日本ユネスコ国内委員会第499回運営小委員会議事録

1.日時

平成29年2月24日(金曜日)14時00分~14時20分

2.場所

ホテルルポール麹町 3階「オパール」

3.出席者(敬称略)

〔委員〕安西祐一郎(委員長)、古賀信行(副委員長)、濵口道成、植松光夫、西園寺裕夫、杉村美紀、杉山晋輔(下川文化審が代理出席)、早川信夫、細谷龍平、吉見俊哉
〔事務局〕森本日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、小林日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事録

【安西委員長】 皆さんこんにちは。御多忙の中,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。定刻でございますので,運営小委員会を開催させていただきます。まずは,事務局から定足数の確認をお願いいたします。

【鈴木補佐】 現時点で9名の委員の方が出席いただいており,半数を超えておりますので,定足数を満たしております。

【安西委員長】 ありがとうございました。それでは,ただいまから,第499回運営小委員会を始めさせていただきます。これまで,総会と別の日に運営小委員会を行ってきましたが,皆様の負担の軽減等を勘案しまして,今回は,総会の前に進行や議論の方向性等について確認させていただければと思います。会議の後,この小委員会の概要については文科省のホームページで公開させていただきますので,よろしくお願いいたします。14時30分から総会ですので,よろしくお願いいたします。
それでは,審議の前に,就任の委員の方がいらっしゃいますので,事務局からよろしくお願いいたします。

【鈴木補佐】 昨年の12月1日付で,新しく,杉村美紀委員に御就任いただいております。

【杉村委員】 上智大学で学術交流を担当しております杉村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【鈴木補佐】 細谷龍平委員に御就任いただいております。

【細谷委員】 福井大学国際地域学部の細谷でございます。よろしくお願いいたします。

【鈴木補佐】 杉山晋輔委員に御就任いただいておりますが,本日御欠席で,下川外務省国際文化交流審議官に代理出席いただいております。

【下川文化審】 国際文化交流審議官の下川でございます。この委員会は初めてでございますが,よろしくお願いいたします。

【鈴木補佐】 以上でございます。

【安西委員長】 それでは,事務局から今日の総会の進め方等について御説明をお願いいたします。

【森本国際統括官】 今日の最初の議題が,資料にもありますように,「今後のユネスコ活動の在り方について」で,これについて,最初に御議論いただいてはどうかと考えております。冒頭,私から現在の世界情勢を踏まえながら,問題提起をさせていただいて,その後,松浦日本ユネスコ国内委員会特別顧問の御意見を伺いながら,皆様にユネスコの役割や,ユネスコ活動の在り方などに対して,日本はどのように貢献していくべきかについて大所高所から御意見を頂いてはどうかと考えています。その際,私の説明に当たりまして,席上配布としてお配りさせていただきました「今後のユネスコ活動の在り方について(検討の視点)」にも記載がありますように,保護主義・孤立主義の台頭,貧困格差の拡大,移民・難民の増加,これらは世界的な現象として特に顕著になってきています。これに対しての対応策として,右側に記載してあるように,異文化理解,社会的包摂の受容性ということもユネスコという場を通じて,我々としてできる余地があるのではないかということを考えております。ユネスコの理念というものが,もともとは,平和や相互理解の促進でございますので,そういったものに立ち返って,世界の中で,どのようにユネスコ活動を改めて促進させていくかということについて皆様の御意見を頂いてはどうかと考えております。その際に,過去に作成した70周年記念の会長ステートメントも参照していただければと考えております。
それから,議題2の報告案件の中で,特に,教育・普及活動合同小委員会が2月13日に開催されましたので御報告や教育・科学・文化のそれぞれの分野の報告を行いたいと思います。事務局からの説明が今まで中心だったのですが,今回は関係委員やステークホルダーなど,実際に現場で活動に携わっている皆様にお越しいただきまして御説明いただくということで,運営の改善をしていきたいと考えております。
議題2が終了した段階で,SDGsの策定を始めとした今後のESDの役割について,もう1枚のペーパーにございますように,「次回国内委員会総会で御検討いただきたい事項(案)」を配布させていただきまして,宿題事項ということで,夏の次回の総会までにここに記載したことを各小委員会・特別分科会,関係の先生方に御相談しながら,ペーパーをまとめさせていただきたいということです。1つは,ESDとSDGsの関係について,2つ目は,ユネスコスクールの役割について,そして,3つ目は,様々なユネスコ活動との連携による相乗効果の発揮についてという形で,この大きな転換期といいますか,変わり目にございますので,改めて,ユネスコ活動に対する関与の仕方について,御議論をいただければと考えております。
議題3は国内委員会の構成についてですが,非公開で行います。昨年7月以降に就任された方の配属についてお諮りしたいと思います。私からの説明は以上です。

【安西委員長】ありがとうございました。それでは,今日の総会の進め方について御説明いただきましたが,運営小委員会の皆様から,御意見,御質問等ありましたらお伺いしたいと思います。

【西園寺委員】 今,おっしゃった議題1,2,3は具体的にはどのような議題で出されるのですか。

【森本国際統括官】 資料にありますように,議題1がユネスコ活動の在り方について,議題2が報告案件,議題3が国内委員会の構成についてです。

【西園寺委員】 わかりました。

【西園寺委員】 いま,森本事務総長から御説明いただきました「今後のユネスコ活動の在り方について」は,大事なポイントだと思っています。特に,70周年で安西会長が出されたステートメント等と,今の世界が真逆の方向に進んでいるような気がして仕方がない。,世界が自国中心主義で偏見,差別,分断という方向に向かう危険があり,ある意味,軍事力とか経済力などのハードパワーが強調されておりますが,こういうときこそ,教育・科学・文化のソフトパワーを通した,ユネスコの役割が今まで以上に大事になってくると思いますので,この論点は非常に大事だと思います。

【植松委員】 SDGsとESDの関係についてです。SDGsは17の目標があり,ESDだけでなく,いろいろな目標が重なっていると思いますが,今回は,ESDとの1番深い関係のところで議論するということでよろしいでしょうか。

【森本国際統括官】 ただいま御指摘のとおり,17の目標が国連で提示されましたが,この中で,4.7にESDについて記載されています。実際には4全体が教育でございますし,それ以外に,例えば,防災のところの人材育成や飢饉,平和など,人材育成や教育は横断的にいろいろな目標に関係していると考えています。したがって,ESDが記載されている4.7だけを一生懸命やっていればいいのだろうかという御意見がございまして,それをSDGs全体に視野を広げたときに,より見える形での活動にしていくにはどうしたらいいのかということが我々の問題意識でございます。

【植松委員】 教育に関わるところというイメージでよろしいですか。海の豊かさや気候,貧困,食糧,安全などもありますので,これだけというのは難しいところがあると思います。

【安西委員長】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。細谷委員,お願いいたします。

【細谷委員】初めてでいきなりで恐縮ですが,西園寺委員のおっしゃった最初の提案に私も賛同します。非常に大きな変化の起きている世界で,いろいろ難しくなっている世界で,ユネスコの役割を見直していくこと,それから,ユネスコ自身がいろいろな困難を抱えていることを踏まえて,1番大きな議題として検討されることに大賛成です。

【古賀委員】 ユネスコ活動の重要性は増しているものの,活動の仕方について工夫の余地があると思います。ユネスコ憲章が採択されてから70年以上が経過しましたが、これに基づく取組みは変化する環境に適応しなければ陳腐化してしまいます。ESD至上主義とは言いませんがESDありきになっているとすれば,ユネスコが一般の方々から疎遠になる可能性があります。ユネスコ活動が一部の特別な人のためのものにならないよう,ユネスコ活動を一般の方々に対して可視化する努力が必要であると思います。

【安西委員長】 ユネスコ70周年記念の会長ステートメントの経緯ですが,西園寺委員に大変御尽力いただき,多くの方に一字一句作成いただき,ボコバ事務局長に手渡したわけです。この内容については,西園寺委員や細谷先生がおっしゃったように,今の時代こそ大事なものだと思います。その一方で,古賀副会長がおっしゃったように,ESDに強く関与されている方がおられます。SDGsが出てきて,大事ではありますが,国連という組織も1つの政治の中で動いていて,そういう中でのSDGsであります。一方で,熱心にESDに関わってきた方々にとって,SDGsが出てきたことは非常に唐突感があるように思います。SDGsをかなり分かって国内で推進されている方々とESDを特に教育の世界で推進されてきた方々と全然違うコミュニティーがあるという状況に見えます。そういう中で,総会で議論することになったのではないかと思います。それから,その一方で,国連がやっているので,国内委員会でも議論しなければならないということでいくと,かなりふられると思います。これをやらせていただいた経験上なのですが,日本ユネスコ国内委員会がどういうスタンスで,これからの時代に向き合うかが大事なことではないかと思います。そういう意味では,席上配布資料は初めて拝見しましたが,ESDとSDGsに特化している感じをもたせるような印象を受けました。もう少し広いのではないかと思います。ユネスコスクールの活動にしても,日本は世界で1番学校数も多く,質も高いと思います。そういうところの活動が,国連のための活動になっていくということなのかなと。もう少し広く捉えて良いのではないかというのが個人的な感覚でございます。
次期の学習指導要領が2月14日に文部科学省から公表されまして,その内容とユネスコスクールがやってきたことと相当オーバーラップしている,ユネスコスクールは次期学習指導要領に飲み込まれていくかというと逆で,むしろ我々が盛り立てて,次期学習指導要領が今までとかなり違いますので,アクティブ・ラーニングというか,そちらへ振っていくので,むしろユネスコスクールは,それをリードしていく役割が出てくると思いますので,多分,改訂する学習指導要領はそういうことだと推測しますが,バックグランドが分かるように総会等でおっしゃっていただけると有り難いと思います。

【森本国際統括官】 承知しました。

【安西委員長】 ESDはどうなってしまうのかと,私のところに言ってくる教育関係者も結構います。今まで10年一生懸命やってきて,その後5年のギャップがありますが,それもだんだん終わっていくわけで,今までやってきたことはどうなるのですかと,何人かから直接伺っております。そこで,SDGsが出てきたのですが,今まで教えてきた人たちと違うところから出てきているので,それをつなげたいということではないかと思います。

【杉村委員】 この前,濵口先生が委員長を務められているSDGs特別推進分科会に初めて出席させていただきました。その際,ユネスコ協会の方から,ESDとSDGsの関係について,ESDを進めてこられた立場から,SDGsに飲み込まれてしまうのではないかという懸念が示されていました。一方で,開発教育という分野があり,そこでは,SDGs全体を把握しながら,途上国の教育支援や日本国内の教育協力の在り方について取り扱っています。さらに開発教育の分野においても,ESDの目標と同時に,地球規模のSDGsの17の目標全体を取り扱うような取組を行っています。御参考までにお伝えさせていただきました。

【濱口委員】 SDGsから見て,日本の国際評価が17位です。OECD加盟国の真ん中くらいです。なぜ,低いかというと,5番のジェンダーや環境などの評価が非常に低い。SDGsのSDGsの議論を本格的に議論すると,教育との関連でこれらについて考えていかなければいけません。

【安西委員長】 運営小委員会はここまでにさせていただければと思います。総会どうぞよろしくお願いいたします。
 

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