第27回人間と生物圏(MAB)計画国際調整理事会の概要

日時

2015年(平成27年)6月8日~12日

場所

ユネスコ本部(フランス・パリ)

出席者(日本)

松田裕之 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授(日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会調査委員)
板倉 寛 文部科学省大臣官房国際課課長補佐
北郷太郎 ユネスコ日本政府代表部参事官
中村真介 白山ユネスコエコパーク協議会
飯田義彦 国連大学サステイナビリティ高等研究所

参加理事国

アルジェリア、ベラルーシ、ブルキナファソ、カメルーン、チリ、コートジボワール、エジプト、エストニア、フランス、ドイツ、ガーナ、ハイチ、ホンジュラス、ハンガリー、イラン、日本、カザフスタン、ケニア、クウェート、ルクセンブルク、マレーシア、メキシコ、韓国、セントビンセント及びグレナディーン諸島、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、タンザニア、タイ、イギリス、ウクライナ、イエメン

主な議事

1.MAB事業に対する事務局からの報告

 第26回国際調整理事会(2014年6月)以降行われた主要な活動に関する事務局のハン・チュンリ部長からの報告がなされた。
 イギリスから、昨年11月に名古屋で開催されたESD世界大会の勧告の一つは、BRはESDの焦点であるべきということであったとの言及があった。

2.各国国内委員会および地域別・テーマ別MABのネットワークによる活動報告

 日本を始め、各国国内委員会から口頭による活動報告を行った。日本からは、以下の点について報告を行った。
 前回の理事会において2地域が新たにBRに登録され、第2回日本ユネスコパークネットワーク会議(2014年11月、白山市)、また第1回ユネスコエコパーク全国サミット(2014年9月、志賀高原)を開催するなど、国内におけるBRの活動活性化を推進している。国際的な活動においても、ユネスコジャカルタ事務所への日本信託基金を通じて、アジア/太平洋地域におけるMABに係る人材育成等への協力を行っている。本年10月、第14回東アジア生物圏保存地域ネットワーク会議(EABRN-14)を日本の志賀高原BRにてホストする予定。
 韓国から、韓国ユネスコ国内委員会と韓国MAB国際委員会は発展途上国のBRのノミネートをサポートするための新たなプロジェクトを開始した旨言及があった。
 各国報告に続き、地域BRネットワークの代表から報告が行われた。

3.MABの情報発信とブランディング事業に関する報告と今後の予定

 EuroMABネットワークを通じたパイロット事業である「MABの情報発信とブランディング事業」の実施状況について報告が行われた。

4.出口戦略について

 2015年9月30日を各BRの定期報告等の提出期限とする出口戦略については、議論の上、変更無く了承された。国際調整理事会の新ビューローは2016年3月の第28回国際調整理事会で選出され、出口戦略の現状を検討すること、2017年のユネスコ本部での第29回国際調整理事会で出口戦略に関する最終決定がなされることが確認された。

5.MAB戦略(2015-2025)及びMAB行動計画(2016-2025)

 日本を始め、各国国内委員会から意見が出された。日本からは以下の通り意見を述べた。サステナビリティサイエンス、ESDの観点がMAB戦略の最終案に盛り込まれたことを歓迎する。今後検討することとなるMAB行動計画についても、人文・社会科学との共同やユネスコスクールとの連携など、サステナビリティサイエンスやESDの考えがMABの活動に反映されることが確保されるものとなるよう期待する。関連して、マレーシアから日本の提案をサポートする旨発言があった。フランス、ドイツ等からMAB戦略案のMission and VisionについてMABの特質を反映させるため更なる検討が必要という意見があり、特別ワーキンググループ(エジプト(前議長)が司会)が置かれることになった。特別ワーキンググループは、9日、10日の国際調整理事会後に任意参加国によって開催され、修正案が作成され、12日の国際調整理事会で採択された(採択文書別添)。また、MAB行動計画を2016年3月のリマで検討することとし、検討するグループについては、MAB戦略グループが引き続き担い、1月中旬に行動計画の案を各国に照会することとされた。なお、併せて提案された生物圏保存地域の名称変更については、大多数の国が変更を望まないことが確認された。

6.新規BR及び拡張/修正BRの提案

 ミャンマーでは初登録となったインレー湖をはじめ計20件のBRが承認され、WNBRは計651件となった。(なお、今回日本の案件はなし。)また、アルジェリアのトゥレメン山についてビューローの案として延期が提示されたが、同国で承認されたベレズマとの違いがわからないという質問がセントビンセント、日本等多数の国から出された。結果、条件付承認の案がフランスから出され、日本等が支持し、採択された。アルジェリアのトゥレメン山、インドのアガスチャマラの2件が条件付承認となった。また、アルジェリアのセニェットエルハド、ロシアのクファカスキ、スペイン・ポルトガルのタジョの3件が延期となった。

7.BRの定期報告及び勧告のフォローアップ

 生物圏保存地域国際諮問委員会によって検討された、41件のBRの定期報告、30件の勧告のフォローアップに関する報告がなされた。(なお、今回日本の案件はなし。)定期報告のうち、定款の基準に合うのは15件で、それ以外は基準に合わない、必要な資料が提出されていないとされた。フォローアップに関する報告のうち、基準に合うのは17件であった。

8.セクター/事業横断パネル:ポスト2015年開発アジェンダにおける共同事業

 MABとユネスコの他の事業との協力を促進することを目的に、各事業の関係者を集めたパネルディスカッションが行われた。日本からは、セクター間、事業間の連携は、サステナビリティサイエンスを推進する上で、きわめて重要と考えるとの意見を述べた。また、サステナビリティサイエンスに関しては、日本は、ユネスコと協力して政策立案者へメッセージを発出することを目的とする会合の開催を検討している旨言及した。

9.MABと民間セクターの協力に関するパネル

 MABと民間セクターの協力を促進することを目的に、MAB関係者と民間セクターの関係者を集めたパネルディスカッションが行われた。

10.国際自然保護連合(IUCN)による複数の国際認証を受けた保護地域の統合的管理システムに関するプロジェクトの実施状況

 BR、世界自然遺産、ジオパーク、ラムサール条約等の複数の国際認証を受けた保護地域について、統合的な管理システムを確立することを目的に、国際自然保護連合により実施されている事業の進捗報告が行われた。

11.BR申請ガイドライン作成に関する提案

 BR申請を技術的に支援する解説書の作成について事務局から提案が行われ、作ることについては了承されたが、どのようにどのようなものを作っていくかについては、リマ以降で決定されることとされた。

12.第4回BR世界大会の情報

 2016年3月14~17日にペルーのリマで開催予定の、第4回世界大会の準備状況等について報告が行われ、開催が承認された。事務局からは、これはBR登録地域のための大会であり、各BRから少なくとも1人は参加を希望すること、合計で1200人の参加を見込んでいることが言及された。

13.第28回MAB国際調整理事会の期日と場所

 次回理事会は、第4回BR世界大会とあわせて、2016年3月18日、19日にペルーのリマで開催することが承認された。

(以上)

お問合せ先

国際統括官付

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