資料4 第4回生物圏保存地域世界大会について(概要報告)

開催日

2016年3月14日(月曜日)~17日(木曜日)

場所

リマコンベンションセンター(リマ市ペルー)

主催

UNESCO/MAB計画、ペルー環境省、ペルー環境省国立自然保護区管理事務局(SERNANP)、ペルーMAB委員会

参加者

115か国から約1000名

概要

MABに関する国内委員会及びBRに直接関わる専門家(政府関係者、BR、自治体、国連機関、NGO、研究機関、及び全世界でMABに携わる組織の機関・団体の関係者)が参加し、成果として、今後10年間のBRに関する行動計画「リマ行動計画」を採択する。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に関わる諸問題、特に持続可能な開発のための教育、経済から見た環境保全の実現可能性、生物多様性、自然資源の保護と利活用について討議を行うとともに、BRの将来像を構築する。

日本からの参加者
(MAB計画分科会)
岩熊 敏夫 日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会調査委員/北海道大学名誉教授
松田 裕之 日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会調査委員/横浜国立大学大学院環境情報研究院教授
(文部科学省)
髙橋 佑輔 日本ユネスコ国内委員会事務局ユネスコ第二係長
(BR関係者等)
松井  淳 日本MAB計画委員会委員/奈良教育大学理科教育講座教授
田中 俊徳 日本MAB計画委員会委員/東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教
中村 真介 日本ユネスコエコパークネットワーク(JBRN)運営ワーキングメンバー/白山ユネスコエコパーク協議会事務局員
飯田 義彦 国連大学サステナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット(OUIK)リサーチアソシエイト/白山ユネスコエコパーク協議会
長谷川基裕 国際協力機構(JICA)国際協力専門員
本多  渉  国際協力機構(JICA)
大澤 正喜 国際協力機構(JICA)コスタリカ参加型生物多様性保全推進プロジェクト チーフアドバイザー
大西  静  国際協力機構(JICA)地球環境部環境管理グループ環境管理第二チーム兼気候変動対策室 主任調査役
大元 鈴子 総合地球環境学研究所 地域環境知プロジェクト研究員
Maya Ishizawa 筑波大学世界遺産専攻研究員

<1日目>3月14日(月曜日)

〇開会式
〇基調講演
〇全体会議
〇10BRにおける事例研究(2BR×5地域)

【午前】

1.開会
シュレーゲル・ユネスコ事務局長補(科学担当)、ゲバラMAB-ICC議長、アクイロ・ペルー食親善大使、パティーニョ・ペルー外務省副大臣の代理、プルガービダル・ペルー環境大臣が挨拶を行った。
いずれのスピーチも、MABの取組がSDGsの達成に寄与することを強調。その中で、環境だけに限定せず、経済、社会の側面からの持続可能な開発の達成が重要であるとともに、昨年12月のCOP21での合意が、リマ(BR世界大会)、マラケシュでのCOP22につながっていくことについて言及した。

2.基調講演
スティッカー・仏政府環境大使「COP21合意を受けたMABの役割について」
<映像によるペルーの4BRの紹介>
ガンボア・国立自然保護区管理事務局長(SERNANP)「ペルー・国立国指定自然地域によるBRの取組について-ドイツ援助機関の支援による、気候変動の影響を受けたBRの観光客誘致の成功事例について-」

【午後】

3.全体会議
韓群力(ハン・チュンリ)生態学・地球科学部長がMAB戦略における5つの戦略行動分野ごとの取組について説明を行った。
プライスMAB戦略グループラポルトゥール及びゲバラMAB-ICC議長によりリマ行動計画についての説明が行われた。

4.10BRにおける事例研究(2BR×5地域)
1アフリカ:サオトメ・プリンシペ、南アフリカ
2アラブ:モロッコ、スーダン
3アジア:イラン、韓国
4欧州:カナダ、アイルランド、フランス、モルドバ、ノルウェー
5スペイン語圏:スペイン、ホンジュラス(エルサルバドル・グアテマラとの共同管理BR)

<2日目>3月15日(火曜日)

〇全体会議
〇リマ行動計画に関する地域ネットワークごとの7つのワークショップ(1AfriMAB、2ArabMAB、3EABRN、4EuroMAB、5IberoMAB、6PacMAB&SeaBRNet、7SACAM)
〇生態系および生態学的課題に関するワークショップ(1気候変動、2山岳、3乾燥地帯、4森林、5都市、6島嶼及び海浜地域、7環境修復)

【午前】

1.全体会議
3シリーズのワークショップの紹介(地域ネットワーク、生態系、BR)

2.リマ行動計画に関する地域ネットワークごとの7ワークショップ
3EABRN(議長:岩熊調査委員):チョイ韓国環境省自然保護局長による基調講演(EABRN成り立ちの歴史)に続き、韓国以外のEABRN各国(北朝鮮、中国、ロシア、カザフスタン、モンゴル、日本)が各国エコパークの取組について発表。日本からは、JBRNの中村氏が、只見BRにおける過疎・高齢化、産業衰退の危機の中で発展を図る取組について説明。(出席者50名強)
EABRNとしてリマ行動計画に修正意見は付さなかったものの、韓国及びロシアの提案により、既に原案に記載されている、各国MAB国内委員会による、独自の行動計画作成について、更に強調すること(韓国は既に昨年の段階で策定している)、をコメントに付して事務局に提出することとなった(各地域ネットワークの意見を集約し、必要に応じて修正した行動計画が4日目に採択される予定)。

【午後】

2.生態系および生態学的課題に関する7ワークショップ
2山岳:OUIK飯田氏が白山の取組について発表を行った。

<3日目>3月16日(水曜日)

〇BRに関する課題の7ワークショップ(1ガバナンス、2経済、3科学関連ネットワーク、4ユース(子どもや学生を含む)の関与、5BRブランド、6ツーリズム、7採取産業)
〇サイドイベント(1文化・生物多様性、2国境を越えたBR、3複数認定の相乗効果、4シルクロード、5学際的大学課程、6ESD、7民間セクターとの協力、8メソアメリカ生物回廊、9男女共同参画、10先住民族との協力とSDGs、11ペルーBRにおける環境教育、12世界自然遺産とBR、13BRとユネスコチェア・ユネスコカテゴリー2センターの協力)

【午前】

1.BRに関連する課題のワークショップ
3科学者ネットワーク:教育・研究機関との連携を含め、BRの推進に向けたあらゆるネットワーキングに関する事例発表。松田教授から、日本においてBR登録の活動が活性化した経緯を、MAB計画委員会の仕組みや、知床の世界自然遺産登録が契機になっているという内容を交えて発表が行われた。
4ユースの関与:BRの活動におけるユースの役割や取組についての発表、議論。

【午後】

2.13のサイドイベント
3BRにおける複数登録の相乗効果(議長:松田教授):同一地域で複数の登録サイトを抱えている場合について、中村氏から白山BRを例にジオパークとBRの広報や活動の実践等における連携について、飯田氏からは世界農業遺産とBRの連携について報告され、田中氏からは世界自然遺産、ラムサール湿地も含めた国際登録および国内の保護区指定等を包括したネットワークづくりが提案された。
6BRにおけるESDと市民科学:ドイツ(大学)、英国(NGO)、ガーナ(NGO)、南ア(NGO)等の発表者がBRでどうESDを学ぶかについての事例を報告。ドイツのパネリストと参加者(主にBRマネージャーでESDについての知見を有していない)間で、ESDと環境教育の違いについての議論があった。
8メソアメリカ生物回廊の実施における国際機関及び援助機関の役割(企画:JICA):長谷川国際協力専門員より、中米における国際協力機関間の連携で生物多様性保全、持続可能開発、気候変動への対応などを目指すという趣旨説明が行われた。
13BRとユネスコチェア・カテゴリー2センターの協力:マレーシア、スペイン、ペルー等の事例発表およびジャカルタ事務所長シャバス・カーン氏よりサステイナビリティ・サイエンスについて紹介が行われた。

<4日目>3月17日(木曜日)

〇全体会議
〇リマ行動計画、リマ宣言の採択

【午前】

1.全体会議
世界大会時の意見を踏まえたリマ行動計画原案について、行動計画策定グループのプライス教授(英国)から修正案の説明が行われた。
マトリックスの具体的行動や責任主体について細かい修正があった(BR管理を支える研究・学習等の行動部分で、ユネスコチェアやASPnet(ユネスコスクール)を例示する、MAB国内委員会への支援について追記する等、いずれも計画全体に影響を及ぼすものではない修正)。本修正案についてのコメントは特になし。
全ワークショップ及びサイドイベントの結果について、各ラポルトゥールより以下の発言があった。
・教育・研究機関との連携が重要(BRに関する大学講座の開設、ESDの実践の場としてのBRの普及、ユネスコチェアの活用、等)
・BRは、持続可能な開発を実現する上でのモデル事業となるべき
・他機関や既存スキームとの連携(過去の大会に主催者として参加していたIUCNとの連携、他の国連登録関係事業との連携、等)
・ブランディングも含めたBRの存在感向上への取組の強化

【午後】

2.リマ行動計画の承認
計画についての議論・コメントはなく、承認された。

3.リマ宣言の承認
ペルー政府側が宣言を読み上げた後に承認された。宣言についての議論・コメントはなかった。

4.閉会
シュレーゲル・ユネスコ事務局長補(科学担当)、ゲバラMAB-ICC議長、ウォーブス・ユネスコ執行委員会議長、プルガ-ビダル・ペルー環境大臣が挨拶を行った。

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