられているのでやる必要があるんだと書いて、それをまた委員の人が大事だなと思ってもらえないといけないですね。
【沖委員】
 でも、それは逆に言うと、これは一応文科省として正式にIHPに参加しているわけですから、行くときに、いや、日本としてはこういうプロジェクト、このIHPの中のここについては積極的にやる用意がありますというくらいに発表していただける準備をやるのが筋な気がします。
【寶主査】
 以前は、AP-FRIENDが始まった時は、政策的科研費ということで、1,800万円の科研費を付けていただいたり、その後も竹内先生が議長になられたこともあったりして、そのときも政策的科研費がありました。やっていってくださいましたが、その後は少し科研費の仕組みも変わったりして、より競争的スキームの色彩が強くなって、政策的資金の準備というのはなかなか役所としての……。
【沖委員】
 逆に言うと、競争的資金としてIHPでこういうのがありますと。それについては、この中でこれに対応して日本のアクティビティーで世界に貢献できるものを公募しますというのをやって、別にこのメンバーにもあらかじめ決まっているのでしょう。本当に競争的にやればいいのではないかと思いますが。
【寶主査】
 そうですね。だから、そういう枠組みを何か、CRESTですとか産業技術と何かこう、そういう枠組みは作っていただけるといいのですけどね。国際共同研究の枠組みでもいいと思います。
 はい、どうぞ。
【谷口委員】
 今の沖さんの議論と関係すると思いますが、14ページの構造を見ると、このIHPの分科会がどういうふうに関わっていけばいいかとか、少し議論ができるかなと思っています。今、縦のピラーにあるのは、それぞれの学会であったり、それぞれの分野に沿ったようなテーマになっていますけれども、横串の一番ベースのところにあるIntegrated Water Resource ManagementとかTransboundaryというのは、国際的に言うとTアップみたいなものが、UNEPが受けてJCのファンディングで動いていますけれども、そういう横串にできるようなものが、例えばこのIHPの分科会の中でそういう合意ができて、日本が出していけるようなテーマで予算を取っていくような、そういう形ができると動き始めるような気がします。縦のところは、さっき言ったように本当に競争的資金でいろいろな形でやっていけるような気がしますが、この横につながるところが、多分、このIHPの分科会の中でも、そういう思想を持った人がたくさんいると思うので、そういう固まりの予算申請とか、そういうものにつながっていくと次に行けそうな気はします。沖さん、どう思いますか。TransboundaryとIntegrated Water Resource Managementというのは、国際的にはいろいろなプロジェクトが動いていますけれども、例えば日本の中でそういうものをどういうところに絞っていくかという議論は、まだできていないですよね。国際的につながって、その下に各自が動いているのはありますけれども。
【寶主査】
 これから8年間始まるプロジェクトなので、そういう研究がしやすい、資金的にも環境ができて、そして連携がしやすい体制ができて、そして我が国がサイエンスをプロモートして、かつ国際貢献もできるというふうになるといいのですけどね。
 どうぞ。
【加藤国際統括官】
 今の議論に関係してなんですけれども、まさに重要なことは、ユネスコの方でこういうプログラムができるんであれば、日本はこの中のどこにきちんと重点を置いてやっていくのかというのをアイデンティファイして、それをきちんとやれる体制を作ることが大事だと思います。これまでは、個々の先生方が科研費を申請したりしてというのがファンディングのやり方になっていましたが、それだけでは本当に大事なことをやれるのも大変でしょうし、一方、SATREPSとか新しい形の、かなり政策誘導型のファンディングも出てきているわけなので、我々も、今日は内閣府の科学技術・イノベーション部局が出てきてくださっていますけれども、うちの研究3局が誰もこういうのに関心を示していないという状況、そこからちょっと、こういう議論があったということで、彼らをよくインボルブしてやっていきたいと思いますので、またいろいろ御指導いただきたいと思います。
【寶主査】
 どうもありがとうございます。加藤統括官から大変力強いサポート発言をいただきまして、ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。総会・理事会では多少の議論はありますけれども、おおむねこの線で認められるはずですので、これが8年間進むということで御了解いただければと思います。
 当然、代表団として我々が行ったときにも、議論があったときには参加して、我々の立場もアピールしていきたいというふうに思っております。
 それでは、これはこの程度でよろしゅうございますでしょうか。
 それでは3番、IHPトレーニングコースについてということでございます。これは、1991年以来、名古屋大学、当初は樋口先生が始められたと思いますが、名古屋に誘致されて、名古屋大学で、修士課程の学生定員を当時取られて、その後、ドクターコースの学生定員に振り替えられたりしていると思いますけれども、名古屋大学でずっとやってこられました。
 近年は京都大学も交互にやらせていただいておりまして、それからICHARMも、先ほど修士課程も博士課程もできてきたというふうなこともありまして、そんな経緯がありますけれども、今後の進め方についても検討する必要があろうかと思います。
 まず、名古屋大学の石坂委員の方から現状報告をお願いいたします。
【石坂委員】
 名古屋大学地球水循環研究センターのセンター長をやっております石坂といいます。昨年からセンター長になりましたので、今回、初めて出席させていただきます。
 今、御説明がありましたように、かなり長い間、昨年度、23回目ということで、今年度24回目のトレーニングを行うような予定になっております。
 先ほどの資料の29-2の概要の説明でいくと7ページ目に、その他の中で(3)でIHPトレーニングコースというものが記述されてあって、ここに大まかなこれまでの歴史的経緯が少し書かれています。私、この資料で、先ほどお話ししなかったのですが、IHPトレーニングコースで、括弧でGroundwater as a key for adaptation to changing climate and societyとなっていますが、私の記憶では、このトレーニングコースにこういう名前が付いているという記憶は余りなくて、これはどこか違うところから来たのではないかなと思います。
【寶主査】
 3回前のテーマ。
【石坂委員】
 ですよね。ですから、前のもの。
【谷口委員】
 2年前でしたか、3年前でしたか、前のテーマで、そのときはトレーニングコースの後にそういうシンポジウムをやって、そのシンポジウムのタイトルがこのタイトル。
【石坂委員】
 ですよね。だから、これはちょっと間違いですので消していただければと思います。
【寶主査】
 資料29-2の7ページの(3)のところの括弧書きですね。Groundwaterからsocietyまでの文言は消去していただきましょうか。
【石坂委員】
 はい。
 それで、22回が平成24年に行われていまして、これはうちの方のセンターで行ったもので、前の委員で、今、獨協大学に移られた中村先生の方が中心に、「宇宙からの降水観測とその応用」ということで、この間、JAXAで上げたGPMのプログラムなどに関連したもので、タイムリーな内容になっていたと思います。
 その次が23回で、これは、先ほどお話がありましたように、今、京都大学と交互に、1年ごとに主催になるような形になって、交換をしながらやっています。22回は名古屋大学で、23回は京都大学の防災研の方で中心にしていただいております。これに関しては、資料の29-4の方の一番最後のページをめくっていただくと、写真付きで、これは防災研の角先生が主催されて角先生の方からの報告書が書かれております。このときは、「気候変動下の河川流域管理のための生態水文学」というコースを行われています。
 今、ユネスコの方のお金がなかなか厳しくて、ジャカルタオフィスの方で選定した学生さん5名が一番メーンの学生さんということで、それでは人数的にも非常に限られていますので、文科省の方の事業、ユネスコの事業、補助金の方を頂いて、研修生7名も招待しています。
 ユネスコの方はジャカルタオフィスの方で選定しますので、どちらかというと政府系の方が多くて、補助金の方で選定している方は、どちらかというと京大の方で選定していますので、割と大学系の方が多いかなという感じです。
 あと京大の方では、非常に努力していただいて、ほかの京大のプロジェクトですね、JSPSであるとかGCOEの方からも、せっかくやるいいチャンスですので、学生さんに参加していただいて、今回、合計24名の参加ということになっていて、今まで20何年間やっていて、割と大きい方のトレーニングコースになったと思います。2週間でいろいろなところからの先生の講義、もちろん日本以外の国際的な方にも来ていただいて講義をしていただいて、それから野外実習ですね。琵琶湖から瀬田川を経てずっと回るような野外実習もしていただいております。
 それから、これも一昨年ぐらいから少し始めていますけれども、慶應大学の方の御協力を頂いて、せっかくやるチャンスですので、講義の方に関してはインターネット上で配信をして、いろいろなところから見ていただくというような試みもしております。ただ、どうしても実習は参加できませんので、しっかりしたサーティフィケートを与えるというところまではちょっとできていないんですけれども、講義に関しては広く聞いていただくというような試みをされています。それが、昨年度の12月に京都大学で行った方の研修です。
 それから今年度ですが、今年度は、今の資料の29-4の最初の方ですね。表紙から始めて2枚が今年度の予定になっております。今年度は、名古屋大学の私のセンターの方でお世話をする形になっていまして、主に森林を中心とした話にまとめようということになって、「Forest Hydrology-Conservation of Forest,Soil,and Water Resource」というテーマで11月24日から12月7日の予定で、今、準備をしているところでございます。
 中心になっているのは、うちのセンターの熊谷准教授が中心になっております。
 森林が水循環にとって非常に重要であるということは、認識は前からあったと思いますけれども、それの今の一番最前線のところをお話しするということですね。もちろん、IHPの観点で言いますと、やはりかなり実用的というか実際的なものが重要である、応用的なことも重要であるということで、そういう観点もかなり入れてある予定でございます。
 それで、あと、これをやるに当たっては、毎年、ワーキンググループを開催しております。IHPのトレーニングコース・ワーキンググループ委員会というものがございます。昨年度の末、3月24日に文科省の方で開かせていただきまして、ここで前回の内容、それから今回の内容について議論をしていただいています。今年度に関しても、文科省からのユネスコ事業の補助金の方を獲得させていただいていますので、ユネスコ本体、ジャカルタからのお金プラスこちらの方を活用して、トレーニングコースをさせていただこうと思っております。
 議論の中では、やはり先ほど出てきた第8期の計画に即しているのかなどという話がありまして、先ほどの御説明にあったように、割とこの第8期でまとめられているもの自体はかなり広い内容なので、当然、内容はこれに即しているということは言えると思いますけれども、議論の中で、逆に日本としてもう少し、特にアジアモンスーンでいろいろ個別の問題がありますので、そういうところをしっかり、トレーニングの中でも入れて、特に実用的なことをやっていらっしゃる方もトレーニングの学生さんの中にいらっしゃいますので、かなり議論をしていただいて、向こう側から何か問題点を出してもらってディスカッションしていくということが大切かなという話がされました。そういう時間は、今回に関しては十分持とうという話になっております。
 あとは、その場では、こういう8期であるとか、そういうIHP本隊のプログラムに何かそういうものをうまく活用していくような方向にできるといいですねという話を、議論としてはさせていただきました。
 以上、大体そのようなところです。
【寶主査】
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。あるいは、このIHPトレーニングコースを、今後、どういうふうにしていったらいいかという観点でも結構です。
 以前、名古屋大学が主催されて、部分的に関東の方へ行かれることがありましたよね。そのときに、ついでにICHARMの方もやられてというようなこともありましたですね。
【石坂委員】
 そうですね。
【寶主査】
 それは、見学・視察程度だったのかもしれませんけど。
 ICHARMの方も、研修は大分やっておられて、ハザードマップの研修とか短期のものもやっておられますね。修士課程もあるしドクターもあるということですので。
【石坂委員】
 現在、うちの方に関しては、初めは修士課程と、それから博士課程のプログラムとして持っていたのですが、昨年いっぱいで確かプログラムの方は切れていまして、そういう意味では、今、IHPのトレーニングというものと、名古屋大学の大学院のコースというのは、少し切り離されているような状態ですね。
 今後、またそういうところ、IHPに関連したところはICHARMの方でやっていただけるのであれば、また別の観点で頑張っていこうかなと思っております。
【寶主査】
 京大の方では、工学研究科の土木系というか地球系の専攻の単位2単位にできるように、教務委員会、専攻会議を通してですね。これを受講した人が、しっかりとした知識が伴うようにすれば2単位与えると。集中講義的なものですから。というふうに単位化。
【石坂委員】
 そうですね。うちの方でも、単位化の方は議論をしています。まだ、今回については間に合っていませんけれども、やろうと考えております。
【寶主査】
 それから、今までグローバルCOEプログラムで、その学生が参加したりもしていましたが、リーディング大学院の方も、グローバル生存学大学院連携プログラムというのが2年前から学生を受け入れ始めましたので、そこでもカリキュラムブックにこれを位置付けて、それで履修項目の一つに挙げておりますが、そういう形で、大学院のカリキュラムと連携させていくというような試みはやっております。
 いかがでしょうか。今までトレーニングコースをやられた先生方で、何かお気付きのこととかはございますでしょうか。あるいは、ICHARMの方から何かサジェスチョン等はございますでしょうか。
【谷口委員】
 すいません、ウエブで見られるようになってこれでもう3年か4年ぐらいですか。
【石坂委員】
 そうですね。
【谷口委員】
 人数的には、今、どうですか。
【石坂委員】
 私、完全に把握していないですけれども、一時的に見る学生も多くて、その全部をどれぐらい見ているかというのはちょっと把握が十分できていないですけれども、まだそれほど多くはないと思います。もう少し宣伝してもいいのかなという気はしております。でも、まだ100人とか数十人オーダーだろうと思います。
【寶主査】
 リアルタイムの講義の配信については、アジアの10か国ぐらいですかね。
【石坂委員】
 そうですね。
【寶主査】
 それで、百何十人聴講しているのですね。
 それと、ウエブにテキストブックが載っていて、それをダウンロードできるようになっていて、もうこれは1,000、2,000のオーダーでダウンロードされていますね。ですから、そういった教材が活用はされているということになっていますね。
【石坂委員】
 講義自体に関しては、リアルタイムでやる部分に関しては時差の問題があって、なかなか朝早いとその場では見られないということがあって、その後、記録したものを見られるような形にしばらくしてありました。ただ、ずっとやっておくわけにいきませんので、一応、今は講義自体を見られないような状態になっている。
【寶主査】
 ビデオ画像は配信してくれているのですね。期間限定で。
【石坂委員】
 しばらくの間は。
【堀委員】
 昨年度は12月の前半に行って、12月いっぱいはビデオを置いていました。12月いっぱいという話だったのですが、気が付くと2月ぐらいまで載っていて、著作権の問題があるので慌てて「消してください」とお願いしました。
【鈴木委員】
 大分年次を重ねて、研修生も大分増えてきていると思います。そういう方の名簿とかを整理されて、ネットワーク活動みたいなことも少し考えるのも一手かなと思います。ICHARMも、実は、先ほど御紹介しましたけど、修士課程、1年のコースでICHARMにいてもらって修士を取っていただく。あるいはドクター課程は3年間いてもらって、ドクターを取っていただく。いろいろ研修活動もやっていますので、そういう研修活動に参加して名簿を整備して、何かあったときに、先ほども少し紹介した、フォローアップということで、そういう方にも集まってもらって、また意見交換をして、ネットワーク活動をして、また人脈も増やしていこうというような取組もしていますので、何か御参考になれば。
【石坂委員】
 そうですね。ジャカルタオフィスの方で、今、その辺をまとめていただいたという話までは聞いていますけれども、その後、実際、それをどういう利用をしていくかというところを、まだ進めていませんので、ジャカルタオフィスとも相談しながら、そこは進めたいと思います。
【寶主査】
 第14回でしたか、マレーシアでやったことがありましてね、そのときは、それより前にクエスチョンメールを出して、結局、研修生がどんなところで働くことになったのか、あるいはどのポストまで出世したのかとか、この研修コースがどういうふうに役に立ったかとか、そういうことを調査して、一旦取りまとめたことがありましたが、ここ7~8年はそういうことはやっていません。ただ、誰が受講者であったかということは、今、おっしゃったようにユネスコジャカルタオフィスの方でしっかりと把握しておかないといけないなということで、把握してもらっているという現状ですね。
 今、鈴木さんのおっしゃったような、せっかくこれを受けたのに、それがどうなっているのかということと、ネットワークができて、それがまたアジア地域、これは世界各国から来ますが、アメリカ大陸とかオセアニアからも来ますけれども、この研修コースを経験した人が新たな人脈、ネットワークとして活躍していただけるということは、我が国のリーダーシップとしても大変結構なことだと思います。
【谷口委員】
 それに関係してなんですけれども、2年前でしたか、ここでやらせてもらった会議のときも議論になりましたが、それぞれの持っていらっしゃるネットワークのネットワーク、それをどうやって作っていくかというのがまだ。それぞれ目的が違うので、違う目的でネットワークを付けていらっしゃると思いますけれども、水に関して言うと、そういう分科会ではそういうネットワークをどうやって支援していくかということは議論になると思うので、その点に関しては、こういう場でそういうものを緩くつなげていくような方向に行くのか、今までどおり個別にやっていくのかという、何か方針みたいなのができるといいかなと思います。
【寶主査】
 そうですね。ですから、このIHP分科会はユネスコIHPですから、政府間というかガバメントベースと言えばそうですね。学会の方は学会で個人ベースで学会というNGOでやっているわけですね。それ以外に研究者のネットワークがまた、学会ではないかもしれないけどあるかもしれませんですね。
 ですから、そういうものを研究者ベースのものとガバメンタルのものと、うまくオーバーラップさせて、そのふくそう的なというか重層的なネットワークで、あるときはガバメンタルの方がいい役割を果たすし、そうでないときは個人ベースの方がいい役割を果たすとか、何かこう、相互に働き合うといいますか。ですから、そういうことをここの分科会が、例えばコーディネートさせていただいてもいいのかなと思いますけどね。学会もそれぞれたくさんあるわけですから、どこかが音頭を取って。
 IAHS分科会、谷口先生がやっておられるところも、結構いい、そういうことのできる組織かなとも思いますけれども。研究だけではなくて、人材育成とか教育・研修も視野に入れてそういったこともできるといいなと思います。これについては、今日、時間は限られておりますので、また御議論させていただいて、第8期のIHPトレーニングコースをどのように進めていくのか。余り活動が低調であれば、そろそろ打ち切らないといけないというふうな話も出てきますので、それなりに、近年、大分充実してきていると思いますので、これをうまく方向付けできれば、そのような打切りという話にはならないだろうと思いますけれども、先生方の御協力、よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして4番目の第7回世界水フォーラムについてということでございます。資料29-5を御用意していただいておりますけれども、2月に韓国で会議をやったときに参加されました渡邉先生が今日来ておられますので、渡邉先生の方から御説明いただけますでしょうか。
【渡邉委員】
 私が伺っていたのは、2月の韓国での会議のIHP絡みの一部だけ御報告するということでしたが、それでよろしいですね。
【寶主査】
 はい、結構です。
【渡邉委員】
 メインの情報については、国土交通省の担当の方がいらしているので、私の説明の後で、必要なところがあったら御説明いただく方がいいのではないかと思います。
【寶主査】
 分かりました。どうぞ。
【渡邉委員】
 29-5の資料は、日本水フォーラムがまとめられた資料で、分かりやすいのでこれで説明させていただきます。私が改めて御説明をすることはないと思いますし、先ほど申し上げた経緯から一部だけお話しします。全体は、1枚めくっていただきまして、スライドの4枚目にありますように、来年の4月12日から17日まで、第7回が韓国の大邸市と慶尚北道の2か所で開催されるということであります。
 私は、寶主査からお話がありました2月の末に開催されたSecond Stakeholders Consultation Meetingに、研究者とは異なる立場で参加したのですが、そのときにIHP関係の話を少しだけしてきたので、その話をさせていただきます。
 今回からは、今のスライドにありますように、科学・技術プロセスというのがアプローチの方法として追加されました。前回のマルセイユのキーワードは「ソリューション」だったのですが、ソリューションの次は「インプリメンテーション」で、それにはテクノロジーだという、そういう大きな流れでこのプロセスが設定されたようです。
 従来からのテーマとか地域、政治は少し特別だと思のでけど、それらと同じような形でこのプロセスを立ち上げるようなことが考えられています。スライドの10枚目に基本的な枠組みが書いてあるのですが、11ページにあるように、この科学・技術プロセスの中にフォーカスエリアというのを作って、それごとにデザイングループを作り、さらにその下にセッションを考えるセッショングループをというのを付けるということになっています。
 ここには五つのフォーカスエリアしか書いてないのですが、私の理解ではもう一つ増えていて、一番上がEfficiency、2番目がResource Recovery、3番目がSmart Technology、4枚目がClimate Change、ここにRisk ManagementとかDisasterが入っています。5番目がEco-Systemで、ここには書いてないのですけど、6番目がWEF nexus、Water Energy Food Nexusというのが入っています。このデザイングループの下にセッションを作っていくということです。
 この国際会議はワールド・ウォーター・カウンシルと韓国の国内で作っている委員会で運営することになっていますが、インターナショナル・ステアリング・コミッティのco-chairがスンタク・リーさんです。スンタク・リーさんはIHPの政府間の理事だし、アジア地域の前議長でもあられましたので、大変お忙しかったんですが、私は、参加するときに寶主査の命を受けて、少しだけお会いして、せっかく日本の近くの韓国での開催でもありますし、このIHPの絡みもあるから、IHP関連で何かしたらいいですねという話まではしてきました。非常に協力的で、「応援できると思うし前向きに考えましょう」と言ったまま、まだ中身の方は議論できていませんので、外側の話だけしております。
 スケジュールとしては、スライドの17枚目にあるように、先ほど言ったデザイングループの下で各セッションを具体的にどう立ち上げるかと。6個のテーマごとにホワイトペーパーを作って、その中で具体的なフォーカスエリアを決めて、それごとにセッションを立ち上げる組織を作って募集して、どういうセッションを立ち上げるかというのを8月までに決めることになっているのです。が、私の理解では、多分、今のところきちんと進んでいるという情報は伺っておりません。これから、急ぎそういうセッションの交流が始まってくると思います。
 いつもですとフォーラムの開催は3月の「国連水の日」の週ですが、今回は4月になりますので、日本としては次年度の開催ということになります。
 一応、私の関連するところの御報告はここまでです。
【寶主査】
 ありがとうございました。
 ユネスコも、毎回、世界水フォーラムにはブースも出してセッションもやったりしていますけれども、彼らも結構直前といいますか、半年前ぐらいから動き出すようなところもあります。
 ただ、今回、韓国でして、スンタク・リーさんは東南アジア・太平洋地域の運営委員会の議長もされたし、政府間理事会の議長もされたので、このアジア・太平洋の活動はこういう場でどんどんアピールするべきというふうにはおっしゃっていて、またしばらくするとそういう話が出てくると思います。2月に渡邉先生が行っていただいて、スンタクさんと連絡をとっていただいて大変有り難かったと思います。
 そのような形で、この日本のIHPのグループとして、あるいは水のグループとして、この水フォーラムで何かイベントなりセッションなり、何らかの貢献をするというような場が、多分出てこようかと思います。
 今、お話があったような科学・技術プロセスというようなことで、従来ですとなかなか大学の先生なんかが、セッションの座長を頼まれたりしたらコミットできたのですが、主体的にはできなかったですね。どうしても政府レベルですとか、あるいは事務レベルの話が多かったです。そういう感じはあったわけですけれども、少し趣が変わってくるような気配がございます。
 これにつきまして、何か。嶋崎補佐ですか、何かありますか。水資源部の方ですか。湯原さん。
【湯原課長補佐】
 国交省水資源部の湯原と申します。
 世界水フォーラムに関しまして、省庁の連絡会を水資源部の方で開催させていただいて、文科省さんにも環境エネルギー課に出席していただいています。
 こちらの日本水フォーラムの資料で大体説明されていますが、これはコンサルテーション会合時点の資料なので、渡邉先生がおっしゃったようにスケジュールがちょっと遅れ気味ということで、ちょうど昨日、シンガポールで韓国の国内委員会の方にお会いしましたところ、ワーキンググループやセッションの調整は進みつつも、全体的にレジストレーションが始まったり、水のエキスポ関係の募集が始まったりするのが、実質上、8月になる見込みであると伺っています。
 また、国交省の方でも、前回のように日本パビリオンの出展を予定しておりますので、そちらについても関係省庁の方に準備でき次第、御案内する予定です。
 以上です。
【寶主査】
 どうもありがとうございました。
 この第7回世界水フォーラムについて、何か御意見。
【渡邉委員】
 一つ質問ですけど、韓国から世界に向けてのパビリオンの募集ですね、これもまだですか。
【湯原課長補佐】
 これも、8月になると。
【渡邉委員】
 そうですか。当初は、もう終わっていないといけないタイミングですね。
【湯原課長補佐】
 そうですね。8月にはもうゾーニングまでできているというような話で2月には聞いていたんですが、昨日の時点でも。今、オフィシャルなパンフレットで7月となっていて。ただ、中の方のお話ですと、実質は8月になりそうだというお話です。
【寶主査】
 そのほか、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
【鈴木委員】
 ICHARMに関する情報ですけど、今、このペーパー上だとテーマ別のところと地域別のところと二つ行われていくということで、このお配りされた資料の7枚目のスライドですね。テーマプロセス:テーマ一覧というのがありまして、その中の1.すべての人のための水の安全保障の1.3変化への適応:強じん化と災害に対する備えのためのリスクと不確実性の管理。ここで意向表明をしていまして、今、韓国の事務局とここで参加していく方向で調整をさせていただいています。
 それからテーマ別の方は、9枚目のスライドのところになると思いますが、地域プロセスということで、世界各国を幾つかの地域に分けると。このアジア・太平洋地域についてはアジア・太平洋水フォーラム。日本水フォーラムが事務局をされていまして、ここにもちょっと参加の意向で意思表示をしているというような状況です。大分韓国関係の方は遅れ気味で、最後、またばたばたになるのかなというところを危惧しております。
【寶主査】
 どうもありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。これ、政府間理事会でも議題になりますし、国連機関等の動向、各国の動向も適宜報告されると思いますので、そういう情報収集ができましたらまたお伝えしたいと思っております。
 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。


<議題5.第21回国際水文学計画(IHP)政府間理事会の対処方針について>
(規定により非公開)


── 了 ──


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