サステイナビリティ・サイエンスに関するアジア・太平洋地域ワークショップについて(報告)

平成25年5月8日
国際統括官付

1. 開催日時・場所

平成25年4月4日(木曜日)~5日(金曜日)
クアラルンプール(マレーシア)

2. 主催者:

ユネスコジャカルタ事務所、
マレーシア国家大学LESTARI(Institute for Environment and Development)
■協力
文部科学省
ISTIC (UNESCO International Science, Technology & Innovation Centre for South-South Cooperation)

3. 出席者:

 16か国から110名(政府関係者、ユネスコ事務局、大学、NGO等)参加。
 我が国からは、加藤重治 文部科学省国際統括官、武内和彦 国連大学副学長・東京大学教授ほかが出席。
 ユネスコ事務局からは、カロンジ自然科学局長、ラソ人文・社会科学局長、ヘイゼン・ジャカルタ事務所長ほかが出席。

4. 開催趣旨:

 本ワークショップは、日本ユネスコ国内委員会が2011年秋にユネスコに提案したサステイナビリティ・サイエンスに関して、それは何か、どのようにユネスコは取り組むべきかについてアジア・太平洋地域の関係者間で共通理解を形成するために開催されたもの。文部科学省としては、ユネスコ・ジャカルタ事務所と連携するとともに、同事務所に拠出している「地球規模の課題解決のための科学振興事業信託基金」にて支援。

5. 概要:

1) 主な発表者

●基調講演
・ジェフリー・サックス コロンビア大学地球研究所長
 “2015年以降における開発のパラダイムとフレームワーク”
・武内和彦 国連大学上級副学長、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長
 “グローバルメタネットワークを通じたサステイナビリティ・サイエンスの構築”
・ヒューバート・ヘイゼン ユネスコ・ジャカルタ事務所長
 “2015年以降の開発アジェンダへのサステイナビリティ・サイエンスの貢献”
・ザクリ・ビン・アブドゥル・ハミド マレーシア首相科学アドバイザー
 “21世紀における持続可能性の土台としての生物多様性”
・ラジェンドラ・クマール・パチャウリ TERIエネルギーと資源研究所長、IPCC議長
 “気候科学、政策と持続可能な発展“

●事例発表
・ナンシー・ディクソン ハーバード大学ケネディスクール, Co-Director, Sustainability science Programme
 “サステイナビリティ・サイエンスの発展:アイデアと実践”
・クレイグ・フットン サウスアンプトン大学准教授
 “ESPA DELTA:バングラデシュの人口が多い地域における健康、暮らし、エコシステム・サービス、貧困削減の評価”
・ペドロ・ウォルポール 社会変容のための環境科学センター(ESSC)理事
 “地域の土地及び水の管理を強化するため、戦略的研究パートナーシップの構築によるミンダナオ島における人間の安全保障の拡大”
・スンタク・リー 嶺南大学、UNESCO IHP執行理事、世界水学会(WWC)
 “環境、生命、及び政策(HELP)のための水文学における持続可能性”
・シヴァナパン・クマール アジア工科大学
  “エネルギーに関するケーススタディ”

2) クアラルンプール ステートメント

 本ワークショップのまとめとして作成され、ユネスコジャカルタ事務所のホームページに掲載されているほか、ユネスコ事務局を通じて加盟国に配布。
 主な点は以下のとおり。
・ 持続可能な解決には、新たな科学的知識、知見、イノベーションが要求され、将来を見据えたアプローチ、サステイナビリティ・サイエンスのアプローチが重要。
・ サステイナビリティ・サイエンスは、重要なツール/方法論であることが認識された。
・ アジア・太平洋地域は、持続可能な発展のための「科学に関係のある政策、政策に関係のある科学」を率先して推進できる。既存のユネスコプログラム(IHP,IOC,MAB等)を活用したパイロットプロジェクトの立ち上げを提案
・ 政策決定者は、持続可能な開発目標の実現のために、科学的に信用できる情報が必要。UNESCO Chair,カテゴリー2の設立等を奨励
・ 南南北協力が必要であり、様々なツール(テレビ会議含む)を活用が必要。アジア-アフリカサミットを提案。

3) その他

 ユネスコ次期中期戦略(37C/4)及び事業計画(C/5)において、サステイナビリティ・サイエンスが盛り込まれ、成果指標として、「最低10カ国がサステイナビリティ・サイエンスを国の主要な政策に盛り込み実施される」ことが提案されている。

●クアラルンプール会合後のユネスコにおける動き

平成25年

4月10日~25日

第191回ユネスコ執行委員会

9月19日

ユネスコ本部でのサステイナビリティ・サイエンスに関する国際会議

 9月23日~
10月11日

第192回ユネスコ執行委員会

 11月5日~20日

第37回ユネスコ総会

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