資料29-2 日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会IHP分科会の活動の概要(平成24年5月~平成26年5月)

1. 国際会議等(役職は当時)

(1)IHP政府間理事会理事国選挙

 第37回ユネスコ総会(平成25年11月)において、IHP政府間理事会のグループ4(アジア・太平洋地域)4か国の改選が行われた。多数の国が立候補を表明したものの、最終的には5か国で投票が行われ、我が国は最多の150票を得て引き続き理事国として再選された(任期は、第39回総会(平成29年)までの4年間)。これにより、グループ4理事国は次の7か国。
(改選国:中国、インドネシア、日本、韓国/非改選国:オーストラリア、モンゴル、パキスタン)
 我が国は、昭和50年のIHP開始以来、途中4年間を除き政府間理事会理事国に選出されており、今後も、水分野におけるビジビリティの発揮とユネスコを通じた更なる貢献が期待されている。

(2)第20回国際水文学計画(IHP)政府間理事会

 平成24年6月7~8日にユネスコ本部にて開催された。理事会ではIHP議長、副議長等の選挙があり、我が国から寶委員が財務委員に選出された。次期の第8期IHP戦略計画(2014-2021)等について審議を行い、我が国からは、同計画の理念に通じるものとしてサステイナビリティ・サイエンスの提言を紹介。また、日本が策定に大きく関わった河川流域におけるIWRMガイドラインに基づいた取組のさらなる展開を提案した。また、2010年のパキスタン大洪水について、当事国のパキスタン政府代表、前議長、現議長、さらに、自然科学担当事務局長補から日本政府の資金及びユネスコ水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)の技術協力について謝意が表された。
我が国出席者: 
寶   馨 日本ユネスコ国内委員会委員/IHP分科会主査/京都大学理事補・教授
立川 康人 日本ユネスコ国内委員会委員IHP分科会調査委員/京都大学准教授
田中 茂信 日本ユネスコ国内委員会委員IHP分科会調査委員/独立行政法人土木研究所水災害リスクマネジメント国際センター(ICHARM)水災害研究グループ長
吉田 一亮 国土交通省水管理・国土保全局河川計画課付技官
中馬 愛 文部科学省国際統括官付ユネスコ第三係長 ほか

(3)UNESCO Strategic and High-Level Meeting on Water Security and Cooperation

 平成25年は「国際水協力年」に当たり、9月11日~13日に、ナイロビ(ケニア)において、ユネスコIHPが主催して標記会議及びIHP次期第8期計画に関する会議が行われた。
 我が国からは、ユネスコカテゴリー2センターであるICHARMから竹内邦良センター長ほか4名の研究員が参加した。特に、会議初日の「アフリカにおける水協力と保障に関するハイレベル会議」においては、表流水に関する国同士の協力やその手順などに焦点があてられ、ICHARMはその中の一つのセッションを主催し、ポスト2015を睨んだ水に関する現状について議論を行った。また、竹内センター長は基調講演にて、ポスト2015年開発目標(ポストMDGs)に向けての水コミュニティからの新たなコンセンサスの話題を提供し、IHP第8期計画の重要性を強調した。

(4)IHP東南アジア太平洋地域運営委員会(IHP Regional Steering Committee (RSC))

 平成24年11月8日~9日、マレーシアのランカウイにて、第20回IHP東南アジア太平洋地域運営委員会が開催された。この会議では、2012年6月に行われた政府間理事会の概要報告、各国からの活動報告、2012-2013年の事業計画、IHP第8期中期計画(2014-2021)への取組などについて審議が行われた。また、事務局長の改選があり、寶馨IHP分科会主査・京都大学教授から、立川康人IHP分科会調査員・京都大学教授への交代が認められた。
 また、平成24年12月10日~12日、ドイツのコブレンツにて、第1回IHP第8期研究計画実施ワーキンググループ会合が開催され、IHP第8期計画を具体的に進めていくための問題点、実施体制等について議論が行われた。
 平成25年9月30日~10月2日、慶州市(韓国)にてInternational Water Forum on Water Cooperation and 7th World Water Forum of The 2nd Nakdong River International Water Week 2013 (Na-Ri IWW/IWF 2013) が開催され、小池俊雄IHP分科会調査委員(東京大学工学系研究科教授)が基調講演を行った。
 会議に引き続き、10月3日~4日に同会場にて第21回IHP東南アジア太平洋地域運営委員会が開催され、11か国のIHP代表、ユネスコ・ジャカルタ事務所、北京事務所及びイスラマバード事務所から合計30名の出席があった。各国のIHP活動の取組状況が報告されるとともに、ユネスコセンターの活動報告、河川カタログ後継プロジェクトの立案、IHP第8期実施計画への貢献に関するグループ討議と報告などが活発に行われた。また、同委員会において、寶馨IHP分科会主査(京都大学防災研究所教授)が議長に選出された(平成25年~27年)。

2. ICHARM関係(役職は当時)

(1)ICHARMに関する日本政府とユネスコの協定更新

 平成18年3月以来、水研究の分野で活発な国際活動を展開し、これまでの活動に対して国内外から高い評価を受けている独立行政法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)(つくば市)に関し、今後も協力関係を継続していくことが日本政府及びユネスコ間で合意されたため、平成25年7月23日、パリのユネスコ本部において、木曽功ユネスコ日本国特命全権大使とイリーナ・ボゴバ(Irina Bokova)ユネスコ事務局長により、ICHARMに関する日本政府とユネスコとの新協定への署名が行われた。これにより、今後6年間、ICHARMは引き続きユネスコ後援のセンター(カテゴリー2センター)として活動することとなった。

(2)第1回ICHARM運営理事会

 日本政府とユネスコ間の協定に基づき、平成26年2月25日に東京で第1回ICHARM運営理事会(Governing Board)を開催した。理事会は、土木研究所理事長の議長の下、その運営手続「Rules of Procedure」を採択した後、活動報告「ICHARM Activity Report」を審査し、長期・中期プログラム「ICHARM Long-term and Mid-term Program」及び活動計画「ICHARM Work Plan」を審査・採択した。委員からは「先行するユネスコセンターとして、他のユネスコセンターとの連携及び支援を頂きたい」などの意見があった。
運営理事会構成員:
魚本 健人 独立行政法人土木研究所理事長・議長
マルガリータ・ワルストロム 国連防災戦略(UNISDR)特別代表
ヨハネス・クルマン ユネスコ国際水文学計画(IHP)政府間会合議長
ブランカ・ヒメネス・シスネロス ユネスコ水科学部長
足立 敏之 国土交通省技監
白石 隆 政策研究大学院大学学長
不破 雅実 独立行政法人国際協力機構地球環境部長

(3)ユネスコによるパキスタン洪水プロジェクト

 平成22年にパキスタンで発生した大規模な洪水被害に対し、ユネスコと連携した我が国の対パキスタン無償資金協力事業として、平成23年7月、「パキスタンにおける洪水予警報及び管理能力の戦略的強化」プロジェクトを開始。本プロジェクトの一環として、ICHARMはインダス川におけるIFAS(ICHARMが開発した総合洪水解析システム)の適用と、パキスタン政府関係者を対象とした同システムの運用に関する人材開発を実施した。
 平成25年12月18日~20日に、洪水予警報を担当するパキスタン気象局洪水予測部主催の「信頼できる洪水予測-データ、モデル、予報技術への挑戦に係るワークショップ」及びユネスコ主催の「プロジェクト運営委員会」がラホール(パキスタン)で開催され、ICHARMから3名の研究員が参加し、これまでの成果を報告した。運営委員会では、プロジェクト期間におけるICHARMの確実な成果の見通しが評価されている。同月21~23日にはパキスタン気象局洪水予測部の職員に最新モデルの操作法について研修を実施した。
 さらに、平成26年1月17日~22日にパキスタン気象局洪水予測部職員3人をICHARMに招へいし、現地で使用するパソコンにインストールする洪水解析モデルのパラメータや氾濫条件の設定等に関し、研修を実施した。

(4)ワークショップ「パキスタンにおける統合的な洪水リスク管理能力向上」

 ユネスコによる「パキスタンにおける洪水予警報及び管理能力の戦略的強化」の一環で、平成24年5月15日~24日に6名、平成25年5月28日~6月6日に5名の計11名の中級・高級行政官を招へいし、ワークショップ「パキスタンにおける統合的な洪水リスク管理能力向上」をICHARMで開催するとともに、日本の洪水対策や洪水予警報システムに関する各種講義や、荒川におけるスーパー堤防や鬼怒川水系におけるダム施設、砂防施設、渡良瀬遊水地の視察を行った。

(5)修士課程防災政策プログラム水災害リスクマネジメントコース

 平成23年10月3日~平成24年9月14日(第5期)及び平成24年10月3日~平成25年9月17日(第6期)、独立行政法人国際協力機構(JICA)及び政策研究大学院大学(GRIPS)と連携し、1年間の修士課程「防災政策プログラム水災害リスクマネジメントコース」を実施し、それぞれ第5期19名、第6期12名が「修士(防災政策)」の学位を取得し、平成19年10月以来、72名が同学位を取得した。また、7期目の修士課程を平成25年10月4日から開始し、12名(バングラデシュ2名、中国1名、エルサルバドル1名、ケニア1名、ミャンマー1名、パキスタン1名、フィリピン2名、スリランカ2名、ベネズエラ1名)が就学中である。

(6)博士課程防災学プログラム(政策研究大学院大学と連携)

 政策研究大学院大学(GRIPS)と連携し、平成22年10月から博士課程「防災学プログラム」(3年コース)をICHARMは実施しており、平成25年に第4期目を開始した。平成25年9月には初めて卒業生を1名輩出している。平成26年5月現在、3回生1名(オランダ)、2回生2名(バングラデシュ、グアテマラ)、1回生3名(バングラデシュ2名、グアテマラ)の計6名が在籍している。

(7)文部科学省気候変動リスク情報創生プログラム

 平成24年度から「文部科学省気候変動リスク情報創生プログラム」にICHARMは参画し、気候変動によって洪水や渇水といった水災害リスクがどの程度変化するか、いくつかの特定脆弱地域(河川流域)において、不確実性を含めて定量的に予測し、それに伴う社会経済影響を評価する各種研究を開始した。平成24年度は全球気候モデル(GCM)の予測をダウンスケーリングする手法の開発、流域スケールでの洪水氾濫を含む洪水ハザード評価モデルの開発に着手し、平成25年度はインドネシア・ソロ川やフィリピン・パンパンガ川流域において領域気象モデル(WRF)を用いた降水のダウンスケールを行い、精度の検証を行った。

(8)ISO/TC113(水理水文計画)への貢献

 平成24年5月6日~11日(スイス・ベルン)、平成25年11月11日~15日(メキシコシティ)それぞれにおいてISO/TC113 Hydrometry (水文観測に関する国際標準化)の総会が開催され、ICHARMから上席研究員と担当研究員が参加した。ここでは開水路における流量、水位、土砂 輸送、地下水の挙動の測定のための技術に関する水文観測の手法、機器、及び設備の標準化を推進するための議論が行われ、ICHARMは開水路における流量に関する日本の代表として議論に参加した。平成25年の総会はメキシコにある政府水委員会(CONAGUA)で開催され、ICHARMの萬矢敦啓研究員が非接触型流速計に関する技術の基準化に向けた技術書を作成するための主執筆者に任命された。

(9)持続可能な開発のための科学技術革新フォーラム

 平成24年6月11日~15日、ブラジル・リオデジャネイロで持続可能な開発のための科学技術革新フォーラムICSU、ユネスコ等の共催でRio+20のサイドイベントとして持続可能な開発のための科学技術革新フォーラムが開催され、竹内邦良ICHARMセンター長が「水の安全保障」及び「災害リスク」の各セッションで講演を行った。

(10)UNESCO-HidroEXとの協定

 平成24年6月18日、ブラジル・ミナスジェライス州フルータルにあるユネスコカテゴリー2センターUNESCO-HidroEXを竹内邦良ICHARMセンター長が訪問し、同州知事及びユネスコ事務局長らとともに、協力協定を締結した。

(11)IAHS国際水文賞

 竹内邦良ICHARMセンター長が、平成24年10月23日にオランダ・デルフト市で行われた「第90回IAHS(国際水文科学会)年次大会」および「未観測流域での予測シンポジウム2012」で、『国際水文賞』を受賞した。

(12)台風委員会

 台風委員会は、アジア太平洋地域における台風の人的・物的被害を最小化するための計画と履行の方策を促進・調整するために、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と世界気象機関(WMO)のもとに組織された政府間共同体である。平成25年1月29日~2月1日に香港において第45回総会、平成25年12月2日~12月7日、マカオにおいて台風委員会第8回合同ワークショップ、平成26年2月10日~13日にタイ・バンコクにおいて第46回総会が各々開催され、ICHARM から水文作業部会長を務める加本実上席研究員等が参加した。

(13)土砂水理学と河川管理に関するセミナー

 平成25年2月13日~14日、バングラデシュ・ダッカにてバングラデシュ水開発委員会の協力を得て土砂水理学と河川管理に関するセミナーをICHARMが開催した。セミナーは土砂流送過程とそれに関連した河川形態学およびバングラデシュの河川管理を主なテーマとするもので、22名の参加があった。セミナー2日目にはICHARMでの研修経験者11名に向けてのフォローアップセッションを開催した。

(14)国連水と災害に関する特別会合

 平成25年3月6日、国連本部(アメリカ・ニューヨーク)において、水と災害問題を国連として史上初めて集中議論するハイレベル会合「国連水と災害に関する特別会合」が、国連事務総長の主催、国連水と衛生諮問委員会(UNSGAB)・水と災害有識者委員会(HLEP)の共催で開催された。ICHARMはHLEPのメンバー組織として参加し、廣木謙三国際水防災研究監がUNSGAB特別顧問としてこの会合の準備・調整・運営を総括するなど、中心的な役割を担った。この会合に先立って開催されたサイドイベントでは、ユネスコ等が参加する国際洪水イニシアチブ(IFI)の事務局としてセッションを開催し、竹内邦良ICHARMセンター長から基調プレゼンテーションを行い、2015年以降の国連持続可能な開発アジェンダ(Post-2015 Agenda)に水と災害に関する共通目標をどのように設定するか集中議論が行われた。

(15)干ばつ対策に関するハイレベル会合

 平成25年3月11日~15日、スイス・ジュネーブにおいて世界気象機関(WMO)、国連食糧農業機関(FAO)及び国連砂漠化防止条約(UNCCD)の主催で干ばつ対策に関するハイレベル会合が開催され、ICHARMから2名が参加して干ばつデータの要件、早期警報、脆弱性及びリスク評価についてポスター発表を行った。

(16)アジア開発銀行(ADB)プロジェクト

 平成21年11月からアジア開発銀行(ADB)の技術協力プロジェクト(TA7276)としてICHARMが取り組んできたプロジェクト最終報告書を平成25年3月12日、ICHARMからADBに提出した。本プロジェクトは、インドネシアやバングラデシュ、メコン河下流域などの洪水が頻発する国や地域を対象とし、洪水災害への対応能力を向上させるもので例えば、インドネシアにおいては、ソロ川流域でのIFAS(統合洪水解析システム)の実践トレーニングおよび避難訓練などを通じた災害管理体制の向上、カンボジアでは衛星情報とGIS(地理情報システム)による洪水脆弱性評価が各々実施されている。

(17)イラン水・電力資源開発公社

 平成24年6月11日にイラン水・電力資源開発公社(Iran Water and Power Company:IWPC)の職員4名がICHARMを訪問、講演を行い、相互協力を行うことに合意した。これに基づき平成25年4月12日、中東地域などの乾燥および半乾燥地域における渇水など、洪水以外の水関連災害に関する研究活動を進めることを目的に、研究交流と技術協力に関する覚書をイラン水・電力資源開発公社とICHARMの間で締結した。

(18)降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)が各賞を受賞

 佐山敬洋主任研究員を中心として開発された、降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)が各賞を受賞した。
『平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)』(平成25年4月16日)
 本賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象とするものであり、「世界の大洪水を対象にした降雨流出氾濫予測に関する研究」が受賞の対象となった。
『第15回国土技術開発賞(優秀賞)』(平成25年7月5日)
 本賞は、住宅・社会資本整備もしくは国土管理に関わる、計画・設計手法、施工方法、維持管理手法、材料・製品、機械、電気・通信、伝統技術の応用などの広範に亘る技術で、近年に開発し、かつ実用に供された新技術が受賞の対象となる。今回、RRIモデルの新規性と、JICAチャオプラヤ川流域洪水対策プロジェクト等への適用実績が認められて受賞に至った。

(19)第2回アジア・太平洋水サミット

 平成25年5月19日~20日にタイ・チェンマイで第2回アジア・太平洋水サミットが開催され、ICHARMは、分野別セッション(FAS)5の主催者として水関連リスクとレジリエンスに関するセッションを主催した。サミットでは、このセッションを含む7つのセッションが各分野別の提言を作成し、これらはリーダーズ・フォーラムに提出され、チェンマイ宣言が作成された。

(20)サンクトペテルブルク州立水文研究所

 平成25年8月5~9日まで、柳屋独立行政法人土木研究所寒地土木研究所(CERI)所長と竹内邦良ICHARMセンター長 が、ロシア・セントピーターズバーグにあるサンクトペテルブルク州立水文研究所(State Hydrological Institute:SHI)を訪問し、Georgievsky同所長との間で3者間研究協定の調印を行った。これにより、ロシアおよび日本の寒冷地にみられるデータが乏しい流域について、河川流出に関する研究が開始された。

(21)インドネシア深層崩壊現地調査

 平成24年7月13日にインドネシア・マルク州ネグリリマ村で発生した深層崩壊及び土砂による堰き止めダムの発生と7月25日の崩壊によるフラッシュ・フラッドの現地調査を平成25年9月10日にICHARMから1名が訪問して実施した。

(22)国連防災戦略ISDRアジア・パートナーシップ会合

 平成25年11月5~7日に平成25年第2回、平成26年4月22~24日に平成26年第1回の国連防災戦略ISDRアジア・パートナーシップ会合がタイ・バンコクで各々開催され、前者には2名、後者には3名がICHARMから参加し、防災に関する兵庫行動枠組みの監視と次期の枠組みに向けた取組について助言等を行った。

(23)衛星降雨データGSMaP(衛星全球降水マップ)の補正に係るワークショップ

 平成25年11月21日~22日に、ユネスコ主催の「衛星降雨データGSMaP(衛星全球降水マップ)の補正に係るワークショップ」がジャカルタ(インドネシア)で開催され、ICHARMは2名の研究員を派遣した。

(24)アジア太平洋水フォーラム執行審議会

 平成25年11月25日、フィリピン・マニラで開催されたアジア太平洋水フォーラム(APWF)執行審議会第14回会合にICHARMから1名が参加し、水及び災害に関するリスク管理の取組について講演を行った。

(25)米国地質調査所との水文水資源に関する第9回ワークショップ

 平成26年2月18日~20日、米国レイクウッドで米国地質調査所(USGS)と日本の研究機関による「水文学及び水資源に関する合同ワークショップ」の第9回会議がUSGS、国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人土木研究所の合同で開催された。会議には世界気象機関(WMO)水文委員会事務局長による特別講演のほか、ICHARMから3名が参加して研究活動について紹介した。

(26)JST-JICA SATREPS マレーシアプロジェクト

 地球規模課題対応国際科学技術協力(防災研究分野「開発途上国のニーズを踏まえた防災科学技術」領域)として、「マレーシアにおける地すべり災害および水害による被災低減に関する研究」(平成23年度-27年度)にICHARMは参画した。平成26年3月6日にマレーシア・クアラルンプールで開催された中間評価会合にはICHARMから3名が出席し、洪水氾濫頻発地域の一つであるマレーシア北部Kelantan川流域及びDungun川流域を対象として、過去の水文観測記録を収集すると共に、地形・地質・植生・都市域などを反映した水文循環モデルとして、IFASを活用し、現地での適用を図った。

(27)マレーシア湿潤熱帯センター

 平成26年3月10日~13日、ICHARMから3名がマレーシア・クアラルンプールにあるマレーシア気象庁(MMD)及び天然資源環境省灌漑排水局(DID)を訪問し、各機関で勤務するICHARM修士課程研修の卒業生を訪問して、それぞれの研修成果の反映状況を確認するフォローアップを行った。このフォローアップに合わせて、後者のDIDの下にユネスコカテゴリー2センターとして1999年に設置されたマレーシア湿潤熱帯センター(HTC)を訪問し、意見交換を行った。

(28)国際水協力年の評価及び2015年以降の世界的な水に関する行動計画の推進に関する特別会合

 平成26年3月11日にニューヨークの国連本部において国際水協力年の評価及び2015年以降の世界的な水に関する行動計画の推進に関する特別会合が開催され、ICHARMからは竹内邦良センター長と廣木謙三国際水防災研究監が出席し、ラウンドテーブル「水災害における教訓と経験の共有」を主催した。

(29)世界水の日記念式典『水とエネルギーのつながり』

 平成26年3月21日に東京・国連大学で、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)主催の「2014年世界水の日記念式典『水とエネルギーのつながり』」が開催された。国連機関主催の世界水の日の主要記念式典としては、日本で初めての開催となった。
 式典では、「国連水と衛生に関する諮問委員会」名誉総裁である皇太子殿下のお言葉に続き、太田国土交通大臣が日本の水に対する考え方と水技術及び日本での経験を踏まえた国際貢献等に関して講演を行った。ICHARMからは、竹内ICHARMセンター長が水とエネルギーのつながりについて日本の経験を報告した。ディビッド・マロン国連大学学長、ミシェル・ジャローWMO事務局長とともに、ユネスコからはハンス・ドヴィル ユネスコ事務次長が開会の挨拶を行った。また、国連水アセスメント計画(UN WWAP)による世界水発展報告書(WWDR)の発表式ではブランカ・ヒメネス・シスネロスユネスコ水科学部長による司会の下、世界水発展報告書第4版「水とエネルギー」が発表され、松浦日仏会館理事長(元ユネスコ事務局長)が閉会の挨拶を行った。

(30)統合洪水解析システム(IFAS)の普及と向上

 ICHARMは統合洪水解析システム(IFAS)に関する講習会等を開催している。例えばJICAと共同で平成24年度から3か年計画で実施する「IFASを活用した洪水対応能力向上」研修では、途上国(フィリピン・ベトナム・バングラデシュ・ケニア・タイ・ナイジェリア)の洪水脆弱地域における気象関係者・河川管理者・住民避難に責任を持つ者の三者を対象に各年1か月程度の期間2~3名を研修生として受け入れている。これ以外にも、ICHARMが行っている各種研修や、現地実践プロジェクトなど様々な機会を活かして講習会や講義を行っており、平成24年度においては18か国255名、平成25年度においては18か国114名がIFASに関する講習を受け、平成20年度以降の受講者合計では40か国700名を超えた。

3. その他(役職は当時)

(1)日本学術会議IAHS小委員会・日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会IHP分科会主催 オープンディスカッション会議「水に関する国際研究・教育プログラムへの日本からの発信-若手研究者のキャリアアップとジャパン・イニシアティブ-」

 平成24年10月15日、文部科学省第一講堂において開催された。我が国の水関連国際研究・教育プログラムの情報を共有し、水研究者・実務者コミュニティの力を結集して、国際研究・教育プログラムの中でどのように日本から発信していくか、日本が主導するプログラムは何か等について議論された。

(2)第7回世界水フォーラムに向けた準備

 平成27年4月12~17日、韓国・大邱・慶州にて開催される標記フォーラムの地域プロセスにおいて、総合水資源管理に関し、ユネスコ、アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)及びアジア太平洋水フォーラム等が協同してアジア・太平洋地域における総合水資源管理に関する知見等をまとめ、かつ、フォーラムにおいて共催してセッションを開催するための準備を行った。
 平成26年2月27~28日、韓国・慶州市、第7回世界水フォーラム第2回関係者協議会合が開催され、第7回世界水フォーラムに向けての、関係者によるアプローチの課題や進め方に関する協議がなされた。その中で議論されたテーマ別アプローチの科学技術アプローチにおけるIHPアジアの参画によるセッションの可能性や課題について、国内の関係地域団体のとりまとめを目指す一般社団法人Com aquaと共に、韓国のIHP関係者やそのほかの連携の可能性のある参加者と、検討打合せを行った。
我が国出席者:渡邉 紹裕 日本ユネスコ国内委員会委員/京都大学大学院地球環境学堂・教授

(3)IHPトレーニングコース

 ユネスコ・ジャカルタ事務所に日本が拠出している信託基金および政府開発援助ユネスコ活動費補助金により、ジャカルタ事務所と名古屋大学地球水循環研究センター・京都大学防災研究所水資源環境研究センター共催の下、アジア・太平洋地域の人材育成のため、1991(平成3)年より毎年実施。毎回5~10名の同地域のIHP事業を担う水分野の専門家の人材育成を行っており、これまでに160名以上の研修生を受け入れている。講義はすべてテレビ会議方式を利用し、ジャカルタなどの数か所の会場で同時放映された。
第22回(平成24年11月18日~12月1日、名古屋大学地球水循環研究センター等)参加者13名
テーマ「Precipitation Measurement from Space and its Applications(宇宙からの降水観測とその応用」
第23回(平成25年12月2日~13日、京都大学宇治キャンパス)参加者24名
テーマ「Ecohydrology for River Basin Management under Climate Change(気候変動下の河川流域管理のための生態水文学)」

(4)UNESCO Chair プログラム「モンゴルにおける持続可能な地下水資源管理」

 平成25年4月29日~5月6日、モンゴル・ウランバートル市内とその周辺地域において、市の水道水源であるトゥール川近傍の地下水、湧水及び河川水の調査を、筑波大学とモンゴル科学アカデミー地生態学研究所との共同で実施するとともに、ウランバートル市水資源関連当局担当者等への啓発活動を行った。
我が国出席者:辻村 真貴 日本ユネスコ国内委員会IHP分科会委員/筑波大学生命環境系教授 ほか

(5)International Workshop on Hydrologic Cycle and Water Resources in East Asia

 平成25年3月27日、中国北京の中国科学院地理科学資源研究所において、UNESCO北京事務所および筑波大学-中国科学院日中水循環研究センターの共催により開催された。東アジア域を主な対象とした水循環、水資源研究の最新の動向を中心に、研究者、国際機関担当者等が意見交換を行った。
我が国出席者:辻村 真貴 日本ユネスコ国内委員会IHP分科会委員/筑波大学生命環境系教授 ほか

(6)World Water Week 2012

 平成24年8月26日~31日、スウェーデン・ストックホルム市で、「水と食料の安全保障(Water and Food Security)」をテーマに開催され、世界の水関係の研究機関、国際機関、行政組織、NGOなど、多くの関係者が、水~食料~エネルギーの連関問題を中心にして様々な議論が交わし、その中で、流域の水資源管理やリスクマネジメントのワークショップやセミナーで、意見交換を行った。
我が国出席者:
寶   馨 日本ユネスコ国内委員会委員/京都大学防災研究所・教授
渡邉 紹裕 日本ユネスコ国内委員会委員/人間文化研究機構総合地球環境学研究所・教授

(7)ICID(国際灌漑排水会議)1stWIF(第1回世界灌漑フォーラム)

 平成25年9月29日~10月3日、トルコ共和国マルディン市で開催され、世界の灌漑排水関係の研究機関や行政機関、援助機関などから研究者・技術者が参加し、また農家団体・利水者団体などの参加を得て、持続的な灌漑管理について、シンポジウム、セミナー、ワークショップなどが開催され、その中で、農民参加型灌漑管理のセミナーにおいて、インドネシア、タイ、韓国、トルコ、エジプト、日本の研究者・技術者、農家利水団体によるプロジェクト評価と課題についての議論を主導した。
我が国出席者:渡邉 紹裕 日本ユネスコ国内委員会委員/京都大学大学院地球環境学堂・教授

(8) 国際原子力機関(IAEA)科学フォーラム「水の諸相-原子力技術による差異の創出」

 平成23年9月20日~21日、ウィーンIAEA本部で開催された。同位体による水資源の持続可能な開発・管理、農業・灌漑における同位体技術の適用、海洋に関する同位体技術の適用等について、各国から100名超の参加者があり、議論が行われた。日本からは、地下水管理技術、および灌漑技術における同位体の適用について、話題提供が行われた。
我が国出席者:辻村 真貴 日本ユネスコ国内委員会委員/筑波大学生命環境科学研究科・准教授 ほか

(9)UN-WATER主催2014年世界水の日記念式典「水とエネルギーのつながり」参加

 平成25年3月21日に国連大学本部(東京)で実施され、世界水発展報告書発表セッションに、ユネスコの招待を受け国土交通省森北水管理・国土保全局長が出席し、日本とユネスコ・世界水発展報告書の関わりについてスピーチを行った。同セッションにおいてはドーヴィル ユネスコ事務局長補のスピーチも行われ、ブランカ・ヒメネス・シスネロスユネスコIHP部長が進行を行った。
 同式典においては、皇太子殿下からお言葉を賜るとともに、太田国土交通大臣、石原外務大臣政務官、足立国土交通技監が出席した。また松浦公益財団法人日仏会館理事長(前ユネスコ事務局長)から世界水発展報告書立ち上げ当初に触れた閉会の言葉があった。
 また、ユネスコの協力の下、世界水発展報告書2014の概要版の日本語版を国土交通省水資源部にて作成している。

(10)河川流域におけるIWRMガイドライン運営委員会

 平成25年3月20日ジャカルタ(インドネシア)で開催された。この運営委員会は、河川流域におけるIWRMを促進することを目的に、ガイドラインの策定・活用を検討する委員会である。ユネスコの河川流域におけるIWRM実施に関する役割、教育・訓練における役割について確認した。
我が国出席者:大槻英治 国土交通省水管理・国土保全局水資源部水資源計画課総合水資源管理戦略室長 

(11)河川流域におけるIWRMガイドラインを活用したNARBOによるIWRM研修

 水資源機構、アジア開発銀行及びアジア開発銀行研究所で設立されたアジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)の旗艦行事である総合水資源管理研修において、IWRMガイドラインを活用した研修が行われ(平成24年11月、平成25年11月及び平成26年5月)、ユネスコからIWRMガイドラインに関する講演も行われ、アジアにおける総合水資源管理の普及促進に貢献。また、平成25年5月に開催された第5回NARBO総会においては、総合水資源管理における能力開発と題したパネルディスカッションにおいて、ユネスコからIWRMガイドラインについて話があり、総合水資源管理の実施のための組織及び個人の能力開発の必要性の議論が行われた。なお、UNESCOからの依頼に基づき、UNESCOのパキスタンにおける洪水プロジェクトに関するワークショップにNARBOから講師が派遣されている(平成25年6月及び12月)。

(12)総合水資源管理に関する教材の作成

 アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)事務局の一つである水資源機構は、これまでのNARBOにおけるIWRMガイドラインを用いた総合水資源管理研修の成果をまとめ、実務者レベルでの総合水資源管理の実施を促進するためのIWRMガイドラインの補足教材としてのEducational Materialの作成を依頼され作成した。Educational Materialは、平成26年5月にフィリピンで開催されたNARBO第9回総合水資源管理研修において使用され、以後、NARBO加盟機関内での職員研修等において用いられることとなっている。

(13)第2回アジア・太平洋水サミットにおけるフォーカスエリアセッション

 タイ国政府及びアジア・太平洋水フォーラムの主催により平成25年5月にタイのチェンマイで開催された第2回アジア・太平洋水サミットにおいて、フォーカスエリアセッションのひとつとしてUNESCO主催で開催した「IWRM Process Water Secured World」について、アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)はUNESCOのパートナー機関のひとつとしてこれに協力し、セッションにはNARBO議長やNARBO主要機関の代表を派遣し、総合水資源管理をめぐる議論に貢献した。なお、フォーカスエリアセッションで議論された事項は同サミットの成果である「チェンマイ宣言」に反映されている。

(14)世界水協力年ユネスコ記念出版物

 2013(平成25)年は、国連により「国際水協力年」と決定されたことから、同年は関連イベントが多く行われ、その活動の一つとして、ユネスコ記念出版物「Free Flow:Reaching Water Security through Cooperation」が刊行された。持続可能な開発のために水と人とが関わってきた様々な水の管理や協力について経験や活動を共有することを目的として、世界中の研究者等から寄稿がされており、我が国の寶馨IHP分科会主査(京都大学防災研究所教授)からも論文投稿がなされた。
Takara, K. (2013): Coping with extreme weather and water-related disasters, Free Flow, A UNESCO Publication for the International Year of Water Cooperation, Tudor Rose, Leicester, UK, pp. 103-106.

(15)IHP活動に関するホームページ整備

 IHPの活動を効果的に紹介し、また記録するためにIHP-JAPAN及びIHP-RSC-SEAPのホームページを設置。IHP-JAPAN及びIHP-RSC-SEAPのアドレスは以下のとおり。
IHP-JAPAN http://hywr.kuciv.kyoto-u.ac.jp/ihp/japan/
IHP-RSC-SEAP http://hywr.kuciv.kyoto-u.ac.jp/ihp/rsc/

お問合せ先

国際統括官付