日本ユネスコ国内委員会第498回運営小委員会議事録

1.日時

平成28年7月12日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F3特別会議室(文部科学省3階)

3.出席者(敬称略)

〔委員〕安西祐一郎(委員長)、古賀信行(副委員長)、安達仁美、植松光夫、見上一幸、吉見俊哉
〔事務局〕前川喜平事務次官、森本日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、福田日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事録

【安西委員長】  それでは運営小委員会を始めさせて頂きます。皆様、お忙しいところお集まり頂きまして、まことにありがとうございます。
まず事務局に、定足数の確認をお願いいたします。
【吉原係長】  本日は、運営小委員会に御出席の委員の皆様が6名でございます。全委員11名中、過半数となっておりますので、定足数を満たしております。
【安西委員長】  ありがとうございます。
それでは、運営小委員会、正式に始めさせて頂きます。
この小委員会は、会議の公開手続に基づいて、公開で行わせて頂きます。御発言は、そのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、前回会議以降、委員と事務局の異動がございましたので、事務局から御報告をお願いいたします。
【野田補佐】  報告申し上げます。
まず、国内委員でございますが、羽入佐和子副会長が5月31日付けで退任されております。また、事務局でございますが、6月21日付けで文部科学事務次官として前川喜平が着任しております。同様に文部科学省国際統括官、森本浩一が6月17日付けで着任しております。以上でございます。
【安西委員長】  羽入副会長は、国立国会図書館の館長に就任されたことに伴い、退任されたものだと理解しております。
前川事務次官から一言御挨拶をお願いいたします。
【前川事務次官】  6月21日付けで事務次官を拝命いたしました前川喜平でございます。よろしくお願いいたします。
【安西委員長】  よろしくお願いいたします。
【前川事務次官】  事務次官になりますと、日本ユネスコ国内委員会の委員も務めさせて頂けるということなんですが、まだその発令は頂いておりませんので、今回は事務局として参加させて頂いております。私は、20数年前、パリの日本政府ユネスコ代表部で3年間、書記官の仕事をしていたことがございます。その前にイギリスに2年間、留学しておりましたが、そのときに書きました論文のテーマが”The History and Development of UNESCO”というものでございまして、ユネスコをテーマにしまして、修士号を取ったわけでございます。そういうことで、ユネスコとの関係は浅からぬものがございまして、インチョンの会議にも大臣の代わりに出席させて頂きました。また、今日の資料の席上配付資料の2ページにございますけども、「性的指向及び性自認/性表明に起因する暴力への教育分野における対応に関する閣僚級会合」にも出席させて頂きまして、LGBTに起因する様々な学校の中での問題につきまして、各国の代表とも議論をしたりしまして、認識を新たにしてきた次第でございます。
古賀先生が会長をお務めの野村證券では、LGBTにも社内で積極的に取り組んでおられるというふうに伺っておりまして、今、馳大臣は、LGBT議員連盟の会長でございまして、文部科学省でもLGBTフレンドリーな職場環境をどう作るかということを考えるように御指示を頂いております。機会があれば、勉強させて頂きたいと思っております。
本日の会議では、昨年9月に国連サミットで採択されましたSDGs(持続可能な開発目標)につきまして、日本ユネスコ国内委員会としても、どのようなアクションが可能かというようなことにつきまして、御議論を賜りたいと思っております。今後とも是非よろしくお願いいたします。
【安西委員長】  よろしくお願いいたします。
前川次官は、今おっしゃったようにユネスコについては一番ベテランだと思いますので、大変心強い限りでございますが、また、初等中等教育局長でいらしたときに、こちらでお願いをして、全国の教育委員会等々向けにユネスコ活動及びESDの更なる推進について初中局長、国際統括官の連名で通知を発出して頂いたことがありました。
これは、こちらで直接お願いしたものでございますけれども、いろいろなことで、今までにも大変お世話になっております。よろしくお願い申し上げます。
【前川事務次官】  よろしくお願いします。
【安西委員長】  それでは、森本統括官からお願いいたします。
【森本統括官】  おそれ入ります。6月中旬に発令されました国際統括官の森本と申します。どうぞよろしくお願いします。
前職は、内閣府におきまして科学技術・イノベーションの担当の政策統括官を拝命しておりました。まだ日が浅くて新参者ではございますけれども、早速、先週、パリに行かせて頂きまして、ボコバ事務局長はじめ、ユネスコの関係者の皆様とお会いして御挨拶をさせて頂いてまいりました。
ユネスコもいろいろ幅広い活動をやっておりまして、その中で日本の存在感といいますか、国際的に顔が見える活動というものをどういうふうにやっていけばいいか、そんなことを考えさせられている次第でございます。
今日はSDGsについて御議論を頂くこととしておりますが、5月には、G7の教育大臣会合、その後につくばでG7の科学技術大臣会合がございまして、両方とも地球規模課題への対応というのが非常に重要な課題になっております。そういう中で、このユネスコの活動というものがどういうふうに貢献できるのか、そういったことを皆様から是非お知恵を頂きながら考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【安西委員長】  よろしくお願いいたします。
森本統括官にも、以前から私も大変お世話になってまいりました。よろしくお願い申し上げます。
【前川事務次官】 それでは、ここで失礼させて頂きます。申し訳ございません。
【安西委員長】  よろしくお願いいたします。
それでは、本日は、いくつか審議の予定がございますけれども、配付資料等につきましては、不足等あれば事務局までお知らせ頂くということで進めさせて頂きます。途中でも何かありましたら、どうぞおっしゃって頂ければと思います。
それでは、議題に入らせて頂いて、議題1、日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告について、資料1から7ということであります。
まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【福田企画官】  失礼いたします。資料、大部にわたりますので、できるだけ手短に説明させて頂きたいと思います。
まず、資料1でございます。今年の4月、春に行われました第199回ユネスコ執行委員会の結果についてということでございます。
この主な内容というところでございますけれども、我が国の代表演説の中でいくつか書かれているところでございますけれども、特に教育に関しましては、昨年の11月に策定された2030行動枠組みの策定に向けた取組を評価する。そして、今後、これにまたしっかりと取り組んでいきたいということ。
また、ESDだけではなくて、難民への対応ですとか、あるいは女性の教育の促進ですとか、こういったことも重要であるということを大使の方から発言をしたところであります。
また、科学の方に関しましても、これは、我が国が提唱しているサステイナビリティ・サイエンス、それのみならず防災、海洋、あるいはMAB(人間と生物圏)計画ですとか、ジオパークなどの取組が重要であるということ。
そして、次のページでございますけれども、東日本大震災から5年を迎え、改めて防災に関する取組の重要性ということについても指摘をしたということ。
そして、その下、文化の方に関しましては、世界遺産などの適切な対応ということ。それから、名称を変更いたしました。この点、後ほど御説明いたしますが、「世界の記憶」事業について、透明性の向上を含めた作業が進んでいることを歓迎するということなどを大使の方から発言したところでございます。
その下の2)にありますけれども、事務局長報告、つまり、これがユネスコが組織として進めている状況の報告ということでございますけれども、この中でも一番最後の黒ポツにございますけれども、国連におけるSDGsの策定を踏まえ、これに対応した施策を実施していくことが重要であるとの見解が示されたということでございます。
以下、いくつか議題がありますが、細部にわたりますので、割愛させて頂きまして、3ページの一番下の7)のところを御覧頂きたいと思います。「世界の記憶事業の更なる改善」ということでございます。これに関しましては、以下の内容に関する決議が全会一致で採択をされたということでございます。
具体的には、専門家による制度の見直し、この作業を歓迎するということ。そして、IAC、これは国際諮問委員会ということでございますが、その国際諮問委員会が作成した最終報告書を加盟国に配付をする。つまり、この国際諮問委員会というのは専門家によるプロセスでございますが、それを加盟国にしかるべく配付するようにというような要請をするということ。そして、最後に、IACの見直し作業というようなことを執行委員会に適切に共有するよう、併せて事務局長に要請するというような内容が、このコンセンサスで採択されたということでございます。
この「世界の記憶」に関しましては、既にこれまでも御説明させて頂いているとおり、制度の改善というものを働きかけているところでございますけれども、そういった必要性について、全会一致で採択されたということは重要であるというように考えているところでございます。
以上が資料の1でございます。
次に、資料2でございます。資料の2は、ESDの関連の取組ということでございまして、3月にESDのいわゆる国内実施計画というものを策定した次第でございます。表紙にございますように、関係省庁連絡会議で策定したものでございまして、文部科学省、それから環境省の事務次官が共同議長を務めるほか、関係省庁のメンバーも入っているというものでございます。
中身に関しまして、詳細は割愛させて頂きますが、1ページ以降にESDの意義やこれまでの成果、これからどのような観点で進めていくかということについてまとめられております。
具体的な施策ということに関しましては、いくつかページを飛びまして、5ページをお開き頂きたいと思います。
5ページのところで2ポツ、基本的考え方というものがございます。ここで(1)の優先行動分野の推進、この中で①から⑤までございますが、グローバル・アクション・プログラム、このGAPでございますが、5本の柱に沿って各省庁が取り組んでいくべき事柄をこの後に記載している、そういう性質のものでございます。
当然、これをどのようにフォローしていくかということが重要であるわけでございますけれども、その点につきましては、15ページの方をお開き頂きたいと思います。
15ページのところに4ポツで点検・見直し・評価とございます。(1)の中で取組状況の点検・見直しを行う。その際、関係する全てのステークホルダーが、5つの優先行動の下に活動を発展させることが推奨されていることから、ステークホルダー各自が自主的・主体的な点検を行うことが望ましいというようにされております。つまり、この実施計画を策定したのは政府ということでございますけれども、ステークホルダー、学校ですとか企業さん、あるいは公益法人、メディア、様々ございますけれども、そういったステークホルダーにおかれても、是非自主的・主体的な点検を行って頂きたいというようなお願いをしているというものでございます。
これに沿って、今後フォローアップをしていく。その具体的な算段を現在、政府部内で検討しているところでございます。
そして、その下の評価という部分でございますが、このGAPは2019年に終了するということでございますので、当然、そこに向けて、フォローアップを踏まえ、どのような形でその先に進めていくかということを検討していきたいというふうに考えております。また、(2)で一番最後のところに、GAPの実施期間中においても「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、つまり、SDGsでございますけれども、これをはじめとする国際的潮流の動向等を注視し、必要に応じて見直しを検討するというようにされております。つまり、SDGsとも連携しているということでございます。
以上が資料の2でございます。
次に、資料3、小さな冊子でございます。これは、ESD推進の手引というものでございます。この手引につきましては、見上先生に委員長を務めて頂いた特別委員会の方で、こういったものを作るべきという提言がなされたところでございますけれども、それを受けて作成をしたというものでございます。
作成状況につきましては、これまでも御報告を差し上げているところでございますけれども、ESDに取り組んでこられた方々のみならず、教育課程の専門の方々ですとか、様々な方の御知見を頂いて作成したものでございます。
ESDというものに関しても、改めて、その基本的な考え方、そして学校でどのように進めていけばいいのか。そして、よく学校の中である疑問、つまり、ESDというのは、環境教育とはどう違うのか。あるいは、それをどのように進めていくと効果的であるのかですとか、そういったことについて分かりやすく記載をしながら、また事例に基づいて具体的な進め方というものを示しているものでございます。
これに沿って、現在、文部科学省、及びユネスコ国内委員会の方で、この手引を用いた研修というものをいくつかの都道府県で実施しているところでございまして、また、その状況も踏まえて、さらにESDを深めていくための資料の作成も含めて検討してまいりたいというように考えているところでございます。
次に、資料の4でございます。資料の4は、先ほど国際統括官からもございましたG7の教育大臣会合の成果文書、Kurashiki Declarationというふうに表紙に記載されているものでございます。この倉敷宣言のポイントのところだけいくつか御説明させて頂ければと思います。
まず、1枚開いたところで、倉敷宣言とある中で、「はじめに」というところにございますけれども、最近の教育をめぐる様々な動向ということで、このパラ2では、AI(人工知能)、IoE(インターネット・オブ・エブリシング)など一部の仕事が自動化され、新たな仕事が創出される可能性を指摘される研究もある。一方で、貧困、拡大する収入格差、紛争、テロ、難民・移民の大量流入、環境・気候変動問題などの地球規模課題に直面している。そういった中で、どのようなことを教育の中で進めていくべきかということを記載しているというものでございます。
また、その際、併せて次の2ページ目の一番上にございますけれども、暴力的な過激化・急進化、テロを阻止し、これらに対抗するため、基本的な価値観である生命の尊重ですとか、自由、民主主義、あるいは社会的包摂、そういったようなことをしっかりと進めていくべきであるというようなことが記載されているというものでございます。
また、当然、それが具体的なものにならなければならないということでございますので、例えば次の3ページのところにCompetenciesということで書かれておりますけれども、具体的な新しい時代に求められる資質・能力というところを、パラ9ですとか、あるいはパラ10のところで示しているところがございます。
さらに、5ページのパラの14、それからパラの15のところでは教育における多様性の尊重ということでございまして、先ほど事務次官の方からも言及がございましたけれども、LGBTの方々ですとか、そういったことも含め、社会的・経済的に不利な状況にいる子供たち、そういった子供たちに目を向けた教育を進めていくべきであるというようなことが記載されているということでございます。
また、新たな時代の対応ということでは、その次の7ページの方をお開き頂きたいと思いますけれども、パラ20にございますが、ここで、いわゆる理工系分野の教育、STEMというふうに呼んでおりますけれども、さらに、その新しい潮流の先取りとしてパラ20の後ろの方に、「また、我々は、理工系分野のほか、アートやデザインを含む他の分野も重視した総合的なアプローチが、…(中略)…、新たなイノベーション創出につながり得る可能性を認識する」と。これは、アートということで、STEMにAを加えてSTEAMというように表記することもあるようでございますけれども、そういった可能性の部分ということも指摘しているということでございます。
その次、9ページでございますけれども、実際に政策を進めていく上では、やはり客観的な根拠に基づく政策が重要であるということで、パラの29ですとか30に、そういったEvidence-Based Education Policy(客観的根拠に基づく教育政策の推進)というものを記載しているということでございます。
最後に、その次、11ページをお開き頂きたいと思います。先ほど来、出ているSDGsに関して、ここで1つパラグラフを設けているということでございます。パラの36のところにございますけれども、「持続可能な開発目標やターゲットは、普遍的、不可分で、密接に関連し合うものであることを我々はあらためて表明する」と。これは、後ほど説明いたしますけれども、SDGsは、教育だけではなくて保健ですとか、水問題、エネルギー問題、様々なカテゴリーがございます。それが相互に全て関連し合うものです。つまり、教育以外の分野にも目を向けることが必要であるという意思を表明したということだというように考えております。
この中で、次の12ページの41のところにございますが、ESDに関しても記載がされており、41の最後に、「ESDに関するグローバル・アクション・プログラムの実施においてUNESCOを強力にサポートする」ということが記載されているというものでございます。
こういった内容に基づいて、さらに文部科学省といたしましても、これをフォローするような施策を検討していくとか、また、来年にもイタリアでG7の教育大臣会合が開かれる予定であるということで、引き続き、そのフォローを進めてまいりたいというように考えている次第でございます。
以上が教育の関係でございます。
次に、資料の5、今度は科学技術大臣会合のつくばコミュニケでございます。
資料の5で、こちらも同様に1ページのところで、最近の潮流に関してまとめられております。特に序文の真ん中のところでは、同じくIoTですとか、AIですとか、それに加えて最後に「Society5.0」という考え方が提唱されているというようなことなどが記載されているところでございます。
そして、具体的な取り組んでいくべき事項といたしましては、3ページ以降にございますけれども、3ページでは、まず、グローバル・ヘルスということで保健医療と科学技術。具体的には3ページにある高齢化の関係、そして、4ページの方にありますが、NTDs(熱帯病)、それからPRDs(貧困に起因する感染症)と、いずれも感染症の関係でございますけれども、これまで余り顧みられてこなかったような感染症ですとか、あるいは貧困に関連するような病気、こういったものへの対応が重要であるということが記載されているものでございます。
それから、5ページ以降に関しましては、今度はイノベーションの基盤となるものとして女性の活躍ですとか、あるいは人材の育成、こういったことについて柱が設けられているということでございます。
その次に、6ページでございますけれども、海洋に関して柱を立てて頂いたということでございます。これを策定するに当たっては、植松先生をはじめ、非常に多くの専門家の方々に御助力を頂いたというように伺っておりますけれども、この中でも3行目のところで、海洋は、SDGsの目標14に入っているということも踏まえ、様々な取組を横断的にやっていくことが重要であるということが記載されております。
そして、7ページ目はエネルギーの関係の記載がございます。
そして、次の8ページのところでは、インクルーシブ・イノベーションということで、幅広いイノベーションの在り方というものの記載がございます。
そして、最後の9ページのところでは、最近、いろいろと指摘されているオープンサイエンス、その在り方について引き続き議論をしていこうというようなことが記載されているというものでございます。
科学技術大臣会合につきましても、教育大臣会合と同様、来年、イタリアで同じく大臣会合を開くことが予定されているということで、今後、関係省庁においてフォローアップがなされていくということかというふうに思っております。
そして、その次、資料の6でございます。こちら、御報告でありますけれども、ユネスコ記憶遺産選考委員会設置要綱の改正についてという報道発表資料でございます。
先ほど申し上げた、いわゆる記憶遺産の名称の変更に関する報道発表を、このような形でさせて頂いたというものでございます。
具体的には、これまで記憶遺産というように称しておりましたのは、文化活動小委員会の下に設けられている記憶遺産選考委員会というものを立ち上げまして、その中で記憶遺産という名称を用いているということが1つの根拠になっていたわけでございますけれども、この名称を「世界の記憶」に改めることになったというものでございます。
この参考のところにございますけれども、ユネスコが用いる英語の正式名称は、Memory of the Worldとされているということでございまして、こういった状況も踏まえ、このMemory of the Worldの直訳に近い形でございますけれども、「世界の記憶」という名称に改めたというものでございます。
そして、一番最後は、資料の7の我が国のユネスコ活動についてということでございまして、前回の小委員会、あるいは総会以降の取組について冊子の形でまとめております。こちらについては、説明は割愛させて頂きます。
事務局からは以上でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。それでは、たくさんありましたけれども、ただいまの説明について御質問、御意見があれば頂ければと思います。どなたでも結構です。よろしいでしょうか。
それでは、この資料7、ユネスコ活動について、いろいろ載っておりますが、資料7の説明は必要ないですか。
【福田企画官】  はい。
【安西委員長】  この資料7について、この中に追加すべき情報があればおっしゃって頂ければということでありますので、後ほどでも結構ですので、7月20日水曜ですけれども、それまでに事務局にお教え頂ければと思います。7月29日に総会が開催されますけれども、そこの配付資料になりますので、20日までにお寄せ頂ければ反映していただくようにしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、議題1は、そこまでにさせて頂いて、議題2、持続可能な開発目標(SDGs)への対応について、それから、議題3が国内委員会の構成についてということになっておりますけれども、関連する議題でありますので、一括して審議を行わせて頂きます。
まず、事務局から説明をお願いいたします。
【福田企画官】  失礼いたします。資料の8、それから資料の9、そして資料の一番下になるかと思いますけれども、ピンクの表紙が付いております席上配付資料、こちらの方を御覧頂きたいというように思います。
まず、資料の8でございます。先ほど来申し上げているSDGsでございますけれども、前回の運営小委員会、あるいは総会でも簡単に御説明させて頂きましたけれども、改めて今回、国内委員会としてどう対応していくかというようなことを御審議頂くに当たりまして御説明させて頂きたいと思っております。
資料の8の最初の1枚目でございますけれども、そもそもSDGsというものは、今回、既に採択されているわけですが、そこに至るまでは、いろいろな経緯があり、まず、その前身とされるミレニアム開発目標というものがMDGsと呼ばれますけれども、2001年に国連で策定されたものでございます。
コンセプトとしては、15年間を期限とする様々な課題というのを横断的に解決していこうというような目標というものでございます。それを国連で決めて、そして、それを各国が共有し、そして関係する国際機関、教育であればユネスコですとか、保健であればWHOですとか、そういったところ、また民間、そして各国の市民・国民、そういった人々がそれぞれの立場で取り組んでいこうというような目標が設定されたというものでございます。
このMDGsというものの性格というのを、特にSDGsとの比較ということで捉えますと、ここで色分けになっておりますけれども、開発途上国向けの開発目標という性格が大きかったということでございます。つまりは、当然ながら、ここにあるような貧困・飢餓であるとか、初等教育、女性、乳幼児、そういったことに関しまして、例えば初等教育に進学する子供たちの率ですとか、あるいは識字率ですとか、そういったパーセンテージをできるだけ高めていくとか、あるいは貧困・飢餓、そういったことに苦しむ人たちの率ですとか、数だとか、そういったものをできるだけなくしていくとか、そういった分かりやすい目標設定、つまり開発重視という形でされていたというものでございます。
その結果としてどうなったかということにつきましては、この矢印の下の方に行って、一定の成果を達成、一方で未達成の課題も残されたというようにされているというものでございます。
それに加えて重要な点として、策定から15年間で新たな課題が浮上しました。また、国際的な環境も大きく変化をしました。具体的には環境問題や気候変動の深刻化、国内や国の間の格差拡大、企業やNGOの役割の拡大などというようにされているものでございます。
特に環境問題や気候変動の深刻化というのが冒頭に書かれているわけでございますけれども、結局、開発ということは、すなわち経済の成長なり、あるいは工業の発展なり、そういったことがあるわけでございますけれども、それに伴い、一定の環境問題ですとか、あるいは気候変動への影響をもたらす、そういったバッティングというようなこともございます。そうしますと、そういったそれぞれの目標を横断的に、一体的となって考えていかなければなりません。また、その点に関して先進国と開発途上国、あるいは、他にも各国それぞれで利害は当然異なり、あるいは対立関係もあり得るわけでございましょうけれども、そういったことに関して地球全体、あるいは各国のそれぞれの経済・社会が持続可能な形で開発、そして発展していくというような形で、目標を共有しなければうまくいかないのではないかというような議論が大きくなってきたと承知をしております。そういった経緯を踏まえて策定されたものが、下にあるSDGsということでございます。
そうしますと、当然、それは国際社会全体の開発目標ということでございまして、ここに先進国を含むと、あえて強調されておりますけれども、2030年を期限とする新たな包括的な目標が設定されたということでございます。
以上のような経緯からしますと、単に開発途上国の発展というところだけに着目すればいいということではなくて、先進国もともに取り組んでいく、より量から質的な観点での課題というものが重要になってきたということであろうというように考えております。
1枚おめくり頂いて、具体的にどういう目標が決まっているのかということに関しまして、この2ポツにあるSDGsの詳細ということでございます。
目標が1から17までございます。1の貧困から始まって、大くくりで様々な政策的な課題というものが書かれているわけでございます。保健ですとか、そして目標4に教育ですとか、目標6に水ですとか、目標に含まれているものを考えると、いわゆる行政課題ということでよく考えられるようなものというのは、おおむね、この中に何かしら入っているというように考えることができるのではないかというように思っております。
特にユネスコの関係で言えば、目標の4にある教育をはじめとして、いくつか特に鍵となるような目標というものはあるだろうというように考えられるところでございます。
そして、この目標の17の中に、さらにぶら下がる形で詳細な目標が設定されているというものでございます。その中身につきましては、このピンクの表紙が付いている席上配付資料の方を御覧頂きたいと思います。まず先に2の方を開いて頂きたいんですが、こちらに国連で合意されたSDGsの本文というものがございます。2030アジェンダの仮訳というものでございますけれども、この中で169の目標が全て記載をされているというものでございます。具体的には、15ページから、目標の1から対応する形で、1.1、1.2、1.3、1.4という形で、これを足し上げると全部で169の目標が設定をされているというものでございます。
これに対して特に教育に関して見れば、17ページの方を御覧頂きたいと思うんですけれども、17ページに目標の4というものがございます。例えば、この中で4.1のところでは初等教育及び中等教育を修了できるようにする。それも単に修了すればよいというだけではなくて、「適切かつ効果的な学習成果をもたらす」というくだりがございます。つまり、中身、質が高い、あるいは質の保証を伴ってというキーワードが入っているということでございます。
そうしますと、この適切かつ効果的な学習成果というものを測定していかなければ、厳密にはモニタリングということにはならないのではいかということでございまして、今、これをどのような形でモニタリングしていくかというようなことが、ユネスコにおいても議論されているというものでございます。
同じような形で、4.1のみならず、4.2、4.3に関しても同様の議論が行われているところでございます。
そして、この4.7の方を御覧頂きたいと思うんですけれども、4.7では2030年までに持続可能な開発のための教育――つまりESDのことでございます――及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにするというようなことが記載されているというものでございます。
この中で、ESD及びその他、様々な概念というものを進めていくというふうにされているわけでございますけれども、当然、これも、どのように具体的にモニタリングしていくかということが今後課題になってくるというものでございます。
逆に言えば、モニタリングは2030年までは続くということでございますので、当然、2030年までESDの推進をしかるべく進めていくということも含まれているというようにも考えられると思っております。
このほか、特にユネスコに関連する目標として考えられる点といたしましては、次の18ページのところに目標6で水・衛生の関係の目標がございます。このことに関して、科学の関係でIHP(国際水文学計画)というものをユネスコの方でやっておりますけれども、この関係というのが非常に重要なのではないかというように思っております。
次に、文化の関係で言えば目標の11、22ページの方をお開き頂きたいと思います。22ページの目標11の11.4のところにございます。ここで、世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化するというようなことが記載されております。
また同じく、この都市の中では、下の方の11.bのところで、災害に対する強靱さ、レジリエンスを目指す総合的政策の導入、そして、仙台防災枠組みに沿った取組というようなことでございます。こういったことも先ほどのIHP、あるいは、この後に出てくる海洋と同様ですが、IOC(政府間海洋学委員会)の取組というものも考えられようかというように思っております。
そして、次の23ページの方をお開き頂くと、23ページの一番下の方に目標の14、先ほど少し出てきましたけれども、海洋の関係の目標というものが出てまいります。特に、この中でも例えば14.3のところで、「あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する」ですとか、そういった科学的知見というものに基づく推進というものがいろいろな目標で記載されているところでございまして、IOCの取組というのが非常に期待されているのではないかというものでございます。
もう一つ注目して頂きたいというふうに考えておりますのが、25ページの方でございます。25ページの中で目標の16というものがございます。持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促進というものでございます。つまり、インクルーシブな社会というものを構築していくことが重要であるということでございます。
この点に関しましては、そういったインクルーシブな社会づくりというのを担当する例えば国連の専門機関というものが、何か特定のものが決まっているということではおそらくないのであろうと考えます。そうしますと、ユネスコもそうですし、それ以外の国際機関、当然、国連そのものも含みますけれども、様々な機関が取り組んでいく必要があるのではないかと思います。現にユネスコにおいても、これを受けて様々な平和に関する取組というものを今、展開しているものがございます。
そして、次の26ページのところでございますけれども、教育と並ぶ柱である科学技術全般ということに関しましては、26ページの下の17.6から始まる「技術」というふうに書いておりますけれども、科学技術イノベーション(STI)ということで、17.6のところで記載がございます。
この科学技術の知見を活用するというのは、当然、科学技術政策だけではなくて、教育ですとか、エネルギー問題、そういったところへの科学的知見の貢献というものも出てくるということでございまして、このSTIというのをSDGs全体にどのように貢献していくかということに関するメカニズムというものも既に取組が始まっているというようなことでございます。
こういったかなり広範な目標、それを足し上げると169のものがあるわけでございますけれども、これを今後モニタリングしていくというものでございます。かなり壮大な取組ということが言えようかと思いますけれども、それだけに、どのようにモニタリングしていくかという詳細がまだ決まっていないというものも少なくないものでございまして、実際に目標年限とされる2030年に向けて、おそらく今年、あるいは一部来年になるかもしれませんけれども、各国政府、あるいは様々な国際機関で、その在り方というものが議論されていくことかというように思っている次第でございます。
これを踏まえて、ユネスコはどういったことをやっていくつもりであるのかという現状でございます。
まず、資料の8の方にお戻り頂いて、資料の8の3ページの方をお開き頂きたいと思います。
ユネスコにおける持続可能な開発目標の推進に向けた取組というものでございますけれども、先ほど今年の春の執行委員会でもSDGsに沿った事業の推進が重要だというふうなことが議論されたと報告させて頂きましたけれども、その旨に関して、ここでも改めて記載しております。教育分野ではステアリングコミッティというものが発足されているということでございまして、そして、教育以外の科学ですとか、そういった分野に関しても、それを横断的に進めていくためのコミッティというものがユネスコの中で既に発足しているというように聞いております。
そして、今後の予定ということでございますけれども、次のユネスコ総会が、前回が昨年ございましたので、次は来年の秋ということになります。その第39回ユネスコ総会で持続可能な開発目標(SDGs)の達成を主要事項の1つとする事業・予算、これは4年間ということでございますけれども、それを決定するという流れになってくるということでございます。
ただ、そうしますと、来年の秋まで私どもとして何も検討しなくてよいということではなくて、早くも今年の秋の次の執行委員会において、事務局の方から素案が示されるということでございまして、ある程度、それを見据えた対応ということをしていく必要があろうというように考えている次第でございます。
もう1つ、ユネスコにおける様々な取組ということのもう少し詳細な資料ということでございまして、先ほどの席上配付資料1の方を御覧頂きたいと思います。
こちらでユネスコにおけるSDGsの推進に向けた取組についてということで、先ほどいくつか御説明させて頂いたものに加えて、他にもこのようなことをやっているというものを記載させて頂いた次第でございます。
全て説明しますと時間を要しますので、一部のみ取り上げたいと思いますけれども、教育の関係ではESDの関係ですとか、また、高等教育におきましては流動性、モビリティの向上という観点で、国と国の間で学位ですとか、単位ですとか、そういった制度が異なる、こういった状況に関して、どのような形で比較可能性を高めていって、モビリティの向上につなげていくかというような議論がなされている。これもSDGsの高等教育の目標の達成に資するものであろうというように考えております。
そして、このページをめくったところで、前回も運営小委員会、あるいは総会で御議論を少し頂きましたが、GCED(グローバル・シチズンシップ教育)に関する取組というものも始まっております。そして、先ほど事務次官からも言及がありましたけれども、LGBT、性的指向や性自認を理由とした困難を抱える人々への対応というようなものも行われております。
そして、もちろん、いわゆる開発途上国における教育への協力という観点で、アフリカをはじめとする様々な取組というのも引き続き行われているということがございます。
それから、科学の関係で言えば、国連サイエンスアドバイザリーボードというものが、これは、SDGsが策定される前から既に始まっているものがございますけれども、これに関しては、国内委員もお務め頂いておりますけれども、日本から黒田玲子先生が委員に入って、様々な形での科学の貢献について御議論頂いているということです。
それから、科学の関係で特に申し上げたいと思いますのは、この下にMOSTという社会変容のマネジメントというのがございます。また、その次のページのところではCOMESTという科学的知識と技術の倫理に関する世界委員会、そして、その下にIBC、国際生命倫理委員会というものがございます。いずれも倫理ですとか、あるいは自然科学と社会科学の連携といったようなことに関する取組というものがございます。これまで、こういった取組というのに関して、私どもの方でも報告というのを余り差し上げてこなかったところがあるかと思いますが、このethics、倫理の在り方というのに関しては、ユネスコは、これまでも様々な形で蓄積というものがございます。こういったことに関して、政府、あるいは研究者、様々な形でのステークホルダーの議論が進んでいるというようなことでございまして、そういった議論、対話の枠組みというものが、今後、SDGs、特に様々な利益、利害がバッティングする中で重要視されてくるのではないかというようなことが考えられます。
それから、科学の関係では、その下の方にありますけれども、先ほど申し上げたIOC、それからIHPに加えまして、そのページの下からあるMAB、ユネスコのエコパーク、それから次のページの方にあるジオパークといったような登録事業というものも非常に重要なものであるというところでございます。
同じく文化の関係の登録事業であります世界遺産、それから無形文化遺産でございますけれども、これに関しましても、最近は持続可能な開発の観点から、世界遺産、あるいは無形文化遺産はどのようにあるべきかというような議論が、それぞれの枠組みにおいても行われているということでございまして、ユネスコ全体で持続可能な開発に対応した形で全体の事業を収れんしていこうという、かなりイニシアチブが強力に働いているというように考えられるというものでございます。
以上のそういった国際場裏におけるユネスコも含めた状況というのを含めて、まず、日本全体でどのように対応していくべきかという点でございますけれども、資料の一番最後のページを御覧頂きたいと思います。
「閣議決定」というふうに記されている資料がございますけれども、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の設置についてというものでございまして、5月20日付けで閣議決定がされたということでございます。
これは、当然、文部科学省のみならず、日本政府全体としてSDGsをしっかりと推進していくために総理大臣を本部長、そのほか官房長官、外務大臣が副本部長、そして、その他の全ての国務大臣を本部員とするというものが設置をされたというものでございます。これは、伊勢志摩サミットの前に、こういったものが策定されたというものでございますけれども、日本政府として、今後、SDGs達成のためにどのように取り組んでいくべきかという指針というものを作るということについて、総理の方から指示があり、そして、現在、政府部内で検討が進んでいるというものでございます。
以上の状況を踏まえて、ユネスコ国内委員会として、やはり何らか取り組んでいくことが必要ではなかろうかというようなことでございます。
資料の9の1枚紙の方を御覧頂きたいと思います。
以上、申し上げた点からいたしますと、SDGsというのは極めて総合的な取組である、教育ですとか、科学だけではない、あるいはユネスコだけではない、他の国際機関、様々な取組というものも見ながら考えていかなければならないということでございます。
他方、ユネスコというものが17あるSDGsの中で多くの目標に貢献できるであろうということで、現にユネスコの中でも動きがあります。そして、それを前提として、今後、ユネスコの事業や予算が組み立てられていくというようなことなどを考えると、国内委員会としても、そういったユネスコの動きに呼応して、今後、ユネスコに対して、こういったことに対して取り組んでいくべきであるということを働きかけていく、その具体的な内容というものを審議して頂くということが1つ。
もう1つは、当然、日本政府としても、このSDGsについてしっかりと取り組んでいくということが政府全体で決められていくわけでございますので、ユネスコ国内委員会の観点から、つまり、ユネスコという観点から見たときには、もちろん文部科学省だけではなくて、他の関係省庁も様々な取組をしているところでございますので、日本政府に対しても、こういった取組をやっていくべきであるというようなことを同じく提言を頂くような枠組みというものがあっていいのではないかということでございます。
したがいまして、このSDGsの推進特別分科会というものを設置してはどうだろうかという内容でございます。
以上申し上げた観点からいたしますと、今、国内委員会というのは、総会の下に運営小委員会、またいくつか、教育小委員会ですとか、自然科学小委員会などが設けられておりますけれども、そういった分野ごとの、セクターごとの小委員会というのではなくて、全体の下にぶら下がるような形の推進特別分科会が望ましいのではないかというように考えております。このため、本運営小委員会の下に特別分科会を置くということにさせて頂ければいいのではないかということでございます。
この設置に関しましては、1条にあるSDGsの実現に向けた推進方策を検討することを目的とするということでございます。
そして、その組織といたしましては、3条にある会長、副会長、そのほか、委員長が必要と認めた委員、そして、現在国内委員になっていない方であってもSDGsに関して知見のある方がいらっしゃると思いますので、そういった方々をまた別途調査委員として任命させて頂いて審議をするということをやってはどうかというものでございます。
この設置を認めて頂いた暁には、私どもといたしましては、今後、例えば8月ですとか、9月ですとか、そういった時期に一度、特別分科会を早速開催させて頂きまして、今後の進め方について意見交換を頂くとともに、先ほど申し上げた、来年にはユネスコの次の事業・予算というものが決まるということでございますので、それに対する提言、また、日本政府としての様々な取組にも反映していくというようなことから、年内にも何回かこの特別分科会を開かせて頂いて、そして、それを反映していくようにしていきたいと考えております。
また、その審議に当たりましては、私ども事務局である文部科学省だけではなくて、関係省庁、あるいは関係機関などの御協力も頂きながら進めていきたいというように考えております。以上でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見を頂ければと思います。内容については何でも結構ですので、よろしくお願いいたします。また、今、最後の方に出ました推進特別分科会を設置してよろしいかどうかもお聞きすることになりますので、そのことの御質問、御意見ももちろん結構でございます。 では、少し私から申し上げます。SDGsを国連で決めていくとき、あるいは決めたときの、そのプロセスの中で日本はどういう役割を果たしていたのかというのをお聞きしたいと思います。
【福田企画官】  失礼いたします。実際に外交交渉という観点では外務省が担当していたわけでございますけれども、まず、こういった目標を設定するということは大変必要なことであります。特に先進国と開発途上国というのは、どうしても国連をはじめ、これはユネスコでもそうですけれども、対立するような構造というのはいろいろとございます。そういったことを乗り越えて、ともに目標を共有するというようなことは大変重要であるということで、その仲立ちになるような働きを他の国とも連携しながら取り組んできたというようなことを伺っております。
また、国連の中で、そういった働きを日本が積極的にしていくということが、国際場裏における日本全体のプレゼンスにもつながるというようなこともあったというように聞いております。
もう1つは、そういった目標を設定するということは、当然、政府だけの議論ということではなくて、様々なステークホルダーからも、そういった提言ですとか、あるいは、そういった要請というものがあったということでございます。それは、様々な民間の取組もあるわけですけども、その中で特に日本が果たすべき役割というのは大きいのではないかというような声も聞きながら、成立に尽力をしたというように聞いております。
【安西委員長】  一応、バックグラウンドだけお聞きしたのですが、どなたでも結構ですので。
【吉見委員】  それでは、2点ほど教えて頂きたいんですけれども、あまりにも項目が多いので、頭に入り切らないというのが正直なところでございますけれども、内閣に設置された、こちらの推進本部と、それから今、御提案のあった推進特別分科会、この関係はどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
【福田企画官】  失礼いたします。当然、文部科学省の中でもユネスコの国内委員会における取組もありますし、それ以外にも省内の関係部局でのいろいろな取組はあるかもしれません。同様に、文部科学省以外の他の役所でも、このSDGsに対応する形でいろいろな御意見を聞くような場を設けたり、あるいはステークホルダーとの対話の枠組みを設けるというような取組が既に一部の役所で始まっているというように聞いております。
それと、内閣全体で設ける実施本部との関係ということについては、そういったいろいろな取組を、全体を取りまとめる、また、大きな方向性に関して指示をするというようなところであるというように聞いております。
他方でユネスコ国内委員会の取組というのは、もちろん日本政府の中に設けられているようなものではございますけども、当然、独自の機関としてユネスコに提言をしていくということは、いわば日本政府としての方向というところとは、また少し別の観点で積極的に自由に提言をしていくことが認められる余地もあるということでございますので、実施本部における取組、これもまだ始まったばかりでございますので、私どもの方でもまだ関係省庁と調整しているところではございますけれども、そのスケジュールも見ながら、国内委員会の方でもできるだけ自由に議論して頂ければというように思っているところでございます。
実際、私どもの方といたしましては、実施本部において、また日本政府として、今後このような形で取り組んでいくという指針ができてくれば、また、それをフォローアップしていくというようなプロセスが始まっていこうというふうに思っております。
また同様に、ユネスコにおいても様々な取組が始まって、フォローアップが始まっていき、それがいろいろと共有されていくというようなプロセスが今後数年続いていく中で、おそらく2030年に向けての全体の筋道というのが定まってくるものと考えます。
まだ、そのあたりは現時点では必ずしも明確でないところがございまして、少し先が見にくい部分があるのは大変恐縮ではありますが、大きな流れとしては、そういう形で進んでいくであろうというようなことで、また御議論を頂ければというように思っております。
【吉見委員】  もう一点は、資料の8の一番下に、「全ての関係者(先進国、開発途上国、民間企業、NGO、有識者等)の役割を重視」と、ステークホルダー、あるいは関係者が列記されているんですけども、役割重視ということは、いろいろな御意見が出るのをまとめていくことが含まれているかと思いますけれども、関係者というか、ステークホルダーも非常に多様で多数に及び、なおかつアジェンダも、ここに出ているように大きく分けても17あって、さらに細かく分けていくと169個ある、対他の関係になっており、一体どういうふうにまとめていくというイメージを持ったらよろしいんでしょうか。
【福田企画官】 失礼いたします。まだ詳細は若干調整中というところもあるかと思うんですけども、現在は、まず様々な立場で、それぞれが取組を開始しようというふうなフェーズのように思っております。
例えば経済界の方におきましても、経団連ですとか、あるいは国連グローバル・コンパクトという取組がございますけれども、そういった中で多くの企業さんがSDGsに貢献する観点から、あるいはCSRの観点からサステナビリティに配慮した企業経営というようなことで様々な取組が始まっているというように聞いておりますし、また、アカデミアの方でも、大学の方が連携してSDGsの達成に向けて、どういったことが貢献できるかというようなことを議論していこうという枠組みが一部始まっているというように聞いております。また、NGOの方でも、同様に、そういった枠組みというのが始まっていると承知しています。
今、それぞれがそういった取組というのを、では、全体をどのように調整して我が国として、例えば、このように国連に報告していこうだとかというところまでは、必ずしもまだきちんとした調整がとれていないというのが現状でございます。
【吉見委員】  当然ながら調整まではまだ不可能だというのはよく分かるんですけれども、ただ、今もおっしゃられたように非常に多様な取組が既にいろいろなところで行われているという認識は、私たち多くが持っているかと思います。ただ、全体的にどこで何をやっていて、何が議論されていて、どういう方向に向かっていってという統括的、あるいは俯瞰的に全体が必ずしも見渡せていないというか、認識できているかどうかというのは疑問で、そうすると、全体を可視化するというか、全体を俯瞰的に可視化し、その中に構造を見い出していくような、そうした作業がまず必要なような気がするんですけれども、そういうことについては既に議論があったりするのでしょうか。例えば17にしても、並んでいるのは分かるんですけど、169個がどういう関係にあるのかというのが、ぱっと並んでいるだけでも、途中まで読んで前の方を忘れてしまうみたいな感じで、それから、多分、実際に何万といういろんな取組があるんだと思いますけど、それをどういうふうな土俵の上で統合的に可視化していくのかという、そこのあたりの認識が非常に重要かと思います。
【福田企画官】  御指摘、ありがとうございます。私どもも、まさにその点、課題だろうというふうに思っておりますし、今後、仮にこういった特別分科会を立ち上げるのであれば、まず、そういった可視化というのをしなければ議論を行うことが難しいということも理解しております。したがって、そういった作業も並行して進めていかなければならないというふうに思っております。
状況としては、申し上げたとおりでありますが、もう1つ、現状でより整理していかなければならない点というのは、このSDGsの目標というのは、個別個別の目標はかなり詳細に記載されていますが、ただ、それをどのように実施していくのかというのは必ずしも明かではないという点です。そうしますと、ユネスコや様々な国際機関、役所の観点から見たときに、捉えようによっては、この目標に関しても何か関連するものがあるというようなものが、どんどん細かく見ていけばいくほど出てくることが考えられます。そうすると、何かしら169のものについて全部関わりがあるというふうに捉えようと思えば捉えられるのかもしれません。
ただ、他方で、余り積極的にやらなくてもいいというのであれば、かなり引いた見方にもなり得ます。そのあたりがまだ、いろいろな国際機関もそうですけれども、あるいは各国政府もよく分析をした上で考えていく必要があるというようなフェーズがしばらく続いているところがございまして、なかなか先生の御指摘に沿うような形で整理できていないところがございます。
私どもとしても、課題として取り組んでいきたいと思っています。
【吉見委員】  ありがとうございました。
【植松委員】  本当に先生の御指摘のとおりだと思うんです。具体的に1つの例ということで、海洋関係の方をちょっと紹介させて頂きたいと思います。
国連のGoal 14ということで、海の豊かさを守るというようなキャッチフレーズで、23ページ、24ページに出ています。これの下には、ユネスコがもちろん関わっていて、ユネスコがSDGsにどこまで貢献するかということがあるんですが、その下にIOCという政府間海洋学委員会というのがあります。実は、その海洋関係の課題を取り上げるときにIOCは全然知らなかったというようなことがありました。確かに国連の書いている、こういう項目というのは、できるだけ国連の意向に沿うように日本もやるべきだというふうに我々は思うんですが、中を見て見ると、実に国益に関わってくるような、海洋調査ができなくなるような、おそれのあるような条文もあるし、そういったことについてどういうふうに捉えていくか。BBNJ(国家管轄権外区域の海外生物多様性)というのは、また福田さんの方で説明して頂ければいいと思うんですが、そういうことを含めたときに、このユネスコの枠では収まらない、水産庁、海上保安庁など、いろいろな省庁も入って対応していかないとできないようなこともあると感じています。
ゴールの1つだけでも、このようにいろいろな検討すべきものがあるのではないかということで、これは、逆に全体を俯瞰できるような、そういう枠組みを是非作っておくべきだというふうには思います。
【安西委員長】  おっしゃるとおりだと思います。
【植松委員】  細かい話をすると、どうしようもないんですけど、何かそれをどこかでまとめて、それがオーバービューとして皆さんに見て頂けるような形になればいいと思います。
【安西委員長】  私は、むしろ事務方の皆さんにお願いなのですが、今のとおりなのですけど、以前からユネスコ活動、あるいはESD等もそうなのですが、政府全体でやっているという形になっていて、切り分けられた部分だけが委員の皆様には見えているように思います。そういう状態がずっと続いていて非常に気になっていまして、これはもっと大きな話ですので、その全体のごく一部を、ここで相当詰めて、真面目に議論している間に、言い方は申し訳ないですけど、実はこの辺でもっと何かが起こっているということは十分あり得ると思います。
そこを是非気をつけてといいましょうか、この委員会も、頻繁に開けるわけではないと思いますので、その俯瞰的な状況をどういうふうに委員の皆様に知らせて頂けるか、お考えを是非頂きたいと思います。
事務局も非常にお忙しいと思いますので、なかなか申し上げにくいのですけれども、運営委員会だけではないのですが、委員の方々、例えばこう言われると、ここがSDGs上やっているのだというふうに少し錯覚してしまいます。そういうところは、実際には非常に狭いというか、そこをやっているということが多いので、大きな絵は常に見せて頂ければと思いますので、お願いいたします。
他にはいかがでしょうか。
【見上委員】  重ねての質問になるかもしれませんが、今、御説明を伺っていて、SDGsのことを運営小委員会でやる。もう一方では、内閣総理大臣をトップとして各大臣の大きな枠で、イメージとしては、ESDの場合に関係省庁連絡会をお作りになっていますよね。これに似た、何かそういった、国際統括官がお出になるような、組織か何かまだ決まっていないのかもしれませんが、もし情報があれば教えて頂ければと思います。
【福田企画官】  失礼いたします。先ほどの実施本部、これは閣僚レベルでございますけども、その下に、まさしく国際統括官及び各省庁の局長クラスによる幹事会というようなものが既に設置されております。さらに、局長級の下には課長級というふうなものまで設置はされております。
ただ、現状は、設置をしたところまでというところでございまして、今は、それを受けた、先ほど申し上げた指針というものをどのように作っていくかというところを調整している段階というところでございます。
【見上委員】  ありがとうございました。
【安西委員長】  今の政府全体の会議の構造というのは、どこかで配られていますか。
【福田企画官】  こちらの資料の閣議決定のみ、本日は配付させて頂いております。
【安西委員長】  失礼しました。
【古賀委員】  169あるSDGsの目標は所与のものであり、この目標の改善や変更はあまり期待されていないという認識でよろしいでしょうか。
【安西委員長】  そう思います。
【古賀委員】  この169の目標を前提に私たちが貢献できることを考える際に、日本が国内あるいはグローバルに貢献できる領域を、ある程度、選別しなければ判断できないのではないでしょうか。
目標の中には、非常に抽象的なものと、数値が掲げられているなど妙に具体的なものとが混在しているように思われます。うまく選別できれば良いのですが。日本で未だに問題として残っているものはそれ程ないと思いますが、日本が貢献しやすい領域といった観点で、ある程度選別できれば良いと思います。
【安西委員長】  今の古賀委員の御意見を受けて、同じことではありますが、国連のこの内容は、全部をユネスコが扱うわけではなくて、ユネスコはこのうちの一部、ユネスコのミッションに入っている部分だけを扱うということだと思いますが、よろしいでしょうか。
その入っている部分というのは、ピンクの資料の一番前の方に太字で書いてある何ページかが、それだということでしょうか。そのあたり、はっきり共通理解しておかないと、全部やるのかと錯覚してしまうと思います。
【福田企画官】  失礼いたしました。おおむね、そういうような理解でよいかというように思っております。具体的には、17大きな柱がある中で、ユネスコが中心に取り組むのは9つであるというように、ユネスコとしては表明をしているところでございます。
ただ、17のうちの9つというのがどれに当たるのかという詳細なところが、まだ私どもユネスコに確認できていないところでございまして、大変恐縮でございますけれども、ただ、おそらくは教育、水、海洋、都市、不平等、平和の関係などは、かなりユネスコに近しい分野であろうというように考えております。
もう一度申し上げますと、目標の4の教育、目標の5のジェンダー、目標の6の水、目標の10の不平等、目標の11の持続可能な都市、目標の14の海洋資源、目標の16の平和。
今申し上げただけでも7つになりますので、おそらく、これに例えば貧困であるだとか、何らかそういった分野でもユネスコで関わりがあるとか、あるいは経済成長の雇用、これも職業教育なども関連しておりますので、おそらくどれかを捉まえて9つというふうに言っているのであろうと考えます。
逆に言うと、それでは、9つ以外のものは一切合財関係ないかというと、そういうわけでもまたないんだろうというふうに思いますので、まだユネスコとしても一部整理をしている部分もあろうかというように思っております。
ただ、いずれにしても、そのあたりきちんと我々としても整理をして、選別ができるようにしていきたいというふうに思っております。
【安西委員長】  9つというのは誰が言っているのですか。
【福田企画官】  ボコバ事務局長が、そのようにおっしゃったと承知しています。
【安西委員長】  プライベートに言っているのでしょうか
【福田企画官】  いや、先日のプレス発表で、そのようなことを発言しているということが共有されたというものでございまして、その詳細がまだ私ども把握できていない状況でございます。
ただ、おおむね、今申し上げたような目標というのは、柱ということで取り組んでいくのではないかというように思っております。
【安西委員長】  他にはいかがでしょうか。
【吉見委員】  アジェンダのこの文書のバックグラウンドになるような資料とか、データとか、そういうものは、国連の文書そのものの中には、これ以外にも他にあるんですか、それともこれが全てなんですか。
【福田企画官】  もちろん国連の中でもSDGsを策定するまでの過程というものは、かなりオープンになっている部分もございますし、そしてまた、それを受けて、今後どのように取り組んでいくということについても、来週も大きな、ハイレベル政治会合がニューヨークで開催される予定です。
【吉見委員】  それは、一応アクセスできる形で、データというか、資料は存在すると。
【福田企画官】  おっしゃるとおりです。
【安西委員長】  他にはいかがでしょうか。
今初めて、国連の内容を全体的に読みましたが、感想ではありますけど、一種の情報社会というのか、人権の問題、それからプライバシー、セキュリティー、いろいろなことを含めて、環境とか貧困とか、それと情報の問題というのがべったりくっついて、離れがたくなってきているところに特徴があると思います。そのことがほとんど反映されていないように見えます。
デジタルディバイドとか、それは一応、前文めいたところには入っているのですけれども、感想と申し上げたのは、もう変えるわけにはいかないでしょうから、言っても意味がないとは思いますが、今、本当にいわゆる新興国、開発途上国と先進国のディバイドが起きている1つの要因というのは、情報技術が非常に浸透して、それがいろいろな人がいろいろな形で使うようになってきてしまっているからというのがあるわけです。そのことが、目に見える文字ではほとんど反映されていないように思います。
環境が大事ではないとか、そう言っているのではなくて、海洋資源、あるいは地上の資源が大事なのですが、時代を反映していないように思いました。
【福田企画官】  失礼します。情報通信の関係ですと、国際機関でITU(国際電気通信連合)というところがございます。まさしく今、先生が御指摘のような観点から、情報、ICTというのはSDGs全般を解決するのに役立つというようなことを、今、積極的にアピールをしているというようなことを聞いております。
まさしく、それを今言っても少し遅いのではないかというようなところもあるかもしれませんが、少なくとも、まさしく先生がおっしゃられたとおり、単にリテラシーとして重要であるというだけではなくて、アフリカにおいて携帯電話が普及したことが今の経済成長のかなり基盤になっているというようなことなども含めて、ITUの方で、そういったプレゼンテーションをかなりしているというふうに聞いております。
例えば、そういった分野と、ユネスコにおいてもコミュニケーション局というところがございます。ユネスコとITUが連携してICTに関する教育やリテラシーの普及というような取組をやっているというようなものもございます。
したがって、この目標自体は変えられないにしても、それを達成していくためには、こういう観点でやっていくことが重要だということを提言していくことは十分可能であるというふうに思っておりますので、例えば、今、先生の御指摘のようなことを日本政府、あるいは国内委員会として今後積極的に打ち出していくというのは、1つの方策としてはあり得ると思います。
【安西委員長】  ICTをICTとして別建てで扱うという、それ自体がもう過ぎた時代のことで、ITUは技術の、特に知財とか、そういった問題をかなり激烈にやっているところなのですけども、ITUとこの話というのは大変ギャップがありまして、あちらは本当に技術の問題をやっていますので、私が申し上げたいのは、むしろ個人情報などの問題を、ここでどういうふうに扱っているのかと思いまして。
例えば教育の問題として申し上げているわけではないし、コミュニケーション力ということでもなく、もちろんリテラシーの問題でもありません。やはりもっと広く世界の人間の暮らし、それから生命、いろいろなことにしみ込んできているので、そのしみ込み方が反映されていないのではないでしょうか。
吉見先生は、よく御存じだと思います。
【吉見委員】  今、安西委員長がおっしゃられたことに、私も大賛成で心から共感いたします。今、安西委員長がおっしゃられたことというのは、テクノロジーだけを決して捉まえないで、それこそこの間のバグダッドのテロの問題やこの間ずっと世界中で発生している、それはもう9.11のアメリカ同時多発テロ事件からそうなんですが、テロの問題というのは情報の問題なしにはあり得ない話が世界中で起こっているわけです。ですから、テロの問題、スノーデンの事件、パナマ文書の問題は、全部情報の問題なんです。
だから、今日の世界の富の偏在であったり、それから、様々な暴力の問題であったり、これ、やっぱり全て情報の問題として見ないと、見えない部分が多々あって、それは、むしろ日本だから見えるという部分もあるかもかもしれませんし、日本だからこそ国連やユネスコに提言していけるという部分もあると思います。是非こちらからアプローチをしていくときに、それは軸になり得るといいますか、何かうまい軸を組み立てて出していくと、逆に言えば、国連に、あるいはユネスコに日本がついていくというよりも、日本の方がリードするという重要な柱になり得ることではないかと思います。
【安西委員長】  1つの見方ですが、他の項目が大事ではないといっているわけでは決してありません。情報というのは横串みたいなものですので。
植松委員、お願いいたします。
【植松委員】  お聞きしたいんですが、日本ではSDGsについての対応というのは、今、こういう形でなっているんですけれども、他の国ではどういうふうに取り組まれているか、そういう情報というか、動きというのは把握されていますでしょうか。
【福田企画官】  失礼いたします。公表できるものというのは、まだ少ないようではございますけれども、各国においても同様の組織を作って、政府として全体をしっかりとモニタリング、あるいは取組状況をまとめていこうというようなことが行われているようでございます。
特にヨーロッパ諸国などはかなり意識が高いということもあり、例えば、ドイツでは、そういったような組織がかなり先行するような形でできているというようなことは聞いております。
ただ、そういったものを必ず設けなければならないというように、どこかでルール化されているわけではないというふうに思いますので、国としての取組については、やや濃淡というのもあると認識しています。あるいは、それぞれの国の置かれた状況によって力点の取り方というのも当然異なります。例えば島国であれば、いわゆる海面の上昇に伴って、そもそも地上自体がなくなってしまうと、そういうところは環境問題という観点にかなり着目するでありましょうし、また別の国であれば、別の観点もあり得ようということでございまして、そのあたりの各国の状況を共有する場というものが、ニューヨークですと、どうしても百数十か国になりますので、別途地域別でも必要ではないかというようなことで、そういったものを、例えばアジア太平洋ですとか、アフリカだとか、それぞれの枠組みの中で議論していこうというようなことも始まっているというように聞いております。
【植松委員】  そういうリージョナルな委員会なり、そういうものは、今、準備されているわけですか。
【福田企画官】  はい、既に発足しているのが、国連ですと、国連の中の経済社会理事会という組織がございますけれども、その下に地域ごとの委員会というものがぶら下がっているということでございまして、既に具体的にそれぞれの地域の実情に合わせて、どのように進めていくべきかというような議論が始まっているというように聞いております。
【安西委員長】  他にはよろしいでしょうか。
植松先生がいらっしゃるので、北極海というのは海洋資源、南極は陸上なのでしょうか。少し細かいことで申し訳ありませんが。
【植松委員】  いや、南極も海はありますし、生物資源という面ではあります。北極海は、もっと複雑にはなりますけども、南極条約というのがありますから、大陸自体は皆さんのコンセンサス、北極はもう……。
【安西委員長】  北極が問題になるでしょうか。
【植松委員】  はい。今、非常に難しいという。
【安西委員長】  北極海も政治的にも非常に難しい状況であると。
【植松委員】  そうですね。自然科学がやっぱり北極域というのは非常に注目を浴びているところですし、科学者もそうですけれども、それ以外の経済なども含んで、いろんな委員会なり、取組は行われていると思います。何せ北極海に面している国は強いですけど、日本は、一応関心はあって、砕氷船を造ろうということなんですが、オブザーバーとしての形で入る。でも、入っていないとどうしようもないというような形だと思いますけども、海1つとるだけでもいろいろな問題があります。
【安西委員長】  ありがとうございました。
他にはいかがでしょうか。安達委員、お願いいたします。
【安達委員】  すいません。今、お話を伺いながら、ユネスコスクールの先生方や、あと、ユネスコ協会の会員の皆様に、このSDGsをどんなふうに説明したら分かりやすいのかなということを考えながら聞いていました。
ESDという3つの文字ですら、理解するのはなかなか難しいところがあって、GAPが入ってきて、おそらく位置付けとしては、SDGsは目標を示したもので、ESDは概念を示すようなものなので、性質は違うかと思うんですけども、でも、先ほど伺っていて思ったところで、SDGsの中の目標4の中の4.7にESDが入ってくるというところで、169の中の1つにESDが含まれたというような見方もできると思うんですけど、でも、ESDはかなり包括的な概念ではないかと思いますので、そう考えると、ESDという観点からSDGsを見るというような形もできるのかなということを考えていました。
GAPに関しても、先ほど実施計画が立てられていて、2019年までにというところで、どうモニタリングしていくのかという課題がある中で、また新しくSDGsが入っていくというところで、その両者の関係性というところが難しくなってくるのかなというようなことを思いながら伺っていました。
【福田企画官】  失礼いたします。まさしく御指摘のとおりだというふうに思っております。私どもといたしましても、単に4.7という目標の中にだけESDが入っていると捉えるのではなくて、SDGs全般について学ぶこともESDの1つの捉え方であると考えております。
いろいろな目標が明確に記載されていて、中には、1つの目標に取り組めば、他の目標の達成にもつながるというウイン・ウインのものもあれば、逆に1つの目標に取り組むと、こちらの目標の方とはバッティングしてしまうというものもあろうかと思います。そういういろいろな利害の関係について学ぶという意味で、極めて優れた教材になろうというように思っておりますし、現に、そういう観点からSDGsに関して、ESDの中で、授業の中でどのように教えたらいいかというふうなことで取組を始めているような学校さんもいくつか既に聞いているところでございます。
ですので、私どもといたしましても、そういった事例なども参考にしながら、また、このSDGsを一般に普及しようというふうな取組を、外務省もそうですし、あるいは民間の方でも様々な取組が始まっておりますので、そのような優れた事例なども参考にしながら、私どもとしてもユネスコ協会ですとか、そういったところに伝えていきたいというふうに思っております。
【安達委員】  はい。
【安西委員長】  これも前から申し上げていることですけど、お願いは、特にユネスコスクール向け、ユネスコ協会もありますけれども、ユネスコ活動、それからESDと、このSDGsとの関係を文章で共通理解できるように作った方がいいのではないかと思います。言っている人によって、みんなニュアンスが変わってくると、現場で一生懸命、ユネスコスクールなど本当に一生懸命やっているので、混乱すると思いますので、それは是非お願いしたいと思います。
このSDGs自体がなかなか定まらないところがあるとは思いますけれども、早めにその手を打って頂かないと、また何か出てきたというか、そういうふうに取られかねないと思います。
【福田企画官】  はい。
【安西委員長】  実は以前、教育小委員会でユネスコ活動とESDの関係を文章にするということをやったのですが、それがとても大変でした。文章になかなかできにくかったのですが、一応、1枚のペーパーにまとめまして、全国に配ったという経緯があります。そのぐらいのことをやらないと、なかなか切り分け、重なってもいいのですけど、どういう部分がどういうふうに重なっているのかということがなかなか分かりにくいのではないかと思います。
【植松委員】  17のロゴはできていますよね。
【福田企画官】  ございます。
【植松委員】  1個ずつ魚の絵とか。一応、一言で、このゴールは何かというのを日本語でも英語でも、そういうのを前に一度見せて頂いたことがあるんですが、それをもう少し分かるようになればいいのではないかなというふうには思います。
【安西委員長】  それでは、よろしければ、先ほどありましたSDGsの推進特別分科会を設置するという件でありますけれども、設置するということでよろしいでしょうか。
それでは、設置について御承認頂いたことにいたします。事務局では準備を進めて頂くようにお願いしたいと思います。
また、推進特別分科会の委員については、できれば、委員長の私の方へ一任として頂ければありがたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、そうさせて頂きます。
以上で、議題2、議題3を終わらせて頂いて、議題4に移ります。第139回の国内委員会の議事日程案について、事務局に説明をお願いします。
【福田企画官】  失礼いたします。資料の10の1枚物でございます。第139回日本ユネスコ国内委員会の議事次第ということでございます。
既に各委員に御案内のとおり、今月29日金曜日の14時から16時に総会を開催させて頂ければというふうに思っております。
中身につきましては、基本的に本日御審議頂いたものと同様でございますけれども、今日頂いた御議論も踏まえまして、できるだけ各委員に分かりやすく、また、それを何らか分かりやすく周知して今後進めていくということができるような資料等についても考えていきたいというように思っております。
以上でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。何か御質問、御意見ありますでしょうか。
それでは、この件はよろしいでしょうか。総会へと準備を進めて頂くようにいたします。
他に委員の方々から何かございますか。
よろしければ、少し早いですけれども、議題が終わりましたので、本日の小委員会はここまでにさせて頂きます。
席上配付資料のピンクの資料は机の上に残しておいてくださいますよう、お願いいたします。
本日はお忙しいところ、まことにありがとうございました。

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