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第43回日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会人間と生物圏(MAB)計画分科会 議事録

1.日時

平成31年3月20日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省12階 国際課応接室

3.出席者

(委員)
 礒田博子(主査)、大野希一(国内委員)、伊藤元己、岩熊敏夫、佐藤哲、服部保、松田裕之、吉田謙太郎【敬称略】
(関係省庁等)
 水産庁、環境省、林野庁、農林水産省、東京大学
 (文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
 池原文部科学戦略官、小林国際戦略企画官、秦国際統括官補佐、その他関係官

4. 傍聴者

(ユネスコエコパーク(BR)関係者)
白山BR、みなかみBR、祖母・傾・大崩BR、大台ケ原・大峯山・大杉谷BR、南アルプスBR、イオン環境財団

5.議事録

【礒田主査】  それでは、時間になりますので、皆さんおそろいですので、始めたいと思います。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  本日は、御出席の委員が8名でいらっしゃいまして、委員の過半数7名を超えていますので、定足数を満たしております。
 また、本日は、国内のユネスコエコパーク活動に関する御発表を頂くため、東京大学准教授の田中俊徳様にも御参加いただいております。
【礒田主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまから第43回MAB計画分科会を開催します。
 本分科会は、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づき公開することとします。
 本会議の御発言は、議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 また、本日は、関係省庁の担当者、並びに幾つかのユネスコエコパークの関係者が傍聴登録されて、御出席されていますので、申し添えます。
 本日は、国内ユネスコエコパークにおけるリマ行動計画の実施状況に関する分析結果について発表いただいた後、今後の日本のユネスコエコパークの推進に向けての意見交換を行います。
 議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【秦国際統括官補佐】  本日は、配付資料、4つ御用意させていただいております。
 資料1は、前回の会議議事録でございまして、委員の皆様にはメールにて事前に確認頂いているものでございます。今後、ホームページ等にアップしていく予定でございます。
 資料2は、今回、田中先生に御発表いただく内容の資料でございます。
 資料3でございますが、前回の本分科会で頂きました主な意見ということで、論点ごとに簡単にまとめさせていただいているものです。
 資料4は、実は先日、3月12日ですが、ユネスコのMAB事務局を統括されている担当の部長が来日する機会がございまして、事務局に訪問しまして、主査と意見交換を行っていただきました。そのときのポイントを簡単にまとめたものをお配りしておりますので、御参考までに御覧いただけたらと思います。
 参考1、2は、基礎的な資料でございます。
 また、今日は松田委員の方から、ユネスコエコパークの御本が出るということで、もしよろしければ御紹介いただければと思います。
【松田委員】  地球研叢書という形で、私と、佐藤哲さんと、今、京大の霊長研所長をしている湯本さんの3人の共同編者ということで、ユネスコエコパークの本を出すことができましたので、チラシといいますか、著者割の申込書になって恐縮ですけれども、それを配らせていただきました。各BRの方々にも、写真提供等、協力いただきまして、ありがとうございました。文科省様にも感謝いたします。
【秦国際統括官補佐】  以上です。
【礒田主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題1、国内ユネスコエコパークにおけるリマ行動計画の実施状況についてに入ります。田中先生からの発表に先立って、事務局から背景説明をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  もう既に議論、前回から入っていますので、御案内のとおりですが、昨年度、この分科会で、日本のユネスコエコパークの状況を把握するということで、リマ行動計画の実施状況を中心に書面調査を行ったところです。今年度、7月の第41回分科会におきまして、中間報告として、どんな書面が上がってきたかということを共有させていただいたところです。その後、書面ではちょっと読み取ることのできないような地域の取組につきまして少し確認した方がいいということで、東京大学の田中先生にお願いしまして聞き取り調査等を実施していただいたところです。その状況を踏まえて、今日は御報告いただきまして、今後の我が国のユネスコエコパークの取組について、どのような推進方策があるのか意見交換をしていただきたいと考えております。
【礒田主査】  ありがとうございました。
 今後の日本のユネスコエコパークの推進方策がまとめられるよう、本日は議論を行うということですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、田中先生から、国内ユネスコエコパークにおけるリマ行動の進捗状況報告と、日本のMAB計画の課題と展望について御発表をお願いいたします。
【田中氏】  皆さん、初めまして。東京大学の田中と申します。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。着席して発表させていただきます。
 今、御紹介ありましたとおり、国内ユネスコエコパークにおけるリマ行動計画の実施状況について簡単に報告をさせていただきます。
 発表内容です。まず最初に、自己紹介を兼ねて、私がどのようにMABと関わってきたかということを簡単に御紹介させていただきます。その後、本論となりますが、行動計画の実施状況、そして最後に簡単にBR実施に関する提言をさせていただければと存じます。
 自己紹介です。私、専門は、環境政策・ガバナンス論で、ガバナンスはいろいろなアプローチがあるのですが、私は行政学が一番近い分野になります。簡単に言えば、法律とか制度、組織、そういったものの研究をしております。具体的な研究としては、保護地域のガバナンスということで、国立公園とか、世界遺産の保護管理、また環境条約の国内実施ということで、世界遺産条約やラムサール条約などの実施に関する研究をしております。MAB計画委員など、幾つか委員をしております。
 MABとの関わりです。2010年、ユネスコ日本政府代表部というものがパリにあるんですが、そこに在籍した折に、MAB‐ICC(国際調整理事会)に参加する機会がありました。
 その翌年に、MAB40周年を祝う大きな国際調整理事会がドイツのドレスデンで開催されました。それぐらい大きなものだったわけですが、当時、日本ではMABというのは全然知られていなくて、日本人の参加は私だけでした。当時、ドレスデンで、イリナ・ボコヴァ事務局長がいらっしゃったんですが、世界遺産は価値を保存する制度で、BR(ユネスコエコパーク)は価値を創造する制度だとおっしゃいました。これは、実は国際的にも余り知られていないんですが、私、たまたまこのとき参加していて、すごくいいことを言ったということで、その後、講演とか、論文とかに使わせていただいて、それが今、日本では広く普及していると感じております。
 その後、国際調整理事会の各種国際会議にも参加させていただきました。特に、2017年から約1年、ユネスコの、ユネスコエコパークのことですが、BR管理の標準枠組みのプロジェクトを代表させていただきました。リマ行動計画というのは、何をやるかということが書かれているわけです。何をやるかと同時に、どうやったらそれをやれるかが私の専門分野からすると非常に重要なポイントで、これも、後ほど簡単に紹介させていただく機会があるかもしれません。
 その後、2018年、屋久島、綾、みなかみなどでは、様々な講演や座長、プロジェクト代表などをさせていただいています。
 このように、今、10年弱ぐらいですが、ユネスコの国際レベルの話から地域レベルの話まで、一通り見させていただいているということになります。
 これまでエコパークに関する論文、幾つか書いておりまして、2012年と2016年に生態学会の論文、昨年、Environmental Managementという雑誌では「日本におけるBRのガバナンス構造」という論文を書かせていただきました。今日は、本論と外れるので、この2つについては余り話しませんが、途中で分析のときに、海外ではどのようになっているのか、日本の特徴はどういったことかといった際に参照させていただくこともあるかもしれません。
 もう既に、MAB戦略やリマ行動計画について、この部屋にいる方々はもうよく御存じかとは思うのですが、簡単に要点を説明したいと思います。
 まず、MAB戦略は、戦略的行動分野というものを5つ構成しております。Aが持続可能な発展のモデル地域、Bが活発で結果志向のネットワーク、Cが効果的な連携と財源、Dがインクルーシブでモダンなコミュニケーション、そしてEが効果的なガバナンスというものです。
 リマ行動計画を読まれた方は、もう御存じかもしれませんが、実際のところ、小項目においては非常に重複が多かったり、対象者、つまり責任主体がオーバーラップしているということがあって、実は非常に分かりづらい行動計画になっています。そこで、ここで要点として簡単にお話しさせていただこうと思います。
 まず、BRのサイトレベルに主に関係しているのは、実はAとDです。Bは、国際ネットワークの話ですので、具体的には地域ネットワークであるとか、セマティックネットワーク(テーマ別ネットワーク)について書いています。国に対してメインでやっているのはCとEになっています。
 少しだけ詳しく見ていきたいと思います。主にBRのサイトレベルに関する項目としては、このようなものがあります。これらについては、一つずつ後ほど見ていきたいと思います。
 本日の、主な発表の内容等に含まれませんが、国レベル、簡単に言うとMABの国内委員会に関する項目もあります。それがここにあるようなところで、B1であるとか、CやEが国レベルに求められているようなことになっています。
 それでは、早速ですが、リマ行動計画の実施状況についてお話をしたいと思います。
 今、事務局からも御説明ありましたとおり、ちょうど1年ぐらい前ですか、国内委員会からアンケートが配送されております。全てのBRが回答してくださっています。その後、私、今、御紹介いただいたとおり、現地訪問による追加調査をさせていただきました。
 なぜ追加調査が必要かという点について、簡単に補足させていただきます。まず第1に、アンケート調査に対する空欄が非常に多かった、これが現実です。これは、リマ行動計画の分かりづらさが一因だろうと思います。私も、もし管理者だったとしたら、どう答えたらいいのかよく分からないというものがたくさん出てきます。また、実際には活動が行われているわけですが、記載されていないケースもあると思いました。これは、リマ行動計画に対する理解不足も一因かもしれません。また、今、アンケートから1年ぐらい経過しました。そこで、新たな取組などがあったら、それも補足したいということで行った次第です。
 できれば、全てのBRを訪れたかったのですが、なかなか日程の調整も難しいところがありまして、実際に現地訪問できたのは、この数か月の間では3か所だけです。一方で、私、白山、屋久島、綾、なみかみについては、講演であったり、プログラムの件だったり、様々ありまして、少なくとも2回から4回、訪問しております。そういう意味では、この4か所についてはよく分かっているということで、それを追加させていただきました。大台ケ原・大峯山・大杉谷と志賀高原については、電話で調査をさせていただいております。
 では、現地を訪問して、具体的にどういった調査をしたのかということも簡単に紹介させていただきます。まず、事務局での聞き取り調査、2時間から2時間半ぐらいかけてやっていきました。その際に、管理運営していく中での課題であるとか、悩み、そういったところもざっくばらんにお聞きしております。また、拠点施設や集落、案内標識などの視察、これは日本に非常に特徴的な活動ですが、ユネスコスクールとの連携が非常に多いので、それに関する視察や、この写真にあるような話し合い、BRの中にある企業の活動状況の視察などもさせていただきました。
 早速ですが、調査結果に参ります。項目ごとに追っていきますので、ここはちょっと飽きる部分もあるかもしれませんが、後ほど補足させていただきます。
 まず、A1は、SDGsやMEA(Multilateral Environmental Agreements)に寄与する地域となることを定めています。MEAというのは多国間環境協定のことでして、例えば生物多様性条約の愛知ターゲットなど、若しくはラムサール条約も入ってきますし、世界遺産条約も関係するわけですが、それに寄与する地域ということです。実は、A1というのは、SDGsとMEAに寄与するとなると全ての項目に関わってくるので、ここに書かれているものが後々に全部オーバーラップして掛かってくるといった状況になってきます。ですので、ここでの詳細な説明はちょっとやめておいて、後の方でこの中身、ここに書いてあることについてはお話をしていきたいと思います。
 ここには、アンケートで書かれていることと、私が後ほど補足したものがありますが、特に特徴的だと思えるのがユネスコスクールへの登録と環境教育です。これについては、屋久島以外の全てのBRで、積極的にBRとユネスコスクールとの関係を組み込んでやっているというところが特徴だと言えます。
 そのほかにもたくさんあるわけですが、これはまた後ほど補足させてください。
 A1の中で、唯一、余り十分でなかったのが、A1.4にある気候変動の研究・モニタリングです。これについては回答が全くのゼロでした。私も、自分の知っていることとか、実際の現地訪問などでもこの辺りを補足しようと思ったんですが、なかなかぱっと当てはまるものがない。例えば、再生可能エネルギーみたいな話になってくると、自治体はいろいろな取組をやっているんです。屋久島町は、屋久島に限って言えば水力発電はほぼ100%で、様々な国や県の補助金を取ってハイブリッドカーを入れたり、電気自動車を入れるというような取組もやっていますし、日本は山岳型BRが中心ですので、バイオマスの熱利用は比較的やられています。ただし、それらが直接的にBRの活動ということは全くなくて、また、BRの管理者もそれを認識していないというところが現状だろうと考えております。
 A2は、オープンで参加型の枠組みというものを規定しているものです。日本に関しては、多様な主体が参加する協議会や委員会、部会、会議などは全てのBRで設置されています。それらをどの程度アクティブにやっていくのかというのはまた別の問題ですが、少なくとも全てが設置して、年に1回程度の会議はやっている。また、リレー講義やセミナー、講演会などの形で、ほぼ全てのBRが、BRに関して誰でも参加できる仕組みを構築しています。また、日本は自治体型なので、非常に日本的だとも思うんですが、町報などを通じた全戸配布の出版物という仕組みがいろいろな形であります。回覧板などもそうですが、そうしたものでもBRに対する参加、情報提供というのは行われています。
 一方で、A2.4に規定されているコミュニケーション計画の策定、あるのか否かというところは、私が現状、把握している限りはどのBRもなしでした。ただ、アンケート調査では、みなかみBRが策定中というような回答もありました。
 では、具体的にオープンで参加型の枠組み、どういったものがあるのかということを少しだけ紹介させていただきます。例えば、南アルプスでは、ユネスコエコパークカフェというものを開催しています。これは、市民からの発案で開始したという面白いもので、エコパークになったけれども、何かしないともったいないよねということで、山梨大学などの有志が集まって年に3回開催しているということです。
 また、こどもユネスコエコパークに関するところで取り込んでいこうと、これは結構いろいろなところで見られるのですが、具体的にユネスコエコパークの名前を前面に出してやっているという意味では、ユネスコエコパーク探検隊の活動というのも面白いです。どの小学校も夏休みの自由研究などがあるわけですが、それをエコパークを通じて応援プロジェクトとしてやっていきましょうというものもありました。
 また、必ずしもBRだけではなくて、BRの外に対してもサポーターを集めていきたいというのが南アルプスのライチョウサポーター制度で、興味深いものです。これは、首都圏も対象として、受講者を南アルプスライチョウサポーターに認定して、サポーターからどこどこにライチョウがいましたというような情報収集をすると同時に、南アルプスのサポーターを増やしていきたいということでやっています。平成28年、2年前の情報になってしまいますが、募集定員以上の申込みがあって、非常にうまくいっているというような話を聞いております。
 A3は、法とガバナンスについて定められています。A3.1は、法律や政策、若しくはプログラムにおいてBRが認識されているのかという点が重視されています。これに関しては、自治体の総合戦略であるとか、総合計画、基本計画など名前はいろいろありますが、それを策定されているところが、みなかみ、只見、綾、南アルプスの4か所であります。また、組織として、ユネスコエコパーク推進室のような形で、明示的に室以上の組織を持つところも比較的多くありました。セビリア戦略というものがありましたが、そのセビリア戦略以前に登録されたところでは、まだ自治体の戦略や計画には明記されないという傾向が読み取れました。
 A3.2、これはBRの効果的なガバナンスと管理体制を明示しているものです。ガバナンスというのは、意思決定と、その執行というところではもっと幅広に聞いた方がいいのでしょうが、アンケートに関しては人員と予算の例だけが書かれていました。アンケートに関しても、聞き方がやはりいろいろあって、この場合には専従職員なのか、兼務も含めた全てなのか、ちょっと曖昧だったところがあって、志賀高原は40名という回答が来て、それはまた違うかなというような感じもあったり、人件費を入れるのか、入れないのかというのも結構、政策的には重要なポイントです。この辺りは、ここにありますようにいろいろ混ざった形で回答がありました。
 私が書いた論文では、全部、フルタイムエクイヴァレント(FTE:フルタイム当量/常勤換算)です。専従職員という換算で聞いていますので、そちらの方がいろいろ補足できるのかなという気はします。これについては、また後ほど補足させていただければと思います。ぱっと見たところでは、みなかみが人と予算としては非常に手厚いところがあって、中には屋久島のように、1名とあるんですが、フルタイムエクイヴァレントだと0.1名ですので、活動としてはほとんどできていないところもあったり、様々あるということが分かります。予算としても、人件費を除いて十分使えるところもあれば、多くは見えるんだけれども、人件費を入れてしまうと、実はそこまで活動予算がありませんというようなケースもあります。
 法律や条例、プログラムなどでBRを認知するA3.1に関しては、只見町の野生動植物を保護する条例というのも興味深いところです。これは、まさに只見町でユネスコエコパークに登録された後に機運が高まって、こうした条例を作ろうということでできたもので、この条例に基づいて野生動植物保護監視員の委嘱ということもやっております。これは、地域の人が、ほぼボランティアですが、地域の野生動植物に関するモニタリングを行うということで、参加型の仕組みの一つということも言えると思います。
 A4は、研究推進や大学、教育機関との連携をうたったところです。後ほども言いますが、これは日本は非常にうまくやっているところです。例えば、地元大学と連携協定の締結が綾で行われていたり、学術研究助成を綾や只見、祖母・傾・大崩でやっています。また、大学と連携したBRに関する出版が白山や只見で行われています。どのBRも、大学の研究、教育を支援しているというところは一致していますし、国際大会を含めた学術大会の開催も非常に盛んに行われています。
 具体的な事例の一つとして、綾の地域大学との連携協定についてお話しします。綾では、地元の宮崎大学、南九州大学、宮崎国際大学、3つの大学と連携協定を締結しています。そして、毎年5つから6つのプロジェクトに対して助成を行います。どれもユネスコエコパークに関連するものです。各20万円で、予算としてはそれほど大きくないわけですが、プロジェクトの助成先は連携協定を行っている3つに限りますという条件です。BRの肝の一つはロジスティカルサポート、まさに研究支援ですので、それを行うと同時に、大学は最新の科学的知見を現場に還元する。そういう意味では、すごく循環型の仕組みとして注目に値すると思っております。
 A5は、資金の持続可能性について規定しています。日本は、これは後で各国との比較分析の際にもお話ししたいんですが、日本は自治体が管理者というのが特徴です。資金の持続可能性は、比較的高いと言っていいと思います。例えば、イギリスやオーストラリア、カナダなどは、NPOとかチャリティーが管理者になっています。昨年、ユネスコの専門家会合を私の大学で呼んでやりました。その際に、オーストラリアの管理者は、NPOでやっているので、毎回、競争的資金で回しているので非常に難しい、持続的ではないというような意見もありました。この間、イギリスの研究者が来た際、イギリスもチャリティーでやっている、非常に難しい、専任職員を雇うのも難しいというような話がありました。そういう意味では、日本は自治体が比較的、安定的な基盤を提供していると言えると思います。
 必ずしもユネスコエコパークに特化したものではないんですが、国や県から様々な助成事業があります。環境省であれば自然環境整備交付金であったり、林野庁であれば森林整備事業、総務省マターになりますが、地域おこし協力隊というのも様々なBRで、非常に強力な助っ人としてやってくださっていることが多い。日本は、民間部門からの助成金というところではまだ後手に回っているんですが、只見町では野村総研から毎年200万円程度、助成金を得て、研究、調査などに充てているという事例もあります。
 一方で、A5.2に規定されている収益事業は、やはり自治体がやっている以上、なかなか実施されている状況はありません。
 一つ視野を広げて、白山の事例をお話ししたいと思います。財源の多様化という意味では、寄附というのは非常に効果的な点です。特に、海外では、寄附文化が強いところでは、まさにチャリティーなら寄附だけでやっている場合もあります。白山きりまんじゃろというのは、白山きりまんじゃろというブランドのコーヒーを1杯飲むごとに、5円が環境保全に対して提供されるというものです。日本だと白山の外来種駆除、もう一つ、ケニアのキリマンジャロに対しては植林をこの中で折半して支払っていきますと。これは、白山の商工会が推進してやっているものですが、実際は環白山保護利用管理協会を支援しています。最新だと、累計で200万円弱、支援しているというようなことも言われています。日本は、まだまだ寄附が弱いところなので、こういうことも考えていくことは一つだろうと思います。
 A6は定期報告、A7は生態系サービスについて指摘されています。A6、定期報告、御案内のとおり10年毎にピリオディックレビュー(Periodic Review:定期報告)があるわけですが、南アルプスではもう早々に、まだあと5年あるわけですが、定期報告のワーキンググループを設置しています。綾は、もうあと2年で来てしまうわけで、ロードマップの策定済みで、予算の確保に動いているということです。
 私、今、屋久島の管理運営計画に関わっていますが、ここでも定期報告というのは非常に重要なロードマップなので、記述していこうということを考えております。
 もう一つ、生態系サービスについては、明記しているところは只見、白山、綾がありました。A7.2の生態系サービスへの支払い、PESと呼ばれますが、これについては明確に定めていないところが全てでした。どうしても日本の場合、核心地域と緩衝地域というのは、例えば環境省の国立公園だったり、林野庁の森林生態系保護地域に指定されています。こうした国立公園の計画であるとか、森林生態系保護地域の管理計画については、当然、順応的管理であるとか、生態系サービスというのは明記されているわけですが、やはりまだ自治体までその考え方が十分に普及していないということが読み取れます。
 次、Bの中で唯一、個々のBRにも関わってくるのがB6です。国際的なBRの交流事業・連携協定です。なかなか日本は、後でもお話ししますとおり、十分に国際連携ができているかと言われたときに、サイトレベルではなかなか難しいところがあるんですが、例えば白山では金沢大学がユネスコパートナーシップ事業を取って、ロシアやベラルーシのBRと交流しているということがあります。また、JICA研修をはじめ、海外からの研修受け入れという事例は非常に多いです。小さいものを含めると、かなり多くのBRが何かしらの形で関わっているだろうと言えます。屋久島・口永良部島BRは、世界島嶼・海岸BRネットワークというところにも参加しています。これは、事務局は済州島とメノルカ島がやっていて、実は資金的にはすごく潤沢な組織です。毎年、研修にも無料で呼んでくれるんですが、屋久島町はそこまで乗り気ではなくて、まだ参加できていないというところがあります。BRレベルの連携協定という点では、まだないというのが現状です。
 次に、CでBRに関わってくるのはC4、民間部門との連携です。民間部門との連携も、日本のGDPであるとか、企業の貢献活動の規模から考えると、まだまだ少ないし、まだまだ発展できると、私は思っています。では、どういう取組があるのかというと、次のようなところです。例えば、只見では野村総研にてPR展示をさせてもらっているとか、みなかみではデサントの協力でBRのロゴマークを作成した。大台ケ原・大峯山・大杉谷では、富士通システムズがポスター展示をしてくれている。サントリーの白州工場では、来場者見学で毎回、BRの説明がある。これは私も行ったんですが、本当にしっかりちゃんと説明されているということで、びっくりしました。
 もう少し個々の事例を見ていきますと、例えば綾は比較的蓄積がありまして、イオン環境財団と、毎年、植樹イベントというものをやっています。この写真にありますとおり、綾町イオンの森というところも綾町の町有地にあります。ソラシド航空という宮崎を拠点にした航空会社がありますが、そこでは綾ユネスコエコパーク号というものがありました。今は、もうないです。また、テレビ宮崎の協賛で、照葉樹林のクリーンアッププロジェクトが行われるといったこともあります。
 南アルプスでは、水の山プロジェクトということで、サントリー、七賢、金精軒、地元の名立たる企業がBRの登録を機に開始したプロジェクトがあります。地元の北杜市に行くと、非常に様々なところで宣伝もされておりまして、お祭りを通して地域の自然や文化について伝える、また、広報紙を通じてそういったことを伝えるといったことがあります。
 せっかく企業がこれだけ推進して、自律的にやっているんですが、BRの管理側、つまり行政サイドとシナジー(相乗効果)があるのかといいますと、そこはまだまだやれることが多いのではないかというのが私の実感でございます。
 そして、何よりも日本はJBRN(日本ユネスコエコパークネットワーク)というものがあって、2017年にイオン環境財団と連携協定を締結することができました。イオンは、アジア最大の小売業者で、その中で長い歴史を持って、理念を持ってやってきたイオン環境財団というところと、5か年計画でしっかりやっていきましょうということを約束したわけです。このことも含めて、JBRNというすばらしい資産をどのように生かしていくのかということが、今後の重要な課題になってくるだろうと考えています。
 最後の方になってきますが、Dに関しては、インクルーシブで現代的なコミュニケーションというところが定められています。
 D1は、BRに関する文書やデータの集約です。どうして文書やデータの集約が必要かというと、一般的に政策をはじめ、何事も参加が必要ということを言うわけですが、参加する前提は情報です。情報がないと参加もできないし、参加することで情報価値を高めるということもあります。そういった意味では、こうした文書やデータをどういうようにオープンに、誰でも見られるような形で集約していくかということが重要です。そういった点でいくと、BRの専門ウエブサイトというのは屋久島・口永良部島以外、全て立ち上げられています。ただし、一部を除いて全て日本語だけというのはちょっと残念なところです。
 海外では、BRのウエブサイトに対して議事録をどんどんアップロード、アップデートしていくということが増えています。ユネスコで勧めているクリアリングハウスという考え方ですが、それが日本ではまだ進んでいない、これは残念だなと。参加したいとしても、これまでどういった議論があったのかを知らずに参加するのと、知って参加するのはケースが違うということです。
 また、D2-3に定められているメディア、具体的にソーシャルネットワークなどですが、その有効活用や普及啓発に関しては、フェイスブックページの作成が一番多く見られるケースです。これについては、只見と屋久島・口永良部島以外は全て設置されていて、比較的頻繁にアップデートしているBRもあります。ユーチューブなどによるBR紹介ページの作成も比較的盛んにやられています。
 これは、具体的な事例の一つですが、例えば祖母・傾・大崩は、ユネスコエコパークの情報発信ということで、大分県の竹田市、BRの一部に当たりますが、そこを拠点にする和太鼓集団DRUM TAOをオフィシャルアーティストに任命して、国内外に向けて発信しているということです。私、たまたま先月、オーストラリアに行っていて、全く違う国立公園の管理で行っていたんですが、そこで雑談していたらDRUM TAOの話が出てきたことがあって、意外とこういうものは効果があるのかもしれないという気はしました。
 これは、みなかみの例ですが、ラッピング自動車です。みなかみの公用車、まだ全てではないと思うんですが、こういう感じでユネスコのMABのロゴを使って、みなかみエコパークのロゴも使って、こういったことをやっています。まちの人は、どんどん自然とすり込みされていく。
 これは、ラッピング自転車です。観光客用の貸し自転車ですが、ここにこういうようにちょっとしたラッピングをするだけで、普及啓発という意味では全然意味が違ってくる。何といっても、貸し自転車屋をやっている方も、これについて知る機会になる。
 これは、一番オーソドックスな形ですが、解説板や案内板による周知というものがあります。日本では、徐々に進んできていて、只見であるとか、祖母・傾・大崩、また南アルプスでもこういったことがどんどん導入されています。実は、解説板、案内板というのはすごく高いんです。数百万円掛かってくることもあって、私、海外のBRにたくさん行くんですが、なかなか設置が難しいということが多いです。どうしても途上国だと、そんな予算はどこにもないということが多くて、これはある意味、日本の強みにもなってくるだろうという気がします。
 その他、ざっくばらんに管理上の課題や悩みなど、いろいろお話を聞かせていただきました。今回に関しては、応対いただいたのは基本的に行政職員の方ということで、基本的に行政の話になるんですが、日本はやはり自治体管理型です。自治体となると、行政職員は二、三年毎に替わるのが一般的であります。そうすると、やはり知識や経験の引き継ぎにちょっと難があるかなと。また、活動がトーンダウンするということも、当然、引き継ぎの際に残り得るわけです。半ば冗談みたいに、ある地域では言われていましたが、複数自治体型などになってくると、毎回、会うたびに名刺交換ばかりやっていますみたいな話もされます。
 行政的に考えると、悪いことばかりではないです。地方自治というのはまさにそういうところですが、多くの人が関わるということがすごく重要です。1人とか、専門職員だけがずっとやっているとなると、なかなか広がりが出てこない。ある意味、ルーティーンで回って、BRの裾野を広げるというのも一つの利点ではあります。そうはいっても、知識や専門性、経験、人脈といった資源をどう引き継いでいくのかというのは、真剣に考えないといけない問題だと思っています。
 もう一つ、特に複数自治体型に多いんですが、温度差というのはどこにでもあります。自治体同士だと、どうしても近隣の自治体に気兼ねしてしまうことがあります。単純に調整するのも非常に気苦労するわけです。いろいろな方が言っているのは、やはり自治体というのはやらないといけないということに敏感なので、BR管理のスタンダードを厳しい方向に持っていく方が現場の方もやりやすいんですという話はよく聞きます。国内行政も一緒ですが、どうしても所掌が決まっていることが一般的ですので、それを超えてやらないといけないといったときには、こういった外部からの意見も非常にサポートになることがあると思います。
 では、LAPの対応状況、日本はどういった特徴を持っているのかというところを簡単にまとめさせていただきました。
 まず、日本の特徴として、強み、今後、もっと伸ばしていけば、本当に世界的なモデルになるだろうというところですが、大学や教育機関との連携という意味ではすごく強みがあります。幾つか理由があります。
 一つは、セビリア戦略策定以前に登録されたサイト、一般的にはそこまで活発になりづらい、つまり主体性を持ちづらいと言われている地域ですが、セビリア戦略以前の場所は大学の研究拠点、教育拠点がある施設をそもそも選んでいるんです。もともと歴史的に大学がずっとコミットしてBRを維持してきたところも多くて、そういう意味では大学との連携というのはすごく強みがあります。様々な地域で研究助成というのもスタートしています。また、海外では、実は外務省や環境省がユネスコ事業、特にMABなどの事業の国内事務局となっている例があるわけですが、日本は文部科学省が国内事務局を担っていますので、ESDやユネスコスクールという意味では非常に広い展開をしていて、これは世界的にもトップレベルではないかと考えています。
 強み、弱みは両方あるとは思うんですが、強みとしては、自治体主導というのはやはりすばらしい点です。住民へのアクセスが容易です。自治体は、やはり町報とか、初等教育などの形で住民にダイレクトに関わることが可能です。南アルプス市では、ここにあるBRカレンダーというものを全戸配布、3万弱の世帯があるわけですが、全てに配布するということもやっています。BRカフェ、サポーター制度のような形で誰でも参加できますというような仕組みもあります。また、自治体が主体なので、総合計画や戦略、条例にBRを位置付けやすいといった特徴もあります。一方では、先ほどありましたように、自治体の外に関与するというのは、やはり所掌や調整の問題から簡単ではないところもあります。
 私、この1年でBRをかなり回らせていただきました。ベトナム、韓国、オーストラリアなどでは会議などでも発表させていただきましたが、国際的に見れば、やはり日本は自治体がやっているので、行政資源としては非常に豊富だと感じています。もちろん、もっと増やしていきたいという気持ちはありますが、特にセビリア戦略以降のBRでは、プロモーションビデオだとか、研究助成、標識案内の作成といった途上国ではなかなかそこまで行けないというところも、うまくやっているという気がします。
 そして、何を置いても、やはりJBRNの設立というのは非常に強みではないか。これは、2015年に各BRが自律的に、自発的にネットワークを設立しました。この2年間ぐらいは、海外でも国内ネットワークの設置ラッシュです。まさに、この間、行った韓国のものは、韓国国内ネットワークを立ち上げるという意味での国際会議でしたが、やはりどこも資金面で国に依存しています。そういう意味で、日本はそれぞれのBRが自発的に会費を払って、それで運営していこうというボトムアップの仕組みとしては、世界よりも一歩先を行っているかなという気がしています。
 一方で、弱みもあります。一つは、国際対応だろうと思います。特に、サイトレベルですが、やはり自治体というのは、当然、英語を話せる人であるとか、国際動向、例えばSDGsとか、国際環境協定に詳しい人が多いわけではありません。そういったこともあって、国際対応の優先度というのは極めて低いのが現状です。ウエブサイトも日本語しかないという状況があります。
 ユネスコエコパークの強みとは何かというと、やはり非常に歴史があるので、EABRN(東アジア地域BRネットワーク)など、地域ネットワークを通じて様々な会議や研修の機会があるわけです。しかも、ユネスコはお金を出して無料で招待してくれるわけです。無料で招待してくれて、GISの研修を受けさせてくれたり、持続可能なエコツーリズムとはどうやったらいいのかみたいな研修がある。ユネスコ国内委員会をはじめ、それぞれの地域、MAB計画委員会から、是非、こんなのは行った方がいいですと情報提供するわけですが、なかなか行っていただけないという現状があります。非常にもったいないという気がしています。
 これは、自治体がやっている以上、やむを得ない面があるわけですが、Cに関わってくるところですが、やはり企業連携、収益計画は弱いところがあります。こういったところをどういうようにやれば、うまくポテンシャルを引き出せるのかというのは今後の重要なポイントになるだろうと思います。
 もう一つは、国のイニシアチブというところも重要なポイントです。聞き取り調査などでは、エコパーク、確かにボトムアップとはいっても、国のイニシアチブもないと始まらない。ESDやSDGsも、国が旗を振って文書とか、予算といった形で支援してくれているから、浸透しているのではないかというような意見もありました。
 文部科学省は、ユネスコ国内委員会事務局ということで、教育マター、ESDであるとか、科学技術に関しては当然、ノウハウをたくさん持っているわけですが、必ずしも自然保護や地域振興に関するノウハウが十分あるとは言いがたいところもあります。そういうわけで、この2年間ぐらい、私自身もすごく重視しているのは、担当者にまず現場を知ってもらうことが重要で、同時に核心、緩衝地域に関わってくる環境省であるとか、林野庁、又は地域振興、農村振興に関わってくる農水省や総務省、又は社会科学系の研究者、こういったところをどういうように巻き込んでいくのかが、重要なポイントになってくるだろうと思っています。
 過去には、実際、このように国のイニシアチブを、強くしたこともあったわけです。セビリア戦略以前のもので、移行地域がないBRに関しては、移行地域、ゾーニングというものを設けて管理運営計画を作っていかないと、エグジットストラテジー(出口戦略)に引っ掛かりますよと言っていくことで、自分の自治体以外のところにもアプローチすることができて、実際にやる気のあるイニシアチブを持っているところが何とか頑張ってくれたということもあります。そういう意味では、国内委員会としてBR管理の基準強化などを行う、これはむしろ支援になることが多いのではないかと思います。
 もう一つは、リマ行動計画、特にA1に強く関わってくるところですが、もうちょっとマクロな視野になりますが、BRの多様性を確保していくということが重要だろうと思います。今、日本は、屋久島・口永良部島を除いてどれも山岳型です。A1にあるSDGsであるとか、MEA(多国間環境協定)のようなものを推進していくことになると、生物多様性条約もそうですが、海洋や島嶼、海岸、こういったところを生物多様性だとか、持続可能な観点から指定していくということもやはり重要な施策になってきます。
 具体的に言うと、私、まだ分科会での議論がそこまで詳しく分かっていないところもありますが、少なくとも海外では都市を含めて多様な指定がなされています。非常に大きな街ですが、ウィーンのヴィーナーヴァルトでは核心地域を27か所に分散してやっています。ほとんどが農村景観、都市に掛かってくるような所で、5%にすぎない。ドイツのレーン、これも有名な所ですが、核心地域は2%にすぎないということがあります。よくアイランド型とか言いますが、ドーナツ型に膨らんでいく形だけではなくて、もっと多様な視点の在り方が大いにあり得るだろう。
 それを一つやっていくためには、やはり保護担保措置に関する国内のガイドラインというものがありますので、そこに対してちょっと書き込んでいくことが重要だろうと思っています。例えば、ウィーンの場合には27か所に分散しているということは、小パッチの生物多様性保全を目指しているわけです。そうしたときには、例えば種の保存法の生息地のある保護区であるとか、ちょっとこれはエクストリーム(極端)な事例で、私は参考程度と思っていますが、都市緑地法にも特別緑地保全地区というものがありますし、OECM(その他の効果的手法)というのが今、盛んになってきています。社寺林であるとか、私有地、当然、私有地であっても効果的な保全がなされるのあれば全然構わないというのが、今、国際的なメインストリームになってきています。ですので、こういったものも核心、緩衝に含めるようなガイドラインをまず考えていくことも必要だろう。あとは、ある程度運用で考えていくこともできるかと思います。
 最後の方になってきますが、何をやるべきかということは、リマ行動計画に比較的書かれていますので、どうやったらリマ行動計画、もうちょっと具体的に取組を進めていけるのかについて、簡単に紹介させていただきます。時間の都合もあるので、本当に一部になります。
 まず、BRレベルとしては、やはりBR専任のコーディネーターがいないと難しいだろう。どうしてもBRは限られたリソースで推進していくことになります。そうした際に、ネットワーキングに秀でた専従の職員が必要になるだろうと思います。当然、専門性があるというのは大変な付加価値なんですが、何を優先するかと言えば、私はつなげる力だろうと様々な所を見て思っています。例えば、白山とか、南アルプスでは、実は専門性はアウトソースされているんです。必ずしも専従職員がそれを持っているわけではないんですが、これに関しては大きな問題はないということです。ベトナムとか、韓国とか、いろいろ見てくると、やはり結局、コミュニケーションを大学院で専攻していましたとかいう人が多いです。そういう意味では、コミュニケーションなどが上手な人というのは一つ重要だろう。
 これにも関わってくるのは、やはりリソースという考え方が重要だろうと思います。例えば、職員がその中で獲得していく専門性であるとか、技能、経験、人脈というのは行政資源の一つです。ただ、これが二、三年毎にどんどん変わっていくと、なかなか蓄積できないというのは大きな問題になります。やはり地方自治の中での難しさがある場合には、場合によっては戦略的な引き継ぎ、例えば3か月重複させて人脈とか、様々なものを引き継ぐ期間を設けるとか、いろいろな仕組みで考えていくことが重要だろうと思っています。
 これはワットにも関わってくるんですが、条例や計画などにBRを組み込んでいくということをもっと強く考えていった方がいいだろう。単にリソースが足りません、行政資源を増やしたいですといっても、当然、ポリティックスですので、そう簡単に増えるものではないです。やはり条例とか、計画にあると、議会としても増やしていきやすくなる。そういう意味では、公的な認知というものを高めていくことが、結果的には普及啓発や行政資源の増加に関わってくるだろうと思います。
 また、参加というのは当然、重要ですが、参加機会と情報提供というのは、私、不可分の関係があると思っておりますので、その相乗効果を強く意識することが重要だろうと思います。そのためには、ウエブサイトの定期的な更新や議事録の公開、拠点施設や解説板の整備、また、ほかのBRの取組を紹介するなどしてシナジーを作っていくことが重要だろうと思います。
 次は、もうちょっと広い国レベル、若しくは地域ネットワークレベルの話になってくるわけですが、やはりMAB計画の一番の基本は何かというとネットワークなんです。BRになるということは、世界BRネットワークに入るということです。ネットワークに入るということは、グッドプラクティスや課題を共有して、切磋琢磨して、学び合っていくということだと思います。そういうことを考えると、各地の事例や課題を共有して学ぶ機会がないというのは致命的です。それを増やしていくということは非常に重要です。まさにMAB分科会も、こういうようにオブザーバー参加が認められているようになっている。これは、すばらしいことだと思います。
 その中でも一つのキーになってくるのは、やはり国内ネットワークの強化だろう。なぜかというと、それぞれのBR単位でのリソースだと、単独で国際対応します、若しくは技能習得していきますというのはなかなか難しいんです。そういう意味では、集合行為としてJBRN、国内ネットワークにある程度リソースを集約して、その中で効果的な情報共有、若しくは国際対応をやっていくことが現実的には不可避だろうと考えています。
 もう一つは、国内委員会、言い方はいろいろあると思います。国でもいいですし、MAB国内委員会という言い方もあると思うんですが、いろいろな形でやっていくということです。当然、ボトムアップというのはよいことで、これを堅持していくべきですが、残念ながら停滞してしまうこともあるわけです。そうした際に、国がガイドラインであるとか、予算、専門家の派遣、勧告などでサポートするということも大いにあり得るだろう、重要だろうと思っています。中には、自治体の職員は何をやってもいい、ではなかなか動きづらいです。国や委員から何とかしなければならないと言われると能力を発揮すると。これはいろいろ異論もあると思いますし、私も考え方はいろいろだと思うところもありますが、少なくとも複数自治体型というのは、こういったところがあると動きやすさにもつながるだろうと思っています。
 もう一つ、最後のところに関わってきますが、LAPのリマアクションプランのAやCを推進していくためには、BRの多様性確保も重要な視点になってきます。当然、ボトムアップを重視するわけですが、BRがそもそも認知されていない、少なくとも国レベルでというところもあるので、この辺りをどう考えるのかということも一つのポイントだろうと思っています。
 簡単ではありますが、以上で終わります。
【礒田主査】  ありがとうございました。
 今の御発表に関連して、御質問があればお願いいたします。各BRの方からも御質問を受け付けますので、お願いいたします。
【佐藤委員】  ちょっとよろしいでしょうか。
【礒田主査】  はい。
【佐藤委員】  どうもありがとうございます。大変面白かったし、非常に刺激を受けました。
 一つ、LAPをどう位置付けるかというところが私はやはり非常に気になっていて、LAPというのはある意味でガイドラインですよね。できる限りこういうことをきちんと満たしなさいという、言ってみればユネスコから指示が来ているわけですが、個々のBRがこれを全て金太郎あめ的に満遍なく満たせというような発想を取らない方がいいのではないかと思っています。むしろ、うちはここに強みがあるとか、ここは取りあえず後回しでよいのだという意思決定が自らできて、自らこれをうまく使う、使いこなし方が大事なのではないかと思うんです。それ、田中先生から見たときに、言ってみればこういうものはそういう解釈を許すようなものだと思われるか、あるいは、やはりこれは基本的なガイドラインだと、だから、ちゃんとできる限り満たす努力をすべきだと見るかというところの感触を教えてください。
【田中氏】  私は全く同意見で、これを金太郎あめのようにやるなんていうことは全然必要ないと。これは、あくまで情報、参照程度だと、私は思っていますし、これを一個一個やっていくというのは全然面白みのない活動なんですよね。
【佐藤委員】  そうなんですね。
【田中氏】  むしろ、強みを伸ばしていく。そうはいっても、これはやるべきだということで議論になればやっていけばいいだけの話で、これを逐一、全部やることは全く必要ないと思っています。例えば、今日の話にもありましたように、日本は文部科学省が国内委員会事務局として基本的にやっていて、海外は環境省だったり、外務省というところで、カラーもかなりあります。PRの取組方ですね。としたら、そこの強みを伸ばしていくというのがまずはポイントだろうと思います。
【佐藤委員】  はい。
【礒田主査】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
【松田委員】  では、よろしいですか。
【礒田主査】  はい。
【松田委員】  どうも大変ありがとうございました。多分、英語で海外に報告すれば、ドイツなどにも負けない、すばらしい報告として扱われるのではないかと僕は思いました。
 幾つか補足といいますか、私の情報として申しますと、7ページ、気候変動のモニタリングが弱いという話でしたけれども、林野庁では、世界自然遺産の各自然遺産でどのような気候変動の影響があるかというモニタリングを行っていました。屋久島では花之江河(はなのえごう)がどうなっているとかいう話があります。そういうように持っていけば、多分、そういう回答が得られたかなと思いました。
 それから、同じようなことですけれども、12ページ目、上の方で白山キリマンジャロとあって、下でPESの例がないとありますけれども、僕から見れば、上の白山キリマンジャロは最も典型的な「生態系サービスへの支払い」(PES)の例と言えると思います。これもまた、そういうように持っていけば、そうではないかと言えば、多分、そうなったのではないかと思います。
 今、日本は文部科学省が国内事務局を担っているという話がありましたけれども、大体、現場に行くと、環境省の事務所とか、森林管理署とかあります。水産庁もあります。そういう省庁相互の連携も当然、本当はできるのではないかという気がします。そういう意味で、ぱっと見直してみたときにちょっと感じるのは、たしか地域おこしというのは総務省管轄ですよね。この場に総務省を呼んでいないですね。ひょっとして呼んだ方がいいかなと、今、僕は感じました。
 それぐらいかな。取りあえずそれだけです。どうもありがとうございました。
【田中氏】  ありがとうございます。
【礒田主査】  岩熊委員。
【岩熊委員】  すみません。今からの質問は特にLAPには入っていなかったと思うんですけれども、インバウンドとか、最近、観光客も海外から増えてきて、いろいろな所にも入ってきていると思います。国立公園も増えているところがあります。あと、地域に住んでいらっしゃる外国人も含めて、それぞれのBRで関わりがあるということが、お気づきになられた点はありますか。
【田中氏】  今のことも聞いたりしました。それは、外国人に対する情報提供はどういうことをやっていますかというところで、ウエブサイトに関してはまだ2か所しかやっていない。綾が準備中です。パンフレットに関しては、多くのところが準備をしています。ただ、必ずしもエコパークに関するパンフレットというよりは、あくまで地域なり、自治体のパンフレットということで、インバウンドでやっている。多くの場合は、やはり補助金が非常に取りやすいということがあると思います。これは明確に、観光庁なのか、総務省でお金を取っているのかちょっと分からないんですが、そういったところでパンフレットの準備はされている。意識はどれぐらいされているのかというところは、本当にケース・バイ・ケースだろうと思います。屋久島のように、インバウンドがそもそも多くて、ミシュランの3つ星を取るような所だと、いや応なく考えている所もあるでしょうし、そうではない所もまだあるということです。
【岩熊委員】  ありがとうございます。
【礒田主査】  はい、どうぞ。
【大野委員】  大変刺激的な発表、どうもありがとうございました。ジオパークをやっております大野と申します。
 これ、ちょっとジオパークでもある問題なんですけれども、是非、MABとか、BRの方でも状況を聞きたいと思ったのは、5ページ目にあります追加調査の必要性のところで、アンケート調査に対する空欄が多かったというところがちょっと気になっているんです。実際、計画そのものが分かりづらいという分析をされていたと思うんですけれども、そもそもユネスコが目指すものは何かとか、エコパークは何を到達するべきものなのかというのは、地域の方がどのくらい理解されているのかというところが、もしかしたら、こういうところに反映されているのかなという気がしています。
 というのは、ジオパークでも同じように、ジオパークプログラムが何を目指すものとか、ユネスコが何を目指すものというのは、現場の中では結構希薄で、それをきちんと伝えていくということに非常に力を注ごうとしているんです。それでも、なかなか伝わらないという現状があるので、実際にヒアリングをされたり、現地に行かれている感覚から、どのくらいこのプログラムのことを当事者の方が御存じで、その実現に向けて本気でやろうとしているか。答えにくいかもしれないですけれども、ちょっと率直なことをお聞きしたいんですが。
【田中氏】  リマ行動計画、最初に申し上げたように、結構分かりづらい面は確かにあるんです。専門家でも、これ、どう答えるんだろうなというのは本当にたくさんあります。比較的うまく書けていた例はどういったところかというと、専門性をアウトソースしているところは実はすごくきれいに書いてくれている。例えば、白山も委託、外部にお願いして、南アルプスも外部に委託して書いています。そうしたら、みんな大体、博士号を持った専門家ですので、SDGsのことをまあまあよく知っているし、多国間協定についてまあまあ知っているし、PES(生態系サービスへの支払い)といっても、一般行政の人がそんな分かることではないですね。それがきっと記述の少なさにもつながって、本来だったらもうちょっと、これも書けるよねということはあると思うんですが、そういった意味では、やはり国際対応であるとか、専門性といった面では、まだまだ普及は足りていない面があるだろうと思います。
 もう一つは、みなかみとか、祖母・傾・大崩も非常に熱心にやっていたんですが、登録直後のアンケートだったということで、まだまだそこら辺がキャッチアップできていないというようなこともアンケートからは読み取れました。地域がこういった国際的な制度をどのように使いこなしていくのかというのは、本当にケース・バイ・ケースなので、絶対、多国間協定を熟知せよとまでは思わないですが、もうちょっと理解度を深めていくことで戦略性を持ってもらったら、いろいろ変わってくるだろうという気はしています。
【大野委員】  ありがとうございます。
【礒田主査】  はい、伊藤委員。
【伊藤委員】  かなり綿密な調査をしていただいて、いろいろ分かってきたんですけれども、地域の一般住民がどの程度こういうBRについての知識とか、情報を持っているのかというアンケートとか、そういうことはしておられないのでしょうか。
【田中氏】  結構あります。実は、今回、スライドを入れようか迷ったんですが、BRによっては知名度調査をやっているところがあります。南アルプスだとか、志賀高原だとか、祖母・傾・大崩は日本文理大学の先生がやっています。この中にもあったように、町報とか、全戸配布関係で行くので、やはりユネスコエコパークの名前を知っているというのは非常に高いんです。志賀高原などは、世界遺産、ラムサール、ジオパークとの比較の聞き方をしている。その中で、世界遺産と同じぐらいみんな知っているというような形で、知名度はBR内では非常にいいと思っていいと思います。ただし、どのような制度ですか、説明してくださいという段階になってくると、かなりがくんと落ちます。
【伊藤委員】  もう一つは、地域以外、一般国民にBRがどの程度認知されているか。これは、多分、かなり低いと思うんですけれども、こういうようなものをアンケートされたことはありますか。
【田中氏】  この間、祖母・傾・大崩に行ったとき、日本文理大学の先生がそれに近いもの、都市圏だけですが、東京は入っていないかな、大阪とか、幾つかの都市圏をやっているものがありました。それだと非常に少なくて、ちょっと具体的なパーセンテージを覚えていないので恐縮ですが、10%もなかったような記憶があります。
【伊藤委員】  感触として、諸外国に比べて、やはり日本は世界遺産とBRとの落差がすごく高いと思っています。この本(「ユネスコエコパーク―地域の実践が育てる自然保護」)などは普及に役立つと思いますけれども、そこら辺は、多分、BR自体の問題ではなくて、国として進めていかなくてはいけない課題だと思いますけれども、そのようなことがあるような気がしました。
【礒田主査】  いかがでしょうか。
【服部委員】  よろしいでしょうか。
【礒田主査】  服部委員。
【服部委員】  ありがとうございました。
 21ページ、多様性の確保というところで、すごくそうかなと思ったんですが、日本の場合、山岳地域というのは自然植生が残っていて、その周りを二次植生が囲んでいて、核心地域と移行地域がうまく合っているということになっていると思うんですけれども、この中で二次的自然と書かれていて、二次的自然というと移行地域に当たるような感じがするんですけれども、ウィーンの場合、27か所に分散しているものは自然植生なんでしょうか、二次植生なんでしょうか。
【田中氏】  すみません、ちょっとそこは、はっきり言うと見てみないと分からないですが、恐らく限りなく原生植生に近いと思います。とはいえ、都市域にもそれに近いようなところが残っている、若しくは生物多様性条約の関連から、二次的自然でも絶滅危惧種が生息するような小さなパッチがあると思います。場合によっては二次的自然に当たるのかもしれないですが、十分、原生に近いようなイメージ、つまり100年、200年ぐらい人の手が余り入っていないというときには、それを入れることがあり得るのではないか。これは、もうちょっと詳しく見たいと思います。
【服部委員】  是非、ちょっと見ていただいて、二次的自然、例えば日本の場合、里山は非常に重要なものということですけれども、この概念から言うと、やはり里山というのははまりにくい。
【田中氏】  そうですね。
【服部委員】  例えば、兵庫県のような所では、なかなかこういうものの指定は難しい。ところが、里山みたいな二次的自然が核心になるとすれば、やはりちょっと感じが違ってくるので、また調べていただいたら。
【田中氏】  そうですね。私も、それはまた違うイメージだと思います。恐らく二次的自然地域に残っている小さなパッチの、いわゆる特別緑地保全地区とか、都市公園でも特別地区があれば厳重に保護される地域というイメージであると思います。
【服部委員】  ありがとうございます。
【伊藤委員】  恐らくウィーンは、自然、原生の植生は残っていませんので、二次的なもので、保護して、割と元の状況に近いようなものが、残されている所が指定されていると思います。ドイツになると、ちょっとまたあれかもしれませんけれども、多分、ウィーン辺りは一度、人が全部刈ってしまって、切ってしまった所だと思います。日本も、多分、かなりの部分がそうで、白神も恐らく池塘がかなり入っています。
【田中氏】  実際、屋久島などもそうですね、かなり入っています。今、奄美大島は世界遺産登録をやっていますけれども、核心に入るような所にヒカゲヘゴが生えている所がいっぱいあって、明らかに人の手が1回入っているだろうといった所が多いです。
【伊藤委員】  BRではないですけれども、世界遺産の小笠原も核心地域は昔、牧場でした。
【礒田主査】  私の方からもよろしいでしょうか。LAPの実施に係る提言について、非常に踏み込んだことをいろいろ御発表いただいて、大変ありがとうございました。その中で、先生は環境政策、特に法律の方の御専門ということですが、LAP以前とLAP以後で、法律によって規制される部分があることで経済活動に何か支障があるというか、そのようなことがもしありましたら、専門家のお立場で教えていただきたいんですが。
【田中氏】  ユネスコエコパークに係る規制が。
【礒田主査】  そうですね。特に、LAPが出る前と後でですね。
【田中氏】  これは、国際法の分野だと考え方がちょっと難しいところがありまして、簡単に言うと、国際法は法ではないと言われるぐらいで、ほとんど拘束力がないんです。全部、国内レベルの保護担保措置でやられているので、海外で何か新しいことが出たからといって、現場の保護規制が強化されるということは余りないです。そういう意味でいくと、リマアクションプラン(LAP)に関しても、基本的に保護を強化するようなものではないので、規制強化という捉え方とはちょっとまた違うのかなという気がします。これを一つのきっかけとして、何か経済的な波及効果みたいなものがあったという事例は、私の知っている範囲では把握しておりません。
【礒田主査】  では、田中先生、どうもありがとうございました。もし、よろしかったら席にお戻りください。
 田中先生の御発表の中にも、いろいろな情報を頂いたわけですが、我が国のユネスコエコパークの推進方策について引き続き意見交換をしたいと思います。前回の分科会での主な意見については、資料3をお配りしております。本日、あるいは前回の御発表、意見交換を受けて、日本のBRの展望など御意見を伺えますでしょうか。前回に引き続き、3つの観点をお示ししております。こちらにあります。本日も、関係省庁の担当者、並びに傍聴者として自治体のBR担当者も多数お見えになっております。各地の実態など、必要に応じて各担当者から伺えると幸いです。
 こちらに投影していますように、日本のBRの特徴、強みについて、今後、注力を置いて推進すべき要素、そのために必要な事柄などということですが、BRの可能性、重要性ということも大きくありますし、何を推進していくことが望ましいのかということについて、自由に御意見いただければと思います。
【佐藤委員】  すみません、前回、休んでおりましたので、この際、言いたいことを言わせていただこうかと思います。
【礒田主査】  お願いします。
【佐藤委員】  日本の強みとして、今、田中先生のお話で、基礎自治体が中心にあるのは非常によい側面だということは、ある意味では皆さんの認識も共通だろうと思うんですけれども、逆に弱みでもある。つまり、どこが弱いだろうかということを想像すると、本当の意味での市民参加はなかなかうまいこと動いていかない。それから、多様性という側面も、単に自然環境の多様性だけではなくて、ガバナンスの多様性がもっとあるべきではないか。つまり、日本で基礎自治体以外でも、BRの取組、ユネスコエコパークの取組を始めるような例がどこかから出てこないか。もちろん、最終的には保護担保措置とかいった問題があるので、自治体が絡んでいただかないとまずいんですけれども、少なくとも物事の動かし方として中心的な役割を果たしていくのは全く違った団体であるという、ガバナンス構造の多様性自体がもっとあってしかるべきです。
 そういった多様なものがネットワークを作ることによって、相互に学べる要素は格段に増えるはずです。今、自治体同士の学び合いになっているような雰囲気があります。そうではなくて、もっといろいろなやり方、いろいろなアプローチがあり、そこからお互いに学び合えるというようなところが出てきたら、更に活性化につながるであろう。それから、フィージビリティーも恐らく上がるだろうと期待したいと思います。ですので、多様性のところが大事だというのは私も同感ですが、その多様性の中身としてガバナンスの多様性も考えていくべきではないかと、取りあえずは申し上げておきたいと思います。
【松田委員】  今の点、よろしいですか。
【礒田主査】  はい。
【松田委員】  そういう意味では、先ほどの田中先生の報告の中で、自治体以外の民間セクターというと、結構、企業の例が紹介されていたんですけれども、多分、田中先生が深く関わる口永良部島とか、ああいうところは、今後、むしろ住民主体でBRが動き出す可能性は十分にある。屋久島・口永良部の場合には、屋久島学ソサエティ、大学ではなくて地元のレジデント型研究者も合わせたような、学問を志すコミュニティーとして動くという例が結構できるかもしれません。基礎自治体という話でしたけれども、祖母・傾・大崩はどちらかと言えば県が主体でやっていらっしゃいますし、甲武信もそうだと思います。その上で、基礎自治体とこういうようになっていますので、基礎自治体も参加していただいていますけれども、ひょっとしたら、そういう事例が増えるとまた別の見方ができるかもしれないと、僕は期待しております。
【大野委員】  では、よろしいでしょうか。
【礒田主査】  はい、お願いします。
【大野委員】  エコパーク、ジオパーク、両方に共通する課題だと思うんですが、やはり何のためにやる活動かという部分は大事にしたいと思っていて、基本的にはそこの自然を守り、あるいは自然を作り出す地球活動を守り、そこにある地域社会を守ることを全て両立させていくという取組だと思うんです。となると、最初のスタートの部分は自治体が引っ張っていくという構図になるとは思うんですけれども、やはりもともと地域で展開されている様々な優れた活動があって、地域の自然を守っていたり、地域の歴史、文化、伝統を守っていくというコミュニティーレベルの活動があると思うんですけれども、そういったものに対してきちんと光を当てて、そこにあるものが実は地域資産であるということをもっと見える化していく。それを学者の研究等で価値付けをしていく。
 そうすると、地域の人は、地域に何もなかったと思っていたものが実は宝だったということを認識して、人口流出に歯止めが掛かり、地域社会の維持、発展に貢献する。そういう部分の活動に、BRの活動やジオパークを使っていく。今のBR、ユネスコエコパークの活動を見てみると、やはり地域住民の関わりがちょっと弱い。企業は関わるんですけれども、やはり企業としてのスタンスという関わり方になってきますから、本当にその企業が地域を守りたいかというところになると、ちょっとまだ弱いような気がするので、そういった様々な団体を巻き込んでいくようなキーパーソンが、多分、必要になると思うんです。
 ですので、前回の話にもちょっと出たと思うんですけれども、コーディネーター、つなぐ人たちというのは、ある程度専門的な知識や、こういう全体の地域保全という考えを持った上で、いろいろな人をつないでいくような人が組織の中に1人いて、その人が中心に、実際、実務担当者と地域をつなぐ人がやはり必要ではないかと思います。
【佐藤委員】  今の話に、ちょっとだけ反論してもよろしいでしょうか。
【大野委員】  はい。
【佐藤委員】  恐らく、誰かがコーディネーション機能を持つという話は、ある特定の個人に帰属しないと僕は思っていて、いろいろな人が、いろいろな立場からコーディネーションをしていく。これを僕らは、トランスレーターの重層性とか、多様性という言い方をしていたんです。つまり、いろいろな立場の人が国際的な価値を地域に持ってくるし、地域の価値を国際発信できますというような状態ができるのが一番よくて、そのためには、その中心になるようなコーディネーターが1人いるだけではなくて、例えば我々のような外から行く科学者もいろいろな形で関与できるし、地域の中にいる多様なレジデント型の研究者も、それぞれの立場からいろいろなことができる。できるだけ多様な人たちのトランスレーションの力が動いている状態が、実はもう既にいろいろなエコパークで実現している。多分、今回の本でその分析ができたような気がしていて……。
【礒田主査】  こちらですね。
【佐藤委員】  はい。その『ユネスコエコパーク』という本です。だから、そういうようなところが実は注力を注ぐべき、つまりどれだけ多様な人たちがいろいろな人をつないでいるか。いろいろな人がつながるだけではなくて、つなぐ人がいっぱいいるという話です。
【大野委員】  それが理想です。
【佐藤委員】  はい。やはりその辺を最終的には目指さないと、だから理想とおっしゃいますが、実は結構できているかもしれないと思っています。
【松田委員】  いいですか。
【礒田主査】  はい。
【松田委員】  今のことは、2ページの、もう裏の議論にちょっと入ってしまっているような気がするんですが、そういう意味でジオパークは専従、専門員をむしろ制度として設けなさいと、たしか指定されていると思います。それも一つのやり方だと思います。もちろん、それ以外のやり方もあり得るかもしれないけれども、そう広げてしまうと逆に、実際、何もできていないところができるという危惧は当然、出てくるので、その辺をエコパークとしてどういうような制度設計をするかというのは、多分、2番の中心課題だと僕は思います。
 専従にしても、フルタイムであっても、結局、一、二年で担当者が替わってしまうということになってはやはりちょっと困る。でも、地元の彼(彼女)に聞けばかなりのことが分かるという人がいてくれると、多分、すごく有り難くて、それは必ずしも専従というか、フルタイムの方でなくてもいいのかもしれないとは思うんです。そこは、何かいい制度ができればいいと、僕は思っています。多分、専従を全部にいきなり作れと言ったら、難しいと言われるところが出てくるかもしれないという気もします。
【礒田主査】  先ほど、大野委員からのお話の中で、コミュニティーのわずかな動きでも、それを価値付けするような、例えば研究者の解析とか、あるいは、それをうまく発信するキーパーソン、連携させるというお話が今、あったんですけれども、各BRでそのようなコミュニティーから発信できているような動きとか、例えば教育委員会との連携なども、今回、重要性として出ていますけれども、何かそういった動きについてありましたら御紹介いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【白山BR】  失礼します。白山BRの山下です。
 今の話の前にアウトソースの話がありまして、前に座っている飯田さんがその役割をやってくれているということで、大変に助かっております。
 コミュニティーの話ですけれども、今、白山BRで基本計画を作っております。その中で、評価シートというものを作って、各地域、我々は4県7市村にわたりますけれども、キーパーソンを中心としながら、様々なコミュニティー活動をしている各7市村の活動をしっかりと把握しましょうと。今は基本計画を作ったばかりなので、ゼロからのスタートですけれども、5年、うちは2025年にユネスコへの定期報告ですけれども、それまでに着実に仲間作りをしていく。それが白山BRらしさと捉えて、いよいよ来年からそういうことに実践的に動くことにしております。
【礒田主査】  ありがとうございました。非常に白山らしさ、らしさという言葉も非常にすばらしいと多様性のところで思いましたけれども、ほか、いかがでしょうか。BRの方から御紹介いただけますでしょうか。
【みなかみBR】  では、ちょっと。
【礒田主査】  はい、お願いいたします。
【みなかみBR】  みなかみBRの髙田と申します。いつもお世話になっております。
 コミュニティーの話もですけれども、教育委員会との連携の中で、かねてから環境学習発表会という形で、町内の全小学生が環境について地域学習を行った成果を町民に対して、あるいは町外の人に対して発表する機会、それをESDとか、これからユネスコスクールに登録というところにもつながっているんですけれども、そういった機会に教育課、教育委員会の方とは、今年から更に連携が強まっているということで非常にいい関係があります。
 それから、コミュニティーと言っていいのか、きょう、田中先生の話でも少し触れていただいた赤谷プロジェクト、国有林をフィールドにした森林との付き合い方を考えるというプロジェクトがあります。そこでは、地域協議会というものがもともとあって、地域協議会とNACS-J(自然保護協会)と、関東森林管理局という三者協定ですけれども、その中でのみなかみBRとしての関わり方というのは、今、次期計画を策定する段階にありますものですから、みなかみ町としての関わり方だとか、BRとして赤谷プロジェクトとどのように関係性を作っていくかということを、まさに協議しています。同じように、谷川岳エコツーリズムも、やはりBRになる要素となったいろいろな個々の取組が町内に点在していて、それを面的に、みなかみBRという言葉でつなぎ合わせるという作業が、去年、登録になってから行われているというようなところです。
 あと一点、人事異動リスクです。きのう、内示が出て、うちのBRの体制もちょっと変わってくるので、非常に危惧というか、今後に向けてまた頑張らないといけない。その中で、人が替わっていくよさというのは、当然、あるんです。いろいろなアイデアもある。一方で、蓄積したものが途絶えて、一から引き継ぎがというところが本当に自治体、公務員、役場職員の宿命でもあり、それをどうやって担保していくかという仕組みのところが、我々、BRにとっての一番の課題です。
 もう一つ、私は今、林野庁から出向で2年目ということで、有り難いことに3年目を希望したら認められたので、3年目もみなかみBRのことを一生懸命やりたいと思います。その中で、今日の話題にも出た環境省の役割、林野庁の役割みたいなところは、BR、みなかみで言えば90%が山で、そのうちの8割が国有林です。それで成り立った山の町で、どういうように森林を管理していくのか。自然と人間の共生の一番分かりやすい事例が森との付き合い方ということで、私なりの責務というか、自分に課されたミッションみたいなものも感じています。今後、そういった主体を巻き込んで、いろいろな国としての動きを、私みたいな出向者がもっと増えて、実はBRを知っている林野庁職員はほとんどいない、私が勉強不足だったのかもしれませんけれども、知らなかったので、そういうところから変えていくきっかけに私自身もなれたらいいなと思って、来年も頑張りますので、よろしくお願いします。
【礒田主査】  髙田さん、もう一つお聞きしてもよろしいでしょうか。特に、みなかみは観光という産業で、かなり活発に動かれる部分もあると思うんですけれども、企業連携とか、地元企業との連携などの状況は、認定後にいろいろ再整備されてとか、そのあたりのことはいかがでしょうか。
【みなかみBR】  BRになったから、お客様が3倍、4倍に増えたというところにはもちろんならないし、それを目指すものでもないと思うけれども、旅館事業者などでは何とかして集客効果につなげたいというストレートな思いは、当然あります。それから、アウトドア事業者はガイド業の方も多いですから、来られる人たちにBRという付加価値、ブランド力につなげたいということで、具体的な取組としては、もう年がら年中、いろいろなイベント事が、いっぱい観光にまつわることがあります。もちろん、そこでBRのPR、ブースを設けたりしていろいろやっていますので、この町がBRだということを知ってくれて、もしかしたらリピートしてくれる方も、つながってはいると思いますけれども、目に見えてということは、群馬で言うと、世界遺産になった富岡製糸場はがーっとなって、その後、がくんとなって、余計悪いみたいなイメージを受けるけれども、それとは違うと思っています。むしろ、旅行に来てくれた人に、あなたは利根川の源流の水でラフティングをしています、あなたが東京に帰って飲む水はこの水なんですよ、私たちはこの森を守っているんですよということを丁寧に伝えていくことで、みなかみBRだけれども、利根川でつながる下流の人たちもそれに関わっているという感覚を持っていただくというか、それが付加価値につながる。ちょっと地道だと思うんです。すごく地道なことだと思います。観光業からの期待も大きいんですけれども、そのような状況です。
【礒田主査】  ありがとうございました。
 ほかのBRの方から、何か特徴、今、多様性とか、小さなコミュニティーの動きの価値付けの在り方とか、いろいろ出てきているんですけれども、いかがでしょうか。
【大台ヶ原・大峯山・大杉谷BR】  ちょっとすみません。
【礒田主査】  はい、お願いいたします。
【大台ヶ原・大峯山・大杉谷BR】  大台ヶ原・大峯山・大杉谷の西出と申します。
 佐藤委員がおっしゃるように、いろいろな人がコーディネートしていくというのは、見ていて非常にそうだなと思うところで、私どものエリアでも企業だったり、民間レベルだったり、又は工芸家だったり、いろいろな方がBR、エコパークという言葉を使い始めていただいていまして、それぞれの場で取組が起こっているんですが、そんな心配をするようになったら有り難いんですが、ある程度エコパークというものでメリットを感じ始めて、大きなうねりになってきた際に、こちらである程度行動を制限せざるを得ないような場合がある。分かりやすく言えば、大もうけしたり、ちょっと趣旨をはき違えていないかとか、そういう意味の、ある程度の行動の規制みたいなものはどこまで管理者が、そういう意味で管理者なんでしょうけれども、どこまで口を挟んでいっていいものなのかということが、今、悩みであります。
 昨日も、とある木工作家の方ですが、このエリアをクラフトマンストリートにしたい、作家の集うようなエリアにしたいと。ここで使うクラフトに関しては、例えば木材だったり、石であったり、そういう彫刻に関係するものに関しては、このエコパークから産出したものであるという宣言の下、クラフトワンストリートを作っていきたいみたいな話がありました。それは別に僕が関与するわけではないんですけれども、たまに相談に来るので乗ってねぐらいの話なんですが、エコパークの趣旨を念頭に置いてやってくださいねと言うのが関の山かなと。それ以降の行動で何か逸脱するようなことがあったら、監視するというのもちょっと変な話ですし、どこまで管理者として立ち居振る舞いしていったらいいのかというのも、今、ちょっと小さな悩みです。将来に向けて、そうなったらうれしいんですけれども、そんなことを思いながらお付き合いさせてもらっています。
 その件に関して何かアドバイスありましたら、頂けたらと思います。
【佐藤委員】  一つだけ、僣越ながらお話しさせていただきますけれども、恐らく共同管理というのが一番分かりやすい言い方ではないかと思うんです。つまり、誰かがトップダウン的に管理するという形よりは、いろいろな、特にエコパークの場合は協議会がある中で、協議会の合議と、それからお互いの納得で意思決定がなされていくと、そういうプロセスがきちんと回っている状態を維持するということではないかと思うんです。そうすると、その中で抜け駆けして大もうけできる人がいたとしても、その方もやはり何となくやりづらいなというような感覚が、動いてくれるような状態ができれば一番いいだろうと思います。
 そのときには、誰かが指示するのではなくて、むしろみんなが対話し、話し合って、納得して物事を決めていくというプロセスが、きちんと協議会の中で絶えず動いていく。逆に言うと、そういうきちんと納得してやっていこうというリーダーシップが大事という話ではないかと思います。例えば、自治体の首長がリーダーシップを発揮するとしたら、みんなもうちょっとちゃんと話せよとか、もうちょっと納得を得るようにしたらいいのではないかといった形でのリーダーシップになるのではないかと、私は想像しています。これが、いわゆる共同管理の一つのやり方だと思います。
【大台ヶ原・大峯山・大杉谷BR】  はい、ありがとうございます。
【礒田主査】  キーパーソンの話も非常に重要で、活動の維持ということに関して、最近、イオン環境財団様との連携などが非常に活発なこととして出てきておりまして、本日、イオン環境財団の方も来られています。日本のBRの将来的な可能性とか、どういったところに財団として、取り組む方向性とか何かございましたら、是非、お願いしたいんですが。
【イオン環境財団】  私、イオン環境財団から参りました山田と申します。よろしくお願いいたします。
 初めてこういう会議に陪席させていただいたんですけれども、先ほど御紹介ありましたように、ユネスコエコパークと連携協定を結んで、今、何をしているかというと、各ユネスコBRの町の方々にイオンモールの場を提供して、いろいろな催し物、ワークショップであるとか、活動の内容ですとか、そういったものを紹介させていただいています。直近でいくと、2月には志賀高原、3月は南アルプスが、イオンモール松本とか、イオンモール甲府昭和で、2日間にわたって活動内容を紹介していただいています。モールには全国で何十万人という人が来ますので、そういった人たちにBRとは何でしょうかと、主に分かっていただくということで進めております。
 もう一つ、イオングループとして、その地域でチアーズリーダー、子供たちが環境を勉強できるようなリーダーを指名して活動しておるんですけれども、そういった子供たちがやはりその場を使って、これだけ勉強しましたと壁新聞のような形で発表しています。いわゆる環境教育の成果ですね。こういったものもやらせていただいております。
 私も1月に来たばかりですけれども、2回参加しまして感じたのは、先ほど先生からもお話がありましたけれども、エコパーク、BRに関する認識度はもう少し改善の余地があるのかなと。世界遺産とBR、どう違うんですかという質問であればいいんですけれども、ステージでいろいろな歌とか踊りをやって盛り上がるんですけれども、その後、それぞれの町の方がBRとは何ですかとか、うちの村ではこういう活動をしていますという話になると、さーっと引いてしまうようなことがあるので、財団としては、もう少しその辺を周知させていきたいなと。いろいろなビデオの作成とか、今、検討をしている状況でございます。
【礒田主査】  ありがとうございます。まさに、全国にモールを展開されるということで、周知されるという点では非常に大きな役割になるかと思います。ありがとうございました。
 資料3にあります、特徴、強み、重要性、望まれる事柄など分けなくても、総合的に何かコメント等ありましたら。どうぞ、お願いします。
【白山BR】  先ほど御紹介いただいた、白山のアドバイザーをしています飯田と申します。
 3つ共有したいと思いまして、一つは、基礎自治体が非常にマネジメントをよくやっているということで、今、白山は、山下さんから御紹介ありましたけれども、管理運営計画を作っている中でSDGsと各取組との対応関係を整理しています。そういった意味で、管理運営計画とSDGsの対応関係をうまく整理していくと、日本全体、JBRN全体としてSDGsへの貢献みたいなことがエビデンスも含めてはっきり言えるので、そこは国のガイドラインとしてもう少し謳っていくということも一つありなのかなと感じています。
 あと、先ほどアウトソーシングの話もあったんですけれども、私自身、LAPのコメントを書くようなこともやらせていただいたんですけれども、博士課程で景観生態学とかを学んでいたので、ある程度カバーできたんですけれども、やはりそういったことを評価できる若手の科学者をもう少し組織的に育成していくのも一つかなと思っています。機会を得てEABRNのワークショップなどにも参加させていただいたんですけれども、各国、20代、30代の若手が非常に参加していまして、こうしたリージョナルネットワークを生かして若手のフィールド研究者を育てるとか、生態学に強い人、ジオパークなどでも一緒だと思うんですけれども、そうしたフィールド研究者を、いかに大学院の修士課程とか、博士課程の人たちに経験を積ませて、可能であれば協議会の専門員として働く。ただ、枠が少ないので、余り雇用とかは保障できないんですけれども、大学院レベルとBRのマネジメントをどうつなげるかというのは、僕自身の経験からして、今、一つ課題かなと感じています。
 最後ですけれども、田中先生の発表では、基礎自治体、今回、いろいろ回って評価されていたんですけれども、僕自身もリマアクションプランのコメントを書いたときに、国がやることが半分以上あって、国レベルでの評価というのが結構必要で、それを誰がやっていくのか。国内委員会自らがやるのか、かといって林野庁、環境省、時には総務省かもしれませんけれども、そういった他省庁にまたがるときの評価なり、改善策をどういう方々でやっていくかというのは、国全体の達成状況をユネスコに報告する際にも一つ課題になるのかなと感じています。
【礒田主査】  ありがとうございました。
【松田委員】  よろしいですか。
【礒田主査】  はい。
【松田委員】  では、全体に関わることとして、私が一番決めていただきたいのは最後にある審査方式で、是非、10年の定期報告の中間で、定期的な点検を国内委員会としてやるのがよいのではないかと思います。これを一つ制度として決めれば、ほかのここに書いてあることは、むしろ義務というよりは推奨ということが多いんですけれども、そこは臨機応変に、その場でこれが必要というところが指摘できると私は思います。やはり10年という単位は、ユネスコ本部としては適切かもしれません。拡張、ゾーニングの変更とか、やはり10年ぐらい掛かってしまうところは実際にあるかもしれませんが、それを国内委員会としてチェックする際に中間で一つ評価するという制度を設けると、これは大分違うかなと私は思います。
 その上で、もう一つ申しますと、国内法との相関性ですけれども、つまりエコパークに一番ぴったりの保護担保措置といいますか、国内制度はないというところがあります。実は、リマアクションプランの中には、BRに関係するような法律を持っている国の数ですか、そんなものもあるんですけれども、必ずしも法律を持つ必要はないかもしれませんけれども、移行地域も含めたような日本の制度があってもいいかなと。これは、是非、環境省、林野庁、農水省、それから総務省にも検討を頂ければいいかと思います。そういうものとリンクしていくと、実はここはエコパークではないんだけれども、エコパークらしいという所ができてきて、むしろ横のつながりのネットワークをそういうところまで広げてしまえば、いろいろな可能性が出てくるのではないかと私は期待しています。
 以上です。
【礒田主査】  ありがとうございます。
 今、松田委員の方から審査方式についての御意見を頂いたんですけれども、綾が2021年に報告されるということで、来年度ぐらいから準備することも必要かと考えております。先ほど、白山の方も、博士号を持っているような専門家との連携というか、そういった方がかなりキーパーソンになるというお話もありまして、やはり科学的見地から支援するMAB計画委員会との連携を検討ということが、今回、審査方式のところに出てきております。この辺りの御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
 岩熊委員。
【岩熊委員】  それは大賛成ですけれども、計画委員会の名称に科学とか、学術とか、そういうニュアンスのものを入れていただけるとすごくはっきりして、役割もはっきりすると思います。委員会名称はもう既に定着していると思うんですけれども、英語名称をどうするかということと、日本語名称の中に科学ですね。ここに書いてあるような役割をもう少し入れていただけると、国内にある3つの委員会のすみ分けがすごくよく分かって、自治体側も、これから応募する側も分かりやすいのではないかと思います。
【松田委員】  ありがとうございます。
 どう思いますか。
【田中氏】  私ですか。
【松田委員】  はい。
【田中氏】  そうですね、学術、科学を入れてもいいかと思います。英語はもうあります。Japanese Coordinating Committee for MABです。
【松田委員】  はい、もうできてしまっております。それは検討させていただきます。
【岩熊委員】  よろしくお願いします。
【田中氏】  では、私もちょっとだけ追加させていただきます。
【礒田主査】  はい。
【田中氏】  ユネスコのプロジェクトでBR管理の標準枠組みという、日本だと、まさに全体に対するレコメンデーション(勧告)みたいなものを、7つにまとめたものを作って、今年、ローンチになっているんですが、その中の一つでも、ピリオディックレビュー(定期報告/PR)を強化するというものを全ての専門家の合意を得て作っています。やはり10年となると、大体が1年前ぐらいに、そろそろPRだとばたばたと予算を組んだりして余り実態がないんです。定期的に5年とかでやるということは、ユネスコとしても、規定するのは難しい。あくまで国内委員会がボランタリーにやっていくという形ですが、韓国のMAB国内委員会は、毎年、すごくシンプルなクライテリアを作って、それに対して聞くというようなことをやっているそうです。ですので、例えば途中で簡単な中間報告をここでしてもらえば、また情報共有の場も広がりますし、いいのではないか。余りに現場の負担になるような中間報告は大変なんですが、それなりに皆さん、非常にたくさんやっていますので、それをもう一回取りまとめる機会としても、この中間という考え方はすごくいいのではないかと考えています。
【佐藤委員】  一つよろしいでしょうか。
【礒田主査】  はい。
【佐藤委員】  科学者、あるいは、例えばMAB国内委員会、更にはMAB計画委員会のような、いわゆる専門性を持った人たちの関わりを強化するというのは大賛成ですけれども、そのとき気を付けておかなければいけないのは、やはりそれがトップダウンの管理の強化にならないということだと思うんです。例えば、ピリオディックレビューをしっかりやられてしまうというのは、やはりそれなりに窮屈である。だから、逆に言うと、関与する私たち側の戦略というのが必要だと思うんです。私たちは、どういう姿勢でMABに関わっていくのか。基準を押し付けに掛かるのではなくて、それぞれのユネスコエコパークのいいところをいかに伸ばしていくかといった姿勢で、言ってみればアドバイザーであり、コーディネーターであり、私の用語を使わせていただけばトランスレーターであると、そういう立場を非常に明瞭に、意識的に持って地域と関わるということをある意味で共通理解にしておかないと、かなりボタンの掛け違いが起こってしまう可能性があるので、是非、その辺は注意していただきたいと思います。
 それから、もし、そういう形で国内委員会や計画委員会がそれぞれ関与を強めるのであれば、その際のもう一つの重要なストラテジーとして、何度か議論になっている多様性の強化、多様性を高めようというところを、意識的な戦略として持っていくのがいいのではないかと思います。これは、多分、3つぐらいの多様性が考えられて、一つは自然環境、例えば島嶼かとか海洋、沿岸がどれぐらい入ってくるかという多様性の問題と、地理的な多様性の問題があります。北海道、四国は、多分、まだないですよね。3つ目がガバナンスの多様性。それで、多様なユネスコエコパークが日本にできますという状態を一つのゴールとして、科学者が積極的に働き掛けていくという戦略を明確にした方がいいと思います。
【礒田主査】  ありがとうございます。
【松田委員】  よろしいですか。
【礒田主査】  はい。
【松田委員】  それは、田中先生が御指摘された23枚目ですか、MAB国内委員会の関与を強化するで、何をやってもいいでは動きづらいという側面の、言ってみれば対極、対岸にある。そういう意味では、チェックリストみたいなものをいっぱい細かく作って、これをやらなければだめみたいに言うのはまずい。先ほど佐藤委員が言われたように、実はリマアクションプランも全部埋めなければいけないというものではない。僕は、SDGsそのものもそうだと理解しています。もっと言えば、リマアクションプランのこの項目と、SDGsの169あるターゲットのどこがどう関係するというちょっと見やすい表を作っておくと、リマアクションプランに答えることがSDGsに答えることになるとなっていた方が、多分、分かりやすいと思います。
 その上で、23ページに田中先生が書いたことですけれども、地元が言ってほしいことというのは実はあるかもしれないです。要するに外から言ってくださいと内部の方が望んでいるということが結構あったりする場合があります。要するに、コミュニケーションがちゃんとできていれば、この地域はこれを言ったらちゃんと動いてくれるということが分かればすごくよくなる。そういう意味では、先ほどの繰り返しになりますが、チェックリストの細々としたものをやれではなく、割と柔軟に、しかし、そういう中間評価の機会を設けるということが、私は多様性を維持する上では非常に機能するのではないかと思います。
【佐藤委員】  ごめんなさい。僕、多様性のときには、新しい登録の話も含めて考えてお話ししたつもりです。
【松田委員】  はい。
【礒田主査】  多様性を育てることと、定期的なレビューで少しクライテリアを作ると、両立するのは非常に難しそうな感じもしますけれども、田中先生の方で何かアイデアがありましたら。
【田中氏】  管理とか、チェックとか、点検になってしまうと、やはり関係が余りよくないかなという気がします。どちらかといったら、ジオパークはみんな非常に和気あいあいとやっているんです。5年に1回、お国自慢ではないんですけれども、うち、こんなことをやっているんです、どうですかと、単純に自慢しに来たらいいのではないかと思うんです。もちろん、もうちょっと勉強していただいて、リマアクションプランはこういうことに関係しているんですとかいうところまで言ってくださったらベストですけれども、それはすごくポジティブなことなので、単純に今、そういう機会がないんです。だから、そういう機会を作っていくということなのだろうと思います。
【礒田主査】  ありがとうございます。
 では、大野委員の方から。
【大野委員】  多分、それを実現する場としては、JBRNのネットワークを強化することに尽きるかなという気がします。ジオパークのネットワークで、各地域が一堂に会して情報交換するという場が年に2回ぐらいあるんですけれども、そのときには、実際、審査する人と審査される側が同じフロアで意見交換したり、普通に気軽に話し合いをしています。ですから、多分、何かチェックリストを作ったとしても、それを受ける側というのは、やはり審査されている気分というのはどうしても抜けないと、私は思っています。特に、自治体職員であれば、そういうことを非常に強く受け止めてしまいがちです。そういったところを緩和していくためには、ふだんからBRに関わる人たち同士が、ネットワークを通じて密に連携を取っていくことが大変重要かなという気がします。
 ジオパークは、もう数が多くなってしまっておりまして、なかなか情報共有が浸透していかない現状が出てきているような気がしますが、BRに関してはまだ数が少ないですので、比較的密な、コアな情報共有と意思決定はできると思うんです。であれば、今、ここでお話しされている趣旨もきちんと現場に伝わり、現場の人もそういうものだと受け止めて、御対応いただけるのではないかという気がしております。
【礒田主査】  ありがとうございました。
【吉田委員】  よろしいですか。
【礒田主査】  はい、吉田委員。
【吉田委員】  僕は、最初から、田中先生の報告された43枚目のスライドの提言1のところを、うまくつなげられないかとずっと考えています。博士号取得とか、専門的なところですね。日本は、割と大学との連携がうまくいっているということで、宮崎の例などありましたけれども、最近、いろいろな形で企業とか、いろいろな組織と大学のクロスアポイントメントとか、寄附講座であったりとか、いろいろな形であって、博士号を取ったけれども、なかなか就職先がないとか、行き場がない。特に、生物学は人気があるんですけれども、なかなか就職先がないといったこともあって、BRとか、地域作りの中で、どういうようにそういう人たちの専門性を生かしていく場にするかというのは、もうちょっとやっていかなければいけない。
 今、ジオパークの例が出たんですけれども、評価という形ではなくて、点検とかではなくて、ワークショップ的にもっと短い間隔でやって、将来、BRに応募したいという人、あるいは、関わって研究したいというような人が集まる場がもう少しあるといいかなと。せっかくイオン環境財団など民間の方も関わっていらっしゃるので、そういう場があるともう少し入りやすいのかなと、最後に話を伺っていて思いました。
【大野委員】  ジオパークのネットワークの場合、実は2つ動く母体があって、一つは行政職員を中心にして、各地のジオパークの事務局長が集まる行政職員を中心とした会議。もう一つは、各地のジオパークにいる専門員、自然科学や地形、地質に関する専門性を持った人たちが集まって、現場であるお題についてどういう取組を進めていけばいいか、例えば保全とか、ツーリズム、あるいは教育とか、お題に応じてそれぞれワーキンググループを作って意見交換したものを、その場でシェアするという取組をしています。ですから、行政としてやるべき側と、専門性を持った人たちがやるべき側と両輪で動かしているという特徴があるので、組織としては大きくなり過ぎてきていますけれども、一応、専門性なら専門性を持っている人同士の顔の見える状態というのは、まだ何とか維持できている状態です。そういった場を増やして、専門性を生かした人が入っていける場があれば、大学生でも、あるいは院生でも、専門性を持った人が自分の学んだことを社会に生かす場としてBRが使えるというのは、見通しとしては非常に明るくなるような気がします。
【佐藤委員】  よろしいでしょうか。
【礒田主査】  はい。
【佐藤委員】  今の議論でいろいろ出てきているものは、ワークショップの形であろうと、ピリオディックレビューの形であろうと、目指すべきものは何かというところはこれまたはっきりさせておいた方がいいだろうと思っていて、それは項目一つ一つについてマル、バツを付けるとかいった作業ではなく、むしろディスカッションを通じて集団、集合的な思考を高める、考えを深めるための機会を提供する、あるいは、相互の学習を、ミューチュアルラーニングを深めるための機会を提供するためにこういうことをやるのだと。その際には、専門家と言われる人や国内委員なんて呼ばれる人間は、それなりにクリティカルにきちんと語るわけですけれども、その目的はあくまでもお互いの学習であり、思考を深めることであるということを、極めてはっきり明示しておくことが大事のような気がしました。そのために、やれることは可能な限りやる。例えば、ワークショップも可能な限り作ってみるし、でもペリオディックレビューのための予習もやってみるし、いろいろなことが計画できるだろうと思います。
 すみません、ついでにもう一点、言ってしまっていいでしょうか。
【礒田主査】  はい、どうぞ。
【佐藤委員】  少し話、ずれるんですけれども、日本のBRの展望という話のときに、持続可能な開発モデルとしてのBRというのは、やはり外せないところだと思っているんですけれども、SDGsに関する議論になった途端に、その持続可能な開発の中身が、SDGsの各項目について何をやっていますかという話に落ちてしまうという非常に不思議な現象が今、日本では起こっています。SDGsの項目に合っていますみたいなことを言えば、持続可能な方向に社会が向かっていることを保障するなんていうことは全くないですよね。
 何が問題なのか。そもそも、本来、SDGsが問題にしていたことというのは、あれだけ複雑な、多様な課題が顕在化している現代社会において、あの課題をモグラたたきのように一つ一つたたいていても社会は変わらないという話なんです。本当に本質的な社会の転換が必要、トランスフォーメーションが必要というところにMABがどう切り込むかというときに、いろいろな側面があるんですけれども、一つ強調できるかもしれないと思っているのは、要するに自然保護、守るのではなくて価値を作り出す。これは、もろに価値観の転換の話をしているんです。つまり、人と自然の関わりに関する新しい価値を提案する場面として、ユネスコエコパークがあるんだというところをいかにうまく活用して、まず人々の価値、自然に対する見方、あるいは人間社会に対する見方に関する価値の転換を促していくという話。それから、その価値を実現するための一つの社会システムとしてユネスコエコパークを位置付ける。BRというのは、実は社会の仕組みとして地域レベルで、バイオスフィア(生物圏)レベルで、新しい価値観を体現する社会の仕組みを作り出そうとしているんだと。それは、今までにない社会の目であるというところが大事だろうと思います。
 ですので、価値の転換と社会の仕組みの大きな変革、大げさに聞こえるかもしれませんが、例えば今まで余り協力したことがなかった隣の自治体との協力が始まるというのは、やはり複数自治体型のユネスコエコパークの画期的な成果だったと僕は思っています。そういうようなことが積み重なって社会が大きく変わっていくようなモメンタムを作るんだというところが、日本のBRの展望としては必要なのではないかと思いました。すみません。
【礒田主査】  貴重な御意見、ありがとうございました。
【佐藤委員】  SDGsのモグラたたきはやめましょうという話です。
【伊藤委員】  今、価値の創出ということですけれども、それよりも価値があるということを認識していなかったら、それぞれの価値の認識ですよね。今、いろいろな生態系サービスという文化的な側面は、やはりなかなか量りにくいというのがあって、自分のところの文化とか、地域に根差した活動は価値があるんだということを認識する。そこのところは、分析する人が入ってというんですけれども、我々、いろいろな生態系サービスのプロジェクトをやらされていて、文化的なことというのは非常に難しいんです。ですから、BRでそういうことが調査しやすいとかいうことがあると、今回、生態学会でもかなり文化的サービスの発表は多く出ていたんですけれども、地元のヒアリングとか、アンケートはやはりなかなか難しいので、そういうベースの、ケーススタディーの場としてBRが使えるということがそれをやっている人に伝わると、そういうところに研究者も行って、どういうものがあるかという、地元でも余り認識されていなかったものが顕在化するということがあるかと思います。
【礒田主査】  ありがとうございました。
 少し時間が迫ってまいりましたが、これまでの意見のほかに、その他として用意しているゾーニングについてというところがございます。国内審査における国内法との相関性について再検討するとよいかもしれない、また、山間地域でのゾーニング、必ずしも当てはまらないのではないか、緩衝地域に覆われてしまっている移行地域のことなどが出ていまして、この辺りのことについて何か御意見いただけますでしょうか。
【伊藤委員】  多様なゾーニングがあるというのはいいと思うんですけれども、これまでいろいろ出てきたものでゾーニングがまずいというのは、自治体間の協力が得られていない、ある自治体が余り協力していないので欠けてしまうとか、そういうことが多いと思います。だから、そういうものではなくて、本当に地形とか、自然の状態でゾーニングが難しいというのだったら認めてもいいんですけれども、ここの県は協力してもらえないからということでのゾーニング、イレギュラーのゾーニングというのは余り好ましくないと思います。
【松田委員】  すみません。これ、田中先生に質問になるのかもしれないんですけれども、核心地域になるとき、幾つか、森林生態系保護地域も含めて、法制度として保護担保措置があるとしているときに、ここで言っているアザー・エフェクティブ・コンサーベーション・メジャーズ(OECM)は入るのか。
【田中氏】  今のガイドラインには入っていないわけですよね。今は、自然環境保全法の自然環境保全地域と、自然公園法の国立公園の特別保護地区とか、一特(第一種特別地域)とかが入っていて、今回、私が提案したのは、もうちょっと小さなパッチも場合によっては可能にするような、種の保存法の生息地等保護区であるとか、本当に適用できるケースはかなり限られるんですけれども、特別緑地保全地区という都市緑地法とか、国際的にはやはりOECM(※)がかなり主流になってきているので、そこはもう、ガイドラインがあるとどうしてもそこに引っ張られてしまうと思うので、ガイドラインに書き込むということも一つの手ですし。
※ OECM: 保護地域以外の地域をベースとする生物多様性保全手段(Other effective area-based conservation measures)
「生物多様性条約」締約国会議で定めた愛知目標11において、保護地域と並列して挙げられている保全手段。今次会合で「生物多様性、およびこれに関連した生態系の機能とサービス、ならびに適当な場合には文化的、精神的、社会経済的およびその他の地域関連の価値の域内保全に対し、継続的に正の成果をもたらすような方法で運営・管理される、保護地域以外の地理的に画定された地域」と定義された。
【松田委員】  海外では、OECMでコアだと言っている例もある?
【田中氏】  それは、今の段階で、私、把握していないです。それは、調べる価値は大いにありますね。ただ、よくあるのは、アフリカなどはいわゆるプライベートガバナンスですね。私有地をかなり厳格に保護して、それをサファリ利用することで収益を得て運営しているという保護区もあるので、そういうところが入っていたら、完全にOECMですね。
【松田委員】  それなら、国内の判断としてそうやることはあり得るかもしれないですね。
【田中氏】  それは大いにあり得ると思います。BRは、そこは裁量で委ねています。
【松田委員】  ありがとうございます。
 では、20秒ほど。先ほど、いろいろな連携があってもいいとか、ワークショップとか、多様な話とあったんですけれども、再来年、MABの50周年のはずです。日本がユネスコに加盟して70年でもあると聞いていますので、ほかとの連携をやるなら非常にいい機会だと思っているので、もし何か国内委員会の方でイベントを企画することがあれば、MABにとっては重要な節目だと思っています。と、僕は提案させていただきます。
【礒田主査】  御提案ありがとうございました。
 非常に貴重な御意見、たくさん頂きまして、ありがとうございました。本日、頂いた御意見については、次回の分科会に向けて事務局でまとめていただくようにお願いいたします。
 本日、用意しております議題は以上ですけれども、ほかに報告や議論すべき案件はございますでしょうか。
 先生、これはいいですか。
【松田委員】  先ほど紹介させていただきました。よろしくお願いします。
【秦国際統括官補佐】  松田先生、本の件はBRの方にはまだ御紹介されていない……。
【松田委員】  紙ですか。
【秦国際統括官補佐】  はい。
【松田委員】  先ほど配りました。
【秦国際統括官補佐】  ここの場の方々だけですよね。
【松田委員】  JBRNのメールリストでも流させていただいて、当然、写真提供とか頂いておりますので、謹呈を考えております。
【礒田主査】  一つ質問してよろしいでしょうか。
【佐藤委員】  はい。
【礒田主査】  環境人間学というのは、英語ではどのように言うのでしょうか。
【佐藤委員】  私、このシリーズのものには全然関わっていないので、よく分からないのですが、environmental humanitiesだと思います。
【礒田主査】  ありがとうございます。
【佐藤委員】  だと思いますが、もしかしたら違う単語を使っているかもしれません。
【礒田主査】  何か非常に新しい言葉のようなイメージがありましたので。ありがとうございました。
【佐藤委員】  多分、そういう言い方だと。ヒューマニティーズを取り込みたいというのが地球研の意図ではあります。
【礒田主査】  それでは、閉会に行きたいと思うんですが、今後のMAB分科会の予定について事務局から説明をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  本日は、いろいろ活発な御意見、ありがとうございました。来年度になりますけれども、5月中・下旬ぐらいから6月上旬ぐらいを目指した形で、次回は検討しております。また日程調整の連絡のメールを差し上げますので、その上で検討させていただきたいと思います。御案内のとおり、ユネスコのMABの国際調整理事会が6月中旬頃になるので、できたらその前に1回と考えていますが、場合によってはちょっとずれるかもしれません。よろしくお願いいたします。
【礒田主査】  それでは、本日はこれで閉会いたします。御多忙の中、御出席いただき、ありがとうございました。


―― 了 ――

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