2019年3月12日、ユネスコ自然科学局・生態地球科学部長のMiguel Clüsener -Godt氏(Director, Division of Ecological and Earth Sciences)は来日中に日本ユネスコ国内委員会事務局を訪問し、MAB分科会の礒田博子主査ならびにMAB分科会事務局等と意見交換を行った。
同氏の訪問時には、事務局から日本におけるMAB計画の推進体制、MAB計画分科会の活動状況や日本のユネスコエコパークの動向等について説明した。また、生態地球科学部長から、リマ行動計画を含めたユネスコエコパークに関する助言等を含め、他地域によるユネスコエコパークの状況などの意見交換を行った。
○ 人間と生物圏計画については、学術調査から包括的取組による認定事業に発展してきた。現在の事業においては、いかに自然資源を持続的に利用していけるかが焦点となっている。
○ リマ行動計画(LAP)は、ユネスコエコパークに関与する様々なステークホルダーがどのような役割でユネスコエコパークを推進していくかを示したもの。地域レベルでLAPに対応する重点事項、或いは各国のそれぞれの状況に応じて各国において重点化する項目を2、3、選択して行動していくということが望まれる。
○ ユネスコエコパークは各自治体が投資して持続的な自然の利活用のシステムを構築していくもの。どのようなリターンがあるのか、調査してみるとよいかもしれない。英国、ポルトガル、ドイツにおいて、ユネスコエコパークに認定された後の付加価値に関する調査(経済・社会的効果にかかる調査)を実施しているので、参考にされたい。
○ ユネスコエコパークに認定された後のビジビリティの向上として、日本のように独自のロゴを活用されている取組は優良事例である。
○ 地元の人々の参画を増やしていくことが重要である。例えば、スペインのユネスコエコパークでは夏季と冬季における観光客数に大きな差があり、季節による収入の差をどのように減らしていけるのかなどの課題があった。課題に取り組むうえで、カーシェアリングや電気自動車などの推奨につなげた。社会的変化を伴う取組であり、地元の状況に見合った取組みが必要になる。
○ 日本のユネスコエコパークは問題なく出口戦略(質の向上)に対応してきている。あとは、国外のネットワークに積極的に参画していただきたい。
○ ユネスコエコパークにおける民間企業との連携は、さらに推奨されるべき。海外の例で、民間企業にユネスコエコパークの取組連携を募集した表彰制度を実施している国がある。これにより、大手の企業が提案するプロジェクトが採択されている。
○ 定期報告は、10年に一度の自己点検の仕組みであり、決して長いとは思っていない。基本的確認事項として、ゾーニングの原則、ボトムアップによる参加型推進の原則、実行計画、アイデアの背景状況などを含んだマスタープランの確認がある。さらに確認する事項としては、財政状況で、特にユネスコエコパークによる経済効果がある。ユネスコエコパークは、持続性のメカニズムをつくり、モデルとして示すことが求められている。
国際統括官付
【終了した事業】