第32回日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会国際水文学計画(IHP)分科会 議事要録

1.日時

平成30年5月28日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省12階 国際課応接室

3.出席者

(委員)
 立川康人(主査、国内委員)、礒田博子(国内委員)、黒田玲子(国内委員)、河村明、谷口真人、近森秀高、辻村真貴、小杉緑子、春山成子、檜山哲哉、堀智晴、澤野久弥、松木洋忠【敬称略】
(関係省庁)
 内閣府、経済産業省、国土交通省、国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント(ICHARM)国際センター関係官
 (文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
 川端国際統括官、秦国際統括官補佐、その他関係官

4.議事要録

【立川主査】  本日は、御多忙のところお集まりいただきまして、本当にどうもありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【齋藤ユネスコ第三係長】  本日は、現時点で出席の委員が12名いらっしゃいます。委員の過半数ですので、定足数を満たしております。
【立川主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまから第32回IHP分科会を開催いたします。
 本委員会は、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づき、原則公開することといたします。
 ただし、議題2、第23回IHP政府間理事会の対処方針等に関しましては、公開することにより、当事者または第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがあると認めますので、非公開とさせていただきます。傍聴者については、議題1終了後に退室していただきますので、御了承ください。
 また、非公開の部分を除いて、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 続きまして、前回の分科会以降、委員の交代がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【齋藤ユネスコ第三係長】  本日は、委員名簿をお配りしておりますけれども、4月以降で調査委員として3名新しく加わっていただいておりますので、御紹介します。
 まず、東北大学工学研究科の風間聡委員。東京工業大学環境・社会理工学院の鼎信次郎委員、京都大学農学研究科の小杉緑子委員です。本日、風間委員と鼎委員は御欠席ですけれども、小杉先生に御出席いただいております。
【立川主査】  ありがとうございます。
 それでは、小杉先生がいらっしゃるということで、一言頂けますでしょうか。
【小杉委員】  はじめまして。京都大学の小杉と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、森林水文学をやらせていただいていまして、この会は初めてなんですけれども、勉強させていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【立川主査】  これからどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。
 本日は、オブザーバーとして、ICHARMから池田上席研究員、それから関係省庁からも御参加を頂いております。
 次に、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【齋藤ユネスコ第三係長】  議事次第に、配付資料と参考資料を一覧にさせていただいております。配付資料としては、資料1から資料3-3、参考資料は、参考1から参考3となっております。
 配付資料のうち、資料3-1の後ろに、資料番号は付いておりませんけれども、3-1の補足資料として、クリップでとめたユネスコのレターを置かせていただいております。
 これ以外に、きょうは、ICHARMの方から、ICHARMのリーフレットを頂いております。また、立川先生から、「Catalogue of Hydrologic Analysis」ということで、1枚物のカラーの資料を頂いております。
 資料の不足などございましたら、事務局までお申し付けください。
【立川主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題ですが、大きく2つございます。1番目は、前回会議以降の活動報告等についてということで、それぞれいろいろな事業が活発に行われています。それに合わせて、また次の展開に関するいろいろな企画も出されてきておりますので、ここでいろいろ皆様から御意見を頂ければと思います。概ね40分程度、1の議題を考えております。
 6月の2週目に第23回のIHP政府間理事会がありますので、それに対する対処方針案についてというのが2番目の議題であります。こちらが後の1時間程度をとりまして、いろいろと御意見を頂ければと思います。
 それでは、議題1の前回会議以降の活動報告等について、に入ります。
 本議題では、この1年間のユネスコ本部での主な活動の動きと、国内での取組について、それぞれ御担当の皆様から御説明を頂きます。報告、説明は、それぞれ最大3分程度でお願いできればありがたく存じます。また、それぞれの活動に関する御質問は、全ての報告を受けました後で、最後にお伺いしたいと思います。
 それでは、まず、ユネスコ本部の動きとしまして、昨年11月に2年に一度のユネスコ総会が開催されておりますので、本件について、事務局から報告をお願いいたします。
【秦国際総括官補佐】  資料1をごらんください。
 1番目のユネスコ総会ですが、ユネスコの最高意思決定機関として、2年に一度開催される総会になります。2017年10月30日から11月14日にかけて、パリの本部で開催されました。
 IHPの関連議題としては、2つ御報告がございます。1つは、現在、ユネスコで走っている事業予算案、これは39C/5と呼ばれるものですけれども、事業予算は主要項目、あと下位の達成目標というような形で構成されているのですが、IHPに関しましては、このたび主要項目という中できちんと位置付けようということが決まっております。したがいまして、水の安全保障について主要項目に追加するということで、修正案が認められました。
 ただし、この主要項目に入ったからといって、事業予算が増えたということでは決してございませんので申し添えます。
 もう1つ、IHP政府間理事国選挙、こちらは我が国につきましては、IHPの理事国としての任期が今回の総会で切れるというところでございましたので、選挙ということになりました。我が国が所属するアジア・太平洋地域からは、イラン、韓国、スリランカとともに、日本も選出されました。このたびの任期は、第40回総会、2021年まででございます。
 簡単ですが、以上でございます。
【立川主査】  どうもありがとうございます。
 1番目の予算、主要項目(MLA)に入ったというのは、ビューロー会議でも随分と議論がありまして、水に関することが、ビジビリティがなかなかうまく上に上がってこないということで、できるだけ上の方に上げた方がいいんじゃないかというようなことがビューロー会議でも議論されまして、それをこちらのユネスコ総会でもお認めいただいたということになります。
 それから2番目、我が国はまた選出されまして、4年間、再び理事国として参加するということであります。
 それでは、今、資料1を御覧くださっていると思いますので、これ以降、この順番に沿って、各委員から御報告をお願いしたいと思います。
 まず、私から幾つか御報告を申し上げたいと思います。
 2のIHP関連国際会議の(1)第25回IHP東南アジア太平洋地域運営委員会(RSC)でございます。
 これは、ユネスコジャカルタ事務所に日本が拠出している信託基金によって運営されているものでございます。ずっと長らく日本が支援をしておりまして、同地域のIHPのネットワークの強化に非常に貢献をしております。これは毎年必ず、ほぼ11月に開催しておりまして、昨年は11月13日から16日にかけて、マニラで第25回のRSCを開催いたしました。今、RSCのセクレタリーを私が担当させていただいております。
 この中では池田様に御参加いただきました。ありがとうございました。この委員会が何をしているかということですが、東南アジア各国のIHP代表が参加いたします。それから、ユネスコジャカルタ事務所がセクレタリーアート(委員会事務局)の役割を引き受けて会議を運営してくれます。それから、カテゴリー2センター(C2C)が参加しておりまして、ICHARM、HTC1(Kuala Lumpur)、APCE2、それから韓国の新しくできたi-WSSM3からの出席がありました。それから、オブザーバーとして、今回は、インド、パキスタン、ドイツからの参加がありました。こういった機関がどういうことをやっているかという取組状況を報告するとともに、次の企画を考えているということでございます。
 後で時間がございましたら少し説明したいと思いますが、ずっと約20年、最初にこのRSCができたときの東南アジア各国の共通の取組として、リバーカタログを作ってまいりました。恐らくこの中にもリバーカタログの作成に随分と御尽力頂いた方もいらっしゃるかと思います。リバーカタログは約106の河川が収録されておりまして、ほぼ東南アジアの河川を収録しているといえると思いますので、新しい企画を考えてはどうかということを、ここ数年ずっとRSCで議論しておりまして、それがこの中の「Catalogue of Hydrologic Analysis(CHA)」というものでございます。これについては、時間がありましたら後で少しお話をしたいと思います。
 それから、(2)第26回のRSCですが、これは今年11月3日から3日間にわたりまして、中国の上海でRSCが開催される予定です。また、その直後に、これはユネスコのIHP本体自身が大きく貢献している大きな国際会議ですけれども、11月6日から9日にかけて第8回のGlobal FRIEND-Water Conferenceが北京で開催されます。RSCをどこでやるかということを随分議論いたしまして、第8回のGlobal FRIEND-Water Conferenceにも参加される方が多いと思われますので、できるだけこれの直前にやった方が効果的ではないかということで、3日にレジストレーション(参加登録)、4日にRSCを開催して、5日にフィールドトリップ、プラス移動というようなスケジュールを考えております。
 この打ち合わせでいろいろと新しい企画も考えており、8月の最終週に河海大学で、RSCの実施、それからCHAの打ち合わせを目的とする事前会合を予定しております。
 それから、先ほど少し飛ばしてしまったのですが、第25回のRSCの一番大きな目玉だったのが、これまでずっと東南アジアの各国をRSCのメンバー国として運営しておりましたが、前回もインド、それからパキスタン等からの参加もありまして、アジアの国々からの参加の要望もあります。これまではオブザーバーという形で、参加してくださって議論をしていたわけですけれども、これをこの際、アジア・太平洋地域全域に拡げた方がいいのではないかという議論をいたしまして、全会一致でそのようになりました。ですので、次回以降は、会の名称も「アジア太平洋地域運営委員会」ということになります。これが一番大きなことだったかと思います。
 (3)の第56回のIHPビューロー会合ですが、今年の2月20日から22日にかけて、ユネスコ本部でビューロー会合が開催され、私が参加させていただきました。主要な議題としては、IHPの政府間理事会の規定、手続、規則の改正がずっと議論されております。これが1つ大きな議題として次の政府間理事会の議題になります。パリのユネスコ本部で、日本からは代表部の方に出席頂いて、様々な案について議論をしています。それにつきましては、文科省、それから私もそこの中に入りまして、方針について議論をしておりまして、これは後でまた出てまいります。
 それから、第8期の事業、IHPは今、第8期になっておりますけれども、この8期の事業の評価が始まろうとしております。
 それから、第8期に引き続きまして、第9期としてどういうような事業を進めていくかということで、第9期の目標を定める時期になっております。この第9期の計画作成に向けて、新たなできるだけ若い人をタスクフォースに派遣してほしいというような要請もあります。
 それから、我が国はICHARMが非常に活発に活動をしていただいておりまして、このカテゴリー2センターの活動状況も、この会合の中の大きな議題でした。ICHARMの活動については、非常にお褒めを頂きまして、私としても大変ありがたく思うところでございます。
 それから、SDG6の実施状況、モニタリング等についても議論がなされたということが、この第56回IHPビューロー会合でございました。
 各項目、全部で3分ぐらいですよね。
【秦国際総括官補佐】  少し余裕がありますので大丈夫ですけれども。
【立川主査】  いいですか。
【秦国際総括官補佐】  はい。
【立川主査】  では、少しお時間を頂けるようでしたら、1ページ戻っていただいて、CHAとは、どういうようなことを考えているのかということを、この場でも少し御報告をしたいと思います。
 RSCのずっと長らくやっていた大きな共同事業がリバーカタログの作成ということで、これは皆さんも御存じのとおりかと思います。全部で第7巻まで出ておりまして、全ての文書を今、PDF化して、RSCのホームページに置いております。
 その中には、例えば東南アジアの何々国の何とか川という情報が出てきたときに、その当時はなかなかそういう情報がなかったものですから、基本的な水文学的な情報とか、あるいはそこでの土地利用とか、あるいは水循環に関する基本的な情報が盛り込まれています。それ自身は非常に有効な情報として、多くの方々が協力して作っていこうということで賛同しまして、ずっとやってまいりました。これが大体目的を達しただろうということで、次、できれば皆さんで協力して新しい事業を起こしていきたいということを、ここ3年、4年ぐらい議論を続けております。これにつきましては、近森委員にも大変御尽力いただいているところであります。
 何回か議論をRSCでも重ねまして、最初、我々は、これまでデータを集めるということを一生懸命やってきましたので、今度は、やっぱり多くの方が、そのデータを使ってどんなことが分かるのか。あるいは、具体的に、例えば水資源とか、あるいは水防災を考えていくときには、そのデータを基に、例えばハザードマッピングしたりとか、あるいは100年に一度のまれな現象を推定したりとかというような、データを分析して、新たな情報を作っていくということになるんですが、じゃあ、そういう情報をどういうふうに作っていくかというふうに、自然とシフトしていくだろうと議論がなりました。
 最初は、それでしたら、共通のソフトウエアを集積して、ソフトウエアのカタログみたいなものを作っていくのはどうかということが議論されました。例えば、我が国では、ICHARMではIFASとか、RRIというモデルが使われていて、かなり多くの国でそういうシミュレーションモデルが使われるようになっています。ですので、そういうソフトウエアを集積したようなカタログを作ってはどうかという話になりました。
 ところが、これにつきましては随分と異論が出まして、ソフトウエアの集積では、そんなにたくさんあるわけでもないし、各国の誰もが協力できるわけではないので、そういう形では限界があるのではないかという議論になりまして、そこでまたいろいろ意見をもみまして、最終的に今決着しつつあるところは、だったら、例えばハザードマップが非常に有効な情報であるとして、では、そのハザードマップは、日本ではどんな作り方をしているのか。東南アジアあるいはアジアの各国はそれをどういうような形で作っているのかということを1つのカタログ形式として集めておくと、そういうことは各国にとって非常に有効ではないのだろうかと。例えば日本だとこのようなツールを使って、こういうハザードマップを作る、あるいはこういうような技術を使って作るということがここに盛り込まれることになりますので、そういう方向でどうかというような議論が、今なされてきております。
 テーマとしては、ハザードマップに限らず、いろいろなテーマがあり得ますので、そこらついて今、議論をしているところでございます。
 少しお時間が延びますので、これについては、もしも時間があるようでしたら、この会の最後にその他ということでまた改めて皆様からの御意見を頂戴できればと思います。
 長くなりまして済みません。
 それでは、次の項目に参りたいと思います。
 3番の国内のIHP関連活動等ということで、まず1番目、第27回IHPトレーニングコースについて、これは堀委員からお願いできますでしょうか。
【堀委員】  それでは、御報告申し上げます。
 第27回のIHPトレーニングコースですが、最近は名古屋大学と京都大学で交互に開催するということになっておりまして、27回は私ども(京都大学)が担当し、昨年の12月4日から2週間、防災研究所で行いました。
 「気候変動下における統合流域管理」というテーマを掲げて、気候変動が流域の水資源、水災害、生態系サービスへ与える影響についての知識を身に付けるということを目的としました。
 それから、演習を通じて流域スケールの降雨-流出-氾濫解析の具体的な手順を習得することを重視しました。2週間ですので、どこまで身に付けられるかという議論はあろうかと思いますが、まずは体験するということを大切にしました。
 参加者は、いろいろな国から来てくださいました。インドネシア、エジプト、オマーン、カンボジア、ソロモン諸島、中国、日本、パキスタン、ブルガリア、ベトナム、ミャンマー、モンゴルと12か国17名で、このうちソロモン諸島から来られた方とモンゴルから来られた方がユネスコジャカルタ事務所の予算で派遣していただいたということです。
 研修のプログラムですが、テーマに沿った基調講演を2つ、寳馨先生と中北英一先生からお話しいただいて、あとは8項目の講義、これは京都大学防災研究所と工学研究科の先生方で、ほぼ毎回、自分の科目を同じ内容で、基礎的なことを講義するという形に今はしています。かつては毎回新しい話を用意したりしていたんですけれども、講師の負担が大きくなることと、毎回受講される方が違いますので、むしろベーシックなところは変わりなく講義した方がいいだろうということで、そういう形でやっています。
 第1週は、流域スケールの降雨-流出-氾濫解析、それから地理・気象情報のデータ処理方法の具体的な手順についての講義と演習を集中的にやって、それから第2週は、少し水資源的というか、デザインやオペレーションのような話で、貯水池システムの運用と管理や、水資源・防災・生態系サービスの持続的利用ということで、理論と調査研究手法を解説した上で、実地を行うというようなことを行っています。
 また、現地視察は天ヶ瀬ダムと南郷洗堰、それから琵琶湖博物館についてエクスカーションを行ったということで、皆さん、非常に熱心に取り組んでくださいました。
 先ほど、12か国から参加されたということを申し上げましたけれども、英語の集中講義で、かつ具体的な演習が付いているというような科目のニーズが、特に留学生の皆さんには意外に高いようで、IHPから派遣されてこられる方は、予算の限りもあって限られているんですが、周辺の大学院生が参加してくれているということで、ちょうどいいニーズに合った試みなのかというふうに思っています。
 参加者からアンケートをとると、やはり実際に手を動かして計算をしたとか、データ解析をしたというところで、理解が深まったということがありますので、2週間と時間は限られていますが、今後もそういう形を考えたいなというふうに考えています。
 以上です。
【立川主査】  堀委員、どうもありがとうございました。
 トレーニングコースにつきましては、名古屋大学と京都大学で1年ごとにやっていただいているところであります。今年度は、名古屋大学ではIHPトレーニングコースは実施予定はないというふうに事前に伺っておるところですが、檜山委員、いかがでしょうか。少しその辺お話しいただきたいと思います。
【檜山委員】  そうですね、残念ながら、ユネスコジャカルタオフィスから、第28回IHPトレーニングコースのための援助というか支援、研修生の我が国への渡航の費用という点で、少し予算的に厳しいというふうにお聞きしておりまして、今年は実施を見送りたいと思います。
 来年度、2019年度以降につきましては、ジャカルタオフィスの方のドナーミーティングが開かれますので、そのときに来年度の予算が潤沢にあるということであれば、第28回のトレーニングコースを名古屋大学で開催したいというふうに考えております。
 以上です。
【立川主査】  どうもありがとうございます。
 京都大学の防災研で実施していただいておりますトレーニングコースは、いろいろな学生さんも参加していて、これまで2年に1回だったところですが、名古屋大学がされるかされないかに関わらず、毎年の方向も考えていただいている。ただ、その場合は、名前をどうするかというのはちゃんと考えないといけないと思うんですが、そのあたりは、堀委員、いかがでしょうか。
【堀委員】  当初、名古屋大学との隔年開催をやり始めたころは、我々もとまどうことが多かったんですけれども、何回か繰り返して、学内の教員が、どういう科目、何について解説するかというあたりが固まってきたこともありまして、ロジスティクスを除くと、講義そのものにはそう大きな負担にはならなくなってきています。また、先ほど、参加者の内訳を申し上げましたように、実は参加者のほとんどが周辺の大学院生で、集中講義という形で科目登録をしてあげると、留学生の方には非常に役に立つようです。水資源環境センター内でも議論したのですが、ユネスコジャカルタオフィスからの研修生の派遣があるなしに関わらず、大学の集中講義の科目として同じ内容のものをやろうかというようなことを考えています。
 それは特にIHPトレーニングコースの名前を冠していただいても冠していただかなくてもというところですが、そこは柔軟に考えていければいいと思っています。今年度も12月の実施に向けて準備を始めたところなんですが、もし名古屋大学は今年は見合わせられるということで、ここでもしお許しをいただけるのであれば、私どもとしては、それを28回と呼んでいただいても、それは問題ないですし、やっぱりこうでないとということであれば、そういう御判断を頂ければと思います。そんな状況です。
【立川主査】  どうもありがとうございます。
 檜山委員、いかがでしょうか。
【檜山委員】  非常にすばらしい御提案だと思いますので、是非第28回目ということで、京都大学さんでまたお願いできればと思います。
【堀委員】  ありがとうございます。
【立川主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、今年度は、たまたまというような、臨時という位置付けでしょうか、決して名古屋大学の方でIHPトレーニングコースをもうやめられるという位置付けではなくて、今回はたまたまそういう形で京都大学の方でやってくださるということですので、第28回という位置付けで京都大学の方で、今年、トレーニングコースをやっていただくということでよろしいでしょうか。
 では、そのような形で進めていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 次は、ユネスコチェアですね。次は、(2)京都大学のユネスコチェア登録でございます。これは京都大学の思修館に移られました寳教授がユネスコチェアホルダーとして、この4月に認められたものでございます。
 この目標とするところですけれども、水関連分野は非常に広い分野となっております。ですので、これまでの専門分野の枠を超えた学際的な知識と俯瞰的な視野を持ち、国際的な枠組みで活躍できるような人材を育成することが重要と認識しているところでございます。京都大学を中心とする研究教育機関で「水・エネルギー・災害研究に関するユネスコチェア KUC-WENDI」を昨年の4月にユネスコ本部に申請し、申請が認められたところでございます。現在、学際的・系統的な水関連の大学院カリキュラムを確立すべく、今、カリキュラムを作成して、次年度から正式にスタートするということで活動を開始しております。
 今年の2月13日に、ユネスコIHP政府間理事会議長のアンドラス・ソロジーナギ氏、それからユネスコ水科学部長のブランカ・ヒメネス-シネスロス氏を京都大学にお招きしまして、京都大学の山極総長御参加のもとで寳教授の進行によりまして、ユネスコチェアの協定締結式が開催されたところでございます。
 7月30日には、キックオフシンポジウムを京都大学で開催する予定としております。
 以上がユネスコチェアでございます。
 それでは、続きまして、国土交通省の松木委員から、水分野に関する国際的な動きについいて、報告をお願いいたします。
【松木委員】  報告させていただきます。
 水分野、特に防災関係、水と災害の関係のことで、項目が6つに及んでいますが、一連のものですので、かいつまんで説明させていただきます。
 まず、前段として、2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択されました。その関係もありまして、この水分野でいろいろな目標がありますけれども、それを達成していこうと。そのときに不確実要因、災害対策のことも考慮しておかないと、目標達成にいかないという認識が国際議論で形成されつつあります。それを受けまして、この(1)から(6)までのことをざっと触れます。
 まず、(1)番、ブタペスト水サミット、これはハンガリー政府が3年に1回、任意にやっているところではありますけれども、ここで初めて気候変動と災害のところで、国際的なシンポジウムの中で災害が位置付けられた、アウトプットとして位置付けられたのはこれが最初だったかと思います。
 そのような議論を受けつつ、一昨年、2017年7月は、国連本部におきまして、水と災害特別会合が行われました。これは2年に1回行われているものですけれども、各国の元首級の参加がありまして、認知度が大変高まってきた。過去2回と比べましても、国際的な舞台での認知度が高まってきたということがあります。あとでもう一度出てきますので、今触れました。
 ここから4つが国際的な会議ですけれども、(3)第3回アジア・太平洋水サミット、これはヤンゴン宣言というものを取りまとめまして、持続可能な開発のために、水、安全保障及び防災関係、不確実要因にどう取り組むのか、そういうものが特にアジア地域については重要であるという宣言がなされまして、それを持ち込む形で、(4)番、第8回世界水フォーラムが開かれました。ブラジルにおいて開かれまして、ここでも防災関係の話題が盛り込まれています。特に我々にとっては、日本の新聞各社が、皇太子殿下の基調講演のことを報じておりますけれども、現地に行きまして、向こうの聴講の方も大変印象的であったということを言われておりました。
 (5)番、水のハイレベルパネル、これが今後大変影響力を持つと思いますが、活動としては、2016年、17年で終わりました。何をやるかというと、SDG6を中心にしました水関係のこと、どんなことをやっていかないといけないのか、それを諮問委員会という形で、国連と世銀が諮問をしたものに対して最終提言を返したというものです。国連と世銀ですので、今後の両者の活動の中では、今回の諮問委員会提言が、物差しといいますか、参照されることになろうかと思います。
 (6)番、その1つになるんですけれども、国連で水の国際行動の10年が、この2018年3月から開始されました。これは何をやるというのは全部決めてしまっているわけではないんですけれども、10年間の活動を区切って、水関係の国際的な協調的な活動をしていこうということが申し合わされています。
 このアクションプランが発表されたのですけれども、その中でも国際会議を通じた知見の共有が強調されておりまして、この水と災害の関係におきましては、国連の水災害に関する特別会合、これはここのところ2年に1回、過去3回やられていますけれども、今後とも2年に1回ということを目途に、10年間の中で活動を続けていきたいと考えています。
 防災分野の国際展開について、これまで国土交通省として取り組んできていたところではありますけれども、過去2年の間に大変大きな会議だとか、宣言だとか、新しい計画だとか、大変大きな進展があったものと思っています。
 以上、報告させていただきました。
【立川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、報告の最後になりますが、ICHARMの活動につきまして、澤野委員からお願いいたします。
【澤野委員】  ICHARMの活動について報告いたします。お手元の資料2を使っての報告となります。ちょっと分厚い資料ですが、レポート、これは今年の2月14日に、ICHARM運営理事会が開かれまして、そこで紹介されたものです。この運営理事会は、ユネスコと日本政府との間の協定に基づいて2年に1回開かれているもので、2年間の活動報告と、今後2年間の活動内容についての審査を行ったものです。運営理事会メンバーは、土研(国立研究開発法人土木研究所)の理事長が議長となって、国交省の技監、UNISDR(国連国際防災戦略事務局)、ユネスコからはブランカ水科学部長、ユネスコIHPのアンドラス議長が参加しています。JICAやGRIPS(政策研究大学院大学)からも参加いただいております。
 内容をかいつまんで御紹介しますと、ページを開けると目次がございます。総説の後、スペシャルトピックス、特に特別な活動についてピックアップしたものを4つ、それから研究、研修、情報ネットワーク、これらはICHARMの活動の三本柱となっておりますけれども、それらについての御紹介、そして現地実践活動、広報活動等を網羅的に御紹介する形になっています。時間の制約もありますので、総説を使って御説明いたします。
 三本柱の1つの研究に関しましては、水災害に関するデータの収集やリスクのアセスメントに関しての活動内容で、この水災害リスクに関しましては、ハザードの評価と、それによって起こる災害に関しての評価、それから水災害リスクの変化や気候変動による影響についての評価。さらには、被害を軽減するための政策等についての研究ということです。
 2番目、2ページ目、研修に関しては、ICHARMで行っているドクターコース、マスターコース、それから短期の研修コースに関してで、ドクターコースとマスターコースはGRIPS(政策研究大学院大学)と連携しながら行っており、また、JICAとも協力しておりますが、その内容について紹介しております。
 また、情報ネットワーク、1.3ですが、ICHARMは、IFI(International Flood Initiative)という活動、これはユネスコやUNISDR(国連国際防災戦略事務局)、WMO(世界気象機関)等々と連携して進めている活動で、ICHARMはその事務局を務めておりますけれども、そこでの活動の内容を紹介しております。特に現在IFIとして進めている活動として、各国で水災害に関する国ごとのプラットフォームを作り、国内での連携を図って、先ほどのデータの収集やリスクアセスメントを行っていくことを支援しており、そのような活動の具体的な内容について紹介しているところでございます。
 3ページは、スペシャルトピックス、4つ取り上げてございますが、1つ目は、先ほど、松木委員からも紹介のありました第3回アジア太平洋水サミットについてで、ここでICHARMもセッションを開催しました。これはICIMOD(国際総合山岳開発センター)、SPC(太平洋共同体)、HELP(水と災害ハイレベルパネル)との共催ですが、3ページ、第2パラグラフにありますけれども、「気候変動下の水と災害-山岳から島嶼まで-」ということで、山から島嶼までを視野に置いた水に関してのセッションです。このセッションでは、ノーベル平和賞を受賞された東ティモールのJose Ramos-Horta(外務・協力)上級大臣、及び石井国土交通大臣等ハイレベルリーダーによる基調講演、各国からの発表、意見交換等を行ったところでございます。
 4ページは、研修に関しまして、例えばマスターコースで、政策に結び付けられるような調査研究を行い論文としたマラウイからの学生が、それを本国での施策につなげたということを紹介しております。
 5ページ、これは緊急支援活動ということで、昨年5月、スリランカで災害が起こりました。そのときに日本から国際緊急援助隊を派遣しておりますけれども、そこにICHARMのメンバーが加わるとともに、ICHARMとしてもスリランカの洪水予報に資するために、雨量予測のシステムを作り、水文流出解析システムに結び付けて現地で活用されているという内容を御紹介しているところでございます。
 最後に、6ページですが、近年激甚化する洪水・土砂災害に関する調査研究ということで、岩手県だとか、昨年の北九州等の中山間地での災害に関して、今後の防災・減災につながる調査研究活動に重点的に取り組んでいるという御紹介でございます。
 簡単ではございますが、以上となります。詳細は、その後に詳しく述べております。また、論文発表の状況等については、Publication Listということで37ページ以降に御紹介しております。
 以上でございます。

【立川主査】  どうもありがとうございました。大変活発な活動をどうもありがとうございます。
 このほか追加の御報告あるいは御質問等ございますでしょうか。ありましたら、よろしくお願いします。
 谷口委員、お願いします。
【谷口委員】  2番目のIHPの国際会議等で具体的な動きに関係するんですけれども、RSCは、今度、アジア太平洋地域運営委員会になるということで、この地域全体でのアクティビティをどういうふうに活発化していくかということを議論されると思うんですけれども、例えばそれぞれの国の中で、ユネスコのカテゴリー2に限ってもいろいろなセンターがありますね。それぞれの活動を一覧して総覧できるような仕組みはできているのでしょうか。
【立川主査】  東南アジアの中ではないんですけれども、ユネスコ本体のところでは、全体の一覧はホームページにあります。ただ、そこに行っても、では、そこでどういう活動をしているかという、必ずしも詳しい情報が載っているかどうかというのは、本当にセンターそれぞれというところです。
【谷口委員】  例えば、昨年の9月21日に、辻村さんと私が韓国のユネスコのカテゴリー2のセンターの企画する国際シンポジウムに呼ばれていっているんですけれども、それは国内でもたくさんの方がそういう活動をされていると思うので、それをまとめるなり、一覧できるような仕組みがあるといいかなと思ったんですけれども。
【立川主査】  それは、我が国としてそういうような一覧をというようなことでしょうか。
【谷口委員】  そうですね。まずはそこからかもしれないですけれども。
【立川主査】  なるほど。はい、分かりました。
 先生は、今、谷口先生がおっしゃった9月のというのは、向こうの韓国のカテゴリー2センターか主催されたようなものに行ったんですか。
【谷口委員】  そうです。Institute on Water Security and Sustainable Managementです。そこが開催して、済州島でやったんですけれども。
【立川主査】  御指摘ありがとうございます。
 いろいろな活動が本当にいろいろなところでかなり活発にされてきていまして、IHPの活動自身も、どちらかといえば科学的なところが主として、ずっとやってきたんですけれども、政策的な観点からの情報公開が非常に多く試行されるようになってきているところです。確かにいろいろなところに行って、本当に官学、民の方は余りいないのかもしれませんけれども、そういう方が行って、そこで何をやっているかが分かるような情報作りといいますか、それは確かに重要ですね。
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 私から1つ、これはユネスコチェアに関することなのですが、この中で工学に限らず、例えば医学とか農学、あるいは専攻にまたがったようないろいろな科目が自由にとれるようなカリキュラム作りも考えておりまして、それに合わせて、実際にいろいろな地域に出ていって、どういうような取組が、例えば水関連とか、あるいは環境の分野でどういうことがなされているかということを、先ほどの谷口先生のものではないですけれども、情報として一覧としてあって、迷惑をかけない程度に学生に、こういうところがあるから行って勉強してきたらどうかというようなことをやろうと思っていまして、礒田委員に御相談を申し上げたところなんですけれども、例えば、ユネスコの取組では、IOCという海洋関連のこと、それから、MABといういわゆるユネスコエコパークの認定、自然だけではなく人間の取組ということも含めた、様々な活動をする地域の設定がなされていて、水の利用ということも非常に関連しますので、ですので、そういう地域の活動が国内でどういうふうにされているかという情報がありますと、例えば学生に、今ここでこういうような取組がなされているので、こういうところに行って勉強してきたらどうかというような機会も設定することができるかなと思っていまして、そうしますと、そういうことを通じて、IOCとかMABとIHPというのもお互い情報共有しながら、お互いに自然科学分野としてやっていけるのではないかということを、そういうこともきっかけになればなというふうに思っておりますので、是非いろいろ情報提供頂ければありがたいと思っているところでございます。
 礒田委員、それに関して少し御意見を頂けますでしょうか。
【礒田委員】  今、自然科学小委員会が、ユネスコ世界ジオパークも入りましたので、この分科会を入れて4つございますよね。非常に多くの研究分野の交信になれるのではないかと思います。京都大学のユネスコチェアの中でまずは始めてみて、地域のいろいろな活動について幾つかの切り口で、是非うまく始められればと思いますので、自然科学小委員会としても、人材育成のところとして非常にいい取組だと思います。
【立川主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、おいおいまた具体を御相談申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかに、この議題1につきまして、委員の皆様から追加の御報告等ございますでしょうか。あるいは質問等ございますでしょうか。
 辻村委員、お願いします。
【辻村委員】  今のことに関連しまして、地域との取組等で、良いこと、グッドプラクティスのような情報という意味では、昨今、内閣官房の水循環政策本部で、流域水循環マネジメントに関連して、全国の比較的先進的な取組をしている、例えば熊本や秦野市、福井県大野市といったような水循環全体に理解、それから地域の住民との統合的な取組、ガバナンスと言ってもいいのかもしれませんが、そういったところを取り上げて、良い事例としてまとめている部分がございますので、国内の事例ではありますけれども、そういったものを使って、例えば学生が、すぐに学生がぽっと行って何かやるということは、もう一段ぐらい何か仲介してあげることが必要かとは思いますけれども、そういった取組をうまく使って、人材育成の場にするのは非常にいいことかと思いますので、今後もう少し具体化する方策が必要だとは思っていますけれども、そういったことも取り込んでいくことが良いことかなと思って伺いました。
【立川主査】  ありがとうございます。
 今のは、内閣府が何か主導されて、それを各自治体でそういうことをされているということなんでしょうか。
【辻村委員】  そうです。もともと(平成)24年に水循環基本計画ができて、それに対応して内閣官房の水循環政策本部が、そういった幾つかのグッドプラクティスを、当初、公募するような感じで出していましたけれども、今はどちらかというと、まだうまいマネジメントに至っていないところでも、政策本部がある程度助言をして、少しずつ取組がうまくいくようにサポートをするような、そういったシステムにもなっていますので、ある程度、情報がまとまっている部分もあるという意味がございます。
【立川主査】  どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、議題2に進ませていただきたいと思います。
 本議題は非公開となりますので、傍聴者の方は御退室ください。いらっしゃいますでしょうか。おられませんか。はい、分かりました。


<議題2 第23回国際水文学計画(IHP)政府間理事会の対処方針等について>
 平成30年6月11日から15日にかけてフランス・パリで開催される第23回IHP政府間理事会について、我が国の対処方針案の審議を行った。


(注釈)
1 HTC Kuala Lumpurとは、Regional Humid Tropics Hydrology and Water Resources Centre for South-East Asia and the Pacific。
2 APCEとは、インドネシアに設立されているAsia-Pacific Centre for Ecohydrology。
3 i-WSSMは、韓国に設立されているInternational Centre for Water Security and Sustainable Management。


── 了 ──

お問合せ先

国際統括官付