第37回日本ユネスコ国内委員会科学小委員会政府間水文学計画(IHP)分科会 議事録

1.日時

令和6年5月14日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

(委員)
沖主査(国内委員会委員)、道田委員(国内委員会委員)、小野寺委員、風間委員、小浪委員、小林委員、佐山委員、杉浦委員、近森委員、辻村委員、德地委員、森委員
(事務局)
渡辺事務総長(文部科学省国際統括官)、匂坂副事務総長(同省国際統括官付国際交渉分析官)、本村事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、小野事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事録

【沖主査】  それでは、本日の第37回IHP分科会を開催したいと思います。皆様方、御多忙の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 事務局、定数の確認をよろしくお願いいたします。
【小野補佐】  失礼します。本日は出席の委員が現時点で10名で、委員の過半数ですので、定足数を満たしております。
【沖主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまから第37回IHP分科会を開催したいと思います。
 本日は、国土交通省、林野庁、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)などの関係省庁等からも御参加いただいております。
 本日の議事のうち、議題3以降に関しましては非公開とさせていただきますが、非公開の部分を除きまして、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 続きまして、前回の分科会以降、委員及び事務局に交代がございましたので、事務局から御報告いただきます。御紹介がありましたら、一言ずつ御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【小野補佐】  事務局から失礼いたします。配付資料の参考資料1を御覧ください。新たに就任されました委員を御報告いたします。
 まず、令和5年4月1日付け、小浪尊宏 国土交通省水管理・国土保全局河川計画課国際室長。
【小浪委員】  皆さん、おはようございます。国土交通省の小浪と申します。よろしくお願いいたします。私は、ユネスコに出向していた経験もございますので、そのこともお役に立てればと思います。よろしくお願いします。
【小野補佐】  ありがとうございます。
 次に、森範行 国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)水災害研究グループ長。よろしくお願いします。
【森委員】  土木研究所(ICHARM)の森でございます。昨年4月から、こちらの水災害研究グループ長のほうに参っております。IHPの分科会の皆様には大変お世話になっております。よろしくお願いします。
【小野補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、本年4月1日付けで、杉浦未希子 上智大学グローバル教育センター/グローバル・スタディーズ研究科国際協力学専攻教授が御就任されております。
【杉浦委員】  おはようございます。上智大学の杉浦と申します。私、河川取水の灌漑管理を研究しております。皆様にいろいろ教えていただきながらお役目を果たしていけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
【小野補佐】  ありがとうございます。
 最後に、德地直子 京都大学フィールド科学教育研究センター森林生態系部門教授が就任されております。
【德地委員】  おはようございます。京都大学フィールド科学教育研究センターの德地と申します。主に日本の最上流域、人為の攪乱のないエリアでの水質形成ということで、山の中に行きまして水を取ったりなどしております。中流・下流のことが全く分かっておりませんので、皆様に教えていただいて、何かできることがあればと思っております。よろしくお願いいたします。
【小野補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、事務局の異動について御報告いたします。
 令和5年8月8日付け、渡辺正実 文部科学省国際統括官/日本ユネスコ国内委員会事務総長が就任しております。
【渡辺統括官】  渡辺です。よろしくお願いします。
【小野補佐】  続いて、令和5年4月1日付け、匂坂克久 文部科学省国際統括官付国際交渉分析官/日本ユネスコ国内委員会副事務総長。
【匂坂分析官】  匂坂でございます。よろしくお願いいたします。
【小野補佐】  続いて、令和5年8月8日付け、本村宏明 文部科学省国際統括官付国際戦略企画官/日本ユネスコ国内委員会事務局次長。
【本村企画官】  本村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【小野補佐】  続いて、令和5年5月1日付け、私、小野憲一 国際統括官補佐/日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐が就任しております。よろしくお願いいたします。
 最後に、令和5年4月1日付け、鶴岡泰二郎 国際統括官付ユネスコ第三係長が就任しております。
【鶴岡係長】  鶴岡と申します。よろしくお願いいたします。
【小野補佐】  御報告は以上になります。
【沖主査】  ありがとうございました。
 次に、配付資料の確認をよろしくお願いいたします。
【小野補佐】  配付資料、事前にPDFで2つお送りしているかと思います。今、画面で議事次第を表示させていただいておりますが、こちらに記載の資料1から3-4と参考資料1から5が1つ目のファイルに入ってございます。そして、最後に席上配付資料が1から4、これが2つ目のファイルで、お手元にお配りしているかと思います。もし御不足の方がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせください。
【沖主査】  ありがとうございます。
 
<議題1 最近の政府間水文学計画(IHP)に関する活動報告について>
【沖主査】  それでは、早速ですが、議題1「最近の政府間水文学計画(IHP)に関する活動報告について」に入りたいと思います。本議題では、前回分科会以降のユネスコ本部や地域事務所の主な動き及び国内の取組につきまして、関係の皆様方からそれぞれ、3分ずつぐらいで御報告いただきます。なお、それぞれの活動に関します補足や御質問は最後にまとめてお伺いしたいと思います。
 まずは、前回の第25回IHP政府間理事会につきまして、私のほうから御報告いたしたいと思います。資料番号1のところですね。25回の政府間理事会、これは、もう2年前になりますけれども、令和4年、2022年の4月の末にパリのユネスコ本部で開催されました。我が国からは私と京都大学の立川先生、それから、当時の堀尾国際統括官補佐が参加いたしました。
 そのときには、その半年前に策定されたIHPの第9期の戦略計画に関する実施計画や、我が国に設置しているユネスコのカテゴリー2センターであるICHARMが事務局として実施している国際洪水イニシアティブ(IFI)をはじめとした主要イニシアティブの継続と新規イニシアティブに関する戦略についての評価と枠組みの決定、それから第9期戦略計画の運営実施のためのテーマ別作業部会の設置について議論が行われ、テーマ別の作業部会を設置し、IHP分科会の先生方にもそれぞれ分掌して入っていただいたのを覚えていらっしゃるかと思います。我が国からは、IHPの第8期における日本の貢献や、熊本で開催されました第4回アジア・太平洋水サミットの成果等について報告いたしました。
 簡単ですが、以上、報告させていただきます。
 それでは、続きまして、IHP第9期戦略計画の運営実施に係るテーマ別作業部会ということで、小野補佐、よろしくお願いいたします。
【小野補佐】  失礼いたします。今し方、沖主査から御報告いただきました作業部会についてですけれども、第9期の優先領域が5つあるかと思います。それに沿って5つと、クロスセクトラルで3つの計8つの分科会が、そちらの下に8まで番号を振っていますけれども、そちらの分野でテーマ設定されております。6番の水文学システム、川、気候リスク及び水-食料-エネルギーの連環ということで、こちらのほうは、ICHARMの小池センター長が議長に選出されております。後ほど対処方針のところ、ないしは別の機会でセンター長からまた御報告をいただけるかと思います。
 それから、今、沖先生からもお話のありましたとおり、この分科会の委員の皆様、それから、それに閉じず、国内の専門家の皆様から各分野にそれぞれ御担当を配置させていただいております。後ほどの議題の中で、席上配付資料3の中でまた御報告させていただきたいと思います。
 以上になります。
【沖主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、第4回アジア・太平洋サミットにつきまして、小浪委員、森委員からお願いいたします。
【小浪委員】  国土交通省、小浪でございます。第4回アジア・太平洋水サミット、これももう2年前でございますけれども、熊本で開催をしました。こちらにおられる多くの皆様にも協力いただきまして、ありがとうございました。
 内容としては、政府としてメインなのは、岸田総理が発表しました熊本水イニシアティブという取組です。これは後で話します国連水会議でも日本の取組をアジェンダとして報告されています。ほかの参加国首脳の決意表明として熊本宣言というものが採択されております。これはその後の国連水会議に向けた非常に大きなスタート台、発射台、そういう形になっていたと感じております。
 ICHARMのほうからショーケースのほうの報告をお願いします。
【森委員】  土木研究所(ICHARM)の森でございます。今御紹介にありましたけれども、当サミットにおきましてICHARMのほうから特別セッション「ショーケース」を主催しています。具体的には、インドネシアのバスキ大臣、それからフィリピンの科学技術省、アンソニー・セレス局長等が御出席されました。加えて、ICHARMが支援を行ってきましたインドネシアでのファシリテータ育成のためのe-ラーニング活動ですとか、あるいはフィリピンで展開しているいわゆる知の統合オンラインシステム、OSS-SRと呼んでいますけれども、これらの御紹介をさせていただきました。
 以上でございます。
【沖主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、第9回洪水管理国際会議につきまして、森委員、お願いいたします。
【森委員】  続きまして、土木研究所(ICHARM)の森でございます。
 第9回の洪水管理国際会議、これはICFM9と呼んでいますけれども、これを令和5年の2月18日から22日まで、主につくばで開催をしております。こちらにつきましては、ICHARMがホストとなりまして主催をしたという形にしております。中身は、つくばでのセッション、それから、それに加えて、東京でもICHARM、それからGRIPSの連携でハイレベルパネルを開催しております。特に、東京で開催しましたハイレベルパネルのほうにつきましては、シンポジウムにおきまして、チャバ・コロシ国連総会議長、それからターラス世界気象機関事務局長等も御参加されて、非常にハイレベルな形で開催されました。また、天皇陛下にも御聴講いただいたという経緯がございます。
 以上でございます。
【沖主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、IHPアジア太平洋地域運営委員会につきまして、佐山委員と小林委員から、3分ずつでよろしくお願いいたします。
【佐山委員】  ありがとうございます。京都大学の佐山と申します。まず私のほうから、IHPアジア太平洋地域運営委員会について御報告いたします。
 毎年開催されているもので、第29回は2023年に、先ほどICFMの会議の御報告がありましたが、それと合わせた形でつくばにてハイブリッド形式で開催をされております。ユネスコ本部やユネスコジャカルタ事務所からの参加をはじめ、アジア各国、ドイツから参加がありまして、現地参加45名、オンライン参加25名ということでした。
 IHPの活動、政府間理事会及びこういった進捗状況が報告された後、各国IHP国内委員会、あるいはカテゴリー2センター、ユネスコチェア等の活動報告がありました。
 それから、IHP-RSCの中では、後で小林先生から御報告があると思いますが、水文解析カタログ(CHA)のワークショップというのを開催しております。
 それから、第30回のIHP-RSCは、昨年、令和5年の11月8日から10日にマレーシアのプトラジャヤにおいて行われました。ちょうど30周年の記念行事ということでありまして、我が国日本からは、初代事務局長を務められた竹内邦良先生が登壇されて、RSC-APを設立した経緯等が説明されました。また、IHP RSC-APの事務局長は、これまで立川康人IHP分科会調査委員が務められてこられましたけれども、11月のこのタイミングで、私、佐山のほうに交代するということで選出いただきました。
 まず、私のほうからは以上です。CHAについて、小林先生のほうから御説明をお願いします。
【小林委員】  埼玉大学に4月から異動しました小林と申します。よろしくお願いします。
 Catalogue of Hydrologic Analysis、水文解析カタログを前事務局長の京都大学、立川先生と一緒に取り組んでおりまして、3巻がほぼ発刊するということになりました。15か国からの寄稿を集めて、地下水がテーマとなります。第1巻が洪水ハザードマップ、第2巻がダム管理でしたが、3巻の地下水管理が一番寄稿が多く、日本はどうしても洪水のほうが主になりますが、世界的には地下水が本当に大事なんだと思った次第です。ただ、これは福原さんというユネスコジャカルタオフィスの方と、特にそのスタッフのRizkyさんという方が、物凄く一生懸命寄稿を集めてくださったので、ユネスコジャカルタオフィスに任せるというようなことも大事かなと今回思いました。そのおかげで非常に多くの寄稿が揃いました。これは文科省の信託基金なので、すごく大事な事業だと思うのですが、今後どうなっていくかはまだ未定です。もちろん文科省の事業なので私も貢献したいとは思いますが、旅費がユネスコジャカルタオフィスから日本に対して1人しか出ないということで、佐山先生が事務局長なので、そういったこととと、また、どなたか若い方に替わったほうがいいのかということも含めて今後御相談が要るかと思いますが、取りあえずそのような進捗になっています。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。
 続きまして、水関連で国連水会議につきましては、後ほど議題2で御報告いただくことにしまして、そのほかの国際関連の会議につきまして、小浪委員、森委員からよろしくお願いいたします。
【小浪委員】  小浪でございます。まず最初に、Climate Risk、レジリエンスの話を、森さんからお願いいたします。
【森委員】  土木研究所の森でございます。まず、国際会議「Climate Risk, Vulnerability and Resilience Building」ということで、これは令和5年4月19日から21日にユネスコが開催した国際会議におきまして、小池ICHARMセンター長が初日のパネルディスカッションに参加しまして、先ほど申しました知の統合オンラインシステム、OSS-SR等についてスピーチを行っております。また、サイドイベントのところで「Crosscutting Research on Hydrological Systems, Rivers, Climate Risk and Water-Food-Energy Nexus」ということで開催をしております。
 ICHARMの取組は以上でございます。
【小浪委員】  国交省、小浪でございます。その後、2、3、4をまとめて御説明します。これはいずれもユネスコの事務局から、「日本からのスピーカーが欲しいため、よろしくお願いできないか」ということで依頼があり、お受けしたものでございます。
 まずは、High-Level Political ForumでSDG6、SDGsのフォローをする会議、毎年7月にやっている会議なんですけれども、昨年はSDG6がテーマになっておりましたので、その中でユネスコのサイドイベントに登壇をしたと。
 そして次に、ストックホルム世界水週間でも、同様にユネスコ等が主催したCircular Economyをテーマとしたサイドイベントに登壇させていただきました。
 COP28、ドバイですけれども、こちらも同様に、今度はADBとユネスコで主催した気候変動と洪水・渇水に関するセッションということで登壇させていただいたということでございます。
 以上でございます。
【沖主査】  ありがとうございます。
 では、引き続きまして、幾つかのイニシアティブ、あるいは組織の活動としまして、まず、ICHARMの活動、森委員、お願いします。
【森委員】  ICHARMの森でございます。こちらのほう、特にこれまでのICHARMでの様々な取組をまとめております。まず最初が、第6回ICHARM運営理事会の開催ということで、これは日本政府とユネスコとの間の協定に基づいて運営委員会を設立・実施するということになっております。基本的には、年に1回、この運営理事会を開催することになっていまして、令和4年6月21日に第6回のICHARM運営理事会をハイブリッド形式で開催しております。このときには、議長は土木研究所の理事長、藤田光一が議長を務めまして、国内外から計8名の委員の出席をいただいています。この中では、ICHARMのプログラムということで、今後2年間の活動計画としてのワークプランの審議を行いまして、満場一致でそれが採択されたという経緯がございます。
 それから、その次のアジア水循環イニシアティブ(AWCI)セッション主催ということでございます。これにつきましては、AOGEO、アジア・オセアニア地域地球観測に関する政府間会合、この分科会としてこのAWCIセッションを主催しております。具体的には、令和4年9月21日に関係国、フィリピン、インドネシア、スリランカ、インドネシアの関係機関、それからUNESCO-IHP事務局、GRIPS等々から50名の参加を得まして、各国での、特に今、ICHARMでリードしています国際洪水イニシアティブ(IFI)のプラットフォーム活動、これについての議論及び情報共有がなされております。また、テーマ別にも様々な側面からの紹介等がございました。この成果につきましては、その後、9月28日から開催されました第15回のAOGEOのシンポジウムでも紹介されております。
 それから、その次に、国連水会議2023への貢献ということで、これにつきましては、令和5年3月22日から開催された国連水会議2023に先立ちまして、その前日に第6回の国連水と災害に関する特別会合が開催されています。その中で、ICHARMは科学技術パネルということで、これの企画立案、それから運営を指導したということでございます。
 それから、その次でございます。能力開発プログラム、特に博士課程、修士課程の実施ということで、これはICHARMの設立直後からこのようないわゆる大学院教育をやっているわけでございます。具体的には、JICA、それからGRIPSと連携しまして、主に開発途上国の行政官を対象としまして、水防災に関する修士・博士課程コースの教育をしております。それぞれ修士13名、それから博士10名程度ということで、毎年受入れをしてきております。
 それから、先ほど御紹介しました第9回の洪水管理国際会議、ICFM9に合わせまして、修士課程、博士課程の卒業生19名をつくばに招聘しまして、第15回のフォローアップセミナーというものを開催しています。これは毎年、特に卒業生を対象に実施をしているものでございますけれども、ちょうど2023年2月にICFM9が開催されましたので、それに合わせて対面でこのようなフォローアップセミナーを実施したという実績がございます。こちらはその様子でございます。
 それから、加えて情報ネットワーキングの拡充ということで、これは特に先ほど少しお話ししましたけれども、ICHARMが事務局を務めますユネスコのフラッグシッププロジェクトの1つであります国際洪水イニシアティブ、インターナショナル・フラッグ・イニシアティブ、この活動に関しまして、特にアジアの国々でのプラットフォーム活動、PLATFORM on Water Resilience and Disaster、これの設立支援を行っております。
 特にコロナ禍では、渡航ができなかったりとか、人的な交流ができなかったということもあって、若干活動が停滞気味だったんですけれども、今年に入ってから、令和6年の3月と4月にスリランカ、それからインドネシアを対象にそれぞれこのようなワークショップ等を開催したところでございます。また、新しくタイでもこのプラットフォーム活動の構築を進めていくということで会議を行って、そのキックオフを行ったという状況でございます。
 その後、特にこのプラットフォーム活動につきましては、フィリピンで一番先導的に行っておるところでございます。従来は、フィリピンのダバオ市を中心にこの活動を展開してきましたけれども、かなり展開が進んできておりまして、その横展開を今図りつつあるというような状況でございます。それと同時に、現地のダバオ・デル・スール州立大学との知の統合オンラインシステム(OSS-SR)に関するMoUなども締結して進めているという状況でございます。
 以上、ICHARMからのもろもろの国際関係の活動報告でございます。以上です。
【沖主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、水・エネルギー・災害研究に関するユネスコチェアWENDIにつきまして、佐山委員、お願いいたします。
【佐山委員】  ありがとうございます。ここに記載のとおり、京都大学を中心として水・エネルギー・災害研究に関するユネスコチェアWENDIというのを2018年2月に設立して、継続して進めております。これは特に京都大学の中でそれぞれの分野で皆、学生が勉強しているわけですけれども、分野の垣根を越えた教育というのは実施されていませんし、特にこの水・エネルギー・災害研究というのは密接にそれぞれが関係するものですから、相互に講義を受講したり、教員間も連携をしたりというような、そういった取組であります。
 また、特徴的なものとしましては、ユネスコエコパークを対象としたフィールド実習ですとか、それから後で御報告いたしますけれども、トレーニングコース、そういったものを受講するということである一定の修了を満たしますと、ユネスコチェアWENDIから、これを受講した、修了したということでサーティフィケート、修了証を授与しております。2023年度は7名の受講生が修得しまして、履修を終えまして、これまで61名の学生が修了しております。
 以上が御報告になります。
【沖主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、モンゴルにおける持続可能な地下水マネジメントに関するユネスコチェア、辻村委員お願いいたします。
【辻村委員】  筑波大学の辻村でございます。本ユネスコチェア、モンゴル科学アカデミーの地理学・地生態学研究所と筑波大学の間で2007年から活動を行っているものでございます。最近に関して申し上げますと、昨年2023年、令和6年の6月にIAEA、国際原子力機関とユネスコチェアの共催でモンゴルの地理学・地生態学研究所において同位体水文学に関するトレーニングコースを開催しております。これは日本から私が講師としてIAEAから現地に派遣され、約1週間にわたってトレーニングを行ったものです。
 また、これも昨年、2023年でございますが、8月にモンゴル科学アカデミー地理学・地生態学研究所とユネスコチェアとの共催により、モンゴルのウランバートルにおいて第4回科学技術国際会議(EST2023)が開催されておりまして、モンゴル、日本、中国、韓国、ノルウェー、ドイツなどから110名の参加がございまして、分野横断的な様々な発表が行われました。
 以上でございます。
【沖主査】  ありがとうございます。
 では、IHPトレーニングコースにつきましては、佐山委員、お願いいたします。
【佐山委員】  こちらのIHPトレーニングコースというのは、先ほどのWENDIの活動とも関係しておりまして、例年、11月から12月ぐらいにかけて1週間程度行っているものであります。基本的には、これはオンラインで実施をしておりまして、世界各国の研究機関とか大学からの受講希望者がいて、大体35名から40名程度に人数を絞って行っております。令和4年は11月28日から12月8日に実施されました。また、令和5年は11月20日から30日にかけて行っております。いずれも気候変動下の統合流域管理というのを主題としておりまして、講義のみならず、例えばモデルの使い方や、データのハンドリング、そういった実習も交えたトレーニングコースになっております。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。
 では、日本学術会議IAHS小委員会について、辻村委員、お願いいたします。
【辻村委員】  日本学術会議第25期のIUGG分科会IAHS(International Association of Hydrological Sciences)ですが、この小委員会に関しましては、2021年International Hydrology Prize、これはDooge Medalと呼ばれているものですけれども、この候補者として沖大幹先生を小委員会から推薦して、選考を経て受賞が決定されまして、受賞式はコロナ禍で1年遅れましたけれども、IAHS General Assembly、これはフランスのモンペリエで2022年の6月に行われておりますが、ここにおいて行われたものです。
 また、この間、シンポジウムの共催なども行っておりますが、大きなものとしましては、その次にありますように、IAHS General Assembly、これは4年に一度、世界各国で開催されておりますけれども、2025を日本に誘致すべく、小委員会から提案をしたものです。これについては、残念ながら私の力不足で採択には至らず、誘致はかないませんでした。
 さらに、IUGGのフェローとして谷口真人 総合地球環境学研究所副所長をIAHS小委員会からIUGG分科会を経て推薦しまして、選考を経てフェローとして谷口教授が選考されております。
 加えて、2023年7月、昨年、ベルリンでIAHSの親機関であるIUGGのAssemblyが開かれておりますけれども、ここにおきまして、IAHS小委員会から推薦しました信州大学の榊原助教及び長崎大学の利部准教授が、それぞれ小委員会が複数ございまして、榊原助教はトレーサーの小委員会、また利部准教授は地下水の小委員会の、それぞれバイス・プレジデントに推薦の結果、選考されております。また、トレーサーの小委員会に関しましては、前プレジデントの中国地質科学院のパン教授からの推薦で私が選考されました。
 以上です。
【沖主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、以上、御報告が続きましたが、追加の御報告や御質問はございますでしょうか。御意見、御質問がある場合には、オンラインの方は挙手ボタンを押していただきますように、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 私の感想は、特定の委員の先生方に非常に頑張っていただいているというのが印象なのですが、ある意味では、もっといろんなユネスコのIHPに関わる幅広い活動を幅広いメンバーで支えられるような体制が組めるといいんじゃないかなという感想と、1つ個別の質問ですが、佐山先生に報告いただいたWENDIは、佐山先生に申請すればいいのか、ユネスコに申請するとそういうコースを大学につくれるということなのか、どちらでしょう。
【佐山委員】  こちらはユネスコチェアにしていますので、正式にユネスコに申請をしましてチェアを設立しました。その当時、小浪さんがユネスコにもいらっしゃいまして、寶先生をチェアホルダーとして、それの設立にいろいろと支援をいただきました。今は、立川先生がチェアホルダーを務めていらっしゃいます。
【沖主査】  分かりました。そういう申請して審査を受けて通らないと、こういうサーティフィケートはもらえないということですね。
【佐山委員】  チェアにしてそういった活動を行っているということです。
【沖主査】  分かりました。ありがとうございます。どうぞ。ほかよろしいでしょうか。
 
<議題2  国連水会議2023の報告及び第10回世界水フォーラムに向けた展望について>
【沖主査】  それでは、後ほど今度のIHPの政府間理事会の対処方針について時間を割きたいと思いますので、その前に議題の2といたしまして、国連水会議2023の報告及び、それは昨年の3月ですが、今月、もう来週にございます第10回世界水フォーラムについてに移りたいと思います。
 まず、本議題につきましては、小浪委員から御説明をよろしくお願いいたします。
【小浪委員】  小浪でございます。沖先生、ありがとうございます。
 先ほどの佐山先生とのやり取りに関連しますが、ユネスコのチェアですね、WENDIの設立のとき、私はユネスコ側で事務を担当していましたので、もし御興味ある方がいらっしゃいましたら、私のほうに御連絡いただきましたら、いろいろ当時の書類などを掘り起こしてサポートすることができると思います。よろしくお願いします。
 資料2のほうを御覧ください。国連水会議の報告と世界水フォーラムのお話を御報告させていただきます。ただ、世界水フォーラムは来週なんですが、国土交通省としての体制は、今まだ公表する直前というような状態でございまして、公開される議事録として今、御報告できることは実は少ないかもしれません。
 まず、国連水会議でございます。次のページをお願いいたします。こちらは御存じの方が多いと思いますが、46年ぶりに国連本部で約200の国・地域・機関から6,700人以上が参加という会議であったということで整理をしております。
 こちらの下のほうにざっくりとまとめてございますが、国連水会議に合わせまして、前日に第6回国連水と災害特別会合という会議を、日本が主催というわけではないんですが、日本が調整して実現しておりまして、天皇陛下の御講演、また上川現外務大臣が総理特使として御発表いただきました。
 また、国連水会議には、同じく上川現外務大臣が総理特使という肩書で出席をいたしまして、エジプトの水資源灌漑大臣とともに、テーマ別討議3「気候、強靱性、環境に関する水」というところを共同議長としてリードしてございます。
 次のページから写真で御説明いたします。次のページ、13ページをお願いいたします。こちら、左の写真1が、先ほど申し上げました水と災害特別会合の様子でございます。天皇陛下のビデオによる御講演の様子を映してございます。
 写真2は、国連水会議になりまして、国連水会議は先ほど申しましたテーマ別討議ではなくて、全体討議において日本代表としてのキャパシティーで上川総理特使からコミットメントとして演説をしていただいたところでございます。熊本水イニシアティブ、アジア・太平洋水サミットで表明しました熊本水イニシアティブについてもここで表明しております。
 写真3が、テーマ別討議3ということで、10時から13時の3時間の間、上川現大臣・総理特使と、隣に座っている方がエジプトのヘイニ・スウィリアム水資源灌漑大臣でございます。
 次、写真4をお願いいたします。このエジプトの灌漑大臣、ヘイニ・スウィリアム大臣と上川大臣は非常に密接に親しく、大変長い時間御懇談されまして、テーマ別討議3の報告、これは全部で5つの報告なので5人が報告するわけですけれども、テーマ別討議3だけは2人並んで報告をしたということでございました。前半をスウィリアム大臣が話し、後半を上川大臣がということで、この右の写真が象徴的なんですけれども、日本とエジプト、ウエットジャパン・アンド・ドライエジプトというふうに演説の中で上川大臣がおっしゃいましたけれども、その2つが力を合わせることで世界の多くの水問題に対してリードすることができるのではないかというようなことをお二人で合意されたということでございます。もちろん、お二人だけというわけではなく、日本政府としてもしっかりその合意を踏まえて、エジプト政府と多くのところでこの1年協力をしているところです。
 そこから先、内容に入ってまいりますけれども、テーマ別討議3でどのような議論がされたかということで、共同議長、上川大臣、スウィリアム大臣の共同の名前で国連総会議長に報告をいたしました。詳細は後で資料を御覧ください。
 その次のページも、その報告に添付している図でございます。
 また、18ページはICHARMがメインで進めておりましたものですけれども、先ほど熊本の話でありました「ショーケース」を国連水会議でも開催しまして、上川総理特使にも入っていただきました。参考で熊本水イニシアティブを次のページにつけています。
 さて、では、世界水フォーラムでございます。20ページを御覧くださいませ。第10回世界水フォーラムが今週末、5月18日から24日まで開催されます。といいましても、開会式は20日月曜日ということで、実質的には20日から24日が水フォーラムの開催日になります。インドネシアのバリ島で、アジアで3回目、2003年日本、2015年韓国、そして2014年インドネシアということであります。また、インドネシアとしては、グローバルサウスの代表としてしっかりやるのだということを非常に強く意識しておられます。
 テーマ別プロセスが6つございます。水の安全保障、自然、災害、水外交、ファイナンス、そしてイノベーションという6つでございまして、このうちの3つ目、災害リスクの軽減と管理については、ICHARM小池センター長がコーディネーターとしてこのセッション全体、丸3のテーマ全体をコーディネートしている立場であります。国交省としても、このテーマを中心として全体的にサポートしてございます。
 次に、水フォーラムのざっくりとしたアジェンダでございます。先ほど申しましたとおり、5月20日に開会式がありまして、その後、テーマ別セッション、地域別セッション等々が数多く行われます。また、これと並行しましてサイドイベント、パビリオンのイベントなどが大変多くの数開催されるということでございます。日本としましては、代表を首脳会合、閣僚会合にお送りして議論をリードするということと、もう一つは、バンドン精神水会議という、70年前に開催された会議を踏まえ、グローバルサウスとして水についてどういうことを考えるべきか等々について議論をする元首脳級が入った大変ハイレベルな会議を1日開催します。こちらもインドネシア政府と日本とで非常に多くサポートして実施しております。こちらも日本としては主体的に参加させていただきます。
 水フォーラムについては、以上でございます。ありがとうございました。
【沖主査】  ただいまの御報告につきまして、御質問、コメント等ございますでしょうか。
 よろしければ、20枚目の第10回世界水フォーラムの紹介についてですが、協力と水力外交(Cooperation and Hydro-diplomacy)のHydro-diplomacyは、水力発電のハイドロパワーと違って、これは水外交と訳しておいたほうがいいような気がしますが、いかがでしょうか。
【小浪委員】  小浪でございます。私もそう思いますので、直しておきます。失礼いたしました。
【沖主査】  いえいえ。ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。私もこの世界水フォーラム、日本水フォーラムとして参りますので、向こうでよろしくお願いいたします。
 
<議題3 第26回政府間水文学計画(IHP)政府間理事会の対処方針について【非公開】>
第26回政府間水文学計画(IHP)政府間理事会の対処方針について議論を行った。
 

―― 了 ―― 

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国際統括官付

(国際統括官付)