第41回日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会人間と生物圏(MAB)計画分科会 議事要録

1.日時

平成30年7月12日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省12階 国際課応接室

3.出席者

(委員)
 礒田博子(主査)、伊藤元己、岩熊敏夫、上條隆志、佐藤哲、田中信行、服部保、吉田謙太郎【敬称略】


(関係省庁)
 農林水産省、林野庁、環境省、国土交通省関係官


 (文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
 川端国際統括官、池原文部科学戦略官、秦国際統括官補佐、その他関係官

4.議事要録

【礒田主査】  おはようございます。本日は、御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  本日は、出席の委員は8名で、委員の過半数7名以上となっていますので、定足数を満たしております。
【礒田主査】  それでは、ただいまから第41回MAB計画分科会を開催します。
 本日の議事のうち、議題2「第30回ユネスコMAB計画国際調整理事会への対応について」及び議題3「ユネスコエコパーク申請等」に関しましては、公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害する恐れがあると認めますので、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づき、非公開とさせていただきます。非公開の部分を除いて、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【秦国際統括官補佐】  本日、席上に、まず座席表と委員名簿のほかに、議事次第がございます。配付資料としましては、資料1が国内委員会MAB計画分科会関係活動報告という題目で35ページぐらいのものをお配りしています。資料2が英文の資料になっていまして、国際調整理事会の議事次第になっております。そのほか、参考1が前回の分科会の議事要録になっております。前回は非公開のユネスコエコパークの甲武信の申請について議論したということでありますので、議事要録としてまとめてございます。参考2は分科会設置要綱、参考3が公開手続についての基礎資料になっております。それから、ユネスコエコパークのリーフレットについて、昨年、2つのエコパークが認定されたということを受けまして、反映させたものを作成しておりますので、机上にお配りしているところです。
 以上でございます。
【礒田主査】  それでは、議題1「前回会議以降の活動報告等」に入ります。本議題では、前回分科会以降の主なMAB計画関連の動きについて報告いただきます。それぞれの活動に関する御質問や補足は、全ての報告を受けた後で最後にお伺いしたいと思います。
 それでは、事務局から報告をお願いします。
【齋藤ユネスコ第三係長】  それでは、資料1をごらんください。資料1、35ページ程度の資料ですけれども、頭の2ページ程度が概要になっておりますので、そちらの概要に沿って簡単に報告させていただきます。
 前回3月のMAB分科会以降の御報告となりますけれども、まず、4月にイギリスのMABの専門家のマーティン・プライスさんという方が国内に来られるタイミングで関連のセミナーを開催いたしました。セミナーには、分科会の皆さん、関係省庁の皆さんにもお声掛けしました。先生方からも御出席いただきましてありがとうございました。BRの方から「みなかみ」と「祖母・傾・大崩」のプレゼンテーションをしていただいたほか、マーティン・プライスさんの方からもプレゼンをしていただいて、英国のこれまでのMAB活動の進展であるとか、リマ行動計画への対応について意見交換というものをしております。
 また、これに先立ちまして、3月31日に、白山のユネスコエコパーク推進協議会や金沢大学などと共催で、マーティン・プライスさんをお招きした国際ワークショップが開催されております。
 また、5月には、地域ネットワークの会合が2つほど開催されておりまして、分科会の先生とBRと、あと文科省からも参加させていただいております。まず1つ目として、東南アジアのBRネットワークが、5月21日から25日にタイのチェンマイで開催されております。日本からは、MAB計画分科会から松田先生と、「みなかみ」BRの髙田課長と、文科省から私が参加いたしました。この会合は、東南アジアのネットワーク会合ということになっているんですけれども、中国であるとか、モンゴルであるとか、あるいはミクロネシアであるとか、かなり幅広い地域からも参加がありまして、各国から各自のBRの現状説明などがされました。日本からは松田先生からプレゼンをしていただいております。
 あわせて、本会合の際に、アジア太平洋ネットワーク(APBRN)で進めているプロジェクトの進捗報告もされました。このプロジェクトは、文部科学省の信託基金で実施されているものです。3つほど報告がありましたけれども、そのうち、サステイナビリティ・サイエンスの視点からユネスコエコパーク管理運営の向上に関するプロジェクトという研究活動については、東京大学の田中准教授が担当していただいておりまして、田中先生から発表がございました。
 このネットワーク会合の際に、ネットワークの本体とは違うんですけれども、サイドイベントのような形でコミュニケーション・ワークショップというものがございまして、この概要には載っていないんですけれども、ちょっと面白い活動でしたので、この場で御紹介させていただければと思います。このサイドイベントというのはユネスコの本部の職員が来て行ったものでして、そもそもユネスコ本部として、BRというのは世界各地に広がっているけれども、それぞれがそれぞれの説明をして広報しているというような問題意識を持っていまして、なので、みんなのBRの説明を統一しようと。世界どこに行ってもBRというのはこういうものだというイメージを持ってもらいたいということで、その広報の仕方をトレーニングコースのような感じでワークショップをしたというものです。これが面白かったのは、すごく簡単にBRを説明しようということをしていまして、そもそもBR、あなたのBRはどういうところのどんな問題があるのと。それをどう解決して、それがSDGsのどの項目に貢献するのということを1分間で説明してくださいというワークショップでして、1分間というのはすごい短い時間ですので、それぞれの説明がすごく簡単になるんです。そうすると、それぞれのBRの説明が端的にストレートに伝わってくるような形になりまして、このトレーニングワークショップは、松田先生や一緒に参加した「みなかみ」の方々もやったんですけれども、自分たちの活動を振り返るすごいいい機会になったということで、とてもよい経験だという感想を述べられていました。個人的にも、ユネスコのエコパークということで、人間と自然の共生という大きな説明はあるんですけれども、その大きい説明の中で各自のBRがどういう特徴を持っているかという点をとても端的に説明できる面白い仕組みだなと思いましたので、この場でちょっと紹介させていただきました。
 次に、東アジアの生物圏保存地域ネットワークの会合を5月の末から6月の初めにかけて開催しております。こちらはカザフスタンとMAB国内委員会との共催により開催されているものでして、日本からは、MAB計画分科会の佐藤先生と国内のBRから「綾」の河野さんと「白山」のアイーダさんが参加していただきました。こちらでも、持続可能な発展モデルの提供をテーマに、リマ行動計画への対応であるとか、各自のBRの取組について報告をされておりまして、日本からも佐藤先生、「綾」、「白山」の取組がそれぞれ御紹介されております。この点については後ほど佐藤先生の方からもコメントを頂ければと思います。
 次のページになりますけれども、ユネスコのBRテクニカルガイドラインの策定ワーキンググループというものがございます。これは昨年のMAB国際調整理事会において、今後のMAB BRの運営に関わるテクニカルガイドラインを策定するということが決められまして、これに基づいてガイドライン策定のためのワーキンググループというのが設置されたということです。ワーキンググループは4つ立ち上がっておりまして、それぞれ、「区域設定」であるとか、「BRのガバナンス」、「政策、管理とビジネスプラン」、「データ管理とモニタリング」というものになっておりますけれども、日本からは、佐藤先生がBRのガバナンスワーキンググループ、吉田先生が政策、管理とビジネスプランワーキンググループと、それぞれワーキンググループへ御参加いただくということになっております。ワーキンググループは7月から2年間活動することになっておりまして、7月末にある第30回MAB国際調整理事会において、メンバー構成、今後のロードマップ等が正式に承認される予定です。MABのワーキンググループの構成は、資料の一番最後のページに掲載しておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 最後に、MABの分科会の活動というわけではないんですけれども、6月に「みなかみ」でイベントがございました。イオンの環境財団とJBRNが協定を結んでおりますけれども、イオンモールで「みなかみ」の登録記念の1周年記念イベントというものが開催されておりまして、地元の報道にも出たりとか、あとはたくさんの方々に参加いただいたりということで、大変盛況であったということをイオン環境財団の方から御報告を受けております。
 以上です。
【礒田主査】  それでは、EABRN会合へ参加いただきました佐藤委員から、会議の印象などを含めてコメントを頂けますでしょうか。
【佐藤委員】  僣越ながら、EABRN、2回目で参加してまいりました。EABRNの非常に重要なポイントというのは、前回、志賀高原のときに、多分、礒田先生が行かれたステアリング・コミッティというものがきちんと発足してスタテュート(定款)ができてというわけで、きちんとやるべきミッションとそのガバナンスのストラクチャーというのがある程度は出来上がっているというのが、この地域ネットワークとしては割としっかりしているのかもしれないと思うんですが、そのステアリング・コミッティでの議論で、今回、比較的中心になっていた話題の一つが、若者のエンゲージメント(関与)です。これはユースという言い方をしていますけれども、若い世代をどのようにMAB活動の中で居場所を作って活動していただくような仕組みができるかということを、これはカザフスタンがかなり真剣にやろうとしていて、MABナショナル・コミッティの中にユースコミッティがあると。で、若者たちがいろんな場面でMAB計画の推進に関わるという形を作っていて、その形の作り方に関してはいろいろとやっぱりクエスチョンマークが一杯付くんです。例えば、なぜかMAB委員会に附属しているので、要するにMAB委員会の、国内委員会のお手伝いかというような雰囲気が非常に強く、むしろ日本などで、例えば「白山」が大学と一緒にやっているような、本当に地域のBRとその地域に住む関係する若者が一緒になって動くというふうなやり方をもうちょっときちんと精緻に整理してみる必要があり、そのようなやり方の意味というのを発信する必要があるのかなと思って聞いておりましたが、この若者と一緒にやっていこうという動きはユネスコ全体としても非常に強い動きになっているようで、ですので、こういった動きが日本国内では実際にどのように起こっているのかといったところをまず整理する必要があるのかなというふうな印象が1つ。
 それから、トレーニングコースというものを今まで中国などで試みております。このトレーニングコースの対象は、各BRのリーダーあるいは中心的な人材に関して、様々なテーマで、例えばMABのブランディングとか、そういった形でのトレーニングコースをやりましょうというのを、これをEABRNとしてやりたいというふうな動きが、その2つが、恐らくそのときの会合でかなりはっきりクリアに出てきた具体的な提案あるいはアイデアであったように思います。これらについては、今後もいろいろとまた日本も含めて考えていくことになるだろうと思います。
 ちなみに、もうちょっとロジスティクスのところで言いますと、今後2年間に関して、議長がカザフスタンのロマン・ジャシェンコになりました。副議長がロシアのバレリー・ネロノフさんで、ラポルトゥールが韓国のチョウさんという、何というか、もう昔からやっている古い人が相変わらず議長をやりますという、そういう雰囲気になっておりまして、世代交代はちっとも進んでおりません。
 それから、次回のネットワークの会合ですけれども、2年間に1回やるということになっていて、実は前回1年遅れております。志賀高原が終わった後で、DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)で実施しようとしたんだけれども、なかなか動かず、結局、カザフスタンがその役割を今回担ったという形をとっていて、今回確認されたのは、やっぱりこれは本来の2年周期に戻すべきだから、1年遅れた分は取り返す。つまり、次回は2019年にやるべきだという議論になっております。で、DPRKが今回代表を送ってきておりまして、次回の開催地は前向きにやりたいというふうにおっしゃっていますが、もちろん様々な政治的な状況でできない可能性は十分あるので、第2候補はロシアにしておこう、ロシアもいろいろな政治的な状況でできない可能性は絶えずあるので、第3候補はモンゴルだという形で、第3候補までそろって2019年にできるかなというところをこれから調整に入ります。DPRKに中国のユネスコオフィスとユネスコの代表団が直近でつい数日前ぐらいかな、あるいは先月ぐらいかな、に行っているはずです。どのような話になったかはまだ情報は入ってきておりませんが、いずれにしてみても、DPRKで来年行われる可能性がありますということです。DPRKができないという最終的な結論になった場合には、そもそも来年にやることも恐らく無理になり、ロシアかモンゴルでということになるであろうと思われます。
 それから、カザフスタンは非常にアクティブに次々と新しいBRを作ってはいるのですけれども、今回視察したところも比較的新しいものなんですが、私たちの印象としては、古典的な自然保護区にMABという、あるいはBRというラベルを一つ追加したという雰囲気でして、だから、古典的なBRマネジメントというか、保護区管理をやっていると。だから、非常に強力な権限を持った地域の自然保護区管理委員会とその委員長がいると。その周辺で地域の方々はいろいろなことをやるんですけれども、それはメインストリーム(主流)になっているわけではなく、むしろ本当にトップダウン型の強い管理で保護区を管理するという形になっているから、移行地帯に関しての活動をサポートするといったことに関してはそれほど充実していないのかなという印象がございました。これは恐らく西アジアの、中央アジアのあの辺の国々にかなり共通する特徴のようにも見受けられます。
 それからもう一つ、ちょっと重要な話題だったのが、新しいメンバーシップとしてキルギスタンとウズベキスタンを入れたらどうかという提案がカザフスタンとロシアから出てまいりました。東アジアをどれだけ西に拡張するかという問題の議論はさておいて、多様性が高まるのはよいことではなかろうかという議論と、それから、それでもやっぱりその2か国が入ってくる、特にこの東アジアというネットワークに入ってくることに関しての十分な論理的な理由付けが必要だよね、なぜその2か国が入ることが妥当なのかと。それからもう一つ、タジキスタンも可能性があるんですけれども、ここは今、BRがないので、そこに関してはネットワークに今の時点で入るのはちょっと見合わせた方がよいのではないかというふうには議論なされていたと。これは恐らく今後、カザフスタンが中心になって、この2か国を新たに加えるべきだという提案がなされるであろうと思っております。
 すみません、ちょっと長くなりましたが、以上です。
【礒田主査】  はい、ありがとうございました。
 このほか、御質問あるいは追加の御報告がありましたら、お願いいたします。
【佐藤委員】  もう一つ、すみません、よろしいでしょうか。テクニカルガイドラインのワーキンググループの件なんですけれども、先日の金曜日、日本時間の夜中に最初のウェブミーティングがありました。幸か不幸か、夜中だったので、私も参加できちゃったので参加してしまいましたが、というか、面白かったです、なかなか。47人のメンバーのうち12人しか参加できない。余りにも直近のアナウンスメントだったので。ただ、ウェブ上での議論はかなり活発に行われていました。
 で、少なくともTORを作るということと、ロードマップを作るということを早急に進めようと。それから、テクニカルガイドラインのひな型については、これまでICC(国際調整理事会)等々で議論されてきたものを共有して、そのひな型に従って進めていこうという議論になり、少なくともTORとロードマップのひな型については今度のインドネシアのICCで何らかの報告をしたいというふうなところになっております。恐らく2年掛けてきちんとしたテクニカルガイドラインを作るということは本当にできるのではないかというふうな印象を持ちました。
 以上です。
【礒田主査】  はい、ありがとうございます。
【吉田委員】  よろしいですかね。
【礒田主査】  はい。
【吉田委員】  同じそのワーキンググループなんですけれども、ちょうど福岡は大雨に襲われていて、妻を迎えに行ったりしていて、それでちょうど出られなくて、ぎりぎりの案内だったので……。
【佐藤委員】  すごいぎりぎりでしたよね。
【吉田委員】  なかなか皆さん出られなくて大変だったと。私も出るつもりだったんですけど、そういう状況で。愛媛も大変だったけど。
【佐藤委員】  愛媛は、幸い松山市は大丈夫でした。周辺の被害は大変でしたけど。
 ついでですけれども、この最後のAnnex1のメンバーシップを見ていただくと、左側に4つのワーキンググループがあって、そこに実は略語で人数が書いてあるんですよ。AFRでアフリカの委員で、アジアパシフィックがASPACで、ヨーロッパと北アメリカ、それからラテンアメリカという、こういう人数を見ていただくと、アジアパシフィックのプレゼンテーションがめちゃくちゃ少ない。本当に本当に少ないんです。各ワーキンググループ、辛うじて1人入ったと。そのうち2人は、私、日本ですから、日本からであると。これは、テクニカルワーキンググループのメンバーを推薦してくれというのに反応した、その反応をそのまま反映しているんだそうで、つまり向こうの意図ではないと。手を挙げてくれた人がこういう分布だったということだそうですので、これについては、少なくともこういういびつな形で議論されたことを最終的にはより正当な形で議論するためには、恐らく早い段階で各ナショナル・コミッティにそのガイドラインの案を回して、きちんとコメントを得るような、そういう手続が絶対必要だよねという議論になっております。
【礒田主査】  ほか、ございますか。追加の報告とかありましたら。よろしいでしょうか。
 それでは、議題2「第30回MAB国際調整理事会への対応について」に入ります。本議題以降は非公開となりますので、傍聴者の方は御退室ください。


<議題2 第30回ユネスコMAB計画国際調整理事会への対応について>
平成30年7月23日から28日にかけてインドネシア・パレンバンで開催される第30回MAB国際調整理事会について、我が国の対処方針案の審議を行った。


<議題3 ユネスコエコパーク申請等について>
 次の推薦候補地に係る国内募集案について審議を行った。


------了------

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