第34回日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会政府間水文学計画(IHP)分科会 議事録

1.日時

令和2年11月20日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会合

3.出席者

(委員)
立川康人(主査)、礒田博子(国内委員)、小野寺真一、風間ふたば、鼎信次郎、小杉緑子、小林健一郎、佐山敬洋、近森秀高、辻村真貴、春山成子、檜山哲哉、伊藤弘之、村瀬勝彦【敬称略】
(文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
田口国際統括官、亀岡文部科学戦略官、石田国際戦略企画官、植村国際統括官補佐、その他関係官

4.議事録

【立川主査】 本日は、御多忙のところお集まりくださいまして、どうもありがとうございます。
 定刻になりましたので、第34回IHP分科会を開催したいと思います。
 事務局は定足数の確認をお願いします。
【植村国際統括官補佐】  本日は、出席の委員が14名で、委員の過半数ですので、定足数を満たしています。
 なお、本日は、国土交通省、経済産業省、環境省などの関係省庁からも傍聴いただいております。
【立川主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまから第34回IHP分科会を開催します。
 本日の議事のうち、議題2に関しましては、事前にお伝えしておりますとおり、非公開とさせていただきます。
 本日の進行に関しまして、議題1の次は議題3に移らせていただき、その後、非公開議事として議題2を審議させていただきますので、あらかじめ御了承願います。
 非公開の部分を除いて、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 それでは、続きまして、前回の分科会以降、委員及び事務局に交代がございましたので、事務局から御紹介をお願いします。
【植村国際統括官補佐】 配付資料の参考1を御覧ください。今年度、伊藤弘之委員、小野寺真一委員、小林健一郎委員、佐山敬洋委員が新たに着任しておりますので、御報告いたします。
 続きまして、事務局の異動を御報告いたします。
 8月1日より国際統括官・日本ユネスコ国内委員会事務総長として、田口康が着任しております。田口は、本日、所用のため、遅れて参加させていただく予定でございます。
 続きまして、本年4月1日に文部科学戦略官・日本ユネスコ国内委員会副事務総長として、亀岡雄が着任しております。
【亀岡文部科学戦略官】 よろしくお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】 続きまして、7月28日付けで国際戦略企画官・日本ユネスコ国内委員会事務局次長として、石田善顕が着任しております。石田も遅れて参加ということになります。
 続きまして、本年4月1日付けで国際統括官補佐として堀尾多香と国際統括官付ユネスコ第三係長として岡本彩が着任しています。
 最後に、今年度より国際統括官補佐の私、植村正樹がIHP分科会の担当となっておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【立川主査】 どうもありがとうございました。新しい委員の皆様方、また、事務局の皆様方、どうぞこれからよろしくお願いいたします。
 次に、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【植村国際統括官補佐】 本日の配付資料として、議題1から3に合わせて、それぞれ資料1-1から資料3までを用意しています。
また、参考資料として、参考1から参考6までを用意しております。
 うち、参考5の議事録に関しては、事前に委員の皆様に御確認いただいたものです。
 また、議題2の関係で、席上配付資料を別途お配りしております。
 何か不備等ございましたら、事務局へお申し付けください。
【立川主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、早速議題に入りたいと思います。
 おおむね、本日、議題1と議題3までを公開として議事を進めてまいりますが、ここまでの1時間をこの議題に使いまして、残りの1時間を議題2の第24回IHP政府間理事会の対処方針に使いたいと思います。
 議題1に関しましては、IHPの様々な活動を積極的にしてくださっておりますので、議題の中で、それぞれ主として御担当いただいた皆様方に時々振りますので、適宜御発言いただければと思っております。
 それでは、議題1の「前回会議以降の活動報告等について」に入ります。本議題では、この1年間のユネスコ本部での報告と、国内での取組について、今申し上げましたように、それぞれ御担当の方々から御説明いただきたいと思っております。
 説明、報告はそれぞれ3分程度でお願いできればと思います。
 また、それぞれの活動に関する御質問は、全ての報告を受けた後で、最後に一括してまとめて行いたいと思います。
 それでは、まず、本件について、事務局から報告をお願いします。
【植村国際統括官補佐】 資料1-1を御覧ください。前回のIHP分科会が開催された昨年10月以降の活動報告を記載しています。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、5月にはユネスコ日本政府信託基金事業の一環として、ユネスコ・ジャカルタ事務所主催により、科学に関するアジア太平洋地域会合が開催されました。日本ユネスコ国内委員会を代表して、立川主査に御挨拶いただき、昨年、国内委員会で取りまとめたユネスコ活動の活性化に関する建議や、IHP分科会での取組などについて紹介いただきました。
 また、ユネスコの次期開催予定の第24回IHP政府間理事会の議題にも上がっていますが、IHP第9期戦略計画策定タスクフォースメンバーとして、鼎調査委員に参画いただくとともに、タスクフォースを支援する専門家グループに立川主査に参画いただいています。
 そのタスクフォース会合が、今年1月以降、開催されてきました。さらに、後ほど、立川主査からも御報告いただきますが、ユネスコの日本政府信託基金事業により実施するIHP-RSC(アジア太平洋地域運営委員会)の第27回会合及び第2回CHA(Catalogue of Hydrologic Analysis)ワークショップが10月にオンラインで開催されました。
 その他、コロナ禍において、ユネスコ・ジャカルタ事務所主催により、IHPなど、水関連の各種ウェビナーが開催され、我が国から専門家が発表するなどして、積極的に関与してきました。
 後、ここに記載されています、IHPトレーニングコースや、ICHARM(水災害・リスクマネジメント国際センター)の活動、アジア太平洋水サミット、京都大学ユネスコチェアについては、後ほど、それぞれ御担当の各委員から御報告いただきたいと思います。
 私からの説明は以上です。
【立川主査】 それでは、まず、私から幾つか御報告を申し上げたいと思います。第27回IHP-RSC、東南アジア、太平洋域の地域運営協議会に関する報告です。資料を一応、入れていただいていますね。
【植村国際統括官補佐】 資料1-3です。
【立川主査】 資料ですと、少し後ろの方ですけれども、今、和文で植村補佐から概要の説明をいただきました。
 その後ろ、資料1-3ですね。これは、資料で行きますと91ページになります。91ページに、10月26、27日とオンラインで第27回IHP-RSCを行いました。本年度、本来でしたらハノイでベトナムIHP国内委員会がホストをし、この26日の週に実施予定だったのですが、あいにくできませんでしたので、オンラインでこういった対応をしたところです。
 このプログラムが、そこに並んでおります。それぞれ短時間で、特に各国がコロナ禍において、どのような活動をしていたかという報告を中心に情報交換を行いました。
 それから、これとジョイントする形で、ここ数年やっておりますCHAという活動もしております。
 その次の資料93ページから、そのときに使いました資料を入れております。これは、第3回のワークショップになります。
 どういう活動をしているかと言いますと、今、94ページ目のところにCHAの目的とするところを書いております。我々の様々な水資源や水資源管理に関する経験を文書としてまとめて、まず、ワークショップで発表会をして、それぞれの国でどんなことをやっているのかということをお互いに情報共有し、それを文書としてまとめ、正式なユネスコの出版物として出していくという活動をしております。
 これは、皆様も御承知のとおり、河川カタログという出版物をずっと作ってまいりました。約20年間にわたって、こういった活動をしてまいりました。これが96ページにあるところですが、このデータを集めるところから、さらに一歩進んで、データをどのように我々は共有して、さらに、その次の様々な専門分析に応用していくのか、水資源管理に応用していくのかというところに入っていこうというのが、このアクティビティの目標、目的です。
 97ページに、上海でIHP-RSCの前日に行ったワークショップの様子がございますが、このときに第1回をやりました。このときに、各国とも浸水想定区域図、ハザードマッピング、洪水に関する浸水想定区域図を、各国それぞれがどのように作るのかという情報を持ち合うことが有効であろうということで、このようなワークショップを開きました。そして、どのように出版するのかということを相談しまして、2年ごとにワンボリュームずつ出していこうということが決まりました。
 早速、この2年間で努力してまいりまして、昨年、ネピドーでIHP-RSCを開催しました。そのときに、第2回のCHAワークショップを開催しました。マレーシアもその後に文書を出してくださいまして、ボリューム1は非常にうまく出すことができ、昨年10月にボリューム1が出ております。この内容については、IHP-RSCのホームページ等に置いておりますので、是非御参照いただければと思います。
 その後、ボリューム2は何をやるのということをずっと話しておりまして、やはりダム管理が大事ではないかということで皆さんの合意が取れましたので、ダム管理について、今進めていこうとしているところです。
 ボリューム1、ボリューム2とも、新しく委員として御参画いただいております、神戸大学の小林委員に編集長を務めていただきまして、非常に精力的にやっていただいておりまして、うまく行っております。
 小林委員から、もしも御発言いただければありがたいですが、いかがでしょうか。
【小林委員】 立川先生、ありがとうございます。神戸大学の小林でございます。
CHAについて、少しお話しさせていただきます。CHAは、実際は立川先生が相当頑張られて、中心になってやっておられるのですが、私は編集長ということにしていただいたので、サポートしながらやっております。
 最初のテーマは、洪水ハザードマッピングになっておりまして、インドネシア、韓国、マレーシア、ミャンマー、日本はもちろんですが、フィリピンが寄稿してくださいました。河川管理者が主体となるプロジェクトというのは、最終的なインフラ整備も視野に入れて活動する印象がありますけれども、現在のアジア太平洋地域委員会は文部科学省が支援してくださっていますが、会議に参加させていただいていると、どのメンバー国でも共同で実施できる内容の活動が必要だということをよく感じるようになります。
 しかし、必ずしもメンバー国の人たちは、主体的に研究活動や自力でのインフラ整備をする組織の代表ではないため、あまり難しいことを一緒にやろうとしても、できないかなというのが何となく分かるようになってきました。それは、私がIHP-RSCに最初の頃に行かせていただいたときの、CHAの前身の河川カタログも、私は最初の頃、こういうことをやった方がいいのだろうかと少し思っていたのですけれども、CHAに関わってくると、ああ、こういうことなら一緒にできて、みんなの気持ちが近付いていくのだなということを感じるようになりました。そういう意味で、この活動は非常に意義があるということだと私は思っております。
 現在、CHAは、神戸大学の授業などでも利用して、二つ以上の国のハザードマップの構築法をCHAから勉強して、その違いについて述べてくださいというようなレポートを出すような形で使えるということで、今後、ボリューム2はダム操作ですが、こういった水文解析手法のノウハウがどんどんメンバー国で蓄積されていけば、参照する人も増えてくると思いますし、大学における教科書的にも使えるのではないかと思って、非常にありがたいことに関わらせていただいたと思っています。
 以上になります。ありがとうございました。
【立川主査】 小林委員、どうもありがとうございました。
 ボリューム1については、今の資料の111ページから、これは文科省の方で全文PDFファイルを入れていただいております。河川カタログと違って、少し意識しましたのは、貢献が見えるように、誰がこれを書いたのかということが見えるようにして、これはユネスコの正式な出版物となりますので、ここに資料として出した人は、それがいいレポートで多くの方々がそれを引用してくれるということになれば、皆様、論文と同じように出してくれるのではないかと思いまして、そのようなことも意識しているところです。
 第2回はダム管理ということで、小林先生とともにまとめてまいりたいと思っております。
 それでは、続きまして、ユネスコ・ジャカルタ事務所の事業として、京都大学で実施した第29回IHPトレーニングコースについてです。これは、昨年12月ですが、これについて、佐山委員から報告を簡単にお願いします。
【佐山委員】 ありがとうございます。
 このIHPトレーニングコースは、京都大学のの防災研究所の水資源環境センターが主となって、今、開催しています。昔は、テーマを変えて、いろいろなテーマで行っていたと私も認識していたのですけれども、最近はある程度テーマを絞って、例年同じようなことをやる。その代わり、トレーニングコースということで、洪水の解析の方法や、水文統計の実学といったことも含めてトレーニングを行っております。
 もちろん京都大学の学生はもとより、ほかの外国からも参加いただいているという状況です。
 今年は12月なのですが、あいにくコロナの関係で、オンラインで実施しております。
 以上、簡単ですけれども、御報告させていただきました。失礼しました。
【立川主査】 佐山委員、ありがとうございました。
 このオンラインは悪いことはなくて、今年、もう既に30人以上の申込みがありますので、オンラインという形でウインターコースが開催されるということです。
 続きまして、名古屋大学でもIHPトレーニングコースを昨年12月に開催していただいております。
 檜山委員から報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
【檜山委員】 はい。かしこまりました。名古屋大学の檜山でございます。
 名古屋大学では、2年に1度、IHPトレーニングコースを開催しております。昨年の11月27日から12月6日にかけて10日間ですが、Changing Global Water Cycle and the Regional Responsesと題したトレーニングコースを開催いたしました。宇宙地球環境研究所と環境学研究科の教員が中心になって、14名の講師が授業と演習を行ったということになります。
 講義は、温暖化に代表される気候変動が大気水循環と陸域水循環をどのように変動させるのかという観点で講義を行っております。
 そして、演習は、雲解像モデルの出力データの解析、衛星計測降水データの解析、大気再解析データの解析、氷河質量収支モデルの解析、水や窒素の安定同位体組成の計測、解析、大気化学データの解析といった演習を行いました。そして、次のページの写真にありますが、名古屋大学の宇宙地球環境研究所が所有している気象レーダーの見学、あるいはデータを出力してみるといった演習も行っております。
 非常にこじんまりしたトレーニングコースにはなりましたが、ハングラデシュの大学の先生、ネパールの大学の先生、東京大学の博士後期課程の学生さん、名古屋大学のアジアサテライトキャンパス学院モンゴル校がございまして、そこから2名、合計6名の研修生に参加していただきました。
 ほぼ同時期に、先ほど佐山先生から御報告がありましたように、京都大学防災研究所でもトレーニングコースを開催しておりましたので、相互にどちらのトレーニングコースも受講できないという形になってしまいましたが、その辺に関しましては今後の課題ということで、本分科会で検討していくべき課題かと思います。
 以上です。
【立川主査】 檜山委員、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、ユネスコチェアについて、私から御報告申し上げます。ユネスコチェアは、京都大学の寶馨教授が代表として、昨年の春から進めているものです。
 今年の4月、残念ながら、このような状況で、なかなか学生にこのユネスコチェアの広報が行き渡らずに、新規に募集するということが難しい状況が続いておりました。幸い、秋に入りまして、やっと留学生もやってくるようになりましたので、日本人も含めて、また10月の半ばぐらいにオンラインでガイダンスをやりまして、少し少ないですが3名の新規学生がユネスコチェアとして登録してくれています。
 それから、既に昨年登録した学生も合わせて、資料1-4です。217ページに、「Customized SDGs Yakushima School Online Program」という名前で、そこにありますように、屋久島に学生を連れていって、そこで、「木を見て森も見る」というプログラムを作って、これは文部科学省からも予算的なサポートを一部受けて実施する予定でおりました。この屋久島というのは、特にIHPと人間と生物圏(MAB)計画との関連の上に置いて、MABでやっておられる様々な取組のところ、水関係も非常に関連しますので、そこに学生を連れていって、実際に学ぶということをユネスコチェアでは特に大事にしております。
 その一環として屋久島でやろうとしていたのですが、結局学生を連れていくということができなくて、一部の教員、限られた人ですけれども、向こうに行って、向こうからオンラインでその状況を配信するという形でオンラインプログラムを実施しました。これが9月11から13日です。そのプログラムをここに付けております。これについても、何とかオンラインという道具を使って、少しでもいい教育の場を学生に提供できないかということで、こういった活動をしております。
 以上、ユネスコチェアについてでございます。
 それでは、引き続きまして、国土交通省、村瀬委員から水分野に関する国際的な動きについて御報告がございましたら、御発言をよろしくお願いします。
【村瀬委員】 国土交通省、村瀬です。
【立川主査】 よろしくお願いします。
【村瀬委員】 よろしくお願いします。
 資料に記載させていただいているような形になっておりまして、昨年度、今年度と、特に水災害等に関して活動を行っているということです。
 簡単ですが、以上です。
【立川主査】 あと、今年、熊本で開催予定であった第4回アジア・太平洋水サミットが延期になって、これはまた次年度、熊本で予定されているということですよね。
【村瀬委員】 はい。こちらは、次年度ではなくて再来年度になります。
【立川主査】 再来年度ですか。
【村瀬委員】 2022年の4月の23-24日という形で、少し先になりますけれども、既に熊本市からも対外的にアナウンスしているところです。
【立川主査】 はい。了解です。どうもありがとうございます。
 それでは、ICHARMの活動について、伊藤委員からお願いします。
【伊藤委員】 伊藤です。それでは、4ページ目ですね。ICHARMについて、活動報告させていただきます。
 ICHARMについては、本年2月に日本政府とユネスコ間での協定が新たに結ばれました。外務省さん、国土交通省さん、その他、いろいろな機関にお世話になっております。
 それで、この6月に新しい協定書に基づく最初のガバニングボードということで開かせていただきました。このコロナ禍で開催は難しいかと思いましたが、全てリモートでの会議方式で、所定の委員の方には皆様御参加いただきまして、たしか後ろの方にICHARMから提出しました2018年度から2019年度までの活動報告、アクティビティーレポートが付いていたと思いますが、そういった内容を御報告させていただいた上で、次年度以降のワークプランについても御承認いただきますとともに、活動について高い評価をいただいたところでございます。
 ユネスコからは、さらにユネスコ・カテゴリー2センター同士の連携を強化して、国際的な取組をどんどん深めていってくれといった御意見もいただきまして、我々としても、これらの意見を踏まえながら、さらに活動を進めたいと思っております。
 次の5ページ目ですね。「新型コロナウイルス感染症拡大防止を考慮した洪水被害リスク軽減に関する取組」ということで、もともとは国内向けに作ったものでございまして、水害、洪水が発生しますと、避難所に避難したり、水災害対策本部という自治体での危機管理組織が設置されたりしますが、そういったところで新型コロナウイルスに感染する危険性が高まるといったことがあります。そういった場面を想定しながら、留意すべき事項を、「水害対応ヒヤリ・ハット事例集」という形でまとめました。これは、国内向けにまとめはしましたが、海外の洪水でも同じような場面に出くわしますし、海外の危機管理でも同じようなことに困っているのではないか。
 それから、コロナ禍で、今年度、国際洪水イニシアチブ(IFI)活動が停滞していたということもありまして、コロナ禍での水害対策ということで、ウェビナーをIFI対象国参加の下、開かせていただきました。フィリピン、スリランカ、ミャンマー等から60名以上の方に御参加いただきまして、大変盛況にこのウェビナーが開催されたと思っております。
 それから、その次が、西アフリカにおける気候変動を考慮した水災害軽減のプラットフォームということで、これは、ユネスコから委託を受けまして、西アフリカ地域、ニジェール川、ボルタ川流域、関係13か国だったと思いますが、ここを対象に早期の洪水警報システムの開発と、それを使った危機管理の技術について、ICHARMで技術開発をしますとともに、その成果を地元でしっかりと根付かせるためのトレーニングを行うという内容でございます。
 これについても、本来ですと我々ICHARMの職員が現場に赴きまして、実地でレクチャー等、研修をする予定だったのですが、コロナであいにく向こうに行けないということで、リモートを使ったe-Learningを開発いたしまして、ユネスコ本部、アフリカの気象水文センター(AGRHYMET)、ニジェール川流域機構(NBA)、ボルタ川流域機構(VBA)との協力の下、技術者の研修に取り組んでおります。
 これについては、外務省さんにはユネスコへのファンドの確保、なおかつコロナ禍でのプロジェクトの延長を余儀なくされたということで、予算の延長手続を国内でしていただいたということで、大変お世話になっております。このプロジェクトは、今現在もまだ続いておりまして、来年の3月を目途に、この地域のリーダーとなる技術者を育成することを目途に、今現在、e-Learningを進めているところでございます。
以上です。
【立川主査】 伊藤委員、どうもありがとうございました。
 ICHARMの活動、本当に広範、多岐にわたっておりまして、非常にいろいろなところでICHARMはすごいねということを言ってくださいまして、我々も本当にありがたく思っております。
御報告どうもありがとうございます。
【伊藤委員】 ありがとうございます。
【立川主査】 ほかに追加の御報告や御質問はございますでしょうか。
 それでは、少しだけ、先ほど十分に申し上げられなかったことを発言させてください。 ユネスコチェアのWENDIなのですが、現地のサイトをどのように選ぶかというところで、特にMABとの関連が非常に重要だと思っております。それで、今回も屋久島というところがあったのですが、一つ、非常にうまく行っておりますところが、大台ヶ原です。大台ヶ原は、比較的関西からも近いです。これは、農学研究科の先生方が特に主体となって、そこで行われている活動に学生を連れていって、実際に現地の実習も含めて、様々な学生に体験させるということで、非常にうまく行っております。今年、そういうことができなかったのですけれども、そのようなことを引き続きやっていければなというのが、このユネスコチェアの一つの大きなところでございます。
 それから、先ほど小林委員から発言がありましたが、一つ、東南アジア、太平洋域の中で、何かみんなで一緒にやろうよというプロジェクトがあると、皆さん手を挙げて、結構やってくださいます。それを義務のようにするとなかなか難しいのですが、テーマとして、こういうテーマを掲げて、皆さんで情報共有しませんかということになると、やれるところはどんどん手が挙がってまいります。
 今、小林委員にCHAのボリューム2の全体的な、どういう構成で文章を寄せてくださいねというテンプレートを考えていただいております。そのテンプレートをアジア太平洋各国に配って、こういう形で貢献をお願いしますという形をやっておりまして、この前、オンラインですけれども、ダムに関する様々な洪水、利水、利用がありますので、それについてお声掛けをしましたら、かなり積極的に貢献したいということでした。
 これについては、我々の方でどなたかにお願いして、この文章をまとめていくところなのですが、基本的には京都大学の野原助教にお願いしているところです。データや、いろいろなダムの情報を集める上で、もしかしたら村瀬委員に御協力をお願いしたり、情報提供等をお願いしたりすることがあるかもしれませんので、その場合はお願いできれば大変ありがたく存じます。
私から少し追加で申し上げさせていただきます。
 ほか、委員から何か御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、議題2に入る前に、先に議題3「日本ユネスコ国内委員会の機動的・効果的を運営について」に入りたいと思います。
 これは、まず、植村補佐から御報告いただけますでしょうか。よろしくお願いします。
【植村国際統括官補佐】 通し番号226ページの資料3に基づき、御説明させていただきます。
 今年2月の第146回日本ユネスコ国内委員会総会において、来年2021年が日本のユネスコ加盟70周年を迎えるにあたり、社会的課題への対応にスピード感が求められる中、機動的で効果的な議論が可能となる体制を検討すべきとの意見が委員からありました。これを踏まえ、こちらでは現状の課題及び見直しの方向性をまとめた内容を記載しています。
 この内容は、各専門小委員会において委員の意見を伺った上で、最終的に今年9月2日に行われました第147回日本ユネスコ国内委員会総会で承認されたものです。
 現状の課題として三点ございまして、一つ目が科学を含む各専門小委員会と地域のユネスコ協会代表委員が入る普及活動小委員会の議論が別々に行われており、専門分野とユネスコ活動の普及に関する知見の往還がされにくい状況にあること。
 二点目が、AIの倫理など、自然科学、人文社会科学の垣根を越えた議論が求められる分野が増えていること。
 三点目として、実態として、自然科学小委員会と人文・社会科学小委員会は共通する議論が多く、合同開催が続いていることが挙げられました。
 それを踏まえ、見直しの方向性として、IHP分科会にも関係する部分をお伝えしますと、主に二つありまして、自然科学小委員会と人文・社会科学小委員会については、一体化した「科学小委員会」ということになります。
 また、現在の「普及活動小委員会」というのは、その役割を終えて、地域のユネスコ協会の代表委員の方が、新たにできる「科学小委員会」を含む、それぞれの新しい各専門小委員会に所属することとなります。
 現在、文部科学省内で国内委員会専門小委員会組織規程の改正手続を行っており、今年12月1日付けで一部改正がなされる予定です。
 227ページには、組織規程の見直し前と見直し後の改正内容について記載しています。
 それで、組織規程の改正後、12月1日付けで科学小委員会において分科会の設置要項の改正手続も含めた持ち回り審議を行う予定です。それによって、IHP分科会が、現在は自然科学小委員会の下にあるという位置付けですけれども、これが「科学小委員会」の下に設置されるということとなります。
 議題3に関する説明は以上です。
【立川主査】 どうもありがとうございました。
 今、自然科学小委員会の中には、礒田先生と私が参加しているということだと思うのですが、新しい体制になりますと、「科学小委員会」の下で、まだ現状の委員としては、礒田委員と私が参加することになるということで正しいでしょうか。
【植村国際統括官補佐】 はい。そういう御理解で結構です。
【立川主査】 はい。ありがとうございます。
 今の御説明を受けまして、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
 どうもありがとうございました。
それでは、全体的な構成を少し変更して、より活発にユネスコ活動ができるようにということでございますので、以上、御報告を申し上げます。
 それでは、議題1、議題3が終わりました。この後、議題2の「第24回IHP政府間理事会の対処方針等について」というところに移りたいと思いますが、ここからは非公開です。

(傍聴者等退席)
<議題2 第24回IHP政府間理事会の対処方針等について>
令和2年11月30日から12月4日にかけて開催される24回IHP政府間理事会(※)について、我が国の対処方針案の審議を行った。
※IHP分科会開催後に、第24回IHP政府間理事会は延期されることが決定。

── 了 ──

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